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タイトル:公表特許公報(A)_カルボキシビニルポリマーおよびポビドンポリマーを有する医薬組成物
出願番号:2011510577
年次:2011
IPC分類:A61K 9/06,A61K 47/32,A61K 45/00,A61K 31/4709,A61P 11/02,A61P 27/02,A61P 27/04,A61P 27/06,A61P 27/14,A61P 27/16,A61P 31/04


特許情報キャッシュ

ギャラン, フランシスコ ジャビエル カレラス, ヌーリア ヒメネス, ヌーリア JP 2011520963 公表特許公報(A) 20110721 2011510577 20090512 カルボキシビニルポリマーおよびポビドンポリマーを有する医薬組成物 アルコン リサーチ, リミテッド 508185074 山本 秀策 100078282 安村 高明 100062409 森下 夏樹 100113413 ギャラン, フランシスコ ジャビエル カレラス, ヌーリア ヒメネス, ヌーリア US 61/054,196 20080519 A61K 9/06 20060101AFI20110624BHJP A61K 47/32 20060101ALI20110624BHJP A61K 45/00 20060101ALI20110624BHJP A61K 31/4709 20060101ALI20110624BHJP A61P 11/02 20060101ALI20110624BHJP A61P 27/02 20060101ALI20110624BHJP A61P 27/04 20060101ALI20110624BHJP A61P 27/06 20060101ALI20110624BHJP A61P 27/14 20060101ALI20110624BHJP A61P 27/16 20060101ALI20110624BHJP A61P 31/04 20060101ALI20110624BHJP JPA61K9/06A61K47/32A61K45/00A61K31/4709A61P11/02A61P27/02A61P27/04A61P27/06A61P27/14A61P27/16A61P31/04 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW US2009043532 20090512 WO2009142950 20091126 14 20101117 4C076 4C084 4C086 4C076AA09 4C076BB24 4C076BB25 4C076BB26 4C076CC32 4C076DD22 4C076DD38 4C076EE09 4C076EE16 4C076FF35 4C076FF36 4C084AA17 4C084MA28 4C084MA56 4C084MA58 4C084MA59 4C084NA03 4C084ZA33 4C084ZA34 4C084ZB35 4C086AA10 4C086CB05 4C086MA03 4C086MA05 4C086MA28 4C086MA56 4C086MA58 4C086MA59 4C086NA03 4C086ZA33 4C086ZA34 4C086ZB35 (関連する出願との相互参照) 本出願は、2008年5月19日に出願された米国仮特許出願第61/054,196号に基づく優先権を主張する。 (発明の分野) 本発明は、改善された適合性および/または改善された物理的特性を有する組成物を提供するための、ポビドンポリマーと組み合わせたカルボキシビニルポリマーを含有する医薬組成物に関する。より詳細には、本発明は、モキシフロキサシンなどの治療薬、カルボキシビニルポリマー、およびポビドンポリマーを含有する点眼剤(例えば、ゲル)に関する。 (発明の背景) 製薬工業は、望ましい物理的特性を有する医薬ビヒクルを作り出そうと絶えず努力してきた。適用類型(例えば、経口、局所など)に応じて、これらの特性は異なり得る。多くの薬剤適用、とりわけ、目(眼科)、鼻、耳(耳科)、皮膚などへの医薬組成物の局所適用は、組成物中の医薬ビヒクルが高い粘度を提供する場合に、より効果的であり得る。ゲルは、より高い粘度が望まれる場合に、とりわけ望ましい医薬ビヒクルであり得る。 カルボキシビニルポリマー(カルボマー)は、粘度を高めるのに、および/または医薬組成物用のゲルを形成するのに使用することができる。カルボキシビニルポリマーは、水性ゲルを形成するのにとりわけ望ましい。カルボキシビニルポリマーを水に分散させると、それは、濁ったゲルを形成することが多い。しかし、ゲルのpHがカルボキシビニルポリマーのpKaより高いと(例えば、約6.0±0.5を超えるpHで)、濁ったゲルは、典型的には、膨潤し、透明になる。この状況で、カルボキシビニルポリマーのカルボキシル基は、イオン化され、カルボキシル基の負電荷は、互いに反発する。加えて、カルボキシビニルポリマーのガラス転移温度は、ポリマーを水に暴露すると降下することが多い。これらの条件下で、カルボキシビニルポリマーは、螺旋状となり、螺旋の半径は、大きくなることができ、その最初の容積の1000倍までのまたはそれを超えるポリマーの膨潤をもたらすことができる。カルボキシビニルポリマーのこの膨潤は、医薬組成物のための医薬用ビヒクルとして適したゲルの形成を助ける上で極めて有効であることがある。 カルボキシビニルポリマーは、望ましいゲルを形成するのに有用であり得るが、カルボキシビニルポリマーは、医薬組成物中に含められることの多い多くの成分と適合性でないことが示されている。このような成分の例には、限定はされないが、高濃度の電解質、カチオン性ポリマー、フェノール、強酸、強塩基、特定のアミノ官能性成分(例えば、治療薬)、これらの任意の組合せなどが含まれる。これらの非適合性は、濁り、ポリマー分解、粘度低下、これらの任意の組合せなどの望ましくない物理的特性につながり得る。 したがって、カルボキシビニルポリマーを含有し、そして、これらの非適合性の1つまたは複数を回避または低減する医薬ビヒクルおよび/または医薬組成物を提供することが、とりわけ望ましい。 本発明は、医薬組成物を対象とする。該医薬組成物は、典型的にはカルボキシビニルポリマーおよびポビドンポリマーを含有する。該組成物は、典型的にはまた、カルボキシビニルポリマーに対して不安定化効果を有するのが通常である不安定化剤を含むが、その不安定化効果は、典型的には、ポビドンポリマーによって抑制される。不安定化剤は、治療薬を含むことができ、あるいは実質上完全にもしくは完全に治療薬から構成される。好ましい実施形態において、治療薬(例えば、モキシフロキサシン)は、1つまたは複数のアミノ官能基を含み、不安定化効果は、溶解性の欠如、および/または、治療薬とカルボキシビニルポリマーとが複合化して治療薬/カルボキシビニルポリマー複合体を形成することによってもたらされる濁りである。このような実施形態において、ポビドンポリマーは、治療薬/カルボキシビニルポリマー複合体を可溶化するのを助ける。好ましくは、医薬組成物またはその水性医薬ビヒクルは、水性であり、かつ/またはゲルである。水性医薬組成物は、眼用組成物であることができ、好ましくは生理学的に適合性のあるpHを有する。 (発明の詳細な説明) 本発明は、カルボキシビニルポリマーおよびポビドンポリマーを含有する医薬組成物の提供に基づく。該医薬組成物は、また、典型的には、カルボキシビニルポリマーと相互作用して該医薬組成物を不安定化するのが通常である不安定化剤を含む。好都合なことに、ポビドンポリマーは、この不安定化を軽減するように機能を発揮することができる。 医薬組成物は、皮膚、耳、鼻、口もしくは別の部位への「局所もしくはその他の適用」であってもよい、耳、鼻、経口、皮膚もしくはその他への適用などの各種適用に向けて設計することができると考えられる。該薬剤の適用は、眼に対して局所でまたは別の方法(例えば、眼内)で適用可能な眼用組成物としてとりわけ望ましいことが見出された。該組成物は、また、ゲル、とりわけ水性ゲルとして製剤された場合に、極めて望ましいことが見出された。 そうではないことを指摘しない限り、成分濃度は、すべて%(w/v)として記載する。 (カルボキシビニルポリマー) 本発明で有用なカルボキシビニルポリマーは、眼、耳および/または鼻で許容されるのが好ましい。典型的には、このようなカルボキシビニルポリマーは、架橋されたポリマー鎖からなるネットワークを有する。該ポリマーは、カルボン酸官能基を有することを特徴とし、好ましくは、官能基当たりで2〜7個の炭素原子を含む。架橋前に、本発明で有用なカルボキシビニルポリマーは、典型的には、少なくとも約50,000原子質量単位(amu)、より典型的には少なくとも約200,000amu、さらにより典型的には少なくとも約400,000amuのの分子量を有する。その分子量は、典型的には、約6,000,000amu未満、より典型的には約1,000,000amu未満、さらにより典型的には約600,000amu未満である。 好ましいカルボマーまたはカルボキシビニルポリマーは、ポリアルケニルエーテルまたはジビニルグリコールで架橋されたアクリル酸から構成される。該ポリマーは、典型的には、ベンゼンまたは酢酸エチルなどの溶媒中で重合される。酢酸エチルは、溶媒残渣がポリマーと共に残留することができ、かつ酢酸エチルは、いくつかの他の溶媒と比較して、より生体適合性である傾向があり、かつ/または相対的により低い毒性を示すはずなので、本発明にとって一般に好ましい。カルボマーまたはカルボキシビニルポリマーを、アリルスクロースまたはアリルペンタエリスリトールで架橋することができる。 好ましいカルボキシビニルポリマーには、CARBOPOLの商品名でB.F.Goodrich社から入手できる水溶性および水膨潤性のあるカルボマーが含まれる。市販のポリマーであるカルボポール934P、940および974Pが極めて好ましい。本発明の医薬組成物中に存在するカルボキシビニルポリマーの量は、典型的には、少なくとも約0.2%、より典型的には少なくとも約0.5%、さらにより典型的には少なくとも約0.8%である。さらに、本発明の医薬組成物中に存在するカルボキシビニルポリマーの量は、典型的には、約10.0%未満、より典型的には約4.0%未満、さらにより典型的には約1.2%未満である。 (ポビドンポリマー) 本明細書中で使用する場合、ポビドンポリマーは、2つまたはそれ以上のN−ビニルピロリドンモノマーから調製される水溶性ポリマーを意味すると解釈される。本発明に使用されるポビドンポリマーは、やはり、眼、耳および/または鼻で許容できるポリマーであることが好ましい。ポビドンポリマーは、複数の異なるポリビニルピロリドンポリマーの混合物であることができ、それらのポリマーは、コポリマー、ホモポリマー、さもなければこれらの組合せであることができる。しかし、好ましい一実施形態において、そうではないことを特に言明しない限り必須ではないが、ポビドンポリマーは、その少なくとも80重量%、より典型的には少なくとも90重量%、さらにより典型的には少なくとも95重量%がビニルピロリドンのホモポリマーである。このような実施形態において、より少量のポビドンポリマーを使用して所望の安定性を達成できる可能性がある。別の好ましい実施形態において、ポビドンコポリマーが、ポビドンポリマーの部分または全体として使用される。このような実施形態において、特に、該コポリマー中の非ポビドン系モノマーが疎水性であるポビドンコポリマーは、医薬組成物中の治療薬を可溶化するのを助けることができる。非ポビドン系疎水性モノマーとの適切なコポリマーの一例が、ビニルピロリドン/酢酸ビニル(VP/VA)である。したがって、ポビドンポリマーは、特に、ポビドンポリマーが酢酸ビニルなどの疎水性モノマーを含む場合、ポビドンコポリマーの少なくとも30重量%、少なくとも50重量%、さらに少なくとも90重量%であることが考えられる。 ポビドンポリマーは、好ましくは、少なくとも約2,000、より詳細には少なくとも約15,000、さらにより典型的には少なくとも約30,000である平均分子量を有する。ポビドンポリマーの平均分子量は、また、典型的には、約400,000未満、より典型的には約80,000未満、さらにより典型的には約50,000未満である。好ましいポビドンポリマーは、PVP K60〜PVP K15(例えば、PVP K30、PVP K25、PVP K15)、またはさらに詳細にはPVP K40〜PVP K20などのポリビニルピロリドンから構成される。とりわけ好ましいポビドンポリマーの例は、POVIDONE29/32(ISP Technologies、Wayne、ニュージャージー州、米国から市販)、およびKOLLIDON30(BASF社、Ludwigshafen、ドイツから市販)の商品名で販売されている。医薬組成物中に存在するポビドンポリマーの量は、典型的には少なくとも約0.4%、より典型的には少なくとも約1.0%、さらにより典型的には少なくとも約1.3%である。さらに、本発明の医薬組成物中に存在するポビドンポリマーの量は、典型的には約8.0%未満、より典型的には約3.0%未満、さらにより典型的には約1.7%未満である。 (不安定化剤) 本明細書中で使用する場合、不安定化剤には、ポビドンポリマーの不在下でカルボキシビニルポリマーの不安定状態(例えば、粘度低下、濁りなど)をもたらすのが通常である任意の成分または成分群が含まれる。ポビドンポリマーは、不安定化剤の存在下でカルボキシビニルポリマーを安定化する様々な度合いの有効性を全ての医薬組成物に応じて有することができると理解されたい。 一般に、不安定化剤としては、特に、医薬組成物が眼科用の水性液剤および/またはゲルである場合に、該医薬組成物内で負または正の電荷を提供する帯電したまたはイオン性の原子または分子を挙げることができる。このような電荷またはイオン性は、通常、カルボキシビニルポリマーの膨潤を妨害するように作用することができ、ポビドンポリマーは、典型的には、このような妨害を停止または少なくとも抑制するように機能を発揮することができる。不安定化剤の部分または全体であることのできる成分の例が、限定はされないが、高濃度電解質、カチオン性ポリマー、フェノール、強酸、強塩基、アミノ官能性活性成分、これらの組合せなどである。 不安定化剤は、多様な各種成分の単独または組合せのどちらかから構成できると考えられるが、不安定化剤は、部分的に、全体的にまたは実質上全体的に治療薬から構成されることが好ましい。このような治療薬は、典型的には、医薬組成物(例えば、溶液および/またはゲル)中でイオン性であるか、あるいは帯電している。さらに、このような治療薬は、カルボキシビニルポリマーと相互作用し、該ポリマーの不安定状態をもたらすことのできるアミノ官能基などの官能基を有することができる。治療薬中の官能基は、医薬組成物内で帯電しているか、あるいはイオン性であってもよいし、そうでなくてもよいと解される。さらに、治療薬は、1つまたは複数の考察した特性を有する1種の薬剤または異なる複数の薬剤を含むことができると解される。 不安定化剤の部分であってもよい好ましい治療薬の例には、限定はされないが、アミノグリコシド系抗生物質(例えば、トブラマイシン)、リゼルグ酸アミド(例えば、カベルゴリン)などが含まれる。治療薬は、不安定化剤の部分であってもよい1種または複数のキノロン類(例えば、フルオロキノロン類)を含むことができる。好ましい実施形態において、治療薬は、カルボキシビニルポリマーと非水溶性複合体を形成するまたは形成するのが通常である1つまたは複数のアミノ官能基を含む。1つまたは複数のアミノ官能基を有するこのような治療薬は、キノロンまたは別の薬剤であることができる。都合のよいことに、ポビドンポリマーは、このような複合体の形成を制限または防止できるか、あるいは少なくとも、治療薬、カルボキシビニルポリマーまたはその双方の水もしくはより詳しくは水性ゲルへの溶解性を調節(すなわち、高める)ことができる。少なくとも1つのアミノ官能基を含むフルオロキノロンの1つの好ましい例が、モキシフロキサシンである。適切である可能性のあるその他のキノロン類(例えば、フルオロキノロン類)には、限定はされないが、シプロフロキサシン、レボフロキサシン、トロバフロキサシン、エノキサシン、ガレノキサシン、ガチフロキサシン、ゲルミフロキサシン、グレパフロキサシン、ロメフロキサシン、ノルフロキサシン、オフロキサシン、ペフロキサシン、プルリフロキサシン、ルフロキサシン、シタフロキサシン、スパルフロキサシン、テマフロキサシン、シノキサシン、フルメキン、ナリジクス酸、オキソリン酸、ピペミド酸(permidicacid)、ピロミド酸、ロソキサシン、これらの組合せなどが含まれる。好ましい実施形態において、治療薬は、特にそのキノロンが、任意の1種(例えば、モキシフロキサシン)または前記キノロン類の組合せである場合には、その少なくとも90重量%または全部がキノロンまたはフルオロキノロンである。 不安定化剤中に1種または複数の治療薬を含めることができると同時に、医薬組成物中にカルボキシビニルポリマーに対して不安定化効果をほとんどまたはまったく有さない治療薬を含めることも可能であることを理解されたい。このような治療薬の例には、限定はされないが、ネパフェナクおよびデキサメタゾンが含まれる。 治療薬は、不安定化剤の少なくとも30重量%、少なくとも80重量%、さらには少なくとも90重量%を占めることができる。治療薬は、また、不安定化剤の全部または実質的に全部を占めることができる。薬剤を含める場合、治療薬を含む不安定化剤の量は、使用する薬剤の類型または類型群に応じて広範に異なることができる。典型的には、不安定化剤は、医薬組成物の少なくとも0.000001w/v%(重量/容積パーセント)、より典型的には少なくとも0.00001w/v%、さらに可能性としては少なくとも0.0001w/v%を占める。治療薬は、また、医薬組成物の典型的には10w/v%(重量/容積パーセント)未満、より典型的には1w/v%未満、さらに可能性としては0.01w/v%未満を占める。 本発明の組成物(例えば、ゲル)は、抗菌薬を含むことができる。可能性のある抗菌薬には、限定はされないが、過酸化水素、塩化ベンザルコニウムなどの塩素含有保存剤が含まれる。しかし、好ましい態様によれば、本発明の医薬組成物は、いかなる塩化物含有保存剤もまったくまたは実質上含有せず、特に塩化ベンザルコニウムをまったくまたは実質上含有しない。 医薬組成物の成分について言及する場合の句「実質上含有しない」は、本明細書中で使用する場合、該医薬組成物が、その特定の成分を完全に欠くか、あるいは、その特定成分を含んでいてもほんのわずかな量であると考えられることを意味する。 さらに、用語「実質的に」およびその派生語「実質上」などは、それらの用語が用語「全部の」またはその派生語「全体的に」などを修飾する場合、全部を、またはわずかな量の特定成分を除く全部について説明していると考えられることを意味する。 使用するなら、最も好ましい抗菌薬は、ポリマー性の第四級アンモニウム化合物である。本発明の組成物中で有用なポリマー性第四級アンモニウム化合物は、抗菌効果を有し、眼科的に許容できる化合物である。この種の好ましい化合物は、米国特許第3931319号、4027020号、4407791号、4525346号、4836986号、5037647号および5300287号、ならびにPCT出願国際公開第91/09523号(Dziaboら)中に記載されている。最も好ましいポリマー性アンモニウム化合物は、POLYQUAD.RTMまたはONAMERM.RTMとしても公知の、2,000〜30,000の数平均分子量を有するポリコータニウム1である。好ましくは、数平均分子量は、3,000〜14,000である。 使用する場合、ポリマー性第四級アンモニウム化合物は、本発明の組成物中で、懸濁液の約0.00001w/v%を超える、より典型的には約0.0003w/v%を超える、さらにより典型的には約0.0007w/v%を超える量で使用できる。また、使用する場合、ポリマー性第四級アンモニウム化合物は、医薬組成物の約3w/v%未満、より典型的には約0.003w/v%未満、さらにより典型的には約0.0015w/v%未満を占めることができる。 本発明の医薬組成物は、そうではないことを特に言及しない限り必須ではないが、付加的または代替的に、ボレート/ポリオール複合体系などの抗菌系を含むことができる。本明細書中で使用する場合、用語「ボレート」は、ホウ酸、ホウ酸の塩、ホウ酸エステル誘導体およびその他の薬学上許容されるホウ酸エステル、またはこれらの組合せを指すものとする。最も適しているのは、ホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、ホウ酸マンガン、およびその他のこのようなホウ酸塩である。ボレートは、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、およびマンニトールなどのポリオールと相互作用してボレートポリオール複合体を形成する。このような複合体の種類および比率は、ポリオール中の互いにトランス配置ではない隣接炭素原子上のOH基の数によって決まる。成分であるポリオールおよびボレートの重量/容積パーセンテージは、複合体の部分としてであろうとなかろうと、それらの量を含んでいると理解されたい。 本明細書中で使用する場合、用語「ポリオール」は、互いにトランス配置ではない2つの隣接炭素原子の各々上に少なくとも1つのヒドロキシル基を有する任意の化合物を包含する。該ポリオールは、生じる複合体が水溶性であり、かつ薬学上許容される限り、線状または環状、置換または非置換、あるいはこれらの混合であることができる。このような化合物の例には、糖、糖アルコール、糖酸、およびウロン酸が含まれる。好ましいポリオールは糖類、糖アルコールおよび糖酸、例えば、限定はされないが、マンニトール、グリセリン、キシリトール、ソルビトール、およびプロピレングリコールである。 使用する場合、ボレート/ポリオール複合体の抗菌系(すなわち、ボレートおよびポリオールを合わせた)は、典型的には、該医薬組成物の少なくとも0.05w/v%、より典型的には少なくとも0.5w/v%、さらに可能性としては少なくとも1w/v%、さらには少なくとも1.2w/v%を構成し、また、典型的には、該医薬組成物の5w/v%未満、より典型的には2.2w/v%未満、さらに可能性としては1.5w/v%未満を構成する。懸濁液中でのボレート対ポリオールの比率(重量/重量比)は、典型的には1対1〜1対10、より典型的には1対2〜1対4(例えば約1〜3)である。 前記成分に加えて、付加的または代替的な各種成分を、本発明の医薬組成物中で使用できると考えられる。その他の付加的な治療薬、抗菌薬などを懸濁液中に含めることができる。組成物に対して考え得るその他の例示的成分には、限定はされないが、界面活性剤、等張化剤(例えば、NaCl)、緩衝剤、抗酸化剤、粘度修正剤、これらの組合せなどが含まれる。 本明細書に記載の成分は、眼、耳、鼻および皮膚用組成物などの各種医薬組成物を形成するのに使用できるが、ゲルを形成するのに特に有用である。このような組成物の例には、緑内障、ドライアイ、感染症、湿性および/または乾性黄斑変性症、結膜炎、アレルギーまたは炎症の治療で使用される局所用ゲルなどの眼科用医薬ゲル;洗浄用製品およびコンタクトレンズ着用者の眼の快適性を高めるための製品など、コンタクトレンズを処理するためのゲル;および眼潤滑用製品、人工涙、収斂剤など、その他各種の眼科用ゲル、等々が含まれる。該ゲルは、水性または非水性でよいが、一般には水性である。このようなゲルは、23℃で、典型的には少なくとも約250、さらにより典型的には少なくとも約400mPa・sの粘度を有する。 本発明の組成物は、典型的には、該組成物(例えば、ゲル)で治療される予定の眼および/またはその他の組織と適合性のあるように製剤される。眼への直接適用を意図した眼科用組成物は、眼と適合性のあるpHおよび張性を有するように製剤される。 組成物は、典型的には4〜9、好ましくは5.5〜8.5、最も好ましくは5.5〜8.0の範囲のpHを有する。特に好ましいpH範囲は、6.0〜7.8、より具体的には6.4〜7.2である。組成物は、典型的には200〜400または450ミリオスモル/キログラム(mOsm/kg)、より好ましくは240〜360mOsm/kgの重量オスモル濃度を有する。 示唆されるように、医薬組成物は、眼、耳または鼻に局所で適用できる、眼、耳または鼻用組成物であることができる。該組成物は、例えば針を用いて硝子体内にも適用できる。そうではないことを具体的に言明しない限り、該組成物のその他の適用も、本発明の範囲に包含されると考えられる。 好都合なことに、本発明の組成物中でカルボマーを安定化するためにポビドンポリマーを使用すると、本発明の組成物、特に水性組成物において濁りの有意な低下および/または粘度の有意な増加を提供することができる。したがって、本発明の医薬組成物の濁度は、該医薬組成物中のポビドンポリマーを精製水で代替したことを除いて厳密に該医薬組成物と同じ成分を有する比較組成物の濁度に比べて、少なくとも5NTU、より典型的には少なくとも10NTU、さらに可能性としては少なくとも20NTU小さいと考えられる。また、本発明の医薬組成物の粘度は、該医薬組成物中のポビドンポリマーを精製水で代替したことを除いて厳密に該医薬組成物と同じ成分を有する比較組成物の粘度に比べて、少なくとも10センチポアズ、より典型的には少なくとも100センチポアズ、さらにより典型的には少なくとも2000センチポアズ、さらに可能性としては少なくとも5000、さらには20,000センチポアズ大きいと考えられる。 出願人らは、引用したすべての参考文献のすべての内容を具体的に本開示に組み込む。さらに、量、濃度、またはその他の値もしくはパラメーターが、範囲、好ましい範囲、または好ましい高い方の値および好ましい低い方の値のリストとして与えられる場合、これは、範囲が別個に開示されているかどうかにかかわらず、任意の高い方の範囲限界または好ましい値と任意の低い方の範囲限界または好ましい値とからなる任意の対から構成されるすべての範囲を具体的に開示していると理解されるべきである。本明細書中で数値範囲を列挙する場合、そうではないことを言明しない限り、該範囲は、その終点、および該範囲内のすべての整数および分数を含むと解釈される。本発明の範囲は、範囲を定義する場合に列挙される特定値に限定されると解釈されない。 本明細書を熟考すること、および本明細書に開示の本発明を実施することから、本発明のその他の実施形態も当業者にとって明らかであろう。本明細書および実施例は、単なる例示と見なされ、本発明の本質的な範囲および精神は、後の特許請求の範囲およびその相当物によって示されると解釈される。 (実施例および実験結果) 以下の表Aに、本発明の眼用組成物の典型的な好ましい製剤に適した典型的成分、およびそれらの成分の望ましい重量/容積パーセンテージの一覧を提供する。 表A中の重量/容積パーセントは、それらの重量/容積パーセントの±10%、±20%、±30%、±90%、またはそれ以上まで変動することができ、それらの変動を具体的に利用して、本発明の成分に対する犯意を創り出すことができると解される。例えば、ある成分の重量/容積パーセントが、±20%の変動を伴う10%であるなら、該成分は、8〜12w/v%の重量/容積パーセント範囲を有することができることを意味する。 以下の表Bは、カルボマーを含む水性溶液に対するポビドンの効果を示す。 表からわかるように、ポビドンは、製剤の濁りを有意に低下させることができる。 カルボキシビニルポリマーおよびポビドンポリマー、ならびに該カルボキシビニルポリマーに対して不安定化効果を有するのが通常である不安定化剤を含有し、該ポビドンポリマーが該不安定化効果を低下させる、医薬組成物。 前記不安定化剤が治療薬を含み、かつ前記カルボキシビニルポリマーおよびポビドンポリマーが、前記治療薬のための医薬ビヒクルの一部である、請求項1に記載の医薬組成物。 前記治療薬がモキシフロキサシンを含む、請求項2に記載の医薬組成物。 前記治療薬が1つまたは複数のアミノ官能基を含み、不安定化効果が、前記治療薬と前記カルボキシビニルポリマーとが複合化して治療薬/カルボキシビニルポリマー複合体を形成することによってもたらされる溶解性の欠如であり、前記ポビドンポリマーが、前記治療薬/カルボキシビニルポリマー複合体を可溶化するのを助ける、請求項2または3のいずれか一項に記載の医薬組成物。 前記医薬組成物またはその医薬ビヒクルが、ゲルである、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。 前記医薬組成物が水を含み、かつ生理学的適合性のあるpHを有する眼用組成物である、請求項1から5のいずれか一項に記載の医薬組成物。 前記組成物の液滴を局所適用に適した方法で眼に向かって放出する容器に収容される、請求項1から6のいずれか一項に記載の医薬組成物。 前記不安定化効果が、さもなければ前記カルボキシビニルポリマーによって付与される粘度低下である、前述の請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物。 前記不安定化効果が、前記安定化剤と前記カルボキシビニルポリマーとの相互作用によってもたらされる濁りである、前述の請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物。 前記医薬組成物の前記ポビドンポリマーを精製水で代替したことを除いて厳密に前記医薬組成物と同一成分を有する比較組成物の濁度に比べて、少なくとも10NTU小さい濁度を示す、前述の請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物。 前記医薬組成物の前記ポビドンポリマーを精製水で代替したことを除いて厳密に前記医薬組成物と同一成分を有する比較組成物の粘度に比べて、少なくとも2000センチポアズ大きい粘度を有する、前述の請求項のいずれか一項に記載の医薬組成物。 本発明は、眼用ゲルなどの医薬組成物を対象とする。該組成物は、典型的にはカルボキシビニルポリマーを含有する。カルボキシビニルポリマーは、水性ゲルを形成するのにとりわけ望ましい。カルボキシビニルポリマーを水に分散させると、それは、濁ったゲルを形成することが多い。そこで、典型的にはポビドンポリマーを含有させて薬剤または成分(例えば、治療薬)に対抗してカルボキシビニルポリマーを安定化する。そうしなければ、それらの薬剤または成分は、カルボキシビニルポリマーに不安定状態をもたらし得る。


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