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タイトル:公表特許公報(A)_溶解したモノマーアクリル酸、マイケル付加によって得られたアクリル酸オリゴマー、およびアクリル酸ポリマーを含有する液体に熱を伝達するための方法
出願番号:2011506665
年次:2011
IPC分類:C07C 51/44,C07C 57/07


特許情報キャッシュ

ティル ブルーム ペーター ツロウスキー シュテフェン リッセル ズィルケ ハレムザ トルステン フリーゼ ウルリッヒ イェーガー フォルカー シュリープハーケ クラウス ヨアヒム ミュラー−エンゲル ベルント ルンプフ JP 2011518855 公表特許公報(A) 20110630 2011506665 20090427 溶解したモノマーアクリル酸、マイケル付加によって得られたアクリル酸オリゴマー、およびアクリル酸ポリマーを含有する液体に熱を伝達するための方法 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア 508020155 BASF SE 久野 琢也 100099483 矢野 敏雄 100061815 高橋 佳大 100112793 星 公弘 100128679 二宮 浩康 100135633 篠 良一 100156812 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 100114890 ティル ブルーム ペーター ツロウスキー シュテフェン リッセル ズィルケ ハレムザ トルステン フリーゼ ウルリッヒ イェーガー フォルカー シュリープハーケ クラウス ヨアヒム ミュラー−エンゲル ベルント ルンプフ DE 102008001435.4 20080428 US 61/048,334 20080428 C07C 51/44 20060101AFI20110603BHJP C07C 57/07 20060101ALI20110603BHJP JPC07C51/44C07C57/07 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW EP2009055014 20090427 WO2009133042 20091105 35 20101227 4H006 4H006AA02 4H006AD11 4H006BC51 4H006BS10 本発明は、間接熱交換器を利用して、溶解したモノマーアクリル酸、マイケルアクリル酸オリゴマー、およびアクリル酸ポリマーを含む液体Fに熱を伝達するための方法に関し、この間接熱交換器は、少なくとも1つの第1の空間と、この少なくとも1つの第1の空間と物理的な隔壁Dで隔てられた少なくとも1つの第2の空間とを有し、この間接熱交換器内で、液体Fは少なくとも1つの第2の空間を貫流し、同時に少なくとも1つの第1の空間を流体熱媒体Wが貫流し、このとき液体Fは、温度TF≧150℃で少なくとも1つの第2の空間に流入し、流体熱媒体Wは、温度TW>TFで少なくとも1つの第1の空間に流入する。物理的な隔壁Dは、少なくとも1つの第1の空間から、少なくとも1つの第2の空間内へ熱を伝達する面としての役割を果たす。 アクリル酸は、例えば、ポリマー分散液(適切な場合には、アルカノールによるエステルの形態で)およびの超吸水ポリマー製造に利用できる、重要な中間体である。 アクリル酸は、とりわけ、固体状態で存在する触媒上の分子状酸素を用いた、高温でのアクリル酸のC3前駆体化合物(この用語は、より具体的には、形式的にはアクリル酸の還元によって得られる化合物を包含するものとする。既知のアクリル酸のC3前駆体は、例えばプロパン、プロペン、アクロレイン、プロピオンアルデヒド、およびプロピオン酸である。ただしこの用語は、前述の化合物の前駆体化合物、例えばグリセロールも含むものとする(グリセロールから出発して、例えば気相における不均一系触媒による酸化的脱水によって、アクリル酸を得ることができる)。例えば、欧州特許公開公報第1 710 227号、国際公開第06/114506号、および国際公開第06/092272号参照。))の不均一系触媒による気相部分酸化によって得ることができる(例えば、ドイツ特許出願第102007055086.5号およびドイツ特許出願第102006062258.8号参照)。 触媒による気相部分酸化の過程で進行する数々の併発反応および後続反応により、また部分酸化の過程で同様に使用しなければならない不活性希釈ガスにより、触媒による気相部分酸化では、純粋なアクリル酸ではなく、本質的にアクリル酸と、不活性希釈ガスと、副生成物とを含む反応ガス混合物(生成物ガス混合物)が得られ、ここからアクリル酸を除去しなければならない。 典型的には、この反応ガス混合物からアクリル酸を除去する1つの方法は、まず吸収手段および/または凝縮手段を用いて、アクリル酸を気相から凝縮相(液相)に変換することである。続いて、典型的には、抽出、蒸留、および/または結晶化の工程によって、そのようにして得た液相からさらにアクリル酸を除去する。 あるいは、例えばアセチレン(例えばReppe法)またはエチレン(オキシカルボニル化)から開始する不均一系触媒による方法によって、アクリル酸を製造することもできる。得られた反応混合物からアクリル酸を除去するためには、上記の方法を同様に適用できる。 前述の分離工程において、一般にいわゆる底液も得られるが、これには特に標準圧力(1atm)での沸点がアクリル酸の沸点を上回る成分が含まれる。このようなアクリル酸よりも高い沸点を有する成分は、例えば、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、および/または前述のカルボン酸の無水物であり、これらは一般に気相部分酸化の過程で、副生成物として形成される。さらに、これらの高沸点物質には、重合抑制剤、例えばフェノチアジン(PTZ)、ハイドロキノンのモノメチルエーテル(MEHQ)、および例えばそれらの熱分解生成物および/または酸化分解生成物が含まれる。しかしながら、アクリル酸を除去する過程で形成されるだけの変換生成物も前述の高沸点物質の一部を形成する。これらの変換生成物には、特にアクリル酸のフリーラジカルポリマーが含まれるが、これらは重合抑制剤の存在および付加的使用にも関わらず、望ましくない形で形成する。このようなアクリル酸のフリーラジカルポリマーは、本明細書において、「アクリル酸ポリマー」という用語に包含されるものとする。このように形成されたアクリル酸ポリマーのポリマー鎖は、多くの場合、互いに架橋されている。 また、アクリル酸よりも高い沸点を有する底液の成分には、部分酸化の生成物ガス混合物のさまざまな成分の縮合反応によって形成される、比較的高分子量の化合物も含まれる。これらには、とりわけマイケル付加物が含まれるが、これはアクリル酸のそれ自体との、また形成するアクリル酸ダイマーとの(「マイケルアクリル酸ダイマー」または「マイケルジアクリル酸」)、または(一般的に)アクリル酸オリゴマーとの(本明細書における「マイケルアクリル酸オリゴマー」という用語は、常に相当するマイケル付加物を意味し、フリーラジカル重合によって形成するアクリル酸オリゴマーを意味するものではない。後者は、本明細書に既出の「アクリル酸ポリマー」という用語に包含される)、可逆的マイケル付加の結果として液相中に形成される。しかしながら、モノマーアクリル酸自体は、通常は依然としてそのような底液の成分であり、かなり高い程度で含まれる可能性がある。 上述の底液中に依然として含まれるアクリル酸を極めて実質的に回収することはしばしば目的とされるが、これはそれによって、全般的に気相部分酸化の生成物ガス混合物からアクリル酸を除去するために用いられる方法のアクリル酸収率を増加させるためである。 このために、通常は、間接熱交換器を利用して底液の温度を上昇させ、この上昇した温度の底液を分離内部構造を有する分離カラム(この中で底液が別のアクリル酸を含む気体混合物および/または液体混合物の熱分離の過程で形成され、またここから底液が取り出された)に戻して再循環させる(したがって、間接熱交換器は、たびたび循環熱交換器とも称される)。この中で、その後、熱作用によってマイケルアクリル酸オリゴマーから再形成されたモノマーアクリル酸、または最初から底液中に含まれていたモノマーアクリル酸を、アクリル酸の蒸発によって除去する。一般的に、取り出し位置と再循環位置とは、互いに間隔があけられる。 上述の手順の問題は、通常、温度上昇の作用が、望ましくない形で、アクリル酸の望ましくないフリーラジカル重合に対する促進作用と、望ましくないマイケル付加に対する促進作用との双方を有することである。このことが特に当てはまるのは、間接熱交換器を通される底液が、温度が上昇した間接熱交換器の熱交換面(これは、間接熱交換器の第1の空間と第2の空間とを互いに隔てる間接熱交換器の物理的な隔壁である。加熱すべき液体が第2の空間を貫流している間に、高温の流体熱媒体は、通常は同時に第1の空間を貫流し、その含熱量の一部を隔壁を介して第2の空間内を流れる加熱すべき液体に対して放出する)と接触している期間である。 結果として、特に、第2の空間に面する物理的な隔壁であって、第1の空間と第2の空間とを互いに隔てる物理的な隔壁の面には、一般に望ましくない堆積物が形成される。これは、いくつかの特性のうちでも特に熱伝達を妨げ、間接熱交換器の性能を低下させる。同時に、圧力降下の増加がもたらされる。その結果、堆積物を除去するために、時々工程を中断しなければならない。しかしながら、たとえこのようにして熱交換器の性能を修復することが可能であっても、形成した堆積物は、フリーラジカル重合し、そのためもはや回収が不可能なアクリル酸を含み、これによりこの方法のアクリル酸収率が減少する。 社内研究において、上述の問題が特に深刻であることが認められたのは、間接熱交換器によって加熱すべき底液が、熱交換器の少なくとも1つの第2の空間内に入るときに、以下の含有量:5〜50質量%のマイケルアクリル酸オリゴマーと、少なくとも40質量%のアクリル酸ポリマーと、最大25質量%のモノマーアクリル酸と、最大2質量%の重合抑制剤と、最大15質量%のその他の化合物と、を有する、溶解したモノマーアクリル酸、マイケルアクリル酸オリゴマー、およびアクリル酸ポリマーを含む液体Fである場合である。 欧州特許公開公報第854 129号は、上述のファウリングを軽減するために、アクリル酸を含む液体の場合、その加熱に強制循環式フラッシュ蒸発器を義務的に使用するよう推奨している。 言い換えると、これは間接熱交換器の第2の空間を通して、加熱すべき液体をポンプを用いて強制的に運搬することにより、第2の空間がこの液体で完全に充填され、適当な圧力条件によって、第2の空間を貫流する液体中の気泡形成が抑制される間接熱交換器である。加熱された液体は、一般に、圧力値を下げるスロットル装置を介して強制循環式フラッシュ蒸発器から離れ、この値で熱交換器外部で気泡または蒸気泡を形成させることができる。 しかしながら、強制循環式フラッシュ蒸発器の使用は、液体Fの場合には完全に満足なものではない。これは特に、温度TF≧130℃から開始して、強制循環式フラッシュ蒸発器を用いて、液体Fをより高い温度値にする場合に当てはまる。また、130℃を下回る温度を用いて液体Fからアクリル酸を除去することも、ファウリングを軽減するという見地で、目的に合うとは認めらなかった。これは、この目的に合うように熱交換器の熱交換面積を増加させて、第1の空間を貫流する流体熱媒体の低い温度に対処した場合でさえ当てはまる。 概説した開始状況を踏まえ、間接熱交換器における液体Fの加熱の過程で、まずアクリル酸ポリマーの形成を減少させ、続いておよび同時に、モノマーアクリル酸の回収を増加させることを可能にする、液体Fを加熱するための改善された方法を提供することが、本発明の目的であった。 したがって、溶解したモノマーアクリル酸、マイケルアクリル酸オリゴマー、およびアクリル酸を含む液体Fに、間接熱交換器を利用して熱を伝達するための方法であって、前記間接熱交換器は、少なくとも1つの第1の空間と、前記少なくとも1つの第1の空間と物理的な隔壁Dで隔てられた少なくとも1つの第2の空間とを有し、前記間接熱交換器内で、前記液体Fが前記少なくとも1つの第2の空間を貫流し、同時に前記少なくとも1つの第1の空間を流体熱媒体Wが貫流し、このとき前記液体Fは、温度TF≧130℃で前記少なくとも1つの第2の空間に流入し、前記流体熱媒体Wは、温度TW>TFで前記少なくとも1つの第1の空間に流入し、a)前記液体Fは、前記少なくとも1つの第2の空間に入るとき、 5〜50質量%のマイケルアクリル酸オリゴマーと、 少なくとも40質量%のアクリル酸ポリマーと、 最大25質量%のモノマーアクリル酸と、 最大2質量%の重合抑制剤と、 最大15質量%のその他の化合物(前述の化合物以外)と、を含み、b)前記少なくとも1つの第2の空間を貫流する液体F中に、前記少なくとも1つの第2の空間を貫流している間に、気泡および/または気相と接する前記液体Fの薄層の形成がもたらされる方法が提供される。 特記しない限り、本明細書において、「液体F」という言い回しは、常に、間接熱交換器の少なくとも1つの第2の空間に入るときの液体Fを意味する。 液体F中のマイケルアクリル酸オリゴマーは、液体Fに含まれるマイケルアクリル酸オリゴマーの総量Gに対して、一般に主にマイケルアクリル酸ダイマーからなる(一般的に、総量Gに対するそれらの質量比は、40〜60質量%である)。マイケルアクリル酸トリマーは、典型的には、総量Gに対する質量比が15〜30質量%である。縮合した形態で4個または5個のアクリル酸分子を有するマイケルアクリル酸オリゴマーの総量Gに対する質量比は、通常はそれぞれ約5〜20質量%である。さらに高級のマイケルアクリル酸オリゴマーの形成の可能性は、一般に、縮合してそれらを形成するアクリル酸分子の数とともに低下する。5個を上回るアクリル酸分子を含むマイケルアクリル酸オリゴマーの上記と同様の総量Gに対する質量比は、したがって典型的には、それぞれ5質量%未満であり、それぞれ1質量%未満となることも多い。さまざまなマイケルアクリル酸オリゴマーが占める質量比の実験的測定は、例えばHPLC(高圧液体クロマトグラフィー)によって実施することができる。本発明による方法が特に適している液体F中のマイケルアクリル酸オリゴマーの含有量は、15〜35質量%であってよいが、25〜30質量%であってもよい。 本発明によって処理される液体F中に含まれるアクリル酸ポリマーの数平均分子量(水素原子の質量の倍数として表わされる)は、通常は≧500であり、たびたび≧750であり、多くの場合≧1000である。しかしながら、一般的にこれは≦106となり、たびたび≦750,000となり、しばしば≦100,000となる。多くの場合、前述の数平均分子量は、50,000〜150,000の範囲となる。前述の分子量データは、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)を用いた測定に基づく。 アクリル酸ポリマーは、個々の架橋されていない線状ポリマー鎖か、あるいはより短い高度に架橋されたポリマー鎖のいずれかからなってよいが、前述の異なる2種の混合物であってもよい。本発明による方法が特に適している液体Fは、アクリル酸ポリマーを40〜80質量%含んでよいが、50〜70質量%含んでいてもよい。 本発明によって処理される液体F中に含まれる有用な重合抑制剤は、原則として、液相中に含まれるアクリル酸のフリーラジカル重合を阻害する目的で従来技術において推奨されている全ての重合抑制剤であってよい。そのような重合抑制剤群には、例えば、アルキルフェノール類、例えばo−、m−、もしくはp−クレゾール(メチルフェノール)、2−tert−ブチル−4−メチルフェノール、6−tert−ブチル−2,4−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−tert−ブチルフェノール、4−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−メチル−4−tert−ブチルフェノール、4−tert−ブチル−2,6−ジメチルフェノール、または2,2’−メチレンビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、ヒドロキシフェノール類、例えばハイドロキノン、2−メチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、ピロカテコール(1,2−ジヒドロキシベンゼン)、またはベンゾキノン、アミノフェノール類、例えばパラ−アミノフェノール、メトキシフェノール(グアヤコール、ピロカテコールモノメチルエーテル)、2−エトキシフェノール、2−イソプロポキシフェノール、4−メトキシフェノール(ハイドロキノンモノメチルエーテル)、モノ−もしくは−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、トコフェロール類、例えばo−トコフェロール、および2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−7−ヒドロキシベンゾフラン(2,2−ジメチル−7−ヒドロキシクマラン)、N−オキシル類、例えばヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4,4’,4’’−トリス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル)ホスファイト、または3−オキソ−2,2,5,5−テトラメチルピロリドン−N−オキシル、芳香族アミン類、またはフェニレンジアミン類、例えばN,N−ジフェニルアミン、N−ニトロソジフェニルアミン、およびN,N’−ジアルキル−パラ−フェニレンジアミン(アルキル基は、同じでもまたは異なってもよく、それぞれ独立して1〜4個の炭素原子からなり、直鎖状でも分岐状でもよい)、ヒドロキシルアミン類、例えばN,N−ジエチルヒドロキシルアミン、リン化合物類、例えばトリフェニルホスフィン、トリフェニルホスファイト、次亜リン酸、またはトリエチルホスファイト、硫黄化合物類、例えばジフェニルスルフィド、またはフェノチアジンが含まれ、適切な場合には、金属塩、例えば銅、マンガン、セリウム、ニッケル、またはクロムの塩化物、ジチオカルバミン酸塩、硫酸塩、サリチル酸塩、または酢酸塩と組み合わせる。 また、有用な抑制剤には、熱および/または酸化剤の作用によって前述の化合物から形成された変換生成物も含まれる。 上述の全ての重合抑制剤のさまざまな混合物を使用することも可能であることは理解されるであろう。好ましくは、本発明によって処理される液体Fは、フェノチアジンおよび/またはハイドロキノンモノメチルエーテルを重合抑制剤として含む。 一般に、液体Fは、その質量に対して、少なくとも10質量ppm、たびたび少なくとも50質量ppm、多くの場合少なくとも150質量ppmの重合抑制剤を含む。本発明による方法は、その質量に対する重合抑制剤含有量が≦1質量%、または≦0.5質量%の液体Fの場合に特に適切である。 本発明によって処理される液体F中のモノマーアクリル酸含有量は、一般に≧5質量%(液体Fの質量に対して)である。本発明による方法は、モノマーアクリル酸含有量が≧5〜≦20質量%、または≧10〜≦20質量%の液体Fの場合に特に適切である。 本発明によって処理される液体F中に含まれるその他の化合物は、主として、標準圧力でアクリル酸よりも高い沸点を有する化合物である。これらには、とりわけ、フマル酸、マレイン酸、およびフタル酸、ならびにこれらの無水物が含まれる。概して、アクリル酸よりも高い沸点を有する前述のカルボン酸および/またはカルボン酸無水物の総量は、液体Fの総量に対して、一般に≦10質量%であり、通常は≦5質量%であるが、たびたび≧1質量%、または≧2質量%である。 しかしながら、本発明による方法を実施するとき、液体Fがその他の化合物として、その存在がファウリングの形成を軽減する添加作用化合物も含んでよいことは理解されるであろう。有用なそのような作用化合物には、例えば、欧州特許公開公報第1062197号により推奨されているような、界面活性剤が含まれる。同様に、米国特許第3,271,296号は、分散作用があるとされる、プロピレンジアミンとアルキル−アルケニル置換コハク酸のカルボン酸との反応生成物の添加を推奨している(例えば、Komad(商標登録) 313、Mol社(ハンガリー))。英国特許第922 831号は、同様に適切な作用化合物を開示している。 また、本発明の目的で液体Fに添加するために有用なこのような作用化合物には、ドイツ特許出願第102006062258.8において推奨されている、窒素を含む化合物(例えば、第3級アミン、第3級アミンから形成された塩、およびブロンステッド酸、および/または第4級アンモニウム化合物)も含まれる。特に有利には、液体F中に含まれる有用なこのような添加作用化合物は、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−プロパンジアミン、およびペンタメチルジエチレントリアミンである。このような作用化合物の使用量は、液体Fの質量に対して、応用の観点で適切には、0.5〜1質量%である。しかしながら、原則として、液体Fの質量に対する使用量0.1〜10質量%も可能である。当然ながら、本発明によって処理される液体Fは、マイケルアクリル酸オリゴマーの再解離のための添加触媒として、国際公開第2004/035514号においてこの目的で推奨されている作用化合物も含んでよい。最も好ましくは、少なくとも1つの第2の空間に入るとき、液体Fは、液体F中の気泡形成のために液体Fの界面張力を低下させ、それにより本発明により重要な気泡の形成を促進する添加作用化合物(例えば、前述のものから選択することができる)を含む。当然ながら、液体Fは、前述の作用化合物の多様な添加混合物も含んでよい。通常は、液体Fは、少なくとも1質量%のその他の化合物(モノマーアクリル酸、アクリル酸ポリマー、マイケルアクリル酸オリゴマー、および重合抑制剤以外)を含む。 液体F中に含まれるマイケルアクリル酸オリゴマーとアクリル酸ポリマーとの総量は、液体Fの総量に対して、普通は≧60質量%となり、多くの場合≧70質量%となり、しばしば≧80質量%となる。 本発明による方法が適している液体Fは、したがって、特に、5〜50質量%のマイケルアクリル酸オリゴマーと、40〜80質量%のアクリル酸ポリマーと、5〜20質量%のモノマーアクリル酸と、0.1〜2質量%の重合抑制剤と、1〜15質量%のその他の化合物(前述の化合物以外)と、を含む液体Fを含む。 しかしながら、本発明による方法が適している液体Fは、10〜40質量%のマイケルアクリル酸オリゴマーと、50〜70質量%のアクリル酸ポリマーと、5〜15質量%のモノマーアクリル酸と、0.1〜1質量%の重合抑制剤と、1〜15質量%のその他の化合物と、を含む液体Fも含む。 しかしながら、本発明による方法が適している液体Fは、15〜35質量%のマイケルアクリル酸オリゴマーと、50〜70質量%のアクリル酸ポリマーと、5〜15質量%のモノマーアクリル酸と、0.1〜1質量%の重合抑制剤と、1〜15質量%のその他の化合物と、を含む液体Fも含む。 本明細書において特定する液体Fの全ての組成物において、最大15質量%(または1〜15質量%)のその他の化合物のうち、1〜8質量%または2〜6質量%は、液体F中に含まれるフマル酸、マレイン酸、フタル酸、およびそれらの無水物の総量が占めていてもよい。 さらに、本発明による方法は、本明細書において特定する液体Fの組成物中の重合抑制剤が、フェノチアジンおよび/またはハイドロキノンモノメチルエーテルによって形成される場合に特に有利である。さらに、本発明による方法は、液体Fが溶液(例えば、均一溶液またはコロイド溶液)である場合に特に有利である。ただし、原則として、「液体F」という用語は、流体状の「液中固体分散液」も包含するものとする。 本発明による方法の特長は、液体Fが間接熱交換器の少なくとも1つの第2の空間を通過するときに、液相が維持されることである。言い換えると、間接熱交換器の少なくとも1つの第2の空間を離れる流れが、少なくとも部分的に液体の状態で存在する。液体Fは、したがって、本発明による方法において間接熱交換器の少なくとも1つの第2の空間を通過するときに、完全には気相に変換されない。一般的に、本発明による方法において、間接熱交換器の少なくとも1つの第2の空間を貫流するときに、流入する液体Fの50質量%未満が気相に変換される(蒸気相;「気体の」および「蒸気の」という用語は、本明細書において同意語として使用する)。たびたびこの質量比は、30質量%未満にもなり、多くの場合10質量%未満にもなる。 本発明による方法を実施する1つの手段は、例えば、液体Fが、標準圧力(1atm)での沸点がアクリル酸の沸点を下回る(アクリル酸の沸点よりも、応用の観点で適切には少なくとも10℃、より良好には少なくとも20℃、好ましくは少なくとも30℃下回るが、一般にアクリル酸の沸点よりも60℃以上は下回らない)少なくとも1つの添加物(「その他の化合物」の中に包含される)を含む点にある。例えば、有用なそのような物質には、水、酸性水などの水溶液、または本質的に不活性に挙動するその他の低分子化合物が含まれる。酸性水は、気相部分酸化(アクリル酸製造に用いられる)の生成物ガス混合物から得られるさらなる液相である。「酸性水」という用語は、第一に、その酸性水が一般に≧50質量%、たびたび≧60質量%、多くの場合≧70質量%、しばしば≧80質量%の水を含むことを表わす。これは、一般に、反応の水(すなわち、気相部分酸化の副生成物として形成した水)と、気相部分酸化における不活性希釈ガスの一部として使用される希釈用の水(蒸気)との双方である。ただしこの用語は、その酸性水が、水だけでなく、少量のアクリル酸および二次成分の酸、例えばプロピオン酸、酢酸、およびギ酸も含み、そのためpH<7を有することも表わす(アクリル酸以外の二次成分のカルボン酸の総含有量は、酸性水の質量に対して、一般に≦10質量%の値、場合によっては≦5質量%の値である)。酸性水のアクリル酸含有量は、通常は2〜15質量%または5〜15質量%、たびたびおよそ10質量%となる(ドイツ特許出願第102007055086.5号、ドイツ特許公開公報第102 43 625号、国際公開第2004/035514号、およびドイツ特許公開公報第103 32 758号は、例として酸性水構成の具体的な詳細を示している)。例えば、酸性水は、81.9質量%の水と、9.4質量%のアクリル酸と、4.1質量%の酢酸と、3.8質量%のホルムアルデヒドと、0.7質量%のギ酸と、0.01質量%のプロピオン酸と、を含んでもよい。 一般的に、酸性水は、少量の重合抑制剤(例えばMEHQ)をさらに含む。 例えば、液体Fは、その質量に対して、最大10質量%、本発明によって好ましくは最大5質量%の少なくとも1つのアクリル酸よりも低い沸点を有するこのような添加補助物質(例えば、水、酸性水、またはその他の水溶液)を含んでもよい。一般的に、液体Fは、その質量に対して、少なくとも0.1質量%、たびたび少なくとも0.3質量%または少なくとも0.5質量%、多くの場合少なくとも1質量%の少なくとも1つのアクリル酸よりも低い沸点を有するこのような添加補助物質(例えば、水、酸性水、またはその他の水溶液)を含むであろう。液体Fが少なくとも1つの第2の空間を貫流するとき、圧力条件は、応用の観点で適切には、少なくとも1つの第2の空間内に液体Fが滞留している間に、補助物質が少なくとも部分的に蒸発するように調整され、その結果本発明によって必要とされる気泡が形成される。液体Fが、ポンプを用いて熱交換器の少なくとも1つの第2の空間を通して強制的に運搬される場合、アクリル酸よりも低い沸点を有する前述の補助物質を、ポンプの出口と少なくとも1つの第2の空間への入口との間で液体Fに計量供給することは、応用の観点で適切である。 代替的におよび/または同時に、少なくとも1つの第2の空間内と、液体Fが少なくとも1つの第2の空間に入る前とに存在する両条件下で気体状である(補助)物質を、液体Fが熱交換器の少なくとも1つの第2の空間に入るわずかに上流(例えばすぐ上流)で、液体Fに計量供給することもできる。そしてこの物質の存在が、液体Fが少なくとも1つの第2の空間を貫流するときに、本発明により必要とされる、少なくとも1つの第2の空間内での気泡の形成を確実にする。原則として、このような気体状の物質は、少なくとも1つの第2の空間に単に直接計量供給してもよく、あるいはすでに説明した事前の計量供給による添加に加えて、少なくとも1つの第2の空間に計量供給してもよい。 液状および気体状の補助物質は、本発明によって適切には、液体Fが間接熱交換器の少なくとも1つの第2の空間に入る前の温度と本質的に一致する温度で、液体Fに供給される(所望の物質の状態は、適当な圧力調節によって確立することができる)。 非常に一般的に述べると、本発明によると、少なくとも1つの第2の空間を通して液体Fを強制的に運搬することは好適である。これは、通常はポンプを用いて実施する。この場合、上述した気体状の物質の液体Fへの計量供給による添加は、本発明によって有利には、運搬ポンプからの出口と少なくとも1つの第2の空間への入口との間に配置された運搬ゾーンに沿って行なわれる(本発明によって有利には、熱交換器の少なくとも1つの第2の空間への入口の可能な限り近くで)。本発明により適切な気体状の(補助)物質は、例えば、標準圧力(1atm)および−40℃を上回る温度において、気体の状態で存在するものである。これらの中でも、本発明によると、さらにその成分が、アクリル酸製造のために用いた反応(例えば、不均一系触媒による部分酸化)の生成物(ガス)混合物の要素でもあるものが好ましい。言い換えると、気体の状態で計量供給される有用なそのような補助物質(補助ガス)には、特に、酸化炭素(CO2、CO)、希ガス、例えばHe、Ar、およびNe、分子状酸素、分子状水素、分子状窒素、またすでに挙げた個々の補助ガスの混合物、例えば空気または希薄空気(希薄空気は、低酸素空気である(すなわち、これは本質的に分子状窒素と分子状酸素との混合物を含み、その分子状酸素の容量比は、空気のものよりも低い))が含まれる。応用の観点から、分子状酸素の容量比が1〜15体積%、もしくは2〜12体積%、もしくは4〜10体積%、もしくは6〜10体積%、例えば8体積%の希薄空気または分子状酸素と分子状窒素との混合物を使用することが特に適している。本発明により特に有利なさらなる補助ガスは、残留ガスである。 本明細書において、残留ガス(場合によっては「オフガス」という用語も使用される)は、アクリル酸を製造するために実施する不均一系触媒による気相部分酸化の生成物ガス混合物から、アクリル酸、および適切な場合には酸性水を除去したときに残留するガス混合物を意味するものと理解される。 残留ガスの一部は、典型的には、気相部分酸化に使用する反応ガス混合物中の反応物を希釈するための「循環ガス」としても使用される(例えば、ドイツ特許出願第102007055086.5号、国際公開第2004/035514号、ドイツ特許公開公報第10332758、ドイツ特許公開公報第103 36 386号参照)。 残留ガスは、その総量に対して、典型的には(例えば、プロペンからアクリル酸への2段階気相部分酸化の場合)、以下の成分80〜95質量%の分子状窒素と、2〜15質量%の分子状酸素と、2〜10質量%の酸化炭素と、0.5〜5質量%の水と、0.01〜0.2質量%の酢酸と、0.01〜0.2質量%のアクリル酸と、0.01〜0.5質量%のアクロレインと、0.001〜0.01質量%のプロパンと、0.1〜2質量%のプロピレンと、を含む。 また、典型的な残留ガス組成は(例えば、プロペンからアクリル酸への2段階気相部分酸化の場合)、0.2651質量%のアクリル酸と、0.0989質量%の酢酸と、2.9333質量%の水と、0.0059質量%のギ酸と、0.1720質量%のアクロレインと、0.0002質量%のプロピオン酸と、0.0002質量%のフルフラールと、0.0013質量%のギ酸アリルと、4.7235質量%の分子状酸素と、2.1171質量%のCO2と、0.6921質量%のCOと、0.6466質量%のプロパンと、0.3161質量%のプロピレンと、88.0277質量%の分子状窒素と、であってもよい。 本発明によると、本発明による方法の実施過程で、液体Fが貫流する少なくとも1つの第2の空間の全(内部)体積に対して、0.1または0.5〜25体積%、好ましくは0.1または0.5〜20体積%、より好ましくは0.1または0.5〜15または10体積%が、その中に含まれる気泡(気相)で占められ、個々の残りの量(すなわち、75〜99.9または99.5体積%、好ましくは80〜99.9または99.5体積%、より好ましくは85または90〜99.9または99.5体積%)が、その中に含まれる液相(液体)で占められる場合が好ましい(第2の空間における過度に激しい気泡形成(例えば、最大体積比≧60体積%)は、これが熱伝達を低下させうることから、本発明による方法において回避すべきである)。少なくとも1つの第2の空間に供給される液体Fの体積流量と、同時にそこに供給される補助ガスの体積流量の適正な判断により、前述の条件を制御された形で確立することが可能になる。比較的低い沸点の補助剤も使用する(あるいはそれらを付随する)代わりに、本発明によって必要とされる気泡の形成は、液体Fが貫流する少なくとも1つの第2の空間において、相当するより低い作動圧力を確立することによっても促進することができる。 本発明により有利には、液体Fは、温度TF≧150℃、より良好には≧160℃、好ましくは≧165℃、より好ましくは≧170℃、さらに好ましくは≧175℃、さらに良好には≧180℃、さらに有利には≧185℃、最も有利には≧190℃で、間接熱交換器の少なくとも1つの第2の空間に流入する。ただし一般的には、前述のTFは≦250℃、たびたび≦225℃、多くの場合≦200℃となる。 温度TFと、加熱された物質の混合物(加熱された液体)が熱交換器の少なくとも1つの第2の空間を再び離れるときの温度TAとの差ΔTA,Fは、一般に少なくとも0.1℃、好ましくは少なくとも1℃、より好ましくは少なくとも2℃、さらに良好には少なくとも5℃となる。特に有利には、ΔTA,Fは少なくとも10℃となる。しかしながら通常は、ΔTA,Fは≦100℃であり、たびたび≦80℃にもなる。ΔTA,Fの値の典型的な範囲は、0.1〜70℃または50℃、あるいは10〜40℃または30℃である。 少なくとも1つの第2の空間に入るときの液体Fの作動圧力は、そこから出るときよりも高い。本発明の熱伝達に適した少なくとも1つの第2の空間の典型的な作動圧力範囲は、1mbar〜10bar、しばしば10mbar〜5bar、多くの場合50mbar〜3barである。応用の観点で適切には、少なくとも1つの第2の空間を通して液体Fを運搬するポンプの圧力側の圧力は、3〜10barまたは4〜6barである。 本発明によって使用するための間接熱交換器の場合には、熱は、混合することによって強制される流体熱媒体と加熱される液体混合物との間の直接接触によって伝達されない。その代わりに、熱は、隔壁に隔てられた流体間で、間接的に伝達される。熱伝達に有効な熱伝達装置(熱交換器)の有効分離面積は、熱交換面積または熱伝達面積と称され、熱伝達は既知の熱伝達の法則に従う。 本発明による方法において、流体熱媒体と液体Fとの両者が間接熱交換器を貫流することは、本発明にとって不可欠である。言い換えると、両者が熱交換器に流入し、その後再び流出する(一方が少なくとも1つの第1の空間を貫流し、他方が少なくとも1つの第2の空間を貫流する)。 本発明による方法に有用な流体熱媒体は、原則として、全ての可能な高温ガス、蒸気、および液体である。 主要な流体熱媒体は蒸気であり、これはさまざまな圧力および温度であってよい。しばしば、その蒸気が間接熱交換器を通過するときに凝縮することが好ましい(飽和蒸気)。 あるいは、有用な流体熱媒体には、油、溶融物、有機液体、および高温ガスが含まれる。これらの例には、シリコン化合物、例えばテトラアリールシリケート、74質量%のジフェニルエーテルと26質量%のジフェニルとから構成されるジフェニルを含む混合物、不燃性塩素化ジフェニル、ならびに鉱物油、および加圧水がある。 本発明による方法の実施過程で、流体熱媒体が熱交換器の少なくとも1つの第1の空間に入るときの温度TWと、液体Fが同じ熱交換器の少なくとも1つの第2の空間に入るときの温度TFとの差(TW−TF)は、例えば1〜150℃、たびたび5〜100℃または10〜80℃、多くの場合20〜60℃または15〜30℃であってよい。 本発明による方法に適した間接熱交換器は、特に二重管式、管束式、リブ付き管式、スパイラル式、またはプレート式熱伝達装置である。二重管式熱伝達装置は、2つの同心管からなる。複数のこのような二重管を接合して、管壁を形成することができる。内管は、平滑であっても、あるいは熱伝達を向上させるためのリブを備えてもよい。それぞれの場合に、内管を管束に代えてもよい。熱を交換する流体は、並流で移動しても、向流で移動してもよい。本発明により適切には、液体Fは、内管内を上向きに運搬され、高温蒸気は、例えば環状空間内を下向きに流れる。 本発明による方法には、管束式熱伝達装置が特に適している。これらは、通常は、管板に固定された複数の平滑なまたはリブ付きの小径の伝達管を囲む、閉鎖した大径の外管からなる。 管束の管中心から管中心までの距離は、応用の観点で適切には、外管の直径の1.3〜2.5倍である。必要とされる空間の単位当たりの交換面積として生じる広い比熱交換面積は、管束式熱伝達装置の利点である。縦型もしくは横型の管束式熱伝達装置は、とりわけ管設計の点で異なる。伝達管は、直線でも、U型曲線でも、あるいはマルチフロースパイラル式管束として設計してもよい。本発明によって加熱される液体Fは、本発明によると、好ましくは伝達管内を流れる(原則として、これは、伝達管と伝達管内の熱媒体との周囲の空間内を流れてもよい)。流体熱媒体(好ましくは飽和水蒸気)は、本発明により適切には、伝達管の外部を流れる。外部空間において流体熱媒体をより良好に伝導するためのガイド板は、本発明により適切であり、これは一般に、伝達管を支持するというさらなる目的にかなう。ガイド板は、一般に、外部空間における流速を上昇させ、それによりいくつかあるパラメータのうちでも特に熱伝達率を向上させる。外部空間における流れは、有利には、伝達管を横断して流れる。伝達管に対する外部空間の流体の流れ方向によって、例えば、縦方向流、および交差流、および横断流式の管束式熱伝達装置を区別することができる。原則として、管束式熱交換器についてのみ考えた場合、流体熱媒体を伝達管の周りを蛇行する形で移動させ、本発明によって加熱される液体混合物に対して並流または向流で伝導させることもできる。また、スパイラル管束式熱伝達装置は、一般に交差流の利点を利用する。これらの管は、位置によって右巻きのスパイラルと左巻きのスパイラルとが交互になる。外部空間の流体は、管の流体に対して向流で流れ、スパイラル管の周りを交差流で流れる。 シングルフロー管束式熱伝達装置では、本発明によって加熱される液体Fは、同じ方向で全ての伝達管を通って移動する。 マルチフロー管束式熱伝達装置は、個々の区画(これらの個々の区画は、一般に同じ数の管を含む)にさらに分割された管束を備える。隔壁は、管板(ここに伝達管を通してシーリングし、これに伝達管を固定する)に隣接するチャンバーを区画に分割し、チャンバー部分に入る液体Fを1つの区画から2番目の区画内へと逸らし、そのようにして元に戻す。区画の数によって、本発明によって加熱される液体Fは、管束式熱伝達装置の全長を交互方向に、高速で複数回(2回、3回、4回など)貫流する(2フロー式、3フロー式、4フロー式などの管束式熱伝達装置)。これに応じて、熱伝達率および交換長さが増加する。 プレート式熱伝達装置(プレート式熱交換器)は、通常は、流体熱媒体および加熱される液体混合物のための流路を備える波形プレートあるいはプロファイルプレートから、普通はコンパクト設計で、フィルタプレスで作成される(一般に、グラファイトまたは金属、例えばステンレス鋼から構成される)。これら2種の熱交換流体は、並流、向流、および/または交差流で、薄層として交互に(例えば、上向きと下向きに)それらの一連のチャンバーを貫流し、両方のチャンバー壁で互いに熱を伝達する。波形プレートの形状は、乱流を増加させ、熱伝達率を向上させる。本発明の目的に適したプレート式熱交換器は、例えば、欧州特許公開公報第107 9194号、米国特許第6,382,313号、欧州特許公開公報第123 2004号、および国際公開第01/32301号に記載されている。管束式熱交換器は、例えば、欧州特許公開公報第700 893号、欧州特許公開公報第700 714号、およびドイツ特許公開公報第443 1949号に記載されている。スパイラルおよびリブ付き管式熱交換器は、例えば、Vauck/Mueller, Grundoperationen chemischer Verfahrenstechnik [Basic Operations in Chemical Process Technology], 4th edition, Verlag Theodor Steinkopf, Dresden (1974)、およびUllmanns Encyclopaedie der technischen Chemie, Volume 2, Verfahrenstechnik I (Grundoperationen) [Process Technology I (Basic Operations)], 4th edition, 1972, p. 432 ffに記載されている。 既に述べたように、例えばポンプを利用して、液体Fが間接熱交換器の少なくとも1つの第2の空間を通して強制的に運搬されることは、本発明により特に有利である。したがって好ましくは、本発明によれば、本発明による方法は、強制循環管状熱交換器(強制循環管束式熱伝達装置)を用いて実施されることになる。 好ましくは、液体Fは、その管の中に強制的に運搬される。 例えば、本発明による方法は、3フロー式管束式熱伝達装置を用い、その管を通して液体Fを強制的に運搬して実施することができる。 言い換えると、管内部が、熱交換器の第2の空間を形成する。外管の直径は38mm、管の壁厚は2mmであってよい。4800mmの管長さで、それらの総数は、応用の観点で適切には234本(1つの流れ方向に対して、それぞれ78本の管)である。同時に、管の間隔は、有利には48mm(30°分布)である。管板(交換管がそこに固定される)の間に取り付けられた9枚の偏向板(板厚:それぞれ5mm)は、熱伝達管の周囲の円筒状の空間(第1の空間)を10個の長手方向の区画(部分)に分割する。9枚の偏向板の全ては、原則として円形である。円の直径は、859mmである。ただし、それぞれの円形偏向板上に、面積が総面積の35.8%となる半月型の円部分が切り取られ、それにより熱媒体としての蒸気のための適切な通路が形成される。これらの通路は、交互に連続して互いに反対側に取り付けられる(あるいは、偏向板は、導管の壁にシーリングにより固定され、そこで熱伝達管が偏向板に接する。偏向板には適当な孔がある)。応用の観点で適切には、蒸気は、熱媒体として、熱伝達管周囲の空間に通される。蒸気と液体Fとの3フロー式管束式熱伝達装置内への進入は、応用の観点で好ましくは、熱伝達装置の同じ側に配置される(本特許出願において、今後上述の熱伝達装置は、3フロー式管束式熱伝達装置D*とする)。液体Fを運搬するために使用するポンプは、適切には、ドイツ特許公開公報第102 28 859号による、両面スリップリングシールを備える遠心ポンプ(好ましくは、多段式インペラーを備える)であり、バリア液は好ましくは、水/グリコール混合物である。ポンプの圧力側の作動圧力(熱交換器の少なくとも1つの第2の空間に入る前)は、有利には4〜6barであり(特記しない限り、常に絶対圧力(bar abs)と理解されるものである)、より好ましくは6barである。本発明によって加熱される液体Fの循環速度は、典型的には100〜700m3/h、有利には300〜500m3/hである。 あるいは、本発明による方法では、管を通して液体Fが強制的に運搬される、13フロー式管束式熱伝達装置を使用することも可能である。有利には、本発明により、第1の空間を取り囲む円筒に補正板を装備する(補正板の寸法:直径=2.075m;高さ=670mm;ベローズ3個;設置位置は垂直配向第1の空間の半分の高さ)。これにより、加熱および冷却の過程で、装置の低張力熱膨張が可能になる。 外管の直径はここでも38mm、管の壁厚は2mmであってよい。5000mmの管長さで、それらの総数は、応用の観点で適切には1066本(1つの流れ方向に対して、それぞれ82本の管)である。同時に、管の間隔は、有利には47mm(60°分布)である。管板(交換管がそこに固定される)の間に取り付けられた9枚の偏向板(板厚:それぞれ10mm)は、熱伝達管の周囲の円筒型の空間(第1の空間)を9個の長手方向の区画(部分)に分割する。9枚の偏向板の全ては、原則として円形である。円の直径は、1734mmである。ただし、それぞれの円形偏向板上に、面積が総面積の15%となる半月型の円部分が切り取られ、それにより熱媒体としての蒸気のための適切な通路が形成される。これらの通路は、交互に連続して互いに反対側に取り付けられる(あるいは、偏向板は、導管の壁にシーリングにより固定され、そこで熱伝達管が偏向板に接する。偏向板には適当な孔がある)。応用の観点で適切には、蒸気は、熱媒体として、熱伝達管周囲の空間に通される。蒸気と液体Fとの13フロー式管束式熱伝達装置内への進入は、応用の観点で好ましくは、熱伝達装置の同じ側に配置される。液体Fを運搬するために使用するポンプは、適切には、ドイツ特許公開公報第102 28 859号による、両面スリップリングシールを備える遠心ポンプ(好ましくは、多段式インペラーを備える)であり、バリア液は好ましくは、水/グリコール混合物である。ポンプの圧力側の作動圧力(熱交換器の少なくとも1つの第2の空間に入る前)は、有利には4〜6barであり、より有利には6barである。 本発明によって加熱される液体Fの循環速度は、典型的には100〜600m3/hであり、たびたび100〜250m3/hである。運搬ポンプと管束式熱伝達装置との接続は、応用の観点で適切には、熱伝達装置に向かってこの順序で、連続してDN200(内径=267mm)のベンド1個、DN300(内径=317mm)のパイプベンド7個、およびDN300の圧力側パイプ1個である。 非常に一般的には、本発明によって使用する管束式熱伝達装置の管が、内部および/または外部が構造化された熱交換管であることは、本発明によると有利である。このような熱交換管は、例えば、Wieland−Werke AG(D−89070 Ulm)から入手可能であり、例えば、同社の特許である欧州特許公開公報第1 158 268号、欧州特許公開公報第1 113 237号、欧州特許公開公報第1 182 416号、欧州特許公開公報第1 830 151号、および欧州特許公開公報第1 223 400号に記載されている。内部が構造化された熱交換管は、本発明による方法における管の内部が少なくとも1つの第2の空間を形成する場合に、本発明よると特に有利である。これは内部の構造化が、気泡形成のための核形成部位の数を増やすためである(例えば、核沸騰の場合)。 前述の本発明で使用される熱交換管の内部構造化の代わりに、あるいはこれに加えて、本発明によって有利には、例えば欧州特許公開公報第1 486 749号、および本明細書で引用する従来技術に記載されているように、いわゆる乱流発生装置(攪拌器)を熱交換管の内部に挿入することも可能である。 本発明によってとくに有利な乱流要素(乱流発生装置)は、円形の断面を有するワイヤまたは細いロッドから製造され、これは例えば、CalGavinにより、そのインターネットホームページhttp://www.calgavin.co.uk/HITRAN/hitran.htm//(2008年4月17日)上で、HITRAN(登録商標) Thermal Systemの名称で販売されている。 また、このような攪拌器は、−Fluiddynamik in a tube equipped with wire matrix inserts, Alex Smeethe, PeterDroegenmuleler, Waldemar Bujalski, Joe Wood, CHISA 2004,16th INTERNATIONAL CONGRESS OF CHEMICAL AND PROCESS ENGINEERING, 22−26 August 2004, Prague, Czech Republic;−Effect of hiTRAN Inserts on tube fouling at low Reynolds Number, International Research Project, Smal, N.E., Anderson, K., Glass, D, University of Edinburgh, 2004;および−Use of In−Tube to reduce fouling from Crude Oils, B. D. Crittenden, S. T. Kolaczkowski, and T. Takemoto, AlChemE Symp Series Vol. 89 (No 295), Heat Transfer − Atlanta 1993, pp 300−307にも記載されている。 本発明の手順の成功の理由は、おそらく、マイケルアクリル酸オリゴマーが、その熱境界条件下で、少なくとも部分的にモノマーアクリル酸に再解離されることであろう。重合抑制剤が存在するにもかかわらず、阻害されていないアクリル酸モノマーの局所的に上昇した濃度は、このようにして形成する。液体F中に溶解されて含まれるアクリル酸ポリマーは、さらに、相当する水素結合の形成により、マイケルアクリル酸オリゴマーとおよび得られたモノマーアクリル酸の両者の好適な3次元アラインメントをもたらす。液相から形成されたモノマーアクリル酸を気相へと迅速に運搬する機序がない場合、すでに存在するアクリル酸ポリマーは、形成されたアクリル酸モノマーの望ましくないフリーラジカル重合の触媒による促進をもたらす。 液相から、あるいは液相に形成されたモノマーアクリル酸を効果的にストリッピングする気泡の形成に加え、液体Fは、全熱交換面積にわたる液膜として(すなわち、気相に隣接する液体Fの薄層として)分配されて、少なくとも1つの第2の空間を通して運搬されてもよい。これに相当するように設計された熱伝達装置は、薄膜式熱伝達装置と称される。本発明によって有用な薄膜式熱伝達装置は、流下膜式熱伝達装置である。熱伝達は、例えば管内で実施することができるが、この管内で、液体Fがまとまった液膜として管の内壁上を流下し、同時に熱媒体が外壁に沿って通される。例えば、液体Fは、ノズルまたは分配システムを用いて、加熱チャンバーの上部管板一面に均一に分配することができる。その後液体Fは、薄膜として、長い熱伝達管の内壁上を重力を受けて下向きに流れる。液体から離れる蒸気泡も同様に下向きに流れ、液膜の流速を加速する。熱伝達管の直下には、通常は分離器が配置される。 液体−蒸気混合物がこの分離器に入り、その内部構造が、残留する液相から蒸気を分離する。遠心ポンプが、この液相を抜き出す。次に、蒸気のみ、あるいは蒸気と液体が、別のアクリル酸を含む液体混合物の熱分離の過程で液体Fが形成された分離カラム内に、適切に再循環される。原則として、本発明によって有利には、ガス流(例えば、空気、希薄空気、窒素、および/または残留ガス)を管内部に通す(流下液膜に対して並流または向流で)こともさらに可能である。"Grundoperationen chemischer Verfahrenstechnik, R. A. Vauck, H. A. Mueller, Verlag Theodor Steinkopf, Dresden 1974 (page 558)"における図278は、本発明により適切な流下膜式熱伝達装置の概略図を示している。本発明により適切なさらなる流下膜式熱伝達装置は、国際公開第08/010237号に詳述されている。 薄膜式熱伝達装置の場合、熱媒体と液体Fとの温度差は、たびたび3〜8℃で十分である。しかしながら、この温度差は20〜40℃であってもよい。液体Fの薄膜式熱伝達装置内での滞留時間は、典型的には1〜3分である。 薄膜式熱伝達装置(本発明による方法に使用するものは、SambayもしくはLura蒸発器またはFilmtruderであってもよい)も同様に、加熱される液体の強制運搬を伴う熱伝達装置である。流下膜式熱伝達装置の場合、強制運搬は、重力によってもたらされる。回転式熱伝達装置では、回転システムにより液膜が垂直軸上に生成され、これは外部モーターによって駆動される。回転システムは、液体Fが導入される管内部に配置される。 遠心式熱伝達装置では、遠心力が、頂部から流入する液体Fを、高温の回転している内部構造上に乱流膜として分配する。すぐに蒸気が形成され、濃縮液が回転して蒸気から分離して採取流路に入る。 薄膜式蒸発器内の液膜の膜厚の典型的な値は、0.1〜2mmである。 非常に一般的には、本発明による方法は、薄膜式熱伝達装置内で、好ましくは減圧下で実施される。適切には、本発明によると、使用される圧力は≦0.5atm、好ましくは0.01〜0.5atm、より好ましくは0.01〜0.3atm、最も好ましくは0.01〜0.1atmである。 本発明による方法に使用することができるさらなる薄膜式蒸発器は、有利には、螺旋管式蒸発器である。 これらは、そのコイル状パイプ設計の形で、例えば、Chemie−Ing. Techn., 42, 1970/6, p. 349−354に記載されている。 この変形体(特に、上記の文書の図1による)は、本発明により極めて好適である。 単純なパイプ設計の代わりに、例えば、ドイツ特許公開公報第1667051号に記載されているように、1本がもう1本の内部に配置された2本の管を備える実施形態を採用することも可能である。 螺旋管式蒸発器を使用する場合、液体Fが螺旋管式蒸発器に入る前に、気体状の補助物質(ガス流、例えば希薄空気または残留ガス)を液体Fに計量供給することは、本発明により極めて有利である。 このことにより、螺旋管内に環状流を迅速に確立することができ、それにより熱伝達および物質伝達が改善される。 本発明による方法は、例えば、固体状態の触媒上の分子状酸素を用いた、高温でのアクリル酸の少なくとも1つのC3前駆体化合物(例えば、プロピレン、アクロレイン、および/またはプロパン)の不均一系触媒による気相部分酸化の生成物ガス混合物からの、アクリル酸の液相への変換が、例えば、アクリル酸を含む生成物ガス混合物を、適切な場合には間接冷却および/または直接冷却した後、分離内部構造(好ましくは物質移動トレイ)を備える凝縮カラム内に通過させて、それを凝縮カラム内で自ら上昇させ、それによって分別凝縮し、凝縮カラムの側部抜き出し口から粗アクリル酸(そのアクリル酸含有量は一般に≧90質量%であり、多くの場合≧95質量%にもなる)を抜き出すことによって実施される方法に関連する(例えば、ドイツ特許出願第102006062258.8号、ドイツ特許出願第102007055086.5号、ドイツ特許公開公報第102 35 847号、国際公開第200/53560号、ドイツ特許公開公報第102 43 625号、国際公開第2004/035514号、およびドイツ特許公開公報第103 32 758号参照)。この気相部分酸化の生成物ガス混合物の分離に必要とされる熱エネルギーは、高温の生成物ガス混合物により、すでに本質的に与えられている。 アクリル酸よりも高い沸点を有する二次成分のための出口として、これらの二次成分を含む底液は、あるいは粗アクリル酸のための側部抜き出し口の下方に配置された側部抜き出し口を通して、これらの二次成分を含む高沸点留分、またはこのような底液と高沸点留分との混合物は、凝縮カラムの底部から抜き出される(以後、全てまとめて高沸点液とする)。前述の高沸点液の一部は、気相部分酸化の生成物ガス混合物を直接冷却するために使用することもでき、凝縮カラムの高沸点領域におけるこの直接冷却によって、凝縮カラムに再循環させることもできる。 この経路によって、凝縮カラムから抜き出られたが、凝縮カラムに再循環されていない高沸点液は、依然として著しい量のアクリル酸を含む。このアクリル酸が、高沸点二次成分と一緒に廃棄されることを防ぐために(すなわち、アクリル酸の収率を増加させるために)、有利には、この廃棄の前に、高沸点液を高温でストリッピングする。使用するストリッピングガスは、適切には、凝縮カラムの頂部から離れる残留ガスの一部であり、特に、最も凝縮しにくい、気相部分酸化の生成物ガス混合物の成分を含む。このために、その適切な部分を適切に圧縮して過熱する(一般に、ストリッピングカラムの底部に存在する温度まで)。ストリッピング自体は、応用の観点で有利には、分離内部構造(好ましくは等距離デュアルフロートレイ)を備える精留カラム(ストリッピングカラム)内で実施する。このカラムの下部(理論段の下3分の1)に、ストリッピングすべき高沸点液が有利に供給される。 非常に高いストリッピング効率を確保するために、この目的に適した形で、アクリル酸を含む液体は、ストリッピングカラムの底部から連続的に抜き出され、それを加熱する目的で間接熱交換器に通され、その後大部分は加熱されて運搬され、ストリッピングカラムに戻される(好ましくは、ストリッピングすべき高沸点液のストリッピングカラムへの供給口の下方)。ストリッピングガスは、好ましくはストリッピングカラムの底部に供給される。熱交換器内で加熱されたストリッピングカラムからの底液の残りの部分は、粘度(好適である)、密度、または温度調節下で、導管に通され、その中で脱気され、メタノールで希釈されてから、残留物焼却に送られる。ストリッピングカラムにおいて、アクリル酸を含むガス混合物が内部に発生する。還流液は、有利には、ストリッピングすべき液体の供給点の上方に向流で供給され、これにより分離作用が改善される(特にアクリル酸の沸点と大きく異ならない沸点の高沸点二次成分に関して)。還流液を得るために、例えば、ストリッピングカラムの上部領域で分離内部構造を区切るチムニートレイを通されるガス混合物は、その下流で、噴霧冷却器内での直接冷却により冷却され、部分的に凝縮される。 凝縮物は、同時に収集トレイとしても機能するチムニートレイによって収集され、そこから抜き出される。一部は、間接冷却器内で冷却され、その後、直接噴霧冷却のための冷却液として再循環される。重合を阻害する目的で、ストリッピングすべき、重合抑制剤を含むさらなる量の高沸点液が、有利には、この目的で抜き出られた凝縮物の一部または全体に、その冷却前に供給され、得られた混合物の一部が、間接冷却器に入る前に、ストリッピングカラムのチムニートレイの本質的に直下に、還流液として再循環される。必要であれば、チムニートレイから抜き出した凝縮物の一部を、凝縮カラムの底部に直接再循環させることもできる。 噴霧冷却の過程で凝縮されず、気体の形態でストリッピングカラムを離れ、ストリッピングされたアクリル酸を担持するガス流は、応用の観点で適切には、気相部分酸化によってもたらされる生成物ガス混合物と混合されるか(好ましくは、例えば、その直接冷却の間に)、あるいは凝縮カラムの底部空間(好ましくは、浸漬されていない)に再循環される。凝縮カラムを離れ、ストリッピングに使用されない残留ガスの全量は、必要であれば、不活性希釈ガスとして、不均一系触媒による気相部分酸化に一部を再循環させ、そこで使用できない残留ガスの全量は、例えば焼却して廃棄する。あるいは、この手順は、例えば、ドイツ特許出願第102006062258.8号およびドイツ特許出願第102007055086.5号に記載されているものでもよい。 上述の方法が長時間にわたり連続的に実施されると、しばしば定常状態が達成され、この状態において、ストリッピングカラムの底部から除去され、加熱されてストリッピングカラムに再循環される液体が、本発明によって処理される液体Fである。これを加熱するための手順は、有利には本発明によるものとなる。使用する間接熱交換器は、応用の観点で適切には、蒸気加熱型管束式熱伝達装置となり、本発明により必要とされる気泡は、ストリッピングカラムの底部から抜き出された底液に、例えばそれを熱伝達装置の第2の空間(その管の内部構造)に強制的に通す前に、補助ガス(好ましくはストリッピングに使用したガス)、または低沸点補助液(好ましくは酸性水)、またはそれら両方を供給することによって形成される。底液(液体Fの)のストリッピングカラムからの抜き出し、およびその間接熱伝達装置を通しての運搬は、適切には、本明細書に記載されているように、遠心ポンプを用いて行なう。次に、本発明によって加熱された液体Fは、間接熱伝達装置を離れた後、記載されているように、使用する補助ガスまたは使用する補助液(または、補助ガスおよび補助液)と一緒に、ストリッピングカラムに再循環させる。さらなる補助手段として、本明細書の最初に記載した作用化合物(例えば、界面活性剤、再解離触媒、第3級アミンなど)を、ストリッピングカラムの底部から抜き出されるべき底液に添加することができる。 本発明による方法は、非常に一般的には、熱分離過程において、アクリル酸を含む液体の流れが、分離の目的で、分離内部構造を備える分離カラムに通され、熱分離過程のためのエネルギーが供給されて、それにより液体が、分離カラムの分離作用によって処理されるべき流れの供給点の下方で抜き出され、間接熱交換器を利用して加熱され、分離カラムの分離作用によって処理されるべき流れの供給点の下方にそのようにして加熱されて再循環され、また分離カラムから抜き出される液体が液体Fである場合に意義がある。 したがって、本発明は特に以下の実施形態を含む。1.溶解したモノマーアクリル酸、マイケルアクリル酸オリゴマー、およびアクリル酸を含む液体Fに、間接熱交換器を利用して熱を伝達するための方法であって、前記間接熱交換器は、少なくとも1つの第1の空間と、前記少なくとも1つの第1の空間と物理的な隔壁Dで隔てられた少なくとも1つの第2の空間とを有し、前記間接熱交換器内で、前記液体Fが前記少なくとも1つの第2の空間を貫流し、同時に前記少なくとも1つの第1の空間を流体熱媒体Wが貫流し、このとき前記液体Fは、温度TF≧130℃で前記少なくとも1つの第2の空間に流入し、前記流体熱媒体Wは、温度TW>TFで前記少なくとも1つの第1の空間に流入し、a)前記液体Fは、前記少なくとも1つの第2の空間に入るとき、 5〜50質量%のマイケルアクリル酸オリゴマーと、 少なくとも40質量%のアクリル酸ポリマーと、 最大25質量%のモノマーアクリル酸と、 最大2質量%の重合抑制剤と、 最大15質量%のその他の化合物と、を含み、b)前記少なくとも1つの第2の空間を貫流する液体F中に、前記少なくとも1つの第2の空間を貫流している間に、気泡および/または気相と接する前記液体Fの薄層の形成がもたらされる方法。2.前記液体Fが、前記少なくとも1つの第2の空間に入るときに、 5〜50質量%のマイケルアクリル酸オリゴマーと、 40〜80質量%のアクリル酸ポリマーと、 5〜20質量%のモノマーアクリル酸と、 0.1〜2質量%の重合抑制剤と、 1〜15質量%のその他の化合物と、を含む、実施形態1に記載の方法。3.前記液体Fが、前記少なくとも1つの第2の空間に入るときに、 10〜40質量%のマイケルアクリル酸オリゴマーと、 50〜70質量%のアクリル酸ポリマーと、 5〜15質量%のモノマーアクリル酸と、 0.1〜1質量%の重合抑制剤と、 1〜15質量%のその他の化合物と、を含む、実施形態1に記載の方法。4.前記液体Fが、 15〜35質量%のマイケルアクリル酸オリゴマーと、 50〜70質量%のアクリル酸ポリマーと、 5〜15質量%のモノマーアクリル酸と、 0.1〜1質量%の重合抑制剤と、 1〜15質量%のその他の化合物と、を含む、実施形態1に記載の方法。5.前記少なくとも1つの第2の空間に入るときに、前記液体F中に含まれる前記マイケルアクリル酸オリゴマーの総量が、40〜60質量%の範囲のマイケルアクリル酸ダイマーからなる、実施形態1〜4のいずれか1つに記載の方法。6.前記少なくとも1つの第2の空間に入るときに、前記液体F中に含まれる前記マイケルアクリル酸オリゴマーの総量が、15〜30質量%の範囲のマイケルアクリル酸トリマーからなる、実施形態1〜5のいずれか1つに記載の方法。7.前記少なくとも1つの第2の空間に入るときに、前記液体F中に含まれる前記アクリル酸ポリマーの数平均分子量が500〜106である、実施形態1〜6のいずれか1つに記載の方法。8.前記少なくとも1つの第2の空間に入るときに、前記液体F中に含まれる前記アクリル酸ポリマーの数平均分子量が750〜750,000である、実施形態1〜6のいずれか1つに記載の方法。9.前記少なくとも1つの第2の空間に入るときに、前記液体F中に含まれる前記アクリル酸ポリマーの数平均分子量が1,000〜100,000である、実施形態1〜6のいずれか1つに記載の方法。10.前記少なくとも1つの第2の空間に入るときに、前記液体F中に含まれるフマル酸、マレイン酸、フタル酸、およびこれらのカルボン酸の無水物からなる群の化合物の総量が≦10質量%である、実施形態1〜9のいずれか1つに記載の方法。11.前記少なくとも1つの第2の空間に入るときに、前記液体Fが、標準圧力での沸点がアクリル酸のものを下回る少なくとも1つの添加物を含む、実施形態1〜10のいずれか1つに記載の方法。12.前記液体Fが、含まれる前記添加物として、水および/または水溶液を含む、実施形態11に記載の方法。13.前記液体Fが、含まれる前記添加物として、酸性水を含む、実施形態12に記載の方法。14.1atmでの沸点が≦−40℃である少なくとも1つの物質が、前記液体Fが前記少なくとも1つの第2の空間に入る前に、前記液体Fに計量供給されている、実施形態1〜13のいずれか1つに記載の方法。15.残留ガスが、前記液体Fが前記少なくとも1つの第2の空間に入る前に、前記液体Fに計量供給されている、実施形態1〜13のいずれか1つに記載の方法。16.130℃≦TF≦250℃である、実施形態1〜15のいずれか1つに記載の方法。17.150℃≦TF≦225℃である、実施形態1〜15のいずれか1つに記載の方法。18.160℃≦TF≦200℃である、実施形態1〜15のいずれか1つに記載の方法。19.前記温度TFと、前記加熱された液体が前記少なくとも1つの第2の空間を離れるときの温度TAとの差ΔTA,Fが、0.1〜70℃である、実施形態1〜18のいずれか1つに記載の方法。20.前記温度TFと、前記加熱された液体が前記少なくとも1つの第2の空間を離れるときの温度TAとの差ΔTA,Fが、5〜50℃である、実施形態1〜18のいずれか1つに記載の方法。21.TW−TFが1〜150℃である、実施形態1〜20のいずれか1つに記載の方法。22.TW−TFが5〜100℃である、実施形態1〜20のいずれか1つに記載の方法。23.TW−TFが20〜60℃である、実施形態1〜20のいずれか1つに記載の方法。24.前記液体Fが貫流する前記少なくとも1つの第2の空間の総体積に対して、その中に含まれる気泡が0.1〜25体積%を占め、その中に含まれる液相が99.9〜75体積%を占める、実施形態1〜23のいずれか1つに記載の方法。25.前記液体Fが貫流する前記少なくとも1つの第2の空間の総体積に対して、その中に含まれる気泡が0.5〜15体積%を占め、その中に含まれる液相が99.5〜85体積%を占める、実施形態1〜23のいずれか1つに記載の方法。26.前記液体Fが、前記少なくとも1つの第2の空間を通して強制的に運搬される、実施形態1〜25のいずれか1つに記載の方法。27.前記間接熱交換器が、管束式熱伝達装置である、実施形態1〜26のいずれか1つに記載の方法。28.前記間接熱交換器が、マルチフロー管束式熱伝達装置である、実施形態1〜27のいずれか1つに記載の方法。29.前記間接熱交換器が、プレート式熱伝達装置である、実施例1〜26のいずれか1つに記載の方法。30.前記間接熱交換器が、薄膜式熱伝達装置である、実施形態1〜26のいずれか1つに記載の方法。31.前記間接熱交換器が、流下膜式熱伝達装置である、実施形態1〜26のいずれか1つに記載の方法。32.前記間接熱交換器が、螺旋管式蒸発器である、実施形態1〜26のいずれか1つに記載の方法。33.前記少なくとも1つの第2の空間に入るときに、前記液体Fが、前記液体Fにおける気泡形成のために界面張力を低下させる、少なくとも1つの作用添加物質を含む、実施形態1〜32のいずれか1つに記載の方法。 実施例および比較例 比較例1 プロピレン(化学用)のアクリル酸への不均一系触媒による2段階気相部分酸化の生成物ガス混合物を、それにより生じた生成物ガス混合物中に含まれるアクリル酸を除去するために分別凝縮した。 凝縮カラムの底部領域から、依然として著しい量の回収可能なアクリル酸を含む高沸点液を抜き出した。 その回収の目的で、底液をストリッピングカラムに供給した。使用したストリッピングガスは、凝縮カラムを通って出てきた圧縮残留ガスとした。強制循環式フラッシュ蒸発器を利用して、エネルギーを導入した。定常状態で、ストリッピングカラムの底部から液体Fを抜き出した。この液体は:モノマーアクリル酸 9.30質量%マイケルジアクリル酸(2AA) 10.62質量%マイケルトリアクリル酸(3AA) 5.19質量%4AA 2.69質量%5AA 3.38質量%6AA 0.10質量%7AA 0.10質量%8AA 0.20質量%9AA 0.10質量%10AA 0.10質量%アクリル酸ポリマー 63.14質量%フマル酸 2.00質量%マレイン酸 1.96質量%フタル酸 0.78質量%を含み、PTZ、MEHQ、および変換生成物の合計が、100質量%までの残りの部分を占めた。 204.3gの液体Fを蒸留装置を取り付けた250mlの4口フラスコに初期装填した。温度が15〜20℃の範囲で一定に維持された流水によってこの蒸留装置を冷却し、その中に形成した凝縮物をレシーバーフラスコに供給した。 循環式熱伝達装置内の条件をシミュレートするために、磁気攪拌器を用いて、液体Fを4口フラスコ内に連続的に循環させた。油浴を用いて、4口フラスコ内に存在する液体Fを標準圧力で、加熱温度170℃まで加熱した。 その後、4口フラスコ内の圧力を290mbarまで減少させた。 これらの条件(内部温度170℃、290mbar、循環)を3時間維持した。全処理時間にわたり、液体F中に気泡は形成しなかった。3時間の処理の終了時に、4口フラスコ内に存在した液体は、以下の組成を有した:モノマーアクリル酸 7.93質量%2AA 5.76質量%3AA 3.59質量%4AA 2.31質量%5AA 2.66質量%6AA 0.10質量%7AA 0.39質量%8AA 0.05質量%9AA 0.19質量%10AA 0.29質量%アクリル酸ポリマー 71.49質量%フマル酸 2.02質量%マレイン酸 1.97質量%フタル酸 0.79質量%、およびPTZ、MEHQ、および変換生成物の合計が、100質量%までの残りの部分を占めた。 4口フラスコ内に依然として存在した液体の総量は、203.1gであった。 蒸留装置内に、1.2gのモノマーアクリル酸が凝縮していた(純度>99質量%)。 比較例2 同じ液体Fを用いて比較例1を繰り返したが、加熱温度は180℃を選択した。さらに、液体Fの初期質量は、207.0gとした。処理全体にわたり、気泡の形成は認められなかった。3時間の処理の終了時に、4口フラスコ内に存在した液体は、以下の組成を有した:モノマーアクリル酸 5.47質量%2AA 4.06質量%3AA 2.76質量%4AA 1.57質量%5AA 1.79質量%6AA 0.11質量%7AA 0.27質量%8AA 0.05質量%9AA 0.11質量%10AA 0.16質量%アクリル酸ポリマー 77.7質量%フマル酸 2.22質量%マレイン酸 2.22質量%フタル酸 0.92質量%、およびPTZ、MEHQ、および変換生成物の合計が、100質量%までの残りの部分を占めた。 4口フラスコ内に依然として存在した液体の総量は、184.6gであった。蒸留装置内に、22.4gのモノマーアクリル酸が凝縮していた(純度>99質量%)。 比較例3 比較例1を繰り返した。ただし加熱温度は、190℃を選択した。さらに、初期質量214.1gの液体Fの組成は、以下の通りとした:モノマーアクリル酸 10.30質量%2AA 14.29質量%3AA 6.21質量%4AA 3.08質量%5AA 3.50質量%6AA 0.19質量%7AA 0.42質量%8AA 0質量%9AA 0.19質量%10AA 0.19質量%アクリル酸ポリマー 57.12質量%フマル酸 1.68質量%マレイン酸 1.59質量%フタル酸 0.70質量%、およびPTZ、MEHQ、および変換生成物の合計が、100質量%までの残りの部分を占めた。 処理全体にわたり、気泡の形成は認められなかった。 3時間の処理の終了時に、4口フラスコ内に存在した総量174.5gの液体は、以下の組成を有した:モノマーアクリル酸 5.10質量%2AA 4.53質量%3AA 3.21質量%4AA 2.35質量%5AA 1.55質量%6AA 0.17質量%7AA 0.29質量%8AA 0.06質量%9AA 0.11質量%10AA 0.17質量%アクリル酸ポリマー 76.79質量%フマル酸 2.06質量%フタル酸 0.86質量%、およびPTZ、MEHQ、および変換生成物の合計が、100質量%までの残りの部分を占めた。 蒸留装置内に、39.6gのモノマーアクリル酸が凝縮していた(純度>99質量%)。 実施例1 比較例1を205.4gの同じ液体Fを用いて繰り返した。ただし、実験中に、8体積%の分子状酸素と92体積%の分子状窒素とのガス混合物を、長いカニューレを通して、4口フラスコの内容物の下3分の1内に散布した(フラスコをまず大気圧で170℃まで加熱し、その後圧力を290mbarまで減少させ、その後この希薄空気を、定常状態圧力が305mbarとなるような速度で散布した)。 3時間の処理の終了時に、4口フラスコ内に依然として存在した液体の総量は、177.2gであった。この液体は以下の組成を有した:モノマーアクリル酸 3.22質量%2AA 4.57質量%3AA 2.99質量%4AA 1.98質量%5AA 1.24質量%6AA 0.11質量%7AA 0.45質量%8AA 0.06質量%9AA 0.17質量%10AA 0.28質量%アクリル酸ポリマー 78.89質量%フマル酸 2.31質量%マレイン酸 2.31質量%フタル酸 0.90質量%、およびPTZ、MEHQ、および変換生成物の合計が、100質量%までの残りの部分を占めた。 蒸留装置内に、28.2gのモノマーアクリル酸が凝縮していた(純度>99質量%)。 実施例2 比較例2を繰り返した。ただし、実施例1と同様に、実験中に液体Fに希薄空気を散布した。4口フラスコ中の液体Fの初期質量は、202.8gとした。ただし液体Fの組成は、以下の通りとした:モノマーアクリル酸 10.31質量%2AA 14.30質量%3AA 6.21質量%4AA 3.11質量%5AA 3.50質量%6AA 0.20質量%7AA 0.39質量%8AA 0質量%9AA 0.20質量%10AA 0.20質量%アクリル酸ポリマー 56.90質量%フマル酸 1.68質量%マレイン酸 1.68質量%フタル酸 0.69質量%、およびPTZ、MEHQ、および変換生成物の合計が、100質量%までの残りの部分を占めた。 3時間の処理の終了時に、4口フラスコ内に依然として存在した液体の総量は、149.9gであった。この液体は以下の組成を有した:モノマーアクリル酸 2.20質量%2AA 2.94質量%3AA 2.07質量%4AA 1.40質量%5AA 0.73質量%6AA 0.07質量%7AA 0.20質量%8AA 0.07質量%9AA 0.13質量%10AA 0.20質量%アクリル酸ポリマー 83.46質量%フマル酸 2.27質量%マレイン酸 2.27質量%フタル酸 0.93質量%、およびPTZ、MEHQ、および変換生成物の合計が、100質量%までの残りの部分を占めた。 蒸留装置内に、52.9gのモノマーアクリル酸が凝縮していた(純度>99質量%)。 実施例3 比較例3を繰り返した。ただし、実施例1と同様に、実験中に液体Fに希薄空気を散布した。4口フラスコ中の液体Fの初期質量は、196.5gとした。液体Fの組成は、実施例2におけるものと同様とした。ただし、そのフマル酸含有量は1.78質量%であり、フタル酸含有量は0.61質量%とした。 3時間の処理の終了時に、4口フラスコ内に依然として存在した液体の総量は、121.7gであった。この液体は以下の組成を有した:モノマーアクリル酸 0.33質量%2AA 0.16質量%3AA 0.08質量%4AA 0質量%5AA 0質量%6AA 0質量%7AA 0質量%8AA 0質量%9AA 0質量%10AA 0%質量%アクリル酸ポリマー 91.9質量%フマル酸 2.88質量%マレイン酸 2.22質量%フタル酸 0.99質量%、およびPTZ、MEHQ、および変換生成物の合計が、100質量%までの残りの部分を占めた。 蒸留装置内に、74.8gのモノマーアクリル酸が凝縮していた(純度>99質量%)。 実施例1〜3全てにおいて、熱処理に関連するアクリル酸ポリマーの新しい形成は、比較例において同様の温度で実施した熱処理の場合よりも実質的に低い。 希薄空気の代わりに、実施例1〜3では、凝縮カラムから除去した残留ガスも使用することができた。 実施例4 実施例2による液体F207.0gを用いて、比較例1を繰り返した。ただし、実験中に、まず圧力を290mbarに調節し、Prominent社製ポンプを用いて、10g/3hの強度の酸性水の流れを、4口フラスコの内容物の下3分の1に計量供給した。 凝縮カラムの上部内に、酸性水が凝縮した。これは:水 81.9質量%アクリル酸 9.4質量%酢酸 4.1質量%ホルムアルデヒド 3.8質量%ギ酸 0.7質量%プロピオン酸 0.01質量%MEHQ 0.0001質量%を含んでいた。 3時間の処理の終了時に、4口フラスコ内に依然として存在した液体の総量は、179.1gであった。この液体は以下の組成を有した:モノマーアクリル酸 7.93質量%2AA 7.98質量%3AA 5.08質量%4AA 2.07質量%5AA 1.56質量%6AA 0.17質量%7AA 0.06質量%8AA 0.11質量%9AA 0.17質量%10AA 0.22質量%アクリル酸ポリマー 69.12質量%フマル酸 1.90質量%マレイン酸 1.90質量%フタル酸 0.78質量%、および水、PTZ、MEHQ、および変換生成物の合計が、100質量%までの残りの部分を占めた。 蒸留装置内に、21.5gのモノマーアクリル酸と9.6gの水とを含むが凝縮物が凝縮した。 実施例5 比較例2を繰り返した。さらに、実施例4による酸性水の流れを、実施例4と同様に計量供給した。初期装填した液体Fの量は、201.1gであった。 液体Fの組成は:モノマーアクリル酸 12.33質量%2AA 15.07質量%3AA 6.76質量%4AA 3.38質量%5AA 3.58質量%6AA 0.20質量%7AA 0.35質量%8AA 0.15質量%9AA 0.15質量%10AA 0.10質量%アクリル酸ポリマー 54.25質量%フマル酸 1.39質量%マレイン酸 1.39質量%フタル酸 0.50質量%、および水、PTZ、MEHQ、および変換生成物の合計が、100質量%までの残りの部分を占めた。 3時間の処理の終了時に、4口フラスコ内に依然として存在した液体の総量は、137.4gであった。この液体は以下の組成を有した:モノマーアクリル酸 4.29質量%2AA 4.15質量%3AA 2.47質量%4AA 1.82質量%5AA 0.58質量%6AA 0.15質量%7AA 0.07質量%8AA 0.07質量%9AA 0.07質量%10AA 0.07質量%アクリル酸ポリマー 80.57質量%フマル酸 2.04質量%マレイン酸 2.04質量%フタル酸 0.73質量%、および水、PTZ、MEHQ、および変換生成物の合計が、100質量%までの残りの部分を占めた。 蒸留装置内に、63.7gのモノマーアクリル酸と9.8gの水とを含むが凝縮物が凝縮した。 実施例4および実施例5の双方において、熱処理に関連するアクリル酸ポリマーの新しい形成は、比較例において同様の温度で実施した熱処理の場合よりも著しく低い。 米国特許仮出願第61/04833号(2008年4月28日出願)は、参考として本特許出願に援用される。上述の教示に関して、本発明からの多くの変更および変化が可能である。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲の範囲内で、本明細書に具体的に記載されている方法とは異なって実施することができるものとみなすことができる。 モノマーアクリル酸、マイケルアクリル酸オリゴマー、およびアクリル酸ポリマーを溶解されて含む液体Fに、間接熱交換器を利用して熱を伝達するための方法であって、前記間接熱交換器は、少なくとも1つの第1の空間と、前記少なくとも1つの第1の空間と物理的な隔壁Dで隔てられた少なくとも1つの第2の空間とを有し、前記間接熱交換器内で、前記液体Fが前記少なくとも1つの第2の空間を貫流し、同時に前記少なくとも1つの第1の空間を流体熱媒体Wが貫流し、このとき前記液体Fは、温度TF≧130℃で前記少なくとも1つの第2の空間に流入し、かつ前記流体熱媒体Wは、温度TW>TFで前記少なくとも1つの第1の空間に流入する前記方法において、a)前記液体Fは、前記少なくとも1つの第2の空間に入るとき、 5〜50質量%のマイケルアクリル酸オリゴマーと、 少なくとも40質量%のアクリル酸ポリマーと、 最大25質量%のモノマーアクリル酸と、 最大2質量%の重合抑制剤と、 最大15質量%のその他の化合物と、を含み、かつb)前記少なくとも1つの第2の空間を貫流する液体F中に、前記少なくとも1つの第2の空間を貫流している間に、気泡および/または気相と接する前記液体Fの薄層の形成がもたらされることを特徴とする方法。 前記液体Fが、前記少なくとも1つの第2の空間に入るときに、 5〜50質量%のマイケルアクリル酸オリゴマーと、 40〜80質量%のアクリル酸ポリマーと、 5〜20質量%のモノマーアクリル酸と、 0.1〜2質量%の重合抑制剤と、 1〜15質量%のその他の化合物と、を含む、請求項1に記載の方法。 前記液体Fが、前記少なくとも1つの第2の空間に入るときに、 10〜40質量%のマイケルアクリル酸オリゴマーと、 50〜70質量%のアクリル酸ポリマーと、 5〜15質量%のモノマーアクリル酸と、 0.1〜1質量%の重合抑制剤と、 1〜15質量%のその他の化合物と、を含む、請求項1に記載の方法。 前記液体Fが、 15〜35質量%のマイケルアクリル酸オリゴマーと、 50〜70質量%のアクリル酸ポリマーと、 5〜15質量%のモノマーアクリル酸と、 0.1〜1質量%の重合抑制剤と、 1〜15質量%のその他の化合物と、を含む、請求項1に記載の方法。 前記少なくとも1つの第2の空間に入るときに、前記液体F中に含まれる前記マイケルアクリル酸オリゴマーの総量が、40〜60質量%の範囲のマイケルアクリル酸ダイマーからなる、請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。 前記少なくとも1つの第2の空間に入るときに、前記液体F中に含まれる前記マイケルアクリル酸オリゴマーの総量が、15〜30質量%の範囲のマイケルアクリル酸トリマーからなる、請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。 前記少なくとも1つの第2の空間に入るときに、前記液体F中に含まれる前記アクリル酸ポリマーの数平均分子量が500〜106である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。 前記少なくとも1つの第2の空間に入るときに、前記液体F中に含まれる前記アクリル酸ポリマーの数平均分子量が750〜750,000である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。 前記少なくとも1つの第2の空間に入るときに、前記液体F中に含まれる前記アクリル酸ポリマーの数平均分子量が1,000〜100,000である、請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。 前記少なくとも1つの第2の空間に入るときに、前記液体F中に含まれるフマル酸、マレイン酸、フタル酸、およびこれらのカルボン酸の無水物からなる群の化合物の総量が≦10質量%である、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。 前記少なくとも1つの第2の空間に入るときに、前記液体Fが、標準圧力での沸点がアクリル酸の沸点を下回る少なくとも1つの添加物を含む、請求項1から10までのいずれか1項に記載の方法。 前記液体Fが、含まれる前記添加物として、水および/または水溶液を含む、請求項11に記載の方法。 前記液体Fが、含まれる前記添加物として、酸性水を含む、請求項12に記載の方法。 1atmでの沸点が≦−40℃である少なくとも1つの物質が、前記液体Fが前記少なくとも1つの第2の空間に入る前に、前記液体Fに計量供給されている、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。 残留ガスが、前記液体Fが前記少なくとも1つの第2の空間に入る前に、前記液体Fに計量供給されている、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。 130℃≦TF≦250℃である、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。 150℃≦TF≦225℃である、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。 160℃≦TF≦200℃である、請求項1から15までのいずれか1項に記載の方法。 前記温度TFと、前記加熱された液体が前記少なくとも1つの第2の空間を離れるときの温度TAとの差ΔTA,Fが、0.1〜70℃である、請求項1から18までのいずれか1項に記載の方法。 前記温度TFと、前記加熱された液体が前記少なくとも1つの第2の空間を離れるときの温度TAとの差ΔTA,Fが、5〜50℃である、請求項1から18までのいずれか1項に記載の方法。 TW−TFが1〜150℃である、請求項1から20までのいずれか1項に記載の方法。 TW−TFが5〜100℃である、請求項1から20までのいずれか1項に記載の方法。 TW−TFが20〜60℃である、請求項1から20までのいずれか1項に記載の方法。 前記液体Fが貫流する前記少なくとも1つの第2の空間の総体積に対して、その中に含まれる気泡が0.1〜25体積%を占め、その中に含まれる液相が99.9〜75体積%を占める、請求項1から23までのいずれか1項に記載の方法。 前記液体Fが貫流する前記少なくとも1つの第2の空間の総体積に対して、その中に含まれる気泡が0.5〜15体積%を占め、その中に含まれる液相が99.5〜85体積%を占める、請求項1から23までのいずれか1項に記載の方法。 前記液体Fが、前記少なくとも1つの第2の空間を通して強制的に運搬される、請求項1から25までのいずれか1項に記載の方法。 前記間接熱交換器が、管束式熱伝達装置である、請求項1から26までのいずれか1項に記載の方法。 前記間接熱交換器が、マルチフロー管束式熱伝達装置である、請求項1から27までのいずれか1項に記載の方法。 前記間接熱交換器が、プレート式熱伝達装置である、請求項1から26までのいずれか1項に記載の方法。 前記間接熱交換器が、薄膜式熱伝達装置である、請求項1から26までのいずれか1項に記載の方法。 前記間接熱交換器が、流下膜式熱伝達装置である、請求項1から26までのいずれか1項に記載の方法。 前記間接熱交換器が、螺旋管式蒸発器である、請求項1から26までのいずれか1項に記載の方法。 前記少なくとも1つの第2の空間に入るときに、前記液体Fが、前記液体Fにおける気泡形成のために界面張力を低下させる、少なくとも1つの作用添加物質を含む、請求項1から32までのいずれか1項に記載の方法。 溶解したモノマーアクリル酸、マイケル付加によって得られたアクリル酸オリゴマー、およびアクリル酸ポリマーを含有する液体Fに、液体Fが温度TF≧150℃で供給され、熱伝達流体Wが温度TW>TFで供給される間接熱交換器を利用して、熱を伝達するための方法を開示する。前記方法では、前記液体Fが熱交換器を貫流している間に、液体Fに気泡または気相に接する液体Fの薄層が生じる。


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