生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_メタネーション反応装置
出願番号:2011288360
年次:2013
IPC分類:C07C 1/12,C07C 9/04,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

尾白 仁志 芝山 直 JP 2013136538 公開特許公報(A) 20130711 2011288360 20111228 メタネーション反応装置 日立造船株式会社 000005119 渡邉 彰 100079038 岸本 瑛之助 100060874 松村 直都 100106091 尾白 仁志 芝山 直 C07C 1/12 20060101AFI20130614BHJP C07C 9/04 20060101ALI20130614BHJP C07B 61/00 20060101ALN20130614BHJP JPC07C1/12C07C9/04C07B61/00 300 7 1 OL 9 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AA04 4H006AC29 4H006BA21 4H006BC10 4H006BC11 4H006BD80 4H006BD84 4H006BE20 4H006BE41 4H039CA11 4H039CL35 本発明は、二酸化炭素を多く含む原料ガスから二酸化炭素をメタネーション反応によりメタンに変えるためのメタネーション反応装置に関する。 従来のメタネーション反応装置は、原料ガス中の微量の一酸化炭素を低減させるためのものが多く、本発明者らは先に、反応温度と空間速度を特定の範囲に調整することにより改質ガス中の含有量約1%の一酸化炭素を優先的に10ppmまで低減させると共に、触媒粒子をセラミックボールと混合することにより発熱を抑えて反応温度を上記範囲に維持する方法を提案した(特許文献1、図4)。 また、一酸化炭素を含む水素ガスから一酸化炭素を除去するために、反応器を第1反応器と第2反応器に分けて各反応器の温度と触媒条件を調整することにより反応温度の調整が容易で暴走反応を起こさない一酸化炭素除去方法が示されている(特許文献2、図5)。特許第2852320号公報特開2007−254177号公報 しかし、従来のメタネーション反応装置は、水素ガスを主成分とするガス中の微量な一酸化炭素を除去するためのものが中心であり、二酸化炭素を多く含むガスから二酸化炭素をメタネーション反応によりメタンに変えるものではない。二酸化炭素を多く含むガスを対象とする場合、メタネーション反応量が従来と比較してかなり多くなり、従来の方法ではメタネーション反応の反応熱により反応器内の温度が急上昇する危険性があり、触媒層の温度上昇を抑えることが難しい。 本発明者らは、上記の問題を解決すべく検討を重ねた結果、二酸化炭素を多く含む原料ガスをメタネーション反応によりメタンに変換する反応において、装置内温度の急激な上昇を避けることができるメタネーション反応装置を開発した。 請求項1に係る発明は、二酸化炭素を含有する原料ガスに水素を供給し、メタンを含むガスを生成するメタネーション反応装置において、原料ガスと水素の一部を供給する第1反応器と、第1反応器から来る反応混合ガスに水素の残部を供給し、かつ、反応に必要な水素量を調整する第2反応器と、第2反応器から来る生成ガスの組成を調整する第3反応器を含み、第1反応器の反応温度を、同反応器への水素供給量を調整することにより調整することを特徴とするメタネーション反応装置である。 請求項2に係る発明は、二酸化炭素を含有する原料ガスに水素を供給し、メタンを含むガスを生成するメタネーション反応装置において、原料ガスと水素の一部を供給する第1反応器と、第1反応器から来る反応混合ガスに水素の残部を供給し、かつ、反応に必要な水素流量を調整する第2反応器と、第2反応器から来る生成ガスの組成を調整する第3反応器を含み、第1反応器の反応温度を、同反応器へ水蒸気を供給することにより調整することを特徴とするメタネーション反応装置である。 請求項3に係る発明は、第1反応器の反応温度を、同反応器への水素供給量を調整することに加えて、同反応器へ水蒸気を供給することにより調節することを特徴とする請求項1記載のメタネーション反応装置である。 請求項4に係る発明は、第2反応器への水素量が、原料ガス流量と第1反応器への水素流量から計算して調整されることを特徴とする1から3のいずれか記載のメタネーション反応装置である。 請求項5に係る発明は、第3反応器における生成ガスの組成が、同反応器内の温度または圧力の調整により調整されることを特徴とする1から4のいずれか記載のメタネーション反応装置である。 請求項6に係る発明は、第1反応器から第3反応器が多管式反応器であることを特徴とする請求項1から5のいずれか記載のメタネーション反応装置である。 請求項7に係る発明は、第1反応器内の触媒層が、触媒粒子とセラミックボールの混合により希釈されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のメタネーション反応装置である。 請求項1に係る発明においては、メタネーション反応装置は、反応温度を調整する第1反応器と、反応に必要な水素量を調整する第2反応器と、生成したガスの組成を調整する第3反応器に分けられているので、各反応器の条件を柔軟に調整することができる。また、第1反応器の反応温度を、同反応器への水素供給量を調整することにより調整することにより、反応器内の触媒層の温度上昇を許容範囲内に抑えることができる。 請求項2に係る発明においては、第1反応器の反応温度を、同反応器へ水蒸気を供給することにより調整するので、反応器内の触媒層の急激な温度上昇を避けることができる。 請求項3に係る発明においては、第1反応器の反応温度を、同反応器への水素供給量を調整することに加えて、同反応器へ水蒸気を供給するので、反応器内の触媒層の急激な温度上昇を一層効果的に避けることができる。 請求項4に係る発明においては、第2反応器への水素流量を原料ガス流量と第1反応器への水素流量から計算して調整することにより、原料ガス中の二酸化炭素のメタネーション反応に最終的に必要な水素量を供給することができる。 請求項5に係る発明においては、第3反応器内の温度または圧力を調整することにより、化学平衡上必要なガス組成を調整することができる。 請求項6に係る発明においては、第1反応器から第3反応器に多管式反応器を用いることにより反応器内温度を調整し易くすることができる。 請求項7に係る発明においては、第1反応器内の触媒層が、触媒粒子とセラミックボールの混合により希釈されているので、反応器内の触媒層の急激な温度上昇を一層効果的に避けることができる。実施例1のメタネーション反応装置の全体フローを示す図である。実施例2のメタネーション反応装置の全体フローを示す図である。ニッケル系触媒における二酸化炭素分圧と反応速度の関係を示すグラフである。特許文献1のメタネーション反応装置の全体フローを示す図である。特許文献2のメタネーション反応装置の全体フローを示す図である。 次に本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。実施例1 この実施例のメタネーション反応装置の全体フローを図1に示す。同図において、本反応装置は直列に接続された第1反応器R1、第2反応器R2、第3反応器R3および吸着塔Aから主に構成されている。 第1反応器R1には触媒層の温度を計測するための温度計T1が取付けてある。 第1反応器R1への水素供給ライン1には、第1反応器R1への水素供給量を計測するための流量計F1と、その下流にて第1反応器R1への水素供給量を調整するための調整弁V1とが設置してある。調整弁V1は温度計T1の計測温度に従って制御される。 二酸化炭素を多く含む原料ガスを第1反応器R1の頂部へ供給する原料ガス供給ライン2には、ガス流量を計測するための流量計F4が取付けられ、原料ガス供給ライン2と水素供給ライン1の合流点の下流には、反応に必要な温度までガス温度を上昇させる原料ガスヒーターH1と、原料ガスの温度を計測するための温度計T4と、圧力を計測するための圧力計P1とがガス流れ順に設置してある。 第1反応器R1の出口には、排出した反応ガスを冷却するための冷却器C1と、その下に凝縮水を貯めるためのタンクB1が設置され、メタネーション反応により発生した水分をできるだけ除去するようにしてある。 第2反応器R2にも触媒層の温度を計測するための温度計T2が取付けてある。 第2反応器R2への水素供給ライン5には、第2反応器R2への水素供給量を計測するための流量計F2と、その下流にて第2反応器R2への水素供給量を調整するための調整弁V2とが設置してある。調整弁V2は流量計F1と流量計F2と流量計F4の計測値に従って制御される。 第1反応器R1の冷却器C1を経た反応ガスは、反応ガス移送ライン6によって第2反応器R2の頂部へ送られる。反応ガス移送ライン6には、水素供給ライン5との合流点の上流に、第2反応器R2の入口温度および入口圧力を計測するための温度計T5と圧力計P2が設置してある。第2反応器R2の出口にも排出した反応ガスを冷却するための冷却器C2と、その下に凝縮水を貯めるためのタンクB2が設置してある。 第3反応器R3にも触媒層の温度を計測するための温度計T3が取付けてある。 第2反応器R2の冷却器C2を経た反応ガスは、反応ガス移送ライン7によって第3反応器R3の頂部へ送られる。反応ガス移送ライン7には、第3反応器R3の入口温度および入口圧力を計測するための温度計T6と圧力計P3が設置してある。第3反応器R3の出口にも排出した反応ガスを冷却するための冷却器C3と、その下に凝縮水を貯めるためのタンクB3が設置してある。 第3反応器R3の冷却器C3を経た反応ガスは、反応ガス移送ライン8によって吸着塔Aの頂部へ送られ、その底部からメタンを含む生成ガスが抜き出される。反応ガス移送ライン8には、吸着塔Aの入口温度を計測するための温度計T7が設置してある。 各反応器は多管式反応器であり、反応管の中には触媒(例えばNi系触媒)が充填され、反応器胴側に石油系またはシリコン系の熱媒が熱媒循環ライン3により循環され、反応器内温度を一定に保持するようにしている。熱媒循環ライン3には熱媒ヒーターH2とポンプ4が設置され、同ライン3上の熱媒ヒーターH2と第1反応器R1の間に温度計T8が、第1反応器R1と第2反応器R2の間にクーラーC5と温度計T9が、第2反応器R2と第3反応器R3の間にクーラーC6と温度計T10がそれぞれ設置され、熱媒の温度は熱媒ヒーターH2とクーラーにより調整される。 例えば、特許文献1において本発明者らが使用した触媒は、Ni含有量20%、CaO含有量4〜6%の市販のNi系触媒であり、この触媒は図3に示すように200〜250℃の範囲にて二酸化炭素のメタネーション反応にも応用することができる。 原料ガスとして100%二酸化炭素が絶対圧で0.5〜1.0MPaの圧力条件で供給された場合、原料ガスを反応に必要な温度(例えは200℃)まで原料ガスヒーターH1によって昇温させて第1反応器へ供給する。第1反応器R1では熱媒により胴側および管側温度を反応温度(例えば220℃〜250℃)に調整する。それと同時にメタネーション反応に必要な水素を第1反応器R1に供給する。二酸化炭素のメタネーション反応は発熱反応であり、触媒層温度はそのために上昇する。触媒温度が高くなりすぎると、構成機器、熱媒および触媒の耐熱温度を超える恐れがあるため、第1反応器R1に供給する水素量を調整することにより触媒層温度の上昇を抑制する。例えば、Ni系触媒、石油系熱媒を使用した場合、反応前の触媒層の温度が250℃の場合、温度差50〜100℃(触媒層温度:300〜350℃)の上昇に抑える必要がある。第1反応器R1に供給する水素量の調整は、温度計T1の計測温度に従って制御される調整弁V1の開閉によりなされる。 第1反応器R1から排出されたガスは、冷却器C1により第2反応器R2の反応に必要な温度まで冷却されたあと第2反応器R2へ供給される。第2反応器R2の反応温度は第1反応器R1の反応温度より低く設定(例えば、150〜220℃)され、ガス組成中のメタン含有量を化学平衡的に増やす。第2反応器R2への水素量は、原料ガス流量と第1反応器への水素流量から計算して調整される。具体的には、第2反応器R2への水素流量を、原料ガス流量からの二酸化炭素流量および第1反応器R1への水素流量から、化学量論的に供給された二酸化炭素をメタネーション反応するために必要な水素量(化学量論的にはモル比にて、二酸化炭素の4倍の水素が必要である。)の不足分を計算して供給する。 第2反応器R2から排出されたガスは、冷却器C2により第3反応器R3の反応に必要な温度まで冷却されたあと第3反応器R3へ供給される。第3反応器R3では、生成ガスの組成が、同反応器内の温度または圧力の調整により調整される。具体的には、入口ガス圧力と触媒層温度から生成するガスに要求されるガス組成に調整するための温度まで化学平衡的に触媒層温度を調整する。例えば、吸着塔を出たドライ条件のガスにてメタン濃度が99%以上要求される場合、絶対圧で0.5〜1.0MPaの圧力条件では化学平衡上、反応温度を100〜150℃に調整する。 なお、本実施例では第1反応器、第2反応器および第3反応器を各1基ずつ示しているが、反応管の長さの関係で反応器の数を増やしてもよい。例えば、第1反応器を2基以上としてもよい。 また、本実施例では市販のNi系触媒を用いたが、メタネーション反応用のRu系触媒を用いてもよい。ただし、この場合触媒に合わせた温度と圧力条件の設定が必要である。実施例2 メタネーション反応装置の別の実施例の全体フローを図2に示す。この実施例では、原料ガス供給ライン2に、ガス流量を計測するための流量計F4と、原料ガス供給ライン2と水素供給ライン1の合流点との間に、水蒸気調製弁V4を備えた水蒸気供給ライン9が接続されている。水蒸気調製弁V4は温度計T1の計測温度に従って制御される。 メタネーション反応装置のその他の構成は実施例1と同じである。 上記構成のメタネーション反応装置において、実施例1と同様に第1反応器R1への水素供給量を調整すると共に、同反応器R1へ水蒸気を供給することによって、第1反応器R1の触媒層温度の上昇を抑制する。例えば、Ni系触媒、石油系熱媒を使用した場合、反応前の触媒層の温度が250℃の場合、温度差50〜100℃(触媒層温度:300〜350℃)の上昇に抑える必要がある。 第1反応器R1から排出されたガスは、冷却器C1により第2反応器R2の反応に必要な温度まで冷却されたあと第2反応器R2へ供給される。第2反応器R2の反応温度は第1反応器R1の反応温度より低く設定(例えば、150〜220℃)され、ガス組成中のメタン含有量を化学平衡的に増やす。第2反応器R2への水素量は、原料ガス流量と第1反応器への水素流量から計算して調整される。具体的には、第2反応器R2への水素流量を、原料ガス流量からの二酸化炭素流量および第1反応器R1への水素流量から、化学量論的に供給された二酸化炭素をメタネーション反応するために必要な水素量(化学量論的にはモル比にて、二酸化炭素の4倍の水素が必要である。)の不足分を計算して供給する。 第2反応器R2から排出されたガスは、実施例1と同様に処理される。 二酸化炭素を含有する原料ガスに水素を供給し、メタンを含むガスを生成するメタネーション反応装置において、原料ガスと水素の一部を供給する第1反応器と、第1反応器から来る反応混合ガスに水素の残部を供給し、かつ、反応に必要な水素量を調整する第2反応器と、第2反応器から来る生成ガスの組成を調整する第3反応器を含み、第1反応器の反応温度を、同反応器への水素供給量を調整することにより調整することを特徴とするメタネーション反応装置。 二酸化炭素を含有する原料ガスに水素を供給し、メタンを含むガスを生成するメタネーション反応装置において、原料ガスと水素の一部を供給する第1反応器と、第1反応器から来る反応混合ガスに水素の残部を供給し、かつ、反応に必要な水素流量を調整する第2反応器と、第2反応器から来る生成ガスの組成を調整する第3反応器を含み、第1反応器の反応温度を、同反応器へ水蒸気を供給することにより調整することを特徴とするメタネーション反応装置。 第1反応器の反応温度を、同反応器への水素供給量を調整することに加えて、同反応器へ水蒸気を供給することにより調節することを特徴とする請求項1記載のメタネーション反応装置。 第2反応器への水素量が、原料ガス流量と第1反応器への水素流量から計算して調整されることを特徴とする1から3のいずれか記載のメタネーション反応装置。 第3反応器における生成ガスの組成が、同反応器内の温度または圧力の調整により調整されることを特徴とする1から4のいずれか記載のメタネーション反応装置。 第1反応器から第3反応器が多管式反応器であることを特徴とする請求項1から5のいずれか記載のメタネーション反応装置。 第1反応器内の触媒層が、触媒粒子とセラミックボールの混合により希釈されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のメタネーション反応装置。 【課題】二酸化炭素を多く含む原料ガスをメタネーション反応によりメタンに変換する反応において、装置内温度の急激な上昇を避けることができるメタネーション反応装置を提供する。【解決手段】二酸化炭素を含有する原料ガスに水素を供給し、メタンを含むガスを生成するメタネーション反応装置において、原料ガスと水素の一部を供給する第1反応器と、第1反応器から来る反応混合ガスに水素の残部を供給し、かつ、反応に必要な水素量を調整する第2反応器と、第2反応器から来る生成ガスの組成を調整する第3反応器を含み、第1反応器の反応温度を、同反応器への水素供給量を調整することにより調整することを特徴とするメタネーション反応装置。【選択図】 図1


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特許公報(B2)_メタネーション反応装置

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_メタネーション反応装置
出願番号:2011288360
年次:2015
IPC分類:C07C 1/12,C07C 9/04,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

尾白 仁志 芝山 直 JP 5802551 特許公報(B2) 20150904 2011288360 20111228 メタネーション反応装置 日立造船株式会社 000005119 渡邉 彰 100079038 岸本 瑛之助 100060874 松村 直都 100106091 尾白 仁志 芝山 直 20151028 C07C 1/12 20060101AFI20151008BHJP C07C 9/04 20060101ALI20151008BHJP C07B 61/00 20060101ALN20151008BHJP JPC07C1/12C07C9/04C07B61/00 300 C07C 1/12 C07C 9/04 C07B 61/00 CAplus/REGISTRY(STN) 特表2013−515684(JP,A) 特開平11−189552(JP,A) 特開2003−321400(JP,A) 特開昭52−151101(JP,A) 特開昭58−049322(JP,A) 特開昭56−082888(JP,A) 7 2013136538 20130711 8 20140619 土橋 敬介 本発明は、二酸化炭素を多く含む原料ガスから二酸化炭素をメタネーション反応によりメタンに変えるためのメタネーション反応装置に関する。 従来のメタネーション反応装置は、原料ガス中の微量の一酸化炭素を低減させるためのものが多く、本発明者らは先に、反応温度と空間速度を特定の範囲に調整することにより改質ガス中の含有量約1%の一酸化炭素を優先的に10ppmまで低減させると共に、触媒粒子をセラミックボールと混合することにより発熱を抑えて反応温度を上記範囲に維持する方法を提案した(特許文献1、図4)。 また、一酸化炭素を含む水素ガスから一酸化炭素を除去するために、反応器を第1反応器と第2反応器に分けて各反応器の温度と触媒条件を調整することにより反応温度の調整が容易で暴走反応を起こさない一酸化炭素除去方法が示されている(特許文献2、図5)。特許第2852320号公報特開2007−254177号公報 しかし、従来のメタネーション反応装置は、水素ガスを主成分とするガス中の微量な一酸化炭素を除去するためのものが中心であり、二酸化炭素を多く含むガスから二酸化炭素をメタネーション反応によりメタンに変えるものではない。二酸化炭素を多く含むガスを対象とする場合、メタネーション反応量が従来と比較してかなり多くなり、従来の方法ではメタネーション反応の反応熱により反応器内の温度が急上昇する危険性があり、触媒層の温度上昇を抑えることが難しい。 本発明者らは、上記の問題を解決すべく検討を重ねた結果、二酸化炭素を多く含む原料ガスをメタネーション反応によりメタンに変換する反応において、装置内温度の急激な上昇を避けることができるメタネーション反応装置を開発した。 請求項1に係る発明は、二酸化炭素を含有する原料ガスに水素を供給し、メタンを含むガスを生成するメタネーション反応装置において、原料ガスと水素の一部を供給する第1反応器と、第1反応器から来る反応混合ガスに水素の残部を供給し、かつ、反応に必要な水素量を調整する第2反応器と、第2反応器から来る生成ガスの組成を調整する第3反応器を含み、第1反応器で計測された温度に従って同反応器への水素の供給量が制御されることを特徴とするメタネーション反応装置である。 請求項2に係る発明は、二酸化炭素を含有する原料ガスに水素を供給し、メタンを含むガスを生成するメタネーション反応装置において、原料ガスと水素の一部を供給する第1反応器と、第1反応器から来る反応混合ガスに水素の残部を供給し、かつ、反応に必要な水素流量を調整する第2反応器と、第2反応器から来る生成ガスの組成を調整する第3反応器を含み、第1反応器で計測された温度に従って同反応器への水蒸気の供給量が制御されることを特徴とするメタネーション反応装置である。 請求項3に係る発明は、第1反応器で計測された温度に従って同反応器への水素の供給量が制御されることに加えて、同反応器への水蒸気の供給量が制御されることを特徴とする請求項1記載のメタネーション反応装置である。 請求項4に係る発明は、第2反応器への水素量が、原料ガス流量と第1反応器への水素流量から計算して調整されることを特徴とする1から3のいずれか記載のメタネーション反応装置である。 請求項5に係る発明は、第3反応器における生成ガスの組成が、同反応器内の温度または圧力の調整により調整されることを特徴とする1から4のいずれか記載のメタネーション反応装置である。 請求項6に係る発明は、第1反応器から第3反応器が多管式反応器であることを特徴とする請求項1から5のいずれか記載のメタネーション反応装置である。 請求項7に係る発明は、第1反応器内の触媒層が、触媒粒子とセラミックボールの混合により希釈されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のメタネーション反応装置である。 請求項1に係る発明においては、メタネーション反応装置は、反応温度を調整する第1反応器と、反応に必要な水素量を調整する第2反応器と、生成したガスの組成を調整する第3反応器に分けられているので、各反応器の条件を柔軟に調整することができる。また、第1反応器の反応温度を、同反応器への水素供給量を調整することにより調整することにより、反応器内の触媒層の温度上昇を許容範囲内に抑えることができる。 請求項2に係る発明においては、第1反応器の反応温度を、同反応器へ水蒸気を供給することにより調整するので、反応器内の触媒層の急激な温度上昇を避けることができる。 請求項3に係る発明においては、第1反応器の反応温度を、同反応器への水素供給量を調整することに加えて、同反応器へ水蒸気を供給することにより調整するので、反応器内の触媒層の急激な温度上昇を一層効果的に避けることができる。 請求項4に係る発明においては、第2反応器への水素流量を原料ガス流量と第1反応器への水素流量から計算して調整することにより、原料ガス中の二酸化炭素のメタネーション反応に最終的に必要な水素量を供給することができる。 請求項5に係る発明においては、第3反応器内の温度または圧力を調整することにより、化学平衡上必要なガス組成を調整することができる。 請求項6に係る発明においては、第1反応器から第3反応器に多管式反応器を用いることにより反応器内温度を調整し易くすることができる。 請求項7に係る発明においては、第1反応器内の触媒層が、触媒粒子とセラミックボールの混合により希釈されているので、反応器内の触媒層の急激な温度上昇を一層効果的に避けることができる。実施例1のメタネーション反応装置の全体フローを示す図である。実施例2のメタネーション反応装置の全体フローを示す図である。ニッケル系触媒における二酸化炭素分圧と反応速度の関係を示すグラフである。特許文献1のメタネーション反応装置の全体フローを示す図である。特許文献2のメタネーション反応装置の全体フローを示す図である。 次に本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。実施例1 この実施例のメタネーション反応装置の全体フローを図1に示す。同図において、本反応装置は直列に接続された第1反応器R1、第2反応器R2、第3反応器R3および吸着塔Aから主に構成されている。 第1反応器R1には触媒層の温度を計測するための温度計T1が取付けてある。 第1反応器R1への水素供給ライン1には、第1反応器R1への水素供給量を計測するための流量計F1と、その下流にて第1反応器R1への水素供給量を調整するための調整弁V1とが設置してある。調整弁V1は温度計T1の計測温度に従って制御される。 二酸化炭素を多く含む原料ガスを第1反応器R1の頂部へ供給する原料ガス供給ライン2には、ガス流量を計測するための流量計F4が取付けられ、原料ガス供給ライン2と水素供給ライン1の合流点の下流には、反応に必要な温度までガス温度を上昇させる原料ガスヒーターH1と、原料ガスの温度を計測するための温度計T4と、圧力を計測するための圧力計P1とがガス流れ順に設置してある。 第1反応器R1の出口には、排出した反応ガスを冷却するための冷却器C1と、その下に凝縮水を貯めるためのタンクB1が設置され、メタネーション反応により発生した水分をできるだけ除去するようにしてある。 第2反応器R2にも触媒層の温度を計測するための温度計T2が取付けてある。 第2反応器R2への水素供給ライン5には、第2反応器R2への水素供給量を計測するための流量計F2と、その下流にて第2反応器R2への水素供給量を調整するための調整弁V2とが設置してある。調整弁V2は流量計F1と流量計F2と流量計F4の計測値に従って制御される。 第1反応器R1の冷却器C1を経た反応ガスは、反応ガス移送ライン6によって第2反応器R2の頂部へ送られる。反応ガス移送ライン6には、水素供給ライン5との合流点の上流に、第2反応器R2の入口温度および入口圧力を計測するための温度計T5と圧力計P2が設置してある。第2反応器R2の出口にも排出した反応ガスを冷却するための冷却器C2と、その下に凝縮水を貯めるためのタンクB2が設置してある。 第3反応器R3にも触媒層の温度を計測するための温度計T3が取付けてある。 第2反応器R2の冷却器C2を経た反応ガスは、反応ガス移送ライン7によって第3反応器R3の頂部へ送られる。反応ガス移送ライン7には、第3反応器R3の入口温度および入口圧力を計測するための温度計T6と圧力計P3が設置してある。第3反応器R3の出口にも排出した反応ガスを冷却するための冷却器C3と、その下に凝縮水を貯めるためのタンクB3が設置してある。 第3反応器R3の冷却器C3を経た反応ガスは、反応ガス移送ライン8によって吸着塔Aの頂部へ送られ、その底部からメタンを含む生成ガスが抜き出される。反応ガス移送ライン8には、吸着塔Aの入口温度を計測するための温度計T7が設置してある。 各反応器は多管式反応器であり、反応管の中には触媒(例えばNi系触媒)が充填され、反応器胴側に石油系またはシリコン系の熱媒が熱媒循環ライン3により循環され、反応器内温度を一定に保持するようにしている。熱媒循環ライン3には熱媒ヒーターH2とポンプ4が設置され、同ライン3上の熱媒ヒーターH2と第1反応器R1の間に温度計T8が、第1反応器R1と第2反応器R2の間にクーラーC5と温度計T9が、第2反応器R2と第3反応器R3の間にクーラーC6と温度計T10がそれぞれ設置され、熱媒の温度は熱媒ヒーターH2とクーラーにより調整される。 例えば、特許文献1において本発明者らが使用した触媒は、Ni含有量20%、CaO含有量4〜6%の市販のNi系触媒であり、この触媒は図3に示すように200〜250℃の範囲にて二酸化炭素のメタネーション反応にも応用することができる。 原料ガスとして100%二酸化炭素が絶対圧で0.5〜1.0MPaの圧力条件で供給された場合、原料ガスを反応に必要な温度(例えは200℃)まで原料ガスヒーターH1によって昇温させて第1反応器へ供給する。第1反応器R1では熱媒により胴側および管側温度を反応温度(例えば220℃〜250℃)に調整する。それと同時にメタネーション反応に必要な水素を第1反応器R1に供給する。二酸化炭素のメタネーション反応は発熱反応であり、触媒層温度はそのために上昇する。触媒温度が高くなりすぎると、構成機器、熱媒および触媒の耐熱温度を超える恐れがあるため、第1反応器R1に供給する水素量を調整することにより触媒層温度の上昇を抑制する。例えば、Ni系触媒、石油系熱媒を使用した場合、反応前の触媒層の温度が250℃の場合、温度差50〜100℃(触媒層温度:300〜350℃)の上昇に抑える必要がある。第1反応器R1に供給する水素量の調整は、温度計T1の計測温度に従って制御される調整弁V1の開閉によりなされる。 第1反応器R1から排出されたガスは、冷却器C1により第2反応器R2の反応に必要な温度まで冷却されたあと第2反応器R2へ供給される。第2反応器R2の反応温度は第1反応器R1の反応温度より低く設定(例えば、150〜220℃)され、ガス組成中のメタン含有量を化学平衡的に増やす。第2反応器R2への水素量は、原料ガス流量と第1反応器への水素流量から計算して調整される。具体的には、第2反応器R2への水素流量を、原料ガス流量からの二酸化炭素流量および第1反応器R1への水素流量から、化学量論的に供給された二酸化炭素をメタネーション反応するために必要な水素量(化学量論的にはモル比にて、二酸化炭素の4倍の水素が必要である。)の不足分を計算してこの流量で水素を供給する。 第2反応器R2から排出されたガスは、冷却器C2により第3反応器R3の反応に必要な温度まで冷却されたあと第3反応器R3へ供給される。第3反応器R3では、生成ガスの組成が、同反応器内の温度または圧力の調整により調整される。具体的には、入口ガス圧力と触媒層温度から生成するガスに要求されるガス組成に調整するための温度まで化学平衡的に触媒層温度を調整する。例えば、吸着塔を出たドライ条件のガスにてメタン濃度が99%以上要求される場合、絶対圧で0.5〜1.0MPaの圧力条件では化学平衡上、反応温度を100〜150℃に調整する。 なお、本実施例では第1反応器、第2反応器および第3反応器を各1基ずつ示しているが、反応管の長さの関係で反応器の数を増やしてもよい。例えば、第1反応器を2基以上としてもよい。 また、本実施例では市販のNi系触媒を用いたが、メタネーション反応用のRu系触媒を用いてもよい。ただし、この場合触媒に合わせた温度と圧力条件の設定が必要である。実施例2 メタネーション反応装置の別の実施例の全体フローを図2に示す。この実施例では、原料ガス供給ライン2に、ガス流量を計測するための流量計F4と、原料ガス供給ライン2と水素供給ライン1の合流点との間に、水蒸気調整弁V4を備えた水蒸気供給ライン9が接続されている。水蒸気調整弁V4は温度計T1の計測温度に従って制御される。 メタネーション反応装置のその他の構成は実施例1と同じである。 上記構成のメタネーション反応装置において、実施例1と同様に第1反応器R1への水素供給量を調整すると共に、同反応器R1へ水蒸気を供給することによって、第1反応器R1の触媒層温度の上昇を抑制する。例えば、Ni系触媒、石油系熱媒を使用した場合、反応前の触媒層の温度が250℃の場合、温度差50〜100℃(触媒層温度:300〜350℃)の上昇に抑える必要がある。 第1反応器R1から排出されたガスは、冷却器C1により第2反応器R2の反応に必要な温度まで冷却されたあと第2反応器R2へ供給される。第2反応器R2の反応温度は第1反応器R1の反応温度より低く設定(例えば、150〜220℃)され、ガス組成中のメタン含有量を化学平衡的に増やす。第2反応器R2への水素量は、原料ガス流量と第1反応器への水素流量から計算して調整される。具体的には、第2反応器R2への水素流量を、原料ガス流量からの二酸化炭素流量および第1反応器R1への水素流量から、化学量論的に供給された二酸化炭素をメタネーション反応するために必要な水素量(化学量論的にはモル比にて、二酸化炭素の4倍の水素が必要である。)の不足分を計算して供給する。 第2反応器R2から排出されたガスは、実施例1と同様に処理される。 二酸化炭素を含有する原料ガスに水素を供給し、メタンを含むガスを生成するメタネーション反応装置において、原料ガスと水素の一部を供給する第1反応器と、第1反応器から来る反応混合ガスに水素の残部を供給し、かつ、反応に必要な水素量を調整する第2反応器と、第2反応器から来る生成ガスの組成を調整する第3反応器を含み、第1反応器で計測された温度に従って同反応器への水素の供給量が制御されることを特徴とするメタネーション反応装置。二酸化炭素を含有する原料ガスに水素を供給し、メタンを含むガスを生成するメタネーション反応装置において、原料ガスと水素の一部を供給する第1反応器と、第1反応器から来る反応混合ガスに水素の残部を供給し、かつ、反応に必要な水素流量を調整する第2反応器と、第2反応器から来る生成ガスの組成を調整する第3反応器を含み、第1反応器で計測された温度に従って同反応器への水蒸気の供給量が制御されることを特徴とするメタネーション反応装置。 第1反応器で計測された温度に従って同反応器への水素の供給量が制御されることに加えて、同反応器への水蒸気の供給量が制御されることを特徴とする請求項1記載のメタネーション反応装置。 第2反応器への水素量が、原料ガス流量と第1反応器への水素流量から計算して調整されることを特徴とする1から3のいずれか記載のメタネーション反応装置。 第3反応器における生成ガスの組成が、同反応器内の温度または圧力の調整により調整されることを特徴とする1から4のいずれか記載のメタネーション反応装置。 第1反応器から第3反応器が多管式反応器であることを特徴とする請求項1から5のいずれか記載のメタネーション反応装置。 第1反応器内の触媒層が、触媒粒子とセラミックボールの混合により希釈されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載のメタネーション反応装置。


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