タイトル: | 公開特許公報(A)_ポリグリセリンの製造方法 |
出願番号: | 2011287194 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C07C 41/09,C07C 43/04,C07B 61/00 |
西 隆文 安井 亮介 福島 哲朗 JP 2013136521 公開特許公報(A) 20130711 2011287194 20111228 ポリグリセリンの製造方法 花王株式会社 000000918 古谷 聡 100087642 溝部 孝彦 100076680 義経 和昌 100098408 西 隆文 安井 亮介 福島 哲朗 C07C 41/09 20060101AFI20130614BHJP C07C 43/04 20060101ALI20130614BHJP C07B 61/00 20060101ALN20130614BHJP JPC07C41/09C07C43/04 BC07B61/00 300 10 OL 13 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC43 4H006AD11 4H006BA02 4H006BA32 4H006BC40 4H006BD10 4H006BD70 4H006GN05 4H006GP01 4H006GP10 4H039CA60 4H039CA61 4H039CD10 4H039CD30 4H039CD90 4H039CE10 本発明は、ポリグリセリンの製造方法に関する。 ポリグリセリンは、保湿剤、増粘剤、可塑剤として利用されるほか、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル等の乳化剤、保湿剤、可塑剤、界面活性剤の原料として、食品、化粧品、香粧品、医薬品等の産業分野で利用されている。 従来、ポリグリセリンを製造する方法としては、一般にはグリセリンをアルカリ触媒存在下で加熱し、脱水縮合反応を行う方法が知られている。しかし、これらの方法で製造されたポリグリセリンは着色がはげしく、更に水素還元、活性炭処理、活性白土処理、イオン交換樹脂処理等の精製工程が必要となる。 そこで、ポリグリセリンの着色を改善する技術として、アルカリ触媒と酸化アルミニウム吸着剤を添加して縮合させる方法(特許文献1)、反応混合物の沸騰状態を維持しながら反応を行う方法(特許文献2)、及び特定の固体酸触媒を用いる方法(特許文献3)が提案されている。特開昭61−238749号公報特開平7−216082号公報特開平9−136953号公報 しかし、前記アルカリ触媒と酸化アルミニウム吸着剤を添加する方法や、固体触媒を用いた方法では、触媒の調製や、得られたポリグリセリンと触媒との分離が必要であり生産性に課題がある。 また、沸騰状態を維持しながら反応を行う方法では、特殊な反応装置が必要で汎用性が低いという課題がある。 そこで、本発明は、グリセリンからポリグリセリンを製造する際に、触媒の調製及び除去工程を簡略化でき、特別な反応装置を必要とせず、経済的かつ効率的に、色相の良好なポリグリセリンを製造できる、ポリグリセリンの製造方法を提供することを課題とする。 本発明は、触媒の存在下、グリセリンを脱水縮合する工程を有するポリグリセリンの製造方法であって、前記グリセリンのカルボニル価が0.001〜3.5μmol/gである、ポリグリセリンの製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう)に関する。 また、本発明は、前記本発明の製造方法によりポリグリセリンを製造した後、得られたポリグリセリンを蒸留してジグリセリンを得る蒸留工程を有する、ジグリセリンの製造方法に関する。 本発明の製造方法によれば、グリセリンの脱水縮合によりポリグリセリンを製造する際に、触媒の調製及び精製工程の負荷を軽減でき、色相の優れたポリグリセリンを製造することができる。(ポリグリセリン) 本発明の製造方法により得られるポリグリセリンは、下記一般式(1)で表されるグリセリンの重合物である。 HO−(A−O)r−H (1) 式中、Aはグリセリンから2つのヒドロキシル基を除いた残基を示し、rは平均縮合度であって、1より大きく20以下の数を示す。 ポリグリセリン脂肪酸エステルやポリグリセリンアルキルエーテル等の界面活性剤に誘導した際の物性や性能の観点から、前記rは、1より大きく10以下の数が好ましく、1より大きく8以下の数がより好ましい。 本発明の製造方法により得られるポリグリセリンは、化粧品等への利用の観点から、ガードナー値は3以下が好ましく、より好ましくは2以下、更に好ましくは1以下、更に好ましくはAPHA値が200以下である。ポリグリセリンのガードナー値やAPHA値は、実施例に記載の方法により測定することができる。(グリセリン) 原料として用いられるグリセリン(以下、「原料グリセリン」ともいう)は、原料グリセリンの精製負荷の低減、及びポリグリセリンの色相改善の観点から、カルボニル価が0.001〜3.5μmol/gであり、好ましくは0.01〜3.5μmol/g、より好ましくは0.1〜3.5μmol/g、更に好ましくは0.1〜3.0μmol/g、更に好ましくは0.1〜2.0μmol/g、更に好ましくは0.1〜1.5μmol/g、更に好ましくは0.1〜1.0μmol/gである。 本発明の製造方法により、色相に優れたポリグリセリンが得られる理由は明らかではないが、カルボニル価が前記範囲内のグリセリンを用いることにより、原料グリセリン中に含まれるカルボニル化合物の分解や重合が抑制されるためと推測される。 ここで、前記カルボニル価は、試料(グリセリン)1g中に含まれるカルボニル化合物(ケトン、アルデヒド)のμmol数を意味し、具体的には、実施例に記載の方法により測定される値である。原料グリセリンのカルボニル価は、後述するグリセリンの製造方法や蒸留、水素還元、吸着処理等の精製工程を行うことにより前記範囲内に調整することができる。 また、原料グリセリンの導電率は、脱水縮合反応の反応性や、得られるポリグリセリンの色相改善の観点から、0〜100μS/cmが好ましく、より好ましくは0〜50μS/cm、更に好ましくは0〜30μS/cm、更に好ましくは0〜20μS/cm、更に好ましくは0〜10μS/cmである。ここで、グリセリンの導電率とは、グリセリン50%水溶液の20℃における導電率を意味し、具体的には実施例に記載の方法により測定される値である。原料グリセリンの導電率は、後述するグリセリンの製造方法や蒸留、水素還元、吸着処理等の精製工程を行うことにより前記範囲内に調整することができる。 原料グリセリンは、カルボニル価が前記範囲内のものであれば、精製グリセリンであっても、精製、脱臭、脱色、脱塩等の精製処理を行わない粗グリセリンであっても構わない。原料グリセリンの精製工程の負荷を低減する観点から、粗グリセリンを使用することが好ましい。ここで、粗グリセリンとは、後述する油脂のエステル交換反応や加水分解反応により得られたグリセリンで精製処理を施していないものをいう。 原料グリセリンは、油脂の加水分解、油脂とアルコールとのエステル交換反応、又は化学合成により製造することができる。経済性、得られるグリセリンのカルボニル価の調整の観点から、前記グリセリンは、油脂とアルコールとをエステル交換反応して得られるものであることが好ましい。 したがって、本発明の製造方法では、油脂をアルコールでエステル交換反応して前記グリセリンを得るエステル交換反応工程の後、触媒の存在下、グリセリンを脱水縮合する工程を有することが好ましい。 エステル交換反応工程に用いられる油脂としては、ヤシ油、パーム油、パーム核油、大豆油、ナタネ油、ひまわり油、綿実油、落花生油、藻油等の植物油脂、牛脂、豚脂、魚油等の動物油脂が挙げられ、これらは精製したものを用いてもよい。 エステル交換反応工程に用いられるアルコールとしては、炭素数1〜5の低級アルコールを用いることが好ましく、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどが挙げられる。工業的には、低コスト並びに回収の容易さの観点から、メタノールが好ましい。 油脂とアルコールとのエステル交換反応は、原料グリセリンの精製負荷の低減、及びポリグリセリンの色相改善の観点から、固体触媒の存在下で行うことが好ましい。ここで、固体触媒とは、アルコーリシス反応活性を有し、反応溶液に不溶の触媒をいう。固体触媒としては、グリセリン選択性向上の観点から、固体酸触媒が好ましい。 固体酸触媒としては、ニオブ酸、シリカアルミナ、シリカチタニア、シリカジルコニア、チタニアジルコニア、リン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム触媒、リン酸鉄、硫酸アルミニウム、硫酸イオン担持ジルコニア、硫酸イオン担持チタニア、五フッ化アンチモン担持シリカアルミナ、酸性白土、カオリン、モンモリロナイト、フッ化スルホン樹脂、合成ゼオライト、カチオン交換樹脂からなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。中でも、強酸点が少なく高いグリセリン選択性を示すオルトリン酸アルミニウム触媒が好ましい。 オルトリン酸アルミニウム触媒としては、リン酸アルミニウム触媒にアルキル基を導入したアルキルホスホン酸複合リン酸アルミニウム触媒が好ましい。 エステル交換反応工程における反応形式は、バッチ式及び連続式のいずれでもよく、また、攪拌機を有する槽型反応器及び触媒を充填した固定床反応器のいずれでもよい。精製負荷を低減する観点から、触媒分離を必要としない固定床反応器を用いることが好ましい。 エステル交換反応工程における、油脂に対する原料アルコールのモル比(油脂を全てトリグリセリドとして換算)は、良好な反応速度を得る観点から、化学量論的必要量の1.5倍以上が好ましく、より好ましくは2倍以上、更に好ましくは5倍以上である。 また、原料アルコールの回収量を抑えて経済的に反応を行う観点から、好ましくは50倍以下、より好ましくは30倍以下、更に好ましくは15倍以下である。 したがって、油脂に対する原料アルコールのモル比は、好ましくは1.5〜50倍、より好ましくは2〜30倍、更に好ましくは5〜15倍である。 エステル交換反応工程における固体酸触媒の使用量は、反応効率向上の観点から、油脂に対して1質量%以上が好ましく、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上である。また、攪拌により十分な懸濁状態を保持させる観点から、油脂に対して20質量%以下が好ましく、より好ましくは17質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。 よって、前記の観点から、固体酸触媒の使用量は、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは3〜17質量%、更に好ましくは5〜15質量%である。 エステル交換反応工程における反応温度は、反応効率の向上、及び副生成物の抑制の観点から、好ましくは50〜220℃、より好ましくは60〜200℃、更に好ましくは80〜200℃、更に好ましくは130〜200℃である。 また、反応圧力は、反応効率の向上の観点から、好ましくは0.1〜10MPa、より好ましくは0.5〜8MPa、更に好ましくは2〜6MPaである。 また、エステル交換反応工程を固定床反応器にて連続的に反応を行う場合の油脂基準の液空間速度(LHSV)は、反応器の単位体積あたりの生産性を高め、経済的に反応を行う観点から、0.02/hr以上が好ましく、0.1/hr以上がより好ましく、0.2/hr以上が更に好ましい。また、十分な反応率を得る観点から、2.0/hr以下が更に好ましく、1.0/hr以下がより好ましく、0.7/hr以下が更に好ましい。なお、前記LHSVは、反応原料が触媒層を通過する時間の逆数を意味する。 (脱水縮合工程) 原料グリセリン、好ましくは上記の油脂とアルコールとをエステル交換反応して得たグリセリンを触媒存在下で脱水縮合する脱水縮合反応は、回分式で反応を行うことができる。ここで回分式とは、一定容積の反応容器に反応原料を投入し、反応の途中もしくは終了後に生成物を取り出す反応方法のことをいう。 グリセリンの脱水縮合反応に用いられる触媒としては、グリセリンに均一溶解する酸性触媒やアルカリ性触媒が挙げられるが、得られるポリグリセリンの色相改善の観点から、アルカリ性触媒が好ましい。 アルカリ性触媒としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、乳酸塩、酢酸塩、アルコキサイド及び水素化物から選ばれる1種以上が挙げられる。 前記アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム等が挙げられ、前記アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。 これらのうち、反応性及び経済性の観点から、アルカリ性触媒は、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、乳酸塩、酢酸塩及びアルコキサイドからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩及び重炭酸塩からなる群から選ばれる1種以上であることがより好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム及び水酸化バリウムからなる群から選ばれる1種以上であることが更に好ましい。 脱水縮合反応工程における触媒の使用量としては、反応性の向上、反応終了後の中和や触媒除去の負荷低減、ポリグリセリンの色相改善の観点から、グリセリンに対して0.1〜5モル%が好ましく、より好ましくは0.1〜3モル%、更に好ましくは0.2〜2モル%、更に好ましくは0.2〜1モル%である。 脱水縮合反応工程における反応温度は、反応性の低下抑制、生産性、ポリグリセリン品質の向上の観点から、180〜270℃が好ましく、より好ましくは200〜260℃、更に好ましくは210〜250℃、更に好ましくは220〜250℃である。 脱水縮合反応工程におけるグリセリンの転化率は、界面活性剤へと誘導した際の性能の観点から、20%〜90%が好ましく、20%〜85%がより好ましく、20〜75%がさらに好ましい。ここで、グリセリンの転化率とは、反応に使用したグリセリンの質量に対する消費されたグリセリンの質量の割合をいい、実施例に記載の方法により測定することができる。 脱水縮合反応工程の反応時間としては、反応条件により異なるが、ポリグリセリンの品質、生産性向上の観点から、0.1〜20時間が好ましく、1〜15時間がより好ましく、1〜10時間がより好ましい。 脱水縮合反応工程の圧力は、反応により生成する水を系内から除去して、反応効率を向上させる観点から、30〜101.3kPaが好ましく、30〜90kPaがより好ましく、30〜80kPaが更に好ましい。また、窒素やアルゴンなどの不活性ガスを任意の流速で反応系に流すことにより、水を反応系から除くこともできる。 脱水縮合反応工程の終了後に、ポリグリセリンの品質の観点から、中和剤を用いて触媒の中和工程を実施することが好ましい。この中和工程が触媒の除去工程に相当する。 中和剤としては、アルカリ性触媒を用いた場合には、酢酸、乳酸、クエン酸等の有機酸、リン酸、硫酸、塩酸等の無機酸が挙げられ、酸性触媒を用いた場合には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属塩が挙げられる。これらのうち、経済性、操作性の観点から、触媒にアルカリ性触媒を用いた場合には、中和剤として酢酸、乳酸、リン酸、硫酸、塩酸が好ましく、乳酸、硫酸、リン酸が好ましい。 また、ポリグリセリンを原料としたポリグリセリン脂肪酸エステルやポリグリセリンアルキルエーテル等の界面活性剤への誘導体化反応への影響の観点から、イオン交換樹脂、合成吸着剤などによる吸着処理により、アルカリ性触媒、酸性触媒、及び触媒の中和塩を除去してもよい。 (蒸留工程) 脱水縮合反応工程の終了後に、必要に応じて単蒸留、薄膜式蒸留や分子蒸留等の蒸留工程を実施することにより、残存するグリセリンやジグリセリンの全部又は一部を除去し、ポリグリセリンの組成分布や平均重合度を任意に調整してもよい。 また、前記蒸留により回収されるグリセリンやジグリセリンは、ポリグリセリンの製造原料として再利用することができる。 よって、脱水縮合反応工程の終了後にさらに蒸留工程を付加する方法は、ジグリセリンの製造方法として実施することができる。 未反応グリセリンの蒸留工程は、蒸留中の脱水縮合反応を抑制する観点から、真空度1Pa〜7kPa、蒸留温度130〜250℃で行うのが好ましく、真空度10Pa〜4kPa、蒸留温度130〜230℃がより好ましく、真空度10Pa〜1.5kPa、蒸留温度130〜190℃が更に好ましい。蒸留により回収されるグリセリンやジグリセリンは、生産性の観点から、ポリグリセリンの製造原料として再利用することが好ましい。なお、未反応グリセリンの蒸留は、単蒸留により行うことが好ましい。 ジグリセリンの蒸留工程は、得られるポリグリセリン、ジグリセリンの品質の観点から、真空度1Pa〜0.7kPa、蒸留温度180〜300℃で行うことが好ましく、真空度1Pa〜0.2kPa、蒸留温度180〜280℃で行うことがより好ましい。また、ジグリセリンの品質向上の観点から、未反応グリセリンを蒸留した後に、ジグリセリンの蒸留を行うことが好ましい。ジグリセリンの蒸留方法は単蒸留、薄膜式蒸留装置や分子蒸留装置を用いた蒸留等により行うことができるが、ジグリセリンの品質の観点から、薄膜式蒸留装置、又は分子蒸留装置を用いることが好ましい。 薄膜式蒸留装置や分子蒸留装置において、薄膜を形成させる方式としては、例えば、流下式、上昇液膜式、ワイパー式、攪拌式、回転式、遠心式等が挙げられる。 流下式とは、装置の加熱された内壁面に蒸留原料であるポリグリセリンを自然流下させて薄膜を形成させる方式であり、上昇液膜式とは、装置の底部よりガスを導入して液膜を押し上げて薄膜を形成させる方式である。 ワイパー式とは、装置の内壁面に蒸留原料であるポリグリセリンを自然流下させ、更にワイパーブレードを用いてワイピングすることにより薄膜を形成させる方式であり、攪拌式とは、装置に供給されたポリグリセリンをスクレーバー等によって攪拌することにより薄膜を形成させる方式である。 回転式とは、回転する円盤表面に原料ポリグリセリンを伝い流し薄膜を形成させる方式、又は外筒と回転する内筒との間で薄膜を形成させる方式であり、遠心式とは、外筒と内筒の間の両壁に遠心力で薄膜を形成させる方式である。 これらの中では、設備面より、流下式、ワイパー式、攪拌式が好ましい。 本発明の製造方法によって得られるポリグリセリン、及び前記ポリグリセリンの蒸留により得られるジグリセリンは、活性炭処理、活性白土処理、イオン交換樹脂処理等、必要に応じて単一の又は複数の精製工程を経ることで、更に品質を向上させることができる。色相や臭気の更なる改善の観点から、活性炭処理やイオン交換処理、又はその両方の工程を行うことが好ましい。 また、前記の蒸留工程を付加したジグリセリンの製造方法により製造されたジグリセリンは、色相に優れているため、化粧品の保湿剤、増粘剤として、またジグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリンアルキルエーテル等の界面活性剤の原料として幅広く利用することができる。 本発明の製造方法により得られるジグリセリンは、化粧品等への利用や、ジグリセリン脂肪酸エステル等の原料としての利用の観点から、ガードナー値が3以下が好ましく、より好ましくは1以下、更に好ましくはAPHA値が100以下である。ジグリセリンのガードナー値やAPHA値は、実施例に記載の方法により測定することができる。 実施例及び比較例において、「%」は特記しない限り「質量%」を意味する。[測定方法]<グリセリンのカルボニル価(COV)の測定方法> 使用する溶媒をベンゼンからエタノールに代えた以外は、日本油化学協会の基準油脂分析試験法である4-DNPH法に準じて測定を行った(基準油脂2.5.4に基づき実施)。<グリセリンの導電率の測定方法> グリセリンにイオン交換水を加えて、グリセリンの50%水溶液を調製し、20℃における導電率をTwin Cond B-137(HORIBA社製)を用いて測定した。 グリセリンの転化率は、ガスクロマトグラフィーにてグリセリンを定量することで求めた。<ガスクロマトグラフィー分析> 試料に外部標準物質としてテトラデカン(和光純薬株式会社製)を添加した上、トリメチルシリル化剤(GLサイエンス製、TMSI−H)にて処理を施した。固形分をろ別後、以下の条件のガスクロマトグラフィーにて定量分析した。・装置 :HP6850 Series(HEWLETT PACKARD社製)・カラム:DB1−HT(J&W製、内径0.25mm、長さ15m、膜厚0.1m) キャリアガス :He、1.0mL/分 注入口温度 :300℃ 検出 :FID方式、300℃ カラム温度条件:60℃で2分保持後、10℃/分で温度上昇、350℃で5分保持<色相の評価方法> ポリグリセリン等の色相(ガードナー値)をJIS K 0071−2に準じて測定を行い評価した。表1において、ガードナー値の低い方が、色相が良好であることを示す。 色相(ガードーナー値)がG1未満となる場合には、ポリグリセリン等の色相(APHA)をJIS K-3351「工業用グリセリン」の測定法に準じて行い評価した。表1において、APHA値の低い方が、色相が良好であることを示す。<実施例1> 200mlの四つ口フラスコにグリセリン(COV:0.2μmol/g、APHA:5)100.43g(1.09mol)と炭酸カリウム(和光純薬株式会社製)0.76g(5.5mmol)を入れ、67kPaに減圧した後、240℃まで加熱し、反応で生じた水を除去しながら7.5時間、脱水縮合反応を行った。 反応の進行をガスクロマトグラフィーで分析したところ、グリセリンの転化率は49%であり、色相は、ガードナー:1未満、APHA:200であった。結果を表1に示す。<実施例2> COV:3.1μmol/g、APHA:5のグリセリン100.71g(1.09mol)を用いた以外は実施例1と同様にして、脱水縮合反応を行った。結果を表1に示す。<実施例3> エチルホスホン酸9.9gと、85%オルトリン酸27.7g、硝酸アルミニウム(9水和物)112.5gを水1000gに溶解させた。室温(25℃)にて、この混合溶液にアンモニア水溶液を滴下し、pHを5まで上昇させた。途中、ゲル状の白色沈殿が生成した。沈殿をろ過し、水洗後、110℃で5時間乾燥し、60メッシュ以下に粉砕した。粉砕した触媒に対して、アルミナゾルを10%添加し、2.5mmφの押出成形を行った。これを250℃で3時間焼成して、固体酸触媒の成形触媒を得た。 前記成形触媒を充填させた固定床反応器を用いて、ヤシ油及びメタノールをエステル交換反応(反応温度180℃、反応圧力=4.0MPa、LHSV=0.42、メタノール/ヤシ油(モル比)=10)させ、粗グリセリンを得た。 得られた粗グリセリン(COV:1.5μmol/g、ガードナー:2-3)600g(6.51mol)と炭酸カリウム(和光純薬株式会社製)4.5g(32mmol)を用いた以外は実施例1と同様にして脱水縮合反応を行った。結果を表1に示す。<比較例1> COV:11.6μmol/g、APHA:5のグリセリン100.86g(1.10mol)を用いた以外は実施例1と同様にして脱水縮合反応を行った。結果を表1に示す。<実施例4> 〔脱水縮合反応工程〕 1000mlの四つ口フラスコに、実施例3で得られた粗グリセリン(COV:1.5μmol/g、導電率:5μS/cm)600g(6.51mol)と炭酸カリウム(和光純薬株式会社製)4.5g(32mmol)を入れ、実施例1と同様の条件にて脱水縮合反応を行った。反応の進行をガスクロマトグラフィーで分析したところ、グリセリンの転化率は55%であった(収量:559g)。 〔中和工程及びグリセリンの蒸留工程(I)〕 反応終了後、100℃以下に冷却し、硫酸を添加してpH7に中和した。 次に真空度を40Paに保ちながら、190℃まで加熱し、単蒸留にてグリセリンの蒸留除去を行った。回収したグリセリン(収量:230g)の色相(ガードナー値)はG1未満であり、色相(APHA)は40であった。 〔ジグリセリンの蒸留工程(II)〕 次に、このグリセリンを除去した蒸留残分を、薄膜式蒸留装置(ワイパー式)を用いて、真空度20Pa、温度240℃の条件にてジグリセリンを蒸留した。得られた精製ジグリセリン(収量:142g)の色相(ガードナー値)はG1未満であり、色相(APHA)は80であった。<比較例2> 1000mlの四つ口フラスコに、COVが3.8μmol/g、導電率が270μS/cmの粗グリセリン532g(5.78mol)、炭酸カリウム(和光純薬株式会社製)4.0g(29mmol)を入れ、実施例4の脱水縮合反応工程と同様の条件で反応を行い、粗ジグリセリンを得た。得られた粗ジグリセリンのグリセリンの転化率は48%であった(収量:516g)。 反応終了後、実施例4のグリセリンの蒸留工程と同様の条件で蒸留を行い、未反応グリセリンを蒸留除去した。回収したグリセリン(収量:273g)の色相(ガードナー値)はG3であった。 次に、このグリセリンを除去した蒸留残分を、実施例4のジグリセリンの蒸留工程と同様の条件で蒸留を行い、精製ジグリセリンを得た。得られた精製ジグリセリン(収量:106g)の色相(ガードナー値)はG6−G7であった。 本発明の製造方法で得られたポリグリセリン及びジグリセリンは、保湿剤、増粘剤、可塑剤として利用されるほか、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリンアルキルエーテル等の乳化剤、保湿剤、可塑剤、界面活性剤の原料として用いることができる。 触媒の存在下、グリセリンを脱水縮合する工程を有するポリグリセリンの製造方法であって、前記グリセリンのカルボニル価が0.001〜3.5μmol/gである、ポリグリセリンの製造方法。 前記グリセリンのカルボニル価が0.1〜3.5μmol/gである、請求項1記載のポリグリセリンの製造方法。 前記グリセリンの導電率が0〜100μS/cmである、請求項1又は2に記載のポリグリセリンの製造方法。 前記触媒がアルカリ性触媒である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリグリセリンの製造方法。 油脂をアルコールでエステル交換反応して前記グリセリンを得るエステル交換反応工程の後、触媒の存在下、グリセリンを脱水縮合する工程を有する、請求項1〜4いずれか1項に記載のポリグリセリンの製造方法。 前記エステル交換反応工程を固体酸触媒の存在下で行う、請求項5記載のポリグリセリンの製造方法。 前記固体酸触媒が、ニオブ酸、シリカアルミナ、シリカチタニア、シリカジルコニア、チタニアジルコニア、リン酸アルミニウム、オルトリン酸アルミニウム触媒、リン酸鉄、硫酸アルミニウム、硫酸イオン担持ジルコニア、硫酸イオン担持チタニア、五フッ化アンチモン担持シリカアルミナ、酸性白土、カオリン、モンモリロナイト、フッ化スルホン樹脂、合成ゼオライト及びカチオン交換樹脂からなる群から選ばれる1種以上である、請求項6記載のポリグリセリンの製造方法。 前記固体酸触媒が、オルトリン酸アルミニウム触媒である、請求項6記載のポリグリセリンの製造方法。 前記グリセリンが、粗グリセリンである、請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリグリセリンの製造方法。 請求項1〜9のいずれか1項に記載の製造方法によりポリグリセリンを製造した後、得られたポリグリセリンを蒸留してジグリセリンを得る蒸留工程を有する、ジグリセリンの製造方法。 【課題】 経済的かつ効率的に色相の良好なポリグリセリンを製造する方法を提供することを課題とする。【解決手段】触媒の存在下、グリセリンを脱水縮合する工程を有するポリグリセリンの製造方法であって、前記グリセリンのカルボニル価が0.001〜3.5μmol/gである、ポリグリセリンの製造方法に関する。【選択図】なし