タイトル: | 公開特許公報(A)_チロシナーゼ活性阻害剤、美白化粧料、皮膚外用剤および食品褐変防止剤 |
出願番号: | 2011285044 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | A61K 31/192,A61K 8/34,A61Q 19/02,A61P 43/00,A61P 17/00,C12N 9/99,A23L 1/272 |
比嘉 辰典 JP 2013133314 公開特許公報(A) 20130708 2011285044 20111227 チロシナーゼ活性阻害剤、美白化粧料、皮膚外用剤および食品褐変防止剤 農業生産法人株式会社 熱帯資源植物研究所 501388261 木村 満 100095407 齋藤 悦子 100111464 毛受 隆典 100109449 春日 誠 100151998 越山 祥子 100161621 比嘉 辰典 A61K 31/192 20060101AFI20130611BHJP A61K 8/34 20060101ALI20130611BHJP A61Q 19/02 20060101ALI20130611BHJP A61P 43/00 20060101ALI20130611BHJP A61P 17/00 20060101ALI20130611BHJP C12N 9/99 20060101ALI20130611BHJP A23L 1/272 20060101ALI20130611BHJP JPA61K31/192A61K8/34A61Q19/02A61P43/00 111A61P17/00C12N9/99A23L1/272 4 OL 9 4B018 4C083 4C206 4B018MB02 4B018MC04 4C083AC47 4C083AC471 4C083CC02 4C083EE16 4C206AA01 4C206AA02 4C206DA22 4C206MA01 4C206MA04 4C206MA83 4C206NA14 4C206ZA89 4C206ZC20 本発明は、チロシナーゼ活性阻害剤、美白化粧料、皮膚外用剤および食品褐変防止剤に関する。 メラニン色素は、皮膚の表皮最下層の基底層や毛髪の毛母などにあるメラノサイトで生成される。紫外線が皮膚にあたると皮膚の表面で活性酸素が発生しメラノサイトの働きが活性化され、チロシナーゼが生産される。 チロシナーゼはチロシンを出発物質として、チロシンからドーパを産生する反応と、ドーパからドーパキノンを産生する反応とを触媒し、ついで5,6−ジヒドロキシインドフェノール等の中間体を経てメラニンを形成する。このようなメラニン生成を抑制し美白効果を発揮するため各種のチロシナーゼ活性阻害剤が化粧品や医薬品などに配合されている。 たとえば、インペラネン(Imperanene;4−hydroxy−[2−(4−hydroxy−3−methoxyphenyl)ethenyl]−3−methoxy−benzenpropanol)からなるチロシナーゼ活性阻害剤がある(特許文献1)。インペラネンは、ラム酒粕に含まれる公知化合物であるが、アルブチンと比べてチロシナーゼ活性阻害作用が強く、しかも、古くから食品として利用されているサトウキビから得られるものであるため安全性も高いという。 また、バチルス属に属する微生物の培養抽出液から得た新規なテルペノール化合物からなるチロシナーゼ活性阻害剤もある(特許文献2)。実施例では、ポジティブコントロールとして使用するアスコルビン酸と同程度のチロシナーゼ活性阻害効果を示している。 一方、チロシナーゼはフェノール化合物に起因し、加工時に内生するポリフェノールオキシダーゼの影響で褐色反応が生ずる食物の酸化にも関連している。果物、野菜、キノコ、海老、蟹などの食材における褐色や黒色が発生すると商品価値が低下するため、チロシナーゼ活性阻害剤を配合してこのような褐変を防止することが知られている。たとえば、スチリルレゾルシノールからなるチロシナーゼ活性阻害剤は、チロシナーゼ阻害剤ならびに食品産業における褐変防止剤として使用されている(特許文献3)。 同様に、4−メトキシフェネチルメチルエーテルまたはフェニルアセトアルデヒドを有効成分とするチロシナーゼ活性阻害剤および食品褐変防止剤もある(特許文献4)。実施例で評価するチロシナーゼ活性阻害効果は、L−ドーパを基質に生成するドーパクロムの吸光度を測定するものであり、上記化合物を添加した際の吸光度の変化から活性阻害効果を判断するものである。上記化合物は、オイゲノールやコウジ酸よりチロシナーゼ活性阻害効果に優れるという。 また、ハイドロキノン−β−キシロース、ハイドロキノン−β−キシロビオース、ハイドロキノン−β−キシロトリオース、ハイドロキノン−β−ペンタオースおよび/またはそれらの水和物、溶媒和物、それらの塩からなる群から選ばれるハイドロキノンオリゴキシロシドを含有するチロシナーゼ阻害剤もある(特許文献5)。ハイドロキノングルコシドの一つであるアルブチンはチロシナーゼ活性阻害効果を有することが知られている。特許文献5は、より付加価値の高いチロシナーゼ活性阻害剤を検索したものであり、整腸作用や難消化性、非齲蝕原性を有して機能性食品素材としての利用がなされているハイドロキノンオリゴ糖をチロシナーゼ活性阻害剤として使用するものである。特許第4686720号公報特開2010−168313号公報特許第4733018号公報特許第4239126号公報特開2009−28038号公報 チロシナーゼ活性阻害剤は、化粧品、医薬品、食品などに添加されるため、安全性に優れる必要がある。しかしながら、上記特許文献1〜5に記載されるチロシナーゼ活性阻害剤は、いずれも生体外物質であり、人体からは異物である。従って、より安全性に優れるチロシナーゼ活性阻害剤の開発が望ましい。 また、チロシナーゼ活性阻害効果は、たとえば上記特許文献4に示すようにL−ドーパを基質とし、生成するドーパクロムの吸光度を測定する方法が一般的である。しかしながら、実際の日焼けなどによる皮膚の着色は、皮膚に照射された紫外線や紫外線によって発生する活性酸素によってメラノサイトの働きが活性化され、次いでチロシナーゼが生産されるというものである。従って、単にチロシナーゼ活性阻害作用のみならず、SOD様活性やDPPHラジカル補足活性を有すれば、活性酸素を消去してより効果的にメラニン生成を抑制しうる。特許文献5は、ハイドロキノンオリゴキシロシドでありハイドロキノンによる抗酸化性が期待しうるが、高分子であるため溶解性その他の製剤化に制限がある。 上記現状に鑑み、本発明は、製剤化が容易であり、かつ生体成分からなるチロシナーゼ活性阻害剤を提供することを目的とする。 また本発明は、上記チロシナーゼ活性阻害剤からなる美白化粧料、皮膚外用剤、および食品褐変防止剤を提供することを目的とする。 本発明者らは、チロシンの代謝産物であるホモゲンチジン酸に着目し、各種活性を評価したところ、チロシナーゼ活性阻害効果、抗酸化効果、ラジカル消去効果に優れることを見出し、本発明を完成させた。 すなわち本発明は、ホモゲンチジン酸またはホモゲンチジン酸塩を有効成分とする、チロシナーゼ活性阻害剤を提供するものである。 また本発明は、上記チロシナーゼ活性阻害剤を含有する美白化粧料を提供するものである。 また本発明は、上記チロシナーゼ活性阻害剤を含有する皮膚外用剤を提供するものである。 また本発明は、ホモゲンチジン酸またはホモゲンチジン酸塩を有効成分とする、食品褐変防止剤を提供するものである。 本発明によれば、新規チロシナーゼ活性阻害剤、同阻害剤を含有する美白化粧料、皮膚外用剤、食品褐変防止剤が提供される。実施例1のチロシナーゼ阻害活性の結果を示す図である。実施例2のDPPHラジカル消去活性の結果を示す図である。実施例3の還元力の結果を示す図である。実施例4のスーパーオキシドアニオン消去活性の結果を示す図である。 本発明の第一は、ホモゲンチジン酸またはホモゲンチジン酸塩を有効成分とする、チロシナーゼ活性阻害剤を提供するものである。 本発明で使用するホモゲンチジン酸の一般名は2,5−ジヒドロキシフェニル酢酸である。生体内で、チロシンがチロシントランスアミナーゼによって4−ヒドロキシフェニルピルビン酸を生成し、これに4−ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼが作用して生成される。ホモゲンチジン酸からアセチル基を取り除いたハイドロキノンは還元力が強く写真の現像において還元剤として使用されるが、フェノールと同様に変異原性を有する。しかしながら、ホモゲンチジン酸は、生体成分であり安全性に優れる。なお、生体内では、ホモゲンチジン酸−1,2−ジオキシゲナーゼにより4−マレイルアセト酢酸に変換され、最終的にフマル酸やアセト酢酸となりTCA回路に導入される。ホモゲンチジン酸は、上記したように生体成分であり安全性に優れるが、ハイドロキノン誘導体であるためそれ自体酸化されやすく還元剤として使用しうる。更に、後記する実施例に示すように、チロシナーゼ活性阻害効果を有することが判明した。本発明は、安全性に優れ、生体に投与した場合も、DPPHラジカル消去活性、還元力、SOD活性を評価し、本来抗酸化作用を有するホモゲンチジン酸を、チロシナーゼ活性阻害剤として使用するものである。 本発明で使用するホモゲンチジン酸塩における塩とは、医薬品として使用されうる塩であれば特に限定されない。たとえば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム等の無機塩基との塩;メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン等の有機塩基との塩;リジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸との塩およびアンモニウム塩が挙げられる。当該塩は、酸付加塩であってもよく、かかる塩としては、具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等の有機酸;アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸との酸付加塩が挙げられる。 本発明で使用するホモゲンチジン酸やホモゲンチジン酸塩は、そのままチロシナーゼ活性阻害剤として使用しうるが、溶媒または懸濁し、必要に応じて配合物を添加してチロシナーゼ活性阻害剤として使用することができる。このような溶媒としては、水のほか、メタノールやエタノールなどの炭素数1〜5のアルコール類、エーテル類、ケトン類などがある。また、界面活性剤を添加して乳剤としてもよい。ホモゲンチジン酸やホモゲンチジン酸塩の配合量は、溶媒や本発明のチロシナーゼ活性阻害剤の用途に応じて適宜選択することができる。 本発明の第二は、上記チロシナーゼ活性阻害剤を含有する美白化粧料および皮膚外用剤である。なお、本発明において、「美白」とは、メラニン色素の生成を抑え、余分なメラニンのない本来の肌色に戻すこと、または皮膚の黒化若しくはシミ・ソバカス等の色素沈着を防止、抑制することを意味する。 本発明のチロシナーゼ活性阻害剤は、ホモゲンチジン酸またはホモゲンチジン酸塩を有効成分とする。ホモゲンチジン酸等は、チロシナーゼ活性阻害効果のほか、抗酸化効果、ラジカル消去効果に優れる。よって、単にチロシナーゼに対する活性阻害のみならず、活性酸素を消去することでチロシナーゼの産生を抑止することができる。更に、本発明で使用するホモゲンチジン酸等はハイドロキノン誘導体であり、それ自体酸化されやすく還元効果を発揮する。このため、発生したメラニン色素の沈着を還元して炎色化し、しみ等の色素沈着を改善することができる。従って、従来公知のチロシナーゼ阻害剤と同様に美白化粧料や皮膚外用剤に使用することができる。なお、本発明のチロシナーゼ活性阻害剤はラジカル消去活性があるため、皮膚に投与すると紫外線照射によって発生する活性酸素を除去し、活性酸素による傷害も抑制することができる。 本発明のチロシナーゼ活性阻害剤は、水溶性に優れる。このため、化粧水や乳液などに配合して美白化粧料や皮膚外用剤とすることができる。また、軟膏基材に添加してクリームやペーストに、粉末状に加工して粉剤とすることもできる。具体的には、美白化粧料や皮膚外用剤として、軟膏、ローション、クリーム、乳液、美容液、化粧水、マッサージ剤、パック、ファンデーション等がある。本発明のチロシナーゼ活性阻害剤の配合量は、公知の化粧料基剤に、0.0001〜10質量%である。常法に従って、化粧液、乳液、クリーム、ペーストなどとすればよい。 本発明の美白化粧料や皮膚外用剤には、上記チロシナーゼ活性阻害剤の効果を害しない範囲で他の配合物を配合することができる。例えば保湿剤、紫外線吸収剤、アルコール類、キレート類、pH調整剤、乳化安定剤、防腐剤、増粘剤、崩壊剤、希釈剤、色素、香料等を任意に組み合わせて配合することができる。 本発明の第三は、ホモゲンチジン酸またはホモゲンチジン酸塩を有効成分とする、食品褐変防止剤である。 本発明で使用するホモゲンチジン酸は、生体成分である。ホモゲンチジン酸は、生体内でホモゲンチジン酸−1,2−ジオキシゲナーゼによって代謝され、最終的にTCA回路に導入される。フェニルアラニンやチロシンを原料として生体内で発生し、かつ代謝される成分であるため、ホモゲンチジン酸は経口摂取可能な安全な化合物といえる。ホモゲンチジン酸は、ハイドロキノン誘導体であり自体酸化されやすく還元作用を有するが、本来、生体内でも同様の還元作用を発揮している。本発明では、この安全性に優れるホモゲンチジン酸やその塩を食品褐変防止剤として使用するものである。 本発明の食品褐変防止剤におけるホモゲンチジン酸またはホモゲンチジン酸塩の濃度は、0.001〜100質量%である。ホモゲンチジン酸またはホモゲンチジン酸塩をそのまま食品褐変防止剤として使用してもよく、予め水などの溶媒に溶解して食品褐変防止剤として使用してもよい。 本発明の食品褐変防止剤で褐変を防止しうる好ましい食品は、酸化によって褐変する食品に広く適用でき、たとえば、リンゴ、ナシ、ジャガイモなどの果実や野菜製品、カニ、テナガエビなどの甲殻類を例示することができる。 このような食品には、ホモゲンチジン酸またはホモゲンチジン酸塩を、食品に0.0001〜5質量%の範囲で投与することが好ましい。たとえば、褐変を防止するために本発明のチロシナーゼ活性阻害剤の水溶液を調製し、この溶液に食品を浸漬することで褐変を防止することができる。また、加工食品に本発明のチロシナーゼ活性阻害剤を上記範囲で添加し、加工食品の褐変を防止してもよい。 次に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は何ら本発明を制限するものではない。 (実施例1) 96穴マイクロプレートに、10、50、100、500、1000、1500および2000μM濃度のホモゲンチジン酸試料80μLと、シグマ社製チロシナーゼ(1/15Mリン酸緩衝液(pH6.8)にシグマ社製マッシュルーム由来チロシナーゼを100単位/mL濃度に溶解したもの)80μLとを加え、混合して37℃、10分間保持した。これに0.03%のL−DOPA溶液の1/15Mリン酸緩衝溶液(pH6.8)を80μL加え、37℃、5分間保持した後、492nmにおける吸光度(A)を測定した。 また、チロシナーゼ80μLに代えて1/15Mリン酸緩衝液(pH6.8)80μLを添加して、上記と同様に操作して吸光度(B)を測定した。吸光度(B)の分析試料は、ホモゲンチジン酸試料80μL、1/15Mリン酸緩衝液(pH6.8)80μL、L−DOPA溶液80μLとなる。 また、試料80μLに代えて蒸留水80μLを添加し、上記と同様に操作して吸光度(C)を測定した。吸光度(C)の分析試料は、蒸留水80μL、チロシナーゼ溶液80μL、L−DOPA溶液80μLとなる。 また、試料80μLおよびチロシナーゼ80μLに代えて蒸留水80μL、1/15Mリン酸緩衝液(pH6.8)80μLを添加して上記と同様に操作して吸光度(D)を測定した。吸光度(D)の分析試料は、蒸留水80μL、1/15Mリン酸緩衝液(pH6.8)80μL、L−DOPA溶液80μLとなる。これら各吸光度を用いてチロシナーゼ活性阻害率を、阻害率(%)=((1−((A−B)/(C−D)))×100、に基づいて算出した。なお、式中Aは吸光度(A)の、Bは吸光度(B)の、Cは吸光度(C)の、Dは吸光度(D)の値を示す。結果を図1に示す。 ホモゲンチジン酸に代えてコウジ酸、およびアルブチンを使用してチロシナーゼ活性阻害率を算出した。結果を図1に示す。 (結果) アルブチンは、上記各濃度でチロシナーゼ活性阻害を全く示さなかった。これに対し、ホモゲンチジン酸は、1mMで約20%のチロシナーゼ活性阻害を示し、1.7mMで約40%のチロシナーゼ活性阻害を示した。 (実施例2) アスコルビン酸、ホモゲンチジン酸、没食子酸、クロロゲン酸、トロロックス、ケルセチン、カテキンのDPPHラジカル消去活性を評価した。 96穴プレートに、上記化合物の分析試料50μL、エタノール50μL、0.2M、MES緩衝液(pH6.0)50μL、0.75mMのDPPH溶液50μLを加え、室温かつ暗室条件で20分放置した後、515nmにおける各吸光度(A)を測定した。なお、エタノールの終濃度は50%になるようにした。 DPPH溶液に代えて同量のエタノール溶液50μLを使用し、上記と同様に操作して吸光度(B)を測定した。また、分析試料に代えて同量の蒸留水を使用し、上記と同様に操作して吸光度(C)を測定した。 各濃度のトロロックスのエタノール溶液を調製してトロロックス検量線を作成した。試料の抗酸化力は、DPPHラジカル消去活性(%)=(C−(A−B))/C×100、に従って算出した。各試料の濃度は、トロロックス相当量(μM)に換算した。結果を図2に示す。 (結果) 本実験は、安定なラジカルであるDPPH(1,1―ジフェニル−2−ピクリルヒドラジル)の分析試料による消去を、515nmの吸光度測定により検出するものである。図2に示すように、ホモゲンチジン酸によるDPPHラジカル消去活性は、没食子酸についで高い結果となった。このDPPHラジカル消去活性は、従来から抗酸化剤として多用されるアスコルビン酸100μMで約35%であるが、ホモゲンチジン酸は同量で約70%の活性を示し、アスコルビン酸の2倍も高い結果となった。 (実施例3) 0.2Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.6)500μL、各濃度のホモゲンチジン酸試料250μL、2%ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム250μLを添加し、50℃で20分間加温した。冷却後、10%トリクロロ酢酸500μLを添加し、6000rpm、5分遠心分離した。上清500μLに蒸留水500μLを添加した後、0.1%塩化鉄(III)100μLを加えた。分光光度計にて700nmを測定した。前記ホモゲンチジン酸に代えて、ポジティブコントロールとしてアスコルビン酸を使用して同様に測定した。結果を図3に示す。 (結果) 試料の還元力により、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム中の鉄イオンが還元され、それが塩化鉄(III)との複合体を700nmの吸光度測定により検出するものである。図3に示すように、ホモゲンチジン酸は、アスコルビン酸と同様に、濃度に依存した還元力を有することが判明した。 (実施例4) 0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)に、NADHが1352μM、ニトロブルーテトラゾリウムが288μM、フェナジンメトサルフェートが120μM溶解する溶液をそれぞれ調製した。96穴マイクロプレートに4、20、40、80mM濃度のホモゲンチジン酸試料50μLと、上記溶液をそれぞれ50μL加え、室温で5分放置した後、560nmの吸光度(A)を測定した。 フェナジンメトサルフェート溶液の代わりに、同量の0.1Mリン酸緩衝液(pH7.4)を使用して、上記と同様に操作して吸光度(B)を測定した。また、ホモゲンチジン酸試料に代えて同量の蒸留水を使用して上記と同様に操作して吸光度(C)を測定した。 上記吸光度から、阻害率%=(1−(A−B)/C)×100、に従って阻害率を算出した。なお、(A)は吸光度(A)の値、(B)は吸光度(B)の値、(C)は吸光度(C)の値である。結果を図4に示す。図4において、濃度は最終濃度である。 また、ホモゲンチジン酸に代えて没食子酸を使用して上記と同様に操作した結果も図4に示す。 (結果) 反応系により生じたスーパーオキシドアニオンおよびNADHによりニトロブルーテトラゾリウムの還元を生じ、生成されるホルマザンを560nmの吸光度測定を行うことにより間接的にスーパーオキシドアニオンを測定したものである。 従来から還元剤として使用される没食子酸は、1mMで約35%のスーパーオキシドアニオン消去活性を示し、ホモゲンチジン酸は、20mMで約40mMの同活性を示した。 本発明のチロシナーゼ活性阻害剤は、安全性に優れ美白化粧料、皮膚外用剤に配合でき、有用である。 ホモゲンチジン酸またはホモゲンチジン酸塩を有効成分とする、チロシナーゼ活性阻害剤。 請求項1記載のチロシナーゼ活性阻害剤を含有する美白化粧料。 請求項1記載のチロシナーゼ活性阻害剤を含有する皮膚外用剤。 ホモゲンチジン酸またはホモゲンチジン酸塩を有効成分とする、食品褐変防止剤。 【課題】新規なチロシナーゼ活性阻害剤などを提供する。【解決手段】ホモゲンチジン酸を有効成分とするチロシナーゼ活性阻害剤である。このチロシナーゼ活性阻害剤は、美白化粧料や皮膚外用剤として使用することができる。更に、本発明のチロシナーゼ活性阻害剤は、食品褐変防止剤としても使用することができる。ホモゲンチジン酸は、チロシナーゼ活性阻害に優れると共に活性酸素消去能や還元力を有するため、加工食品などに配合して褐変を防止することができる。【選択図】なし