タイトル: | 公開特許公報(A)_光硬化性組成物、光硬化性インクジェットインク、および画像形成方法 |
出願番号: | 2011278184 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C08F 222/40,C07D 207/452,C07D 493/08,C07D 215/06,C09D 11/00,C08F 216/12 |
戸枝 孝由 中村 正樹 川嶋 宏毅 JP 2013129692 公開特許公報(A) 20130704 2011278184 20111220 光硬化性組成物、光硬化性インクジェットインク、および画像形成方法 コニカミノルタIJ株式会社 305002394 八田国際特許業務法人 110000671 戸枝 孝由 中村 正樹 川嶋 宏毅 C08F 222/40 20060101AFI20130607BHJP C07D 207/452 20060101ALI20130607BHJP C07D 493/08 20060101ALI20130607BHJP C07D 215/06 20060101ALI20130607BHJP C09D 11/00 20060101ALI20130607BHJP C08F 216/12 20060101ALI20130607BHJP JPC08F222/40C07D207/452C07D493/08 AC07D215/06C09D11/00C08F216/12 6 OL 40 4C031 4C069 4C071 4J039 4J100 4C031AA03 4C069AD07 4C069BB02 4C069BB49 4C069BC12 4C071AA03 4C071AA07 4C071CC11 4C071EE05 4C071FF15 4C071HH05 4C071HH08 4C071JJ05 4J039AD21 4J039BC12 4J039BC20 4J039BC36 4J039BE01 4J039BE12 4J039BE27 4J039CA07 4J039EA06 4J039GA24 4J100AE09R 4J100AE76R 4J100AL39Q 4J100AM23Q 4J100AM45P 4J100AM47Q 4J100AM55Q 4J100AQ06Q 4J100AQ06R 4J100BA11Q 4J100BA11R 4J100BA15Q 4J100BC07Q 4J100BC12Q 4J100BC26R 4J100BC53Q 4J100CA05 4J100DA01 4J100DA61 4J100JA07 本発明は、光硬化性組成物、光硬化性インクジェットインク、および画像形成方法に関する。 インクジェット記録方法は、比較的簡単な装置で高精細な画像の記録が可能であり、各方面で急速な発展を遂げている。また、使用される用途も多岐に亘り、それぞれの目的にあった記録媒体、あるいはインクジェットインク(以下単にインクとも言う)が使用される。特に、近年では記録速度の大幅な向上がみられ、軽印刷用途にも耐え得る性能を有するプリンタの開発も行われている。 このインクジェット記録方式は、インクジェットヘッドよりインクを吐出し、記録媒体に着弾して、画像を形成する。インクジェットヘッドより吐出させるためには、インクは低粘度であることが必要になる。一方、色の異なった複数のインクが記録媒体上で着弾するため、ブリードと呼ばれる色混ざりを防止するためには、高粘度のインクが必要である。 このジレンマを解決するためのひとつの方法として、光硬化性インクを用いる紫外線硬化型インクジェットが実用化されている。これは、インク中に光硬化性モノマーと光重合開始剤とを加えておき、記録媒体に着弾後に光を照射し、インクを硬化させることで、出射性の確保とブリードの防止を両立させている。しかし、ラジカル重合系は酸素により、カチオン重合系では空気中の水により、それぞれ重合阻害を受けるため、インクジェットのように基材の上に非接触で小液滴のドットを形成する方式では、これらの阻害要因が大きく働く。このため、ラジカル重合系では高照度高光量である大型の紫外線照射装置を用いる必要があり、カチオン重合系では湿度をコントロールする必要があるなどの問題を有する。 このような問題を克服するために、ビニルエーテルをはじめとする電子過多なドナーモノマーと、無水マレイン酸、マレイミドなどの電子不足なアクセプターモノマーとの組み合わせで行う電荷移動錯体重合(CT重合)を用いる技術が提案されている。この反応は、酸素阻害が少ないことが知られていたが、インクジェットインクとして用いる場合、液体状態で長く保存する必要があるために、無水マレイン酸では保存性が悪く、マレイミドでは溶解性が乏しいために、インクジェットノズルが詰まり、出射出来ないという問題があった。 この問題を解決すべく、特許文献1では、溶解性の高いマレイミド化合物として、分子の中央部にアルキレンオキシドを有するマレイミド化合物を用い、これとビニルエーテル化合物とを組み合わせた光硬化性組成物が提案されている。特開平11−124403号公報 しかしながら、特許文献1に記載の光硬化性組成物を用いたインクジェットインクは、高粘度となり、良好な出射ができず、また、インクを硬化させた後の硬化膜がカールしてしまうという問題があった。 そこで、本発明は、出射性および光硬化感度に優れ、かつ硬化膜のカールを抑制できる光硬化性組成物を提供することを目的とする。 本発明者らは、上記課題を解決すべく、鋭意研究を積み重ねた。その結果、アクセプターモノマーおよびドナーモノマーの少なくとも一方が脂環式の架橋環または縮合環を有する化合物を含む光硬化性組成物により、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成するに至った。 本発明の上記目的は、以下の構成により達成される。 1.アクセプターモノマーとドナーモノマーとを含む光硬化性組成物であって、前記アクセプターモノマーおよび前記ドナーモノマーの少なくとも一方が、脂環式の架橋環または縮合環を有する化合物を含む、光硬化性組成物。 2.前記脂環式の架橋環または縮合環は、置換されているかまたは非置換の下記化学式(1)で表される環からなる群より選択される、上記1.に記載の光硬化性組成物。 3.前記脂環式の架橋環または縮合環を有する化合物が、下記化学式(2)または下記化学式(3)で表されるドナーモノマーである、上記2.に記載の光硬化性組成物: 前記化学式(2)および(3)中、 A1およびA2は、それぞれ独立して、置換されているかまたは非置換の前記化学式(1)で表される環からなる群より選択される架橋環または縮合環であり、 R1、R2、およびR3は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分枝状のオキシアルキレン基、炭素数2〜20のアルキレンオキシカルボニル基、または炭素数2〜20のポリ(アルキレンオキシ)カルボニル基であり、 p1、p2、およびp3は、それぞれ独立して、0または1である。 4.前記脂環式の架橋環または縮合環を有する化合物が、下記化学式(4)または下記化学式(5)で表されるアクセプターモノマーである、上記2.または3.に記載の光硬化性組成物: 前記化学式(4)および(5)中、 A3およびA4は、それぞれ独立して、置換されているかまたは非置換の前記化学式(1)で表される環からなる群より選択される架橋環または縮合環であり、 R4、R5、R6、R7、R8、およびR9は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基、または炭素数1〜20の直鎖状もしくは分枝状のオキシアルキレン基であり、 E1、E2、およびE3は、それぞれ独立して、オキシカルボニル基またはカルボニルオキシ基であり、 q1、q2、およびq3は、それぞれ独立して、0または1であり、 r1、r2、およびr3は、それぞれ独立して、0または1である。 5.上記1.〜4.のいずれか1つに記載の光硬化性組成物を含む、光硬化性インクジェットインク。 6.上記5.に記載の光硬化性インクジェットインクを用いる、画像形成方法。 本発明によれば、出射性および光硬化感度に優れ、かつ硬化膜のカールを抑制できる光硬化性組成物が提供されうる。 本発明は、アクセプターモノマーとドナーモノマーとを含む光硬化性組成物であって、前記アクセプターモノマーおよび前記ドナーモノマーの少なくとも一方が、脂環式の架橋環または縮合環を有する化合物を含む、光硬化性組成物である。 また、本発明は、本発明の光硬化性組成物を含む、光硬化性インクジェットインクである。 本発明の光硬化性組成物は、ドナーモノマーおよびアクセプターモノマーを有しており、この光硬化性組成物は、クリアインクとして用いることも可能である。また、本発明の光硬化性インクジェットインクは、本発明の光硬化性組成物に加えて、着色剤および必要に応じて顔料分散剤を有している。本発明の光硬化性組成物および光硬化性インクジェットインクは、光硬化感度や保存安定性の観点から、光ラジカル重合開始剤やラジカル重合禁止剤等を有していてもよい。 CT重合を用いる光硬化性インクジェットインクの出射性を改善するために、特許文献1では、溶解性の高いマレイミド化合物として、分子の中央部にアルキレンオキシドを有するマレイミド化合物を用い、これとビニルエーテル化合物とを組み合わせた光硬化性組成物が提案されている。しかしながら、特許文献1に記載の光硬化性組成物は、高粘度となり、良好な出射ができず、また、インクを硬化させた後の硬化膜がカールしてしまうという問題がある。 この硬化膜のカールが大きくなる理由としては、硬化の際の重合速度が速くなるため、形成されたポリマー鎖に十分な空間を与える間もなく硬化膜が形成されてしまい、その結果、硬化膜がカールするものと推定される。この対策として、分子間に十分な空間を与えるためにマレイミド化合物の分子量を大きくすることも考えられるが、インクの粘度が上昇し、出射性が低下するという問題があった。 これに対し、本発明の光硬化性組成物は、ドナーモノマーおよびアクセプターモノマーの少なくとも一方が、脂環式の架橋環または縮合環を有する化合物を含む。このような環構造を有する嵩高い化合物を用いることにより、硬化直後の硬化膜は自由空間を有することになり、その結果硬化膜のカールが緩和し、さらに出射性や光硬化感度にも優れた光硬化性組成物が得られるものと考えられる。 なお、上記メカニズムは推測によるものであり、本発明は、上記メカニズムに何ら制限されるものではない。 本発明に係る前記脂環式の架橋環または縮合環を有する化合物は、特に制限されないが、具体的には、置換されているかまたは非置換の下記化学式(A)で表される脂環式の架橋環または縮合環からなる群より選択される環を有する化合物が挙げられる。 より好ましくは、本発明に係る前記脂環式の架橋環または縮合環を有する化合物は、置換されているかまたは非置換の下記化学式(1)で表される脂環式の架橋環または縮合環からなる群より選択される環を有する。 前記化学式(A)および前記化学式(1)で表される環は、置換基で置換されていてもよい。置換基の例としては、例えば、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分枝状のヒドロキシアルキル基、ヒドロキシ基、カルボキシル基、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基等が挙げられる。 本発明の光硬化性組成物は、ドナーモノマーおよびアクセプターモノマーの少なくとも一方が、脂環式の架橋環または縮合環を有する化合物を含む。その形態としては、(1)ドナーモノマーが脂環式の架橋環または縮合環を有する化合物を含み、アクセプターモノマーが脂環式の架橋環または縮合環を有する化合物を含まない形態;(2)アクセプターモノマーが脂環式の架橋環または縮合環を有する化合物を含み、ドナーモノマーが脂環式の架橋環または縮合環を有する化合物を含まない形態;(3)ドナーモノマーおよびアクセプターモノマーが共に脂環式の架橋環または縮合環を有する化合物を含む形態、が挙げられる。これらの形態の中でも、モノマーの入手容易性などの観点から、(1)の形態が好ましい。 以下、本発明の光硬化性組成物に用いられるドナーモノマーおよびアクセプターモノマーについて、詳細に説明する。 〔ドナーモノマー〕 本発明の光硬化性組成物はドナーモノマーを含む。ドナーモノマーが、前記脂環式の架橋環または縮合環を有する化合物を含む場合、脂環式の架橋環または縮合環を有する化合物(以下、環構造を有するドナーモノマーとも称する)の具体例としては、下記化学式(2)または(3)で表される化合物が好ましく挙げられる。 前記化学式(2)および(3)中、 A1およびA2は、それぞれ独立して、置換されているかまたは非置換の前記化学式(1)で表される環からなる群より選択される架橋環または縮合環であり、 R1、R2、およびR3は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分枝状のオキシアルキレン基、炭素数2〜20のアルキレンオキシカルボニル基、または炭素数2〜20のポリ(アルキレンオキシ)カルボニル基であり、 p1、p2、およびp3は、それぞれ独立して、0または1である。 前記化学式(2)および(3)中のR1、R2、およびR3として用いられうる直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のアルキレン基の例としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、tert−ブチレン基、ペンチレン基、イソペンチレン基、ネオペンチレン基、へキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基、ノナデシレン基、エイコシレン基等が挙げられる。 前記化学式(2)および(3)中のR1、R2、およびR3として用いられうる直鎖状または分枝状の炭素数1〜20のオキシアルキレン基の例としては、例えば、メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基、イソプロピレンオキシ基、ブチレンオキシ基、イソブチレンオキシ基、sec−ブチレンオキシ基、tert−ブチレンオキシ基、ペンチレンオキシ基、イソペンチレンオキシ基、ネオペンチレンオキシ基、へキシレンオキシ基、へプチレンオキシ基、オクチレンオキシ基、ノニレンオキシ基、デシレンオキシ基、ウンデシレンオキシ基、ドデシレンオキシ基、トリデシレンオキシ基、テトラデシレンオキシ基、ペンタデシレンオキシ基、ヘキサデシレンオキシ基、ヘプタデシレンオキシ基、オクタデシレンオキシ基、ノナデシレンオキシ基、エイコシレンオキシ基等が挙げられる。 炭素数2〜20のアルキレンオキシカルボニル基の例としては、例えば、メチレンオキシカルボニル基、エチレンオキシカルボニル基等が挙げられる。 炭素数2〜20のポリ(アルキレンオキシ)カルボニル基の例としては、例えば、ポリ(エチレンオキシ)カルボニル基が挙げられる。 なお、上記化学式(2)で表される化合物における、R1で表される基のA1で表される環への結合位置はいずれでもよく、特に制限されない。同様に、上記化学式(3)で表される化合物における、R2で表される基およびR3で表される基のA2で表される環への結合位置はいずれでもよく、特に制限されない。 環構造を有するドナーモノマーのさらに具体的な例としては、下記化学式(6)〜(10)で表される化合物が好ましく挙げられる。 これら環構造を有するドナーモノマーは、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。 環構造を有するドナーモノマーは、合成品を用いてもよいし市販品を用いてもよい。合成方法の例としては、例えば、実施例に記載の合成方法が挙げられる。市販品の例としては、例えば、「TCD−VE」、「CDCVE」、「BORVE」、「TDMDVE」、「TDM−MVE」、「CHVE」、「DEGV」(すべて製品名、すべて丸善石油化学株式会社製)等が挙げられる。 ドナーモノマーは、前記環構造を有するドナーモノマー以外に、または前記環構造を有するドナーモノマーに代えて、他のドナーモノマーを含んでもよい。このような他のドナーモノマーの例としては、例えば、単官能または多官能の鎖状のビニルエーテル化合物、N−ビニル化合物等が挙げられる。 単官能ビニルエーテル化合物の具体例としては、例えば、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、n−ヘキシルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、アリルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、9−ヒドロキシノニルビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、エチルエトキシビニルエーテル、アセチルエトキシエトキシビニルエーテル、ハイドロキノンジビニルエーテル、フルフリルビニルエーテル等が挙げられる。 二官能ビニルエーテル化合物の具体例としては、例えば、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、ノナンジオールジビニルエーテル、デカンジオールビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル(TEGDVE)、プロピレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ジブチレングリコールジビニルエーテル、ネオペンチルグリコールジビニルエーテル、トリメチロールプロパンジビニルエーテル、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパンジビニルエーテル、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ビスフェノールAジビニルエーテル、ジビニルレゾルシン、ジビニルハイドロキノン等が挙げられる。 三官能以上の多官能ビニルエーテル化合物の具体例としては、グリセリントリビニルエーテル、エチレンオキサイド変性グリセリントリビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンヘキサビニルエーテル等が挙げられる。 N−ビニル化合物としては、例えば、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン、N−ビニル−ε−カプロラクタム等が挙げられる。 これら他のドナーモノマーは、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。また、これら他のドナーモノマーは、合成品を用いてもよいし市販品を用いてもよい。 ドナーモノマーが環構造を有するドナーモノマーを含む場合の前記環構造を有するドナーモノマーの含有量は、ドナーモノマーの全質量に対して5〜60質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましい。 また、本発明の光硬化性組成物中のドナーモノマーの含有量は、光硬化性組成物の全質量に対して5〜60質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましい。 〔アクセプターモノマー〕 本発明の光硬化性組成物はアクセプターモノマーを含む。アクセプターモノマーが、前記脂環式の架橋環または縮合環を有する化合物を含む場合、脂環式の架橋環または縮合環を有する化合物(以下、環構造を有するアクセプターモノマーとも称する)の具体例としては、下記化学式(4)または(5)で表されるマレイミド化合物が挙げられる。 前記化学式(4)および(5)中、 A3およびA4は、それぞれ独立して、置換されているかまたは非置換の前記化学式(1)で表される環からなる群より選択される架橋環または縮合環であり、 R4、R5、R6、R7、R8、およびR9は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基、または炭素数1〜20の直鎖状もしくは分枝状のオキシアルキレン基であり、 E1、E2、およびE3は、それぞれ独立して、オキシカルボニル基またはカルボニルオキシ基であり、 q1、q2、およびq3は、それぞれ独立して、0または1であり、 r1、r2、およびr3は、それぞれ独立して、0または1である。 前記化学式(4)および(5)のR4、R5、R6、R7、R8、およびR9で用いられる炭素数1〜20の直鎖状または分枝状のアルキレン基、および炭素数1〜20の直鎖状または分枝状のオキシアルキレン基の例は、上記と同様であるので、ここでは説明を省略する。 なお、上記化学式(4)で表される化合物における、R5で表される基のA3で表される環への結合位置はいずれでもよく、特に制限されない。同様に、上記化学式(5)で表される化合物における、R7で表される基およびR8で表される基のA4で表される環への結合位置はいずれでもよく、特に制限されない。 環構造を有するアクセプターモノマーのさらに具体的な例としては、下記化学式(11)〜(12)で表されるマレイミド化合物が挙げられる。 また、下記化学式(13)で表されるマレイン酸エステル類や、下記化学式(14)で表されるフマル酸エステル類なども、本発明に係る環構造を有するアクセプターモノマーとして好適に用いられる。 これら環構造を有するアクセプターモノマーは、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。 前記環構造を有するアクセプターモノマーは、合成品を用いてもよいし市販品を用いてもよい。合成方法の例としては、例えば、実施例に記載の合成方法が挙げられる。 アクセプターモノマーは、前記環構造を有するアクセプターモノマー以外に、または前記環構造を有するアクセプターモノマーに代えて、他のアクセプターモノマーを含んでもよい。このような他のアクセプターモノマーの具体例としては、例えば、無水マレイン酸、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−(2−エチルヘキシル)マレイミド、N−ドデシルマレイミド、N−オクタデシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−(p−カルボメトキシフェニル)マレイミド、4,4’−ジマレイミドビスフェノールF、N−ブチルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−(4−クロロフェニル)マレイミド、2,3−ジメチル−1−N−(2−メタクリルオキシエチルマレイミド、または下記化学式(15)〜(18)で表される化合物等のマレイミド類;マレイン酸、フマル酸;マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジイソプロピル、マレイン酸ジ−n−ブチル、マレイン酸ジ−tert−ブチル、マレイン酸ジ(2−エチルヘキシル)等のマレイン酸エステル類;フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジイソプロピル、フマル酸ジ−n−ブチル、フマル酸ジ−tert−ブチル、フマル酸ジ(2−エチルヘキシル)等のフマル酸エステル類等が挙げられる。これら他のアクセプターモノマーは、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。また、これら他のアクセプターモノマーは、合成品を用いてもよいし市販品を用いてもよい。 アクセプターモノマーが環構造を有するアクセプターモノマーを含む場合の前記環構造を有するアクセプターモノマーの含有量は、アクセプターモノマーの全質量に対して5〜60質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましい。 また、本発明の光硬化性組成物中のアクセプターモノマーの含有量は、光硬化性組成物の全質量に対して5〜60質量%であることが好ましく、20〜50質量%であることがより好ましい。 〔その他のモノマー〕 本発明の光硬化性組成物は、ドナーモノマーおよびアクセプターモノマー以外の他のモノマーを、本発明の効果を損なわない範囲で適宜含むことができる。 その他のモノマーの具体例としては、例えば、イソアミルアクリレート、ステアリルアクリレート、ラウリルアクリレート、デシルアクリレート)、イソミルスチルアクリレート)、イソステアリルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシプロピレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、t−ブチルシクロヘキシルアクリレート等の単官能アクリレートモノマー;トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート等の二官能アクリレートモノマー、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等の三以上の多官能アクリレートモノマー等が挙げられる。これらその他のモノマーは、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。 〔光硬化性組成物の製造方法〕 本発明の光硬化性組成物は、ドナーモノマー、アクセプターモノマー、および必要に応じて添加される他の成分を、撹拌機やペイントシェーカー等の装置を用いて攪拌混合することにより製造することができる。 混合時間および混合時間は、特に制限されないが、好ましくは25〜50℃の温度範囲で、好ましくは0.5〜2時間混合される。 〔光ラジカル重合開始剤〕 本発明に係る光硬化性組成物および光硬化性インクジェットインクにおいては、アクセプターモノマーとして用いられるマレイミド化合物自身も光ラジカル重合開始剤として働くが、より光硬化感度を高めるために、マレイミド化合物以外の光ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。用いられる他の光ラジカル重合開始剤としては下記のものが挙げられる。 1)ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、ビス−N,N−ジメチルアミノベンゾフェノン、ビス−N,N−ジエチルアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン類、およびそれらの塩 2)チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、クロロチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン等のチオキサントン類、およびそれらの塩 3)エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等のアントラキノン類 4)アセトフェノン類 5)ベンゾインメチルエーテル等のベンゾインエーテル類 6)2,4,6−トリハロメチルトリアジン類 7)1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール2量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール2量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体等のイミダゾール類 8)ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、フェナントレンキノン、9,10−フェナンスレンキノン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン類 9)9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体 10)ビスアシルホスフィンオキサイド、ビスフェニルホスフィンオキサイド、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ジフェニル−ホスフィンオキサイド 11)4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、およびこれらのエチレンオキシド付加物。 光ラジカル重合開始剤の市販品の例としては、例えば、Darocur(登録商標)1173、Darocur(登録商標)TPO等が挙げられる。 これら光ラジカル重合開始剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。 また、これら光ラジカル重合開始剤は、本発明のインクジェットインクにそのまま加えてもよいし、溶液の状態で加えてもよい。 光ラジカル重合開始剤の添加量は、光硬化性組成物の全質量に対して、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは4〜12質量%の範囲である。 その他、欧州特許出願公開第1674499号明細書記載のデンドリマーコアに開始剤構造、アミン系開始助剤を結合させたタイプ、欧州特許出願公開第2161264号明細書、欧州特許出願公開第2189477号明細書に記載の重合性基を有する開始剤、アミン系開始助剤、欧州特許第1927632号明細書に記載の複数のアミン系開始助剤を1分子内に有するタイプ、国際公開2009/060235号に記載の分子内に複数のチオキサントンを含有するタイプ、Lamberti社より市販されているESACURE(登録商標)ONE、ESACURE(登録商標)KIP150等に代表されるα−ヒドロキシプロピオフェノンが側鎖に結合したオリゴマータイプの重合開始剤なども好ましく用いられる。 〔光増感剤〕 本発明の光硬化性組成物および光硬化性インクジェットインクには、吸収波長を長波にする目的で、光増感剤を用いることができる。光増感剤の例としては、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、スチリルケトン類、クマリン類、ローダミン類、シアニン類、メロシアニン類などをあげることができる。また、特開2010−018728号公報などに記載されているジヒドロベンゾチアイン−4−オンを用いてもよい。光増感剤を用いる場合の光増感剤の添加量は、光ラジカル重合開始剤の添加量の0.1質量倍から2質量倍までの範囲が好ましい。 これら光増感剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。 また、表面硬化性を高める目的で、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル、トリエタノールアミンなどを加えてもよい。 〔ラジカル重合禁止剤〕 本発明の光硬化性組成物および光硬化性インクジェットインクにおいては、保存安定性を得るために、ラジカル重合禁止剤を添加することが好ましい。 ラジカル重合禁止剤の具体例としては、例えば、メトキノン(ヒドロキノンモノメチルエーテル)、ハイドロキノン、4−メトキシ−1−ナフトール、ヒンダードアミン系酸化防止剤、含窒素複素環メルカプト系化合物、チオエーテル系酸化防止剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、アスコルビン酸類、硫酸亜鉛、チオシアン酸塩類、チオ尿素誘導体、各種糖類、リン酸系酸化防止剤、亜硝酸塩、亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロキシルアミン誘導体、ニトロキシルラジカル類、ジシアンジアミドとポリアルキレンポリアミンの重縮合物等が挙げられる。特に、ニトロキシルラジカル類が好ましい。 ラジカル重合禁止剤の添加量は、光硬化性組成物の全質量に対して、10〜5000ppmであることが好ましい。10ppm以上では、所望の保存安定性が得られ、インクの増粘やインクジェットノズルに対する撥液性を得ることができ、吐出安定性を有する。一方、5000ppm以下であれば、重合開始剤のラジカル発生効率を損なうことがなく、高い硬化感度を維持することができる。 これらラジカル重合禁止剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。 〔着色剤〕 本発明の光硬化性インクジェットインクは、着色剤を用いて、有色の光硬化性のインクジェットインクとして用いてもよい。 この場合、着色剤としては、染料、顔料いずれも用いることが出来るが、光硬化の特性上、光劣化しにくい顔料を色材として用いることが好ましい。用いられる顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、炭酸カルシウム等の無色無機顔料または有色有機顔料を使用することができる。有機顔料としては、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザイエロー、ベンジジンイエロー、ピラゾロンレッドなどの不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の溶性アゾ顔料;アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系有機顔料;キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系有機顔料;ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系有機顔料;イソインドリノンイエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系有機顔料;ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系有機顔料;チオインジゴ系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、キノフタロンイエロー等のキノフタロン系有機顔料;イソインドリンイエローなどのイソインドリン系有機顔料;その他の顔料として、フラバンスロンイエロー、アシルアミドイエロー、ニッケルアゾイエロー、銅アゾメチンイエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレット等が挙げられる。 有機顔料をカラーインデックス(C.I.)No.で以下に例示する。 C.I.ピグメントイエロー12、13、14、17、20、24、74、83、86、93、109、110、117、120、125、128、129、137、138、139、147、148、150、151、153、154、155、166、168、180、185、 C.I.ピグメントオレンジ16、36、43、51、55、59、61、 C.I.ピグメントレッド9、48、49、52、53、57、97、122、123、149、168、177、180、192、202、206、215、216、217、220、223、224、226、227、228、238、240、 C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50、 C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3、15:4、15:6、22、60、64、 C.I.ピグメントグリーン7、36、 C.I.ピグメントブラウン23、25、26。 上記有機顔料の中でも、キナクリドン系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、ベンズイミダゾロン系有機顔料、イソインドリノン系有機顔料、縮合アゾ系有機顔料、キノフタロン系有機顔料、およびイソインドリン系有機顔料等は耐光性が優れているため好ましい。 有機顔料は、レーザ散乱による測定値でインクジェットインク中の平均粒径が15〜250nmの微細粒子であることが好ましい。顔料の平均粒径が15nm未満の場合は、粒径が小さくなることによる耐光性の低下が生じる場合があり、250nmを超える場合は、粗大粒子が多く含まれるようになるために、インクジェットヘッドの目詰まりの原因になり、吐出安定性の低下や、サテライトと言われる微小のミストが発生する問題が起こる場合がある。ただし、酸化チタンの場合は白色度と隠蔽性を持たせるために平均粒径は、好ましくは150〜300nm、より好ましくは180〜250nmである。 また、インクジェットインク中の顔料の最大粒径は、1μmを越えないよう、十分に分散させるか、またはろ過により粗大粒子を除くことが好ましい。粗大粒子が存在すると、やはり吐出安定性が低下する場合がある。有機顔料の分散による微細化は、公知の分散方法を用いて行うことが出来る。 また、顔料の表面は、顔料分散剤との吸着を促進させ、顔料の分散安定性を確保するために、酸性処理または塩基性処理、シナージストや各種カップリング剤による処理など、公知の技術により表面処理を行うことが好ましい。 インクジェットインク中の顔料の含有量は、十分な濃度および十分な耐光性を得る目的から、白色を除く色の場合1.5〜8質量%であることが好ましく、酸化チタンを用いた白色インクの場合10〜30質量%の範囲であることが好ましい。 なお、これら着色剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。 〔顔料分散剤〕 本発明の光硬化性インクジェットインクに含まれる顔料分散剤としては、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルとの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルとの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキル燐酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ステアリルアミンアセテート、顔料誘導体等を挙げることができる。 具体例としては、BYK Chemie社製の「Anti−Terra(登録商標)−U(ポリアミノアマイド燐酸塩)」、「Anti−Terra(登録商標)−203/204(高分子量ポリカルボン酸塩)」、「Disperbyk(登録商標)−101(ポリアミノアマイド燐酸塩と酸エステル)、107(水酸基含有カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアマイド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「400」、「Bykumen(登録商標)」(高分子量不飽和酸エステル)、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸)」、「P104S、240S(高分子量不飽和酸ポリカルボン酸とシリコーン系)」、「Lactimon(登録商標)(長鎖アミンと不飽和酸ポリカルボン酸とシリコーン)」等が挙げられる。 また、Efka CHEMICALS社製の「エフカ(登録商標)44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766」、「エフカポリマー(登録商標)100(変性ポリアクリレート)、150(脂肪族系変性ポリマー)、400、401、402、403、450、451、452、453(変性ポリアクリレート)、745(銅フタロシアニン系)」;共栄社化学株式会社製の「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「フローノンSH−290、SP−1000」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合物)」;楠本化成株式会社製の「ディスパロン(登録商標)KS−860、873SN、874(高分子分散剤)、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル型)」等が挙げられる。 さらには、花王株式会社製の「デモール(登録商標)RN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物ナトリウム塩)、EP」、「ホモゲノール(登録商標)L−18(ポリカルボン酸型高分子)」、「エマルゲン(登録商標)920、930、931、935、950、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン(登録商標)24(ココナッツアミンアセテート)、86(ステアリルアミンアセテート)」;日本ルーブリゾール株式会社製の「ソルスパース(登録商標)5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、7000、13240、13940(ポリエステルアミン系)、17000(脂肪酸アミン系)、24000GR、32000」;日光ケミカルズ株式会社製の「ニッコール(登録商標)T106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)、Hexagline4−0(ヘキサグリセリルテトラオレート)」、味の素ファインテクノ株式会社製のアジスパー(登録商標)821、822、824等が挙げられる。 これらの顔料分散剤は、顔料100質量%に対して、好ましくは5〜70質量%、より好ましくは10〜50質量%の範囲で含有させる。5質量%以上であれば分散安定性が得られ、70質量%以下であれば吐出安定性が得られる。 さらに、これらの顔料分散剤は、0℃におけるインクジェットインク全体への溶解性が5質量%以上であることが好ましい。溶解性が5質量%未満であると、インクを0℃〜10℃程度の間で低温保存をしたときに、ポリマーゲルまたは顔料の軟凝集体が発生する場合があり、インクの保存安定性および吐出安定性が低下する場合がある。 なお、これら顔料分散剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。 〔その他の添加剤〕 本発明の光硬化性組成物または光硬化性インクジェットインクは、上記で説明した以外に、必要に応じて、出射安定性、プリントヘッドやインク包装容器適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、公知の各種添加剤、例えば、界面活性剤、滑剤、充填剤、消泡剤、ゲル化剤、増粘剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜選択して用いることができる。 さらに、必要に応じてエステル系溶剤、エーテル系溶剤、エーテルエステル系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族炭化水素溶剤、含窒素系有機溶剤など少量の溶剤を添加することもできる。 溶剤の具体例としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド、メチルエチルスルホキシド、ジフェニルスルホキシド、テトラエチレンスルホキシド、ジメチルスルホン、メチルエチルスルホン、メチル−イソプロピルスルホン、メチル−ヒドロキシエチルスルホン、スルホラン、或いは、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、β−ラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、イソホロン、シクロヘキサノン、炭酸プロピレン、アニソール、メチルエチルケトン、アセトン、乳酸エチル、乳酸ブチル、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、二塩基酸エステル、メトキシブチルアセテート等が挙げられる。 溶剤の別の具体例としては、例えば、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のアルキレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート等が挙げられる。 これら溶剤を、光硬化性組成物または光硬化性インクジェットインク中に、好ましくは1.5〜30質量%、より好ましくは1.5〜15質量%の含有量で含有させると、ポリ塩化ビニル等の樹脂記録媒体に対する密着性が向上する。 なお、これら溶剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。 また、本発明の光硬化性組成物または光硬化性インクジェットインクに使用することができる界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、脂肪酸塩類等のアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類、アセチレングリコール類、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックコポリマー類等のノニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩類、第四級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤、シリコーン系やフッ素系の界面活性剤が挙げられ、シリコーン系またはフッ素系の界面活性剤がより好ましい。 シリコーン系またはフッ素系の界面活性剤を添加することで、ポリ塩化ビニルシートをはじめ種々の疎水性樹脂からなる記録媒体や、印刷本紙などの吸収が遅い記録媒体に対して、インク混じりをより抑えることができ、高画質な印字画像を得られる。該界面活性剤は、低表面張力の水溶性有機溶剤と併用することが特に好ましい。 シリコーン系の界面活性剤としては、好ましくはポリエーテル変性ポリシロキサン化合物が挙げられ、例えば、信越化学工業株式会社製のKF−351A、KF−642、X−22−4272やビッグケミー・ジャパン株式会社製のBYK−307、BYK−345、BYK−347、BYK−348、東芝シリコーン株式会社製のTSF4452などが挙げられる。 フッ素系の界面活性剤は、通常の界面活性剤の疎水性基の炭素に結合した水素の代わりに、その一部または全部をフッ素で置換したものを意味する。このうち、分子内にパーフルオロアルキル基を有するものが好ましい。 フッ素系の界面活性剤のうち、ある種のものはDIC株式会社からメガファック(登録商標)(Megafac)Fなる商品名で、旭硝子株式会社からサーフロン(登録商標)(Surflon)なる商品名で、ミネソタ・マイニング・アンド・マニファクチュアリング・カンパニー社からフルオラッド(登録商標)(Fluorad)FCなる商品名で、インペリアル・ケミカル・インダストリー社からモンフロール(登録商標)(Monflor)なる商品名で、イー・アイ・デュポン・ネメラス・アンド・カンパニー社からゾニルス(登録商標)(Zonyls)なる商品名で、ファルベベルケ・ヘキスト社からリコベット(登録商標)(Licowet)VPFなる商品名で、またネオス社からフタージェント(登録商標)なる商品名で、それぞれ市販されている。 これら界面活性剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。 界面活性剤の添加量としては、光硬化性組成物または光硬化性インクジェットインクの全質量に対して、0.1質量%以上2.0質量%未満が好ましい。 インクの表面張力としては、15mN/m以上であれば、インクジェットヘッドのノズル周りが濡れて吐出能力が低下することがなく、また35mN/m未満であれば表面エネルギーが通常の紙よりも低いコート紙や樹脂製の記録媒体によく濡れて白ぬけが発生することがないため好ましい。 〔光硬化性インクジェットインクの調製方法〕 本発明の光硬化性インクジェットインクは、上記の光硬化性組成物、着色剤、顔料分散剤などをサンドミル、ペイントシェーカー等の通常の分散機を用いてよく分散することにより製造される。分散させる際には、ジルコニアビーズ等を用いてもよい。また、予め顔料が高濃度で含まれる濃縮液を調製しておき、ドナーモノマーやアクセプターモノマーなどの重合性化合物で希釈する方法も好ましい。通常の分散機による分散においても、充分な分散が可能であり、このため、過剰な分散エネルギーが掛からず、多大な分散時間を必要としないので、インク成分の分散時の変質を招き難く、安定性に優れたインクが調製できる。調製されたインクは、孔径が好ましくは3μm以下、より好ましくは1μm以下のフィルターで濾過することが好ましい。 〔インクジェットインクの物性〕 インクジェットインクは、細いミクロンオーダーのインクジェットヘッドノズルから吐出されるために、粘度は25℃において5〜100mPa・sであり、シェアレート依存性が出来るだけ小さく、表面張力は25℃において22〜35mN/mの範囲にあること、顔料以外に1μmを超えるようなゲル状物質が無いこと、電導度は10μS/cm以下の電導度とし、かつヘッド内部での電気的な腐食のないインクジェットインクとすることが好ましい。コンティニュアスタイプにおいては、電解質による電導度の調整が必要であり、この場合には0.5mS/cm以上の電導度に調整する必要がある。 〔硬化方法〕 本発明の光硬化性組成物または光硬化性インクジェットインクは、基材に塗布後、紫外線を照射して硬化させることが好ましい。紫外線の光源としては、例えば、紫外線LED、紫外線レーザ、水銀アークランプ、キセノンアークランプ、低圧水銀灯、高圧水銀灯、螢光ランプ、炭素アークランプ、タングステン−ハロゲン複写ランプ、または太陽光を使用することができる。 硬化させる際の積算光量は、特に制限されないが、10〜200mJ/cm2であることが好ましい。 〔画像形成方法〕 本発明の光硬化性インクジェットインクを用いた画像形成方法は、特に制限されないが、例えば、紫外線を付与する照射装置を具備したインクジェットプリンターで、インクジェットインクを重ねて硬化する多数回パス方式のシリアル記録方法、または1回のパスで記録するライン記録方法などが挙げられる。具体的には、インクジェットインクを基材上に付与し、基材上のインクジェットインクに紫外線を照射してインクジェットインクを硬化または半硬化状態とし、この上にフレッシュなインクジェットインクを付与し、活性エネルギー線によりインクジェットインクを硬化させる工程を含むものである。 本発明の画像形成方法に用いられる基材としては、従来、各種の用途で使用されている広汎な合成樹脂が全て対象となり、具体的には、例えばポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリプロピレン、(メタ)アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブタジエンテレフタレート等が挙げられ、これらの合成樹脂基材の厚みや形状は何ら限定されない。この他にも金属類、ガラス、印刷用紙なども使用できる。 以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。 下記表1に示されるアクセプターモノマーa−1〜a−10および表2に示されるドナーモノマーb−1〜b−10を準備した。 (合成例1:アクセプターモノマーa−1の合成) 撹拌機、ジムロート冷却機、温度計およびトラップを備えた300mlナス型フラスコに、特許第3599160号明細書に記載の方法で合成した2−マレイミド−2−メチル酢酸33.8g、塩化チオニル28.5gおよびトルエン200mlを順次仕込み、反応温度70℃の条件で6時間撹拌した。反応液を室温まで冷却したのち、ここへトリエチルアミン24.3gを仕込み、反応液を撹拌しながらトリシクロデカノール30.4gを30分かけて滴下した。そのまま室温条件下で12時間撹拌して反応終了とした。反応液をろ過して塩を取り除き、続いてこの反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100mlで3回、飽和食塩水100mlで1回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮してアクセプターモノマーa−1を51.5g(収率85%)で得た。 この方法と同様の合成方法で、アクセプターモノマーa−2〜a−10を合成した。 (合成例2:ドナーモノマーb−7の合成) 撹拌機、ジムロート冷却機、温度計およびトラップを備えた300mlナス型フラスコに、トリシクロデカン−4−カルボン酸36.0g、塩化チオニル28.5gおよびトルエン200mlを順次仕込み、反応温度70℃の条件で6時間撹拌した。反応液を室温まで冷却したのち、ここへトリエチルアミン24.3gを仕込み、反応液を撹拌しながらジエチレングリコールモノビニルエーテル(DEGV)26.4gを30分かけて滴下した。そのまま室温条件下で12時間撹拌して反応終了とした。反応液をろ過して塩を取り除き、続いてこの反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液100mlで3回、飽和食塩水100mlで1回洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮してドナーモノマーb−7を48.3g(収率82%)で得た。 この方法と同様の合成方法で、ドナーモノマーb−5およびb−8を合成した。 ドナーモノマーb−1として、丸善石油化学株式会社製、製品名「TCD−VE」を用いた。同様に、ドナーモノマーb−2として、丸善石油化学株式会社製、製品名「CDCVE」を、ドナーモノマーb−3として、丸善石油化学株式会社製、製品名「BORVE」を、ドナーモノマーb−4として、丸善石油化学株式会社製、製品名「TDMDVE」を、ドナーモノマーb−6として、丸善石油化学株式会社製、製品名「TDM−MVE」を、ドナーモノマーb−9として、丸善石油化学株式会社製、製品名「CHVE」を、ドアーモノマーb−10として、丸善石油化学株式会社製、製品名「DEGV」を、それぞれ用いた。 アクセプターモノマーa−1〜a−10、およびドナーモノマーb−1〜b−10の構造および分子量を下記表1および2に示す。 [実施例1−1] アクセプターモノマーa−1 48.9質量%、TEGDVE(トリエチレングリコールジビニルエーテル)48.9質量%、光ラジカル重合開始剤(BASF社製、Darocur(登録商標)1173)2.1質量%、およびTEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジニル−N−オキシル)0.1質量%を、撹拌スターラーを用いて、50℃で30分間攪拌混合し、光硬化性組成物1−1を作製した。 [実施例1−2〜実施例1−8] アクセプターモノマーa−1をアクセプターモノマーa−2〜a−8に変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして光硬化性組成物1−2〜1−8を作製した。 [比較例1−1〜比較例1−2] アクセプターモノマーa−1をアクセプターモノマーa−9〜a−10に変更したこと以外は、実施例1−1と同様にして光硬化性組成物1−9〜1−10を作製した。 作製した光硬化性組成物1−1〜1−10について、以下の方法で出射性、光硬化感度および硬化膜のカールを評価した。評価結果を下記表3に示す。 〔光硬化性組成物の評価〕 (出射性の評価) コニカミノルタIJ株式会社製のピエゾヘッド512Lを用いて評価を行った。ヘッド温度を90℃以下でインク粘度が10mPa・sになる温度に設定するか、または90℃でも10mPa・sより大きい場合はヘッド温度を90℃に設定した。8kHzの周波数で、42plのインク液滴を10分間連続吐出し、1L相当のインクを吐出した。その後、ヘッドの欠ノズルの数を調べ、下記基準で評価した。 ◎:欠ノズルは認められなかった ○:欠ノズルが1個以上全体の3%未満発生した △:欠ノズルが全体の3%以上、10%未満発生した ×:欠ノズルが全体の10%以上発生した (光硬化感度の評価) 得られた光硬化性組成物を、コニカミノルタIJ株式会社製のピエゾヘッド512Lを搭載したUV硬化型プリンタに装填し、PET基材上に、画像解像度720×720dpi(dpiとは1インチ、即ち2.54cm当たりのドット数を表す)のベタ画像を形成した。その後、高圧水銀灯で10、30および100mJ/cm2の光量になるように、段階的にUV照射した。それぞれの光量となるようにUVを照射した後、ベタ画像を触診して、硬化の程度を観察した。光硬化感度の評価は、以下の基準で行った。 ◎:光量30mJ/cm2で硬化した ○:光量30mJ/cm2では硬化しないが、光量50mJ/cm2では硬化した △:光量50mJ/cm2では硬化しないが、光量100mJ/cm2では硬化した ×:光量100mJ/cm2でも硬化しなかった (硬化膜のカールの評価) 得られた光硬化性組成物を、コニカミノルタIJ株式会社製のピエゾヘッド512Lを搭載したUV硬化型プリンタに装填し、ポリ塩化ビニル基材上に、画像解像度720×720dpi(dpiとは1インチ、即ち2.54cm当たりのドット数を表す)のベタ画像を形成した。その後、高圧水銀灯で、100mJ/cm2の光量でUV照射して硬化させた。このようにして画像を形成したポリ塩化ビニル基材を一晩静置して、そのときに画像(硬化膜)に生じたカールの度合いを目視観察し、下記の基準に基づいて硬化膜のカールを評価した。 ◎:全くカールが発生しない ○:硬化膜の両端にわずかにカールの発生が認められる △:硬化膜の両端に強いカールの発生が認められる ×:硬化膜がロール状になる。 表3に示されるように、環構造を有するアクセプターモノマーを含む本発明の光硬化性組成物(実施例1−1〜1−8)は、出射性、光硬化感度および硬化膜のカールの全てを満足することがわかる。一方、環構造を有するアクセプターモノマーを含まない比較例1−1〜1−2の光硬化性組成物は、出射性、光硬化感度および硬化膜のカールの全てを満足するものではないことがわかる。比較例1−1の光硬化性組成物は、高分子量のアクセプターモノマーを含むため、出射性が低いことがわかる。一方、比較例1−2の光硬化性組成物は、アクセプターモノマーが架橋環または縮合環を有さないため、カールの抑制が十分ではないことがわかる。 [実施例2−1] ドナーモノマーb−1 48.9質量%、N−(2−エチルヘキシル)−マレイミド 48.9質量%、光ラジカル重合開始剤(BASF社製、Darocur(登録商標)1173)2.1質量%、およびTEMPO 0.1質量%を、撹拌スターラーを用いて、50℃で30分間攪拌混合し、光硬化性組成物2−1を作製した。 [実施例2−2〜実施例2−8] ドナーモノマーb−1をドナーモノマーb−2〜b−8に変更したこと以外は、光硬化性組成物2−1と同様にして光硬化性組成物2−2〜2−8を作製した。 [比較例2−1〜比較例2−2] ドナーモノマーb−1をドナーモノマーb−9〜b−10に変更したこと以外は、光硬化性組成物2−1と同様にして光硬化性組成物2−9〜2−10を作製した。 実施例2−1〜実施例2−8において作製した光硬化性組成物の、出射性、光硬化感度、および硬化膜のカールを、上記と同様の方法で評価した。評価結果を下記表4に示す。 表4に示されるように、環構造を有するドナーモノマーを含む本発明の光硬化性組成物(実施例2−1〜2−8)は、出射性、光硬化感度および硬化膜のカールの全てを満足することがわかる。一方、環構造を有するドナーモノマーを含まない比較例2−1〜2−2の光硬化性組成物は、出射性、光硬化感度および硬化膜のカールの全てを満足するものではないことがわかる。 [実施例3−1] N−(2−エチルヘキシル)マレイミド 39.4g、アクセプターモノマーa−1 10.0g、N−ビニル−ε−カプロラクタム 39.5g、カーボンブラック 2.0g、ソルスパース(登録商標)24000GR(日本ルーブリゾール株式会社製)1.0g、およびTEMPO 0.1gを混合し、粒径0.5mmのジルコニアビーズとともにペイントシェーカーで6時間分散混合した。 得られた分散混合液に、Darocur(登録商標)TPO(ホスフィンオキシド系光ラジカル重合開始剤、BASF社製)5.0g、およびQuantacure(登録商標)ITX(チオキサントン系光増感剤、Aceto Chemical社製)3.0gを混合溶解させて、インクジェットインク3−1を作製した。 [実施例3−2〜実施例3−4] アクセプターモノマーa−1の添加量を表5に示すように変更したこと以外は、実施例3−1と同様にしてインクジェットインク3−2〜3−4を作製した。 [比較例3−1] アクセプターモノマーa−1の代わりに、アクセプターモノマーa−9を用いたこと以外は、実施例3−1と同様にしてインクジェットインク3−5を作製した。 [比較例3−2] 下記表5に示す組成で、インクジェットインク3−6を作製した。 〔インクジェットインクの評価〕 (出射性の評価) コニカミノルタIJ株式会社製のピエゾヘッド512Lを用いて評価を行った。ヘッド温度を60℃以下でインク粘度が10mPa・sになる温度に設定するか、または60℃でも10mPa・sより大きい場合はヘッド温度を60℃に設定した。8kHzの周波数で、42plのインク液滴を10分間連続吐出し、1L相当のインクを吐出した。その後、ヘッドの欠ノズルの数を調べ、下記基準で評価した。 ◎:欠ノズルは認められなかった ○:欠ノズルが1個以上全体の3%未満発生した △:欠ノズルが全体の3%以上、10%未満発生した ×:欠ノズルが全体の10%以上発生した (光硬化感度の評価) 得られた光硬化性組成物を、コニカミノルタIJ株式会社製のピエゾヘッド512Lを搭載したUV硬化型プリンタに装填し、PET基材上に、画像解像度720×720dpi(dpiとは1インチ、即ち2.54cm当たりのドット数を表す)のベタ画像を形成した。その後、高圧水銀灯で10、30および100mJ/cm2の光量になるように、段階的にUV照射した。それぞれの光量となるようにUVを照射した後、ベタ画像を触診して、硬化の程度を観察した。光硬化感度の評価は、以下の基準で行った。 ◎:光量10mJ/cm2で硬化した ○:光量10mJ/cm2では硬化しないが、光量30mJ/cm2では硬化した △:光量30mJ/cm2では硬化しないが、光量100mJ/cm2では硬化した ×:光量100mJ/cm2でも硬化しなかった (硬化膜のカールの評価) 得られた光硬化性組成物を、コニカミノルタIJ株式会社製のピエゾヘッド512Lを搭載したUV硬化型プリンタに装填し、ポリ塩化ビニル基材上に、画像解像度720×720dpi(dpiとは1インチ、即ち2.54cm当たりのドット数を表す)のベタ画像を形成した。その後、高圧水銀灯で、100mJ/cm2の光量でUV照射して硬化させた。このようにして画像を形成したポリ塩化ビニル基材を一晩静置して、そのときに画像(硬化膜)に生じたカールの度合いを目視観察し、下記の基準に基づいて硬化膜のカールを評価した。 ◎:全くカールが発生しない ○:硬化膜の両端にわずかにカールの発生が認められる △:硬化膜の両端に強いカールの発生が認められる ×:硬化膜がロール状になる 実施例3−1〜3−4、および比較例3−1〜3−2において作製したインクジェットインクの、出射性、光硬化感度、および硬化膜のカールを、上記と同様の方法で評価した。評価結果を下記表5に示す。なお、表5の各成分の含有量の単位はグラム(g)である。 [実施例4−1] N−(2−エチルヘキシル)マレイミド 39.4g、ドナーモノマーb−1 10.0g、N−ビニル−ε−カプロラクタム 39.5g、カーボンブラック 2.0g、ソルスパース(登録商標)24000GR(ルーブリゾール社製)1.0g、およびTEMPO 0.1gを混合し、粒径0.5mmのジルコニアビーズとともにペイントシェーカーで6時間分散混合した。 得られた分散混合液に、Darocur(登録商標)TPO(ホスフィンオキシド系光開始剤、BASF社製)5.0g、およびQuantacure(登録商標)ITX(チオキサントン系光増感剤、Aceto Chemical社製)3.0gを混合溶解させて、インクジェットインク4−1を作製した。 [実施例4−2〜実施例4−4] ドナーモノマーa−1の添加量を下記表6に示すように変更したこと以外は、実施例4−1と同様にしてインクジェットインク4−2〜インクジェットインク4−4を作製した。 [比較例4−1] ドナーモノマーb−1の代わりに、ドナーモノマーb−10を用いたこと以外は、実施例4−1と同様にしてインクジェットインク4−5を作製した。 [比較例4−2] 下記表6に示す組成で、インクジェットインク4−6を作製した。 実施例4−1〜4−4、および比較例4−1〜4−2において作製したインクジェットインクの、出射性、光硬化感度、および硬化膜のカールを、上記と同様の方法で評価した。評価結果を下記表6に示す。なお、表6の各成分の含有量の単位はグラム(g)である。 実施例3−1〜3−4、実施例4−1〜4−4、比較例3−1〜3−2、および比較例4−1〜4−2の結果から、環構造を有するアクセプターモノマーまたはドナーモノマーを含む本発明のインクジェットインクは、出射性、光硬化感度および硬化膜のカールのバランスに優れることがわかる。一方、アクセプターモノマーまたはドナーモノマーとして高分子量の化合物を用いた場合には出射性が低下し、環構造を有さない化合物を用いた場合には硬化膜のカール抑制が低下することがわかる。 本発明の光硬化性組成物は、様々な塗布法によって塗膜にされて、それを光硬化させることで種々の硬化樹脂膜となり、特に、インクジェット法で塗布される光硬化性インクジェットインクとして好適に用いられる。 アクセプターモノマーとドナーモノマーとを含む光硬化性組成物であって、 前記アクセプターモノマーおよび前記ドナーモノマーの少なくとも一方が、脂環式の架橋環または縮合環を有する化合物を含む、光硬化性組成物。 前記脂環式の架橋環または縮合環は、下記化学式(1)で表される環からなる群より選択される、請求項1に記載の光硬化性組成物。 前記脂環式の架橋環または縮合環を有する化合物が、下記化学式(2)または下記化学式(3)で表されるドナーモノマーである、請求項2に記載の光硬化性組成物: 前記化学式(2)および(3)中、 A1およびA2は、それぞれ独立して、前記化学式(1)で表される環からなる群より選択される架橋環または縮合環であり、 R1、R2、およびR3は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分枝状のオキシアルキレン基、炭素数2〜20のアルキレンオキシカルボニル基、または炭素数2〜20のポリ(アルキレンオキシ)カルボニル基であり、 p1、p2、およびp3は、それぞれ独立して、0または1である。 前記脂環式の架橋環または縮合環を有する化合物が、下記化学式(4)または下記化学式(5)で表されるアクセプターモノマーである、請求項2または3に記載の光硬化性組成物: 前記化学式(4)および(5)中、 A3およびA4は、それぞれ独立して、前記化学式(1)で表される環からなる群より選択される架橋環または縮合環であり、 R4、R5、R6、R7、R8、およびR9は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の直鎖状もしくは分枝状のアルキレン基、または炭素数1〜20の直鎖状もしくは分枝状のオキシアルキレン基であり、 E1、E2、およびE3は、それぞれ独立して、オキシカルボニル基またはカルボニルオキシ基であり、 q1、q2、およびq3は、それぞれ独立して、0または1であり、 r1、r2、およびr3は、それぞれ独立して、0または1である。 請求項1〜4のいずれか1項に記載の光硬化性組成物を含む、光硬化性インクジェットインク。 請求項5に記載の光硬化性インクジェットインクを用いる、画像形成方法。 【課題】出射性および光硬化感度に優れ、かつ硬化膜のカールを抑制できる光硬化性組成物を提供する。【解決手段】アクセプターモノマーとドナーモノマーとを含む光硬化性組成物であって、前記アクセプターモノマーおよび前記ドナーモノマーの少なくとも一方が、脂環式の架橋環または縮合環を有する化合物を含む、光硬化性組成物。【選択図】なし