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タイトル:公開特許公報(A)_緑内障治療薬を含有する安定なフィルム製剤
出願番号:2011278024
年次:2013
IPC分類:A61K 31/496,A61K 9/70,A61K 47/38,A61K 47/18,A61K 47/12,A61K 47/22,A61K 47/32,A61P 27/02,A61P 27/06


特許情報キャッシュ

杉本 信 JP 2013129605 公開特許公報(A) 20130704 2011278024 20111220 緑内障治療薬を含有する安定なフィルム製剤 興和株式会社 000163006 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 杉本 信 A61K 31/496 20060101AFI20130607BHJP A61K 9/70 20060101ALI20130607BHJP A61K 47/38 20060101ALI20130607BHJP A61K 47/18 20060101ALI20130607BHJP A61K 47/12 20060101ALI20130607BHJP A61K 47/22 20060101ALI20130607BHJP A61K 47/32 20060101ALI20130607BHJP A61P 27/02 20060101ALI20130607BHJP A61P 27/06 20060101ALI20130607BHJP JPA61K31/496A61K9/70A61K47/38A61K47/18A61K47/12A61K47/22A61K47/32A61P27/02A61P27/06 7 OL 11 4C076 4C086 4C076AA72 4C076BB24 4C076CC10 4C076DD43S 4C076DD49S 4C076DD59S 4C076EE09A 4C076EE31A 4C076EE32A 4C076FF32 4C076FF63 4C076FF68 4C086AA01 4C086AA02 4C086BC50 4C086GA07 4C086MA03 4C086MA05 4C086MA32 4C086MA58 4C086NA03 4C086NA12 4C086ZA33 本発明は、(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩を含有するフィルム製剤に関し、詳しくは、(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩の薬効が持続し、且つ保存安定性に優れたフィルム製剤に関する。 (S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩は、サブスタンスP拮抗作用、ロイコトリエンD4拮抗作用及びRhoキナーゼ阻害作用を有し、眼においては、優れた眼圧低下作用を示し、緑内障や高眼圧症の予防又は治療剤として有効であることが知られている(特許文献1)。 現在、眼科用医薬製剤として最も汎用されている剤型は液体点眼薬である。一般的に、液体点眼薬の投与は、眼球部に適量の点眼液を滴下することによりなされる。滴下された点眼液は、まず結膜嚢に貯留され、その後結膜上皮又は角膜上皮に浸透し、眼内に移行する。結膜上皮に吸収された薬物は、さらに強膜を拡散して眼内に到達する。また、角膜上皮に吸収された薬物はまず角膜実質を通り、前房に至り、さらに虹彩や水晶体に到達する。またその一部は、虹彩根部より毛様体間質、さらに後ろの脈絡膜へと流れて行く房水の流れにより毛様体、さらに後方の視神経乳頭部にまで到達する(非特許文献1)。 通常、点眼薬の角膜内部への移行率は、薬物の総投与量の数パーセント以下である。また、角膜上皮は脂溶性の薬物との親和性が高いため、水溶性の薬物の場合は脂溶性の薬物と比べ角膜透過率が低下する。よって、水溶性薬物を有効成分として配合している点眼薬は、その薬物利用率も低いということになる。点眼後、利用されなかった大半の薬物は、涙液と混ざり体外に流れ落ちて失われるか、涙点から鼻涙管を通って鼻腔粘膜又は咽頭粘膜に到達し、そこで吸収され全身循環に入ることが知られている。 このように、液体点眼薬、特に(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩等の水溶性薬物を含む液体点眼薬では、大半の薬物が眼内で利用されていないのが実情である。 この問題を克服するために、液体点眼薬中の薬物濃度を高め、薬物の眼内移行を増強させることが考えられるが、鼻涙管を通って鼻や喉の粘膜で高濃度の薬物が吸収され全身循環に入った場合、副作用が強く現れる恐れがあるため、好ましい対処法とはいえない。 薬物の眼における薬効を効率よく発揮させるためには、目的とする部位に、目的とする濃度で、目的とする時間、薬物を暴露する必要がある。しかし、通常の液体点眼薬ではこれをコントロールすることは難しい。加えて、液体点眼薬には、点眼液の差し過ぎや、失敗、瞬きによる薬物の流出等の問題もある。 そのため、これら液体点眼薬の諸問題を克服するために、点眼液をゲル、フィルム又は埋め込み製剤にすることが提案されている。 例えば、眼から薬物が流出することを防止するため、又は薬効を延長するために、点眼液に高分子量のヒドロキシプロピルメチルセルロース又はメチルセルロースを添加した水溶性レバミピド含有懸濁性ハイドロゲル(特許文献2)、パクリタキセル、水溶性フィルム形成ポリマー及び150〜4000の分子量を有する脂肪酸グリセリド又は脂肪酸エステルを配合した眼への薬物送達に適したフィルム組成物(特許文献3)、1回の眼内投与で眼内における薬物濃度を所要の期間維持させるために、ポリ乳酸中に抗炎症剤又は細胞増殖抑制剤を均一に分散し成形したことを特徴とする短棒状の徐放性眼内埋め込み用製剤(特許文献4)、通常の点眼液にゲル化剤としてカルボキシビニルポリマーを配合し、デキサメタゾンリン酸二水素二ナトリウムの耐久性を改良した眼科用製剤(特許文献5)、点眼液にメチルセルロース及びポリエチレングリコールを配合し、点眼後に体内でゲル化するように調製されたレボフロキサシン含有熱ゲル化抗菌性水性医薬組成物(特許文献6)等が報告されている。国際公開第2006/068208号特表2009−536940号公報特開2005−533106号公報特開平5−17370号公報特表2001−518510号公報国際公開第2002/011734号CLINICAN’96 No.453 80−81 フィルム製剤は、投与が簡便で、確実に薬物を患部に投与することができ、また、別の部位に薬物が移送されるリスクが少ないため、薬物利用率の向上及び副作用軽減の観点から好ましい製剤である。本発明者が検討したところ、水溶性フィルム形成剤を基剤とするフィルム製剤に(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩を含有させると、通常の点眼液よりも(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩が徐放的に放出されることを見出した。 しかしながら、その保存中、特に高温条件下で保存すると、経時的に(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩の含量が低下し、安定性に課題があることが判明した。 本発明は、斯かる実情に鑑み、(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩の薬効が持続し、且つ保存安定性に優れたフィルム製剤を提供しようとするものである。 本発明者は、上記課題に対して鋭意検討したところ、フィルム製剤に抗酸化剤を含有させれば、経時的な(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩の含量低下が抑制され、安定性に優れた(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩含有製剤とすることができることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明は、(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩、水溶性フィルム形成剤及び抗酸化剤を含有することを特徴とするフィルム製剤を提供するものである。 また、本発明は、(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩、水溶性フィルム形成剤、抗酸化剤及びカルボキシビニルポリマーを含有することを特徴とするフィルム製剤を提供するものである。 本発明によれば、(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩の薬効が持続し、且つ保存安定性に優れたフィルム製剤を提供することができる。本発明のフィルム製剤を眼に適用すれば、通常の液体点眼薬を用いるよりも、目的とする患部で持続的に(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩の薬理作用を発揮させ、緑内障や高眼圧症の予防又は治療に対して長時間の有用性が期待できる。フィルム製剤の保存安定性を示す図である。 本発明に用いる(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩は、サブスタンスP拮抗作用、ロイコトリエンD4拮抗作用及びRhoキナーゼ阻害作用を有する公知の化合物であり(特開平11−349482号公報)、公知の方法、例えば、国際公開第99/20620号パンフレット又は国際公開第2006/57397号パンフレットに記載の方法により製造することができる。 (S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジンの塩としては、例えば塩酸、硫酸、硝酸、フッ化水素酸、臭化水素酸等の無機酸の塩、又は酢酸、酒石酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、カンファースルホン酸等の有機酸の塩等の製薬上許容される塩が挙げられ、特に塩酸塩が好ましい。 また、本発明のフィルム製剤に配合される(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩は、未溶媒和型のみならずそれらの溶媒和物も使用することができる。溶媒和物としては、水和物、アルコール和物(例えば、エタノール和物)等が挙げられる。本発明においては、さらにそれら全ての結晶型を包含する。 本発明のフィルム製剤を製造するにあたっては、(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン塩酸塩・2水和物を使用することが好ましい。 本発明のフィルム製剤における(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩の含有量は、特に制限はないが、製剤全量に対して1〜20質量%が好ましく、3〜18質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。 本発明に用いる水溶性フィルム形成剤とは、水と接触すると溶解又は粘稠な液となるか、或いは膨潤してヒドロゲルを形成する性質を有し、乾燥状態ではフィルムを形成する性質を有する高分子である。 水溶性フィルム形成剤としては、例えば、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸又はその塩、ペクチン、カラギーナン、キサンタンガム、デンプン、トラガントゴム、キサンタンゴム、コラーゲン、ゼラチン、ガラクトマンナン、糖タンパク質、プロテオグリカン、グルコサミノグリカン、ポリビニルアルコール、又は水溶性セルロース誘導体等が挙げられる。 水溶性セルロース誘導体としては、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース又はそれらの塩が挙げられる。 本発明に用いる水溶性フィルム形成剤としては、透明で均一な膜を形成させることができる点から、水溶性セルロース誘導体が好ましく、なかでもヒドロキシプロピルセルロースがより好ましい。 これらの水溶性フィルム形成剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。 ヒドロキシプロピルセルロースは、公知の方法により製造してもよいし、市販のものを使用してもよい。市販品としてはHPC−SSL、HPC−SL、HPC−L、HPC−M、HPC−H、HPC−SFP(以上、日本曹達製)等が挙げられる。 ヒドロキシプロピルセルロースにおける置換度は、特に限定されず所望の置換度のものを得ることができるが、ヒドロキシプロポキシ基を53〜78%含むものが好ましい。また、ヒドロキシプロピルセルロースの粘度は、特に制限はないが、例えば、20℃における2%水溶液の動粘度(第15改正日本薬局方)が1000〜4000mPa・sであるものが好ましい。 本発明のフィルム製剤における水溶性フィルム形成剤の含有量は、特に制限はないが、製剤全量に対して75〜98.5質量%が好ましく、80〜97.5質量%がより好ましく、85〜95質量%がさらに好ましい。 本発明に用いる抗酸化剤としては、例えば、エデト酸、エデト酸ナトリウム、エデト酸ジナトリウム、エデト酸トリナトリウム、エデト酸四ナトリウム、エデト酸カルシウムジナトリウム等のエデト酸類、アスコルビン酸又はその誘導体、クエン酸等の有機酸;βカロチン、リコピン、ルティン、アスタキサンチン等のカロテノイド;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、酢酸d‐α‐トコフェロール、酢酸dl‐α‐トコフェロール、コハク酸d‐α‐トコフェロール、コハク酸dl‐α‐トコフェロール等のトコフェロール類;ローズマリーエキス等のハーブエキス;又はカテキン、サポニン、フラボノイド、アントシアニン等のポリフェノール類が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。 なかでも、(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩の安定化の点から、エデト酸類、クエン酸等の有機酸、又はトコフェロール類が好ましく、エデト酸ナトリウム、クエン酸、酢酸d‐α‐トコフェロール、又は酢酸dl‐α‐トコフェロールがより好ましく、クエン酸、酢酸d‐α‐トコフェロール、又は酢酸dl‐α‐トコフェロールがさらに好ましい。クエン酸は、塩、無水物、水和物のいずれでもよいが、無水物が好ましい。 本発明のフィルム製剤における抗酸化剤の含有量は、その種類によって相違するものの、通常、製剤全量に対して0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましく、0.5〜5質量%がさらに好ましい。 本発明のフィルム製剤は、(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩の薬効の持続性向上の点から、さらにカルボキシビニルポリマーを含有することが好ましい。 本発明で用いるカルボキシビニルポリマーは、アクリル酸を主とする重合物である。 カルボキシビニルポリマーの粘度は、特に制限はないが、薬効の持続性向上の点から、例えば20℃における0.2%水溶液の動粘度が4000〜7500mPa・sであるものが好ましい。 カルボキシビニルポリマーは、公知の方法により製造してもよいし、市販のものを使用してもよい。市販品としては、例えば、カーボポール980、カーボポール981(以上、BF Goodrich)、ETD2050、ウルトレッツ10(以上、NOVEON)、ハイビスワコー、シンタレンK、シンタレンL、又はシンタレンM(以上、和光純薬工業)等が挙げられる。 本発明のフィルム製剤は、おけるカルボキシビニルポリマーの含有量は、特に制限はないが、薬効の持続性向上の点から、製剤全量に対して1〜3質量%が好ましく、1〜2.7質量%がより好ましく、1.3〜2.3質量%がさらに好ましい。 カルボキシビニルポリマーを含有する場合、フィルム製剤における水溶性フィルム形成剤とカルボキシビニルポリマーの含有質量比(水溶性フィルム形成剤/カルボキシビニルポリマー)は、薬効の持続性向上の点から、28〜98が好ましく、33〜98がより好ましく、40〜75がさらに好ましい。 本発明のフィルム製剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩以外の他の有効成分を1種又は2種以上配合することができる。 他の有効成分としては、例えば、交感神経刺激薬(エピネフリン等の非選択性刺激薬、アプラクロニジン等のα2刺激薬)、交感神経遮断薬(チモロール、ベフノロール、カルテオロール、ニプラジロール、ベタキソール、レボブノロール、メチプラノロール等のβ遮断薬、塩酸ブナゾシン等のα1遮断薬)、副交感神経作動薬(フィゾスチグミン、ネオスチグミン、エコチオフェート、デメカリウム、カルバコール、ピロカルピン等)、炭酸脱水酵素阻害薬(アセタゾラミド、ブリンゾラミド、ドルゾラミド、メタゾラミド等)、又はプロスタグランジン類(イソプロピルウノプロストン、ラタノプロスト、トラボプロスト、ビマトプロスト等)等が挙げられる。 また、本発明のフィルム製剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてpH調節剤、安定化剤、防腐剤、界面活性剤、又は清涼化剤等の任意成分を配合することができる。 pH調節剤としては、例えば、塩酸、ホウ酸、リン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、又はリン酸二水素カリウム等が挙げられる。 安定化剤としては、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、安息香酸、又は安息香酸ナトリウム等が挙げられる。 防腐剤としては、例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ホウ酸、又はホウ砂等が挙げられる。 界面活性剤としては、例えば、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、又はモノステアリン酸ポリエチレングリコール等が挙げられる。 清涼化剤としては、例えば、メントール、カンフル、ボルネオール、又はケイヒ油等が挙げられる。 本発明のフィルム製剤の製造方法は特に制限はなく、公知慣用の製造方法に従って製造することができる。具体的には、以下の製造方法<製法1>〜<製法4>が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。<製法1> (S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩、水溶性フィルム形成剤、抗酸化剤、さらに必要に応じて任意成分を適切な溶媒中で均一に混合し、フィルム製剤用混合溶液を調製する。これを塗工機で展延、乾燥後、目的の形状・サイズに切り出してフィルム製剤とする。<製法2> ガラス等の平板上に穴を空けたシリコンコートを設置し、その穴に製法1と同様の手順で調製したフィルム製剤用混合溶液を滴下し、乾燥させることによりフィルム製剤とする。<製法3> 製法1と同様の手順で調製したフィルム製剤用混合溶液を、ガラス等の平板に載せたシリコンコートの枠に滴下し、乾燥後、目的のサイズの穴あきパンチ等で切り抜くことによりフィルム製剤とする。<製法4> 製法1と同様の手順で調製したフィルム製剤用混合溶液を適量計り取り、ガラス等の平板上に滴下し、乾燥させることによりフィルム製剤とする。 <製法1>〜<製法4>におけるフィルム製剤用混合溶液の溶媒としては、フィルム製剤の配合成分を溶解又は均一に分散させるものであれば特に制限されないが、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、及びイソプロピルアルコールからなる群から選ばれる1種又は2種以上を使用することが好ましい。 また、フィルム製剤用混合溶液において、(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩、水溶性フィルム形成剤及び抗酸化剤の合計濃度は、特に制限されるものではないが、フィルム製剤用混合溶液全量に対して0.1〜10質量%が好ましく、0.3〜8質量%がより好ましく、0.5〜6質量%がさらに好ましい。 また、このフィルム製剤用混合溶液には、上記と同様のpH調節剤を添加してもよい。このフィルム製剤用混合溶液のpH(25℃)は、4.5〜9.5が好ましく、5〜9がより好ましく、5.5〜8.5がさらに好ましい。 本発明のフィルム製剤は、医薬製剤として使用される。フィルム製剤の適用部位は特に限定されるものではないが、本発明の効果が有効に発揮される点から、眼に適用するが好ましい。 本発明のフィルム製剤を眼科用フィルム製剤として使用する場合は、緑内障や高眼圧症の予防又は治療剤として有用である。ここで、緑内障としては、例えば原発性開放隅角緑内障、正常眼圧緑内障、房水産生過多緑内障、高眼圧症、急性閉塞隅角緑内障、慢性閉塞隅角緑内障、plateau iris syndrome、混合型緑内障、ステロイド緑内障、水晶体の嚢性緑内障、色素緑内障、アミロイド緑内障、血管新生緑内障、又は悪性緑内障等が挙げられる。また、高眼圧症とは、眼性高血圧症とも呼ばれ、視神経に明確な病変が認められないにもかかわらず異常に高い眼圧を示す症状をいい、術後の高眼圧発現等、多くの高眼圧状態が包含される。 本発明のフィルム製剤の厚さ、1枚辺りの面積及び形状は特に限定されるものではないが、眼科用フィルム製剤として使用する場合、最終的に厚さ0.01mm〜0.5mmのフィルムとするのが好ましく、1枚辺りの面積を20mm2〜35mm2にするのが好ましい。形状としては、例えば、正方形、長方形、ひし形、楕円形、円形、半円形、又は三日月形等を採用することができる。 本発明のフィルム製剤における(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩の残存率は、例えば、60℃条件下で4週間保存した場合、少なくとも95%以上、好ましくは97%以上である。 以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。実施例1 メタノール90g中に(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン塩酸塩・2水和物0.45g、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−H、日本曹達社製)4.0g、カルボキシビニルポリマー(カーボポール981、BF Goodrich社製)0.075g、及びエデト酸ナトリウム0.1gを混合し、均一になるまで撹拌した。次いで、この混合溶液を撹拌しながら適量の水酸化ナトリウムを加えてpHを8.0に調整し、さらにメタノールを加えて全量を100gとし、フィルム製剤用混合溶液を得た。 得られたフィルム製剤用混合溶液を、マイクロピペットを用いてスライドガラス上に75μLずつドロップし、40℃で2時間乾燥後、本発明のフィルム製剤(平均薬物含量:0.236mg/sheet、n=10)を得た。実施例2 エデト酸ナトリウムをクエン酸無水物0.1gに代えた以外は実施例1と同様の手順により、本発明のフィルム製剤(平均薬物含量:0.236mg/sheet、n=10)を得た。実施例3 エデト酸ナトリウムを酢酸dl‐α‐トコフェロール0.1gに代えた以外は実施例1と同様の手順により、本発明のフィルム製剤(平均薬物含量:0.236mg/sheet、n=10)を得た。比較例1 メタノール90g中に(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン塩酸塩・2水和物0.45g、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−H、日本曹達社製)4.0g、及びカルボキシビニルポリマー(カーボポール981、BF Goodrich社製)0.075gを混合し、均一になるまで撹拌した。次いで、この混合溶液を撹拌しながら適量の水酸化ナトリウムを加えてpHを8.0に調整し、さらにメタノールを加えて全量を100gとし、フィルム製剤用混合溶液を得た。 得られたフィルム製剤用混合溶液を、マイクロピペットを用いてスライドガラス上に75μLずつドロップし、40℃で2時間乾燥後、フィルム製剤(平均薬物含量:0.236mg/sheet、n=10)を得た。比較例2 メタノール90g中に(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン塩酸塩・2水和物0.45g、及びヒドロキシプロピルセルロース(HPC−H、日本曹達社製)4.0gを混合し、均一になるまで撹拌した。次いで、この混合溶液を撹拌しながら適量の水酸化ナトリウムを加えてpHを8.0に調整し、さらにメタノールを加えて全量を100gとし、フィルム製剤用混合溶液を得た。 得られたフィルム製剤用混合溶液を、マイクロピペットを用いてスライドガラス上に75μLずつドロップし、40℃で2時間乾燥後、フィルム製剤(平均薬物含量:0.236mg/sheet、n=10)を得た。比較例3 メタノール90g中に(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン塩酸塩・2水和物0.45g、及びヒドロキシプロピルセルロース(HPC−H、日本曹達社製)4.0gを混合し、均一になるまで撹拌した。次いで、この混合溶液を撹拌しながら、さらにメタノールを加えて全量を100gとし、フィルム製剤用混合溶液を得た。 得られたフィルム製剤用混合溶液を、マイクロピペットを用いてスライドガラス上に75μLずつドロップし、40℃で2時間乾燥後、フィルム製剤(平均薬物含量:0.236mg/sheet、n=10)を得た。試験例1(熱安定性試験) 実施例1〜3及び比較例1〜3で得られたフィルム製剤それぞれについて、60℃保存条件下での含量安定性試験を実施した。 フィルム製剤を60℃で1〜4週間保存した後、(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン塩酸塩・2水和物残存率を求めた。(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン塩酸塩・2水和物の残存率はHPLC法で測定した。 図1より、フィルム基剤に抗酸化剤を配合すれば60℃で4週間保存した場合であっても(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩の経時的な含量低下が抑えられることがわかった。一方、抗酸化剤を配合しない比較例1のフィルム製剤の場合、60℃4週間保存後の残存率は92.5%であった。また、比較例2及び3から、フィルム製剤用混合溶液のpHを調節すると残存率が低下し易いことが示唆された。ただし、フィルム製剤に含まれる有効成分の徐放性の観点からはpHを調節したものを使用することが好ましい。本発明によれば、製剤中のpHに因らず保存安定性が良いことが分かる。 (S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩、水溶性フィルム形成剤及び抗酸化剤を含有することを特徴とするフィルム製剤。 水溶性フィルム形成剤が水溶性セルロース誘導体である請求項1記載のフィルム製剤。 水溶性セルロース誘導体がメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びそれらの塩から選ばれる1種又は2種以上である請求項2記載のフィルム製剤。 抗酸化剤がエデト酸ナトリウム、クエン酸、酢酸d‐α‐トコフェロール及び酢酸dl‐α‐トコフェロールから選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜3のいずれか1項記載のフィルム製剤。 さらにカルボキシビニルポリマーを含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のフィルム製剤。 眼科用フィルム製剤である請求項1〜4のいずれか1項記載のフィルム製剤。 (S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩、及び水溶性フィルム形成剤を含有するフィルム製剤に、抗酸化剤を含有させることを特徴とする、該フィルム製剤における(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩の安定化方法。 【課題】(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩の薬効が持続し、且つ保存安定性に優れたフィルム製剤の提供。【解決手段】(S)−(−)−1−(4−フルオロイソキノリン−5−イル)スルホニル−2−メチル−1,4−ホモピペラジン又はその塩、水溶性フィルム形成剤及び抗酸化剤を含有することを特徴とするフィルム製剤。【選択図】なし


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