生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_CK−MB測定用ラテックス凝集免疫試薬及び測定方法
出願番号:2011275331
年次:2013
IPC分類:G01N 33/543,G01N 33/573


特許情報キャッシュ

藤井 隆行 鈴木 誠一 大出 勝也 高木 義和 坂本 由香 吉田 竜也 JP 2013125005 公開特許公報(A) 20130624 2011275331 20111216 CK−MB測定用ラテックス凝集免疫試薬及び測定方法 三菱化学メディエンス株式会社 591122956 森田 憲一 100090251 山口 健次郎 100139594 藤井 隆行 鈴木 誠一 大出 勝也 高木 義和 坂本 由香 吉田 竜也 G01N 33/543 20060101AFI20130528BHJP G01N 33/573 20060101ALI20130528BHJP JPG01N33/543 581DG01N33/543 581CG01N33/573 B 6 OL 12 本発明は、CK−MB測定用ラテックス凝集免疫試薬及び測定方法に関する。 クレアチンキナーゼ(以下、CK)は、クレアチンリン酸とADPとをクレアチンとATPに触媒する酵素で、生体内では脳や心筋、平滑筋、神経系などに存在し、骨格筋に最も多く存在する。CKは2つのサブユニット構造からなり、骨格筋型のCK−MM、心筋由来型のCK−MB、脳や平滑筋型のCK−BBの3種のアイソザイムが存在する。その他、ミトコンドリア由来のCKや免疫グロブリン結合型のCKが存在する。特にCK−MBは心筋由来のアイソザイムで、心筋逸脱マーカーとして酵素活性やタンパク質量を測定し、心筋梗塞の診断や、発症時のモニタリングに頻用される。前記アイソザイムは、通常、それぞれ2量体で存在する。 CK−MBの測定法としては、その酵素活性を測定する方法や、抗原抗体反応によりCK−MBのタンパク質濃度を測定する方法が頻用されている。酵素活性測定法としては、免疫阻害法と組み合わせたCK−MB活性測定法が多用されている。測定原理は、CK−Mサブユニットに特異的に結合し酵素活性を阻害する抗CK−M抗体を用い、CK−MM及びCK−MBの酵素活性を阻害し、残存するCK活性から、CK−MB活性を求める方法である。なお、残存CK活性は以下の反応式に基づき、NADPHの増加量から導かれる。 一方、抗原抗体反応によりCK−MBのタンパク質濃度を測定する方法としては、化学発光酵素免疫測定法(以下、CLIA法)、酵素免疫測定法(以下、EIA法)による技術が開示され、またラテックス凝集反応による方法も開示されている(特許文献1)。特にラテックス凝集反応による測定法はB/F分離が不要で、その簡便さや汎用装置への対応が容易な点から臨床検査薬としての適用が期待されている。 ラテックス凝集法の測定原理は、測定対象の抗原に結合する抗体をラテックス粒子に担持させ、抗原の存在下で抗原抗体反応させるものである。ラテックス粒子の凝集を光学的に検出することで、その凝集の程度から測定対象の抗原量を測定する方法である。 CK−MBは、CK−MサブユニットとCK−Bサブユニットとから成る。CK−MBを測定可能な抗体は、(1)CK−Mサブユニットに特異的に結合する抗体、(2)CK−Bサブユニットに特異的に結合する抗体、そして、(3)CK−MサブユニットやCK−Bサブユニットには結合しないがCK−MBに特異的に結合する抗体に分類できる(特許文献1)。CK−MB測定用ラテックス凝集試薬を構築する場合は、これらの抗体群から好適な2種以上を選択することが考えられる。例えば、CK−Bサブユニットに特異的な抗体のみでは、CK−MBがサンドイッチされず測定系が成立しない場合が多いからである。 具体的には、2種の抗体によるCK−MBのサンドイッチが成立する組合せ例として、CK−Bサブユニットに特異的に結合する抗体と、CK−Mサブユニットに特異的に結合する抗体とを、それぞれ、別のラテックス粒子に担持させる場合が考えられる。しかし、CK−Bサブユニットに特異的に結合する抗体は、CK−MBの他、CK−BBへも結合する。同様に、CK−Mサブユニットに特異的に結合する抗体は、CK−MBの他、CK−MMへも結合する。従って、当該抗体の組合せの場合、共存するCK−BBやCK−MMも検出することから、CK−MBの正確な測定ができない。 しかし、B/F分離のステップを含む測定系、例えばCLIA法やEIA法であれば、当該抗体の組み合わせであっても上記のようなCK−BBやCK−MMの干渉の影響は受けにくい。すなわち、試料を第一の抗体担持担体と接触させる工程と、引き続く第二の抗体担持担体を接触させる工程とが、B/F分離前後で分離されるため、CK−MMやCK−BBがサンドイッチされないためである。 一方、しかしながら、ラテックス凝集法においての測定工程は簡素でB/F分離のステップを必要としないことが特徴である。そのため、CLIA法等のように共存物を排除することができない為、それらの干渉の影響を受けやすい。 ラテックス凝集法での当該課題を解決するために、特許文献1ではMサブユニットやBサブユニットには結合せずCK−MBに特異的に結合する抗体を使用した技術を開示されている。当該文献では、CK−BB又はCK−MMへの交差性のある抗体を使用するとCK−BB又はCK−MMの干渉を受けることから、CK−MBにのみ特異的な抗体であれば、干渉反応を回避できるとして干渉の影響を解決している。これまでのCK−MBのサンドイッチアッセイに関するいずれの記載も、干渉の影響が主として抗体の特異性に依存するため、課題を解決する為には抗体の反応性やそれらの組合せを工夫することに主眼をおくものばかりである。 例えば、特許文献2および特許文献3では、CK−MBに特異的に結合し他のアイソザイムに結合しない抗体を見出し、CK−MMやCK−BBの干渉を回避する技術を提示している。 非特許文献1では、CK−MBに特異的な抗体を使用し試料からCK−MBを回収し、CK−MBの酵素活性を測定することでCK−MBを測定し、CK−MMやCK−BBの干渉を回避する手法を開示している。 非特許文献2〜4では、サンドイッチイムノアッセイで2種類のCK−MB特異抗体を使用することで、CK−MMやCK−BBの干渉を回避する手法を開示している。 しかし、このような特異的な反応性を有する抗体を取得することは難しく、簡便且つ正確なCK−MB測定用のラテックス凝集試薬が望まれている。国際公開WO94/25617号パンフレット国際公開WO87/03094号パンフレット特開平1−262471号公報Clinical Chemistry, Vol.32, No.4, 1986 657-663Clinical Chemistry, Vol.33, No.9, 1987 1517-1987Clinical Chemistry, Vol,36, No.8, 1990 1502-1505Clinical Chemistry, Vol,34, No.11, 1988 2364-2367 従って、本発明の課題は、上記問題点を解決することのできる、生体成分中のCK−MB測定用ラテックス凝集免疫測定試薬及び測定方法であって、CK−MMやCK−BBなどの共存物の干渉を回避し、簡便且つ正確なCK−MB測定用ラテックス凝集免疫測定試薬及び測定方法を提供することである。 本発明者らは、鋭意検討した結果、CK−MB測定用ラテックス凝集免疫測定方法において、CK−MBやCK−BBに特異的な抗体であっても、組み合わせによっては、それらの分子(例えばCK−BB)への干渉影響が生じる場合があること、更に、そのような交差性を有する抗体を使用する場合であっても、ラテックス粒子の平均粒子径が特定の範囲内にあることにより、意外にもCK−BBに対する反応性を低減できることを見出し、より正確にCK−MBを測定する技術を創出した。 すなわち、本発明は、[1]CK−MBに特異的に結合するモノクローナル抗体を固相したラテックス粒子、CK−BBに特異的に結合するモノクローナル抗体を固相したラテックス粒子を含み、これらの粒子の平均粒子径が0.23μm〜0.32μmである、CK−MB測定用ラテックス凝集免疫試薬、[2]前記CK−BBに特異的に結合するモノクローナル抗体が、該CK−BBに特異的に結合するモノクローナル抗体を固相したラテックス粒子単独では、CK−BBとのラテックス凝集を生じない抗体である、[1]のラテックス凝集免疫試薬、[3]前記CK−MBに特異的に結合するモノクローナル抗体が、該CK−MBに特異的に結合するモノクローナル抗体を固相したラテックス粒子単独では、CK−MBとのラテックス凝集を生じない抗体である、[2]のラテックス凝集免疫試薬、[4]検体と、CK−MBに特異的に結合するモノクローナル抗体を固相したラテックス粒子及びCK−BBに特異的に結合するモノクローナル抗体を固相したラテックス粒子とを反応させ、ラテックス粒子の凝集を光学的に検出する工程を含み、これらの粒子の平均粒子径が0.23μm〜0.32μmである、CK−MBのラテックス凝集免疫測定方法、[5]前記CK−BBに特異的に結合するモノクローナル抗体が、該CK−BBに特異的に結合するモノクローナル抗体を固相したラテックス粒子単独では、CK−BBとのラテックス凝集を生じない抗体である、[4]のラテックス凝集免疫測定方法、[6]前記CK−MBに特異的に結合するモノクローナル抗体が、該CK−MBに特異的に結合するモノクローナル抗体を固相したラテックス粒子単独では、CK−MBとのラテックス凝集を生じない抗体である、[5]のラテックス凝集免疫測定方法に関する。 本発明によれば、簡便に、生体成分中で共存するCK−MB以外のアイソザイムであるCK−MMやCK−BB等の夾雑物質からの干渉反応を軽減し、CK−MBをより正確に測定できる、ラテックス凝集免疫試薬及び測定法を提供することができる。 本発明の試薬は、生体成分中のCK−MBを測定するラテックス凝集法による免疫測定試薬であって、用手法によっても測定可能であるが、ラテックス凝集法が測定可能な自動分析機に搭載される試薬として特に好適に用いられる。 本発明の試薬は、ラテックス凝集反応において、生体成分中のCK−MBの存在によりラテックス凝集が生じる2種以上の抗体の組み合わせを含めばよいが、具体的には、CK−MBに特異的に結合するモノクローナル抗体と、CK−BBに特異的に結合するモノクローナル抗体との組み合わせが挙げられる。本明細書において、CK−MBに特異的に結合するとは、EIA法やCLIA法等のB/F分離工程を含むサンドイッチ法によるアッセイで、CK−MB以外のアイソザイムや他のタンパク質などに反応せず、CK−MBに強い反応を示すことを意味する。また、CK−BBに特異的に結合するとは、同アッセイでCK−BB以外のアイソザイムや他のタンパク質などに反応せず、CK−BBに強い反応を示すことを意味する。 CK−MB又はCK−BBは、生体内あるいは溶液中では2量体を形成していることが知られている。よって、CK−MB又はCK−BBに特異的な抗体(特に、CK−BBに特異的な抗体)は、1種類であってもラテックス凝集を起こす場合がある。しかし、本発明では、それぞれ1種類の抗体では、CK−MB又はCK−BBの存在に応じてラテックス凝集を生じない抗体を組み合わせることが好ましい。すなわち、CK−MBに特異的な抗体としては、その抗体1種類のみを固相化したラテックス粒子を単独で用いた場合に、CK−MBとのラテックス凝集を起こさない抗体であることが好ましい。また、CK−BBに特異的な抗体としては、その抗体1種類のみを固相化したラテックス粒子を単独で用いた場合に、CK−BBとのラテックス凝集を起こさない抗体であることが好ましい。 更に、後述する実施例にも示すように、CK−MBに特異的に結合するモノクローナル抗体とCK−BBに特異的に結合するモノクローナル抗体を組み合わせることにより、ラテックス凝集反応を起こすことから、前記CK−BB抗体は、CK−MBのCK−Bサブユニットに反応することが推測される。このことから、本発明のCK−BBに特異的に結合する抗体は、少なくともラテックス凝集反応時に、CK−MBのCK−Bサブユニットに反応することが好ましい。 本発明で使用するCK−MBに特異的に結合するモノクローナル抗体と、CK−BBに特異的に結合するモノクローナル抗体の作製は、例えば、公知の細胞融合法で作製されたハイブリドーマによるモノクローナル抗体産生法により得ることができる。抗体産生細胞としては、ヒトを除く動物、例えば、マウス・ラット・モルモット等から選択することができる。すなわち、CK−MBやCK−BBを抗原として使用し、次いで、該CK−MBや該CK−BBを用いてスクリーニングを実施することによって、本発明で使用できるモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマを調製することができ、そのハイブリドーマから目的のモノクローナル抗体を調製することができる。ハイブリドーマ及びモノクローナル抗体の調製は、定法、例えば、続生化学実験講座(日本生化学会編)又は免疫生化学研究法(日本生化学会編)に記載の方法に従って行うことができる。また、CK−MB特異的に結合する抗体やCK−BB特異的に結合する抗体は、ハイブリドーマから得られた血清や抗体を、EIA法やCLIA法等で他のアイソザイムや他のタンパク質などに反応せず、それぞれCK−MBあるいはCK−BBに強い反応を示すことを指標としてスクリーニングすることで得ることができる。 本発明で使用可能なモノクローナル抗体には、抗体フラグメントが含まれる。前記抗体フラグメントは、所望のモノクローナル抗体のフラグメントであって、しかも、もとのモノクローナル抗体と同じ反応性を有する抗体フラグメントである。本発明で用いることのできる抗体フラグメントには、例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、又はFv等が含まれる。これらのフラグメントは、例えば、モノクローナル抗体を常法によりタンパク質分解酵素によって消化し、続いて、タンパク質の分離・精製の常法に従って得ることができる。これらは、そのままラテックス粒子に固相して使用することができるが、Fab’フラグメントやF(ab’)2フラグメントに調製したものをラテックス粒子に固相することができる。抗体のFcフラグメントに対する非特異反応を回避する観点から、Fab’やF(ab’)2がより好ましい。 また、本発明で使用するCK−MBに特異的に結合する抗体は、Roche社やBiopacific社、Fizgerald社、Meridian社、Medix社、Trina社、Biodesign社などから購入することができ、CK−BBに特異的に結合するモノクローナル抗体も、Biopacific社、Fizgerald社、Meridian社、Dako社などから購入することができる。当業者であれば、本発明で用いることのできるモノクローナル抗体に関する上述の説明に従って、あるいは、後述の実施例に記載の具体的手順に従って、これらの抗体が、本発明に利用可能か容易に決定することができる。 本発明に使用するラテックス粒子は、平均粒子径が0.23μm〜0.32μmであればよく、1種類のラテックス粒子のみを使用してもよいし、複数のラテックス粒子を使用してもよい。例えば、粒子径の異なるラテックス粒子を組み合わせて使用することができる。ラテックス粒子は単一粒径で製造することは実質的に困難であることから、粒子全体の平均粒子径として規定される。従って、本発明では平均粒子径を0.23μm〜0.32μmと特定するが、当該範囲に含まれないラテックス粒子を含む場合であっても、本発明に該当する場合がある。例えば、平均粒子径が0.23μm〜0.32μmのラテックス粒子が、重量パーセント換算で85%以上含まれていれば良い。なお、この平均粒子径は、公知の方法で測定することが可能であり、例えば、透過型電子顕微鏡装置を用いた画像解析によりより算出される。 また、本発明に使用するラテックス粒子の平均粒子系の下限は0.23μm、上限は0.32μmである。当該範囲内であれば、CK−MMやCK−BBによる干渉を軽減してCK−MBを検出することが可能となる。なお、平均粒子径が0.23μm未満では、CK−MBによる特異的な凝集を示すシグナルが小さく、検出感度が悪化することがあり、CK−MBの高感度な測定を達成できない場合がある。一方、0.32μmを超えると、共存するCK−BBの影響が生じやすい。 本発明に係るラテックス粒子としては、通常この分野で用いられているものであれば特に限定はされないが、例えば、スチレン、塩化ビニル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等のビニル系モノマーを重合させてなる単一重合体(例えば、ポリスチレン、メタクリル酸重合体、アクリル酸重合体等)からなる粒子、ブタジエン系共重合体(例えば、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体等)からなる粒子、それ以外の共重合体(例えば、スチレン−スチレンスルホン酸塩共重合体、メタクリル酸エステル共重合体、アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体等)からなる粒子を挙げられる。官能基としてカルボキシル基、1級アミノ基、カルバモイル基(−CONH2)、水酸基、アルデヒド基等を有し、かつ、基体が上記有機系微粒子からなる粒子を挙げられる。 本発明におけるラテックス粒子への抗体固相の第1の態様としては、抗体の種類ごとに固相ラテックス液を調製し、次いで複数の前記固相ラテックス液を混合して試薬を調製することが挙げられる。ラテックス液の混合比は、特に限定しない。 また、本発明におけるラテックス粒子への抗体固相の第2の態様としては、ラテックス粒子に対して、2種以上の抗体を同時に感作して試薬を調製することが挙げられる。ラテックス液の混合比は、特に限定しない。 好適な試薬の調製が行いやすいこと等から、第1の態様のように、CK−MBに特異的に結合するモノクローナル抗体を固相した第1のラテックス粒子、CK−BBに特異的に結合するモノクローナル抗体を固相した第2のラテックス粒子として、抗体の種類ごとに固相ラテックス液を調製する方が好ましい。 ラテックス粒子に抗体を固相する方法としては、公知の方法に準じて行えばよく、例えば、抗体とラテックス粒子とを緩衝液中で懸濁させ、25℃で1時間反応させた後、遠心分離、ブロッキング処理等、通常この分野で行われる処理により得ることができる。また、抗体とラテックスとを化学結合により固相する方法や、ビオチン−アビジン反応により抗体を固相する方法も選択できる。 本発明の試薬は、1試薬系であってもよいし、2試薬系であってもよい。本発明の試薬が1試薬系である場合は、検体に前記抗体を固相したラテックス粒子懸濁液を添加し、抗原抗体反応を生じさせることにより、検体中のCK−MBを測定することができる。本発明の試薬が2試薬系である場合には、緩衝液成分を主体とした第1試薬を検体に添加した後、更に前記抗体を固相したラテックス粒子を含む第2試薬を添加することで、抗原抗体反応を生じさせ、検体中のCK−MBを測定することができる。 ラテックスの凝集の度合いは、例えば吸光度を用いて測定し、予め求めておいた標準品の検量線からその濃度を求めることにより、検体中のCK−MB濃度を定量することができる。なお、吸光度の測定波長は、通常は340nm〜1000nm、好ましくは500nm〜900nmで測定すればよい。ラテックス凝集反応を測光する時間は、ラテックス凝集反応が生じている時間を時間当たりの変化速度、あるいは一定時間の変化量によって測光することができる。例えば、吸光度を測定する場合、ラテックス凝集反応が始まってから30秒後から5分後の時間当たりの吸光度変化速度、あるいは一定時間の吸光度変化量によって測光することができる。反応温度は10〜50℃であることが好ましく、20〜40℃であることがより好ましい。反応時間は適宜決定することができ、例えば汎用自動分析機では10〜15分間の反応時間で測定することができる。なお、当業者であれば、光学機器あるいは汎用自動分析機を用いた分析において、公知の方法に従って、反応温度、反応時間、測定波長、測定時間、試薬構成、ラテックス濃度、ラテックス固定化するモノクローナル抗体濃度、各種添加剤濃度を適宜決定することができる。 本発明に用いられるラテックス粒子の濃度は、ラテックス凝集法による免疫学的測定試薬に適用できる濃度であれば特に限定されるものではないが、CK−MBを測定するために必要な反応時のラテックスの濃度は0.005w/v%〜0.2w/v%が好ましく、0.01w/v%〜0.1w/v%であることがより好ましい。 本発明の試薬に適用することのできる被検試料は、CK−MBを含有する可能性のある被検試料である限り、特に限定されるものではなく、例えば、生体試料、より具体的には、血清、血漿、尿、又は体液などを挙げることができる。好ましくは、血清、血漿が使用できる。 本発明の試薬は、モノクローナル抗体を固定化したラテックス粒子以外にも、ラテックス凝集法による免疫学的測定試薬に添加可能な添加剤、例えば、緩衝液、凝集促進剤、非特異反応抑制剤などを更に含有することができる。 前記緩衝液としては、pH5.5〜8.5に緩衝能を有する緩衝液が好ましく、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、又はグッド緩衝液などが好適に使用され、反応時の緩衝液濃度は10〜500mmol/Lであることが好ましく、20〜200mmol/Lであることがより好まししい。緩衝液濃度が10mmol/L以下である場合、ラテックス粒子が自己凝集を起こしたり、非特異的な反応を起こしやすい。また、緩衝液濃度が500mmol/L以上の場合、ラテックス凝集生じにくい。反応時の緩衝液のpHは5.5〜8.5であることが好ましい。pHがこの範囲外であると、ラテックス粒子が自己凝集を起こしたり、ラテックス凝集反応を起こしづらかったり、非特異的な反応を起こしやすい。 本発明の試薬に添加可能な凝集促進剤としては、水溶性高分子やタンパク質が好適に用いられる。例えば、デキストランやデキストラン硫酸、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性高分子や、ウシ血清アルブミンなどのアルブミン類、γ−グロブリンなどのグロブリン類が挙げられる。 本発明の試薬に添加可能な非特異反応抑制剤としては、非特異反応の原因物質に対する抗体やレセプター、トリス緩衝液、リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、ホウ酸緩衝液、クエン酸緩衝液、酢酸緩衝液又はグッド緩衝液などの緩衝液類、EDTA、CyDTA、DTPA、EGTA、NTA、NTPなどのキレート剤、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムなどの塩類、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸ソルビタンエステル、アルキルポリグルコシド、アルキルモノグリセリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、アルキルグリコシドなどの非イオン性界面活性剤が挙げられる。 以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。《実施例1〜3及び比較例1〜2》 CK−MB測定試薬は、緩衝液成分を主体とした第1試薬と、ラテックス粒子を主体とした第2試薬とからなる2試薬系として構成し、自動分析機による評価を実施した。(検体) CK−MB、CK−BB、CK−MMは、ヒトリコンビナントタンパク質としてオリエンタル酵母社から購入し、検体希釈液〔10mmol/L Tris(pH7.0)、2mmol/L EDTA2Na、2mmol/L DTT(ジチオスレイトール)、175mmol/L NaCl〕にて、それぞれ、最終濃度10U/L、100U/L、1000U/Lに調製した。(第1試薬の調製) 25mmol/Lトリス緩衝液(pH7.5)に、0.3mol/L塩化ナトリウム、5mmol/L EDTA、0.24%非イオン性界面活性剤、0.1%アルブミンを溶解させた水溶液を調製し、第1試薬とした。(第2試薬の調製) 平均粒子径0.20μmのラテックス粒子を使用した系を比較例1、平均粒子径0.23μmのラテックス粒子を使用した系を実施例1、平均粒子径0.30μmのラテックス粒子を使用した系を実施例2、平均粒子径0.32μmのラテックス粒子を使用した系を実施例3、平均粒子径0.43μmのラテックス粒子を使用した系を比較例2とした。なお、いずれのラテックス粒子も、表面にカルボキシル基が導入されたポリスチレンラテックス粒子(JSR株式会社製)である。 抗CK−MB抗体としては、ヒト由来CK−MBアイソザイムをマウスに免疫し、定法に従って作製され、ヒト由来CK−MBを抗原として用いるEIA法により、CK−BBアイソザイム及びCK−MMアイソザイムとは反応しないCK−MB特異的な抗体であることが確認されたものを使用した。前記の各ポリスチレンラテックス粒子(実施例1〜3及び比較例1〜2)を、10mmol/L MOPS緩衝液(pH7.1)に0.1w/v%となるように分散させ、塩酸−1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを添加し、25℃条件下で3分間反応させた後、ペプシン消化でF(ab’)2フラグメント化した前記抗CK−MB抗体を添加し、更に1時間反応させた。19000rpmで20分間遠心分離し、上清を廃棄した後、ラテックス固形分を0.05%アジ化ナトリウム溶液にて分散させ、抗CK−MB抗体結合ラテックス液1とした。 一方、抗CK−BB抗体としては、ヒト由来CK−BBアイソザイムをマウスに免疫し、定法に従って作製され、ヒト由来CK−BBを抗原として用いるEIA法により、CK−MBアイソザイム及びCK−MMアイソザイムとは反応しないCK−BB特異的な抗体であることが確認されたものを使用した。同様に、前記の各ポリスチレンラテックス(実施例1〜3及び比較例1〜2)を、10mmol/L MOPS緩衝液(pH7.1)に0.1w/v%となるように分散させ、塩酸−1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドを添加し、25℃条件下で3分間反応させた後、ペプシン消化したF(ab’)2フラグメント化した前記抗CK−BB抗体を添加し、更に1時間反応させた。19000rpmで20分間遠心分離し、上清を廃棄した後、ラテックス固形分を0.05%アジ化ナトリウム水溶液にて分散させ、抗CK−BB抗体結合ラテックス液2とした。 前記ラテックス液1及び2において、抗体感作時の各成分の濃度は、0.1w/v% ポリスチレンラテックス1mL当たり、塩酸−1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド11.2μg、抗CK−MB抗体または抗CK−BB抗体10μgとした。 抗CK−MB抗体結合ラテックス液1と、抗CK−BB抗体結合ラテックス液2とを等量で混合し、第2試薬とした。(自動分析機による測定) 汎用自動分析機 日立7170S形日立自動分析装置(日立ハイテクノロジーズ製)を用いてCK−MB測定試薬の評価を行った。測定条件は、検体11μLに第1試薬90μLを添加混合させ、37℃で5分間保持した後、第2試薬90μLを添加混合させ、更に5分間保持した。第2試薬添加後30秒後から5分後の570nmにおける吸光度変化量を求めた。実施例1〜3及び比較例1〜2を用いた測定結果(各検体の吸光度変化量)を表1に示す。 表1に示すように、CK−BB検体は、ラテックス粒子の平均粒子径が大きい系で凝集反応が生じた。平均粒子径が小さいとCK−BBによる凝集の程度は低かった。特に、実施例1においては、CK−BBに対する凝集反応が低く良好であった。また、実施例1は、比較例1と比較して、CK−MBとの反応性も高い点で良好である。CK−MBは、生体成分中に10U/L以上あると臨床意義が高いことが知られている。実施例1でのCK−BB 100U/L検体の数値は、CK−MB 10U/L検体での数値より低値であり、CK−BBによる干渉の影響を回避した試薬組成であると考えられる。 また、実施例2、実施例3でのCK−BB 100U/L検体の反応性は、実施例1より若干高いものの、CK−MB 10U/L、CK−MB 100U/L、CK−MB 1000U/L共に高い反応性が得られた。比較例2ではCK−BB 100U/Lが干渉反応を示し、CK−MB 1000U/Lでも高い反応が得られなかった。 一方、CK−MMについては、CK−MB抗体とCK−BB抗体との組み合わせである本実施例では、どの条件でも干渉反応を認めないことを確認した。 以上より、実施例1〜3においては、CK−BB及びCK−MMによる干渉反応が低減され、CK−MBの高い反応性が得られる条件であることが明らかとなった。《比較例3及び4》(1種類のモノクローナル抗体(抗CK−MB抗体又は抗CK−BB抗体)を使用したラテックス凝集反応の検討) 以下の点を除き、先述と同様な2試薬系として構成し、評価を実施した。すなわち、表面にカルボキシル基が導入された平均粒子径0.32μmのポリスチレンラテックス粒子(JSR株式会社製)を使用し、抗CK−MB抗体結合ラテックス液1と、抗CK−BB抗体結合ラテックス液2とを作製した。抗CK−MB抗体結合ラテックス液1のみで調製した第2試薬を用いた系を比較例3、抗CK−BB抗体結合ラテックス液2のみで調製した第2試薬を用いた系を比較例4とした。 比較例3〜4を用いた測定結果(各検体の吸光度変化量)を表2に示す。 表2に示すように、CK−MBに特異的に結合するモノクローナル抗体を結合させたラテックス粒子単独(比較例3)や、CK−BBに特異的に結合するモノクローナル抗体を結合させたラテックス粒子単独(比較例4)でも、CK−MBだけではなく、CK−BB、CK−MM共に反応性を示さなかった。特に、CK−MB及びCK−BBは、生体内あるいは液体中で2量体を形成することが知られている。よって、CK−MBに特異的に結合するモノクローナル抗体を結合させたラテックス粒子単独や、CK−BBに特異的に結合するモノクローナル抗体を結合させたラテックス粒子単独でも、ラテックス凝集を生じる可能性があった。本検討により、CK−MBに特異的に結合するモノクローナル抗体を結合させたラテックス粒子単独や、CK−BBに特異的に結合するモノクローナル抗体を結合させたラテックス粒子単独では、ラテックス凝集を生じない抗体を使用し、それぞれの抗体を平均粒子径が0.23μm〜0.32μmのラテックス粒子に固相したラテックス粒子を含む試薬構成により、簡便且つ正確に、生体成分中のCK−MBを測定するラテックス凝集免疫試薬及び測定方法を提供できることが示された。 本発明は、臨床検査、特には心筋逸脱マーカーとして心筋梗塞の診断等に有用なCK−MBの測定に利用することができる。 CK−MBに特異的に結合するモノクローナル抗体を固相したラテックス粒子、CK−BBに特異的に結合するモノクローナル抗体を固相したラテックス粒子を含み、これらの粒子の平均粒子径が0.23μm〜0.32μmである、CK−MB測定用ラテックス凝集免疫試薬。 前記CK−BBに特異的に結合するモノクローナル抗体が、該CK−BBに特異的に結合するモノクローナル抗体を固相したラテックス粒子単独では、CK−BBとのラテックス凝集を生じない抗体である、請求項1に記載のラテックス凝集免疫試薬。 前記CK−MBに特異的に結合するモノクローナル抗体が、該CK−MBに特異的に結合するモノクローナル抗体を固相したラテックス粒子単独では、CK−MBとのラテックス凝集を生じない抗体である、請求項2に記載のラテックス凝集免疫試薬。 検体と、CK−MBに特異的に結合するモノクローナル抗体を固相したラテックス粒子及びCK−BBに特異的に結合するモノクローナル抗体を固相したラテックス粒子とを反応させ、ラテックス粒子の凝集を光学的に検出する工程を含み、これらの粒子の平均粒子径が0.23μm〜0.32μmである、CK−MBのラテックス凝集免疫測定方法。 前記CK−BBに特異的に結合するモノクローナル抗体が、該CK−BBに特異的に結合するモノクローナル抗体を固相したラテックス粒子単独では、CK−BBとのラテックス凝集を生じない抗体である、請求項4に記載のラテックス凝集免疫測定方法。 前記CK−MBに特異的に結合するモノクローナル抗体が、該CK−MBに特異的に結合するモノクローナル抗体を固相したラテックス粒子単独では、CK−MBとのラテックス凝集を生じない抗体である、請求項5に記載のラテックス凝集免疫測定方法。 【課題】簡便に、生体成分中で共存するCK−MB以外のアイソザイムであるCK−MMやCK−BB等の夾雑物質からの干渉反応を軽減し、CK−MBをより正確に測定できる、ラテックス凝集免疫試薬及び測定法を提供する。【解決手段】前記ラテックス凝集免疫試薬は、CK−MBに特異的に結合するモノクローナル抗体を固相したラテックス粒子、CK−BBに特異的に結合するモノクローナル抗体を固相したラテックス粒子を含み、これらの粒子の平均粒子径が0.23μm〜0.32μmである。【選択図】なし


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