生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_血液エンドトキシン測定用試料作成方法
出願番号:2011273188
年次:2013
IPC分類:G01N 33/579,G01N 33/48


特許情報キャッシュ

稲田捷也 JP 2013124905 公開特許公報(A) 20130624 2011273188 20111214 血液エンドトキシン測定用試料作成方法 稲田 捷也 711010611 稲田捷也 G01N 33/579 20060101AFI20130528BHJP G01N 33/48 20060101ALI20130528BHJP JPG01N33/579G01N33/48 B 8 2 OL 9 2G045 2G045AA40 2G045BA13 2G045BB08 2G045CA25 2G045DA25 2G045FB20本発明は、一般的にリムルステストと呼ばれる、カブトガニの血球抽出液をエンドトキシンと反応させた際に生ずる酵素群の活性化によるゲル化反応やそれ応用した方法において、エンドトキシン濃度を測定するために用いる試料を作成する方法および前処理液に関する。エンドトキシン(endotoxin:内毒素)は、グラム陰性菌の外膜を構成する成分であり、その化学的本体はLPS (リポポリサッカライド:リポ多糖)である。エンドトキシンは一般的には巨大ミセルの状態で存在すると考えられる。エンドトキシンはグラム陰性菌感染症による敗血症、敗血症性ショック、又は多臓器不全等の生命を脅かす病態を惹起する重要な細菌由来成分である。血液中のエンドトキシンの測定によって、エンドトキシンと種々の病態との関係の解明や、当該病態の早期診断、治療に貢献する。現在、エンドトキシンの測定方法の主流はリムルステストである。カブトガニの血球抽出液中にはエンドトキシンと特異的に反応する「C因子経路」が存在する。「C因子経路」は、まず、エンドトキシンが、C因子(Factor C)と強固に結合してC因子を活性化する。活性化C因子はB因子を活性化し、活性化B因子は前凝固酵素を凝固酵素にする。凝固酵素はコアギュローゲンを凝固タンパク質であるコアギュリン(coagulin)に変えて、ゲル化が生じる。また、カブトガニの血球抽出液中には、C因子経路の他にもβ-D-グルカンによって誘導される「G因子経路」が存在する。β-D-グルカンはG因子を活性化し、活性化G因子はエンドトキシンの場合と同様に前凝固酵素を凝固酵素にし、凝固酵素はコアギュローゲンを凝固タンパク質であるコアギュリン(coagulin)に変えて、ゲル化が生じる。現在本邦ではエンドトキシン、βーD-グルカンにそれぞれに特異的な測定法が開発され、グラム陰性菌による敗血症や深在性真菌症の診断法として臨床応用されている。リムルステストは、判定又は測定方法の違いからで示すゲル化転倒法(ゲル化法)、発色合成基質法(比色法)、比濁時間分析法(比濁法)等の方法が知られている。最近は、レーザー光を用いたゲル化の検出手法であるエンドトキシン光散乱法や、LPSが最初に結合するC因子の遺伝子組換え体を用いる手法も開発されている(非特許文献1、2)。血液中エンドトキシンをリムルステストで測定するには、血漿などに含まれるリムルステストの干渉因子を除去又は不活化する前処理ステップが必要である。血漿などに含まれるα2−plasmin inhibitor、antithrombin III、α1−antitrypsin等は、リムルステストの亢進因子であり、factor Xa、thrombin、trypsin等はリムルステストの抑制因子である。前処理ステップとして、これまでPCA法、New PCA法、アルカリ処理法などが用いられてきたが、比濁法には希釈加熱法が用いられている。「希釈加熱法」は、血液由来試料に水や緩衝液を加えて希釈した後、加熱によって干渉因子を不活化する方法である。血清や血漿を用いる場合は希釈率は、3〜10倍であり、温度は70〜100℃の範囲で、5〜10分間程度加熱することによってリムルステスト干渉因子を破壊する。このとき、Triton X−100等の界面活性剤を加えた水で希釈してもよい。成分血液が前記の温度で十分に加熱されるのであれば加熱方法は問わない(非特許文献1、2,特許文献1参照)。エンドトキシンは、グラム陰性桿菌の死後、血流中に遊離して存在していると考えられ、従来からリムルステストに供される血液由来試料としては全血より分離した血漿や血清が用いられている。血液中のエンドトキシンはLBP(LPS binding protein:LPS結合タンパク質)と複合体を形成した後に、白血球に含まれる単球や顆粒球上の細胞表面抗原CD14と結合する。続いて、MD−2とTLR4(Toll−like receptor:Toll様受容体のひとつ)に会合する。その結果、エンドトキシン結合の情報が細胞内のシグナル伝達経路を介して核へと伝達され、TNFαやIL−6等の炎症性サイトカイン遺伝子の発現が誘導され、それら炎症性サイトカインが産生される。(上記非特許文献1、2参照)以上の特異的結合のほか、エンドトキシンは白血球表面の接着分子として知られているCD11/CD18に結合したり、スカベンジャーレセプターなどにも結合する。従って、血液中のエンドトキシンは、上記菌体表層に存在する状態や血漿中・血清中に存在する状態で存在する以外にもエンドトキシン受容体をもつ白血球の膜表面に結合した状態、あるいは白血球内に取り込まれた状態でも存在していると考えられる。したがって、血漿中に含まれるエンドトキシン量の測定のみでは血液中のエンドトキシン量を正確に定量しているとは言い難い。感染後、血液を採取するまでに一定時間を経過した場合には、むしろ白血球の膜表面に結合した状態、又は白血球内に取り込まれた状態のエンドトキシン量が優位になっている可能性がある。また、敗血症性ショック等の症状等の病態は、前記のようにエンドトキシンが白血球の膜表面に結合することでサイトカインの産生が誘導される結果、惹起される。このように白血球の膜表面に結合したエンドトキシンや白血球内に取り込まれたエンドトキシンの量を考慮しなければ病態との関連性を明確にすることはできない。また、エンドトキシンを保有するグラム陰性菌が白血球に認識され結合さらに貪食されても必然的にエンドトキシンは白血球表面や細胞内部に存在するといえる。そこで、本発明者らは白血球に結合したり内部に含まれるエンドトキシンの測定方法を特許出願した(特許文献2)。この方法により白血球細胞の膜表面に結合したエンドトキシンや白血球内に取り込まれたエンドトキシン測定の意義について注目されるようになった。しかし、この方法では逆に従来の測定対象であった血漿中に含まれるエンドトキシンが除外されることになる。本発明者らは、さらに白血球と血漿のエンドトキシンを同時に測定する方法を考案した。この方法では、血漿と白血球を別操作で採取して両者を混合して測定するが、遠心分離操作が必要であり煩雑であるという課題がある(特許文献3)。血液中の赤血球はエンドトキシン定量する際の前処理ステップによって溶血し、測定系を強く妨げるためできるだけ除去した試料が測定に供されるが、白血球や血漿から赤血球のみを簡易に分離することは容易ではなく、臨床の現場での白血球と血漿あるいはそれぞれ単独の迅速なエンドトキシンの定量を妨げている。フィコールやデキストランやヒドロキシエチル澱粉を血液に適当量混ぜて室温に静置し、赤血球を沈降させると上澄みに白血球を豊富に含む血漿(多白血球血漿)を得ることができ、赤血球を含まない白血球の採取法として従来から用いられている(非特許文献3)。フィコールやデキストランやヒドロキシエチル澱粉は、赤血球の表面の電荷に影響を与え、連銭形成を促し、静置もしくは遠心操作を行った場合に有核細胞との沈降速度の差を生じさせることによって、赤血球を優先的に沈降させ、上澄に多白血球血漿をえることができる。一方で、敗血症患者の血中エンドトキシン量は多くの場合1pg/mlから100pg/mlと、極めて微量であり、より効率よく血液由来試料のエンドトキシンを測定するためには、採取や前処理ステップの段階でエンドトキシンを失活するのを防ぐ工夫が必要である。特許2737514特開2004−117127特許4761448遠藤重厚, 稲田捷也, エンドトキシンと病態. へるす出版, 1995.ホームページ(InadaKatsuya)エンドトキシンの定量法;リムルステストhttp://www.asahi-net.or.jp/~CP6K-IND/index.html連銭形成教育講座:血液のレオロジーと生理機能、第2 回:血液粘度に影響する要因と解析、前田信治:日本生理学雑誌2004、66(9)、287−297.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,Vol.92,pp10119−10122(1995)、Indian J. Med. Res.,Vol.106,pp16−19(1997)Hydroxyethy strach(HES)製剤の現況と今後の展望、山陰道明、Anesthesia 21 century、11巻1-33号、2032-2046、2009白血球と血漿を含み、赤血球を含まないエンドトキシン測定用試料を容易に得る技術が求められている。さらに、白血球や血漿中のエンドトキシン量は微量であり、その試料の前処理においてはエンドトキシンの失活を防止しなければならない課題がある。本発明では、エンドトキシン量を測定する試料にヒドロキシエチル澱粉溶液を加えて、ヒドロキシエチル澱粉の共存下でこれを加熱してエンドトキシン測定用試料とする。血液にヒドロキシエチル澱粉溶液を加えて室温にて静置するとよく知られているように白血球と血漿を得ることができるが、白血球を用いた実験をするときは遠心洗浄操作によってヒドロキシエチル澱粉を除去して用いるのが通常であるが、本発明ではヒドロキシエチル澱粉を共存した白血球と血漿すなわち多白血球血漿を希釈してから加熱してエンドトキシン測定用試料とする。この操作は、血漿のエンドトキシンをリムルステストで測定する場合の前処理ステップである「希釈加熱法」を兼ねることが出来る。ヒドロキシエチル澱粉を所定濃度含む試料を直接あるいは適宜希釈した後、これを加熱処理することにより、エンドトキシンの持つリムルス活性の回収率を向上させる効果がもたらされる。血液にヒドロキシエチル澱粉を加えることにより遠心分離操作なしに容易に多白血球血漿を得ることが出来、引き続きの操作である前処理ステップすなわち希釈と加熱は試料中の干渉因子の除去方法であると同時にエンドトキシンの回収率の向上効果も兼ねることが出来、血液から容易にかつ極めて短時間にエンドトキシン測定用試料が得られる。エンドトキシン(LPS)をヒドロキシエチル澱粉存在下で加熱すると、ヒドロキシエチル澱粉非存在下(生理食塩水に溶解したLPS)での加熱に対してリムルス活性における回収率が向上した。血液にヒドロキシエチル澱粉を加えて得た上澄(多白血球血漿)にLPSを加えて、水で10倍に希釈してから70℃、10分加熱すると、ヒドロキシエチル澱粉の濃度に依存してリムルス活性における回収率が高まった。健常者血液にLPSを加えて37°Cで4時間まで加温し、各時間に血液をくみ取り、その血漿あるいは6%ヒドロキシエチル澱粉と等量の血液を加えてえた上澄(多白血球血漿)のリムルス活性を示した。多白血球血漿における4時間までのエンドトキシンの回収率は血漿における回収率を上回った。本発明は、ヒドロキシエチル澱粉を試料に加えた後に加熱処理することを特徴とするエンドトキシン測定用試料の前処理方法、並びにヒドロキチエチル澱粉はエンドトキシンフリーであり且つカブトガニ血球抽出液とエンドトキシンとの反応を阻害又は促進しない性質を有することを特徴とするエンドトキシン測定用試料の前処理液、の発明である。ヒドロキシエチル澱粉の分子量は血漿代用剤として用いられる高分子量のもの(平均670kD,中分子量のもの(平均分子量130〜250kD)、低分子量のもの(平均分子分子量70kD)があるが、赤血球凝集能があれば分子量については特に問わない。血液には抗凝固剤を加えるが、リムルステストに適した一般的な抗凝固剤が用いられる。例えばヘパリンをリムルステストに影響を与えない濃度で加えてもよい。この場合、ヘパリンの終濃度は10〜100units/mLにすることが好ましい。ヒドロキシエチル澱粉の濃度は0.01〜6%が望ましいが特にこの濃度に限定されない。一般的に6%のヒドロキシエチル澱粉水溶液と等量の血液を混合して軽く混和して室温に静置する。ヒドロキシエチル澱粉粉末に血液を加えて当該濃度としてもよい。室温とは10℃から25℃程度をいうがこれにこだわらない。また静置する時間は赤血球が沈降するまでの時間であり、静置する温度に影響されるので5分から30分程度である。いずれの方法においても沈降した赤血球層より上の層を回収する。多白血球血漿の希釈は、血漿の前処理ステップに含まれる希釈操作と同様に、次の加熱操作で試料の加熱による凝固を起こさないためにあらかじめ水で希釈する操作であるが、その希釈の程度は3倍から20倍が適当であるが、希釈することによりエンドトキシン濃度が低下して測定感度以下になることがなければそれ以上の希釈を行ってもかまわない。加熱時間は5分から15分、加熱温度は60℃から100℃程度が望ましい。加熱処理は前処理ステップを兼ねる場合は干渉因子の除去とエンドトキシンの回収率を向上させる目的で行うが、さらに白血球の破壊の操作を兼ねても良い。また、この加熱処理の条件で、試料中のリムルステストの干渉因子を除去出来なかった場合には、新たにその目的のために加熱をしたり、他の方法で干渉因子を除去しても良い。白血球の破壊が加熱によって十分に行われないときは別の方法で白血球を破壊する操作を加えても良い。試料が血液由来の場合、この水での希釈と加熱の処理により白血球が破壊され、細胞内部のエンドトキシンが露出され測定が可能になるが、加熱前や後に白血球を破壊する操作を付け加えてもかまわない。その方法としては、超音波破壊方法によるもの、物理的破砕方法によるもの、凍結融解方法によるもの等があるが、エンドトキシンが破壊されず白血球を十分に破壊できる方法であれば、これらの方法に限られない。加熱法は試料が十分に加熱されるのであれば加熱方法は問わない。例えば容器ごと恒温槽に入れて加熱してもよい。「恒温槽」は、ウォーターバスであってもよいし、ヒートブロックであってもよい。また、エア・インキュベーターであってもよい。試料は、加熱後に室温放置して放冷してもよいが氷冷等によって冷却してもよい。「超音波破壊方法」は、前記試料に超音波を加えることによって、超音波の振動で白血球の細胞膜を破壊し、細胞内容物を溶出させる方法である。超音波処理は超音波細胞破砕機(ソニケーター)等の装置を用いて行ってもよい。当該方法における超音波の強さは、白血球の細胞膜を破壊できるが、エンドトキシンを破壊しない範囲であればよく、血液の分量や超音波の発振出力、発信時間によって適宜調節すればよい。「物理的破砕方法」は、前記試料に物理的な外力を加えて、白血球を破壊する方法である。物理的破砕処理は、ホモジナイザー等の装置を用いてもよい。当該方法における外力の強さは、白血球の細胞膜を破壊できるが、エンドトキシンを破壊しない範囲であればよい。「凍結融解方法」は、前記試料を液体窒素中やドライアイス中で急速凍結した後に温湯等で融解する操作を行うことによって血液中の白血球を破壊する方法である。急速凍結による細胞内水分の結晶化による体積膨張と、その後の結晶融解によって細胞膜を破壊する原理に基づくものである。凍結融解の操作は、前記成分血液中の白血球が十分に破壊されるまで複数回繰り返してもよい。リムルステストの方法としては、一般に行われている方法例えば、ゲル化法、発色法、比濁法、エンドトキシン光散乱法などであれば特に限定されない。また、この際に用いるカブトガニ血球抽出液は、通常のエンドトキシンの測定に使用できるもの、例えば和光純薬工業社、生化学バイオビジネス社製、エンドセ−フ社、ロンザ社で、リムルス(Limulus)属、タキプレウス(TachypleusT)属あるいはカルシノスコルピウス(Carcinoscorpius)属のカブトガニの血球から抽出されたものであれば特に限定されない。ヒドロキシエチル澱粉を含む試料を加熱する操作が、試料が血液由来の場合は干渉因子の不活化を兼ねることが出来るが、干渉因子の不活化として別の方法例えば、PCA法、New PCA法、アルカリ処理法などを行っても差し支えない。この試料作成法は、リムルステストを用いたβ−Dーグルカンの測定にも使用しても良い。この方法は、一般に血液と呼ばれるもの以外にも、赤血球を含む生体由来の試料例えば臍帯血、骨髄細胞、体液、髄液、尿などのエンドトキシンを検出する場合に赤血球を除く目的で用いてもよい。図1参照のこと。本発明の実施に用いる器具や試薬、水等は全てエンドトキシ・フリーのもの、あるいはエンドトキシン測定結果に影響を及ぼさない程度の極めて微量しかエンドトキシンを含有していないものを使用することを前提とする。LPS(大腸菌O111:B4由来、シグマ社製)をmg/mlの濃度に燐酸緩衝生理食塩水(PBS)に浮遊させ、ボルテックスミキサーおよび超音波発生器の端子で十分に浮遊させて用いた。エンドトキシンフリーのチップ(バイオクリーンチップ;和光純薬工業社製)を用いて、PBSで所定の濃度に希釈して実験に用いた。終濃度20pg/mlのLPSを生食水、またはヒドロキシエチル澱粉(タカラバイオ社製、生理食塩水に溶解)0.02%から1.5%の濃度の生理食塩溶液に含ませて、70℃、10分加熱し、氷冷後のリムルス活性を測定した。リムルス試薬としてシングルテストワコー(和光純薬工業株式会社)を使用しトキシノメーターMTー5500(和光純薬)を用いて測定した。その結果、20pg/mlのLPSのリムルス活性に対して、その回収率は生理食塩水が最も悪かったが、ヒドロキシエチル澱粉の存在下でその濃度に依存して回収率が向上した。なお、LPSをヒドロキシエチル澱粉に0.02%から1.5%の濃度に含ませてから、加熱せずそのままリムルス活性をしらべたところ、ヒドロキシエチル澱粉を含まない場合に比較してその値は殆ど変わらず、ヒドロキシエチル澱粉はLPSのリムルス活性を阻害あるいは促進しなかった。図2参照のこと。6%ヒドロキシエチル澱粉を含む生理食塩水液を健常者血液に等量(ヒドロキシエチル澱粉の最終濃度3%)、1/2量(同2%)、1/3量(同1.5%)、1/4量(同1.2%)加えて混合し、室温で静置したところ、それぞれ約8分、11分、15分、25分で赤血球が凝集沈殿し、上澄すなわち多白血球血漿が採取できた。この多白血球血漿に終濃度20pg/mlのLPSを加えてリムルステストによりエンドトキシンを測定した。すなわち、この100μlを水900μlに加えて10倍希釈した(この場合ヒドロキシエチル澱粉の最終濃度は0.3%、0.2%、0.15%,0.12%になった)。この液をヒドロキシエチル澱粉の効果を発揮させるためと、血漿中の干渉因子を不活化する二つの目的で70℃、10分ヒートブロックで加熱した。氷冷後リムルス活性を測定した。その結果、何も処理しないLPSの活性を100%としたとき、ヒドロキシエチル澱粉を含まない生理食塩水に溶解し加熱したLPSで最も悪く(58.7%)、ヒドロキシエチル澱粉を加えて採取した白血球を含む血漿ではヒドロキシエチル澱粉の濃度依存性に回収率が向上した(図中の◆)。なお、LPSを加えない1.2%ヒドロキシエチル澱粉の場合、3%ヒドロキシエチル澱粉の場合いずれもリムルス活性は測定されず、ヒドロキシエチル澱粉や実験操作中のエンドトキシン汚染はなかったことが示された(▲)。図3参照のこと。ヘパリンを加えて採取したヒト健常者血液にLPSを20pg/ml添加し、37°Cで4時間まで加温し、0,1,2、3,4時間後に一定量をくみ取り、以下の方法でリムルス活性を調べた。1)6%ヒドロキシエチル澱粉と等量の血液加えて軽く混和してから15分室温に静置し、その上澄(多白血球血漿)を採取して、水で10倍に希釈後強く撹拌してから、70℃、10分加熱して氷冷後リムルス活性を調べた(図中の▲)。値を10倍して多白血球血漿のエンドトキシン量とした。2)血液を卓上遠心器(久保田商事社製)で1,500回転10分間遠心分離し、上清すなわち血漿をえて、水で10倍に希釈後、70℃、10分加熱して氷冷後リムルス活性を調べた。値を10倍して血漿1ml当たりのエンドトキシン量とした。1)、2)ともLPS添加直後(0)のLPSのリムルス活性を100%として表した。その結果、ヒドロキシ澱粉を加えて採取した多白血球血漿でのエンドトキシンの回収率が血漿でのエンドトキシンの回収率より高かった。本発明は、遠心分離の操作を含まず簡便な操作により実施可能で、かつエンドトキシンの回収率の良好な、リムルステストの測定用試料前処理方法を提供できる。また、血液由来の主として白血球、血漿等の測定の場合には、測定を阻害する赤血球の除去を兼ねること、加熱処理は血漿中に含まれる干渉因子の不活化や白血球の破壊を兼ねることが出来る。従来、血液中のエンドトキシン測定を妨げてきた赤血球を容易に除去でき、迅速な測定法が実施できることにより、速やかな治療方針の確立のために緊急性を要する敗血症や敗血症性ショックの診断に寄与することができる。この発明は臨床医学に貢献すること大であると考える。ヒドロキシエチル澱粉を試料に加えて加熱してえる、リムルステストによるエンドトキシン測定用試料の作成法。試料が血液である、請求項1に記載のリムルステストによるエンドトキシン測定用試料の作成法。血液などの試料にヒドロキシエチル澱粉を加えて室温に静置して赤血球を沈殿除去してえた、ヒドロキシエチル澱粉と白血球と血漿を含む、請求項1および2に記載のエンドトキシン測定用試料の作成法。試料に加えるヒドロキシエチル澱粉の最終濃度が0.01から10%であり、好ましくは0.01から6%である、請求項1〜3のいずれかに記載のエンドトキシン測定用試料作成法。ヒドロキシエチル澱粉を含む試料の好ましい加熱温度が70°Cから90°Cで、好ましくは10分ないし20分である、請求項1〜4のいずれかに記載のエンドトキシン測定用試料の作成法。白血球と血漿を含む試料の希釈の程度は3倍から20倍である、請求項1〜5のいずれかに記載のエンドトキシン測定用試料の作成法。ヒドロキシエチル澱粉を含む白血球と血漿の希釈加熱の操作が、これらの試料に含まれるリムルステストの干渉因子を除去する希釈加熱操作とを兼ねることができる、請求項1〜6のいずれかに記載のエンドトキシン測定用試料の作成法。ヒドロキシエチル澱粉はエンドトキシンフリーであり、カブトガニの血球成分とエンドトキシンの反応を阻害あるいは促進しない性質をもつエンドトキシン測定用試料作成用の前処理液。 【課題】感染症患者の白血球や血漿中のエンドトキシン量の測定にあっては、迅速性が要求されるためその試料の容易な採取法でなければならないこと、かつ含まれるエンドトキシンは微量なため前処理においてエンドトキシンの失活を防止しなければならない課題がある。【解決手段】本発明では試料にヒドロキシエチル澱粉溶液を加えて、これを加熱してエンドトキシン測定用試料とする。それによってエンドトキシンの回収率が向上できる。試料が血液の場合にヒドロキシエチル澱粉を加えるとヒドロキシエチル澱粉の赤血球凝集効果によって遠心分離操作なしに容易に白血球と血漿を得ることができ、かつ、加熱操作は血漿中のリムルステスト干渉因子を除去する加熱操作を兼ねることが出来る。それによって、容易にエンドトキシン測定用試料を得ることが出来、かつ微量なエンドトキシンの活性を失わせることない。【選択図】図2


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