タイトル: | 公開特許公報(A)_育毛剤組成物 |
出願番号: | 2011268596 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | A61K 8/97,A61K 8/365,A61K 8/60,A61K 8/44,A61K 8/55,A61K 8/64,A61K 8/34,A61Q 7/00 |
八木 伸夫 JP 2013119535 公開特許公報(A) 20130617 2011268596 20111208 育毛剤組成物 株式会社ピカソ美化学研究所 399091120 特許業務法人三枝国際特許事務所 110000796 八木 伸夫 A61K 8/97 20060101AFI20130521BHJP A61K 8/365 20060101ALI20130521BHJP A61K 8/60 20060101ALI20130521BHJP A61K 8/44 20060101ALI20130521BHJP A61K 8/55 20060101ALI20130521BHJP A61K 8/64 20060101ALI20130521BHJP A61K 8/34 20060101ALI20130521BHJP A61Q 7/00 20060101ALI20130521BHJP JPA61K8/97A61K8/365A61K8/60A61K8/44A61K8/55A61K8/64A61K8/34A61Q7/00 7 OL 11 4C083 4C083AA111 4C083AA112 4C083AC101 4C083AC102 4C083AC111 4C083AC121 4C083AC122 4C083AC172 4C083AC301 4C083AC302 4C083AC432 4C083AC531 4C083AC532 4C083AC581 4C083AC582 4C083AC641 4C083AC642 4C083AD661 4C083AD662 4C083BB45 4C083CC37 4C083EE01 4C083EE22 本発明は、タマネギ外皮抽出物を有効成分として含み、安定性および育毛効果に優れる育毛剤組成物に関する。 ストレスの多い現代社会においては、脱毛の原因の一因とされているストレスを取り除くことは困難に等しく、男女問わず、抜け毛又は薄毛に悩む人が増えている。このため、より優れた「育毛料」が常に望まれており、提供すべく様々な試みがなされている。 男性ホルモンの1種であるテストステロンは、還元酵素であるテストステロン5α−レダクターゼにより還元され、作用の強いジヒドロテストステロンになる。生成されたジヒドロテストステロンは、毛乳頭においてレセプターと結合して複合体を形成し、特定のDNAに作用することによってmRNAの発現を介してある種のタンパク質が合成され、これが毛包上皮系細胞に働いて、毛成長又は毛周期(ヘアサイクル)に異常を引き起こし、毛包を萎縮させ、脱毛を誘発する原因となることが知られている。従って、抗男性ホルモン作用又は抗男性ホルモン作用の機序のひとつであるテストステロン5α−レダクターゼ阻害作用を有する薬剤は育毛作用があると考えられている。すなわち、テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用を有する薬剤を得ることができれば、これにより、頭皮機能を高め、脱毛を防止し、毛髪の発毛、成長又は正常化を促すことができる育毛剤を得ることができる。 テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用を示す物質としては、ステロイド物質、女性ホルモン、及び多くの植物抽出物が知られており、特に天然物を由来とする物質が望まれている。 有効成分として植物抽出物を含むテストステロン5α−レダクターゼ阻害剤、及びそれらを含む育毛剤又は養毛剤に関しては、多くの報告がある(例えば、特許文献1〜5)。特許文献1には、くまつづら科植物であるランタナ(Lantana camara L.)の根部から水、脂肪族低級アルコール、1,3−ブチレングリコール、またはこれらの混合物等により抽出されるテストステロン5α−レダクターゼ阻害物質を有効成分とするテストステロン5α−レダクターゼ阻害剤、ならびにこれを含有させてなる頭髪化粧料および皮膚化粧料が記載されている。また、特許文献2には、ワンピ属ミカン科に属する常緑小高木である、「黄皮」(学名:Clausena lansium(Lour.)Skeels)の葉に、テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用とアンドロゲン受容体結合阻害作用の両方を有する物質が含まれており、男性ホルモン過剰による頭皮疾患の改善に有効で安全性にも優れた養毛化粧料を提供することができることが記載されている。特許文献3には、紅豆杉、烏欖、幌傘楓、穿心蓮からなる群から選ばれた1種若しくは2種以上の植物抽出物が、テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用及び/又はアンドロゲン受容体結合阻害作用を示し、これらを用いて、養毛化粧料、前立腺肥大抑制剤、健康補助食品を得られることが記載されている。特許文献4には、ムラサキ科チシャノキ属植物(特にチャングバット)から抽出されるテストステロン5α−レダクターゼ阻害物質及びアンドロゲン受容体結合阻害物質を有効成分として含有する抗男性ホルモン剤、及び養毛化粧料、皮脂分泌抑制剤並びに前立腺肥大抑制剤が記載されている。特許文献5には、クエルカス(Quercus)属に属する植物またはその抽出物を含有するテストステロン5α−レダクターゼ阻害剤、育毛剤、ニキビの予防および/または治療剤、前立腺疾患の予防および/または治療剤が記載されている。しかしながら、これらの製品は、育毛効果が不十分であったり、副作用があったりして、いまだ満足する育毛剤は得られていない。特許第4455682号公報特許第4585073号公報特開2002−087976号公報特開2002−363085号公報特開2003−238435号公報 本発明の目的は、テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用を有する新規な植物抽出物を見出し、その植物抽出物が安定に存在し、育毛効果に優れた育毛剤組成物を提供することにある。 本発明者は、上記のような実情を鑑み、鋭意検討を重ねた結果、タマネギ外皮抽出物がテストステロン5α−レダクターゼ阻害作用を有すること、及びこのタマネギ外皮抽出物とキレート剤等とを組み合わせれば、タマネギ外皮抽出物が広いpH領域の水溶液中でも安定に存在することを見出し、さらに検討を加えて本発明を完成するに至った。 即ち、本発明は、以下の育毛剤組成物を提供する。項1. (A)タマネギ外皮抽出物、(B)キレート剤、(C)多価アルコール、及び(D)エチルアルコールを含有し、pHが4.5〜9である育毛剤組成物であって、前記成分(C)の含有量が、前記組成物中10質量%以下であり、かつ、前記成分(A)1質量部に対して15質量部以上であることを特徴とする育毛剤組成物。項2. 前記成分(A)が、ケルセチンを含む上記項1に記載の育毛剤組成物。項3. 前記成分(B)が、酒石酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、及びそれらの塩、及びラクトフェリンからなる群から選ばれる1種又は2種以上である上記項1又は2に記載の育毛剤組成物。項4. 前記成分(C)が、グリセリン、ジグリセリン及び1,3−ブタンジオールからなる群から選ばれる1種又は2種以上である上記項1〜3のいずれかに記載の育毛剤組成物。項5. さらに、(E)血行促進剤および(F)毛包賦活剤を含む上記項1〜4のいずれかに記載の育毛剤組成物。項6. 前記成分(E)が、ビタミンE及びビタミンE誘導体、ニコチン酸及びその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、L−メントール、セファランチン、塩化カルプロニウム、スピロノラクトン、γ−オリザノール、ミノキシジル、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、センブリ抽出物、朝鮮人参抽出物、チンピ抽出物、イチョウ葉抽出物、キナ抽出物、ショウブ根抽出物、ソフォラ抽出液、トウヒ抽出物、当薬抽出物、ユズ抽出物、トウガラシチンキ、カンタリスチンキ及びショウキョウチンキからなる群から選ばれる1種又は2種以上である上記項5に記載の育毛剤組成物。項7. 前記成分(F)が、パントテン酸及びその誘導体、N−アシルアミノ酸、ペンタデカン酸グリセリド、6−ベンジルアミノプリン、プロシアニジン、アデノシン三リン酸二ナトリウム、アスパラギン酸カリウム、フラバノノール、感光素301号、ニンニク成分、ローヤルゼリー、ビオチン、モノニトログアヤコール、6−ベンジルアミノプリン、ジイソプロピルアミンジクロル酢酸、ヒノキチオール、パントテニルエチルエーテル、プラセンタエキス、真珠蛋白抽出物、酵母抽出物、タマサキツヅラフジ抽出物、ブドウ抽出物、リンゴ抽出物、サンショウ抽出物、コリアンダー抽出物及びヒレハリソウ抽出物からなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項5又は6に記載の育毛剤組成物。 本発明の育毛剤組成物は、有効成分として植物抽出物であるタマネギ外皮抽出物を用いているので、副作用などがなく安全である。さらに、本発明の育毛剤組成物は、(A)タマネギ外皮抽出物とともに、(B)キレート剤、(C)多価アルコール及び(D)エチルアルコールを必須成分として含むので、タマネギ外皮抽出物の有するテストステロン5α−レダクターゼ阻害作用を、pH4.5〜9という広いpH領域で発揮させることができ、優れた育毛効果を得ることができる。さらに、(E)血行促進剤および(F)毛包賦活剤と組み合わせて用いることで、より育毛効果に優れた育毛剤組成物を得ることができる。 本発明の育毛剤組成物は、必須成分として(A)タマネギ外皮抽出物(以下、「成分(A)」ともいう)、(B)キレート剤(以下、「成分(B)」ともいう)、(C)多価アルコール(以下、「成分(C)」ともいう)、及び(D)エチルアルコール(以下、「成分(D)」ともいう)を含有する。 本発明に用いる(A)タマネギ外皮抽出物は、ネギ科(クロンキスト体系ではユリ科)ネギ属タマネギ(学名:Allium cepa)の外皮から得られる。タマネギの外皮とは、タマネギの鱗茎部分を覆っているうす茶色の皮のことであって、食することができないため、通常は捨てられる部分である。タマネギの外皮には、主成分としてポリフェノールの一種である茶色の色素成分のケルセチン(クエルセチン)が多く含まれることが知られており、本発明の育毛剤組成物におけるタマネギ外皮抽出物の作用はこのケルセチンによるところが大きい。タマネギ外皮には、ケルセチン以外に、硫化アリル、ビタミンA、B1、B2などが含まれている。ケルセチンを主として含む本発明のタマネギ外皮抽出物は、公知の方法により得ることができる。 具体的には、タマネギ外皮を40〜80質量%のエタノール水溶液に浸漬し、20〜60℃程度の温度で0.5〜4時間程度インキュベーションし、濾過又は遠心して上清を採取し、上清から溶媒を除去して得られた溶液を蒸発乾固またはフリーズドライすることにより、タマネギ外皮抽出物の粉末を得ることができる。別の方法として、タマネギ外皮を熱湯にて抽出した後、木粉に吸着させ、タマネギ外皮抽出物担持リグノセルロースを得てから、溶媒を用いて溶出させる方法もある。 ケルセチンには、経口摂取により、抗酸化、血糖降下、抗癌又は血圧降下作用、毛細血管を丈夫にする働き等があることが知られており、新陳代謝を活発にし、疲労回復に効果があり、タマネギ外皮をそのまま粉末化したりして、健康食品等に多く利用されている。 しかしながら、タマネギ外皮抽出物及びケルセチンは、着色するという問題があり、さらに水への溶解性が悪く、安定化が難しいことから、育毛剤に利用されたという報告はない。 タマネギ外皮抽出物の育毛剤組成物中の配合量は、固形分で0.05〜1.5質量%が好ましく、0.1〜1質量%がさらに好ましい。0.05質量%未満では、テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用による十分な育毛効果が得られない。1.5質量%を超えても、それ以上の効果を期待することができない。 本発明に用いられる成分(B)のキレート剤としては、サリチル酸、酒石酸、アスコルビン酸、マレイン酸、グルコン酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、及びそれらの塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ラクトフェリン、カフェイックアシッド、ピロガロールなどが挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩等が挙げられる。 タマネギ外皮抽出物は、溶媒の存在下、pH7.5以上のアルカリ域では安定に存在することができるが、pH7.5未満のpH域では、ケルセチンが不溶化し沈殿を生じやすい。ケルセチンは不溶化することにより、生理活性が消失し、ケルセチンの有する作用を発揮できない。本発明では、上記のキレート剤と特定の溶媒とを組み合わせることで、pH4.5〜9の領域で、タマネギ外皮抽出物を安定に存在させることを可能にした。 これらのキレート剤のうち、酒石酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、及びそれらの塩、及びラクトフェリンからなる群から選ばれる1種又は2種以上が、タマネギ外皮抽出物の安定化効果に優れる点で、特に好ましい。 キレート剤の育毛剤組成物中の配合量は、0.001〜1質量%が好ましく、0.1〜0.5質量%がさらに好ましい。0.001質量%未満では、pH7.5未満で、タマネギ外皮抽出物が凝集沈殿を生じやすく、1質量%を超えても、タマネギ外皮抽出物の安定性に関わる影響はない。 タマネギ外皮抽出物を、育毛剤組成物中に安定に存在させるために必要な溶媒として、成分(C)の多価アルコールを使用する。(C)多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール等が挙げられる。グリセリンとしては、日本薬局方グリセリン(商品名)(グリセリン濃度84〜87%)、化粧品用濃グリセリン(商品名)(グリセリン濃度98.5%以上)等を用いることができる。成分(C)は、タマネギ外皮抽出物中に含まれるケルセチンの溶解性向上に寄与するだけでなく、育毛剤組成物において頭皮を柔軟にし、他の薬効成分と共存して相乗効果を示す上で重要な役目を果たしている。このように多価アルコールは、頭皮に対しては柔軟剤又は保湿剤として有用であるが、髪に必要以上に吸着されると、髪のボリュームを低下させる、湿気が吸いやすくなる、ベタツキによりゴミが付着しやすくなるなどの弊害が生じる。このため、成分(C)の含有量は、育毛剤組成物中10質量%以下が好ましい。 これらの多価アルコールの中で、特にグリセリン、ジグリセリン及び1,3−ブタンジオールが、タマネギ外皮抽出物の溶解性向上に寄与してタマネギ外皮抽出物の安定化を促す点で好ましい。しかしながら、タマネギ外皮抽出物に対する多価アルコールの割合が低いと、タマネギ外皮抽出物と多価アルコールとの相溶姓が悪く、時間の経過とともに凝集、沈降、変色などを生じやすくなる。よって、この問題を回避するためには、タマネギ外皮抽出物1質量部に対して、これらの多価アルコールが、15質量部以上必要である。 さらに一価のアルコールである(D)のエチルアルコールも、溶媒として必要である。エチルアルコールとして、合成エチルアルコール、発酵エチルアルコール、変性剤を添加した変性エチルアルコール等を単独若しくは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。エチルアルコールは、多価アルコールと共存して、タマネギ外皮抽出物の安定化を促し、さらにタマネギ外皮抽出物およびその他の薬効成分の経皮吸収を促す目的で添加される。このように、タマネギ外皮抽出物による育毛効果を発揮させる上で、多価アルコール及びエチルアルコールは重要な役目を果たす。 成分(D)の育毛剤組成物中の配合量は、1〜70質量%が好ましく、3〜65質量%がさらに好ましい。1質量%未満では、薬効成分の頭皮への経皮吸収効果は低く、70質量%を超えても、タマネギ外皮抽出物の安定性又は育毛効果に関わる影響は見られない。 本発明の育毛剤組成物は、さらに(E)血行促進剤および(F)毛包賦活剤を含むことができる。 成分(E)の血行促進剤としては、ビタミンE及びビタミンE誘導体、ニコチン酸及びその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、L−メントール、セファランチン、塩化カルプロニウム、スピロノラクトン、γ−オリザノール、ミノキシジル、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、センブリ抽出物、朝鮮人参抽出物、チンピ抽出物、イチョウ葉抽出物、キナ抽出物、ショウブ根抽出物、ソフォラ抽出液、トウヒ抽出物、当薬抽出物、ユズ抽出物、トウガラシチンキ、カンタリスチンキ、ショウキョウチンキなどを用いることができる。ビタミンE誘導体として、酢酸トコフェロール、(リノール酸/オレイン酸)トコフェロール、コハク酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、リノール酸トコフェロール等が挙げられる。ニコチン酸誘導体として、ニコチン酸エチル、ニコチン酸トコフェロール、ニコチン酸ヘキシル、ニコチン酸ベンジル、ニコチン酸メチル等が挙げられる。 これら血行促進剤の中で、ビタミンE及びビタミンE誘導体、ニコチン酸及びその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、セファランチン、塩化カルプロニウム、スピロノラクトン、γ−オリザノール、センブリ抽出物、朝鮮人参抽出物、チンピ抽出物、トウガラシチンキ、及びショウキョウチンキが、血行を有効に促進し、優れた育毛作用が得られる点で特に好ましい。 成分(E)の配合量としては、育毛剤組成物中に0.01〜3質量%が好ましく、0.1〜1質量%がさらに好ましい。0.01質量%未満では、十分な育毛効果が得られず、3質量%を超えても、効果に影響はなく、かえってべたつきなどの不快感を与えたり、刺激を感じるなどの不都合が生じ、好ましくない。 成分(F)の毛包賦活剤としては、パントテン酸及びその誘導体、N−アシルアミノ酸、ペンタデカン酸グリセリド、6−ベンジルアミノプリン、プロシアニジン、アデノシン三リン酸二ナトリウム、アスパラギン酸カリウム、フラバノノール、感光素301号、ニンニク成分、ローヤルゼリー、ビオチン、モノニトログアヤコール、6−ベンジルアミノプリン、ジイソプロピルアミンジクロル酢酸、ヒノキチオール、パントテニルエチルエーテル、プラセンタエキス、真珠蛋白抽出物、酵母抽出物、タマサキツヅラフジ抽出物、ブドウ抽出物、リンゴ抽出物、サンショウ抽出物、コリアンダー抽出物、ヒレハリソウ抽出物などを用いることができる。パントテン酸誘導体として、D−パントテニルアルコール、DL−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アラントインパントテニルアルコール、パントテン酸ポリペプチド等が挙げられる。 これらの毛包賦活剤の中で、パントテン酸及びその誘導体、プロシアニジン、アデノシン三リン酸二ナトリウム、感光素301号、ニンニク成分、ローヤルゼリー、ヒノキチオール、パントテニルエチルエーテル、プラセンタエキス、及び酵母抽出物が、毛包細胞を効率よく活性化し、優れた育毛作用が得られる点で特に好ましい。 成分(F)の配合量としては、育毛剤組成物中に0.01〜5質量%が好ましく、0.1〜1質量%がさらに好ましい。0.01質量%未満では、十分な育毛効果が得られず、5質量%を超えても、効果に影響はなく、かえってべたつくなどの不快感を与えてしまい、好ましくない。 本発明の育毛剤組成物には、上記成分以外に、他の成分として化粧品や医薬部外品などに分類する育毛剤の配合成分として一般的に用いられる、界面活性剤、油脂類、上記記載の多価アルコール以外の保湿剤、エチルアルコール以外の一価アルコール、防腐剤、植物抽出物、抗炎症剤、色素、香料などを適宜配合することができる。 本発明の育毛剤組成物の形態としては、液状、ゲル状、乳液状、エアゾール等の剤型で製剤化することが可能であるが、使い易さ及び用法を考慮すると、液状又はエアゾール状が本発明の効果を発揮されやすく好ましい。 以下に本発明の実施例を示すことにより、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。 テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用を測定するために、タマネギ外皮抽出物を調製した。タマネギ外皮抽出物は、グリセリンを溶媒として用いたものを試料とした。[製造例1:タマネギ外皮抽出物の2質量%グリセリン溶液の調製] タマネギ外皮を洗浄した後、乾燥させて粉砕したもの100gに、50%エタノール水溶液1Lを添加し、40℃で2時間インキュベートした。次いで、得られた混合物を濾過し、上清を採取した。上清に含まれる溶媒を除去して上清を蒸発乾固させることにより、タマネギ外皮抽出物約2gを得た。得られたタマネギ外皮抽出物1gとジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム0.1gをグリセリンに溶解し、タマネギ外皮抽出物を2質量%の濃度で含むグリセリン溶液(50g)を得た。[製造例2:タマネギ外皮抽出物の2質量%グリセリン溶液の調製] 浸漬する溶媒として40%エタノール水溶液を用い、60℃で2時間インキュベーションを行う以外は、製造例1と同様にしてタマネギ外皮抽出物約2gを得た。得られたタマネギ外皮抽出物1gとジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム0.1gをグリセリンに溶解し、タマネギ外皮抽出物を2質量%の濃度で含むグリセリン溶液(50g)を得た。[テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用の測定] 試料として、製造例1および2のタマネギ外皮抽出物(2質量%濃度)を用いて、以下の公知の方法により、テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用の測定を行った。まずプロピレングリコール1mLにテストステロン4.2mgを溶解し、得られた溶液の20μLに1mg/mLのNADPHを含有する5mmol/mLTris−HCl緩衝液825μL(pH7.2)を加えて混合した。これに各濃度に希釈した被験試料80μL、及びS−9(ラット肝ホモジネート)75μLを混合し、35分間(37℃)反応させた後、塩化メチレン1mLを加えて反応を停止させた。次に遠心分離により塩化メチレン層を分取し、テストステロン残存量をHPLCにより定量した。対照として、溶媒だけを用いて同様に処理して定量した。内部標準物質として4−ヒドロキシ安息香酸ブチルを用いた。陽性試料には、テストステロン5α−レダクターゼ阻害活性を有することが公知であるエチニルエストラジオールを用いた。また、製造例1および2のタマネギ外皮抽出物(2%濃度)を40℃で2週間保存したものについても上記と同様にして測定を行った。 酵素活性を50%阻害する試料濃度IC50(mg/mL)を下記式:阻害率(%)=100×[(a−b)/a]a:対照(テストステロン変換%)b:試料(テストステロン変換%)により計算し、阻害率を求めた。結果を表1に示す。[試験結果] 表1の結果からわかるように、本発明に用いられるタマネギ外皮抽出物は、高いテストステロン5α−レダクターゼ阻害作用を有することが確認された。40℃で2週間保管したものについても、同程度のテストステロン5α−レダクターゼ阻害作用を維持していた。 さらに、本発明の育毛剤組成物の処方例を以下に示す。 実施例1〜3及び比較例1の育毛剤組成物は、室温下にて1〜10の成分を順次混合し、最後に、11及び12の成分を予め混合させておいたものを加え、プロペラで撹拌し、可溶化したことを確認した後、取り出した。[使用試験] 実施例1〜3及び比較例1の育毛剤組成物を用いて、使用試験を行った。20〜50歳の男性型脱毛症の男性被験者10名に対し、朝夕の一日2回、患部に連続3ヶ月間いずれかの試料を使用した。以下の評価基準に従い、毛髪の増加度、及び洗髪時の抜け毛の減少度合いを基準に、育毛効果を専門の評価者により評価した。毛髪の増加度は、3ヶ月後の頭皮の状態を写真撮影したものを用いて評価した。洗髪時の抜け毛の減少度合いについては、自己評価にて判断した。[評価基準1:毛髪の増加度]◎:試験開始前に比べ明らかな増加が確認された○:試験開始前に比べて1〜2割の増加が確認された△:試験開始前と特に変化は見られなかった×:試験開始前より毛髪が減少した[評価基準2:洗髪時の抜け毛の減少度合い]◎:明らかに抜け毛が減少した○:試験開始前よりは抜け毛が減った△:特に変化は見られなかった×:試験開始前より抜け毛が増えた 表2に示した通り、実施例1〜3の本発明の育毛剤組成物は、明らかな育毛効果を発揮することが確認された。それに比べ、(B)キレート剤を含まない比較例1は、実施例と同様に(A)タマネギ外皮抽出物を含むにも関わらず、安定性が悪く、十分な育毛効果を発揮しないことが確認された。 (A)タマネギ外皮抽出物、(B)キレート剤、(C)多価アルコール、及び(D)エチルアルコールを含有し、pHが4.5〜9である育毛剤組成物であって、前記成分(C)の含有量が、前記組成物中10質量%以下であり、かつ、前記成分(A)1質量部に対して15質量部以上であることを特徴とする育毛剤組成物。 前記成分(A)が、ケルセチンを含む請求項1に記載の育毛剤組成物。 前記成分(B)が、酒石酸、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ヒドロキシエタンジホスホン酸、及びそれらの塩、及びラクトフェリンからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の育毛剤組成物。 前記成分(C)が、グリセリン、ジグリセリン及び1,3−ブタンジオールからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項1〜3のいずれかに記載の育毛剤組成物。 さらに、(E)血行促進剤および(F)毛包賦活剤を含む請求項1〜4のいずれかに記載の育毛剤組成物。 前記成分(E)が、ビタミンE及びビタミンE誘導体、ニコチン酸及びその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、L−メントール、セファランチン、塩化カルプロニウム、スピロノラクトン、γ−オリザノール、ミノキシジル、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、センブリ抽出物、朝鮮人参抽出物、チンピ抽出物、イチョウ葉抽出物、キナ抽出物、ショウブ根抽出物、ソフォラ抽出液、トウヒ抽出物、当薬抽出物、ユズ抽出物、トウガラシチンキ、カンタリスチンキ及びショウキョウチンキからなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項5に記載の育毛剤組成物。 前記成分(F)が、パントテン酸及びその誘導体、N−アシルアミノ酸、ペンタデカン酸グリセリド、6−ベンジルアミノプリン、プロシアニジン、アデノシン三リン酸二ナトリウム、アスパラギン酸カリウム、フラバノノール、感光素301号、ニンニク成分、ローヤルゼリー、ビオチン、モノニトログアヤコール、6−ベンジルアミノプリン、ジイソプロピルアミンジクロル酢酸、ヒノキチオール、パントテニルエチルエーテル、プラセンタエキス、真珠蛋白抽出物、酵母抽出物、タマサキツヅラフジ抽出物、ブドウ抽出物、リンゴ抽出物、サンショウ抽出物、コリアンダー抽出物及びヒレハリソウ抽出物からなる群から選ばれる1種又は2種以上である請求項5又は6に記載の育毛剤組成物。 【課題】テストステロン5α−レダクターゼ阻害作用を有する新規な植物抽出物を見出し、その植物抽出物が安定に存在し、育毛効果に優れた育毛剤組成物を提供すること。【解決手段】本発明は、(A)タマネギ外皮抽出物、(B)キレート剤、(C)多価アルコール、及び(D)エチルアルコールを含有し、pHが4.5〜9である育毛剤組成物であって、前記成分(C)の含有量が、前記組成物中10質量%以下であり、かつ、前記成分(A)1質量部に対して15質量部以上であることを特徴とする育毛剤組成物である。【選択図】なし