タイトル: | 公開特許公報(A)_コラーゲンの製造方法 |
出願番号: | 2011265694 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C07K 14/78 |
前田 竜 山口 勇 河上 貴宏 森本 孝平 JP 2013116875 公開特許公報(A) 20130613 2011265694 20111205 コラーゲンの製造方法 多木化学株式会社 000203656 前田 竜 山口 勇 河上 貴宏 森本 孝平 C07K 14/78 20060101AFI20130517BHJP JPC07K14/78 3 OL 9 4H045 4H045AA20 4H045BA10 4H045CA40 4H045CA52 4H045EA01 4H045EA15 4H045EA20 4H045EA34 4H045FA71 4H045GA01 4H045GA05 4H045GA20 本発明は、水に対する溶解性が酸性領域で高い生物原料由来のコラーゲンの製造方法に関し、特に、コラーゲンの精製方法が、コラーゲンの抽出工程によって得られるコラーゲンと非コラーゲン性窒素化合物とを含有する水溶液と、pHが7以下の活性炭とを接触させることによって、非コラーゲン性窒素化合物を除去する方法であるコラーゲンの製造方法に関する。 コラーゲンは、3重らせん構造を有するタンパク質であり、コラーゲンを加熱変性すると3重らせん構造を有さないゼラチンになる。公知文献では、ゼラチンであってもコラーゲンと称しているものが多数あるが、本発明では、塩析により線維化するタンパク質、即ち、3重らせん構造を有するタンパク質のみを「コラーゲン」と称する。一方、加熱等によるコラーゲンの変性物を「ゼラチン」と称し、コラーゲンとゼラチンは明確に分けて称する。また、タンパク質、ペプチド、アミノ酸等の窒素化合物のうち、塩析により線維化するタンパク質以外のもの、即ち、3重らせん構造を有さない窒素化合物を「非コラーゲン性窒素化合物」と称する。 コラーゲンは、哺乳類、魚貝類等の生物原料のコラーゲン含有組織からさまざまな抽出法を用いた抽出工程の後、コラーゲンの純度を高める精製工程を経て製造されている。主な抽出法とそれによって得られるコラーゲンの呼称として、[1]希酸により抽出する方法によって得られる酸可溶性コラーゲン、[2]酵素で可溶化処理する方法によって得られる酵素可溶化コラーゲン、[3]アルカリで可溶化処理する方法によって得られるアルカリ可溶化コラーゲン、が挙げられる。これらのうち、水に対する溶解性が酸性領域で高いのは、酸可溶性コラーゲンと酵素可溶化コラーゲンである。 酸可溶性コラーゲンの製造方法として、特許文献1には、魚鱗を原料とし、コラーゲンを変性させない温度条件下において、酸性溶液による抽出工程、次いで塩析法による精製工程を用いることが開示されている。 また、酵素可溶化コラーゲンの製造方法として、特許文献2には、魚鱗からコラーゲンを変性させることなく、純度の高いコラーゲンを抽出する方法が開示されている。この方法では、脱灰した魚鱗に対して魚鱗中のコラーゲンをできるだけ変性させない温度範囲内でプロテアーゼ処理してコラーゲンを可溶化させ残渣を除去した後、塩析法により非コラーゲン性窒素化合物を除去する精製工程を経て純度の高いコラーゲンを得ている。 塩析法は、塩化ナトリウム等による塩濃度の上昇によりコラーゲンを線維化させる塩析工程、線維化したコラーゲンを遠心分離等によって回収する回収工程、回収したコラーゲンを酸で溶解し、脱塩処理する透析工程からなる。尚、塩析工程には、塩基性溶液や緩衝液などを用いてコラーゲン溶液を中性から塩基性にすることでコラーゲンを線維化する工程も包含される場合がある。いずれにしても、塩析工程では無機塩の添加が必須であるため、最終製品として塩濃度の低いコラーゲンを得るためには透析工程を繰り返す必要があり、精製に煩雑で長時間の操作を行う必要があった。 一方、コラーゲンまたはゼラチンの製造において、脱臭、脱色目的で活性炭を添加することが広く行われている。例えば、特許文献3では、ゼラチンの酵素分解物の脱臭、脱色を目的として活性炭を添加している。特開平5−93000特開2010−193808号公報特開2003−238597号公報 上述のように、コラーゲンの精製工程において、非コラーゲン性窒素化合物を除去するために塩析法が用いられているが、塩析法では添加した塩類の除去に透析工程が必須で、煩雑な長時間の操作を要するものであった。そこで、塩析法に代わる非コラーゲン性窒素化合物の簡便な除去方法の開発が強く要望されていた。 本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討を行った結果、驚くべきことに、コラーゲンやゼラチン等の脱臭、脱色の目的で通常広く使用されている活性炭のうち、pHが7以下の活性炭によって、コラーゲン量がほとんど維持されたまま、非コラーゲン性窒素化合物を効率的に除去できることを見出し、本発明を完成させるに至った。 即ち、本発明は、以下に関するものである。(1)水に対する溶解性が酸性領域で高い生物原料由来のコラーゲンの製造において、コラーゲンの精製方法が、コラーゲンと非コラーゲン性窒素化合物とを含有する水溶液と、pHが7以下の活性炭とを接触させる方法であるコラーゲンの製造方法。(2)前記水溶液と前記活性炭との接触方法が、前記水溶液に前記活性炭を添加して撹拌下で混合する方法であり、前記活性炭の添加量が、非コラーゲン性窒素化合物に対し質量比で2〜50倍である上記(1)記載のコラーゲンの製造方法。(3)前記活性炭が粉末状である上記(1)又は(2)記載のコラーゲンの製造方法。 本発明によれば、pHが7以下の活性炭を用いるという簡便な方法によって非コラーゲン性窒素化合物を効率的に除去できるため、塩析法に比べるとコラーゲンの精製工程に要する時間が格段に短くなり、また、作業労力を大幅に削減できる。さらに、活性炭を用いているため脱臭効果も併有する。 以下、本発明のコラーゲンの精製方法について詳細に説明する。 本発明は、水に対する溶解性が酸性領域で高い生物原料由来のコラーゲンの製造において、コラーゲンの精製方法が、コラーゲンと非コラーゲン性窒素化合物とを含有する水溶液と、pHが7以下の活性炭とを接触させることによって、非コラーゲン性窒素化合物を除去する方法であるコラーゲンの製造方法に関するものである。 水に対する溶解性が酸性領域で高い生物原料由来のコラーゲンの製造方法として、該コラーゲンが得られる製造方法であれば特に制限はないが、一般的には酸可溶性コラーゲン及び酵素可溶化コラーゲンの公知の製造方法を用いることが好ましい。両者いずれの方法においても酸又はプロテアーゼ等の酵素を用いた抽出工程によって、コラーゲンと非コラーゲン性窒素化合物とを含有する水溶液(以下、「粗コラーゲン溶液」と称する)が得られる。コラーゲンは、3重らせん構造を有していれば良く、テロ部位を除去したアテロコラーゲンでも良い。また、後段の精製工程の作業負荷を少なくするために、抽出工程の後に、遠心分離等による物理的な除去法によって除去できる粗大残渣及びプロテアーゼの分解残渣等を除去した溶液を粗コラーゲン溶液とすることがより望ましい。 ここで粗コラーゲン溶液について説明する。 粗コラーゲン溶液中のコラーゲン濃度は、コラーゲン濃度が高くなると粘度が高くなるためハンドリング性が悪くなり、一方、コラーゲン濃度が低くなると製造効率が低下するので、適切な濃度範囲となるように適宜調整することが好ましい。例として、上記特許文献2の方法で魚鱗由来のコラーゲンから得られる粗コラーゲン溶液で示すと、コラーゲン濃度が0.7〜1.5質量%となるように調整する。このとき、非コラーゲン性窒素化合物濃度は概ね0.1〜0.4質量%の範囲となることが多い。 また、粗コラーゲン溶液のpHについては、コラーゲンを析出させずに水溶液の状態として保つために酸性に調整するが、pH値で示すと5以下が好ましく、より好ましくは1〜4の範囲である。魚鱗由来のコラーゲンで云えば、コラーゲンの溶解度が最も高くなるpH2〜3の範囲が好ましい。 コラーゲンと非コラーゲン性窒素化合物との区別は、溶液中の塩濃度を高めるとコラーゲンが自己組織化して線維化する性質を利用して行う。具体的には、粗コラーゲン溶液に塩化ナトリウムを添加して溶液中の塩濃度を上昇させてコラーゲンを十分に線維化させる。次に、遠心分離によって、沈殿したコラーゲン線維と、非コラーゲン性窒素化合物を含有した上清とに分離する。コラーゲン量は、医薬部外品原料規格2006 成分規格:水溶性コラーゲン液(3)の定量法に沿って求めることができる。具体的には、沈殿物の窒素量をケルダール法等によって分析した後、該窒素量にコラーゲン量を算定するのに用いる換算係数である5.6を乗じることによって求めることができる。また、本発明における非コラーゲン性窒素化合物量は、上清の窒素量を沈殿物と同様にケルダール法等によって分析した後、該窒素量に5.6を乗じたものとする。 粗コラーゲン溶液は、次の精製工程において非コラーゲン性窒素化合物を除去することによって、コラーゲンの純度を高める。精製工程で用いる精製方法として、粗コラーゲン溶液とpHが7以下の活性炭とを接触させる。 粗コラーゲン溶液と接触させる活性炭としてはpHが7以下のものを用いる。ここで、活性炭のpHは、JIS K-1474に従って測定された値である。通常、活性炭のpH値は製造ロットによってバラツキがあるため、市販品の活性炭は4.5〜7.5あるいは5〜8のように幅を持たせてpHの範囲を設定しているが、中央値が7以下であれば本発明の活性炭として適用できる。 本発明では、活性炭のpHが7以下であることにより、コラーゲンの析出を回避しながら、非コラーゲン性窒素化合物を除去できる。非コラーゲン性窒素化合物の除去をさらに効率的にするには、粗コラーゲン溶液のpHをコラーゲンの溶解度が高いpH範囲内に設定した上で、当該pH範囲と合致したpH値を有する活性炭を適用すればよい。そのような活性炭として、pH1〜5の範囲のものが好ましく、さらに好ましくはpH2〜4の範囲のものである。尚、市販品の活性炭については、pH範囲の中央値が1〜5、より好ましくは2〜4の範囲内であればよい。 また本発明では、活性炭のpHを無機酸によって所望の値に調製した活性炭を用いてもよい。例えば、市販の高pHの活性炭を、適度な濃度に調整した塩酸、硫酸等の無機酸溶液中で一定時間加温した後、水洗することにより活性炭のpHを調製する。 活性炭の形状、原料、賦活法等は特に限定されない。形状としては、粉末状、破砕状、粒状等のいずれであっても適用することができる。粉末の活性炭の粒子径としては、粒子径D90が5〜150μmのものを好例として挙げることができる。ここで、粒子径D90とは、一般的な粉粒体の粒子径を表す指標のことであり、より詳しくは、活性炭を篩分けしたときの累積重量百分率が90質量%となる粒子径を意味する。原料としては、ヤシ殻、木、石炭等が挙げられるが、このうちヤシ殻と木が特に好ましい。賦活剤としては水蒸気、二酸化炭素、塩化亜鉛、リン酸等を挙げることができる。 非コラーゲン性窒素化合物は、多様な分子量の窒素化合物で構成されているため、細孔径の異なる複数種類の活性炭を用いることが好ましい。また吸着特性の異なる活性炭を複数種類用いることも好ましい。複数種類の活性炭を用いる場合においては、粗コラーゲン溶液を複数種類の活性炭と同時に、即ち、複数種類の活性炭の混合物に接触させてもよいし、活性炭の種類ごとに多段階で接触させてもよい。 粗コラーゲン溶液と活性炭との接触方法は、非コラーゲン性窒素化合物を活性炭に吸着させることにより非コラーゲン性窒素化合物を除去できれば特に限定されるものではない。具体例として、[1] 粗コラーゲン溶液に活性炭を添加して撹拌下で混合する方法、[2] 粗コラーゲン溶液を単段または多段の活性炭カラムに通液する方法を挙げることができる。 [1]の方法について説明する。 [1]の方法では、活性炭の除去が必要であるため、精製工程は、(a) 粗コラーゲン溶液に活性炭を添加して撹拌下で混合、(b) 活性炭の除去の2工程で構成される。上記(a)における活性炭の添加方法として、粗コラーゲン溶液に所定量の活性炭を一度に添加してもよいし、分割添加してもよい。分割添加する場合は、前回添加の活性炭を除去してから添加してもよい。 活性炭の形状としては、撹拌中に粉化する破砕状でもよいが、非コラーゲン性窒素化合物の吸着効率を高めるために、表面積が大きい粉末状が特に好ましい。 また、撹拌について云えば、非コラーゲン性窒素化合物が活性炭に効果的に吸着するように、撹拌装置、撹拌強度及び時間を適宜選択し設定する。撹拌時間の目安を示すと1〜24時間であり、少なくとも2時間以上であることが望ましい。活性炭を添加してから一定時間経過後に、溶液全体が、分散した活性炭微粒子で懸濁した状態となることが望ましく、この様な状態は粉末活性炭を用いた場合において得られ易い。 活性炭の添加量は、非コラーゲン性窒素化合物に対し質量比で2〜50倍であることが好ましい。また、活性炭を分割添加する場合であっても添加総量が前記範囲内となることが好ましい。前記添加量が2倍を下回ると、非コラーゲン性窒素化合物の除去が不十分になる。一方、50倍を超えて活性炭を添加しても、添加量に見合う除去効果が得られ難いため経済的ではなく、また、後段の活性炭の除去操作に要する労力も多大となる。前記添加量は、4〜35倍が好ましく、より好ましくは5〜25倍、さらに好ましくは8〜20倍である。 活性炭の除去について云えば、適切に活性炭が除去できれば除去法は限定されるものではない。除去法としては、遠心分離ろ過、加圧ろ過、減圧ろ過、デカンテーション、フィルタープレス等を例示でき、これらを組み合わせてもよい。 次に、[2]の方法について説明する。 [2]の方法では、精製工程は、粗コラーゲン溶液を単段または多段の活性炭カラムに通液することからなる。 活性炭の形状としては、活性炭カラムとして適用できる形状であれば特に制限されない。また、分子量の分布幅が広い非コラーゲン性窒素化合物を効率的に除去するために、同一カラム内に複数種類の活性炭を積層させてもよいし、カラムごとに活性炭の種類を変える多段カラムとしてもよい。カラム径、流量等の条件は適宜設定すればよい。 精製工程として、上記[1]と[2]の方法を組み合わせてもよく、その場合は活性炭カラムの目詰まりを少なくするために、[1]の方法の後に活性炭の除去を行い、次に[2]の方法を適用することが好ましい。また、さらに活性炭の除去率を上げるために、孔径0.1〜1.0μmのメンブランフィルターによる精密ろ過を行ってもよい。 本発明の精製方法を用いた精製工程によれば、粗コラーゲン溶液から極めて高収率で効率よく高純度のコラーゲン溶液を得ることができる。非コラーゲン性窒素化合物の除去率は、医薬品、化粧品、健康食品等使用目的に応じて適宜設定すればよいが、少なくとも30質量%以上であることが望ましく、より望ましくは50質量%以上である。 また、精製工程は、抽出工程と同様にコラーゲンの変性温度以下で行うことが好ましく、より好ましくは変性温度よりも5℃以上低い温度である。さらに、精製後のコラーゲン溶液は、必要に応じて、加熱によらない水分除去方法、例えば、凍結乾燥や変性温度以下でのエバポレート等により濃縮してもよく、さらには固形化させてもよい。尚、精製後のコラーゲン溶液に着色がみられるときは、公知の方法により脱色すればよい。 本発明においては、pHが7以下の活性炭によってコラーゲンはほとんど除去されずに、即ち、ほとんど吸着されることなく、非コラーゲン性窒素化合物のみが選択的に吸着除去される。その理由については定かではないが、コラーゲンと非コラーゲン性窒素化合物の立体構造の違い、即ち、コラーゲンが円筒形の剛直な3重らせん構造を有するのに対し、例えばゼラチンは変形性に富むランダムコイルの形態を有するように、両者はその立体構造を異にするため、その構造上の違いが活性炭への吸着度合いの違いとして現れたものと推察される。 以下、本発明の詳細を実施例を挙げて説明するが、本発明はそれらの実施例によって限定されるものではない。尚、特に断らない限り%は全て質量%を示す。 [コラーゲンと非コラーゲン性窒素化合物の濃度の測定法] 粗コラーゲン溶液を撹拌しながら、溶液中の塩化ナトリウム濃度が5.85%になるように塩化ナトリウムを添加してコラーゲンを線維化させた。コラーゲンの線維化の進行により溶液粘度が低下し凝集部と低粘度溶液部に分離した。十分に分離が行われたことを確認した後、さらに約30分間撹拌を継続した。次に、遠心分離により、線維化した沈殿物と上清とを得た。沈殿物及び上清は、それぞれケルダール法により窒素成分量を測定し、換算係数5.6を乗じて、コラーゲン濃度と非コラーゲン性窒素化合物濃度を求めた。また、コラーゲン濃度と非コラーゲン性窒素化合物濃度の合計を全窒素化合物濃度とした。尚、粗コラーゲン溶液の精製後の溶液についても上記同様に測定した。 [魚鱗由来の粗コラーゲン溶液の調製] テラピアの鱗を水で十分洗浄し、さらに10%塩化ナトリウム溶液で十分洗浄し、鰭などの夾雑物を除去した後、室温にて乾燥した。含水率は18.5%であった。このテラピア鱗1kgをpH2の塩酸溶液9kgに分散し、1Mの塩酸溶液を添加しながらpHを2に保った状態で、25℃、2時間穏やかに撹拌し、鱗に含まれる無機成分を溶かし出した。これをザルにあげて、十分水洗した後、総重量が4kgとなるようにpH2の塩酸溶液を添加した。これに、ペプシン(和光純薬 1:10000)24gを添加し、撹拌羽根を用いて25℃、72時間、穏やかに撹拌して、鱗からコラーゲンを溶かし出した。これに2kgの水を添加して撹拌し、粘度を下げた後ザルにあげて、鱗残渣(約3kg)と分離した。さらに遠心分離(10000G、60min)により上清を回収して微細な鱗残渣と分離した。これに、ペプシン(和光純薬 1:10000)を0.5g添加し、25℃、24時間保持して、粗コラーゲン溶液2.8kgを得た。粗コラーゲン溶液中のコラーゲン濃度は0.79%であり、非コラーゲン性窒素化合物濃度は0.44%であった。 〔実施例1〕 粗コラーゲン溶液350gを供した。 活性炭として、「ボンバ110P-FGZ」(粉末状、pH4〜7)(多木化学株式会社)を用いた。活性炭の添加量は、粗コラーゲン溶液中の非コラーゲン性窒素化合物量(1.54g)に対し、1、2、4、8、16倍の重量とした。 粗コラーゲン溶液に、上記各添加量の活性炭を撹拌下で添加し、その後2時間撹拌を継続した。2時間後には溶液全体が懸濁状態となっていた。 これを遠心分離(11120G、120分)し、上清を珪藻土でコートしたヌッチェ式ろ過装置でろ過し、透明度の高い溶液を得た。得られたコラーゲン溶液のコラーゲン濃度、非コラーゲン性窒素化合物濃度を上述の方法にて測定した。 〔実施例2〕 活性炭として、「ボンバ110P-FGZ」100gに1.8%塩酸を1L添加し、水浴上で5時間加熱した後水洗し、pH3に活性炭を調製したものを用いた。当該活性炭以外は実施例1と同様に試験し、透明度の高い溶液を得た。尚、活性炭添加2時間後には、実施例1と同様に溶液全体が懸濁状態となっていた。 〔比較例1〕 活性炭として、「ボンバ110P-40W」(粉末状、pH9〜11)(多木化学株式会社)を用いた以外は実施例1と同様に試験した。活性炭添加2時間後には、実施例1と同様に溶液全体が懸濁状態となっていた。しかし、活性炭の添加量が増加するにつれて溶液粘度が上昇し、活性炭の分離除去が困難となった。特に4倍以上の添加量においては透明度の高い溶液を得るのが困難であった。 結果を表1に示した。 表1より、pHが7以下の活性炭を用いることにより、コラーゲン量はほぼ維持されたまま、非コラーゲン性窒素化合物を除去できることがわかる。尚、活性炭添加量16倍における非コラーゲン性窒素化合物の除去率は、実施例1が86.4%((0.44-0.06)÷0.44×100=86.4%)であり、比較例1が25.0%((0.44-0.33)÷0.44×100=25.0%)である。このように、本発明の方法による非コラーゲン性窒素化合物の除去率は極めて優れたものであることが分かる。水に対する溶解性が酸性領域で高い生物原料由来のコラーゲンの製造において、コラーゲンの精製方法が、コラーゲンと非コラーゲン性窒素化合物とを含有する水溶液と、pHが7以下の活性炭とを接触させる方法であるコラーゲンの製造方法。前記水溶液と前記活性炭との接触方法が、前記水溶液に前記活性炭を添加して撹拌下で混合する方法であり、前記活性炭の添加量が、非コラーゲン性窒素化合物に対し質量比で2〜50倍である請求項1記載のコラーゲンの製造方法。前記活性炭が粉末状である請求項1又は2記載のコラーゲンの製造方法。 【課題】水に対する溶解性が酸性領域で高い生物原料由来のコラーゲンの製造において、コラーゲンの精製方法として、従来は非コラーゲン性窒素化合物を除去するために塩析法を用いていたが、塩類の除去に長時間を要する透析工程が必須であった。そこで、塩析法に代わる非コラーゲン性窒素化合物を簡便に除去する精製方法の提供を課題とする。【解決手段】コラーゲンの精製方法が、コラーゲンと非コラーゲン性窒素化合物とを含有する水溶液と、pHが7以下の活性炭とを接触させる方法である。【選択図】なし