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タイトル:公開特許公報(A)_ウレタン樹脂用可塑剤、それを用いたウレタン樹脂用組成物及びその硬化物
出願番号:2011209179
年次:2013
IPC分類:C08K 5/103,C08L 75/04,C08K 3/00,C07C 69/28,C07C 69/30,C07C 69/33


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山口 博文 JP 2013067757 公開特許公報(A) 20130418 2011209179 20110926 ウレタン樹脂用可塑剤、それを用いたウレタン樹脂用組成物及びその硬化物 DIC株式会社 000002886 河野 通洋 100124970 山口 博文 C08K 5/103 20060101AFI20130322BHJP C08L 75/04 20060101ALI20130322BHJP C08K 3/00 20060101ALI20130322BHJP C07C 69/28 20060101ALI20130322BHJP C07C 69/30 20060101ALI20130322BHJP C07C 69/33 20060101ALI20130322BHJP JPC08K5/103C08L75/04C08K3/00C07C69/28C07C69/30C07C69/33 6 OL 20 4H006 4J002 4H006AA03 4H006AB50 4H006BA10 4H006BA30 4H006BA45 4H006BP10 4H006KA06 4J002CK021 4J002DA037 4J002DE097 4J002DE107 4J002DE117 4J002DE137 4J002DE147 4J002DE237 4J002DJ007 4J002DJ017 4J002DJ037 4J002DJ047 4J002DL007 4J002EH046 4J002EH156 4J002EN028 4J002EN038 4J002EN048 4J002EZ008 4J002EZ048 4J002FA047 4J002FA107 4J002FD017 4J002FD026 4J002FD158 4J002GJ02 4J002GN00 4J002GQ01 4J002GQ05 本発明は、ウレタン樹脂用可塑剤、それを用いたウレタン樹脂用組成物及びその硬化物に関する。 従来、電気・電子部品には、湿気、粉塵等を含む雰囲気や、振動、衝撃等から保護する目的で、シーリング材又はポッティング材といわれる電気絶縁封止剤が用いられている。その材料として、優れた絶縁特性、可撓性を有する点、比較的安価である点などから、ウレタン樹脂が広く用いられている。近年、電気機器は年々小型軽量化による気密性の高さや、使用電流量の増加等により、電気電子部品は耐熱性が要求されている。こうした背景から、それに用いる原料についても従来以上の耐熱性が求められている。 電気絶縁封止剤には、溶液粘度の調整のために、安価でウレタン樹脂の原料である各種ポリオールとの相溶性に優れることから、ジオクチルフタレート(DOP)等のフタル酸エステルが主に使用されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、DOPを始めとしたフタル酸エステルは、内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)に該当するとされ、その使用が制限されている問題がある。また、フタル酸エステルは、比較的揮発性が高い物質であり、電気・電子部品の温度上昇により、フタル酸エステルが揮発して電気・電子機器内部を汚染する問題があった。 また、耐熱性を有する可塑剤として、例えば、トリメリット酸エステル、ピロメリット酸エステル等が知られている。しかしながら、これらの可塑剤は、加熱による揮発は少ないが、ウレタン樹脂との相溶性が悪いため、ウレタン樹脂用組成物に配合しても粘度が低下しない問題があった。 さらに、これらの問題を解決するために、加熱時の可塑剤が揮発する加熱損失の少ないシーリング材用可塑剤として、ポリエーテルとイソシアネートを反応させた化合物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。しかしながら、この可塑剤も、溶液粘度を効果的に低下できず、加熱損失が高く耐熱性が不足していた。 そこで、電気絶縁封止剤の粘度調整を容易に行うことができ、溶液粘度の低下効果に優れ、かつ加熱損失が少ないウレタン樹脂用可塑剤が求められていた。特開平7−109326号公報特開2001−64505号公報 本発明が解決しようとする課題は、ウレタン樹脂の原料であるポリオール、ポリイソシアネート、さらにはこれらが反応して生成するウレタン樹脂との相溶性に優れ、これらに配合することで溶液粘度を大幅に低下することができ、かつ加熱損失が少ないウレタン樹脂用可塑剤、それを用いたウレタン樹脂用組成物及びその硬化物を提供することである。 上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物と特定の脂肪族モノカルボン酸とをエステル化反応させて得られたエステル化合物をウレタン樹脂用可塑剤として用いることにより、ポリオール、ポリイソシアネート、無機充填材等からなるウレタン樹脂用組成物の溶液粘度が大きく低下し、かつ硬化物の加熱損失が少ないことを見出し、本発明に至った。 すなわち本発明は、 多価アルコール(a)のアルキレンオキサイド付加物(A)と、カルボニル炭素を除いた炭素原子数が4〜15である脂肪族モノカルボン酸(B)又はその無水物とをエステル化反応させて得られたエステル化合物を必須成分として含有するウレタン樹脂用可塑剤であって、前記多価アルコール(a)の1分子中の水酸基数(h)が2〜6の範囲であり、前記多価アルコール(a)の1分子中の炭素原子数(c)が3〜18の範囲であり、該水酸基数(h)と該炭素原子数(c)との関係が、該水酸基数(h)が2の場合には該炭素原子数(c)が4〜12の範囲、該水酸基数(h)が3の場合には該炭素原子数(c)が3〜12の範囲、該水酸基数(h)が4の場合には該炭素原子数(c)が4〜14の範囲、該水酸基数(h)が5の場合には該炭素原子数(c)が5〜16の範囲、および、該水酸基数(h)が6の場合には該炭素原子数(c)が6〜18の範囲であることを特徴とするウレタン樹脂用可塑剤に関する。 本発明によりウレタン樹脂の原料であるポリオール、ポリイソシアネート、さらにはこれらが反応して生成するウレタン樹脂との相溶性に優れ、これらに配合することで溶液粘度を大幅に低下することができ、かつ加熱損失が少ないウレタン樹脂用可塑剤、それを用いたウレタン樹脂用組成物及びその硬化物を提供することができる。 本発明のウレタン樹脂用可塑剤は、多価アルコール(a)のアルキレンオキサイド付加物(A)と、カルボニル炭素を除いた炭素原子数が4〜15である脂肪族モノカルボン酸(B)又はその無水物とをエステル化反応させて得られたエステル化合物を必須成分として含有するウレタン樹脂用可塑剤であって、前記多価アルコール(a)の1分子中の水酸基数(h)が2〜6の範囲であり、前記多価アルコール(a)の1分子中の炭素原子数(c)が3〜18の範囲であり、該水酸基数(h)と該炭素原子数(c)との関係が、該水酸基数(h)が2の場合には該炭素原子数(c)が4〜12の範囲、該水酸基数(h)が3の場合には該炭素原子数(c)が3〜12の範囲、該水酸基数(h)が4の場合には該炭素原子数(c)が4〜14の範囲、該水酸基数(h)が5の場合には該炭素原子数(c)が5〜16の範囲、および、該水酸基数(h)が6の場合には該炭素原子数(c)が6〜18の範囲である。 本発明で用いる多価アルコール(a)のアルキレンオキサイド付加物(A)は、多価アルコール(a)に対しアルキレンオキサイドを付加した化合物である。以下、詳述する。 本発明で用いる前記多価アルコール(a)の1分子中の水酸基数(h)は2〜6の範囲である。また、該多価アルコール(a)の1分子中の炭素原子数(c)は3〜18の範囲である。該水酸基数(h)と該炭素原子数(c)とは以下の関係を有している。(1)該水酸基数(h)が2の場合には、本発明のウレタン樹脂用可塑剤の加熱減量をより抑制でき、ウレタン樹脂の原料であるポリオール等との相溶性も良好とできることから、該炭素原子数(c)が4〜12の範囲であり、さらに4〜10の範囲が好ましい。このような1分子中の水酸基数(h)が2で、かつ1分子中の炭素原子数(c)が4〜12の範囲の多価アルコール(a)としては、例えば、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,4−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,10−デカンジオール等が挙げられる。(2)該水酸基数(h)が3の場合には、本発明のウレタン樹脂用可塑剤の加熱減量をより抑制でき、ウレタン樹脂の原料であるポリオール等との相溶性も良好とできることから、該炭素原子数(c)が3〜12の範囲であり、さらに3〜10の範囲が好ましい。このような1分子中の水酸基数(h)が3で、かつ1分子中の炭素原子数(c)が3〜12の範囲の多価アルコール(a)としては、例えば、グリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、1,2,5−ペンタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、トリメチロールプロパン、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、1,3,5−ヘキサントリオール、1,2,7−ヘプタントリオール、2−エチル−1,2,3−ヘキサントリオール、1,2,8−オクタントリオール、1,2,9−ノナントリオール、1,2,10−デカントリオール等が挙げられる。(3)該水酸基数(h)が4の場合には、本発明のウレタン樹脂用可塑剤の加熱減量をより抑制でき、ウレタン樹脂の原料であるポリオール等との相溶性も良好とできることから、該炭素原子数(c)が4〜14の範囲であり、さらに4〜12の範囲が好ましい。このような1分子中の水酸基数(h)が4で、かつ1分子中の炭素原子数(c)が4〜14の範囲の多価アルコール(a)としては、例えば、1,1,5,5−ペンタンテトラオール、1,2,5,6−ヘキサンテトラオール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、1,2,7,8−オクタンテトラオール、1,2,9,10−デカンテトラオール、1,2,13,14−テトラデカンテトラオール等が挙げられる。(4)該水酸基数(h)が5の場合には、本発明のウレタン樹脂用可塑剤の加熱減量をより抑制でき、ウレタン樹脂の原料であるポリオール等との相溶性も良好とできることから、該炭素原子数(c)が5〜16の範囲であり、さらに5〜14の範囲が好ましい。このような1分子中の水酸基数(h)が5で、かつ1分子中の炭素原子数(c)が5〜16の範囲の多価アルコール(a)としては、例えば、D−アラビニトール、L−アラビニトール、リビトール、キシリトール等が挙げられる。(5)該水酸基数(h)が6の場合には、本発明のウレタン樹脂用可塑剤の加熱減量をより抑制でき、ウレタン樹脂の原料であるポリオール等との相溶性も良好とできることから、該炭素原子数(c)が6〜18の範囲であり、さらに6〜16の範囲が好ましい。このような1分子中の水酸基数(h)が6で、かつ1分子中の炭素原子数(c)が6〜18の範囲の多価アルコール(a)としては、例えば、ジペンタエリスリトール、ダルシトール、マンニトール、ソルビトール等が挙げられる。 これらの多価アルコールは、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。 前記多価アルコール(a)へのアルキレンオキサイドの付加モル数は、ウレタン樹脂系樹脂組成物の溶液粘度の低下能力と可塑剤の耐熱性(耐揮発性)のバランスが良好であることから、水酸基1つ当たり平均で1〜10モルが好ましく、1〜8モルがより好ましい。前記アルキレンオキサイドとしてはエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,4−ブチレンオキサイド等が挙げられ、このうちウレタン樹脂との相溶性の観点からエチレンオキサイドが好ましい。また、ウレタン樹脂との相溶性を調整するため、エチレンオキサイドの一部にプロピレンオキサイド、1,2−ブチレンオキサイド、1,4−ブチレンオキサイド等を用いて多価アルコールに付加してもよい。なお、多価アルコールへのアルキレンオキサイド等の付加は、いずれも、常法により製造され得る。上記多価アルコールとアルキレンオキサイド等との反応による付加物の調製、および該付加物からのエステルの調製の一例を以下に具体的に説明する。まず、多価アルコールと触媒(例えば、水酸化アルカリ、アルコールのアルカリ金属塩、アルカノールアミンなどのアルカリ触媒または四塩化スズ、三フッ化ホウ素などの酸触媒)とを加圧反応器に仕込み、系内を窒素などの不活性ガスで置換する。必要に応じて、副生物の生成を抑制する目的で、攪拌しながら系内を80〜120℃に昇温して減圧下で系中の水分を除去する。次に、系内を100〜150℃に昇温した後、所定量のアルキレンオキサイドを徐々に圧入し、反応させる。反応終了後、必要に応じて、減圧とし、または不活性ガスを通じることによって、未反応のアルキレンオキサイドを除去する。得られた反応生成物に含まれるアルカリ成分を吸着剤で除去、あるいは酸で中和し、必要に応じて、系内を80〜120 ℃、減圧下に保持して系中の水分を除去する。さらに、吸着剤および析出した塩をフィルター等で除去する。このようにして、多価アルコールアルキレンオキサイド付加物(A)が得られる。この化合物の末端は、実質的にすべて水酸基である。 前記多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(A)は、市販品が用いることができ、例えば、エチレンオキサイド付加物の場合、トリメチロールプロパン付加物として、青木油脂工業株式会社製「ブラウノンTMP−3、TMP−9、TMP−20」を、グリセリン付加物として、日油株式会社製「ユニオックスG−450、G−750」、青木油脂工業株式会社製「ブラウノンGL−3、GL−9、GL−20、GL−26」を、ジグリセリン付加物として、阪本薬品工業株式会社製「SC−E450、SC−E750、SC−E1000、SC−E1500、SC−E2000」、ソルビトール付加物として、青木油脂工業株式会社製「ブラウノン240」、プロピレンオキサイド付加物の場合、グリセリン付加物として、日油株式会社製「ユニオールTG−330、TG−1000、TG−2000」、ジグリセリン付加物として、日油株式会社製「ユニルーブDGP−700、GP−700F」、阪本薬品工業株式会社製「SC−P400、SC−P750、SC−P1000、SC−P1200、SC−P1600」、ソルビトール付加物として、日油株式会社「ユニオールHS−1600D」等を挙げることができる。 一方、本発明で用いる脂肪族モノカルボン酸(B)は、アルキレン基の末端に1つのカルボキシル基を有する化合物である。この脂肪族ジカルボン酸の中でも、ウレタン樹脂及びその原料との相溶性をより向上できることから、炭素原子数5〜10の脂肪族系モノカルボン酸が好ましい。このような脂肪族モノカルボン酸(B)としては、例えば、ブタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸等が挙げられる。これらの中でも、樹脂との相溶性と耐熱性のバランスが良好であることから、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、2−エチルヘキサン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸が好ましい。また、例示した脂肪族モノカルボン酸(B)の無水物も同様に用いることができる。これらの脂肪族モノカルボン酸(B)又はその無水物は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。 本発明のウレタン樹脂用可塑剤の必須成分であるエステル化合物は、上記原料を反応器に仕込み、通常のエステル化反応させることにより製造することができる。また、このエステル化反応を促進する目的で、エステル化触媒を用いることが好ましい。 前記エステル化触媒として、金属又は有機金属化合物を用いることができる。具体的には、周期律表2族、4族、12族、13族及び14族からなる群より選ばれる少なくとも1種類の金属や有機金属化合物が挙げられる。より具体的には、例えば、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウム、ジルコニウム、マグネシウム、ハフニウム、ゲルマニウム等の金属;チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンオキシアセチルアセトナート、オクタン酸スズ、2−エチルヘキサンスズ、アセチルアセトナート亜鉛、4塩化ジルコニウム、4塩化ジルコニウムテトラヒドロフラン錯体、4塩化ハフニウム、4塩化ハフニウムテトラヒドロフラン錯体、酸化ゲルマニウム、テトラエトキシゲルマニウム等の金属化合物などが挙げられる。これらの中でも、反応性、取扱いやすさ、エステル化反応により得られたエステル化合物の保存安定性が良好であることから、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンオキシアセチルアセトナート等のチタンアルコキサイドが好ましい。 また、前記エステル化触媒の使用量は、エステル化反応を制御でき、かつ得られるエステル化合物の着色を抑制できる範囲の量であればよく、前記多価アルコールと前記モノジカルボン酸との合計量に対し、10〜2,000ppmの範囲が好ましく、20〜1,000ppmの範囲がより好ましい。 前記エステル化合物を製造する際、前記エステル化触媒を添加する時期は、前記多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(A)と前記脂肪族モノカルボン酸(B)とを反応器に仕込むのと同時に添加してもよく、昇温途中に添加してもよく、エステル化触媒を分割して添加してもよい。 前記エステル化反応において、前記多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(A)と前記脂肪族モノカルボン酸(B)と仕込み比は、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(A)の水酸基1当量に対して前記脂肪族モノカルボン酸(B)のカルボキシル基が1当量以上となる条件下であれば特に制限されるものではないが、例えば、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物(A)のカルボキシル基1当量に対して、前記脂肪族モノカルボン酸(B)のカルボキシル基の当量が1.00〜1.50の範囲、好ましくは1.01〜1.30の範囲となるよう調整すればよい。 また、前記エステル化合物を製造する際の反応温度は、各原料が蒸発や昇華することを抑制しつつ反応を促進し、反応により生成するエステル化合物の熱分解、着色を抑制できることから、60〜300℃の範囲が好ましく、100〜250℃の範囲がより好ましい。 上記の製造方法により得られるエステル化合物は、高温高湿下でも加水分解をうけにくく安定であり、後述するウレタン樹脂との相溶性が良いためブリードを引き起こしにくく、かつウレタン樹脂溶液の粘度低下効果に優れることから、30以下の水酸基価を有し、かつ2以下の酸価を有するものが好ましく、20以下の水酸基価を有し、かつ1以下の酸価を有するものがより好ましい。 本発明のウレタン樹脂用組成物は、ポリオール、ポリイソシアネート、無機充填剤及び本発明のウレタン樹脂用可塑剤を含有する組成物である。 本発明のウレタン樹脂用組成物の1成分であるポリオールは、1分子中に2つ以上の水酸基を有する化合物である。このポリオールとしては、例えば、ポリオレフィンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。 前記ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、ブタジエン、イソプレン等のジエン化合物と必要によりスチレン、アクリロニトリルなどとを、例えば、金属リチウム、金属カリウム、金属ナトリウムなどのアニオン重合触媒の存在下で重合させた後、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加重合させて得られるポリオール;前記ジエン化合物を、例えば、過酸化水素等の水酸基を有するラジカル開始剤によりラジカル重合させて得られるポリオール;これらのポリオールを水素添加したものなどが挙げられる。これらのポリオレフィンポリオールは、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。 前記ポリエーテルポリオールとしては、分子中に2〜3つの水酸基を有する化合物、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン等に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイド、又はそれらの混合物を、アルカリ触媒等の存在下で付加重合させたポリアルキレンポリオール;テトラヒドロフランをカチオン触媒下で重合させたポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。これらのポリエーテルポリオールは、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。 前記ポリエステルポリオールとしては、例えば、二塩基酸と多価アルコールの重縮合反応、カプロラクトンの開環重合又はアルキレンカーボネートとグリコールのエステル交換反応から得られ、具体例としては、ダイマー酸系ジオール、セバシン酸系ポリエステルポリオール、コハク酸系ポリエステルポリオール、)、ヒマシ油,水素化ヒマシ油,ヒマシ油エステル交換物等のポリオール化合物等が挙げられる。 また、上記以外のポリオールとしては、例えば、1,2−プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール,2,3−ペンタンジオール,2,5−ヘキサンジオール、2,4−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、グリセリン、N,N−ビス−2−ヒドロキシプロピルアニリン、N,N’−ビスヒドロキシイソプロピル−2−メチルピペラジン、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、テトラヒドロフラン/アルキレンオキサイド共重合ポリオール、エポキシ樹脂変性ポリオール、部分ケン化エチレン−酢酸ビニル共重合体及びこれらの化合物の水素添加化合物等が挙げられる。 また、ポリオールとしてカーボネートジオールを用いても良く、例えば、α,ω−ポリ(ヘキサメチレンカーボネート)ジオール、α,ω−ポリ(3−メチル−ペンタメチレンカーボネート)ジオール等が挙げられる。これらの市販品としては、ダイセル化学株式会社製の「PLACELCD−205」、「PLACEL205PL」、「PLACEL205HL」、「PLACEL210」、「PLACEL210PL」、「PLACEL210HL」「PLACEL220]、「PLACEL220PL」、「PLACEL220HL」等が挙げられる。 前記ポリオレフィンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール等のポリオールの中でも、耐クラック性が高いこと、寿命の長いことから、ポリオレフィンポリオールが好ましく、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンジオール、水添ポリイソプレンジオール、水添ポリブタジエンジオールがより好ましい。ポリブタジエンポリオールの市販品としては、出光石油化学株式会社製の「PolybdR−15HT」、「PolybdR−45HT」等が挙げられ、ポリイソプレンジオールの市販品としては、出光石油化学株式会社製の「Polyip」等が挙げられ、水添ポリイソプレンジオールの市販品としては、出光石油化学株式会社製の「エポール」が挙げられる。これらのポリオールは、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。 本発明のウレタン樹脂用組成物の1成分であるポリイソシアネートは、1分子中に2つ以上のイソシアネート基を有する化合物である。このポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、カルボジイミド変性ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、ナフタリン−1,5−ジイソシアネート、o−トルイジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、イソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(TMXDI)等の脂肪族−芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;トランスシクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート;前記ポリイソシアネート化合物の環化三量体(イソシアヌレート変性体)、及びビューレット変性体やエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ポリエーテルポリオール、ポリマーポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリアルカジエンポリオール、ポリアルカジエンポリオールの水素化物、部分鹸化エチレン−酢酸ビニル共重合体、ヒマシ油系ポリオール等のポリオール化合物と前記ポリイソシアネート化合物との付加反応物等が挙げられる。これらのポリイソシアネートは、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。 また、上記に例示したポリイソシアネートのイソシアネート基をフェノール系化合物、オキシム系化合物、イミド系化合物、メルカプタン系化合物、アルコール、ε−カプロラクタム、エチレンイミン、α−ピロリドン、マロン酸ジエチル、亜硫酸水素ナトリウム、ホウ酸等のブロック剤でブロックしたブロックイソシアネートも用いることができる。これらイソシアネートの中でも、常温で液状のものが、ハンドリング性、混合性が良好であるため好ましい。 前記ポリイソシアネートの使用量は、前記ポリオール化合物の1当量に対し、0.8〜1.2当量の範囲で用いるのが好ましい。 本発明のウレタン樹脂用可塑剤のウレタン樹脂用組成物中の配合量は、ウレタン樹脂用組成物の十分な粘度低下、ウレタン樹脂用組成物の硬化物の十分な可撓性及び強度等の各種物性を得られることから、1〜30重量%の範囲が好ましく、3〜20重量%の範囲がより好ましく、5〜15重量%の範囲がさらに好ましい。 本発明のウレタン樹脂用可塑剤は、イソシアネート基と、水酸基又はアミノ基砥の反応によって硬化するウレタン樹脂であれば、効果的に性能を発現することができる。このウレタン樹脂は、公知の方法によって得られる発泡ウレタンフォーム等であってもよい。 本発明のウレタン樹脂用組成物の1成分である無機充填材としては、例えば、フュームシリカ、沈降性シリカ、結晶シリカ、水和アルミナ、水酸化アルミニウム、無水珪酸、含水珪酸、カーボンブラック、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化クロム、コバルト、フェライト、酸化亜鉛、活性亜鉛華、シラスバルーン、ガラス繊維、フィラメント等が挙げられる。これらの無機充填剤は、その放熱性を効果的に発揮させるため、シェアをかけて配向させたり、磁性体であれば磁力により配向させてもよい。これらの中でも、放熱性に優れることから、アルミナ、シリカ、酸化鉄が好ましい。 前記無機充填剤のウレタン樹脂用組成物中の配合量は、十分な熱伝導性が得られ、ハンドリング性が高い粘度となり、難燃性、熱伝導性等を十分に向上できることから、10〜90質量%の範囲が好ましく、20〜80質量%の範囲がより好ましく、40〜70質量%の範囲がさらに好ましい。 本発明のウレタン樹脂用組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、本発明のウレタン樹脂用可塑剤以外の公知の可塑剤を併用してもよい。他の可塑剤を併用する場合、硬化物に弾性を付与するとともに、組成物調製時に低粘度化を図ることができることから、水酸基を有さない可塑剤を用いることが好ましい。このような可塑剤としては、例えば、トリエチルヘキシルトリメリテート、トリイソデシルトリメリテート等のトリメリテート系可塑剤;テトラエチルヘキシルピロメリテート、テトライソデシルピロメリテート等のピロメリテート系可塑剤;トリクレジルフォスフェート、トリスキシレニルフォスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルホスフェート、トリフェニルフォスフェート等のリン酸エステル、ポリエステルなどが挙げられる。ただし、これらの可塑剤の配合量は、本発明のウレタン樹脂用組成物中に配合する可塑剤の全配合量の半分以下であることが好ましい。 また、本発明のウレタン樹脂用組成物には、硬化反応の促進のため、触媒を配合しても構わない。この触媒としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート(DTD)、アルキルチタン酸塩、有機珪素チタン酸塩、スタナスオクトエート、オクチル酸鉛、オクチル酸亜鉛、オクチル酸ビスマス、ネオデカン酸ビスマス、ジブチル錫ジオルソフェニルフェノキサイド、錫オキサイドとエステル化合物(ジオクチルフタレート等)の反応生成物などの金属系触媒、モノアミン類(トリエチルアミン等)、ジアミン類(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等)、トリアミン類(N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン等)、環状アミン類(トリエチレンジアミン等)などのアミン系触媒が挙げられる。これらの触媒は、1種類のみで用いることも2種以上併用することもできる。 本発明のウレタン樹脂用組成物の硬化物、すなわちウレタン樹脂は、該組成物に硬化剤を加えて加熱することにより得ることができる。前記硬化剤としては、上記したポリイソシアネートと同様のものを用いることができる。 本発明のウレタン樹脂用組成物の硬化条件は、とくに制限されないが、該組成物を減圧、遠心力等を利用した脱泡装置により脱泡させた後、対象物に流し込み、50〜100℃の範囲で加熱する方法が挙げられる。 本発明のウレタン樹脂用可塑剤は、ウレタン樹脂溶液の粘度を効果的に低下できるため、ハンドリング性が向上するだけでなく、耐熱性に優れることから、可塑剤の加熱損失が少ない。このことから、耐熱性が求められるウレタン樹脂系樹脂組成物に用いることができる。用途としては、水分や湿気から保護するために使用される封止剤、シーリング剤、ポッティング剤、コーティング剤、コンデンサーやコンバーターの絶縁材などが挙げられる。より具体的には、電気洗濯機、便座、湯沸し器、浄水器、風呂、食器洗浄機等のスイッチ部、電動工具、自動車、バイク等に使用されている電子、電気部品などが挙げられる。また、防音、防振、放熱を目的としたウレタン系部材などが挙げれられる。より具体的には、自動車等の輸送機器のモーター、エンジン等の防音、防振、放熱材の部材等が挙げられる。 以下、実施例により本発明をより詳細に説明する。なお、可塑剤の性状、酸価、水酸基価及び粘度の測定は、下記の条件により行った。[性状の観察] 透明容器にサンプルを入れ、目視で性状を観察した。[酸価の測定条件] JIS K 0070−1992に準じて測定した。[水酸基価の測定条件] JIS K 0070−1992に準じて測定した。[粘度の測定条件] 粘度を測定するサンプルを100mlのガラス瓶に90g入れた後、液温が25℃にセットされた回転粘度計(東機産業株式会社製「TRV101F」)を用いて、サンプルの粘度範囲に応じて、それぞれの条件にて粘度測定を行った。可塑剤;ローターNo.1、回転数12rpm(上限500mPa・s)ポリオール溶液:ローターNo.2、回転数30rpm(上限1000mPa・s)ウレタン樹脂溶液:ローターNo.4、回転数6rpm(上限10Pa・s) 下記実施例1〜9及び比較例1〜8にしたがって、可塑剤を製造又は用意した。(実施例1) 温度計、攪拌機、窒素導入管及び分留用ト字管を備えた内容量1Lの四つ口フラスコに、2−エチルヘキサン酸(協和発酵ケミカル株式会社製「オクチル酸」;以下、「2−EHA」と略記する。)を345.6gと、ネオペンチルグリコールにエチレンオキサイドを平均10モル付加した多価アルコール(水酸基1つ当たりのエチレンオキサイドの平均付加モル数5;以下、「NPG−EO10」と略記する。)を544gと、チタンテトライソプロポキシド(以下、「TiPT」と略記する。)0.27gを仕込んだ後、窒素ガスを塔頂温度100℃以下に維持するように100〜500ml/分の範囲で吹き込みながら、240℃まで昇温した。次いで、240℃で生成する水分を除去しながら、脱水エステル化反応を行った。反応生成物の酸価が2以下になった時点で、85質量%リン酸水溶液を0.18g加え、減圧を開始し、240℃の状態で0.67kPa以下に減圧して、未反応カルボン酸を除去した。未反応カルボン酸の流出がなくなった後、減圧を解除し降温して、反応生成物を珪藻土で濾過して取り出し、透明液体のエステル化合物(1)を得た。このエステル化合物(1)の酸価は0.3、水酸基価は1.5、粘度は57mPa・sであった。(実施例2) 温度計、攪拌機、窒素導入管及び分留用ト字管を備えた内容量1Lの四つ口フラスコに、2−EHAを518.4gと、トリメチロールプロパンにエチレンオキサイドを平均3モル付加した多価アルコール(水酸基1つ当たりのエチレンオキサイドの平均付加モル数1;以下、「TMP−EO3」と略記する。)を266gと、TiPTを0.24gとを仕込んだ後、窒素ガスを塔頂温度100℃以下に維持するように100〜500ml/分の範囲で吹き込みながら、240℃まで昇温した。次いで、240℃で生成する水分を除去しながら、脱水エステル化反応を行った。反応生成物の酸価が2以下になった時点で、85質量%リン酸水溶液を0.19g加え、減圧を開始し、240℃の状態で0.67kPa以下に減圧して、未反応カルボン酸を除去した。未反応カルボン酸の流出がなくなった後、減圧を解除し降温して、反応生成物を珪藻土で濾過して取り出し、透明液体のエステル化合物(2)を得た。このエステル化合物(2)の酸価は0.1、水酸基価は6.1、粘度は52mPa・sであった。(実施例3) 温度計、攪拌機、窒素導入管及び分留用ト字管を備えた内容量1Lの四つ口フラスコに、2−EHAを378gと、トリメチロールプロパンにエチレンオキサイドを平均9モル付加した多価アルコール(水酸基1つ当たりのエチレンオキサイドの平均付加モル数3;以下、「TMP−EO9」と略記する。)を371gと、TiPTを0.22gとを仕込んだ後、窒素ガスを塔頂温度100℃以下に維持するように100〜500ml/分の範囲で吹き込みながら、240℃まで昇温した。次いで、230℃で生成する水分を除去しながら、脱水エステル化反応を行った。反応生成物の酸価が2以下になった時点で、85質量%リン酸水溶液を0.18g加え、減圧を開始し、240℃の状態で0.67kPa以下に減圧して、未反応カルボン酸を除去した。未反応カルボン酸の流出がなくなった後、減圧を解除し降温して、反応生成物を珪藻土で濾過して取り出し、透明液体のエステル化合物(3)を得た。このエステル化合物(3)の酸価は0.4、水酸基価は5.3、粘度は77mPa・sであった。(実施例4) 温度計、攪拌機、窒素導入管及び分留用ト字管を備えた内容量1Lの四つ口フラスコに、2−EHAを364gと、トリメチロールプロパンにエチレンオキサイドを平均20モル付加した多価アルコール(水酸基1つ当たりのエチレンオキサイドの平均付加モル数6.7;以下、「TMP−EO20」と略記する。)を186.1gと、TiPTを0.17gとを仕込んだ後、窒素ガスを塔頂温度100℃以下に維持するように100〜500ml/分の範囲で吹き込みながら、240℃まで昇温した。次いで、240℃で生成する水分を除去しながら、脱水エステル化反応を行った。反応生成物の酸価が2以下になった時点で、85質量%リン酸水溶液を0.13g加え、減圧を開始し、240℃の状態で0.67kPa以下に減圧して、未反応カルボン酸を除去した。未反応カルボン酸の流出がなくなった後、減圧を解除し降温して、反応生成物を珪藻土で濾過して取り出し、透明液体のエステル化合物(4)を得た。このエステル化合物(4)の酸価は0.1、水酸基価は5.0、粘度は154mPa・sであった。(実施例5) 温度計、攪拌機、窒素導入管及び分留用ト字管を備えた内容量1Lの四つ口フラスコに、n−ヘキサン酸(関東化学株式会社製「n−ヘキサン酸」;以下、「HA」と略記する。)を250.6gと、TMP−EO9を318.0gと、TiPTを0.17gとを仕込んだ後、窒素ガスを塔頂温度100℃以下に維持するように100〜500ml/分の範囲で吹き込みながら、240℃まで昇温した。次いで、240℃で生成する水分を除去しながら、脱水エステル化反応を行った。反応生成物の酸価が2以下になった時点で、85質量%リン酸水溶液を0.12g加え、減圧を開始し、240℃の状態で0.67kPa以下に減圧して、未反応カルボン酸を除去した。未反応カルボン酸の流出がなくなった後、減圧を解除し降温して、反応生成物を珪藻土で濾過して取り出し、透明液体のエステル化合物(5)を得た。このエステル化合物(5)の酸価は0.2、水酸基価は5.8、粘度は85mPa・sであった。(実施例6) 温度計、攪拌機、窒素導入管及び分留用ト字管を備えた内容量1Lの四つ口フラスコに、ドデカン酸(日油株式会社製「NAA−122」;以下、「DA」と略記する。)を396gと、TMP−EO9を318gと、TiPTを0.21gとを仕込んだ後、窒素ガスを塔頂温度100℃以下に維持するように100〜500ml/分の範囲で吹き込みながら、240℃まで昇温した。次いで、240℃で生成する水分を除去しながら、脱水エステル化反応を行った。反応生成物の酸価が2以下になった時点で、85質量%リン酸水溶液を0.15g加え、減圧を開始し、240℃の状態で0.67kPa以下に減圧して、未反応カルボン酸を除去した。未反応カルボン酸の流出がなくなった後、減圧を解除し降温して、反応生成物を珪藻土で濾過して取り出し、透明液体のエステル化合物(6)を得た。このエステル化合物(6)の酸価は0.2、水酸基価は4.8、粘度は95mPa・sであった。(実施例7) 温度計、攪拌機、窒素導入管及び分留用ト字管を備えた内容量1Lの四つ口フラスコに、2−EHAを324gと、グリセリンにエチレンオキサイドを平均9モル付加した多価アルコール(水酸基1つ当たりのエチレンオキサイドの平均付加モル数3;以下、「GL−EO9」と略記する。)を292.8gと、TiPTを0.19gとを仕込んだ後、窒素ガスを塔頂温度100℃以下に維持するように100〜500ml/分の範囲で吹き込みながら、240℃まで昇温した。次いで、240℃で生成する水分を除去しながら、脱水エステル化反応を行った。反応生成物の酸価が2以下になった時点で、85質量%リン酸水溶液を0.15g加え、減圧を開始し、240℃の状態で0.67kPa以下に減圧して、未反応カルボン酸を除去した。未反応カルボン酸の流出がなくなった後、減圧を解除し降温して、反応生成物を珪藻土で濾過して取り出し、透明液体のエステル化合物(7)を得た。このエステル化合物(7)の酸価は0.3、水酸基価は4.8、粘度は80mPa・sであった。(実施例8) 温度計、攪拌機、窒素導入管及び分留用ト字管を備えた内容量1Lの四つ口フラスコに、2−EHAを345.6gと、ペンタエリスリトールにエチレンオキサイドを平均8モル付加した多価アルコール(水酸基1つ当たりのエチレンオキサイドの平均付加モル数2;以下、「PE−EO8」と略記する。)を244gと、TiPTを0.18gとを仕込んだ後、窒素ガスを塔頂温度100℃以下に維持するように100〜500ml/分の範囲で吹き込みながら、240℃まで昇温した。次いで、240℃で生成する水分を除去しながら、脱水エステル化反応を行った。反応生成物の酸価が2以下になった時点で、85質量%リン酸水溶液を0.14g加え、減圧を開始し、240℃の状態で0.67kPa以下に減圧して、未反応カルボン酸を除去した。未反応カルボン酸の流出がなくなった後、減圧を解除し降温して、反応生成物を珪藻土で濾過して取り出し、透明液体のエステル化合物(8)を得た。このエステル化合物(8)の酸価は0.5、水酸基価は2.5、粘度は93mPa・sであった。(実施例9) 温度計、攪拌機、窒素導入管及び分留用ト字管を備えた内容量1Lの四つ口フラスコに、2−EHAを414.2gと、ジグリセリンにエチレンオキサイドを平均8モル付加した多価アルコール(水酸基1つ当たりのエチレンオキサイドの平均付加モル数2;以下、「DGL−EO8」と略記する。)を270.2gと、TiPTを0.20gとを仕込んだ後、窒素ガスを塔頂温度100℃以下に維持するように100〜500ml/分の範囲で吹き込みながら、240℃まで昇温した。次いで、240℃で生成する水分を除去しながら、脱水エステル化反応を行った。反応生成物の酸価が2以下になった時点で、85質量%リン酸水溶液を0.17g加え、減圧を開始し、240℃の状態で0.67kPa以下に減圧して、未反応カルボン酸を除去した。未反応カルボン酸の流出がなくなった後、減圧を解除し降温して、反応生成物を珪藻土で濾過して取り出し、透明液体のエステル化合物(9)を得た。このエステル化合物(9)の酸価は0.5、水酸基価は9.0、粘度は77mPa・sであった。(比較例1) 比較例1のエステル化合物として、ジ−2−エチルヘキシルフタレート(DIC株式会社製;以下、「DOP」と略記する。)を用意した。このエステル化合物は透明液体で、その酸価は0.3、水酸基価は2、粘度は57mPa・sであった。(比較例2) 比較例2のエステル化合物として、トリ−2−エチルヘキシルトリメリテート(DIC株式会社製「モノサイザーW−700」;以下、「TOTM」と略記する。)を用意した。このエステル化合物は透明液体で、その酸価は0.4、水酸基価は2.0、粘度は206mPa・sであった。(比較例3) 比較例3のエステル化合物として、テトラ−2−エチルヘキシルピロメリテート(DIC株式会社製「モノサイザーW−7010」;以下、「TOPM」と略記する。)を用いた。このエステル化合物は透明液体で、その酸価は0.6、水酸基価は3.0、粘度は392mPa・sであった。(比較例4) 温度計、攪拌機、窒素導入管及び分留用ト字管を備えた内容量3Lの四つ口フラスコに、2−EHAを633.6gと、ポリエチレングリコール(エチレンオキサイドの平均付加モル数13;以下、「PEG」と略記する。)を1200gと、TiPTを0.18gとを仕込んだ後、窒素ガスを塔頂温度100℃以下に維持するように100〜500ml/分の範囲で吹き込みながら、230℃まで昇温した。次いで、230℃で生成する水分を除去しながら、脱水エステル化反応を行った。反応生成物の酸価が2以下になった時点で85質量%リン酸水溶液を0.12g仕込み、減圧を開始し、230℃の状態で0.67kPa以下に減圧して、トルエン及び未反応アルコールを除去した。トルエン及び未反応アルコールの流出がなくなった後、減圧を解除し降温して、反応生成物を珪藻土で濾過して取り出し、透明液体のエステル化合物(10)を得た。このエステル化合物(10)の酸価は0.9、水酸基価は5.5、粘度は72mPa・sであった。(比較例5) 温度計、攪拌機、窒素導入管を備えた内容量3Lの四つ口フラスコに、ポリプロピレングリコールモノブチルエーテル(プロピレンオキサイドの平均付加モル数5;以下、「PPO−MB」と略記する。)726g及びトリレンジイソシアネート(以下、「TDI」と略記する。)165gを仕込み、80℃で10時間反応させて、ウレタン化合物(1)を得た。このウレタン化合物(1)の酸価は0.1、水酸基価は10、粘度は118mPa・sであった。(比較例6) 温度計、攪拌機、窒素導入管及び分留用ト字管を備えた内容量1Lの四つ口フラスコに、2−EHAを309.6gと、プロピレングリコールにエチレンオキサイドを平均10モル付加した多価アルコール(水酸基1つ当たりのエチレンオキサイドの平均付加モル数5;以下、「PG−EO10」と略記する。)を190gと、TiPTを0.15gとを仕込んだ後、窒素ガスを塔頂温度100℃以下に維持するように100〜500ml/分の範囲で吹き込みながら、240℃まで昇温した。次いで、240℃で生成する水分を除去しながら、脱水エステル化反応を行った。反応生成物の酸価が2以下になった時点で、85質量%リン酸水溶液を0.11g加え、減圧を開始し、240℃の状態で0.67kPa以下に減圧して、未反応カルボン酸を除去した。未反応カルボン酸の流出がなくなった後、減圧を解除し降温して、反応生成物を珪藻土で濾過して取り出し、白色固体のエステル化合物(11)を得た。このエステル化合物(11)の酸価は0.5、水酸基価は2.5であった。(比較例7) 温度計、攪拌機、窒素導入管及び分留用ト字管を備えた内容量1Lの四つ口フラスコに、無水プロパン酸(関東化学株式会社製「無水プロピオン酸」;以下、「PA」と略記する。)を318.5gと、TMP−EO9を371.0gと、トリエチルアミン(関東化学株式会社製)を6.9gとを仕込んだ後、発熱に気をつけながら90℃まで昇温した。次いで、発熱反応が落ち着くまで90℃で安定させて、エステル化反応を行った。発熱が収まってから1時間経過後、0.67kPa以下に減圧して、未反応カルボン酸を除去した。未反応カルボン酸の流出がなくなった後、減圧を解除し降温して、反応生成物を珪藻土で濾過して取り出し、透明液体のエステル化合物(12)を得た。このエステル化合物(12)の酸価は0.2、水酸基価は0.6、粘度は55mPa・sであった。(比較例8) 温度計、攪拌機、窒素導入管及び分留用ト字管を備えた内容量1Lの四つ口フラスコに、オクタデカン酸(花王株式会社製「ルナックS−90V」;以下、「ODA」と略記する。)を375.5gと、TMP−EO9を212.0gと、TiPTを0.18gとを仕込んだ後、窒素ガスを塔頂温度100℃以下に維持するように100〜500ml/分の範囲で吹き込みながら、240℃まで昇温した。次いで、230℃で生成する水分を除去しながら、脱水エステル化反応を行った。反応生成物の酸価が2以下になった時点で、85質量%リン酸水溶液を0.11g加え、減圧を開始し、240℃の状態で0.67kPa以下に減圧して、未反応カルボン酸を除去した。未反応カルボン酸の流出がなくなった後、減圧を解除し降温して、反応生成物を珪藻土で濾過して取り出し、白色固体のエステル化合物(13)を得た。このエステル化合物(13)の酸価は1.0、水酸基価は9.5であった。 上記の実施例1〜9及び比較例1〜8で製造又は用意した可塑剤について、原料及び特性値を表1及び2にまとめた。 なお、表2中の略号は、下記のものを表す。 2−EHOH:2−エチルヘキシルアルコール PA:無水フタル酸 TMA:無水トリメリット酸 PMA:無水ピロメリット酸(実施例10) 上記の実施例1で製造したエステル化合物(1)を用いて、下記の評価を行った。[ポリオールとの相溶性の評価] ポリブタジエンポリオール(出光興産株式会社製「R−45HT」;数平均分子量:2,800、官能基数:2.3、ヨウ素価:398、水酸基価:46)を100質量部と、ヒマシ油系ポリオール(伊藤製油株式会社製「URIC Y−403」;水酸基価:152、酸価:1.5)を70質量部と、ヒマシ油系ポリオール(伊藤製油株式会社製「URIC H−31」;水酸基価:160、酸価:1.8)を30質量部と、上記の実施例1で製造したエステル化合物(1)を100質量部とを半月板付攪拌機にて10分間混合した。得られた溶液の外観を目視で観察し、成分の分離の有無、透明性で相溶性を確認した。なお、相溶性は、下記の基準で評価した。 ○:分離がなく透明である。 ×:分離があるか、又は白濁している。[ポリオール組成物での粘度低下能の評価] 上記のポリオールとの相溶性の評価で調製した溶液を容量100cm3のガラス瓶に90g入れた後、液温が25℃にセットされた回転粘度計(東機産業株式会社製「TRV101F」;ローターNo.3、回転数60rpm)にて粘度を測定した。得られた粘度から、ポリオールに対する粘度低下能を下記の基準で評価した。なお、粘度測定はポリオールと可塑剤との混合溶液の外観に分離がなく透明であったもののみについて、粘度測定した。下記の測定及び評価についても同様である。 ○:粘度が500mPa・s未満である。 △:粘度が500mPa・s以上800mPa・s未満である。 ×:粘度が800mPa・s以上である。[ウレタン樹脂用組成物の調製] 上記のポリオールとの相溶性の評価で調製した溶液を300質量部と、無機充填材として球状アルミナ(電気化学工業株式会社製「DAM10」;体積平均粒子径8.6μm)を500質量部とをディスパー(プライミクス株式会社製の機種名「TKホモディスパー2.5型」)にて分散させて均一な分散液にしてウレタン樹脂用組成物を得た。[ウレタン樹脂用組成物での粘度低下能の評価] 上記で得られたウレタン樹脂用組成物について、液温が25℃にセットされた回転粘度計(東機産業株式会社製「TRV101F」;ローターNo.4、回転数6rpm)にて粘度測定した。得られた粘度から、ウレタン樹脂用組成物に対する粘度低下能を下記の基準で評価した。 ◎:粘度が40Pa・s未満である。 ○:粘度が40Pa・s以上60Pa・s未満である。 △:粘度が60Pa・s以上80Pa・s未満である。 ×:粘度が80Pa・s以上である。[ウレタン樹脂用組成物への硬化剤の配合] 上記で調製したウレタン樹脂用組成物800質量部に、硬化剤(日本ポリウレタン株式会社製「ミリオネートMR−100」;ポリイソシアネート成分:ポリメリックMDI)を50質量部加えて、半月板付攪拌機にて10分間混合させた後、0.27mPaに減圧して3分間脱泡して、硬化剤を配合したウレタン樹脂用組成物を得た。[ウレタン樹脂用組成物の硬化物(ウレタン樹脂)の耐加熱損失性の評価] 上記で得られた硬化剤を配合したウレタン樹脂用組成物5gを直径60mmの金属シャーレの中に注入し、ギア老化試験機(株式会社東洋精機製作所製「ACRギアー・オーブン」)に入れ、90℃で4時間加熱して硬化を行った後、得られた硬化物を室温まで自然冷却させて、耐加熱損失性評価用のサンプルを得た。このサンプルについて、質量を測り、加熱前質量とした。次いで、加熱前質量を測ったサンプルをギア老化試験機(株式会社東洋精機製作所製「ACRギアー・オーブン」)に入れ、150℃で300時間加熱した後、室温まで自然冷却させた。再び質量を測り、加熱後質量とした。得られた加熱前質量及び加熱後質量を用いて、下式(1)により加熱減量率を算出した。 加熱減量率(%)=(加熱前質量−加熱後質量)/加熱前質量×100 (1) 上記で算出した加熱減量率の値から、下記の基準で耐加熱損失性を評価した。 ○:加熱減量率が1%未満である。 △:加熱減量率が1%以上3%未満である。 ×:加熱減量率が3%以上である。[ウレタン樹脂用組成物の硬化物(ウレタン樹脂)のショア硬度の測定] 上記で得られた硬化剤を配合したウレタン樹脂用組成物20gを直径60mmの金属シャーレの中に注入し、ギア老化試験機(株式会社東洋精機製作所製「ACRギアー・オーブン」)に入れ、90℃で4時間加熱して硬化を行った後、得られた硬化物を室温まで自然冷却させて、ショア硬度の測定用のサンプルを得た。次いで、得られたサンプルについて、JIS K 6253にしたがい、アスカーA型硬度計(高分子計器株式会社製)を用いてショア硬度を測定した。[ウレタン樹脂用組成物の硬化物(ウレタン樹脂)のブリード性試験]上記で得られた硬化剤を配合したウレタン樹脂用組成物20gを直径60mmの金属シャーレの中に注入し、ギア老化試験機(株式会社東洋精機製作所製「ACRギアー・オーブン」)に入れ、90℃で4時間加熱して硬化を行った後、得られた硬化物を室温まで自然冷却させて、20×20mmに切り出してブリードアウト確認用のサンプルを得た。次いで、得られたサンプルについて、100℃に設定した熱風乾燥器に168時間放置し、サンプル表面におけるエステル化合物(可塑剤)のブリードの状態を目視観察し、下記の基準に従い評価した。 ○:ブリードなし △:一部ブリードあり ×:ブリード発生し不良(実施例11〜18及び比較例9〜16) 上記の実施例10と同様の操作を実施例2〜9及び比較例1〜8で製造又は用意したエステル化合物(可塑剤)について行い、評価を行った。 上記の測定及び評価の結果を表3及び4に示す。 表3に示した実施例10〜18の評価結果から、本発明のウレタン樹脂用可塑剤は、ポリオールとの相溶性が良好であり、本発明のウレタン樹脂用可塑剤を用いたウレタン樹脂用組成物は、低粘度であることから、ハンドリング性に優れることが分かった。また、本発明のウレタン樹脂用可塑剤を用いたウレタン樹脂用組成物の硬化物(ウレタン樹脂)は高い耐加熱損失性を示したことから耐熱性に優れることが分かった。 一方、表4に示した比較例9〜18の評価結果から、下記のことが分かった。 比較例9〜11は、従来から可塑剤として広く用いられてきた材料を用いた例である。比較例9のDOPを用いた例では、ウレタン樹脂用組成物の粘度をある程度低下することはできるが、加熱残量率が高く加熱損失が大きい問題があることが分かった。また、比較例10のTOTMを用いた例及び比較例11のTOPM用いた例では、加熱残量率が比較的低く良好な耐加熱損失性を有していたが、ウレタン樹脂用組成物の粘度をハンドリング性が良好な低粘度にすることができない問題があることが分かった。 比較例12は、ポリエチレングリコールとモノカルボン酸とを反応させたエステル化合物(10)を用いた例であるが、ウレタン樹脂用組成物の粘度をハンドリング性が良好な低粘度にすることができるが、加熱残量率が高く加熱損失が大きい、ブリードアウトが発生し相溶性が低いという問題があることが分かった。 比較例13は、可塑剤としてエステル化合物ではなく、ウレタン化合物を用いた例であるが、ウレタン樹脂用組成物の粘度をある程度低下することはできるが、加熱残量率も高く加熱損失が大きい問題があることが分かった。 比較例14は、エステル化合物の原料である多価アルコール(a)(エチレンオキサイド付加前のもの)1分子中の炭素原子数(c)と水酸基数(h)とが、本発明の範囲(水酸基数(h)が2の場合には該炭素原子数(c)が4〜12の範囲)から外れ、該炭素原子数(c)が3である多価アルコールで製造したエステル化合物(11)を用いた例である。このエステル化合物(11)は、常温で固体であるため、可塑剤として扱いにくく、ポリオールとの相溶性も悪く、ウレタン樹脂用組成物の可塑剤として用いることができないことが分かった。 比較例15は、エステル化合物の原料である脂肪族多価カルボン酸(B)のカルボニル炭素を除いた炭素原子数が、本発明の範囲である4〜15から外れ、2である脂肪族多価カルボン酸で製造したエステル化合物(12)を用いた例である。このエステル化合物(12)は、ウレタン樹脂用組成物の粘度をハンドリング性が良好な低粘度にすることができるが、加熱残量率が高く加熱損失が大きい、ブリードアウトが発生し相溶性が低いという問題があることが分かった。 比較例16は、本発明のウレタン樹脂用可塑剤の必須成分であるエステル化合物の原料である脂肪族多価カルボン酸(B)のカルボニル炭素を除いた炭素原子数が4〜15の範囲から外れ、17である脂肪族多価カルボン酸で製造したエステル化合物(13)を用いた例である。このエステル化合物(13)は、常温で固体であるため、可塑剤として扱いにくく、ポリオールとの相溶性も悪く、ウレタン樹脂用組成物の可塑剤として用いることができないことが分かった。 多価アルコール(a)のアルキレンオキサイド付加物(A)と、カルボニル炭素を除いた炭素原子数が4〜15である脂肪族モノカルボン酸(B)又はその無水物とをエステル化反応させて得られたエステル化合物を必須成分として含有するウレタン樹脂用可塑剤であって、前記多価アルコール(a)の1分子中の水酸基数(h)が2〜6の範囲であり、前記多価アルコール(a)の1分子中の炭素原子数(c)が3〜18の範囲であり、該水酸基数(h)と該炭素原子数(c)との関係が、該水酸基数(h)が2の場合には該炭素原子数(c)が4〜12の範囲、該水酸基数(h)が3の場合には該炭素原子数(c)が3〜12の範囲、該水酸基数(h)が4の場合には該炭素原子数(c)が4〜14の範囲、該水酸基数(h)が5の場合には該炭素原子数(c)が5〜16の範囲、および、該水酸基数(h)が6の場合には該炭素原子数(c)が6〜18の範囲であることを特徴とするウレタン樹脂用可塑剤。 前記多価アルコール(a)が、グリセリン、ジグリセリン、ネオペンチルグリコール及びペンタエリスリトールからなる群から選ばれる少なくとの1つの多価アルコールである請求項1記載のウレタン樹脂用可塑剤。 前記脂肪族モノカルボン酸(B)が、ヘキサン酸、2−エチルヘキサン酸及びドデカン酸からなる群から選ばれる少なくとの1つの脂肪族モノカルボン酸である請求項1記載のウレタン樹脂用可塑剤。 前記アルキレンオキサイドがエチレンオキサイドである請求項1記載のウレタン樹脂用可塑剤。 ポリオール、ポリイソシアネート、無機充填剤及び請求項1〜3のいずれか1項記載のウレタン樹脂用可塑剤を含有するウレタン樹脂用組成物であって、該ウレタン樹脂用組成物中の前記ウレタン樹脂用可塑剤の含有量が1〜30質量%であることを特徴とするウレタン樹脂用組成物。 請求項5記載のウレタン樹脂用組成物に硬化剤を加え硬化させたことを特徴とする硬化物。 【課題】ウレタン樹脂の原料であるポリオール、ポリイソシアネート、さらにはこれらが反応して生成するウレタン樹脂との相溶性に優れ、これらに配合することで溶液粘度を大幅に低下することができ、かつ加熱損失が少ないウレタン樹脂用可塑剤、それを用いたウレタン樹脂用組成物及びその硬化物を提供する。【解決手段】1分子中の水酸基数(h)が2〜6であり、前記多価アルコール(a)の1分子中の炭素原子数(c)が3〜18であり、該水酸基数(h)と該炭素原子数(c)とが特定の関係を有している多価アルコール(a)のアルキレンオキサイド付加物(A)と、カルボニル炭素を除いた炭素原子数が4〜15である脂肪族モノカルボン酸(B)又はその無水物とをエステル化反応させて得られたエステル化合物を含有するウレタン樹脂用可塑剤、それを含有するウレタン樹脂用組成物およびその硬化物。【選択図】なし


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