タイトル: | 公開特許公報(A)_安定な医薬製剤組成物 |
出願番号: | 2011141324 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A61K 31/16,A61K 47/02,A61K 47/10,A61P 1/10 |
松下 剛士 望月 裕介 石田 克史 JP 2012031150 公開特許公報(A) 20120216 2011141324 20110627 安定な医薬製剤組成物 第一三共ヘルスケア株式会社 306014736 竹元 利泰 100161160 石橋 公樹 100146581 今村 真有 100153039 中村 有希子 100160462 児玉 博宣 100164460 松下 剛士 望月 裕介 石田 克史 JP 2010146110 20100628 A61K 31/16 20060101AFI20120120BHJP A61K 47/02 20060101ALI20120120BHJP A61K 47/10 20060101ALI20120120BHJP A61P 1/10 20060101ALI20120120BHJP JPA61K31/16A61K47/02A61K47/10A61P1/10 6 OL 8 4C076 4C206 4C076AA31 4C076BB01 4C076CC16 4C076DD29 4C076DD38 4C076EE31 4C076EE32 4C076FF46 4C076FF63 4C076GG13 4C206AA01 4C206AA10 4C206JA63 4C206MA03 4C206MA05 4C206MA61 4C206NA03 4C206ZA72 本発明は、パンテチンおよび酸化マグネシウムを含有する製剤において、良好な服用性を有し、かつ、含量低下も変色も生じない安定な医薬製剤組成物に関する。 常習性便秘に種々の薬物療法が行われているが、便秘の原因が複雑であるため、期待通りの効果は得られていない。便秘薬として膨潤性下剤、刺激性下剤、蠕動運動亢進性下剤等が汎用されているが、治療中は緩和できても再発を繰り返すことが多く、長期使用するとかえって便秘を助長することもある。そこで、長期使用には刺激性の弱いパンテチンが投与されている。 パンテチンはパントテン酸の活性型で、CoAの前駆物質としてアセチル化能を高め、アセチルコリンの生成を促進するとともに、腸管に対してはパンテチンのもつSH基による直接反応も考えられ、腸管の蠕動運動亢進によって便秘を改善する(以上、例えば、非特許文献1参照)。 酸化マグネシウムは、これまでの公知事項を総合すると、腸内で難吸収性の重炭酸塩又は炭酸塩となって浸透圧維持のため腸壁から水分を奪い、腸内に多量の水を貯留させて腸壁の伸展受容器を刺激して蠕動運動を亢進したり、腸管内容物を軟化させたりすることにより緩下作用を現すことが知られている。 パンテチン(パントシン散)と酸化マグネシウム(カマ)の併用については「パンカマ」の略称で、便秘用に院内で処方されている。「パンカマ」は通常、パントシン散1g(パンテチンとして500mg)、カマ粒2gを1日1回就寝前に併用投与される。しかし、カマ粒は独特の口中不快感があり、処方しても継続的に服用しないという問題があった(非特許文献2参照)。 パンテチンと酸化マグネシウムとの合剤の製剤化についての報告は見当たらず、その安定性はもとより、服用性についても一切不明であった。診療と新薬Vo.13 No.1 1976 p.43-48薬理と治療Vo.29 No.12 2001 p.961-965 本発明の目的は、これまで院内処方のみで存在したパンテチンと酸化マグネシウムの併用を、配合剤として製剤化することである。その製剤条件として、安定性を有するとともに、服用性の優れたものを実現することが本発明の課題である。 本発明者らは、かかる条件を満たす配合剤を開発するために鋭意研究を進めてきた。その結果、パンテチンと酸化マグネシウムに、融点が100℃以上で水和物を持たない糖アルコールを含有させると、安定性と服用性の優れた製剤が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、(1) (a)、(b)及び(c)を含有する医薬組成物、(a)酸化マグネシウム(b)パンテチン(c)融点が100℃以上で、且つ、水和物を持たない糖アルコールであり、好適には、(2) (c)が、マンニトール及びエリスリトールから選ばれる1種以上である、上記(1)に記載の医薬組成物、(3) 剤形が固形製剤である上記(1)又は(2)に記載の医薬組成物、(4) 経口投与用である上記(1)〜(3)のいずれか1に記載の医薬組成物、(5) 便秘用薬である上記(1)〜(4)のいずれか1に記載の医薬組成物、又は、(6) 安定性及び服用性が良好である、(1)〜(5)のいずれか1に記載の医薬組成物、である。 本発明により、パンテチンおよび酸化マグネシウムを同一製剤中に配合することができるので、服用コンプライアンスを改善させることができる。さらに、本発明の医薬組成物は、優れた服用性と安定性を兼ね備えており、特に便秘の患者にとって有用である。 本発明にかかる糖アルコールは、融点が100℃以上で、且つ、水和物を持たないものであれば特に限定されないが、当該条件を有する糖アルコールとして、例えば、マンニトール、エリスリトール等を挙げることができる(表1参照)。 本発明の、パンテチン及び酸化マグネシウムは第15改正日本薬局方に収載されており、容易に入手できる。 本発明の医薬組成物に添加される糖アルコールの含有量は、水に不溶性の成分(酸化マグネシウム、結晶セルロース等)の総含有量の50%以上であり、好ましくは、80%以上である。 本発明の医薬組成物の1日投与量における、パンテチンの含有量は30mg〜1200mgであり、好ましくは、200mg〜800mgである。また、酸化マグネシウムの含有量は150mg〜6000mgであり、好ましくは、700mg〜3000mgである。 本発明の医薬組成物は、経口投与用であることが好ましく、上記1日投与量を1〜3回に分けて投与(服用)する。1日1回投与の場合、特に限定はないが、就寝前の服用が好ましい。 本発明の医薬組成物の剤型は、固形製剤であれば特に限定されないが、含量の多さから顆粒又は細粒剤であることが好ましい。 本発明の実施例を以下に記載するが、これらに限定されるものではない。(実施例1) 流動層造粒機(FLO−1、フロイント産業)に酸化マグネシウム(協和化学工業)193.9g、マンニトール(三菱商事フードテック)271.5g、を投入・混合した後に、結合剤としてパンテチン(第一三共プロファーマ)の60%水溶液を193.9g、ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達、以下、HPCと称す)6%水溶液を304.8gそれぞれ噴霧し、細粒剤を調製した。(実施例2) 流動層造粒機に酸化マグネシウム140.0g、マンニトール154.0g、結晶セルロース(旭化成)42.0gを投入・混合した後に、結合剤としてパンテチン60%水溶液を140.0g噴霧し、細粒剤を調製した。(実施例3) 流動層造粒機に酸化マグネシウム193.9g、エリスリトール(物流フードサイエンス)271.5g、を投入・混合した後に、結合剤としてパンテチン60%水溶液を193.9g、HPC6%水溶液を304.8gそれぞれ噴霧し、細粒剤を調製した。(比較例1) 流動層造粒機に酸化マグネシウム193.9g、マルチトール(三菱商事フードテック)271.5g、を投入・混合した後に、結合剤としてパンテチン60%水溶液を193.9g、HPC6%水溶液を304.8gそれぞれ噴霧し、細粒剤を調製した。(比較例2) 試験に用いる錠剤として、流動層造粒機に酸化マグネシウム193.9g、キシリトール(三菱商事フードテック)271.5g、を投入・混合した後に、結合剤としてパンテチン60%水溶液を193.9g、HPC6%水溶液を304.8gそれぞれ噴霧し、細粒剤を調製した。(比較例3) 流動層造粒機に酸化マグネシウム193.9g、トレハロース(旭化成)271.5g、を投入・混合した後に、結合剤としてパンテチン60%水溶液を193.93g、HPC6%水溶液を304.8gそれぞれ噴霧し、細粒剤を調製した。(比較例4) 流動層造粒機に酸化マグネシウム193.9g、イソマルト(樋口商会)271.5g、を投入・混合した後に、結合剤としてパンテチン60%水溶液を193.9g、HPC6%水溶液を304.8gそれぞれ噴霧し、細粒剤を調製した。(試験例)1.供試製剤 上記実施例1〜3および比較例1〜4を試験に使用した。これらを一覧表にしたのが表2及び表3である。2.服用性試験 各粒剤を口腔内に入れ、舌で転がしながら「えぐみ」の程度で服用性を評価した。評価には以下の4段階の基準を用いた。◎:非常に良い○:良い△:どちらともいえない×:悪い3.安定性試験(パンテチンの含量変化) 実施例1〜3、比較例1〜4の試料をアルミ製分包に1.5gに分包した細粒剤20包を、冷蔵庫(5℃)および過酷条件(60℃)にて1ヵ月保存した。保管後に細粒剤中のパンテチンの含量、及び試験開始時の含量を測定し、残存率を計算した。4.安定性試験(変色) 実施例1〜3、比較例1〜4の試料をアルミ製分包に1.5gに分包した細粒剤20包を、冷蔵庫(5℃)および過酷条件(60℃)にて1ヵ月保存した。保管後に細粒剤の冷蔵庫保管品に対する変色を評価した。変色の度合いに関しては色差計(分光式色差計(型式SE2000):日本電色工業製)にて各サンプルのL*、a*、b*の値を測定し、保管前と保管後のサンプル間のΔE(L*a*b*表色系での座標間距離で定義される値)を算出した。なお、ΔEとしては、色差の数値の小さい方が変色の度合いが小さいことを意味する。また、目視での評価も実施した。 その際の、変色の評価は、以下の4段階の基準を用いた。 冷蔵庫保管品に対して、◎:変色を認めない○:わずかな変色を認める△:変色が認められる×:著しく変色を認める5.試験結果 評価した結果を表2及び表3に示す。表3の比較例に較べ、表2に示すように、マンニトール、又はエリスリトールを賦形剤として選択することにより、えぐみを改善し(服用性の向上)、変色、含量低下の抑制により安定性が良好な製剤とすることができた。 本発明により、パンテチンおよび酸化マグネシウムを同一製剤中に配合することができるので、服用コンプライアンスを改善させることができる。さらに、本発明の医薬組成物は、優れた服用性と長期安定性を兼ね備えており、特に便秘の患者にとって有用である。 (a)、(b)及び(c)を含有する医薬組成物。(a)酸化マグネシウム(b)パンテチン(c)融点が100℃以上で、且つ、水和物を持たない糖アルコール (c)が、マンニトール及びエリスリトールから選ばれる1種以上である、請求項1に記載の医薬組成物。 剤形が固形製剤である請求項1又は2に記載の医薬組成物。 経口投与用である請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬組成物。 便秘用薬である請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬組成物。 安定性及び服用性が良好である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の医薬組成物。 【課題】 本発明の目的は、これまで院内処方のみで存在したパンテチンと酸化マグネシウムの併用を、配合剤として製剤化することである。その製剤条件として、長期安定性を有するとともに、服用性の優れたものを実現することが本発明の課題である。【解決手段】 本発明者らは、かかる条件を満たす配合剤を開発するために鋭意研究を進めてきた。その結果、パンテチンと酸化マグネシウムに、融点が100℃以上で水和物を持たない糖アルコールを含有させると、安定性と服用性の優れた製剤が得られることを見出した。【選択図】なし