生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_医療器具の洗浄評価用染色液
出願番号:2011106608
年次:2011
IPC分類:G01N 1/30,G01N 33/68


特許情報キャッシュ

浦岡 慎司 有本 富美子 中塚 里子 石井 諭規 JP 2011257387 公開特許公報(A) 20111222 2011106608 20110511 医療器具の洗浄評価用染色液 株式会社イヌイメデイックス 304051791 福島 三雄 100085316 向江 正幸 100124947 高崎 真行 100140969 川角 栄二 100161300 塩田 哲也 100171572 浦岡 慎司 有本 富美子 中塚 里子 石井 諭規 JP 2010108866 20100511 G01N 1/30 20060101AFI20111125BHJP G01N 33/68 20060101ALI20111125BHJP JPG01N1/30G01N33/68 6 OL 17 2G045 2G052 2G045BB25 2G045DA36 2G045FB11 2G052FA09 2G052FC02 2G052FC11 2G052JA24 本発明は医療器具の洗浄現場において使用する洗浄評価用染色液、及びこれを利用した医療器具の洗浄評価方法に関するものである。 現在、病院、検査センター、滅菌代行業などの医療関係機関では、日常大量に発生する使用済み医療器具を洗浄、滅菌し繰り返し使用している。これらの医療関係機関での医療器具の洗浄方法としては、手洗浄、恒温槽洗浄、超音波洗浄、ウオッシャー・ディスインフェクター洗浄などがある。これらの洗浄方法で洗浄された医療器具の表面に残留しているタンパク質の検知方法としては、例えば、アミドブラック10B染色液で医療器具表面に付着しているタンパク質を青色に染色する方法が開示されている(特許文献1,2を参照) しかし、従来のアミドブラック10B染色液には酢酸が配合されており臭気が強く、また、医療器具表面における浸透拡散力が少なく、染色液を医療器具に噴霧すると染色液が飛び散るなどの問題があり医療現場では充分に使いこなすことができない。特に病院内の各部所では臭気の発するものは使用できない。特開2009−075084号公報特開2006−349354号公報 本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、酢酸が配合されている従来の染色液と同程度の染色性を有し、かつ無臭のアミドブラック10B染色液、及びこれを用いた医療器具の洗浄評価方法を提供することにある。 本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、アミドブラック10Bと特定の有機酸を含有する染色液を用いることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。〔1〕 アミドブラック10B、アルコール及びクエン酸、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸及びグルコン酸からなる群から選択される少なくとも1種の有機酸を含有し、さらに酢酸、シュウ酸、ギ酸、酪酸、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選択される有機酸を含有しないことを特徴とする、医療器具の洗浄評価用染色液、〔2〕 さらに増粘剤を含有する、前記〔1〕記載の洗浄評価用染色液、〔3〕 増粘剤が、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸共重合物、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種である、前記〔2〕記載の洗浄評価用染色液、〔4〕 さらにエーテル型ノニオン系界面活性剤を含有する、前記〔2〕または〔3〕記載の洗浄評価用染色液、〔5〕 エーテル型ノニオン系界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(ブロックまたはランダム)ポリマーから選ばれる少なくとも1種である、前記〔4〕記載の洗浄評価用染色液、〔6〕 使用済み医療器具と前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の染色液とを接触させる染色工程、該染色工程終了後の医療器具を水洗する水洗工程、及び該水洗工程終了後の医療器具について染色の有無を目視判定する判定工程、を有する前記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の染色液を用いた医療器具の洗浄評価方法。 本発明によれば、酢酸が配合されている従来の染色液と同程度の染色性を有し、かつ無臭のアミドブラック10B染色液が提供される。本発明の染色液を用いれば、医療関係機関での洗浄評価作業中に臭気が発生しないので、作業環境を無臭に保つことができる。No.1,2,4,6の染色液(本発明品)とNo.9の染色液(比較品)について、染色前後におけるインジケーターのマーカーの色調を示す写真である。5種類の染色液(No.1,2,4,6,9)について、テストピース上のスポット血液の濃度と染色結果を示す写真である。 本発明に係る医療器具の洗浄評価用染色液は、アミドブラック10B、アルコール及び特定の有機酸を含有し、さらに酢酸、シュウ酸、ギ酸、酪酸、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選択される有機酸を含有しない点に特徴を有する。 本発明で使用するアミドブラック10Bはタンパク質を青色に染色しタンパク質の存在を確認する色素であり、その品質は特に限定されないが、通常は試薬特級または一級を使用するのが望ましい。またその含有濃度は特に限定されないが、通常は染色液中0.001〜2重量%である。0.001重量%未満の場合、肉眼で確認するのに充分な着色が得られない場合があり、また2重量%を超える場合、溶解度以上となり色素残渣が染色液に発生する場合がある。 本発明に使用するアルコールは、アミドブラック10Bの溶解性を高め、アミドブラック10Bと後述する特定の有機酸との相溶性を良好にするために用いるものであり、例えば、1価アルコール、多価アルコール、グリコールエーテルなどが挙げられる。これらのうち、低粘度であり、臭気の少ない点でメタノール、エタノールが特に好ましい。 本発明に使用する特定の有機酸は、染色液のpHを1.0〜4.0の酸性に保ちアミドブラック10Bとタンパク質の反応を促進し染着性を強固にするものである。また、その他の性質として、揮発性が少ないこと、刺激性がないこと(すなわち臭気がないこと)、医療器具の材質(主にステンレス材)を短時間で腐食させないこと、さらに人体への安全性が高い食品添加物認可のものが好ましい。上記のうち、特に酢酸を使用した場合と同程度の染色性を有し、臭気がないものとして、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、グルコン酸が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。上記有機酸の含有濃度は特に限定されないが、通常は染色液中0.01〜30重量%である。0.01重量%未満の場合、アミドブラック10Bのタンパク質への染着性が充分でない場合があり、また医療器具に付着したアルカリ性共雑物の影響を受けやすくなる。30重量%を超える場合、染色濃度が上がらずコスト負担が大きくなる。 本発明に係る染色液は、酢酸、シュウ酸、ギ酸、酪酸、アクリル酸、メタクリル酸などの刺激臭の強い有機酸を含有させない。 以上、本発明の染色液は、アミドブラック10B、アルコール及び特定の有機酸を含有し、上記刺激臭の強い有機酸を含有しないものであるが、必要に応じて界面活性剤、増粘剤、その他この分野で通常使用される添加剤を含有させることもできる。 界面活性剤は、本発明の染色液を医療器具表面に噴霧、滴下などにより接触させたときに、染色液と医療器具表面との界面張力を小さくすることにより浸透性、濡れ性、医療器具表面への拡散性が良くなり、より精度の高いタンパク質検知性能を発揮させるものである。本発明に使用し得る界面活性剤は、染色液が酸性域にあることからアニオン系界面活性剤は使用できない。また、アミドブラック10Bが酸性色素であることからカチオン系界面活性剤も使用できない。また、染色液は酸性域にあることからエステル型ノニオン系界面活性剤は加水分解を受ける可能性があり使用できない。上記の事情から、本発明に使用し得る界面活性剤はエーテル型ノニオン系界面活性剤に限定される。エーテル型ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(ブロックまたはランダム)ポリマーなどが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。アルキル基の炭素数は10〜18が好ましく、エチレンオキサイド、プロキレンオキサイドの付加モル数はいずれも4〜120の範囲が好ましい。 増粘剤は、本発明の染色液を医療器具表面に噴霧、滴下などにより接触させたときに、染色液が医療器具表面から飛び散るのを防止するために用いられる。増粘剤を配合した場合の染色液の粘度は通常3.0〜50 mPa・sであり、3.5〜30 mPa・sが好ましく、4.0〜13 mPa・sがさらに好ましい。すなわち、医療器具表面から染色液の飛び散りを防止するために、染色液の粘度は水そのものの粘度に比べて極端に大きくする必要はなく、上記の範囲で十分である。増粘剤は高濃度の上記有機酸とアルコールに安定的に混合できることが必要である。本発明に使用し得る増粘剤としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸共重合物、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコールなどが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。 本発明の染色液の具体的な調製方法は特に限定されないが、例えば以下の方法が挙げられる。すなわち、アミドブラック10Bとアルコールを所定量混合し、攪拌下に溶解してA液とし、上記特定の有機酸と精製水を所定量混合し、攪拌下に溶解してB液とし、次いでA液とB液を所定量混合し、攪拌下に溶解することで、pHが1.0〜4.0の本発明の染色液が得られる。なお、添加剤として界面活性剤および/または増粘剤を含有させる場合は、B液の構成成分として上記方法に準じて調製することができる。 このようにして調製される染色液は、酢酸が配合されている従来の染色液のように作業中に刺激臭を生じることがなく無臭であり、タンパク質に対する染色感度も従来の染色液と同程度に優れたものである。また、貯蔵安定性にも優れている。 本発明に係る医療器具の洗浄評価方法は、上記染色液を用いる方法であって、(1)使用済み医療器具と上記染色液とを接触させる染色工程、(2)該染色工程終了後の医療器具を水洗する水洗工程、及び(3)該水洗工程終了後の医療器具について染色の有無を目視判定する判定工程、を有する。 染色工程で洗浄評価の対象とされる医療器具は、医療機関で使用された医療器具であって、通常は洗浄後のものである。また、比較として洗浄前の医療器具を評価対象に含めてもよい。染色工程で本発明の染色液を用いる場合、次のいずれかの方法が採用される。すなわち、医療器具に染色液を噴霧(スプレー)する方法、医療器具に染色液を滴下する方法、医療器具を染色液に浸漬させる方法である。上記のうちいずれを採用するかは医療器具の種類、数などに応じて適宜決めることができる。いずれの方法においても、医療器具と染色液との接触条件は、室温下で1〜5分程度で足りる。水洗工程では、染色工程終了後の医療器具を水中(好ましくは流水中)に1〜5分程度浸漬させる。水洗工程終了後、医療器具を取り出し、医療器具表面の色調を目視観察する。この際、医療器具表面が青色に染色されていないと認められれば、洗浄が良好と評価し、医療器具表面が青色に染色されていると認められれば、洗浄が不良と評価する。 このように、本発明に係る医療器具の洗浄評価方法は簡易な工程で、短時間で行うことができ、しかも上記工程中に臭気は発生せず作業環境を無臭に保つことができる。 以下、本発明の実施例および比較例についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。1.染色性 ステンレス基板(SUS304、25mm×75mm×0.5mm、ヘアライン仕上げ)上にマーカーとして羊血などのタンパク質を2ヶ所点着させた16枚の洗浄評価インジケーター((株)イヌイメデイックス、商品名:ピュアチェック(登録商標))を水平に置き、各インジケーターのマーカー上に表1と表2に示す染色液(表1のNo.1〜No.8は染色液(本発明品)、表2のNo.9〜No.16は染色液(比較品))をスポイドで数滴滴下した。1分経過後、水道水を受けてオーバーフローするビーカーの中に前記各染色液を滴下したインジケーターをそれぞれ1分浸漬した。次いで、前記ビーカーから前記インジケーターを取り出し、自然乾燥させた。乾燥終了後、各インジケーターについてマーカーの色調、染着濃度、染色斑を目視観察した。 表1と表2に「外観(色調)」と称する項目で各インジケーターのマーカーの色調を記載した。 染色性の評価は、酢酸を配合した比較染色液(No.9〜No.12)を滴下したインジケーターについて得られた結果を基準として、以下のように行った。・No.9〜No.12の比較染色液と比べて明らかに染色性が優れると認められた場合。表1と表2の「染色性」と称する項目に「◎」で明記。・No.9〜No.12の比較染色液と同程度の染色性が認められた場合。表1と表2の「染色性」と称する項目に「○」で明記。・No.9〜No.12の比較染色液と比べて明らかに染色性が悪いと認められた場合。表1と表2の「染色性」と称する項目に「×」で明記。2.臭気 前記「1.染色性」の試験において、各染色液を各インジケーターのマーカー上に滴下したときの臭気を嗅いだ。臭気の評価は以下のように行った。・臭気が認められなかった場合。表1と表2の「臭気」と称する項目に「なし」と明記。・少し臭気が認められた場合。表1と表2の「臭気」と称する項目に「刺激臭」と明記。・No.9〜No.12の比較染色液と同程度の臭気が認められた場合。表1と表2の「臭気」と称する項目に「刺激臭強」と明記。3.貯蔵安定性 表1と表2に示す各染色液をそれぞれ300mlのポリエチレン製容器に入れ、室温(17℃)で24時間保管し、結晶の析出の有無を目視観察するとともに、−15℃に設定した冷凍庫の中で24時間保管し、結晶の析出の有無を目視観察した。・結晶の析出が認められなかった場合、表1と表2の「液安定性(17℃)」、「液安定性(−15℃)」と称する項目に「○」と明記。・結晶の析出が認められた場合、表1と表2の「液安定性(17℃)」、「液安定性(−15℃)」と称する項目に「×」と明記。 表1と表2の結果から、No.1〜No.8の染色液(本発明品)の染色性は、いずれもNo.9〜No.12の染色液(比較品)と同程度に優れることが分かった。代表例として図1にNo.1,2,4,6の染色液(本発明品)とNo.9の染色液(比較品)について、染色前後に撮影した写真を示す。臭気については、No.1〜No.8の染色液(本発明品)は臭気が認められず、No.9〜No.16の染色液(比較品)はいずれも刺激臭が強いことが認められた。貯蔵安定性については、No.1〜No.16のいずれの染色液についても結晶の析出は認められなかった。4.染色液のタンパク質検出感度 羊血((株)日本生物材料センター、NSN−羊全血液へパリン処理)に硫酸プロタミン1重量%水溶液を10重量%添加したタンパク基準液にイオン交換水を添加して 3.2,6.3,25,50,100,200μg/10μLの希釈タンパク液を調製した。ピペットで各希釈タンパク液10μLをステンレス基板(SUS304、25mm×75mm×0.5mm、ヘアライン仕上げ)上に滴下し、室温で3日間放置して乾燥させた。こうして、希釈タンパク液が乾燥して、スポット血液として点着したものをテストピースとした。次いで、各テストピースを水平に置き、スポイドで表1と表2に記載のNo.1,2,4,6,9の染色液を該テストピースのスポット血液上に数滴滴下した。1分経過後、水道水を受けてオーバーフローするビーカーの中に前記各染色液を滴下したテストピースをそれぞれ30秒浸漬した。次いで、前記ビーカーから前記テストピースを取り出し、室温で自然乾燥させた。各テストピースについてスポット血液の色調、染着濃度、染色斑を目視観察した。さらにデジタルマイクロスコープ((株)キーエンス、VHX−600)で倍率25倍に拡大し、試験後のテストピースについて画像観察を行った(図2を参照)。図2より、試験に供した5種類の染色液(No.1,2,4,6,9)の染着性は、いずれも、いずれのスポット血液濃度においてもNo.9の染色液(比較品)と同等であり、差異は認められなかった。また、リンゴ酸を配合した染色液(No.1,2,4)とクエン酸を配合した染色液(No.6)の染着性については、両者ともに差異が認められず、どちらも好適に使用できることが分かった。図2から、試験に供した5種類の染色液(No.1,2,4,6,9)のタンパク質検出感度はいずれも約3.2μgであった。5.増粘剤や界面活性剤を配合した染色液に対する各種評価試験 下記および表3〜5に示す種々の増粘剤を配合した染色液、下記および表6に示す増粘剤と界面活性剤を配合した染色液について、以下の条件で粘度を測定するとともに、ドロップテストを行なった。さらに、各染色液の染色性と臭気について、上述した「1.染色性」と「2.臭気」と同様の方法で評価した。表3〜6に結果を示す。(使用した増粘剤)・ポリアクリル酸(商品名:ハイビスワコー104,和光純薬工業(株))・ポリアクリル酸(商品名:ハイビスワコー105,和光純薬工業(株))・ポリメタクリル酸(試薬:Polyacrylamide,MW10,000,50% solution in water,Polysciens,Inc.,)・ポリアクリルアミド(試薬:Poly(methacrylic Acid),Polysciens,Inc.,)・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:メトローズ60SH−4000,信越化学工業(株))・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:メトローズ60SH−10000,信越化学工業(株))・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:メトローズ90SH−15000,信越化学工業(株))・ヒドロキシエチルセルロース(商品名:HECダイセルSE900,ダイセル化学工業(株))・ポリビニルアルコール(商品名:ポリビニルアルコール P:900〜1000,和光純薬工業(株))・ポリビニルアルコール(商品名:ポリビニルアルコール 80mol%けん化,和光純薬工業(株))(使用した界面活性剤)・ポリオキシエチレントリデシルエーテル(商品名:ファインサーフTD−90,青木油脂工業(株))・ポリオキシエチレントリデシルエーテル(商品名:ファインサーフTD−120,青木油脂工業(株))・ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル(商品名:ブラウノンEH-11,青木油脂工業(株))・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソデシルエーテル(ランダム型)(商品名:ワンダーサーフID-90,青木油脂工業(株))・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー(商品名:プロノン208,日油(株))(粘度測定)粘度計:BL型粘度計(東機産業(株)製)ローター:No.1回転数:60r.p.m.測定温度:25℃測定容器:30mlトールビーカー試料採取量:200ml(ドロップテスト)(1)飛び散り:染色液1gを秤量し、それをスポイドで10cmの高さからステンレス板(SUS304、2B、210mm×295mm×10mm)上に滴下して、滴下した地点の中心から試料飛沫の飛び散った最大距離(cm)をメジャーにて測定した。(2)広がり:上記(1)の条件で染色液を滴下したときに、ステンレス板上に出来たスポットの最大径(cm)を測定した。 (3)スポットの外観:上記(1)の条件で染色液を滴下したときに、ステンレス板上にできた スポットの形を丸型か星型かに大別した。なお、星型とは、丸型以外の形をいう。 まず、表3〜表5の結果を説明する。飛び散りについてNo.18〜No.63の染色液は、いずれもNo.17の染色液(表1のNo.2の染色液と同一処方のもの)に比べて小さい数値を示した。このことから、増粘剤としてポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコールを配合した場合、いずれも飛び散りが抑制されることが分かった。上記のうち、特にヒドロキシプロピルメチルセルロースを配合したNo.36,No.37,No.40〜No.43,No.45〜No.49の染色液とヒドロキシエチルセルロースを配合したNo.51〜No.55の染色液の飛び散りは0(ゼロ)cmとなり、飛び散りが完全になくなるという顕著な効果を示した。また、染色性、臭気については、No.18〜No.63の染色液はいずれも問題はなかった。 次に表6の項目のうち、広がりについては、界面活性剤を配合したすべての染色液(No.65〜No.69,No.71〜No.75,No.77〜No.81)が、界面活性剤を配合しない染色液(No.64,No.70,No.76)よりも大きな数値を示した。上記のうち、特に、No.68,No.71〜No.74,No.78の染色液は広がりが8.0cm以上を示し、特に広がりが良好だった。 本発明は、酢酸が配合されている従来のアミドブラック10染色液の代替品として広く利用可能である。 アミドブラック10B、アルコール及びクエン酸、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸及びグルコン酸からなる群から選択される少なくとも1種の有機酸を含有し、さらに酢酸、シュウ酸、ギ酸、酪酸、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選択される有機酸を含有しないことを特徴とする、医療器具の洗浄評価用染色液。 さらに増粘剤を含有する、請求項1記載の洗浄評価用染色液。 増粘剤が、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸共重合物、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルアルコールから選ばれる少なくとも1種である、請求項2記載の洗浄評価用染色液。 さらにエーテル型ノニオン系界面活性剤を含有する、請求項2または3記載の洗浄評価用染色液。 エーテル型ノニオン系界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(ブロックまたはランダム)ポリマーから選ばれる少なくとも1種である、請求項4記載の洗浄評価用染色液。 使用済み医療器具と請求項1〜5のいずれかに記載の染色液とを接触させる染色工程、該染色工程終了後の医療器具を水洗する水洗工程、及び該水洗工程終了後の医療器具について染色の有無を目視判定する判定工程、を有する請求項1〜5のいずれかに記載の染色液を用いた医療器具の洗浄評価方法。 【課題】 酢酸が配合されている従来の染色液と同程度の染色性を有し、かつ無臭のアミドブラック10B染色液、及びこれを用いた医療器具の洗浄評価方法を提供すること。【解決手段】 染色液は、アミドブラック10B、アルコール及びクエン酸、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸及びグルコン酸からなる群から選択される少なくとも1種の有機酸を含有し、さらに酢酸、シュウ酸、ギ酸、酪酸、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選択される有機酸を含有しない。洗浄評価方法は、使用済み医療器具と前記染色液とを接触させる染色工程、該染色工程終了後の医療器具を水洗する水洗工程、及び該水洗工程終了後の医療器具について染色の有無を目視判定する判定工程、を有する。【選択図】 なし


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特許公報(B2)_医療器具の洗浄評価用染色液

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_医療器具の洗浄評価用染色液
出願番号:2011106608
年次:2015
IPC分類:G01N 1/30,G01N 33/68


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浦岡 慎司 有本 富美子 中塚 里子 石井 諭規 JP 5783791 特許公報(B2) 20150731 2011106608 20110511 医療器具の洗浄評価用染色液 株式会社イヌイメデイックス 304051791 福島 三雄 100085316 向江 正幸 100124947 高崎 真行 100140969 川角 栄二 100161300 塩田 哲也 100171572 浦岡 慎司 有本 富美子 中塚 里子 石井 諭規 JP 2010108866 20100511 20150924 G01N 1/30 20060101AFI20150907BHJP G01N 33/68 20060101ALI20150907BHJP JPG01N1/30G01N33/68 G01N 1/00− 1/44 G01N 33/48−33/98 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 特開昭61−164158(JP,A) 特開2009−075084(JP,A) 特開2001−172141(JP,A) 特開平11−133030(JP,A) 特開2007−178315(JP,A) 特開昭62−194461(JP,A) 特開2006−349354(JP,A) 特開2006−145271(JP,A) 特開2007−212434(JP,A) 原田陽滋、高橋毅,PR9. アミドブラック10Bを使用した、医療器材のボックスロック部と先端把持部の洗浄効果評価方法の検討,医科器械学,2005年,75(10),727-728 4 2011257387 20111222 16 20140508 大塚 裕一 本発明は医療器具の洗浄現場において使用する洗浄評価用染色液、及びこれを利用した医療器具の洗浄評価方法に関するものである。 現在、病院、検査センター、滅菌代行業などの医療関係機関では、日常大量に発生する使用済み医療器具を洗浄、滅菌し繰り返し使用している。これらの医療関係機関での医療器具の洗浄方法としては、手洗浄、恒温槽洗浄、超音波洗浄、ウオッシャー・ディスインフェクター洗浄などがある。これらの洗浄方法で洗浄された医療器具の表面に残留しているタンパク質の検知方法としては、例えば、アミドブラック10B染色液で医療器具表面に付着しているタンパク質を青色に染色する方法が開示されている(特許文献1,2を参照) しかし、従来のアミドブラック10B染色液には酢酸が配合されており臭気が強く、また、医療器具表面における浸透拡散力が少なく、染色液を医療器具に噴霧すると染色液が飛び散るなどの問題があり医療現場では充分に使いこなすことができない。特に病院内の各部所では臭気の発するものは使用できない。特開2009−075084号公報特開2006−349354号公報 本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、酢酸が配合されている従来の染色液と同程度の染色性を有し、かつ無臭のアミドブラック10B染色液、及びこれを用いた医療器具の洗浄評価方法を提供することにある。 本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、アミドブラック10Bと特定の有機酸を含有する染色液を用いることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。〔1〕 アミドブラック10B、アルコール、及びリンゴ酸と、ヒドロキシエチルセルロース、又はヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれた増粘剤とを含有し、前記増粘剤の含有量は、前記増粘剤がヒドロキシエチルセルロースである場合には5〜25重量%、若しくは前記増粘剤がヒドロキシプロピルメチルセルロースである場合には10〜25重量%であり、酢酸、シュウ酸、ギ酸、酪酸、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選択される有機酸を含有しないことを特徴とする、医療器具の洗浄評価用染色液、〔2〕 さらにエーテル型ノニオン系界面活性剤を含有する、前記〔1〕記載の洗浄評価用染色液、〔3〕 エーテル型ノニオン系界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(ブロックまたはランダム)ポリマーから選ばれる少なくとも1種である、前記〔2〕記載の洗浄評価用染色液、〔4〕 使用済み医療器具と前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の染色液とを噴霧、滴下により接触させる染色工程、該染色工程終了後の医療器具を水洗する水洗工程、及び該水洗工程終了後の医療器具について染色の有無を目視判定する判定工程、を有する前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の染色液を用いた医療器具の洗浄評価方法。 本発明によれば、酢酸が配合されている従来の染色液と同程度の染色性を有し、かつ無臭のアミドブラック10B染色液が提供される。本発明の染色液を用いれば、医療関係機関での洗浄評価作業中に臭気が発生しないので、作業環境を無臭に保つことができる。No.1,2,4,6の染色液(本発明品)とNo.9の染色液(比較品)について、染色前後におけるインジケーターのマーカーの色調を示す写真である。5種類の染色液(No.1,2,4,6,9)について、テストピース上のスポット血液の濃度と染色結果を示す写真である。 本発明に係る医療器具の洗浄評価用染色液は、アミドブラック10B、アルコール及び特定の有機酸を含有し、さらに酢酸、シュウ酸、ギ酸、酪酸、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選択される有機酸を含有しない点に特徴を有する。 本発明で使用するアミドブラック10Bはタンパク質を青色に染色しタンパク質の存在を確認する色素であり、その品質は特に限定されないが、通常は試薬特級または一級を使用するのが望ましい。またその含有濃度は特に限定されないが、通常は染色液中0.001〜2重量%である。0.001重量%未満の場合、肉眼で確認するのに充分な着色が得られない場合があり、また2重量%を超える場合、溶解度以上となり色素残渣が染色液に発生する場合がある。 本発明に使用するアルコールは、アミドブラック10Bの溶解性を高め、アミドブラック10Bと後述する特定の有機酸との相溶性を良好にするために用いるものであり、例えば、1価アルコール、多価アルコール、グリコールエーテルなどが挙げられる。これらのうち、低粘度であり、臭気の少ない点でメタノール、エタノールが特に好ましい。 本発明に使用する特定の有機酸は、染色液のpHを1.0〜4.0の酸性に保ちアミドブラック10Bとタンパク質の反応を促進し染着性を強固にするものである。また、その他の性質として、揮発性が少ないこと、刺激性がないこと(すなわち臭気がないこと)、医療器具の材質(主にステンレス材)を短時間で腐食させないこと、さらに人体への安全性が高い食品添加物認可のものが好ましい。上記のうち、特に酢酸を使用した場合と同程度の染色性を有し、臭気がないものとして、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、グルコン酸が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。上記有機酸の含有濃度は特に限定されないが、通常は染色液中0.01〜30重量%である。0.01重量%未満の場合、アミドブラック10Bのタンパク質への染着性が充分でない場合があり、また医療器具に付着したアルカリ性共雑物の影響を受けやすくなる。30重量%を超える場合、染色濃度が上がらずコスト負担が大きくなる。 本発明に係る染色液は、酢酸、シュウ酸、ギ酸、酪酸、アクリル酸、メタクリル酸などの刺激臭の強い有機酸を含有させない。 以上、本発明の染色液は、アミドブラック10B、アルコール及び特定の有機酸を含有し、上記刺激臭の強い有機酸を含有しないものであるが、必要に応じて界面活性剤、増粘剤、その他この分野で通常使用される添加剤を含有させることもできる。 界面活性剤は、本発明の染色液を医療器具表面に噴霧、滴下などにより接触させたときに、染色液と医療器具表面との界面張力を小さくすることにより浸透性、濡れ性、医療器具表面への拡散性が良くなり、より精度の高いタンパク質検知性能を発揮させるものである。本発明に使用し得る界面活性剤は、染色液が酸性域にあることからアニオン系界面活性剤は使用できない。また、アミドブラック10Bが酸性色素であることからカチオン系界面活性剤も使用できない。また、染色液は酸性域にあることからエステル型ノニオン系界面活性剤は加水分解を受ける可能性があり使用できない。上記の事情から、本発明に使用し得る界面活性剤はエーテル型ノニオン系界面活性剤に限定される。エーテル型ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(ブロックまたはランダム)ポリマーなどが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。アルキル基の炭素数は10〜18が好ましく、エチレンオキサイド、プロキレンオキサイドの付加モル数はいずれも4〜120の範囲が好ましい。 増粘剤は、本発明の染色液を医療器具表面に噴霧、滴下などにより接触させたときに、染色液が医療器具表面から飛び散るのを防止するために用いられる。増粘剤を配合した場合の染色液の粘度は通常3.0〜50 mPa・sであり、3.5〜30 mPa・sが好ましく、4.0〜13 mPa・sがさらに好ましい。すなわち、医療器具表面から染色液の飛び散りを防止するために、染色液の粘度は水そのものの粘度に比べて極端に大きくする必要はなく、上記の範囲で十分である。増粘剤は高濃度の上記有機酸とアルコールに安定的に混合できることが必要である。本発明に使用し得る増粘剤としては、例えば、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸共重合物、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコールなどが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。 本発明の染色液の具体的な調製方法は特に限定されないが、例えば以下の方法が挙げられる。すなわち、アミドブラック10Bとアルコールを所定量混合し、攪拌下に溶解してA液とし、上記特定の有機酸と精製水を所定量混合し、攪拌下に溶解してB液とし、次いでA液とB液を所定量混合し、攪拌下に溶解することで、pHが1.0〜4.0の本発明の染色液が得られる。なお、添加剤として界面活性剤および/または増粘剤を含有させる場合は、B液の構成成分として上記方法に準じて調製することができる。 このようにして調製される染色液は、酢酸が配合されている従来の染色液のように作業中に刺激臭を生じることがなく無臭であり、タンパク質に対する染色感度も従来の染色液と同程度に優れたものである。また、貯蔵安定性にも優れている。 本発明に係る医療器具の洗浄評価方法は、上記染色液を用いる方法であって、(1)使用済み医療器具と上記染色液とを接触させる染色工程、(2)該染色工程終了後の医療器具を水洗する水洗工程、及び(3)該水洗工程終了後の医療器具について染色の有無を目視判定する判定工程、を有する。 染色工程で洗浄評価の対象とされる医療器具は、医療機関で使用された医療器具であって、通常は洗浄後のものである。また、比較として洗浄前の医療器具を評価対象に含めてもよい。染色工程で本発明の染色液を用いる場合、次のいずれかの方法が採用される。すなわち、医療器具に染色液を噴霧(スプレー)する方法、医療器具に染色液を滴下する方法、医療器具を染色液に浸漬させる方法である。上記のうちいずれを採用するかは医療器具の種類、数などに応じて適宜決めることができる。いずれの方法においても、医療器具と染色液との接触条件は、室温下で1〜5分程度で足りる。水洗工程では、染色工程終了後の医療器具を水中(好ましくは流水中)に1〜5分程度浸漬させる。水洗工程終了後、医療器具を取り出し、医療器具表面の色調を目視観察する。この際、医療器具表面が青色に染色されていないと認められれば、洗浄が良好と評価し、医療器具表面が青色に染色されていると認められれば、洗浄が不良と評価する。 このように、本発明に係る医療器具の洗浄評価方法は簡易な工程で、短時間で行うことができ、しかも上記工程中に臭気は発生せず作業環境を無臭に保つことができる。 以下、本発明の実施例および比較例についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。1.染色性 ステンレス基板(SUS304、25mm×75mm×0.5mm、ヘアライン仕上げ)上にマーカーとして羊血などのタンパク質を2ヶ所点着させた16枚の洗浄評価インジケーター((株)イヌイメデイックス、商品名:ピュアチェック(登録商標))を水平に置き、各インジケーターのマーカー上に表1と表2に示す染色液(表1のNo.1〜No.8は染色液(本発明品)、表2のNo.9〜No.16は染色液(比較品))をスポイドで数滴滴下した。1分経過後、水道水を受けてオーバーフローするビーカーの中に前記各染色液を滴下したインジケーターをそれぞれ1分浸漬した。次いで、前記ビーカーから前記インジケーターを取り出し、自然乾燥させた。乾燥終了後、各インジケーターについてマーカーの色調、染着濃度、染色斑を目視観察した。 表1と表2に「外観(色調)」と称する項目で各インジケーターのマーカーの色調を記載した。 染色性の評価は、酢酸を配合した比較染色液(No.9〜No.12)を滴下したインジケーターについて得られた結果を基準として、以下のように行った。・No.9〜No.12の比較染色液と比べて明らかに染色性が優れると認められた場合。表1と表2の「染色性」と称する項目に「◎」で明記。・No.9〜No.12の比較染色液と同程度の染色性が認められた場合。表1と表2の「染色性」と称する項目に「○」で明記。・No.9〜No.12の比較染色液と比べて明らかに染色性が悪いと認められた場合。表1と表2の「染色性」と称する項目に「×」で明記。2.臭気 前記「1.染色性」の試験において、各染色液を各インジケーターのマーカー上に滴下したときの臭気を嗅いだ。臭気の評価は以下のように行った。・臭気が認められなかった場合。表1と表2の「臭気」と称する項目に「なし」と明記。・少し臭気が認められた場合。表1と表2の「臭気」と称する項目に「刺激臭」と明記。・No.9〜No.12の比較染色液と同程度の臭気が認められた場合。表1と表2の「臭気」と称する項目に「刺激臭強」と明記。3.貯蔵安定性 表1と表2に示す各染色液をそれぞれ300mlのポリエチレン製容器に入れ、室温(17℃)で24時間保管し、結晶の析出の有無を目視観察するとともに、−15℃に設定した冷凍庫の中で24時間保管し、結晶の析出の有無を目視観察した。・結晶の析出が認められなかった場合、表1と表2の「液安定性(17℃)」、「液安定性(−15℃)」と称する項目に「○」と明記。・結晶の析出が認められた場合、表1と表2の「液安定性(17℃)」、「液安定性(−15℃)」と称する項目に「×」と明記。 表1と表2の結果から、No.1〜No.8の染色液(本発明品)の染色性は、いずれもNo.9〜No.12の染色液(比較品)と同程度に優れることが分かった。代表例として図1にNo.1,2,4,6の染色液(本発明品)とNo.9の染色液(比較品)について、染色前後に撮影した写真を示す。臭気については、No.1〜No.8の染色液(本発明品)は臭気が認められず、No.9〜No.16の染色液(比較品)はいずれも刺激臭が強いことが認められた。貯蔵安定性については、No.1〜No.16のいずれの染色液についても結晶の析出は認められなかった。4.染色液のタンパク質検出感度 羊血((株)日本生物材料センター、NSN−羊全血液へパリン処理)に硫酸プロタミン1重量%水溶液を10重量%添加したタンパク基準液にイオン交換水を添加して 3.2,6.3,25,50,100,200μg/10μLの希釈タンパク液を調製した。ピペットで各希釈タンパク液10μLをステンレス基板(SUS304、25mm×75mm×0.5mm、ヘアライン仕上げ)上に滴下し、室温で3日間放置して乾燥させた。こうして、希釈タンパク液が乾燥して、スポット血液として点着したものをテストピースとした。次いで、各テストピースを水平に置き、スポイドで表1と表2に記載のNo.1,2,4,6,9の染色液を該テストピースのスポット血液上に数滴滴下した。1分経過後、水道水を受けてオーバーフローするビーカーの中に前記各染色液を滴下したテストピースをそれぞれ30秒浸漬した。次いで、前記ビーカーから前記テストピースを取り出し、室温で自然乾燥させた。各テストピースについてスポット血液の色調、染着濃度、染色斑を目視観察した。さらにデジタルマイクロスコープ((株)キーエンス、VHX−600)で倍率25倍に拡大し、試験後のテストピースについて画像観察を行った(図2を参照)。図2より、試験に供した5種類の染色液(No.1,2,4,6,9)の染着性は、いずれも、いずれのスポット血液濃度においてもNo.9の染色液(比較品)と同等であり、差異は認められなかった。また、リンゴ酸を配合した染色液(No.1,2,4)とクエン酸を配合した染色液(No.6)の染着性については、両者ともに差異が認められず、どちらも好適に使用できることが分かった。図2から、試験に供した5種類の染色液(No.1,2,4,6,9)のタンパク質検出感度はいずれも約3.2μgであった。5.増粘剤や界面活性剤を配合した染色液に対する各種評価試験 下記および表3〜5に示す種々の増粘剤を配合した染色液、下記および表6に示す増粘剤と界面活性剤を配合した染色液について、以下の条件で粘度を測定するとともに、ドロップテストを行なった。さらに、各染色液の染色性と臭気について、上述した「1.染色性」と「2.臭気」と同様の方法で評価した。表3〜6に結果を示す。(使用した増粘剤)・ポリアクリル酸(商品名:ハイビスワコー104,和光純薬工業(株))・ポリアクリル酸(商品名:ハイビスワコー105,和光純薬工業(株))・ポリメタクリル酸(試薬:Polyacrylamide,MW10,000,50% solution in water,Polysciens,Inc.,)・ポリアクリルアミド(試薬:Poly(methacrylic Acid),Polysciens,Inc.,)・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:メトローズ60SH−4000,信越化学工業(株))・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:メトローズ60SH−10000,信越化学工業(株))・ヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名:メトローズ90SH−15000,信越化学工業(株))・ヒドロキシエチルセルロース(商品名:HECダイセルSE900,ダイセル化学工業(株))・ポリビニルアルコール(商品名:ポリビニルアルコール P:900〜1000,和光純薬工業(株))・ポリビニルアルコール(商品名:ポリビニルアルコール 80mol%けん化,和光純薬工業(株))(使用した界面活性剤)・ポリオキシエチレントリデシルエーテル(商品名:ファインサーフTD−90,青木油脂工業(株))・ポリオキシエチレントリデシルエーテル(商品名:ファインサーフTD−120,青木油脂工業(株))・ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル(商品名:ブラウノンEH-11,青木油脂工業(株))・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンイソデシルエーテル(ランダム型)(商品名:ワンダーサーフID-90,青木油脂工業(株))・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー(商品名:プロノン208,日油(株))(粘度測定)粘度計:BL型粘度計(東機産業(株)製)ローター:No.1回転数:60r.p.m.測定温度:25℃測定容器:30mlトールビーカー試料採取量:200ml(ドロップテスト)(1)飛び散り:染色液1gを秤量し、それをスポイドで10cmの高さからステンレス板(SUS304、2B、210mm×295mm×10mm)上に滴下して、滴下した地点の中心から試料飛沫の飛び散った最大距離(cm)をメジャーにて測定した。(2)広がり:上記(1)の条件で染色液を滴下したときに、ステンレス板上に出来たスポットの最大径(cm)を測定した。 (3)スポットの外観:上記(1)の条件で染色液を滴下したときに、ステンレス板上にできた スポットの形を丸型か星型かに大別した。なお、星型とは、丸型以外の形をいう。 まず、表3〜表5の結果を説明する。飛び散りについてNo.18〜No.63の染色液は、いずれもNo.17の染色液(表1のNo.2の染色液と同一処方のもの)に比べて小さい数値を示した。このことから、増粘剤としてポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコールを配合した場合、いずれも飛び散りが抑制されることが分かった。上記のうち、特にヒドロキシプロピルメチルセルロースを配合したNo.36,No.37,No.40〜No.43,No.45〜No.49の染色液とヒドロキシエチルセルロースを配合したNo.51〜No.55の染色液の飛び散りは0(ゼロ)cmとなり、飛び散りが完全になくなるという顕著な効果を示した。また、染色性、臭気については、No.18〜No.63の染色液はいずれも問題はなかった。 次に表6の項目のうち、広がりについては、界面活性剤を配合したすべての染色液(No.65〜No.69,No.71〜No.75,No.77〜No.81)が、界面活性剤を配合しない染色液(No.64,No.70,No.76)よりも大きな数値を示した。上記のうち、特に、No.68,No.71〜No.74,No.78の染色液は広がりが8.0cm以上を示し、特に広がりが良好だった。 本発明は、酢酸が配合されている従来のアミドブラック10染色液の代替品として広く利用可能である。 アミドブラック10B、アルコール、及びリンゴ酸と、 ヒドロキシエチルセルロース、又はヒドロキシプロピルメチルセルロースから選ばれた増粘剤とを含有し、 前記増粘剤の含有量は、前記増粘剤がヒドロキシエチルセルロースである場合には5〜25重量%、若しくは前記増粘剤がヒドロキシプロピルメチルセルロースである場合には10〜25重量%であり、 酢酸、シュウ酸、ギ酸、酪酸、アクリル酸及びメタクリル酸からなる群から選択される有機酸を含有しないことを特徴とする、医療器具の洗浄評価用染色液。 さらにエーテル型ノニオン系界面活性剤を含有する、請求項1に記載の洗浄評価用染色液。 エーテル型ノニオン系界面活性剤が、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル及びポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(ブロックまたはランダム)ポリマーから選ばれる少なくとも1種である、請求項2記載の洗浄評価用染色液。 使用済み医療器具と請求項1〜3のいずれかに記載の染色液とを噴霧、滴下により接触させる染色工程、該染色工程終了後の医療器具を水洗する水洗工程、及び該水洗工程終了後の医療器具について染色の有無を目視判定する判定工程、を有する請求項1〜3のいずれかに記載の染色液を用いた医療器具の洗浄評価方法。


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