生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_チタン錯体、酸化チタン粒子およびその製造方法
出願番号:2011086371
年次:2011
IPC分類:C07C 59/01,C01G 23/00,C07F 7/28


特許情報キャッシュ

畠山 義治 福岡 孝博 福▲崎▼ 沙織 長瀬 純一 柴田 周作 長塚 辰樹 JP 2011236203 公開特許公報(A) 20111124 2011086371 20110408 チタン錯体、酸化チタン粒子およびその製造方法 日東電工株式会社 000003964 岡本 寛之 100103517 宇田 新一 100149607 畠山 義治 福岡 孝博 福▲崎▼ 沙織 長瀬 純一 柴田 周作 長塚 辰樹 JP 2010091577 20100412 C07C 59/01 20060101AFI20111028BHJP C01G 23/00 20060101ALI20111028BHJP C07F 7/28 20060101ALN20111028BHJP JPC07C59/01C01G23/00C07F7/28 F 9 OL 12 4G047 4H006 4H049 4G047CA10 4G047CB05 4G047CC03 4H006AA01 4H006AC90 4H006BB14 4H006BB31 4H006BE14 4H006BE32 4H006BN10 4H006BS70 4H049VN05 4H049VP01 4H049VQ25 4H049VR44 4H049VV05 4H049VV20 4H049VW02 本発明は、チタン錯体、酸化チタン粒子およびその製造方法、詳しくは、酸化チタン粒子の製造方法、その製造方法に用いられるチタン錯体、および、その製造方法により調製される酸化チタン粒子に関する。 従来、各種産業製品に用いられる酸化チタン粒子は、有機溶媒中などにおいて調製されることが知られている。一方、近年の環境負荷低減の観点から、有機溶媒などと比較して、環境負荷の小さい水中において、酸化チタン粒子を調製する方法が種々検討されている。 このような酸化チタンの製造方法としては、例えば、グリコール酸を配位子として含有するチタン錯体を、高温高圧の水中下で処理することにより、酸化チタン粒子を調製する酸化チタン粒子の製造方法が提案されている(例えば、非特許文献1参照。)。Koji Tomita et al.、「A Water−Soluble Titanium Complex for the Selective Synthesis of Nanocrystalline Brookite,Rutile,and Anatase by a Hydrothermal Method」、Angewandte Chemie Int.Ed.、2006年、第45巻、p.2378−2381 しかるに、酸化チタン粒子は、通常白色であるが、非特許文献1に記載の酸化チタン粒子の製造方法により調製される酸化チタン粒子は、高温高圧の水中下においてチタン錯体の配位子が分解されるため、その配位子分解物(グリコール酸分解物)により、着色(茶色)している。 また、調製される酸化チタン粒子がナノサイズの場合には、チタン錯体の製造において残存した水溶性の配位子(グリコール酸)と酸化チタン粒子とを分離することが非常に困難である。 そのため、そのような酸化チタン粒子を光学用途などに用いる場合、酸化チタン粒子の着色(配位子分解物)や残存した配位子を除去する必要があり、酸化チタン粒子の製造作業が煩雑となる。 そこで、本発明は、環境負荷の低減を図ることができ、かつ、酸化チタン粒子の着色の低減を図ることができる酸化チタン粒子の製造方法、その製造方法において用いることのできるチタン錯体、および、その製造方法により調製される酸化チタン粒子を提供することにある。 上記目的を達成するために、本発明のチタン錯体は、チタン原子を中心原子として含有し、総炭素数7以上のヒドロキシカルボン酸を配位子として含有することを特徴としている。 また、本発明では、前記ヒドロキシカルボン酸は、総炭素数7以上のヒドロキシアルカン酸であることが好適である。 また、本発明では、前記ヒドロキシアルカン酸は、直鎖状であることが好適である。 また、本発明では、前記ヒドロキシカルボン酸は、ヒドロキシモノカルボン酸であることが好適である。 また、本発明では、前記ヒドロキシカルボン酸は、モノヒドロキシカルボン酸であることが好適である。 また、本発明では、前記ヒドロキシカルボン酸の総炭素数が、13以下であることが好適である。 また、本発明では、前記ヒドロキシカルボン酸が、2−ヒドロキシカルボン酸および/または3−ヒドロキシカルボン酸であることが好適である。 また、本発明の酸化チタン粒子は、上記のチタン錯体を、高温高圧の水中下において、処理することにより得られることを特徴としている。 また、本発明の酸化チタン粒子の製造方法では、上記のチタン錯体を、高温高圧の水中下において、処理することを特徴としている。 本発明のチタン錯体は、総炭素数7以上のヒドロキシカルボン酸を配位子として含有している。そのため、高温高圧の水中下において酸化チタン粒子を調製しても、配位子の分解が抑制され、酸化チタン粒子の着色を低減することができる。 したがって、本発明によれば、環境負荷の低減を図ることができながら、酸化チタン粒子の着色の低減を図ることができる。 本発明のチタン錯体は、中心原子としてチタン原子を含有し、配位子として総炭素数7以上のヒドロキシカルボン酸を含有している。 チタン原子は、原子番号22の遷移元素であって、例えば、4価のチタン原子が挙げられる。 ヒドロキシカルボン酸は、カルボキシル基と水酸基とを含有する、総炭素数7以上の有機化合物であって、例えば、ヒドロキシアルカン酸、ヒドロキシアルケン酸、ヒドロキシアルキン酸などの飽和または不飽和の総炭素数7以上のヒドロキシカルボン酸が挙げられる。 また、このようなヒドロキシカルボン酸の総炭素数は、好ましくは、8以上、例えば、16以下、好ましくは、13以下である。 また、このようなヒドロキシカルボン酸が含有するカルボキシル基数は、例えば、1〜3、好ましくは、1、水酸基数が、例えば、1〜3、好ましくは、1である。 つまり、このようなヒドロキシカルボン酸のなかでは、好ましくは、ヒドロキシモノカルボン酸およびモノヒドロキシカルボン酸が挙げられ、さらに好ましくは、モノヒドロキシモノカルボン酸が挙げられる。 また、このようなヒドロキシカルボン酸のなかでは、好ましくは、飽和のヒドロキシアルカン酸が挙げられ、具体的には、例えば、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸、ヒドロキシノナン酸、ヒドロキシデカン酸、ヒドロキシウンデカン酸、ヒドロキシドデカン酸、ヒドロキシトリデカン酸、ヒドロキシテトラデカン酸、ヒドロキシペンタデカン酸、ヒドロキシヘキサデカン酸などの炭素数7〜16の直鎖状のヒドロキシアルカン酸、例えば、ヒドロキシ3−エチルヘキサン酸、ヒドロキシ4−エチルヘプタン酸、ヒドロキシ3−エチルオクタン酸などの炭素数7〜16の分岐状のヒドロキシアルカン酸などが挙げられる。このようなヒドロキシアルカン酸のなかでは、好ましくは、直鎖状のヒドロキシアルカン酸が挙げられる。 すなわち、このようなヒドロキシカルボン酸のなかで、とりわけ好ましくは、2−ヒドロキシアルカン酸(α−ヒドロキシアルカン酸)、3−ヒドロキシアルカン酸(β−ヒドロキシアルカン酸)などの総炭素数7〜13のモノヒドロキシモノアルカン酸が挙げられ、具体的には、2−ヒドロキシオクタン酸、3−ヒドロキシデカン酸が挙げられる。 このような総炭素数7〜13のモノヒドロキシモノアルカン酸は、チタン錯体を構成する配位子として活用でき、さらに、このようなモノヒドロキシモノアルカン酸を配位子として含有するチタン錯体は、総炭素数6以下のヒドロキシカルボン酸を配位子として含有するチタン錯体よりも、耐熱性の向上(180℃以上)を図ることができる。 このようなチタン錯体は、チタン原子に、総炭素数7以上のヒドロキシカルボン酸を、反応させることにより調製される。 このようなチタン錯体を調製するには、まず、チタン原子を含有する物質を、過酸化水素水とアルカリ性水溶液との混合溶液に溶解して、不安定なペルオキソチタン錯体水溶液を調製する。 チタン原子を含有する物質としては、特に制限されず、例えば、チタン粒子、チタン粉末などが挙げられる。 このようなチタン粒子およびチタン粉末の大きさ(平均粒子径)は、特に限定されない。 このようなチタン粒子は、例えば、市販品(和光純薬工業社製)を用いることもできる。 過酸化水素水は、過酸化水素(H2O2)が水に溶解した溶液であって、その濃度は、例えば、10〜50体積%、好ましくは、20〜40体積%である。 アルカリ性水溶液としては、例えば、アンモニア(NH3)を水に溶解したアンモニア水、例えば、アミン類などの塩基性有機化合物を水に溶解した有機塩基水溶液、例えば、炭酸水素ナトリウムなどの塩基性無機化合物を水に溶解した無機塩基水溶液などが挙げられる。 このようなアルカリ性水溶液は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。 また、このようなアルカリ性水溶液のなかでは、好ましくは、アンモニア水が挙げられる。このようなアンモニア水の濃度は、例えば、1〜45質量%、好ましくは、5〜40質量%、さらに好ましくは、10〜35質量%である。 そして、過酸化水素水とアルカリ性水溶液との混合溶液は、その配合割合(過酸化水素水:アルカリ性水溶液)が、例えば、3:7〜9:1、好ましくは、5:5〜9:1、さらに好ましくは、6:4〜9:1である。 このような混合溶液のpHは、例えば、6以上、好ましくは、7〜14、さらに好ましくは、9〜14である。 チタン原子を含有する物質を、このような混合溶液に溶解するには、例えば、混合溶液にチタン原子を含有する物質を加えて、所定時間攪拌する。 チタン原子を含有する物質の添加割合は、過酸化水素水100mlに対して、例えば、0.5〜5g、好ましくは、1〜3g、混合溶液100mlに対して、例えば、0.5〜5g、好ましくは、1〜2gである。 攪拌条件としては、温度が、例えば、−15〜80℃、好ましくは、−10〜50℃、さらに好ましくは、−5〜25℃、時間が、例えば、0.1〜24時間、好ましくは、1〜10時間、さらに好ましくは、1〜5時間である。 以上によって、チタン原子を含有する物質が、混合溶液に溶解され、ペルオキソチタン錯体水溶液が調製される。 詳しくは、ペルオキソチタン錯体水溶液は、チタン原子と過酸化水素(H2O2)とが反応して形成されるペロオキソチタン錯体を含有する。 次いで、ペルオキソチタン錯体水溶液に、上記した総炭素数7以上のヒドロキシカルボン酸を混合し、チタン錯体含有溶液を調製する。 上記したヒドロキシカルボン酸をペルオキソチタン錯体水溶液に混合するには、例えば、上記したヒドロキシカルボン酸を溶媒に溶解し、ヒドロキシカルボン酸溶液を調製して、ヒドロキシカルボン酸溶液とペルオキソチタン錯体水溶液とを混合し攪拌する。そして、攪拌後、必要により、例えば、10〜40時間静置する。 溶媒は、ヒドロキシカルボン酸を溶解できれば、特に制限されず、例えば、水、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール類、例えば、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類などが挙げられる。 このような溶媒は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。 このような溶媒のなかでは、好ましくは、アルコール類が挙げられる。 ヒドロキシカルボン酸溶液の濃度は、例えば、0.1〜80質量%、好ましくは、1〜50質量%、さらに好ましくは、5〜30質量%である。 ヒドロキシカルボン酸溶液の混合割合は、ペルオキソチタン錯体水溶液100mlに対して、例えば、10〜100ml、好ましくは、20〜80ml、さらに好ましくは、30〜60mlである。 ヒドロキシカルボン酸の混合割合は、チタン原子を含有する物質1molに対して、例えば、1〜6mol、好ましくは、1〜5mol、さらに好ましくは、1〜4molである。 ヒドロキシカルボン酸の混合割合が、チタン原子を含有する物質1molに対して、1mol未満であると、配位子が不足することでチタン錯体を形成できずに、配位子(ヒドロキシカルボン酸)と、錯体を形成しないチタン原子とを含む副生成物が残留する場合があり、その副生成物を含むチタン錯体からは、所望する酸化チタン粒子を得られない場合がある。また、ヒドロキシカルボン酸の混合割合が、チタン原子を含有する物質1molに対して、6molを超過すると、過剰のヒドロキシカルボン酸が、多くなり、無駄になるのでコストの面から不適となる場合がある。また、この場合、酸化チタン粒子の製造工程において残存した過剰のヒドロキシカルボン酸を除去する必要があり、製造作業が煩雑となる。一方、ヒドロキシカルボン酸の混合割合が、上記範囲内であると、酸化チタン粒子の製造効率の向上を図ることができる。 攪拌条件としては、温度が、例えば、0〜80℃、好ましくは、5〜70℃、さらに好ましくは、10〜60℃、時間が、例えば、0.1〜24時間、好ましくは、0.5〜10時間、さらに好ましくは、1〜5時間である。そして、攪拌後、必要により、例えば、10〜40時間静置する。 このように、ヒドロキシカルボン酸とペルオキソチタン錯体水溶液とが混合し攪拌されることにより、ヒドロキシカルボン酸と、ペルオキソチタン錯体水溶液に含有されるペロオキソチタン錯体とが反応して、チタン錯体が形成される。よって、チタン錯体を含有するチタン錯体含有溶液が調製される。 次いで、得られたチタン錯体含有溶液を、乾燥してチタン錯体を調製する。 乾燥方法としては、特に限定されないが、公知の真空乾燥、スプレードライ、フリーズドライなどの方法が挙げられる。例えば、乾燥機などにより温度を上昇し、溶媒を乾燥させて、チタン錯体を調製する。 乾燥条件としては、溶媒を除去することができれば、特に制限されないが、温度が、例えば、50〜100℃、好ましくは、60〜90℃、時間が、0.1〜48時間、好ましくは、0.5〜24時間、さらに好ましくは、1〜10時間である。 以上によって、チタン錯体が調製される。 このようなチタン錯体の配位数は、チタン原子1つに対して、例えば、1〜6、好ましくは、2〜4である。なお、配位数は、例えば、マトリックス支援レーザー脱離イオン化法(MALDI)−飛行時間型(TOF)質量分析器(MS)などの質量分析器などにより分析することができる。 また、チタン錯体の収率は、使用したチタン原子を含有する物質に対して、例えば、60〜100mol%、好ましくは、80〜100mol%である。 このように調製されたチタン錯体の用途は特に限定されないが、例えば、熱分解により、酸化チタン粒子が製造される。具体的には、例えば、水中において高温高圧処理すること(水熱合成)により、酸化チタン粒子が製造される。 酸化チタン粒子を製造するには、まず、チタン錯体と水とを反応器に仕込む。 チタン錯体の仕込割合は、水100質量部に対して、例えば、5〜40質量部、好ましくは、10〜30質量部である。 反応器としては、公知の高圧反応器(オートクレーブ)、連続式高圧反応器が挙げられる。 このような高圧反応器(オートクレーブ)としては、例えば、市販品(AKICO社製)を用いることができる。また、このような連続式高圧反応器としては、例えば、市販品(ITEC社製)を用いることができる。 そして、反応器内を高温高圧条件とすることにより、酸化チタン粒子が製造される(水熱合成)。 水熱合成における反応条件は、具体的には、加熱温度が、例えば、100〜600℃、好ましくは、200〜500℃である。また、圧力が、例えば、0.2〜50MPa、好ましくは、1〜50MPa、さらに好ましくは、5〜50MPaである。また、反応時間が、例えば、1〜200分間、好ましくは、3〜150分間である。連続式反応器を用いた場合には、例えば、1分以下である。 上記の水熱合成において、得られる反応物は、主に水中に沈殿する沈殿物と、密閉容器の内壁に付着する付着物とを含んでいる。 沈殿物の分離回収方法は、特に限定されず、公知の分液ロートを用いた方法、フィルターを用いたろ過、遠心分離などを用いた方法などが挙げられる。このような方法によって、分離回収することが可能である。例えば、反応物を、重力または遠心力場によって、沈降させる沈降分離によって得る。好ましくは、遠心力場によって沈降させる遠心沈降(遠心分離)によって、反応物の沈殿物として得られる。 また、付着物は、例えば、へら(スパ−テル)などによって、回収する。 なお、反応物は、溶媒を加えて未反応のヒドロキシカルボン酸を洗浄し(つまり、ヒドロキシカルボン酸を溶媒に溶解させ)、その後、溶媒を除去して、回収(分離)することもできる。 溶媒としては、例えば、上記した溶媒が挙げられる。 このような溶媒は、単独で使用してもよく、あるいは、併用することもできる。 このような溶媒のなかでは、好ましくは、アルコール類が挙げられる。 洗浄後における反応物は、例えば、濾過、デカンテーションなどによって、溶媒(上澄み液)から分離され回収される。その後、必要に応じて、反応物を、例えば、加熱または気流などにより乾燥する。 以上により、チタン錯体から酸化チタン粒子が調製される。 このような酸化チタン粒子は、その結晶構造が、例えば、アナターゼ型(正方晶)、ルチル型(正方晶)、ブルサイト型(斜方晶)である。結晶構造は、XRD(X線回折)や、TEM(透過型電子顕微鏡)による電子線回折により決定できる。 このような結晶構造は、特に限定されず、配位子の種類や酸化チタンの合成条件を変更することにより、適宜選択することが可能である。例えば、高屈折率の光学材料として用いる場合、好ましくは、ルチル型であり、また光触媒機能を発現する触媒材料として用いる場合、好ましくは、アナターゼ型である。 このような本発明の酸化チタン粒子は、上記したように、総炭素数7以上のヒドロキシルカルボン酸を配位子として含有するチタン錯体を、高温高圧の水中下において処理することにより調製される。 このとき、チタン錯体の配位子が総炭素数7以上のヒドロキシルカルボン酸であるため、高温高圧の水中下においても、配位子の分解が抑制されるので、調製される酸化チタン粒子の着色を低減することができる。 したがって、本発明によれば、環境負荷の低減を図ることができながら、酸化チタン粒子の着色の低減を図ることができる。 本発明の酸化チタン粒子の用途としては、例えば、各種産業製品が挙げられ、好ましくは、着色が低減されていることから、光学用途などが挙げられる。 以下に実施例、比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、それらに限定されない。 なお、チタン錯体の評価方法を以下に記載する。<評価方法>(1)MALDI−TOF MS測定 (測定装置) ・BRUKER DALTONICS社製 autoflex(測定条件) ・レーザー光源:N2レーザー(波長:337nm) ・測定モード:リフレクターモード、ネガティブイオンモード ・測定質量範囲(m/z):20〜3000 ・積算回数:1500回 ・マトリックス:Meso−tetrakis−(pentafluorophenyl)−porphyrin <チタン錯体の調製> 実施例1 (配位子が2−ヒドロキシオクタン酸であるチタン錯体の調製) 500mLのビーカーに、30体積%過酸化水素水100mL(和光純薬工業社製)と、25質量%アンモニア水(和光純薬工業社製)25mLとを氷冷下で混合した。そして、それらにチタン粒子(和光純薬工業社製)1.5gを加え、完全に溶解するまで氷冷下で3時間攪拌した。次に、エタノール50mLに溶解させた2−ヒドロキシオクタン酸15.5g(チタン粒子:2−ヒドロキシオクタン酸=1:1.5(モル比))を加え攪拌した。全ての成分が溶解した後、攪拌を止め一昼夜静置した。その後、乾燥機において75℃で3時間乾燥させることにより、水溶性のチタン錯体を得た。 得られた水溶性のチタン錯体について、MALDI−TOF MS測定を、実施した。その結果、得られたチタン錯体が、下記化学式(1)および下記化学式(2)に示す2種類のチタン錯体混合物であることを同定した。 一般式(1): 一般式(2): 実施例2 (配位子が3−ヒドロキシデカン酸であるチタン錯体の調製) 2−ヒドロキシオクタン酸15.5gに代えて、3−ヒドロキシデカン酸18.2g(チタン粒子:3−ヒドロキシデカン酸=1:1.5(モル比))を加えた以外は、実施例1と同様に処理して、水溶性のチタン錯体を得た。 比較例1 (配位子がリンゴ酸であるチタン錯体の調製) 2−ヒドロキシオクタン酸15.5gに代えて、リンゴ酸13.0g(チタン粒子:リンゴ酸=1:1.5(モル比))を加えた以外は、実施例1と同様に処理して、水溶性のチタン錯体を得た。 比較例2 (配位子がグリコール酸であるチタン錯体の調製) 2−ヒドロキシオクタン酸15.5gに代えて、グリコール酸7.2g(チタン粒子:グリコール酸=1:1.5(モル比))を加えた以外は、実施例1と同様に処理して、水溶性のチタン錯体を得た。 <酸化チタン粒子の調製> 実施例3 5mLの高圧反応器(AKICO社製)に、実施例1で調製したチタン錯体0.5gと水2.3gとを仕込んだ。次いで、高圧反応器の蓋を締め、振とう式加熱炉(AKICO社製)にて、チタン錯体と水とを、400℃、40MPa下において10分間処理した。その後、高圧反応器を冷水中に投入することによって、急速冷却した。 次いで、エタノール(和光純薬工業社製)を加えて攪拌し、遠心機(商品名:MX−301、トミー精工社製)にて、12000Gで20分間遠心分離して、沈殿物(反応物)を上澄みから分離した(洗浄工程)。この洗浄操作を5回繰り返した。 その後、沈殿物中のエタノールを80℃で加熱乾燥して、淡黄白色のルチル型の酸化チタン粒子(TiO2)を得た。 実施例4 実施例1で調製したチタン錯体に代えて、実施例2で調製したチタン錯体を用いた以外は、実施例3と同様にして、淡黄白色のルチル型の酸化チタン粒子(TiO2)を得た。 比較例3 実施例1で調製したチタン錯体に代えて、比較例1で調製したチタン錯体を用いた以外は、実施例3と同様にして、茶色の酸化チタン粒子(TiO2)を得た。 比較例4 実施例1で調製したチタン錯体に代えて、実施例4で調製したチタン錯体を用いた以外は、実施例3と同様にして、茶色の酸化チタン粒子(TiO2)を得た。 比較例5 実施例1で調製したチタン錯体に代えて、チタンぺロキソクエン酸アンモニウム四水和物(商品名:TAS−FINE、フルウチ化学株式会社)を用いた以外は、実施例3と同様にして、茶色の酸化チタン粒子(TiO2)を得た。 チタン原子を中心原子として含有し、 総炭素数7以上のヒドロキシカルボン酸を配位子として含有することを特徴とする、チタン錯体。 前記ヒドロキシカルボン酸は、総炭素数7以上のヒドロキシアルカン酸であることを特徴とする、請求項1に記載のチタン錯体。 前記ヒドロキシアルカン酸は、直鎖状であることを特徴とする、請求項2に記載のチタン錯体。 前記ヒドロキシカルボン酸は、ヒドロキシモノカルボン酸であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のチタン錯体。 前記ヒドロキシカルボン酸は、モノヒドロキシカルボン酸であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のチタン錯体。 前記ヒドロキシカルボン酸の総炭素数が、13以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のチタン錯体。 前記ヒドロキシカルボン酸が、2−ヒドロキシカルボン酸および/または3−ヒドロキシカルボン酸であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のチタン錯体。 請求項1〜7のいずれか一項に記載のチタン錯体を、高温高圧の水中下において、処理することにより得られることを特徴とする、酸化チタン粒子。 請求項1〜7のいずれか一項に記載のチタン錯体を、高温高圧の水中下において、有処理することを特徴とする、酸化チタン粒子の製造方法。 【課題】環境負荷の低減を図ることができ、かつ、酸化チタン粒子の着色の低減を図ることができる酸化チタン粒子の製造方法、その製造方法において用いることのできるチタン錯体、および、その製造方法により調製される酸化チタン粒子を提供すること。【解決手段】チタン原子を中心原子として含有し、総炭素数7以上のヒドロキシカルボン酸を配位子として含有するチタン錯体を、高温高圧の水中下において処理する。【選択図】なし


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