生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム及びその製造方法
出願番号:2011076460
年次:2012
IPC分類:C07C 13/15,C07F 3/02


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吉冨 晋 平塚 徹 木村 博文 岡部 誠 藥師神 啓孝 JP 2012211093 公開特許公報(A) 20121101 2011076460 20110330 高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム及びその製造方法 宇部興産株式会社 000000206 吉冨 晋 平塚 徹 木村 博文 岡部 誠 藥師神 啓孝 C07C 13/15 20060101AFI20121005BHJP C07F 3/02 20060101ALN20121005BHJP JPC07C13/15C07F3/02 A 8 OL 8 4H006 4H048 4H006AA01 4H006AA02 4H006AB99 4H048AA01 4H048AA02 4H048AB99 4H048VA61 4H048VB10 本発明は、高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム及びその製造方法に関する。高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムは、気相成長用マグネシウム原料、例えば、半導体製造におけるドーパント剤等の各種半導体成膜材料として有用な化合物である。 従来、高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムは、例えば、メチルシクロペンタジエンとエチルマグネシウムブロマイドとをエーテル中で29〜30℃で反応させて、収率45%でビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムを製造する方法が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。なお、秤取量1.359gに対してマグネシウムの滴定による定量値は1.351gであり、これらから換算される純度は99.4質量%であった(同文献121ページ実験項)。Zeitschrift fuer Anorganische und Allgemeine Chemie,307,120−2(1960) ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムは、その用途から不純物の少ない高純度品が望まれているものの、非特許文献1記載の方法で得られたビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムは、昇華工程を経ていながらもマグネシウム化合物以外の不純物が0.6質量%含まれており、到底高純度品とはいえるものではなかった。 そもそも、原料となるメチルシクロペンタジエンは、メチルシクロペンタジエンダイマー(二量体)をクラッキングさせて製造するが、数%のシクロペンタジエンダイマー(メチル基がない)や安定化のためにt−ブチルカテコール等の重合禁止剤が含まれている。 これに起因して、ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムを製造するに際しては、目的物であるビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムと分離が困難なマグネシウム化合物、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウムや(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム等のシクロペンタジエニル基を有するマグネシウム化合物が不可避的に生成してしまうという問題があった。又、重合禁止剤のような有機化合物は蒸留精製の際に同伴してしまう可能性があるという問題もあった。 更に、原料であるジアルキルマグネシウムには、マンガンやクロムが混入しているものの、ジアルキルマグネシウムを原料として用いる際に蒸留精製しようとすると、ジアルキルマグネシウムが重合してしまうと問題があり、原料からこれらの金属元素を取り除くことができなかった。 以上のように、製造原料に不可避的な不純物が混入しており、更にそれらの不純物が原料から、又、目的物からも容易に取り除けないという問題があった。特に、蒸留精製を繰り返すことで極端に取得収率が低下するため、蒸留精製を最小限に留めた、不純物が低減された高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム及びその具体的な製造方法が求められていた。 本発明の課題は、即ち、上記問題点を解決し、簡便な方法により、高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム及びその製造方法を提供することにある。 本発明の課題は、マンガン元素の含有量が0.9質量ppm以下、クロム元素の含有量が0.9質量ppm以下、且つシクロペンタジエニル基を有するマグネシウム化合物の含有量が5質量%以下であることを特徴とする、高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムによって解決される。 本発明の課題は、又、一般式(1)(式中、R1及びR2は、同一又は異なっていても良く、炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で示されるジアルキルマグネシウムと、ジアルキルマグネシウム1モルに対して、2.00モルを超えて2.20モル未満のメチルシクロペンタジエンを反応させた後、得られたビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムを減圧下で蒸留精製させることを特徴とする、高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムの製造方法によっても解決される。 本発明により、半導体製造におけるドーパント剤等の各種半導体成膜材料として有用な高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムを得ることができる。(高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム) 本発明の高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムは、不純物の含有量が少ない方が望ましく、特に、マンガン元素の含有量が0.9質量ppm以下、クロム元素の含有量が0.9質量ppm以下、且つシクロペンタジエニル基を有するマグネシウム化合物の含有量が5質量%以下、好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。不純物の定量値の検出限界は機器の精度にもよるが、金属元素の下限値は発光分析(ICP分析)の検出限界値である0.05質量ppmである。又、シクロペンタジエニル基を有するマグネシウム化合物の下限値はプロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)の検出限界値である0.01質量ppmである。 前記シクロペンタジエニル基を有するマグネシウム化合物としては、例えば、ビス(シクロペンタジエン)マグネシウム、(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム等である。(高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムの製造方法) 本発明に反応において使用するジアルキルマグネシウムは、前記の一般式(1)で示される。その一般式(1)において、R1及びR2は、同一又は異なっていても良く、炭素数1〜6のアルキル基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられるが、好ましくはエチル基、n−ブチル基である(即ち、ジアルキルマグネシウムが、n−ブチルエチルマグネシウム又はn−ジブチルマグネシウム)。なお、これらの基は、各種異性体も含む。 前記ジアルキルマグネシウムは、ニート品をそのまま使用することもできるが、安全性の面から、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類やトルエン等の芳香族炭化水素類等のジアルキルマグネシウムに対して不活性な有機溶媒に溶解させたものを使用するのが望ましい。 前記ジアルキルマグネシウムは、一般式(2)(式中、R3は、炭素数6〜12のアルキル基を示す。)で示されるトリアルキルアミンで処理(含有するアルミニウム化合物を除去)したものを使用するのが望ましい。その一般式(2)において、R3は、炭素数6〜12のアルキル基であり、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基が挙げられるが、好ましくはn−ドデシル基である(即ち、トリアルキルアミンが、トリ−n−ドデシルアミン)。なお、これらの基は、各種異性体も含む。 前記トリアルキルアミンの使用量は、ジアルキルマグネシウム1モルに対して、好ましくは0.1〜1.0モル、更に好ましくは0.2〜0.5モル、特に好ましくは0.2〜0.3モルである。なお、これらのトリアルキルアミンは、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。 前記ジアルキルマグネシウムのトリアルキルアミンによる処理(含有するアルミニウム化合物を除去)は、例えば、ジアルキルマグネシウム(又はその有機溶媒溶液)とトリアルキルアミンとを混合し、攪拌させながら処理する等の方法によって行われる。その際の処理温度は、好ましくは60〜100℃、更に好ましくは80〜100℃であり、処理圧力は特に制限されない。 本発明の反応において使用するメチルシクロペンタジエンは、メチルシクロペンタジエンダイマー(二量体)を、好ましくは160〜190℃でクラッキング反応させた後に、好ましくは25℃以下に冷却したものを用いるものが望ましい。なお、その際の圧力は特に制限されない。 前記メチルシクロペンタジエンの使用量は、ジアルキルマグネシウム1モルに対して、好ましくは2.00を超えて2.20モル未満、更に好ましくは2.00以上2.18モル以下である。なお、2.00モル以下であるとビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム中のケイ素原子及びアルミニウム原子の含有量が多くなり、2.20以上であるとビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム中のマンガン原子の含有量が多くなる。 本発明の高純度のビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムの製造は、例えば、前記の方法で予め処理したジアルキルマグネシウムと、ジアルキルマグネシウム1モルに対して2.00を超えて2.20モル未満のメチルシクロペンタジエン(前記の方法で得たメチルシクロペンタジエンを25℃以下に冷却している)を混合し、攪拌させながら反応させた後、得られたビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムを減圧下で蒸留精製させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは25〜60℃、更に好ましくは30〜50℃であり、反応圧力は特に制限されない。又、蒸留精製の温度は、好ましくは120〜150℃、更に好ましくは130〜145℃であり、その際の圧力は、好ましくは1.0〜3.0kPa、更に好ましくは1.5〜2.5kPaである。なお、蒸留精製の際には、前記のトリアルキルアミンを存在させて行うのが望ましい。 次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお、ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム中の金属原子の分析は、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES法)により行い、シクロペンタジエニル基を有するマグネシウム化合物は、プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)により行った。参考例1(メチルシクロペンタジエンの合成) 攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積1000mlの反応器に、メチルシクロペンタジエンダイマー940g(5.9mol)を加え、常圧下、攪拌しながら180℃でクラッキング反応させた。反応終了後、得られたメチルシクロペンタジエンを15℃以下に冷却した受器に入れた。実施例1(高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムの合成) 温度計を備えた内容積1000mlの反応器に、20質量%n−ブチルエチルマグネシウムのn−ヘプタン溶液364g(n−ブチルエチルマグネシウムとして0.65mol)及びトリ−n−デシルアミン85g(0.16mol)を加え、常圧下、攪拌しながら90℃でn−ブチルエチルマグネシウムを処理した。次いで、該混合液に、参考例1で合成したメチルシクロペンタジエン112g(1.4mol、2.13当量)を、液温を50℃以下に保ちながらゆるやかに加え、同温度で2時間反応させた。反応終了後、反応液を減圧下にて濃縮(n−ヘプタンを除去)した後、得られた濃縮物(ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムを含有)を減圧下で蒸留精製(90℃、0.1kPa)した。更に、得られた留出物(ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムを含有)を減圧下で蒸留精製(135〜145℃、2.0kPa)し、白色結晶として、ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム72gを得た(単離収率;66%)。なお、得られたビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムは、マンガン元素及びクロム元素が0.01質量ppm以下、シクロペンタジエニル基を有するマグネシウム化合物の含有量が1質量%以下、アルミニウム原子が0.03ppmしか混入していない高純度品であった。比較例1(ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムの合成) 実施例1において、メチルシクロペンタジエンの使用量を104g(1.3mol、2.00当量)に変えたこと以外は、実施例2と同様に反応を行い、ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム65gを得た(単離収率;60%)。 なお、得られたビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムは、マンガン元素及びクロム元素が0.01質量ppm、シクロペンタジエニル基を有するマグネシウム化合物の含有量が10質量%、アルミニウム原子が0.24ppm混入している低純度品であった。比較例2(ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムの合成) 実施例2において、シクロペンタジエンの使用量を123g(1.54mol、2.20当量)に変えたこと以外は、実施例2と同様に反応を行い、ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムの合成53gを得た(単離収率;49%)。 なお、得られたビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムは、マンガン元素及びクロム元素が0.46質量ppm、シクロペンタジエニル基を有するマグネシウム化合物の含有量が10質量%、アルミニウム原子が0.02ppm混入している低純度品であった。 以上の結果から、本発明の当該高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムは、気相成長用マグネシウム原料として採用され得る高純度品であることが分かる。 本発明は、高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム及びその製法に関する。高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムは、気相成長用マグネシウム原料、例えば、半導体製造におけるドーパント剤等の各種半導体成膜材料として有用な化合物である。 マンガン元素の含有量が0.9質量ppm以下、クロム元素の含有量が0.9質量ppm以下、且つシクロペンタジエニル基を有するマグネシウム化合物の含有量が5質量%以下である高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム。 アルミニウム元素の含有量が0.3質量ppm未満である請求項1記載の高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム。 高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムが気相成長用マグネシウム原料である請求項1乃至2のいずれか1項に記載の高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム。 一般式(1)(式中、R1及びR2は、同一又は異なっていても良く、炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で示されるジアルキルマグネシウムと、ジアルキルマグネシウム1モルに対して、2.00を超えて2.20モル未満のメチルシクロペンタジエンを反応させた後、得られたビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムを減圧下で蒸留精製させる、高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムの製造方法。 ジアルキルマグネシウムが、一般式(2)(式中、R3は、炭素数6〜12のアルキル基を示す。)で示されるトリアルキルアミンで処理したものである請求項4記載の高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムの製造方法。 ジアルキルマグネシウムが、n−ブチルエチルマグネシウム及びn−ジブチルマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のジアルキルマグネシウムである請求項4記載の高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムの製造方法。 メチルシクロペンタジエンが、ジメチルジシクロペンタジエンを160〜190℃でクラッキング反応させた後に25℃以下に冷却したものである請求項4記載の高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムの製造方法。 トリアルキルアミンが、トリ−n−ドデシルアミンである請求項5記載の高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムの製造方法。 【課題】 本発明の課題は、簡便な方法により、高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム及びその製造方法を提供することにある。【解決手段】 本発明の課題は、マンガン元素の含有量が0.9質量ppm以下、クロム元素の含有量が0.9質量ppm以下、且つシクロペンタジエニル基を有するマグネシウム化合物の含有量が5質量%以下であることを特徴とする、高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムによって解決される。【選択図】 なし


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特許公報(B2)_高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム及びその製造方法

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タイトル:特許公報(B2)_高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム及びその製造方法
出願番号:2011076460
年次:2015
IPC分類:C07C 13/15,C07F 3/02


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吉冨 晋 平塚 徹 木村 博文 岡部 誠 藥師神 啓孝 JP 5747613 特許公報(B2) 20150522 2011076460 20110330 高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム及びその製造方法 宇部興産株式会社 000000206 中山 和俊 100134566 吉冨 晋 平塚 徹 木村 博文 岡部 誠 藥師神 啓孝 20150715 C07C 13/15 20060101AFI20150625BHJP C07F 3/02 20060101ALN20150625BHJP JPC07C13/15C07F3/02 A C07C 13/00 C07F 3/00 CAplus/REGISTRY(STN) 特開平02−067230(JP,A) 特表2003−531150(JP,A) 特表2003−531151(JP,A) 特開2007−254408(JP,A) 特開2001−302560(JP,A) 特開昭60−116633(JP,A) 4 2012211093 20121101 7 20140131 前田 憲彦 本発明は、高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム及びその製造方法に関する。高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムは、気相成長用マグネシウム原料、例えば、半導体製造におけるドーパント剤等の各種半導体成膜材料として有用な化合物である。 従来、高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムは、例えば、メチルシクロペンタジエンとエチルマグネシウムブロマイドとをエーテル中で29〜30℃で反応させて、収率45%でビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムを製造する方法が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。なお、秤取量1.359gに対してマグネシウムの滴定による定量値は1.351gであり、これらから換算される純度は99.4質量%であった(同文献121ページ実験項)。Zeitschrift fuer Anorganische und Allgemeine Chemie,307,120−2(1960) ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムは、その用途から不純物の少ない高純度品が望まれているものの、非特許文献1記載の方法で得られたビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムは、昇華工程を経ていながらもマグネシウム化合物以外の不純物が0.6質量%含まれており、到底高純度品とはいえるものではなかった。 そもそも、原料となるメチルシクロペンタジエンは、メチルシクロペンタジエンダイマー(二量体)をクラッキングさせて製造するが、数%のシクロペンタジエンダイマー(メチル基がない)や安定化のためにt−ブチルカテコール等の重合禁止剤が含まれている。 これに起因して、ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムを製造するに際しては、目的物であるビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムと分離が困難なマグネシウム化合物、例えば、ビス(シクロペンタジエニル)マグネシウムや(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム等のシクロペンタジエニル基を有するマグネシウム化合物が不可避的に生成してしまうという問題があった。又、重合禁止剤のような有機化合物は蒸留精製の際に同伴してしまう可能性があるという問題もあった。 更に、原料であるジアルキルマグネシウムには、マンガンやクロムが混入しているものの、ジアルキルマグネシウムを原料として用いる際に蒸留精製しようとすると、ジアルキルマグネシウムが重合してしまうと問題があり、原料からこれらの金属元素を取り除くことができなかった。 以上のように、製造原料に不可避的な不純物が混入しており、更にそれらの不純物が原料から、又、目的物からも容易に取り除けないという問題があった。特に、蒸留精製を繰り返すことで極端に取得収率が低下するため、蒸留精製を最小限に留めた、不純物が低減された高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム及びその具体的な製造方法が求められていた。 本発明の課題は、即ち、上記問題点を解決し、簡便な方法により、高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム及びその製造方法を提供することにある。 本発明の課題は、マンガン元素の含有量が0.9質量ppm以下、クロム元素の含有量が0.9質量ppm以下、且つシクロペンタジエニル基を有するマグネシウム化合物の含有量が5質量%以下であることを特徴とする、高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムによって解決される。 本発明の課題は、又、一般式(1)(式中、R1及びR2は、同一又は異なっていても良く、炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で示されるジアルキルマグネシウムと、ジアルキルマグネシウム1モルに対して、2.00モルを超えて2.20モル未満のメチルシクロペンタジエンを反応させた後、得られたビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムを減圧下で蒸留精製させることを特徴とする、高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムの製造方法によっても解決される。 本発明により、半導体製造におけるドーパント剤等の各種半導体成膜材料として有用な高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムを得ることができる。(高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム) 本発明の高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムは、不純物の含有量が少ない方が望ましく、特に、マンガン元素の含有量が0.9質量ppm以下、クロム元素の含有量が0.9質量ppm以下、且つシクロペンタジエニル基を有するマグネシウム化合物の含有量が5質量%以下、好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。不純物の定量値の検出限界は機器の精度にもよるが、金属元素の下限値は発光分析(ICP分析)の検出限界値である0.05質量ppmである。又、シクロペンタジエニル基を有するマグネシウム化合物の下限値はプロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)の検出限界値である0.01質量ppmである。 前記シクロペンタジエニル基を有するマグネシウム化合物としては、例えば、ビス(シクロペンタジエン)マグネシウム、(シクロペンタジエニル)(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム等である。(高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムの製造方法) 本発明に反応において使用するジアルキルマグネシウムは、前記の一般式(1)で示される。その一般式(1)において、R1及びR2は、同一又は異なっていても良く、炭素数1〜6のアルキル基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基が挙げられるが、好ましくはエチル基、n−ブチル基である(即ち、ジアルキルマグネシウムが、n−ブチルエチルマグネシウム又はn−ジブチルマグネシウム)。なお、これらの基は、各種異性体も含む。 前記ジアルキルマグネシウムは、ニート品をそのまま使用することもできるが、安全性の面から、n−ヘプタン等の脂肪族炭化水素類やトルエン等の芳香族炭化水素類等のジアルキルマグネシウムに対して不活性な有機溶媒に溶解させたものを使用するのが望ましい。 前記ジアルキルマグネシウムは、一般式(2)(式中、R3は、炭素数6〜12のアルキル基を示す。)で示されるトリアルキルアミンで処理(含有するアルミニウム化合物を除去)したものを使用するのが望ましい。その一般式(2)において、R3は、炭素数6〜12のアルキル基であり、例えば、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基が挙げられるが、好ましくはn−ドデシル基である(即ち、トリアルキルアミンが、トリ−n−ドデシルアミン)。なお、これらの基は、各種異性体も含む。 前記トリアルキルアミンの使用量は、ジアルキルマグネシウム1モルに対して、好ましくは0.1〜1.0モル、更に好ましくは0.2〜0.5モル、特に好ましくは0.2〜0.3モルである。なお、これらのトリアルキルアミンは、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。 前記ジアルキルマグネシウムのトリアルキルアミンによる処理(含有するアルミニウム化合物を除去)は、例えば、ジアルキルマグネシウム(又はその有機溶媒溶液)とトリアルキルアミンとを混合し、攪拌させながら処理する等の方法によって行われる。その際の処理温度は、好ましくは60〜100℃、更に好ましくは80〜100℃であり、処理圧力は特に制限されない。 本発明の反応において使用するメチルシクロペンタジエンは、メチルシクロペンタジエンダイマー(二量体)を、好ましくは160〜190℃でクラッキング反応させた後に、好ましくは25℃以下に冷却したものを用いるものが望ましい。なお、その際の圧力は特に制限されない。 前記メチルシクロペンタジエンの使用量は、ジアルキルマグネシウム1モルに対して、好ましくは2.00を超えて2.20モル未満、更に好ましくは2.00以上2.18モル以下である。なお、2.00モル以下であるとビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム中のケイ素原子及びアルミニウム原子の含有量が多くなり、2.20以上であるとビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム中のマンガン原子の含有量が多くなる。 本発明の高純度のビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムの製造は、例えば、前記の方法で予め処理したジアルキルマグネシウムと、ジアルキルマグネシウム1モルに対して2.00を超えて2.20モル未満のメチルシクロペンタジエン(前記の方法で得たメチルシクロペンタジエンを25℃以下に冷却している)を混合し、攪拌させながら反応させた後、得られたビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムを減圧下で蒸留精製させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは25〜60℃、更に好ましくは30〜50℃であり、反応圧力は特に制限されない。又、蒸留精製の温度は、好ましくは120〜150℃、更に好ましくは130〜145℃であり、その際の圧力は、好ましくは1.0〜3.0kPa、更に好ましくは1.5〜2.5kPaである。なお、蒸留精製の際には、前記のトリアルキルアミンを存在させて行うのが望ましい。 次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。なお、ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム中の金属原子の分析は、誘導結合プラズマ発光分析法(ICP−AES法)により行い、シクロペンタジエニル基を有するマグネシウム化合物は、プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)により行った。参考例1(メチルシクロペンタジエンの合成) 攪拌装置、温度計及び還流冷却器を備えた内容積1000mlの反応器に、メチルシクロペンタジエンダイマー940g(5.9mol)を加え、常圧下、攪拌しながら180℃でクラッキング反応させた。反応終了後、得られたメチルシクロペンタジエンを15℃以下に冷却した受器に入れた。実施例1(高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムの合成) 温度計を備えた内容積1000mlの反応器に、20質量%n−ブチルエチルマグネシウムのn−ヘプタン溶液364g(n−ブチルエチルマグネシウムとして0.65mol)及びトリ−n−デシルアミン85g(0.16mol)を加え、常圧下、攪拌しながら90℃でn−ブチルエチルマグネシウムを処理した。次いで、該混合液に、参考例1で合成したメチルシクロペンタジエン112g(1.4mol、2.13当量)を、液温を50℃以下に保ちながらゆるやかに加え、同温度で2時間反応させた。反応終了後、反応液を減圧下にて濃縮(n−ヘプタンを除去)した後、得られた濃縮物(ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムを含有)を減圧下で蒸留精製(90℃、0.1kPa)した。更に、得られた留出物(ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムを含有)を減圧下で蒸留精製(135〜145℃、2.0kPa)し、白色結晶として、ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム72gを得た(単離収率;66%)。なお、得られたビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムは、マンガン元素及びクロム元素が0.01質量ppm以下、シクロペンタジエニル基を有するマグネシウム化合物の含有量が1質量%以下、アルミニウム原子が0.03ppmしか混入していない高純度品であった。比較例1(ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムの合成) 実施例1において、メチルシクロペンタジエンの使用量を104g(1.3mol、2.00当量)に変えたこと以外は、実施例2と同様に反応を行い、ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム65gを得た(単離収率;60%)。 なお、得られたビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムは、マンガン元素及びクロム元素が0.01質量ppm、シクロペンタジエニル基を有するマグネシウム化合物の含有量が10質量%、アルミニウム原子が0.24ppm混入している低純度品であった。比較例2(ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムの合成) 実施例2において、シクロペンタジエンの使用量を123g(1.54mol、2.20当量)に変えたこと以外は、実施例2と同様に反応を行い、ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムの合成53gを得た(単離収率;49%)。 なお、得られたビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムは、マンガン元素及びクロム元素が0.46質量ppm、シクロペンタジエニル基を有するマグネシウム化合物の含有量が10質量%、アルミニウム原子が0.02ppm混入している低純度品であった。 以上の結果から、本発明の当該高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムは、気相成長用マグネシウム原料として採用され得る高純度品であることが分かる。 本発明は、高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウム及びその製法に関する。高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムは、気相成長用マグネシウム原料、例えば、半導体製造におけるドーパント剤等の各種半導体成膜材料として有用な化合物である。 ジメチルジシクロペンタジエンを160〜190℃でクラッキング反応させた後に25℃以下に冷却してメチルシクロペンタジエンを合成する工程と、 一般式(1) (式中、R1及びR2は、同一又は異なっていても良く、炭素数1〜6のアルキル基を示す。)で示されるジアルキルマグネシウムと、ジアルキルマグネシウム1モルに対して、2.00を超えて2.20モル未満の前記合成したメチルシクロペンタジエンを反応させた後、得られたビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムを1.0〜3.0kPaの減圧下で、120〜150℃で蒸留精製させる、高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムの製造方法。 ジアルキルマグネシウムが、一般式(2) (式中、R3は、炭素数6〜12のアルキル基を示す。)で示されるトリアルキルアミンで処理したものである請求項1に記載の高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムの製造方法。 ジアルキルマグネシウムが、n−ブチルエチルマグネシウム及びn−ジブチルマグネシウムからなる群より選ばれる少なくとも1種のジアルキルマグネシウムである請求項1に記載の高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムの製造方法。 トリアルキルアミンが、トリ−n−ドデシルアミンである請求項2に記載の高純度ビス(メチルシクロペンタジエニル)マグネシウムの製造方法。


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