生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_アトピー性皮膚炎の検査方法
出願番号:2011040356
年次:2012
IPC分類:G01N 33/53,G01N 33/50


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石渡 潮路 JP 2012177601 公開特許公報(A) 20120913 2011040356 20110225 アトピー性皮膚炎の検査方法 株式会社ファンケル 593106918 長谷部 善太郎 100122954 佐藤 荘助 100150681 山田 泰之 100162396 児玉 喜博 100105061 石渡 潮路 G01N 33/53 20060101AFI20120817BHJP G01N 33/50 20060101ALI20120817BHJP JPG01N33/53 QG01N33/50 Q 4 1 OL 6 2G045 2G045AA25 2G045CB09 2G045DA36 2G045FA20 2G045FB02 2G045FB03 2G045FB09 2G045FB13 2G045FB15 2G045GC15本発明は、アトピー性皮膚炎の診断、治療効果の判定に使用するための検査方法に関する。アトピー性皮膚炎は、皮膚の炎症やかぶれ、湿疹を呈する疾患である。アトピー性皮膚炎は、アトピー型気管支喘息アレルギー性鼻炎、皮膚炎の蕁麻疹を起こしやすいアレルギー体質(アトピー素因)の上に、様々な刺激が加わって生じる痒みを伴う慢性の皮膚疾患と考えられている。患者の約8割は5歳までの幼児期に発症する。従来学童期に自然治癒すると考えられていたが、成人まで持ち越す例や、成人してからの発症・再発の例が近年増加している。一般に難治性の疾患であり、早期の段階では他の皮膚炎の患者と混同する場合もある。 アトピー性の皮膚炎(アレルギー性皮膚炎)の治療法には、ステロイド、抗ヒスタミン薬、その他の薬物療法の他、UVA(紫外線A波)を照射するPUVA療法等がある。 アトピー性皮膚炎は、増悪、寛解を繰り返すため、治療効果の判定や治療経過の判断は困難であり、新たな診断法の開発が望まれている。近年になり、アトピー性皮膚炎の患者の皮膚における各種遺伝子の発現の変化や各種免疫関連物質の変動に注目し、アトピー性皮膚炎の診断を行う方法が提案されている。例えば特許文献1では人の角層のインターロイキン1、そのレセプター、あるいはアンタゴニストの変動を測定して診断する方法が提案されている。特許文献2では神経軸索の伸長を抑制する因子であるセマフォリン3Aの遺伝子発現を測定して診断する方法が提案されている。特許文献3ではアトピー性皮膚炎の患者の皮膚で特異的に増加したり減少したりする蛋白質を解析して、23種類の蛋白質を特定し、これらの蛋白質の発現や遺伝子変動を分析することでアトピー性皮膚炎を診断する方法を提案している。現在も種々の診断方法や検査方法が探索されている。特開平10−2213400号公報特開2008−107275号公報国際公開第2007/046463号公報 本発明の目的は、アトピー性皮膚炎の診断や経過を正確に診断できる検査法を提供することにある。 本発明者は、ヒートショックプロテインの一種であるヒートショックプロテイン27(HSP27)に注目し、健常人の皮膚及びアトピー性皮膚炎患者の疾患部、非疾患部におけるHSP27の発現量を測定してきたところ、健常人と比較してアトピー性皮膚炎患者ではHSP27の発現量が高く、またアトピー性皮膚炎患者であってもアトピー症状が発現していない部位では、HSP27の発現量が少ないことを見出した。この知見に基づき、皮膚試料中のHSP27を測定すればアトピー性皮膚炎の診断や治療経過等の診断が可能となることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明の構成は、以下のとおりである。(1)皮膚試料中のヒートショックプロテイン27を測定し、あらかじめ測定しておいた正常な皮膚試料のヒートショックプロテイン27の測定値と対比することを特徴とするアトピー性皮膚炎の検査方法。(2)皮膚試料が皮膚角層である(1)記載の検査法。(3)皮膚試料が、ヒト皮膚より剥離操作によって得たものである(1)又は(2)記載の検査方法。(4)ヒートショックプロテイン27の測定がウエスタンブロット法である(1)〜(3)記載の検査方法。 本発明の検査法によれば、増悪、寛解を繰り返すアトピー性皮膚炎の治療経過、治療効果等が正確に判定できる。また発症の予測が可能となる。さらに、また検査対象の皮膚試料採取が容易であり、患者の負担が少なく簡便に検査することができる。ヒト皮膚中のHSP27の量を、アトピー性皮膚炎の症状に対応して表示したグラフである。アトピー性皮膚炎の症状が進行するにつれてHSP27が増加していることが明らかである。 HSPは細胞の加熱に反応して発現することが知られており、この発現は細菌感染や炎症、エタノール、活性酸素、重金属、紫外線、飢餓、低酸素状態などの細胞に対する様々なストレスにより誘導されることが知られている。核内タンパク質である熱ショック転写因子(HSF)はDNA上の熱ショックエレメント(HSE)に結合することによりHSPの発現を制御する転写因子として働くが、熱ストレスによりHSFが誘導される詳細な機構については十分に明らかにされてはいない。アトピー性皮膚炎との関係では、HSP60やHSP70、HSP90などの高分子のHSPが変動することが知られているが、低分子のHSPである、本発明のHSP27が関与することはまったく知られていなし、示唆もされていない。 本発明の検査方法では、皮膚試料中のHSP27の遺伝子量または蛋白質量を測定する。ここで、皮膚試料としては、ヒトの表皮を含む皮膚試料が好ましく、ヒト皮膚からバイオプシーにより採取できる。通常はテープストリッピング法と呼ばれる、皮膚に粘着性のテープを貼付し、これを剥離する際に、テープに付着してくる角層を試料とすることが患者の負担の少ない方法である。 皮膚試料中のHSP27を遺伝試料として測定する場合には例えば、RT−PCR法等が挙げられる。また、HSP27遺伝子の定量はリアルタイムRT−PCRにより行うことができる。HSP27蛋白質の測定手段としては、例えば免疫染色等が採用できる。測定に用いる抗HSP27抗体及びその標識体は市販品を用いることができる。 免疫染色の場合には、例えば蛍光免疫染色により測定可能である。HSP27の定量は、例えば蛍光強度を、市販の測定装置とソフトウェアで定量することにより行うことができる。 また、本発明を診断薬とする場合には、上記の抗HSP27抗体、その標識体、第2抗体、標識第2抗体などを含有するものが好ましい。さらに、分析のための緩衝液等と組み合せた検査キットとすることもできる。 本発明者が健常人の皮膚におけるHSP27を測定したところ、全ての健常人の皮膚は低値であった。一方、アトピー性皮膚炎と診断された患者の皮膚炎を呈している部位の皮膚からは、健常人と比してHSP27が著しく増加していることが確認された。同じ患者であっても皮膚炎を呈していない部位の皮膚のHSP27は、患部よりは低いものの、健常人に比して高いことが確認された。従って、皮膚、特に表皮のHSP27の変化量を観察すれば、アトピー性皮膚炎の経過、治療効果、治療経過等の診断が可能である。 次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。A.方法(1)皮膚角層採取方法 アトピー性皮膚炎であると診断された女性患者4名の皮膚炎を呈している頚部皮膚より角質チェッカー(2.5cm×2.5cm:アサヒバイオメッド製)を用い、5枚テープストリッピングを行い、角層を採取した。また皮膚炎症状を呈していない上腕部皮膚からも同様にしてサンプリングを行った。 同様にして、健常な女性3名の頚部皮膚、上腕部皮膚からもサンプリングを行い対照とした。(2)皮膚角層中タンパク抽出方法 ホモジナイズ用チューブに1%SDS/PBS(−)200ulを採取し、これに上記テープストリッピングした角層チェッカーを入れ、ホモジナイゼーション用ペッスルを用いて粘着面を擦ることによりテープより角層からタンパクを抽出した。(3)皮膚角層タンパクの定量 角層抽出液中に含まれるタンパク量はDC Protein Assay Kit (Bio-Rad製)にて定量した。(4)ウエスタンブロット法によるHSP27の定量 1.5μgの角層タンパクをXP PANTERA Gel (5-20%グラジェントゲル:DRC社製)を用いてSDS-PAGEによって分離後、タンパク質をPVDF膜に転写し、StartingBlock Blocking Buffer(Thermo Scientific社製)にてブロッキングを行った。1次抗体(Hsp27 Polyclonal Antibody:Stressgen社製)を1000倍希釈、2次抗体 (Goat anti-mouse IgG:invitrogen社製)を10000倍希釈で反応させた後、ECLplus (BD Bioscience社製)を用いて、LAS-4000mini (フジフィルム社製)で検出を行った。得られたバンドの発光強度はScience Lab 2004 Multi Gauge (フジフィルム社製)にて数値化を行った。発光シグナルの強度をHSP27の相対量として評価を行った。B.結果 アトピー性皮膚炎患者(AD)並びに健常人の皮膚角層のHSP27の発光強度(AU)測定結果を表1、図1に示す。 図1から明らかなように、健常人ではHSP27は角層中にはほとんど存在しないが、アトピー性皮膚炎患者の患部皮膚からはHSP27が検出された。またアトピー性皮膚炎患者の正常皮膚からは、皮膚炎を呈している部位ほどではないが、正常人に比して高濃度にHSP27が検出された。以上の結果から、HSP27を測定することはアトピー性皮膚炎の正確な診断につながり、治療効果の指標となることが確認された。また定期的にHSP27を測定することで、皮膚炎を呈していないが、アレルギー疾患を持つ患者や幼児のアトピー性皮膚炎の発症を予測することが可能となり、対症療法にとどまっていたアトピー性皮膚炎の予防的治療が可能となることが明らかとなった。 皮膚試料中のヒートショックプロテイン27を測定し、あらかじめ又は同時に測定した正常な皮膚試料のヒートショックプロテイン27の測定値と対比することを特徴とするアトピー性皮膚炎の検査方法。 皮膚試料が皮膚角層である請求項1記載の検査法。 皮膚試料が、ヒト皮膚より剥離操作によって得たものである請求項1又は請求項2記載の検査方法。 ヒートショックプロテイン27の測定がウエスタンブロット法である請求項1〜請求項3記載の検査方法。 【課題】ユーザーに負担を与えることなく、アトピー性皮膚炎の検査を行う方法を提供する。【解決手段】健常人と比較してアトピー性皮膚炎患者ではヒートショックプロテイン27(HSP27)の発現量が高く、またアトピー性皮膚炎患者であってもアトピー症状が発現していない部位では、HSP27の発現量が少ないことから、皮膚角層をテープストリッピング法などによって、非侵襲的に採取し、試料中のHSP27を測定し、正常な皮膚試料の値と対比することでアトピー性皮膚炎の検査、診断をする。【選択図】図1


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特許公報(B2)_アトピー性皮膚炎の検査方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_アトピー性皮膚炎の検査方法
出願番号:2011040356
年次:2014
IPC分類:G01N 33/53,G01N 33/50


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石渡 潮路 JP 5520246 特許公報(B2) 20140411 2011040356 20110225 アトピー性皮膚炎の検査方法 株式会社ファンケル 593106918 長谷部 善太郎 100122954 佐藤 荘助 100150681 山田 泰之 100162396 児玉 喜博 100105061 石渡 潮路 20140611 G01N 33/53 20060101AFI20140522BHJP G01N 33/50 20060101ALI20140522BHJP JPG01N33/53 QG01N33/50 Q G01N 33/48−33/98 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) 特表2003−535881(JP,A) 国際公開第2007/046463(WO,A1) GHOREISHI M. et al.,Expression of 27 KD, 65 KD and 72/73 KD Heat Shock Protein in Atopic Dermatitis. Comparison with Those in Normal Skin and Contact Dermatitis,J Dermatol ,2000年 6月,Vol.27,No.6,P.370-379 4 2012177601 20120913 6 20130910 海野 佳子本発明は、アトピー性皮膚炎の診断、治療効果の判定に使用するための検査方法に関する。アトピー性皮膚炎は、皮膚の炎症やかぶれ、湿疹を呈する疾患である。アトピー性皮膚炎は、アトピー型気管支喘息アレルギー性鼻炎、皮膚炎の蕁麻疹を起こしやすいアレルギー体質(アトピー素因)の上に、様々な刺激が加わって生じる痒みを伴う慢性の皮膚疾患と考えられている。患者の約8割は5歳までの幼児期に発症する。従来学童期に自然治癒すると考えられていたが、成人まで持ち越す例や、成人してからの発症・再発の例が近年増加している。一般に難治性の疾患であり、早期の段階では他の皮膚炎の患者と混同する場合もある。 アトピー性の皮膚炎(アレルギー性皮膚炎)の治療法には、ステロイド、抗ヒスタミン薬、その他の薬物療法の他、UVA(紫外線A波)を照射するPUVA療法等がある。 アトピー性皮膚炎は、増悪、寛解を繰り返すため、治療効果の判定や治療経過の判断は困難であり、新たな診断法の開発が望まれている。近年になり、アトピー性皮膚炎の患者の皮膚における各種遺伝子の発現の変化や各種免疫関連物質の変動に注目し、アトピー性皮膚炎の診断を行う方法が提案されている。例えば特許文献1では人の角層のインターロイキン1、そのレセプター、あるいはアンタゴニストの変動を測定して診断する方法が提案されている。特許文献2では神経軸索の伸長を抑制する因子であるセマフォリン3Aの遺伝子発現を測定して診断する方法が提案されている。特許文献3ではアトピー性皮膚炎の患者の皮膚で特異的に増加したり減少したりする蛋白質を解析して、23種類の蛋白質を特定し、これらの蛋白質の発現や遺伝子変動を分析することでアトピー性皮膚炎を診断する方法を提案している。現在も種々の診断方法や検査方法が探索されている。特開平10−2213400号公報特開2008−107275号公報国際公開第2007/046463号公報 本発明の目的は、アトピー性皮膚炎の診断や経過を正確に診断できる検査法を提供することにある。 本発明者は、ヒートショックプロテインの一種であるヒートショックプロテイン27(HSP27)に注目し、健常人の皮膚及びアトピー性皮膚炎患者の疾患部、非疾患部におけるHSP27の発現量を測定してきたところ、健常人と比較してアトピー性皮膚炎患者ではHSP27の発現量が高く、またアトピー性皮膚炎患者であってもアトピー症状が発現していない部位では、HSP27の発現量が少ないことを見出した。この知見に基づき、皮膚試料中のHSP27を測定すればアトピー性皮膚炎の診断や治療経過等の診断が可能となることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明の構成は、以下のとおりである。(1)皮膚試料中のヒートショックプロテイン27を測定し、あらかじめ又は同時に測定した正常な皮膚試料のヒートショックプロティン27の測定値と対比し、発現の上昇をアトピー性皮膚炎の指標とするアトピー性皮膚炎の検査方法(2)皮膚試料が皮膚角層である(1)記載の検査方法。(3)皮膚試料が、ヒト皮膚より剥離操作によって得たものである(1)又は(2)記載の検査方法。(4)ヒートショックプロテイン27の測定がウエスタンブロット法である(1)〜(3)のいずれかに記載の検査方法。 本発明の検査法によれば、増悪、寛解を繰り返すアトピー性皮膚炎の治療経過、治療効果等が正確に判定できる。また発症の予測が可能となる。さらに、また検査対象の皮膚試料採取が容易であり、患者の負担が少なく簡便に検査することができる。ヒト皮膚中のHSP27の量を、アトピー性皮膚炎の症状に対応して表示したグラフである。アトピー性皮膚炎の症状が進行するにつれてHSP27が増加していることが明らかである。 HSPは細胞の加熱に反応して発現することが知られており、この発現は細菌感染や炎症、エタノール、活性酸素、重金属、紫外線、飢餓、低酸素状態などの細胞に対する様々なストレスにより誘導されることが知られている。核内タンパク質である熱ショック転写因子(HSF)はDNA上の熱ショックエレメント(HSE)に結合することによりHSPの発現を制御する転写因子として働くが、熱ストレスによりHSFが誘導される詳細な機構については十分に明らかにされてはいない。アトピー性皮膚炎との関係では、HSP60やHSP70、HSP90などの高分子のHSPが変動することが知られているが、低分子のHSPである、本発明のHSP27が関与することはまったく知られていなし、示唆もされていない。 本発明の検査方法では、皮膚試料中のHSP27の遺伝子量または蛋白質量を測定する。ここで、皮膚試料としては、ヒトの表皮を含む皮膚試料が好ましく、ヒト皮膚からバイオプシーにより採取できる。通常はテープストリッピング法と呼ばれる、皮膚に粘着性のテープを貼付し、これを剥離する際に、テープに付着してくる角層を試料とすることが患者の負担の少ない方法である。 皮膚試料中のHSP27を遺伝試料として測定する場合には例えば、RT−PCR法等が挙げられる。また、HSP27遺伝子の定量はリアルタイムRT−PCRにより行うことができる。HSP27蛋白質の測定手段としては、例えば免疫染色等が採用できる。測定に用いる抗HSP27抗体及びその標識体は市販品を用いることができる。 免疫染色の場合には、例えば蛍光免疫染色により測定可能である。HSP27の定量は、例えば蛍光強度を、市販の測定装置とソフトウェアで定量することにより行うことができる。 また、本発明を診断薬とする場合には、上記の抗HSP27抗体、その標識体、第2抗体、標識第2抗体などを含有するものが好ましい。さらに、分析のための緩衝液等と組み合せた検査キットとすることもできる。 本発明者が健常人の皮膚におけるHSP27を測定したところ、全ての健常人の皮膚は低値であった。一方、アトピー性皮膚炎と診断された患者の皮膚炎を呈している部位の皮膚からは、健常人と比してHSP27が著しく増加していることが確認された。同じ患者であっても皮膚炎を呈していない部位の皮膚のHSP27は、患部よりは低いものの、健常人に比して高いことが確認された。従って、皮膚、特に表皮のHSP27の変化量を観察すれば、アトピー性皮膚炎の経過、治療効果、治療経過等の診断が可能である。 次に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。A.方法(1)皮膚角層採取方法 アトピー性皮膚炎であると診断された女性患者4名の皮膚炎を呈している頚部皮膚より角質チェッカー(2.5cm×2.5cm:アサヒバイオメッド製)を用い、5枚テープストリッピングを行い、角層を採取した。また皮膚炎症状を呈していない上腕部皮膚からも同様にしてサンプリングを行った。 同様にして、健常な女性3名の頚部皮膚、上腕部皮膚からもサンプリングを行い対照とした。(2)皮膚角層中タンパク抽出方法 ホモジナイズ用チューブに1%SDS/PBS(−)200ulを採取し、これに上記テープストリッピングした角層チェッカーを入れ、ホモジナイゼーション用ペッスルを用いて粘着面を擦ることによりテープより角層からタンパクを抽出した。(3)皮膚角層タンパクの定量 角層抽出液中に含まれるタンパク量はDC Protein Assay Kit (Bio-Rad製)にて定量した。(4)ウエスタンブロット法によるHSP27の定量 1.5μgの角層タンパクをXP PANTERA Gel (5-20%グラジェントゲル:DRC社製)を用いてSDS-PAGEによって分離後、タンパク質をPVDF膜に転写し、StartingBlock Blocking Buffer(Thermo Scientific社製)にてブロッキングを行った。1次抗体(Hsp27 Polyclonal Antibody:Stressgen社製)を1000倍希釈、2次抗体 (Goat anti-mouse IgG:invitrogen社製)を10000倍希釈で反応させた後、ECLplus (BD Bioscience社製)を用いて、LAS-4000mini (フジフィルム社製)で検出を行った。得られたバンドの発光強度はScience Lab 2004 Multi Gauge (フジフィルム社製)にて数値化を行った。発光シグナルの強度をHSP27の相対量として評価を行った。B.結果 アトピー性皮膚炎患者(AD)並びに健常人の皮膚角層のHSP27の発光強度(AU)測定結果を表1、図1に示す。 図1から明らかなように、健常人ではHSP27は角層中にはほとんど存在しないが、アトピー性皮膚炎患者の患部皮膚からはHSP27が検出された。またアトピー性皮膚炎患者の正常皮膚からは、皮膚炎を呈している部位ほどではないが、正常人に比して高濃度にHSP27が検出された。以上の結果から、HSP27を測定することはアトピー性皮膚炎の正確な診断につながり、治療効果の指標となることが確認された。また定期的にHSP27を測定することで、皮膚炎を呈していないが、アレルギー疾患を持つ患者や幼児のアトピー性皮膚炎の発症を予測することが可能となり、対症療法にとどまっていたアトピー性皮膚炎の予防的治療が可能となることが明らかとなった。 皮膚試料中のヒートショックプロテイン27を測定し、あらかじめ又は同時に測定した正常な皮膚試料のヒートショックプロティン27の測定値と対比し、発現の上昇をアトピー性皮膚炎の指標とするアトピー性皮膚炎の検査方法 皮膚試料が皮膚角層である請求項1記載の検査方法。 皮膚試料が、ヒト皮膚より剥離操作によって得たものである請求項1又は請求項2記載の検査方法。 ヒートショックプロテイン27の測定がウエスタンブロット法である請求項1〜請求項3のいずれかに記載の検査方法。


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