生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_粉体圧縮成形物の評価方法
出願番号:2011039768
年次:2012
IPC分類:G01N 3/00,B30B 11/02,A61J 3/06


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湊 孝文 JP 2012177577 公開特許公報(A) 20120913 2011039768 20110225 粉体圧縮成形物の評価方法 大正製薬株式会社 000002819 湊 孝文 G01N 3/00 20060101AFI20120817BHJP B30B 11/02 20060101ALI20120817BHJP A61J 3/06 20060101ALI20120817BHJP JPG01N3/00 LB30B11/02 ZA61J3/06 R 2 1 OL 6 2G061 4C047 2G061AA02 2G061AB01 2G061BA01 2G061CA18 2G061DA16 4C047LL19 本発明は、粉体圧縮成形物の物性を簡易に評価する方法に関する。 錠剤は粉末や顆粒を圧縮して成形した粉体圧縮成形物の一種であり、医薬品の製剤化、食品の成形、工業材料などに広く応用されている。錠剤は、それが使用されるまでは形状を維持するだけの力学的な強度を保つ必要があるが、使用時には速やかに崩壊し、錠剤中に含まれる各成分の機能や作用が発現しやすいようにならなくてはいけない。このために、錠剤は適度な硬さと、適度な崩壊性を有するように調製する必要がある。 錠剤を製造する工程、即ち打錠は、上杵と下杵を有する打錠機により行われ、粉体を圧縮成形する。打錠での成形不足によるキャッピング、ラミネーション、チッピング又はコーティング工程での錠剤の破損などの様々なトラブルが発生し、外観が悪く商品性が低下したり、錠剤物性の変化が生じたりする。よって、打錠障害を精度良く評価又は予測できる技術を獲得することは意義が大きいと言える。 このような成形性不足に起因する打錠のトラブルを防止するために、種々の方策が採られてきている。打錠障害や成形性不足を防止するための方策は多々報告されている。しかしながら、打錠障害の発生頻度や成形性及びそれに関連する錠剤強度を測定し、適正に成形されたか否かを正確に評価又は予測する方法はほとんど報告されていない。 従来は、錠剤の強度の測定法としては、硬度測定試験や摩損度試験が用いられてきたが、これらの試験法は錠剤を破壊して調べる方法であった。本発明で用いている臼内壁面圧を用いた方法として、壁面残留応力と錠剤を破壊して得られる圧縮強度に基づいてキャッピング指数を算出することでキャッピング性を評価することができるという方法がある(特許文献1参照)。 本発明と同じように、錠剤を破壊することなく錠剤の物理的強度を測定しようという試みもなされてきている。例えば、錠剤の近赤外線吸収率の積分値と当該錠剤全体の硬度に一定の相関があり、近赤外線の吸収率により非破壊的に1錠剤の全体の硬度を測定する方法が提案されている(特許文献2参照)。また、製錠された錠剤上の複数カ所を表面硬度を超音波硬度計(ヤング率計)を用いて測定することでキャッピング性を評価する方法が提案されている(特許文献3参照)。特開平3−291548号公報特表平10−509796号公報WO2007/100028号 本発明は、粉体圧縮成形物の物性を簡易に評価する方法を提供することを課題とする。具体的には、粉体の評価を介して、該粉体を圧縮成形物とした場合の割れ、破損、摩損などのトラブルを事前に予測することができる評価方法を提供することを課題とする。 従来、錠剤の物理的強度の検査及び測定には、錠剤全体の硬度や摩損度の評価に主眼が置かれ、そのため硬度測定試験や摩損度試験が汎用されてきた。 本発明者は前記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、圧縮荷重変化に対する残留臼内壁面圧の変化量が粉体処方によって異なること、さらには、圧縮荷重変化に対する残留臼内壁面圧の変化量が大きいほど、圧縮成形物(錠剤)の割れや破損が起こりやすく、特に圧縮成形(打錠)時にキャッピングが起こり易いという知見を得た。 かかる知見をもとに完成した本発明の態様は、次の(1)及び(2)のとおりである。(1)2以上の圧縮荷重で粉体を圧縮したときの残留臼内壁面圧を測定し、該残留臼内壁面圧の差を指標として、該粉体を圧縮成形して得られる圧縮成形物の強度を評価する方法。(2)圧縮荷重aで粉体を圧縮したときの残留臼内壁面圧をA、圧縮荷重bで該粉体を圧縮したときの残留臼内壁面圧をBとし、下記式(I)で表される残留臼内壁面圧の変化量(ΔRDP)を指標として、該粉体を圧縮成形して得られる圧縮成形物の強度を評価する方法。 ΔRDP=(B−A)/(b−a) (I) ただし、a<bとする。 本発明により、実際に圧縮成型物(錠剤など)を大量に製造しなくても、少量の粉体を用意し、該粉体の残留臼内壁面圧を圧縮成形性測定装置等を使って測定することにより、該粉体を圧縮成形した場合の圧縮成形物の物性(割れや破損、キャッピングのし易さなど)が容易に予測できるようになった。粉体の残留臼内壁面圧を測定する部位の概略図である。 まず、図1のような臼孔に目的の「粉体」を入れ、臼孔内の「粉体」を圧縮荷重aで圧縮し、その際の臼孔内壁面の残留圧力(残留臼内壁面圧)Aを測定する。 次に、圧縮荷重を変えて(例えば、圧縮荷重をbとして、残留臼内壁面圧Bを求める。)同様の操作を2回以上繰り返し、次の式(I)で表される残留臼内壁面圧の変化量(ΔRDP)を算出すれば、該粉体を圧縮成形して得られる圧縮成形物が実際にどのような物性を示すのかを簡易かつ短時間に評価することができる。 ΔRDP=(B−A)/(b−a) (I) ただし、a<bとする。 ここで、「粉体」は、有効成分を含むと否とを問わず、また、造粒物(顆粒)でも、単に有効成分や賦形剤等を混ぜ合わせただけのものであってもよい。造粒物の場合、更に後末で有効成分や賦形剤を添加・混合したものであってもよい。 「圧縮荷重」とは、図1のような臼孔に粉体を充填し、上杵で粉体を圧縮する際に上杵にかかる力のことである。この際、下杵は臼内に挿入して固定された状態にある。 圧縮荷重が大き過ぎると付着等によりデータが取得できない場合がある。また、圧縮荷重が小さ過ぎると異なる粉体間でのデータに差がみられず比較しにくい。よって、圧縮荷重は2以上の異なる値で測定することを要するが、この差があまりに大きいとデータが取得できない、データの差が認められにくい点で好ましくなく、この差があまりに小さいと変化量としての精度が劣る可能性がある点で好ましくない。通常2〜10kNあたりが好ましい。 「臼内壁面荷重」とは、臼孔にかかる力であり、「残留臼内壁面荷重」とは、粉体を圧縮後、上杵が臼内から抜けた後に臼孔の内壁にかかる応力のことである。 「残留臼内壁面圧〔RDP〕」は、残留臼内壁面荷重を粉体圧縮成形物と臼孔との接触面積で除した値である。 「圧縮成形物の強度」とは、圧縮成形物の割れ、破損、キャッピングのし易さなどをいい、例えば、日本薬局方記載の錠剤の摩損度試験法で評価することができる。 そして、「残留臼内壁面圧の変化量(ΔRDP)」が大きいほど該粉体を圧縮成形して得られた圧縮成形物の強度は弱く、割れ、破損、キャッピング等を生じ易いと評価される。 例えば、ある粉体が圧縮成形(打錠)した場合にキャッピングを生じやすいものか否かを測定するためには、よりキャッピングが発生し易い条件下で測定を行うことが好ましい。このような測定条件としては、臼孔の内径:6〜12mmφ、粉体の圧縮速度:3〜20mm/s、圧縮荷重:3〜15kN、粉体充填量(臼孔に充填する粉体の質量):100〜500mgが挙げられる。また、杵面の形状としては、杵面に均一な圧力がかかる平面よりも、不均一な圧力がかかる曲率半径をもつR面のものが好ましい。 以下に、製造例、試験例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。 製造例1 試験顆粒の製造 下表1記載の組成となるように各原料を秤量後、混合・粉砕し、造粒用粉末を得た。 該造粒用粉末を流動層造粒機(WSG;(株)パウレック製)に仕込み、造粒用溶液(精製水及びアルコールにヒドロキシプロピルセルロースを溶解させたもの)をスプレー添加しながら流動層造粒を行った。 調粒後、得られた造粒物に下表2記載の添加剤を後末添加し混合して、試験顆粒を得た。 製造例2 試験錠剤の製造 製造例1で得られた顆粒を打錠機(コレクト;(株)菊水製作所製)で打錠し、試験錠剤を得た。 試験例1(1)試験錠剤の物性の測定 添加剤の種類が異なる前記錠剤それぞれ50錠について、日本薬局方記載の錠剤の摩損度試験法によって、錠剤のキャッピングのし易さを調べるとともに、錠剤の硬度等を測定した。(2)臼内壁面圧の測定 圧縮成形性測定装置(商品名:TabFlex;岡田精工(株)製)を用いて、臼内壁面の圧力を測定した。(3)圧縮荷重変化に対する変化量の算出 圧縮荷重aで粉体を圧縮したときの残留臼内壁面圧をA、圧縮荷重bで該粉体を圧縮したときの残留臼内壁面圧をBとし、下記式(I)で表される残留臼内壁面圧の変化量(ΔRDP)を算出した。 ΔRDP=(B−A)/(b−a) (I) ただし、a<bとする。(3)結果及び考察 上記ΔRDPの値と圧縮成形物(錠剤)のキャッピングのし易さとの間には相関関係があり、ΔRDPの値が大きい粉体は、圧縮成形(打錠)した際に、キャッピングを生じる傾向が大きいことがわかった。 したがって、粉体の圧縮荷重変化に対する残留臼内壁面圧の変化量が小さい粉体を調製すれば、圧縮成形物(錠剤)の成形性に起因するトラブルを回避でき、良好な品質の圧縮成形物(錠剤)が得られることがわかった。 本発明により、粉体を圧縮成形した場合の圧縮成形物の物性(割れや破損、キャッピングのし易さなど)を容易に予測できるようになった。 よって、粉体圧縮成形物の製品としてのスケールアップ検討の迅速化が図られ、粉体圧縮成形物の製品としてのより万全な品質管理を行うことが可能となる。粉体圧縮成形物(特に錠剤)を製造する医薬品産業、農薬産業、食品産業などの幅広い産業分野において極めて有用なものであり、本発明は産業上の利用可能性を有するものである。 2以上の圧縮荷重で粉体を圧縮したときの残留臼内壁面圧を測定し、該残留臼内壁面圧の差を指標として、該粉体を圧縮成形して得られる圧縮成形物の強度を評価する方法。 圧縮荷重aで粉体を圧縮したときの残留臼内壁面圧をA、圧縮荷重bで該粉体を圧縮したときの残留臼内壁面圧をBとし、下記式(I)で表される残留臼内壁面圧の変化量(ΔRDP)を指標として、該粉体を圧縮成形して得られる圧縮成形物の強度を評価する方法。 ΔRDP=(B−A)/(b−a) (I) ただし、a<bとする。 【課題】粉体圧縮成形物の物性を簡易に評価する方法を提供する。具体的には、粉体の評価を介して、該粉体を圧縮成形物とした場合の割れ、破損、摩損などのトラブルを事前に予測することができる評価方法を提供する。【解決手段】2以上の圧縮荷重で粉体を圧縮したときの残留臼内壁面圧を測定し、該残留臼内壁面圧の差を指標として、該粉体を圧縮成形して得られる圧縮成形物の強度を評価する方法。【選択図】図1


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