生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ケーブル屈曲疲労寿命予測方法及び装置
出願番号:2011001009
年次:2012
IPC分類:G01N 3/34


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三浦 剛 江島 弘高 岡 史人 JP 2012141257 公開特許公報(A) 20120726 2011001009 20110106 ケーブル屈曲疲労寿命予測方法及び装置 日立電線株式会社 000005120 絹谷 信雄 100068021 三浦 剛 江島 弘高 岡 史人 G01N 3/34 20060101AFI20120629BHJP JPG01N3/34 C 3 1 OL 10 2G061 2G061AA07 2G061AB05 2G061CB05 2G061DA11 2G061DA12 2G061EC09 本発明は、屈曲部に配索されるケーブル等の屈曲疲労寿命を予測するケーブル屈曲疲労寿命予測方法及び装置に関するものである。 屈曲部に配索されるケーブル等の屈曲疲労寿命を予測するケーブル屈曲疲労寿命予測方法として、従来、応力振幅σaと繰返し数(破断回数)Nの関係であるSN線図(疲労寿命マスターカーブ)を作成し、このSN線図を用いてケーブルの屈曲疲労寿命を予測する方法が知られている。 例えば、単純屈曲時(所謂片振り)のSN線図を作成する際には、寿命を予測するケーブルと同じ構造のケーブルを用いて、当該ケーブルを直線状態から任意の曲率半径まで屈曲させ再び直線状態に戻すことを繰返して、ケーブルが破断する繰返し数Nを求める。 ケーブルの最大曲率半径R1から最小応力σminを求めることができ、最小曲率半径R2から最大応力σmaxを求めることができる(例えば、特許文献1,2参照)ので、下式 σa=(σmax−σmin)/2より応力振幅σaを求めて、応力振幅σaと繰返し数Nとの関係であるSN線図を得ることができる。なお、単純屈曲時には、最大曲率半径R1=∞(曲率でいえば0)であるから、最小応力σmin=0となる。特開2002−260459号公報特開2004−191361号公報 しかしながら、上述の単純屈曲時のSN線図は、ケーブルを直線状態から屈曲させる場合にしか用いることができず、ケーブルを予め曲げた状態から屈曲する場合には用いることはできない。これは、同じ応力振幅σaでも、平均応力が異なると疲労寿命が異なってしまうためである。 つまり、従来のケーブル屈曲疲労寿命予測方法では、同じ構造のケーブルの屈曲疲労寿命を予測する場合でも、曲げ条件(屈曲の基準となる曲げ状態、すなわちケーブルの最大曲率半径)が変わると、再度屈曲疲労試験を行ってSN線図を取得しなければならず、非常に手間がかかるという問題があった。 そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、曲げ条件が変化しても、容易にケーブルの屈曲疲労寿命を予測可能なケーブル屈曲疲労寿命予測方法及び装置を提供することにある。 本発明は上記目的を達成するために創案されたものであり、予め、寿命を予測するケーブルと同じ構造のケーブルを用い、当該ケーブルを直線状態から任意の曲率半径まで屈曲させ再び直線状態に戻すことを繰返して前記ケーブルが破断するまでの繰返し数Nを求める単純屈曲の屈曲疲労試験を行い、応力振幅σaと繰返し数Nとの関係である単純屈曲時のSN線図を作成しておき、かつ、前記単純屈曲時のSN線図から得られる単純屈曲時の疲労限度σw0と、前記ケーブルの引張強度σbとから、疲労限度と平均応力の関係である疲労限度線図を作成しておき、前記寿命を予測するケーブルの屈曲時の最大曲率半径R1から前記ケーブルに負荷される最小応力σminを求めると共に、前記疲労限度線図を用いて、前記単純屈曲時の疲労限度σw0に対応する平均応力σm0に前記最小応力σminを加えた平均応力σm1を求め、下式(1) α=(σb−σm1)/(σb−σm0)=σw1/σw0 ・・・(1) 但し、σb:ケーブルの引張強度 σm0:単純屈曲時の疲労限度σw0に対応する平均応力 σm1:平均応力σm0に最小応力σminを加えた平均応力 σw0:単純屈曲時の疲労限度 σw1:平均応力σm1に対応する疲労限度より疲労限度低減率αを求め、求めた疲労限度低減率αを前記単純屈曲時のSN線図に掛け合わせることにより、最大曲率半径をR1としたときのSN線図を求め、求めたSN線図を用いて前記ケーブルの屈曲疲労寿命を予測するケーブル屈曲疲労寿命予測方法である。 前記ケーブルは、複数の素線を撚り合わせた中心導体を有し、下式(2) εmin=(b−c)/(2R1+a) ・・・(2) 但し、a:ケーブルの外径 b:中心導体の外径 c:素線の外径 R1:ケーブルの屈曲時の最大曲率半径より、ケーブルを最大曲率半径R1で屈曲したときの最小歪みεminを求め、その最小歪みεminと、予め求めた前記ケーブルの歪み−応力線図とを基に、前記ケーブルに負荷される最小応力σminを求めてもよい。 また、本発明は、予め、寿命を予測するケーブルと同じ構造のケーブルを用い、当該ケーブルを直線状態から任意の曲率半径まで屈曲させ再び直線状態に戻すことを繰返して前記ケーブルが破断するまでの繰返し数Nを求める単純屈曲の屈曲疲労試験を行った試験結果が入力され、応力振幅σaと繰返し数Nとの関係である単純屈曲時のSN線図を作成する基準SN線図作成部と、前記単純屈曲時のSN線図から得られる単純屈曲時の疲労限度σw0と、前記ケーブルの引張強度σbとから、疲労限度と平均応力の関係である疲労限度線図を作成する疲労限度線図作成部と、前記寿命を予測するケーブルの屈曲時の最大曲率半径R1から前記ケーブルに負荷される最小応力σminを求める最小応力演算部と、前記疲労限度線図を用いて、前記単純屈曲時の疲労限度σw0に対応する平均応力σm0に前記最小応力σminを加えた平均応力σm1を求め、下式(1) α=(σb−σm1)/(σb−σm0)=σw1/σw0 ・・・(1) 但し、σb:ケーブルの引張強度 σm0:単純屈曲時の疲労限度σw0に対応する平均応力 σm1:平均応力σm0に最小応力σminを加えた平均応力 σw0:単純屈曲時の疲労限度 σw1:平均応力σm1に対応する疲労限度より疲労限度低減率αを求める疲労限度低減率演算部と、該疲労限度低減率演算部が求めた疲労限度低減率αを前記単純屈曲時のSN線図に掛け合わせることにより、最大曲率半径をR1としたときのSN線図を求める補正SN線図作成部と、該補正SN線図作成部が求めたSN線図を用いて前記ケーブルの屈曲疲労寿命を予測する屈曲疲労寿命予測部と、を備えたケーブル屈曲疲労寿命予測装置である。 本発明によれば、曲げ条件が変化しても、容易にケーブルの屈曲疲労寿命を予測可能なケーブル屈曲疲労寿命予測方法及び装置を提供できる。本発明の一実施の形態に係るケーブル屈曲疲労寿命予測方法の手順を示すフローチャートである。本発明において、ケーブルを最大曲率半径R1から最小曲率半径R2まで屈曲することを説明する図である。本発明において、ケーブルの曲げ状態(最大曲率半径R1と最小曲率半径R2)から、応力振幅σaを求める方法を説明する図である。本発明のケーブル屈曲疲労寿命予測方法で作成する単純屈曲時のSN線図の一例を示す図である。本発明のケーブル屈曲疲労寿命予測方法で作成する疲労限度線図の一例を示す図である。本発明において、単純屈曲時のSN線図に疲労限度低減率αを掛け合わせて、最大曲率半径をR1としたときのSN線図を得ることを説明する図である。本発明のケーブル屈曲疲労寿命予測方法に用いるケーブル屈曲疲労寿命予測装置のブロック図である。 以下、本発明の実施の形態を添付図面にしたがって説明する。 図1は、本実施の形態に係るケーブル屈曲疲労寿命予測方法の手順を示すフローチャートである。 図1に示すように、本実施の形態に係るケーブル屈曲疲労寿命予測方法では、予め、寿命を予測するケーブルと同じ構造のケーブルを用いて単純屈曲の屈曲疲労試験を行い、単純屈曲時のSN線図(疲労寿命マスターカーブ)と疲労限度線図を作成しておく(ステップS1)。 単純屈曲の屈曲疲労試験では、ケーブルを直線状態から任意の曲率半径Rまで屈曲させ再び直線状態に戻すことを繰返してケーブルが破断するまでの繰返し数Nを求める。なお、本実施の形態では、ケーブルの中心導体を構成する素線が破断した時点で、ケーブルが破断したと判断することとする。 ケーブルの曲げ状態(最大曲率半径R1と最小曲率半径R2)から、応力振幅σaを求めることができるので、上述の任意の曲率半径Rを変化させて試験を繰返すことにより、応力振幅σaと繰返し数Nの関係である単純屈曲時のSN線図が得られる。 ここで、ケーブルの曲げ状態(最大曲率半径R1と最小曲率半径R2)から、応力振幅σaを求める方法を説明しておく。 図2に示すように、ケーブル21を最大曲率半径R1から最小曲率半径R2まで屈曲する場合を考える。 図3に示すように、ケーブル21は、複数の素線22を撚り合わせた中心導体23の周囲に絶縁体24を設けた構造であるとする。ここでは、単純化のため、材料間に滑りがない理想的な状態で、かつ、中心導体23に撚りのない単純な構造を考える。また、ケーブル21を屈曲すると、屈曲外側では引張、屈曲内側では圧縮の力が作用するが、素線1本1本には引張または圧縮の負荷が作用することとする。 ケーブル21を任意の曲率半径Rで屈曲したときの歪みεは、下式(3) ε=(La−L)/L ={2π(R+a/2+b/2−c/2)−2π(R+a/2)}/2π(R+a/2) =(b−c)/(2R+a) ・・・(3) 但し、L:屈曲部における中心導体の中心長さ La:屈曲部における曲げの最も外側に位置する素線の中心長さ a:ケーブルの外径 b:中心導体の外径 c:素線の外径で与えられる。 したがって、ケーブル21を最大曲率半径R1から最小曲率半径R2まで繰返し屈曲させる場合は、下式(4),(5) εmin=(b−c)/(2R1+a) ・・・(4) εmax=(b−c)/(2R2+a) ・・・(5)で表される最小歪みεminと最大歪みεmaxが繰返しケーブル21に発生することとなる。ケーブル21における歪みと応力の関係を表す歪み−応力線図(SS線図)を予め取得しておけば、最小歪みεminに対応する最小応力σmin、最大歪みεmaxに対応する最大応力σmaxがそれぞれ得られるので、下式(6) σa=(σmax−σmin)/2 ・・・(6)より応力振幅σaが得られる。 また、下式(7) σm=(σmax+σmin)/2 ・・・(7)より平均応力σmが得られる。 なお、単純屈曲時には、最大曲率半径R1=∞(曲率でいえば0)であるから、式(4)よりεmin=0、つまりσmin=0となり、式(6),(7)よりσa=σm=σmax/2となる。 また、式(6),(7)より、平均応力σmは、下式(8) σm=σa+σmin ・・・(8)のように表すことができる。式(8)より、応力振幅σaが等しくても、屈曲の基準となる最大曲率半径R1が変化すると、平均応力σmは最大曲率半径R1に応じた最小応力σmin分だけ変化し、屈曲疲労寿命に影響を与えてしまうことが分かる。 ステップS1で得られる単純屈曲時のSN線図の一例を図4に示す。このSN線図におけるN=107サイクルの応力振幅σaから、単純屈曲時の疲労限度σw0が求まる。なお、疲労限度とは、疲労による破断が発生しない応力振幅σaの上限値であり、107サイクルの時間強度(応力振幅σa)を疲労限度とするのが一般的である。 図4の単純屈曲時のSN線図から得られる単純屈曲時の疲労限度σw0と、ケーブル21の引張強度σbとから、疲労限度と平均応力の関係である疲労限度線図が作成できる。作成される疲労限度線図の一例を図5に示す。なお、本実施の形態では、中心導体23の素線22が破断した時点でケーブル21が破断したと判断するため、ケーブル21の引張強度σbは、素線22の引張強度と等しい。 図5に示すように、疲労限度線図は縦軸を応力振幅σa、横軸を平均応力σmとしたグラフ図である。単純屈曲(所謂片振り)では、上述のように応力振幅σaと平均応力σmが等しくなるので、単純屈曲の入力は横軸(および縦軸)に対して45度傾いた直線で表される。この45度傾いた直線上に応力振幅σaが単純屈曲時の疲労限度σw0となる点Aをプロットすると共に、横軸上に平均応力σmが引張強度σbとなる点Bをプロットし、この2点A,Bを通る直線を引くことで疲労限度線図が作成できる。この疲労限度線図を用いることにより、任意の応力振幅σaと平均応力σmの組合せが直線の上側の領域にあれば疲労による破断が発生し、直線の下側の領域にあれば疲労による破断が発生しない、といった判断が可能になる。 ステップS1にて単純屈曲時のSN線図と疲労限度線図を作成した後、ステップS2に進む。なお、単純屈曲時のSN線図と疲労限度線図を一度作成すれば、以降はステップS1は省略可能である。 ステップS2では、寿命を予測するケーブルの屈曲時の最大曲率半径R1からケーブルに負荷される最小応力σminを求める。具体的には、上述の式(4)により最小歪みεminを求め、SS線図を用いて最小歪みεminに対応する最小応力σminを求める。なお、ここでいう最大曲率半径R1とは、屈曲の基準となる曲げ状態であり、以下では、最大曲率半径R1でケーブルを屈曲した状態から、さらにケーブルを屈曲したときのケーブルの屈曲疲労寿命を予測することになる。 ステップS3では、疲労限度低減率αを求める。具体的には、図5に示す疲労限度線図を用いて、単純屈曲時の疲労限度σw0に対応する平均応力σm0に、ステップS2で求めた最小応力σminを加えて平均応力σm1を求め、下式(1) α=(σb−σm1)/(σb−σm0)=σw1/σw0 ・・・(1) 但し、σb:ケーブルの引張強度 σm0:単純屈曲時の疲労限度σw0に対応する平均応力 σm1:平均応力σm0に最小応力σminを加えた平均応力 σw0:単純屈曲時の疲労限度 σw1:平均応力σm1に対応する疲労限度より疲労限度低減率αを求める。つまり、平均応力σm1に対応する疲労限度σw1と単純屈曲時の疲労限度σw0の比から疲労限度低減率αを求める。この疲労限度低減率αは、最大曲率半径を∞(直線状態)からR1に変更することにより、単純屈曲時に対して疲労限度がどの程度低下するかを表す比率である。 ステップS4では、図6に示すように、ステップS3で求めた疲労限度低減率αを、ステップS1で求めた単純屈曲時のSN線図(図示破線)に掛け合わせることにより、最大曲率半径をR1としたときのSN線図(図示実線)を求める。 ステップS5では、ステップS4で求めたSN線図を用いてケーブルの屈曲疲労寿命を予測する。 次に、本発明のケーブル屈曲疲労寿命予測方法を実現するケーブル屈曲疲労寿命予測装置について説明する。 図7に示すように、ケーブル屈曲疲労寿命予測装置71は、入力部72と、基準SN線図作成部73と、疲労限度線図作成部74と、最小応力演算部75と、疲労限度低減率演算部76と、補正SN線図作成部77と、屈曲疲労寿命予測部78と、出力部79と、を備えている。これら各部は、I/Oインターフェイス、メモリ、CPU、ソフトウェアなどを適宜組み合わせて実現される。 入力部72は、単純屈曲の屈曲疲労試験の試験結果とケーブルの引張強度σbを入力する試験結果入力部72aと、屈曲の基準となるケーブルの最大曲率半径R1を入力する最大曲率半径入力部72bと、実際に寿命(破断回数)を予測する曲げ条件(最小曲率半径R2)を入力する寿命予測条件入力部72cと、を有している。 基準SN線図作成部73は、試験結果入力部72aで入力された単純屈曲の屈曲疲労試験の試験結果を基に、単純屈曲時のSN線図を作成する。作成した単純屈曲時のSN線図は、基本データ記憶部80に記憶される。 疲労限度線図作成部74は、基準SN線図作成部73が作成した単純屈曲時のSN線図から得られる単純屈曲時の疲労限度σw0と、試験結果入力部72aで入力されたケーブルの引張強度σbとから、疲労限度線図を作成する。作成した疲労限度線図は、基本データ記憶部80に記憶される。 最小応力演算部75は、最大曲率半径入力部72bで入力された最大曲率半径R1から、ケーブルに負荷される最小応力σminを求め、求めた最小応力σminを疲労限度低減率演算部76と屈曲疲労寿命予測部78に出力する。 疲労限度低減率演算部76は、単純屈曲時の疲労限度σw0に対応する平均応力σm0に、最小応力演算部75から入力された最小応力σminを加えて平均応力σm1を求め、基本データ記憶部80に記憶された疲労限度線図を用いて、上述の式(1)より疲労限度低減率αを求める。求めた疲労限度低減率αは、補正SN線図作成部77に出力される。 補正SN線図作成部77は、基本データ記憶部80に記憶された単純屈曲時のSN線図に、疲労限度低減率演算部76から入力された疲労限度低減率αを掛け合わせることにより、最大曲率半径をR1としたときのSN線図を求める。求めたSN線図は、補正データ記憶部81に記憶される。 屈曲疲労寿命予測部78は、補正データ記憶部81に記憶されたSN線図を用いて、ケーブルの屈曲疲労寿命を予測し、予測結果をディスプレイなどの出力部79に出力する。 より具体的には、寿命予測条件入力部72cで入力された最小曲率半径R2から最大応力σmaxを求め、求めた最大応力σmaxと最小応力演算部75から入力された最小応力σminとから、上述の式(6)により応力振幅σaを求め、補正データ記憶部81に記憶されたSN線図から応力振幅σaに対応する繰返し数(破断回数、すなわち寿命)Nを求め、得られた繰返し数Nを出力部79に出力する。 以上説明したように、本実施の形態に係るケーブル屈曲疲労寿命予測方法では、予め単純屈曲時のSN線図と疲労限度線図を作成しておき、ケーブルの屈曲時の最大曲率半径R1から最小応力σminを求めると共に、単純屈曲時の疲労限度σw0に対応する平均応力σm0に前記最小応力σminを加えた平均応力σm1を求め、求めた平均応力σm1に対応する疲労限度σw1と単純屈曲時の疲労限度σw0の比から疲労限度低減率αを求め、求めた疲労限度低減率αを単純屈曲時のSN線図に掛け合わせることにより、最大曲率半径をR1としたときのSN線図を求め、求めたSN線図を用いてケーブルの屈曲疲労寿命を予測するようにしている。 つまり、本発明では、予め取得していた単純屈曲時のSN線図に疲労寿命低減率αを適用することで、最大曲率半径をR1としたときのSN線図を作成し、得られたSN線図へ曲げ条件を照合することで屈曲疲労寿命を予測している。 従来技術では、曲げ条件(屈曲の基準となる曲げ状態、すなわちケーブルの最大曲率半径R1)が変わると再度屈曲疲労試験を行ってSN線図を取得しなければならず、非常に手間がかっていたが、本発明によれば、曲げ条件(最大曲率半径R1)が変化しても、最大曲率半径をR1としたときのSN線図を容易に求めることが可能となり、容易にケーブルの屈曲疲労寿命を予測することが可能となる。その結果、ケーブルの屈曲疲労寿命を予測するために要する時間を短縮でき、開発期間の短縮に寄与する。 本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。 例えば、上記実施の形態では、基準となるSN線図として単純屈曲時のSN線図を用いたが、これに限らず、任意の最大曲率半径R0でのSN線図を基準として用いることも可能である。この場合、例えば、最大曲率半径をR1としたときの疲労限度低減率αは、基準となるSN線図から得られる疲労限度σw0に対応する平均応力σm0に、最大曲率半径R1に対応する最小応力σmin1から最大曲率半径R0に対応する最小応力σmin0を減じた最小応力変化量Δσminを足し合わせて、平均応力σm1を求め、上述の式(1)を用いて算出するようにすればよい。21 ケーブル22 素線23 中心導体24 絶縁体 予め、寿命を予測するケーブルと同じ構造のケーブルを用い、当該ケーブルを直線状態から任意の曲率半径まで屈曲させ再び直線状態に戻すことを繰返して前記ケーブルが破断するまでの繰返し数Nを求める単純屈曲の屈曲疲労試験を行い、応力振幅σaと繰返し数Nとの関係である単純屈曲時のSN線図を作成しておき、 かつ、前記単純屈曲時のSN線図から得られる単純屈曲時の疲労限度σw0と、前記ケーブルの引張強度σbとから、疲労限度と平均応力の関係である疲労限度線図を作成しておき、 前記寿命を予測するケーブルの屈曲時の最大曲率半径R1から前記ケーブルに負荷される最小応力σminを求めると共に、 前記疲労限度線図を用いて、前記単純屈曲時の疲労限度σw0に対応する平均応力σm0に前記最小応力σminを加えた平均応力σm1を求め、下式(1) α=(σb−σm1)/(σb−σm0)=σw1/σw0 ・・・(1) 但し、σb:ケーブルの引張強度 σm0:単純屈曲時の疲労限度σw0に対応する平均応力 σm1:平均応力σm0に最小応力σminを加えた平均応力 σw0:単純屈曲時の疲労限度 σw1:平均応力σm1に対応する疲労限度より疲労限度低減率αを求め、 求めた疲労限度低減率αを前記単純屈曲時のSN線図に掛け合わせることにより、最大曲率半径をR1としたときのSN線図を求め、求めたSN線図を用いて前記ケーブルの屈曲疲労寿命を予測する ことを特徴とするケーブル屈曲疲労寿命予測方法。 前記ケーブルは、複数の素線を撚り合わせた中心導体を有し、 下式(2) εmin=(b−c)/(2R1+a) ・・・(2) 但し、a:ケーブルの外径 b:中心導体の外径 c:素線の外径 R1:ケーブルの屈曲時の最大曲率半径より、ケーブルを最大曲率半径R1で屈曲したときの最小歪みεminを求め、 その最小歪みεminと、予め求めた前記ケーブルの歪み−応力線図とを基に、前記ケーブルに負荷される最小応力σminを求める 請求項1記載のケーブル屈曲疲労寿命予測方法。 予め、寿命を予測するケーブルと同じ構造のケーブルを用い、当該ケーブルを直線状態から任意の曲率半径まで屈曲させ再び直線状態に戻すことを繰返して前記ケーブルが破断するまでの繰返し数Nを求める単純屈曲の屈曲疲労試験を行った試験結果が入力され、応力振幅σaと繰返し数Nとの関係である単純屈曲時のSN線図を作成する基準SN線図作成部と、 前記単純屈曲時のSN線図から得られる単純屈曲時の疲労限度σw0と、前記ケーブルの引張強度σbとから、疲労限度と平均応力の関係である疲労限度線図を作成する疲労限度線図作成部と、 前記寿命を予測するケーブルの屈曲時の最大曲率半径R1から前記ケーブルに負荷される最小応力σminを求める最小応力演算部と、 前記疲労限度線図を用いて、前記単純屈曲時の疲労限度σw0に対応する平均応力σm0に前記最小応力σminを加えた平均応力σm1を求め、下式(1) α=(σb−σm1)/(σb−σm0)=σw1/σw0 ・・・(1) 但し、σb:ケーブルの引張強度 σm0:単純屈曲時の疲労限度σw0に対応する平均応力 σm1:平均応力σm0に最小応力σminを加えた平均応力 σw0:単純屈曲時の疲労限度 σw1:平均応力σm1に対応する疲労限度より疲労限度低減率αを求める疲労限度低減率演算部と、 該疲労限度低減率演算部が求めた疲労限度低減率αを前記単純屈曲時のSN線図に掛け合わせることにより、最大曲率半径をR1としたときのSN線図を求める補正SN線図作成部と、 該補正SN線図作成部が求めたSN線図を用いて前記ケーブルの屈曲疲労寿命を予測する屈曲疲労寿命予測部と、を備えた ことを特徴とするケーブル屈曲疲労寿命予測装置。 【課題】曲げ条件が変化しても、容易にケーブルの屈曲疲労寿命を予測可能なケーブル屈曲疲労寿命予測方法及び装置を提供する。【解決手段】予め単純屈曲時のSN線図と疲労限度線図を作成しておき、寿命を予測するケーブルの屈曲時の最大曲率半径R1からケーブルに負荷される最小応力σminを求めると共に、疲労限度線図を用いて、単純屈曲時の疲労限度σw0に対応する平均応力σm0に最小応力σminを加えた平均応力σm1を求め、求めた平均応力σm1に対応する疲労限度σw1と単純屈曲時の疲労限度σw0の比から疲労限度低減率αを求め、求めた疲労限度低減率αを単純屈曲時のSN線図に掛け合わせることにより、最大曲率半径をR1としたときのSN線図を求め、求めたSN線図を用いてケーブルの屈曲疲労寿命を予測する。【選択図】図1


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