タイトル: | 特許公報(B2)_免疫調節作用を有する乳を産生する食餌のスクリーニング法 |
出願番号: | 2010543731 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C12Q 1/68,C12N 15/113,A23L 1/30,A23C 9/152 |
落谷 孝広 小坂 展慶 関根 一則 和泉 裕久 JP 4774128 特許公報(B2) 20110701 2010543731 20100714 免疫調節作用を有する乳を産生する食餌のスクリーニング法 森永乳業株式会社 000006127 川口 嘉之 100100549 松倉 秀実 100090516 佐貫 伸一 100126505 丹羽 武司 100131392 落谷 孝広 小坂 展慶 関根 一則 和泉 裕久 JP 2009165991 20090714 20110914 C12Q 1/68 20060101AFI20110825BHJP C12N 15/113 20100101ALI20110825BHJP A23L 1/30 20060101ALI20110825BHJP A23C 9/152 20060101ALI20110825BHJP JPC12Q1/68 AC12N15/00 GA23L1/30 AA23C9/152 C12N15/ C12Q1/ A23L1/30 CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) J. Immunol., 2007, vol.179, no.3, p.1969-1978 Silence, 2010.03.01, vol.1, p.7(1/8-8/8) Biochem. Biophys. Res. Commun., 2010.05.28, vol.396, no.2, p.528-533 11 JP2010061926 20100714 WO2011007815 20110120 34 20101115 小暮 道明 本発明は、免疫調節作用を有する乳を産生する食餌のスクリーニング法に関するものであり、食品、飼料分野等において有用である。 生体の免疫は、生来は外来からの攻撃に対して「防御」の目的で機能する。例えば、感染防御や癌細胞の除去が『防御』であり、この場合は免疫の増強が有効に作用している。 一方で、免疫による過剰反応、すなわち『亢進』が生体に悪影響を及ぼす場合もある。この例としては、アレルギー反応や自己免疫疾患、慢性炎症等が挙げられる。この場合、IL−6、TNF−α、IL−1等の炎症性サイトカインの産生を抑制することによって、症状の改善がみられることが知られている。 そして、このような外来からの攻撃に対して「防御」の目的で機能する免疫増強作用や、過剰な免疫反応によるアレルギー反応や自己免疫疾患、慢性炎症等に対して抑制的に機能する免疫抑制作用は、マイクロRNA(以下、「miRNA」とも記載する。)の制御を受けることが明らかになってきている。 miRNAは、ゲノムから転写された後、二度の切断を受け、約22ベースの非翻訳小分子RNAとなる。その機能として、標的mRNAの3'非翻訳領域に配列相補的に結合し、その標的mRNAの翻訳を抑制することが知られている。1種類のmiRNAが、細胞内における複数のmRNAの翻訳を阻害することにより、細胞の様々な機能を制御する。特にがんの発生や進展に関わる報告が多数なされており、miRNAと疾患との関わりが注目されている。 例えば、miR-181については、B細胞の発達、及びT細胞の活性化等、免疫発達に関与することが報告されている(非特許文献1〜3)。 miR-155については、自然免疫系の活性化(非特許文献1、4)、及び、T細胞及びB細胞の分化・機能制御(非特許文献1、5)を通じて免疫発達に関与し、また、Th1/Th2バランス制御(非特許文献1、6)、及び、過剰な免疫反応を抑制する制御性T細胞の機能維持(非特許文献7)を通じて抗アレルギー、抗炎症に関与することが知られている。 miR-17及びmiR-92は協調して、B細胞及びT細胞の分化・発達を制御することによって(非特許文献1、8、9)、免疫発達に関与する。 miR-223は、好中球の増殖・活性化を抑制することによって(非特許文献1、10)、miR-150は、B細胞分化を抑制することによって(非特許文献1、11)、let-7iは、胆管細胞のTLR4発現を制御することによって(非特許文献12)、それぞれ感染防御に関与することが知られている。 miR-125は、TNF-αの産生を抑制することによって、抗炎症に関与することが知られている(非特許文献1、13)。 miR-146は、自然免疫系を負に制御することによって感染防御に関与し(非特許文献1、14)、また、Th1/Th2バランスを制御することによって抗アレルギーに関与すること(非特許文献15)が、知られている。 最近、翻訳制御分子として細胞内で働くmiRNAが、エクソソームと呼ばれる脂質二重膜内に存在し、細胞外に分泌されることが報告された(非特許文献16)。分泌されたmiRNAは、他の細胞に取り込まれることも確認されたことから、miRNAを介した細胞間相互作用の存在が提示された。一方エクソソームは、様々なヒトの体液中に存在することが知られている。特に人の血漿や血清中ではmiRNAの存在がすでに報告されており、前立腺がんや子宮がんにおけるバイオマーカーとして用いられる可能性が示唆されている(非特許文献17)。 エクソソームが存在する体液には、血漿や血清の他に、唾液、尿、羊水そして母乳がある(非特許文献17)。この中で母乳は、哺乳動物にとって特定の時期に作られる体液であり、母体から子供という個体間における物質の移動を担っている。また母乳は、子供に対する栄養補給の他に、母体が獲得した免疫物質を子供に与えている。 母乳中には分泌型IgA、ラクトフェリン、リゾチーム、サイトカインなどが存在し、乳児を感染から守るとともに、乳児の免疫発達を促していると考えられている(非特許文献19)。実際、母乳で育った子供は、そうでない子供に比べて、気管支や腸管における感染のリスクが低いことが知られている。母乳には抗菌作用を示すIgAやラクトフェリン、糖蛋白質や糖脂質などが存在する他、免疫細胞を制御するサイトカインなども含まれている。しかし、これまでの研究で解析されていた対象は、主に母乳中に含まれている蛋白質に対するものであり、核酸に係る報告はあるものの、特定の配列を有する核酸に関わる研究は報告されていない。 また、シクロオキシゲナーゼ−2の発現により調節される乳腺細胞の発達が、miR-101aにより制御されることが知られている(非特許文献20)。しかし、miRNAが乳中に存在することを示唆するものではない。 尚、本願優先日後に、ウシ乳由来の微小胞(microvesicle)にマイクロRNAが存在していること(特許文献21)、及び、授乳期の異なるウシの生乳、市販の液乳又は粉乳中のマイクロRNAが同定されたこと(特許文献22)が報告されている。Lindsay, M. A., Trends Immunol, 29: 343-351, 2008Li, Qi-Jing et al., Cell, 129: 147-161, 2007Chen, Chang-Zheng et al., Science, 303: 83-86, 2004O'Connel, R. M. et al., PNAS, 104(5): 1604-1609, 2007Vigorito, E. et al., Immunity, 27: 847-859, 2007Rodriguez, A. et al., Science, 316: 608-611, 2007Kohlhaas, S. et al., J. Immunol., 182: 2578-2582, 2009Koralov, S. B. et al., Cell, 132: 860-874, 2008Xiao, C. et al., Nat. Immunol., 9: 405-414, 2008Jonathan, B. et al., Nature, 451: 1125-1129, 2008Zhou, B. et al., PNAS, 104(17): 7080-7085, 2007Chen, Xian-Ming et al., J. Biol. Chem., 282(39): 28929-28938, 2007Tili, E. et al., J. Immunol., 179: 5082-5089, 2007Taganov, K. D. et al., PNAS, 103(33): 12481-12486, 2006Monticelli, S. et al., Genome Biol., 6, R71, 2005Valadi, H. et al., Nat. Cell Biol., 9: 654-659, 2007Gilad, S. et al., PLoS One, 3(9): e3148, 2008Admyre, C., J. Immunol., 179: 1969-1978, 2007Goldman, A. S., Breastfeed. Med., 2(4): 195-204, 2007Tanaka, T. et al., Differentiation, 77: 181-187, 2009Hata, T. et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 396(2): 528-533, 2010Chen, X. et al., Cell Research, (2010):1-10 本発明は、免疫調節作用を有する乳を産生する食餌のスクリーニング法、及び免疫調節作用を有する新規な食品並びにその製造方法を提供することを課題とする。 本発明者らは、母乳が乳児の免疫系成熟に影響を及ぼすことに着目して研究を進めた結果、母乳に免疫関連miRNAが高発現していることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、哺乳動物の乳中のマイクロRNAプロファイルと、該哺乳動物が摂取した食餌又は該食餌に含まれる物質との相関を指標として、乳中のマイクロRNAの存在量を増加又は減少させる食餌又は物質を同定することを含む、免疫調節作用を有する母乳を産生する食餌又は物質のスクリーニング方法を提供する。 前記方法は、前記免疫調節作用が免疫増強作用であって、前記マイクロRNAの存在量が増加すれば、前記食餌又は物質は免疫増強作用を有する母乳を産生させると判定されることを一態様としている。 前記方法は、前記食餌の摂取前後の各々の乳中に含まれるマイクロRNAプロファイルを比較し、摂取前に比べて摂取後に少なくとも一種のマイクロRNAの存在量が高ければ、前記食餌は乳中のマイクロRNAの存在量を増加させると判定されることを好ましい態様としている。 また、前記方法は、乳中のマイクロRNAプロファイルと、血清中又は血漿中のマイクロRNAプロファイルとを比較し、乳中と血清中又は血漿中のいずれにも含まれるマイクロRNAの存在量が、前記食餌の摂取により血清中又は血漿中よりも乳中の方が1.2倍以上高まれば、乳中のマイクロRNAの存在量を増加させると判定されることを好ましい態様としている。 また、本発明の方法は、前記免疫調節作用が免疫抑制作用であって、前記マイクロRNAの存在量が低下すれば、前記食餌又は物質は免疫抑制作用を有する母乳を産生させると判定されることを他の態様としている。 前記方法は、前記食餌の摂取前後の各々の乳中に含まれるマイクロRNAプロファイルを比較し、摂取前に比べて摂取後に少なくとも一種のマイクロRNAの存在量が低ければ、前記食餌は乳中のマイクロRNAの存在量を低下させると判定されることを好ましい態様としている。 前記方法は、乳中のマイクロRNAプロファイルと、血清中又は血漿中のマイクロRNAプロファイルとを比較し、乳中と血清中又は血漿中のいずれにも含まれるマイクロRNAの存在量が、前記食餌の摂取により血清中又は血漿中よりも乳中の方が0.8倍以下低下すれば、乳中のマイクロRNAの存在量を低下させると判定されることを好ましい態様としている。 また前記方法は、前記哺乳動物がヒトであることを好ましい態様としている。 また前記方法は、前記マイクロRNAプロファイルが、miR-10、miR-15、miR-16、miR-17、miR-18、miR-19、miR-20、miR-21、miR-22、miR-23、miR-24、miR-25、miR-26、miR-27、miR-28、miR-29、miR-30、miR-31、miR-33、miR-34、miR-92、miR-93、miR-96、miR-98、miR-99、miR-100、miR-101、miR-103、miR-106、miR-107、miR-125、miR-126、miR-128、miR-129、miR-130、miR-133、miR-134、miR-139、miR-140、miR-141、miR-143、miR-146、miR-148、miR-151、miR-152、miR-155、miR-181、miR-182、miR-183、miR-184、miR-185、miR-186、miR-188、miR-192、miR-193、miR-195、miR-196、miR-199、miR-200、miR-203、miR-204、miR-205、miR-206、miR-210、miR-212、miR-214、miR-218、miR-219、miR-221、miR-222、miR-223、miR-290、miR-291、miR-292、miR-294、miR-296、miR-301、miR-320、miR-322、miR-324、miR-327、miR-328、miR-331、miR-338、miR-340、miR-341、miR-342、miR-345、miR-347、miR-352、miR-361、miR-362、miR-365、miR-370、miR-375、miR-378、miR-409、miR-425、miR-429、miR-452、miR-455、miR-465、miR-466、miR-483、miR-484、miR-486、miR-494、miR-497、miR-500、miR-503、miR-532、miR-542、miR-584、miR-652、miR-664、miR-672、miR-685、miR-708、miR-760、miR-872、miR-874、miR-877、miR-1224、miR-1300、miR-1307、let-7a、let-7b、let-7c、let-7d、le-7e、let-7f、及び、let-7iからなる群から選ばれるマイクロRNAの存在量であることを好ましい態様としている。 また前記方法は、前記マイクロRNAプロファイルが、miR-15、miR-16、miR-17、miR-18、miR-19、miR-20、miR-21、miR-23、miR-24、miR-26、miR-27、miR-29、miR-30 、miR-33、miR-34、miR-92、miR-93、miR-99、miR-100、miR-101、miR-106、miR-107、miR-125、miR-130、miR-140、miR-141、miR-143、miR-146、miR-155、miR-181、miR-185、miR-186、miR-192、miR-193、miR-195、miR-200、miR-205、miR-210、miR-218、miR-219、miR-221、miR-222、miR-223、miR-301、miR-322、miR-340、miR-361、miR-370、miR-429、miR-455、miR-466、miR-497、miR-500、miR-503、miR-532、miR-542、let-7d、及び、let-7iからなる群から選ばれるマイクロRNAの存在量であることを好ましい態様としている。 また前記方法は、前記マイクロRNAプロファイルが、miR-15、miR-16、miR-19、miR-21、miR-23、miR-24、miR-26、miR-27、miR-30、miR-34、miR-99、miR-106、miR-107、miR-125、miR-130、miR-140、miR-181、miR-193、miR-210、miR-222、miR-223、miR-361、miR-370、miR-429、miR-500、miR-532、let-7d、及び、let-7iからなる群から選ばれるマイクロRNAの存在量であることを好ましい態様としている。マイクロアレイ解析によるヒト母乳中のmiRNAの検出の結果を示す。出生から最初の6ヶ月間、及びその後の6ヶ月間の母乳中のmiR-181aのレベルの比較を示す。hsaはヒトを、celは線虫(Caenorhabditis elegans)を表す(以下の図でも同様)。出生から最初の6ヶ月間、及びその後の6ヶ月間の母乳中のmiR-155、miR-17、及びmiR-92のレベルの比較を示す。ヒトの母乳及び血清中の免疫関連miRNAレベルの比較を示す。凍結融解前後のmiRNAのレベルの比較を示す。低pH(pH 1)で保存前後のmiRNAのレベルの比較を示す。RNase処理及び未処理のmiRNAのレベルの比較を示す。 本発明の方法は、哺乳動物の乳中のmiRNAプロファイルと、該哺乳動物が摂取した食餌又は該食餌に含まれる物質との相関により、乳中のmiRNAの存在量を増加又は低下させる食餌又は物質を同定することを含む、免疫調節作用を有する母乳を産生する食餌又は物質のスクリーニング方法である。 本発明は、前記免疫調節作用が免疫増強作用であって、前記マイクロRNAの存在量が増加すれば、前記食餌又は物質は免疫増強作用を有する母乳を産生させると判定されることを一態様としている。また、本発明は、前記免疫調節作用が免疫抑制作用であって、前記マイクロRNAの存在量が低下すれば、前記食餌又は物質は免疫抑制作用を有する母乳を産生させると判定されることを他の態様としている。 本発明は、乳中にmiRNAが含まれているという新たな知見、及び、このmiRNAが胃中の酸性条件下でも安定に存在し得るということ、並びに、母乳がそれを摂取した乳児に免疫発達を促すという事実(例えば、Breastfeed. Med, 2(4):195-204, 2007)から、miRNAの経口投与により免疫調節作用を期待できるという思想に基づくものである。そして、乳中のmiRNAプロファイルは、食餌により影響を受けるとの予測から、乳中のmiRNAの存在量を高めることができる、又は低下させることができる食餌又はそれに含まれる有効成分を同定することに想到した。 本発明のスクリーニング方法、乳又は乳製品等で規定される免疫調節作用とは、外来からの攻撃に対して「防御」の目的で機能する免疫賦活作用を増強する作用(免疫増強作用)、及び免疫による過剰反応、すなわち「亢進」が生体に悪影響を及ぼすアレルギー反応や自己免疫疾患、慢性炎症等に対して抑制的に機能する免疫抑制作用のいずれも例示することが可能である。 なお、「免疫増強作用」及び「免疫抑制作用」は相対的な文言であって、ある哺乳動物の母乳が通常持つ免疫賦活作用に比べて、その動物が前記食餌又は物質を摂取したときに該作用が増強されていれば、その母乳は免疫増強作用を有し、低下していれば免疫抑制作用を有する。また、哺乳動物が前記食餌又は物質を摂取する前に比べて、摂取後に該作用が増強されていれば、その動物の母乳は免疫増強作用を有し、低下していれば免疫抑制作用を有する。 哺乳動物の乳中のmiRNAプロファイルと、該哺乳動物が摂取した食餌又は該食餌に含まれる物質との相関は、例えば以下のようにして調べることができる。 食餌を摂取した哺乳動物から乳を採取し、乳中のmiRNAプロファイルを調べる。 哺乳動物は特に制限されないが、ヒト、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、サル、イヌ、ネコ、ラット、マウス、ハムスター、モルモット等が挙げられる。好ましくはヒト、ウシである。 本発明において、miRNAプロファイルとは、miRNAの種類と、それらの存在量からなる。miRNAは一種でもよく、任意の2種以上であってもよい。miRNAの種類は、乳中に存在するものであれば特に制限されないが、miR-10、miR-15、miR-16、miR-17、miR-18、miR-19、miR-20、miR-21、miR-22、miR-23、miR-24、miR-25、miR-26、miR-27、miR-28、miR-29、miR-30、miR-31、miR-33、miR-34、miR-92、miR-93、miR-96、miR-98、miR-99、miR-100、miR-101、miR-103、miR-106、miR-107、miR-125、miR-126、miR-128、miR-129、miR-130、miR-133、miR-134、miR-139、miR-140、miR-141、miR-143、miR-146、miR-148、miR-151、miR-152、miR-155、miR-181、miR-182、miR-183、miR-184、miR-185、miR-186、miR-188、miR-192、miR-193、miR-195、miR-196、miR-199、miR-200、miR-203、miR-204、miR-205、miR-206、miR-210、miR-212、miR-214、miR-218、miR-219、miR-221、miR-222、miR-223、miR-290、miR-291、miR-292、miR-294、miR-296、miR-301、miR-320、miR-322、miR-324、miR-327、miR-328、miR-331、miR-338、miR-340、miR-341、miR-342、miR-345、miR-347、miR-352、miR-361、miR-362、miR-365、miR-370、miR-375、miR-378、miR-409、miR-425、miR-429、miR-452、miR-455、miR-465、miR-466、miR-483、miR-484、miR-486、miR-494、miR-497、miR-500、miR-503、miR-532、miR-542、miR-584、miR-652、miR-664、miR-672、miR-685、miR-708、miR-760、miR-872、miR-874、miR-877、miR-1224、miR-1300、miR-1307、let-7a、let-7b、let-7c、let-7d、le-7e、let-7f、及び、let-7i等が挙げられる。 これらのmiRNAは、ヒト母乳、ラットの初乳、又はウシの初乳のいずれかで存在が確認されたものである。前記したように、母乳は、それを摂取した乳児に免疫発達を促すことが知られている(例えば、Breastfeed. Med., 2(4):195-204, 2007)。また、一般的に、初乳には乳児(仔)の免疫系に対して重要と考えられる成分が多く含まれていることが報告されている(J. Anim. Sci. 2009. 87 (Suppl. 1): 3-9)。したがって、上記の乳中で存在が確認されたmiRNAは免疫機能に関連することが示唆される。 上記のうち、好ましいのは、miR-15、miR-16、miR-17、miR-18、miR-19、miR-20、miR-21、miR-23、miR-24、miR-26、miR-27、miR-29、miR-30 、miR-33、miR-34、miR-92、miR-93、miR-99、miR-100、miR-101、miR-106、miR-107、miR-125、miR-130、miR-140、miR-141、miR-143、miR-146、miR-155、miR-181、miR-185、miR-186、miR-192、miR-193、miR-195、miR-200、miR-205、miR-210、miR-218、miR-219、miR-221、miR-222、miR-223、miR-301、miR-322、miR-340、miR-361、miR-370、miR-429、miR-455、miR-466、miR-497、miR-500、miR-503、miR-532、miR-542、let-7d、let-7iである。これらは、免疫調節作用が報告されているmiRNA、ラット及びウシの両者の初乳で存在が確認されたmiRNA、及び、ビフィズス菌を投与したラットの初乳で存在量が上昇したmiRNAである。 また、上記miRNAのうち、特に好ましいものは、miR-15、miR-16、miR-19、miR-21、miR-23、miR-24、miR-26、miR-27、miR-30、miR-34、miR-99、miR-106、miR-107、miR-125、miR-130、miR-140、miR-181、miR-193、miR-210、miR-222、miR-223、miR-361、miR-370、miR-429、miR-500、miR-532、let-7d、及び、let-7iである。これらは、ラット及びウシの両者の初乳で存在が確認されたmiRNAである。 miRNAにはサブタイプが存在するものがあり、例えば、miR-181、miR-92、miR-125、miR-146等は、各々、miR-181a、miR-181b、miR-181c、miR-181d、miR-92a、miR-92b、miR-125a、miR-125a-3P、miR-125a-5P、miR-125b、miR-146a、miR-146b、miR-146b-3P、及びmiR-146b-5Pの2〜4種類のサブタイプが知られている。その他のmiRNAも、複数種のサブタイプが存在するものがあるが、本発明においては、いずれのサブタイプであってもよい。サブタイプとしては、後記実施例で乳中での存在が確認されたものが挙げられる(実施例1、3、4及び5参照)。 ヒトmiR-155前駆体hsa-mir-155(MI0000681)、及びその活性部位hsa-miR-155(MIMAT0009241)の塩基配列を、それぞれ配列番号1及び2に示す。カッコ内は、miRNAデータベース(miRBase::Sequences、http://microrna.sanger.ac.uk/sequences/index.shtml)のアクセション番号である(以下、同様)。 ウシmiR-155前駆体hsa-miR-155(MI0009752)、及びその活性部位bta-miR-155(MIMAT0000646)の塩基配列を、それぞれ配列番号3及び4に示す。 ヒトmiR-181a前駆体hsa-mir-181a-1(MI0000289)、hsa-mir-181a-2(MI0000269)、及びその活性部位hsa-miR-181a(MIMAT0000256)の塩基配列を、それぞれ配列番号5、6及び7に示す。 ヒトmiR-181b前駆体hsa-mir-181b-1(MI0000270)、hsa-mir-181b-2(MI0000683)、及びその活性部位hsa-miR-181b(MIMAT0000257)の塩基配列を、それぞれ配列番号8、9及び10に示す。 ウシmiR-181a前駆体bta-mir-181a(MI0004757)、bta-mir-181a-1(MI0010484)、及びその活性部位bta-miR-181a(MIMAT0003543)の塩基配列を、それぞれ配列番号11、12及び13に示す。 ウシmiR-181b前駆体bta-mir-181b-1(MI0010485)、bta-mir-181b-2(MI0005013)、及びその活性部位bta-miR-181b(MIMAT0003793)の塩基配列を、それぞれ配列番号14、15及び16に示す。 ヒトmiR-223前駆体hsa-mir-223(MI0000300)、及びその活性部位hsa-miR-223(MIMAT0000280)の塩基配列を、それぞれ配列番号17及び18に示す。 ウシmiR-223前駆体bta-mir-223(MI0009782)、及びその活性部位bta-miR-223(MIMAT0009270)の塩基配列を、それぞれ配列番号19、及び20に示す。 ヒトmiR-17前駆体hsa-mir-17(MI0000071)、及びその活性部位hsa-miR-17(MIMAT0000070)(hsa-miR-17-5pとも称される)の塩基配列を、それぞれ配列番号21及び22に示す。 ウシmiR-17前駆体bta-mir-17(MI0005031)、及びその活性部位bta-miR-17-5p(MIMAT0003815)及びbta-miR-17-3p(MIMAT0003816)の塩基配列を、それぞれ配列番号23、24及び25に示す。 ヒトmiR-92a前駆体hsa-mir-92a-1(MI0000093)、hsa-mir-92a-2(MI0000094)、及びその活性部位hsa-miR-92a(MIMAT0000092)の塩基配列を、それぞれ配列番号26、27及び28に示す。 ヒトmiR-92b前駆体hsa-mir-92b(MI0003560)、及びその活性部位hsa-miR-92b(MIMAT0003218)の塩基配列を、それぞれ配列番号29及び30に示す。 ウシmiR-92前駆体bta-mir-92(MI0005024)、及びその活性部位bta-miR-92(MIMAT0003808)の塩基配列を、それぞれ配列番号31及び32に示す。 ウシmiR-92a前駆体bta-mir-92a(MI0009905)、及びその活性部位bta-miR-92a(MIMAT0009383)の塩基配列を、それぞれ配列番号33及び34に示す。 ウシmiR-92b前駆体bta-mir-92b(MI0009906)、及びその活性部位bta-miR-92b(MIMAT0009384)の塩基配列を、それぞれ配列番号35及び36に示す。 ヒトlet-7i前駆体hsa-let-7i(MI0000434)、及びその活性部位hsa-let-7i(MIMAT0000415)の塩基配列を、それぞれ配列番号37及び38に示す。 ウシlet-7i前駆体bta-let-7i(MI0005065)、及びその活性部位bta-let-7i(MIMAT0003851)の塩基配列を、それぞれ配列番号39及び40に示す。 ヒトmiR-125a前駆体hsa-mir-125a(MI0000469)、及びその活性部位hsa-miR-125a-5p(MIMAT0000443)、及びhsa-miR-125a-3p(MIMAT0004602)の塩基配列を、それぞれ配列番号41、42及び43に示す。 ヒトmiR-125b前駆体hsa-mir-125b-1(MI0000446)、hsa-mir-125b-2(MI0000470)、及びその活性部位hsa-miR-125b(MIMAT0000423)の塩基配列を、それぞれ配列番号44、45及び46に示す。 ウシmiR-125a前駆体bta-mir-125a(MI0004752)、及びその活性部位bta-miR-125a(MIMAT0003538)の塩基配列を、それぞれ配列番号47及び48に示す。 ウシmiR-125b前駆体bta-mir-125b-1(MI0004753)、bta-mir-125b-2(MI0005457)、及びその活性部位bta-miR-125b(MIMAT0003539)の塩基配列を、それぞれ配列番号49、50及び51に示す。 ヒトmiR-146a前駆体hsa-mir-146a(MI0000477)、及びその活性部位hsa-miR-146a(MIMAT0000449)の塩基配列を、それぞれ配列番号52及び53に示す。 ヒトmiR-146b前駆体hsa-mir-146b(MI0003129)、及びその活性部位hsa-miR-146b-5p(MIMAT0002809)(hsa-miR-146bとも称される)、及びhsa-miR-146b-3p(MIMAT0004766)の塩基配列を、それぞれ配列番号54、55及び56に示す。 ウシmiR-146a前駆体bta-mir-146a(MI0009746)、及びその活性部位bta-miR-146a(MIMAT0009236)の塩基配列を、それぞれ配列番号57及び58に示す。 ウシmiR-146b前駆体bta-mir-146b(MI0009745)、及びその活性部位bta-miR-146b(MIMAT0009235)の塩基配列を、それぞれ配列番号59及び60に示す。 ヒトmiR-150前駆体hsa-mir-150(MI0000479)、及びその活性部位hsa-miR-150(MIMAT0000451)の塩基配列を、それぞれ配列番号61及び62に示す。 ウシmiR-150前駆体bta-mir-150(MI0005058)、及びその活性部位bta-miR-150(MIMAT0003845)の塩基配列を、それぞれ配列番号63及び64に示す。 上記miRNAに加えて、ラット又はウシの乳中での存在が確認されたmiRNA、及びそれらのmiRNAに相当する他の動物のmiRNAを、表1〜10に示す。 miRNAは、上記配列を有するものに限られず、miRNAとしての機能、すなわち標的遺伝子の発現を制御し得るものであれば、1又は数個のヌクレオチドの置換、欠失、挿入、付加、又は逆位等を含んでいてもよい。具体的には例えば、上記配列と80%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは95%以上の相同性を有する塩基配列を有するRNAが挙げられる。 miRNAの存在量は、絶対量であってよく、相対量であってもよい。相対量は、動物における平均的な存在量に対する相対量であってもよく、食餌の摂取前の存在量に対する摂取後の存在量の相対量であってもよい。核酸の存在量の測定は、通常miRNA量の測定に用いられる方法を採用することができ、例えば、定量逆転写PCR(qRT-PCR)が挙げられる。また、マイクロアレイ法によってもmiRNA量を測定することができる。乳からのmiRNAの抽出も、通常miRNAの抽出に用いられる方法を採用することができ、市販のmiRNA単離キットを用いることもできる。 また、miRNAの乳中の存在量は、乳腺細胞中のmiRNAの発現量を測定することによっても、間接的に測定し得る。 哺乳動物の乳中のmiRNAプロファイルと、該哺乳動物が摂取した食餌又は該食餌に含まれる物質との相関を調べる。哺乳動物の乳中のmiRNAプロファイルと、該哺乳動物が摂取した食餌又は該食餌に含まれる物質との相関とは、miRNAプロファイルと、前記物質の存在の有無又は存在量との相関をいう。例えば、ある物質を動物が摂取しないときに比べて、該物質を摂取したときに、1種又は複数種のmiRNAの乳中の存在量が高いか、又は低ければ、該物質とmiRNAプロファイルは、各々正又は負の相関がある。また、ある物質の摂取がmiRNAプロファイルに影響しなければ、該物質とmiRNAプロファイルとは相関しない。 具体的には、例えば、前記食餌の摂取前後の各々の乳中に含まれるmiRNAプロファイルを比較し、摂取前に比べて摂取後に少なくとも一種、好ましくは2種以上、より好ましくは5種以上のmiRNAの存在量が高ければ、前記食餌は乳中のmiRNAの存在量を増加させると判定される。 また、前記食餌の摂取前後の各々の乳中に含まれるmiRNAプロファイルを比較し、摂取前に比べて摂取後に少なくとも一種、好ましくは2種以上、より好ましくは5種以上のmiRNAの存在量が低ければ、前記食餌は乳中のmiRNAの存在量を低下させると判定される。 さらに、食餌摂取前のmiRNAプロファイルの測定は、必須ではなく、食餌摂取後のmiRNAプロファイルを、予め測定された対象の哺乳動物の平均なmiRNAプロファイルと比較することによっても、食餌とmiRNAの存在量との相関を調べることができる。 他の形態では、乳中のmiRNAプロファイルと、血清中又は血漿中のmiRNAプロファイルとを比較し、乳中と血清中又は血漿中のいずれにも含まれるmiRNAの存在量が、前記食餌の摂取により血清中又は血漿中よりも乳中の方が高まれば、乳中のmiRNAの存在量を増加させると判定される。血清中又は血漿中に比べて乳中でmiRNAの存在量が高まる度合は、例えば1.2倍以上、好ましくは2倍以上、より好ましくは5倍以上、さらに好ましくは10倍以上である。 また、乳中のmiRNAプロファイルと、血清中又は血漿中のmiRNAプロファイルとを比較し、乳中と血清中又は血漿中のいずれにも含まれるmiRNAの存在量が、前記食餌の摂取により血清中又は血漿中よりも乳中の方が低ければ、乳中のmiRNAの存在量を低下させると判定される。血清中又は血漿中に比べて乳中でmiRNAの存在量が低下する度合は、例えば0.8倍以下、好ましくは0.5倍以下、より好ましくは0.2倍以下、さらに好ましくは0.1倍以下である。 食餌は、経口摂取が可能である限り、単一の物質でも組成物でもよい。また、食餌の摂取前又は摂取後とは、一回の食餌の摂取の前後であってもよく、複数回の食餌の摂取の前後であってもよい。また、複数回の食餌の摂取は、同一の食餌の複数回の摂取でもよく、2種又はそれ以上の食餌の摂取であってもよい。 食餌の摂取は、計画的に行われてもよく、自由に行われてもよい。後者の場合は、ヒトにおいては摂取した食餌の内容を聴取することによって、食餌と乳中のmiRNAプロファイルの相関を調べることができる。食餌の摂取又は投与が計画的に行われる場合は、食餌は「被検試料」と言い換えることができる。食餌は、通常の食餌であってもよく、通常の食餌に被検物質を添加したものであってもよい。食餌の摂取量、摂取時間、及び摂取回数等は、特に制限されない。 乳中のmiRNAの存在量を増加させる食餌が選択されれば、上記と同様にして、その食餌中に含まれる、乳中のmiRNAの存在量を増加させる物質を同定することができる。また、乳中のmiRNAの存在量を低下させる食餌が選択されれば、上記と同様にして、その食餌中に含まれる、乳中のmiRNAの存在量を低下させる物質を同定することができる。 乳中のmiRNAの存在量を増加もしくは低下させる食餌又は物質が同定されれば、乳中のmiRNAの存在量を増加又は低下させる食餌を設計することができる。すなわち、乳中のmiRNAの存在量を増加させる食餌又はそれに含まれる物質は、免疫増強作用を有する乳の産生に好適であり、乳中のmiRNAの存在量を低下させる食餌又はそれに含まれる物質は、免疫増強作用を有する乳の産生に不適と考えられる。 また、乳中のmiRNAの存在量を低下させる食餌又はそれに含まれる物質は、免疫抑制作用を有する乳の産生に好適であり、乳中のmiRNAの存在量を増加させる食餌又はそれに含まれる物質は、免疫抑制作用を有する乳の産生に不適と考えられる。 上記のようにして、免疫調節作用を有する母乳を産生する食餌もしくは物質、又は、免疫調節作用を有する母乳の産生に不適な食餌又は物質をスクリーニングすることができる。後記実施例に示すように、ラット及びウシの初乳中に多種のmiRNAの存在が確認された。このことは、miRNAの経口投与により免疫調節作用を期待できるという本発明の思想を裏付けるものである。また、後記実施例に示すように、ビフィズス菌(ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum))をラットに経口投与したところ、52種類のmiRNAの存在量が増加した。 ビフィズス菌は、プロバイオティクス機能を有しており、特に免疫調節作用を有することが知られている。したがって、ビフィズス菌投与により乳中のmiRNAの存在量が増加したという事実からも、乳中のmiRNAが免疫調節に関与していることが裏付けられる。ビフィズス菌投与による乳中のmiRNAの存在量の増加、すなわちビフィズス菌とmiRNAプロファイルの相関が示されたことは、本発明のスクリーニング方法が実施可能であることを示している。また、ビフィズス菌投与により乳中の存在量が変動しなかったmiRNAも存在するが、それらのmiRNAの存在量が、他の食餌又はそれに含まれる物質によって増加する可能性を否定するものではない。 尚、ビフィズス菌の持つプロバイオティクス機能として、気道感染症、急性伝染性下痢症、抗菌薬関連下痢症、クロストリジウム・ディフィシル関連下痢症、壊死性腸炎、旅行者下痢症、及び、ヘリコバクター・ピロリ感染症等の予防又は緩解等が知られている(The Journal of Nutrition, 2010 Mar;140(3):698S-712S. Epub 2010 Jan 27.)。ビフィズス菌投与により乳中の存在量が増加するmiRNAは、それらを摂取した動物において、免疫調節のみならず、上記のプロバイオティクス機能と同様の機能を奏することが示唆される。 上記のようにして選択される乳中のmiRNAの存在量を増加させる食餌又は物質を哺乳動物に摂取させ、該動物から乳を採取することによって、免疫増強作用を有する乳、又は免疫増強作用が高められた乳が得られる。また、上記のように選択される乳中のmiRNAの存在量を低下させる食餌又は物質を哺乳動物が摂取するのを低減又は避けることによって、乳の免疫増強作用を高めるか、又は免疫増強作用の低下を防ぐことができる。 また、乳中のmiRNAの存在量を増加させる食餌又は物質の摂取、及び、乳中のmiRNAの存在量を低下させる食餌又は物質の摂取を低減又は避けることは、組みあわせてもよい。また、上記のようにして選択される乳中のmiRNAの存在量を低下させる食餌又は物質を哺乳動物に摂取させ、該動物から乳を採取することによって、免疫抑制作用を有する乳、又は免疫増強作用が低下された乳が得られる。また、上記のように選択される乳中のmiRNAの存在量を増加させる食餌又は物質を哺乳動物が摂取するのを低減又は避けることによって、乳の免疫抑制作用を高めるか、又は免疫増強作用を低下させることができる。また、乳中のmiRNAの存在量を低下させる食餌又は物質の摂取、及び、乳中のmiRNAの存在量を増強させる食餌又は物質の摂取を低減又は避けることは、組みあわせてもよい。 上記のようにして得られる免疫調節作用を有する乳を加工することによって、免疫調節作用を有する乳製品を製造することができる。 乳製品としては、miRNAが機能を維持したまま存在し得る限り特に制限されず、加工乳、調製乳、乳飲料、調製粉乳、発酵乳、クリーム、バター、チーズ、アイスクリーム等が挙げられる。乳製品としては、乳児用又は幼児用の乳製品が好ましい。 本発明により、miRNA、特に免疫発達、抗アレルギー、抗炎症、感染防御等、免疫増強に関与することが知られているmiRNAが乳中に存在することが示された。その一方で、母乳がそれを摂取した乳児に免疫増強作用を与えることはよく知られている。したがって、免疫調節に関与するmiRNAが、経口摂取したヒト等の動物の免疫を調節し得ることは、合理的に予測される。miRNAは多様な遺伝子の発現を制御する物質であることから、母体から乳児ににこのような制御分子が移動する意義は、特に免疫機構が未発達な乳幼児にとって非常に大きいと考えられる。 本発明の他の形態は、miRNAが経口摂取用組成物基剤に添加された、免疫増強作用を有する経口摂取用組成物である。 前記miRNAとしては、miR-10、miR-15、miR-16、miR-17、miR-18、miR-19、miR-20、miR-21、miR-22、miR-23、miR-24、miR-25、miR-26、miR-27、miR-28、miR-29、miR-30、miR-31、miR-33、miR-34、miR-92、miR-93、miR-96、miR-98、miR-99、miR-100、miR-101、miR-103、miR-106、miR-107、miR-125、miR-126、miR-128、miR-129、miR-130、miR-133、miR-134、miR-139、miR-140、miR-141、miR-143、miR-146、miR-148、miR-151、miR-152、miR-155、miR-181、miR-182、miR-183、miR-184、miR-185、miR-186、miR-188、miR-192、miR-193、miR-195、miR-196、miR-199、miR-200、miR-203、miR-204、miR-205、miR-206、miR-210、miR-212、miR-214、miR-218、miR-219、miR-221、miR-222、miR-223、miR-290、miR-291、miR-292、miR-294、miR-296、miR-301、miR-320、miR-322、miR-324、miR-327、miR-328、miR-331、miR-338、miR-340、miR-341、miR-342、miR-345、miR-347、miR-352、miR-361、miR-362、miR-365、miR-370、miR-375、miR-378、miR-409、miR-425、miR-429、miR-452、miR-455、miR-465、miR-466、miR-483、miR-484、miR-486、miR-494、miR-497、miR-500、miR-503、miR-532、miR-542、miR-584、miR-652、miR-664、miR-672、miR-685、miR-708、miR-760、miR-872、miR-874、miR-877、miR-1224、miR-1300、miR-1307、let-7a、let-7b、let-7c、let-7d、le-7e、let-7f、及び、let-7i等が挙げられる。 上記のmiRNAの中では、miR-15、miR-16、miR-17、miR-18、miR-19、miR-20、miR-21、miR-23、miR-24、miR-26、miR-27、miR-29、miR-30 、miR-33、miR-34、miR-92、miR-93、miR-99、miR-100、miR-101、miR-106、miR-107、miR-125、miR-130、miR-140、miR-141、miR-143、miR-146、miR-155、miR-181、miR-185、miR-186、miR-192、miR-193、miR-195、miR-200、miR-205、miR-210、miR-218、miR-219、miR-221、miR-222、miR-223、miR-301、miR-322、miR-340、miR-361、miR-370、miR-429、miR-455、miR-466、miR-497、miR-500、miR-503、miR-532、miR-542、let-7d、及び、let-7iが好ましく、miR-15、miR-16、miR-19、miR-21、miR-23、miR-24、miR-26、miR-27、miR-30、miR-34、miR-99、miR-106、miR-107、miR-125、miR-130、miR-140、miR-181、miR-193、miR-210、miR-222、miR-223、miR-361、miR-370、miR-429、miR-500、miR-532、let-7d、及び、let-7iがより好ましい。 miRNAは一種でもよく、任意の二種以上であってもよい。 経口摂取用組成物基剤は、経口摂取又は経口投与が可能であり、miRNAが機能を維持したまま存在し得るものであれば特に制限されず、食品、飲料、医薬品基剤、飼料等が挙げられる。 食品は、性状は問わず、飲料も含まれる。食品としては、成人用食品、乳児用食品または幼児用食品等が挙げられる。 成人用食品としては、経腸栄養剤、濃厚流動食等の流動食と栄養補助食品等が例示することができる。 乳児用食品又は幼児用食品としては、例えば調製乳類(例えば乳児用調製乳、低出生体重児用調製乳、フォローアップミルクなどや、アレルギー疾患用調製乳、無乳糖乳、先天性代謝異常症用の特殊乳など、又はこれらの粉乳)、母乳又は調製粉乳に添加する粉末、ベビーフードなどを例示することができる。 ここで、調製乳類とは乳又は乳製品を主要原料とし、乳幼児に必要な栄養素を添加して製造した食品であり、乳児期にあっては主として母乳代替の食品として使用されるものであり、幼児期においては母乳代替又は栄養摂取の補完的役割を果たす食品として使用されるものであり、その他、特定の先天性又は後天性の疾患を有する乳幼児に適した栄養の摂取に寄与する目的で製造される食品が例示される。 miRNAは、凍結融解、低pH、例えばpH 1の酸性条件、及びRNase AやRNase T等のRNaseに対して比較的耐性であり、食品に添加される有効成分として好適である。低pHで安定であることは、miRNA分子は乳児の胃内環境に耐性があり、乳児の主な免疫臓器の一つである腸管で吸収されうることを示唆しており、乳児の免疫系に影響を及し得る。また、母乳の保存と凍結、融解もmiRNAを変性させることはなく、このことは通常凍結保存した母乳を与えられる低出生体重児や入院している乳児にとって栄養学的に重要である。さらに、RNaseに耐性があることは、母乳中でmiRNAはエクソソームや微細小胞などの複合体の中に存在しているかもしれないことを示唆している。 上記の知見からは、母親が児に対して環境に適応するようオーダーメイドの母乳を提供しているような感を受ける。母乳由来エクソソームがFoxp3+CD4+CD25+制御性T細胞の数を増加させることを示唆した報告がある。免疫関連miRNAが母乳エクソソーム中に含まれているなら、乳児消化管においてFoxp3+CD4+CD25+制御性T細胞の増加に寄与する可能性はある。なぜならば、miR-181a、miR-181bなど母乳中に検出された免疫関連miRNAは高発現しており、それらはT細胞分化に関与しているものであるからである。さらに、母乳中に豊富に含まれていたmiR-181やmiR-155はB細胞分化を誘導することが知られており、B細胞分化を抑制するmiR-150は母乳中にはほとんどなかったことから、母乳中miRNAはB細胞の分化を誘導するかもしれない。 組成物中のmiRNAの含有量は、特に制限されず適宜選択すればよいが、合計で、例えば10〜10,000ng/ml、好ましくは20〜10,000ng/ml、より好ましくは50〜10,000ng/mlである。また、miRNA摂取量は、合計で、例えば5μg〜120mg/日、好ましくは10μg〜120mg/日、より好ましくは25μg〜120mg/日である。 miRNAは、その前駆体(pri-miRNA)である部分的2本鎖RNAを調製し、これをDicer酵素で切断することによって得ることができる。Dicer酵素は、市販されているものを使用することができる。前記2本鎖RNAは、例えば、相補的配列を有する2本鎖DNAを鋳型とするRNAポリメラーゼ反応によって調製することができる。2本鎖DNAは、哺乳動物の染色体DNAを鋳型とし、miRNAの配列を増幅できるように設計されたプライマーを用いてPCRにより増幅することによって、調製することができる。 上記のようにして得られる2本鎖RNAをDicer酵素等で切断することによって、miRNAが得られる。 また、miRNAは、化学合成によっても製造することができる。すなわち、センス鎖とアンチセンス鎖を合成し、それらをアニールさせることによって、miRNAが得られる。 また、哺乳動物の内在性Dicer酵素によって目的のmiRNAが生成するような2本鎖RNAを経口摂取用組成物に配合してもよい。 本発明の経口摂取用組成物が医薬である場合は、miRNAを製剤学的に許容される経口投与用製剤担体と組み合わせて、製造することができる。医薬の製剤形態は特に限定されず、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤等を例示できる。製剤化にあたっては経口用製剤担体として通常の医薬に汎用される賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味矯臭剤、希釈剤、界面活性剤等の添加剤を使用できる。また、本発明の効果を損わない限り、miRNAと、他の免疫調節作用を有する薬剤とを併用してもよい。 医薬中に含まれるmiRNAの量は、特に限定されず適宜選択すればよいが、合計で、例えば2μg/kg〜2mg/kg、好ましくは4μg/kg〜2mg/kg、より好ましくは10μg/kg〜2mg/kgである。 経口摂取用組成物が食品である場合は、免疫増強作用を利用するような種々の用途をとることが可能である。例えば、抵抗力の低下した人に適した食品、免疫低下により引き起こされる種々の疾患の危険要因の低減・除去に役立つ飲食品等の用途を例示することができる。 本発明の飲食品は、免疫調節のために用いられるものである旨の表示を付した食品等として販売することができる。 前記「表示」とは、需要者に対して上記用途を知らしめるための全ての行為を意味し、上記用途を想起・類推させうるような表示であれば、表示の目的、表示の内容、表示する対象物・媒体等の如何に拘わらず、すべて本発明の「表示」に該当する。しかしながら、需要者が上記用途を直接的に認識できるような表現により表示することが好ましい。具体的には、本発明の食品に係る商品又は商品の包装に上記用途を記載する行為、商品又は商品の包装に上記用途を記載したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸入する行為、商品に関する広告、価格表若しくは取引書類に上記用途を記載して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に上記用途を記載して電磁気的(インターネット等)方法により提供する行為、等が例示できる。 一方、表示としては、行政等によって認可された表示(例えば、行政が定める各種制度に基づいて認可を受け、そのような認可に基づいた態様で行う表示)であることが好ましく、特に包装、容器、カタログ、パンフレット、POP等の販売現場における宣伝材、その他の書類等への表示が好ましい。 また、例えば、健康食品、機能性食品、経腸栄養食品、特別用途食品、栄養機能食品、医薬用部外品等としての表示を例示することができ、その他厚生労働省によって認可される表示、例えば、特定保健用食品、これに類似する制度にて認可される表示を例示できる。後者の例としては、特定保健用食品としての表示、条件付き特定保健用食品としての表示、身体の構造や機能に影響を与える旨の表示、疾病リスク低減表示等を例示することができ、詳細にいえば、健康増進法施行規則(平成15年4月30日日本国厚生労働省令第86号)に定められた特定保健用食品としての表示(特に保健の用途の表示)、及びこれに類する表示が、典型的な例として列挙することが可能である。 次に実施例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。〔実施例1〕母乳中のmiRNAの解析 ヒトの母乳を2,000×gで10分遠心分離して、細胞、及び大きな残渣を取り除き、表面層の脂質以外の上清をさらに12,000×gで30分遠心分離することで、細胞残渣や小さなごみを取り除いた。上清から、mirVana miRNA isolation kitを用いて、メーカープロトコルに従って、総RNAを抽出した。血清からのRNA抽出も、母乳と同様にして行なった。 抽出されたRNAをバイオアナライザーを用いて分析した。母乳中にRNAは相当量含まれていたが、リボソームRNA(18S rRNA、28S rRNA)はほとんど、あるいは全く含まれていなかった。 マイクロアレイ解析システム(アジレント社製を使用)によりmiRNAの検出を行った。miRNAの発現量は、GeneSpring GX11.0(アジレント社製)を用いて解析した。その結果を図1に示す。その結果、miR-181a、miR-181b、miR-155、miR-125b、miR-146b、miR-223、let-7iが顕著に検出された。T細胞及びB細胞を制御するmiR-150は検出できなかった。また、miR-122(肝臓)、miR-216、miR-217(膵臓)、miR-142-5p、miR-142-3p(造血細胞)など複数の臓器特異的miRNAはほとんど検出できなかった。また、miR-124(脳)は少量検出された。 出生から最初の6ヶ月間(n=5)、及びその後の6ヶ月間(n=13)の母乳について、定量RT-PCRにより解析したmiR-181aのレベルを比較した結果を図2に示す。miR-155、miR-17、及びmiR-92aについても、同様の解析を行った結果を図3に示す。尚、RNA単離過程におけるサンプル間の変動を正規化するため、線虫(Caenorhabditis elegans)の合成miRNAであるcel-miR-39(キアゲン社により合成)を変性したものをサンプルに添加し(総量5mlに対しオリゴヌクレオチドが25 fmolとなるように)、cel-miR-39に対する相対量としてmiRNAの量を示した(以下の実験でも同様)。 その結果、出生後最初の6ヶ月間の方が、その後の6ヶ月間よりも、miR-181aの存在量は多かった(図2)。miR-155、miR-17、及びmiR-92aについても同様であった(図3)。 なお、RT-PCRに用いたプライマーは、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製の以下のAssay IDを使用した。 ・miR-181a:000480 ・miR-155:002623 ・miR-17:002308 ・miR-92a:000431 ・Cel-miR-39:000200 分娩後6ヶ月以内の7人の健康なヒトの母乳及び血清中の免疫関連miRNAレベルを比較した結果を、図4に示す(母乳:n=5、血清:n=6)。母乳中miRNAのプロファイルは血清中のそれと異なっている。例えば、顆粒球を制御するmiRNAであるmiR-223は正常なヒト血清中及び血漿中に最も高度に存在するが、母乳中の発現量は血清と比較し、極めて低かった。さらに、血清中には豊富には存在しないmiR-146bは母乳中には豊富に存在した。 一方で、母乳中に豊富に存在したmiR-181やmiR-155は血清中の発現量と同程度であった。分娩後6ヶ月という離乳食摂取前時期の母乳中に、複数の免疫関連miRNAが高発現していたことは興味深い。 細胞間のmiRNAの移動はmiRNAが細胞内分子を制御しているだけでなく、サイトカインのように細胞間のコミュニケーションに役割を果たす分子であることも意味する。上記結果は、miRNAが母親から児へ移行可能な「遺伝的物質(genetic material)」であることを示唆する。おおよそ0.15 pg/L/日 (1.3×107 コピー/L/日)のmiR-181が母乳を介して乳児に摂取されると計算される。 尚、クラスター解析の結果、異なる母親の母乳間で、miRNAプロファイルは類似していた。〔実施例2〕miRNAの物理化学的性質 母乳を室温で24時間静置し、又は3回まで凍結(-20℃)、融解を繰り返した。miRNA(miR-21、miR-181a)のレベルをTaqMan qRT-PCRにて測定した。結果を図5に示す。また、母乳を3時間低pH(pH=1)溶液中で処理し、処理前後のmiRNAレベル(miR-181a)をTaqMan qRT-PCRで測定した。結果を図6に示す。 さらに、母乳に、母乳量の2%のRNase A/T(Ambion社製:RNase A(500U/ml)、RNase T1(20,000U/ml)の混合溶液)溶液を添加して、37 ℃、3時間処理し、処理前後のmiRNAレベル(miR-181a)をTaqMan qRT-PCRで測定した。結果を図7に示す。 なお、TaqMan qRT-PCRに用いたプライマーは、アプライド・バイオシステムズ(Applied Biosystems)社製の以下のAssay IDを使用した。 ・miR-181a:000480 ・miR-21:000397 ・Cel-miR-39:000200 miRNAは、凍結融解、低pH、及びRNaseに対して比較的安定であることが示された。〔実施例3〕免疫調節作用を有する乳を産生する食餌又は物質の同定 SD系統・妊娠9〜10日目のラットを購入し、妊娠13日目から20日目までの期間、試験群(n=3)に、ビフィズス菌ビフィドバクテリウム・ロンガム(Bifidobacterium longum) BB536(ATCC BAA-999)をPBS(リン酸緩衝生理食塩水)に懸濁させた懸濁液(1×109 cfu/ml)をラット1匹あたり1ml/日で連日経口投与した。 また、対照群(n=3)として、PBSをラット1匹あたり1ml連日投与した。B. longum ATCC BAA-999株は、アメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(住所 12301 Parklawn Drive, Rockville, Maryland 20852, United States of America)から購入することができる。 全てのラットは、妊娠21日目に出産し、出産後1日目にエーテル麻酔下で搾乳を行なった。得られた初乳サンプルを1,200×g、4℃で10分間遠心分離を2回行ない、脂肪層と細胞片を除いた。 続いて、上清を21,500×g、4℃で40分間、さらに同条件で1時間遠心分離を行ない、カゼイン画分を除き乳清を得た。得られた乳清サンプルから、miRNeasy Mini Kit(キアゲン社製)を用いて総RNAを得た。 得られたRNAサンプル100ngを用いて、常法に従って、マイクロアレイ解析システム(アジレント社製)を用いてmiRNAの検出を行った。結果はGeneSpring GX11.0(アジレント社製)を用いて解析した。 マイクロアレイデータをGeneSpring GX11.0を用いて統計解析を行なったところ、検出された試験群、対照群で発現が確認されたマイクロRNAは、総数で155種類であった。これらのマイクロRNAは以下のとおりである。尚、miR-150は検出されなかった。[試験群、対照群で発現が確認されたマイクロRNA:155種] miR-16,miR-17-5p,miR-18 (miR-18a),miR-19 (miR-19b),miR-20 (miR-20a),miR-21,miR-23 (miR-23a),miR-27 (miR-27a,miR-27b),miR-29 (miR-29a,miR-29b,miR-29c,miR-29c*),miR-30 (miR-30a,miR-30c,miR-30d,miR-30e*),miR-33,miR-34b,miR-92a,miR-93,miR-100,miR-101 (miR-101a,miR-101b),miR-106b,miR-130b,miR-140*,miR-141,miR-143,miR-146a,miR-185,miR-186,miR-192,miR-193,miR-195,miR-200a,miR-205,miR-218,miR-219-5p,miR-221,miR-301a,miR-322,miR-340-5p,miR-361,miR-429,miR-455,miR-466b,miR-497,miR-500,miR-503,miR-532-5p,miR-542-3p let-7a,let-7a*,let-7b,let-7c,let-7d,le-7e,let-7f,let-7i,miR-10 (miR-10a-5p,miR-10b),miR-15 (miR-15b),miR-19 (miR-19a),miR-20 (miR-20a*),miR-22,miR-23 (miR-23b),miR-24,miR-25,miR-26 (miR-26a,miR-26b),miR-28,miR-30 (miR-30a*,miR-30b-5p,miR-30c-1*,miR-30c-2*,miR-30e),miR-31,miR-34 (miR-34a),miR-96,miR-98,miR-99 (miR-99a,miR-99b),miR-103,miR-107,miR-125 (miR-125a-3p,miR-125a-5p,miR-125b-3p,miR-125b-5p),miR-128,miR-130 (miR-130a),miR-133 (miR-133a,miR-133b),miR-134,miR-139 (miR-139-3p),miR-140,miR-146 (miR-146b),miR-148 (miR-148b-3p),miR-151,miR-152,miR-181 (miR-181a,miR-181a*,miR-181b,miR-181c,miR-181d),miR-182,miR-183,miR-188,miR-196 (miR-196c),miR-199 (miR-199a-3p),miR-200 (miR-200b,miR-200c),miR-203,miR-204,miR-206,miR-210,miR-212,miR-214,miR-222,miR-223,miR-290,miR-291 (miR-291a-5p),miR-292 (miR-292-5p),miR-294,miR-296 (miR-296*),miR-320,miR-324 (miR-324-3p,miR-324-5p),miR-327,miR-328,miR-331,miR-340 (miR-340-3p),miR-341,miR-342 (miR-342-3p),miR-345 (miR-345-5p),miR-347,miR-352,miR-365,miR-370,miR-375,miR-378 (miR-378,miR-378*),miR-425,miR-465,miR-483,miR-484,miR-494,miR-542 (miR-542-5p),miR-652,miR-672,miR-685,miR-760 (miR-760-3p),miR-872,miR-874,miR-1224 尚、miR-No.の後に( )で記載しているものがあるが、それらはサブタイプが存在したものであり、( )内が実際に変動していたサブタイプである。 また、上記のマイクロRNAについて、ビフィズス菌BB536株投与群と対照群における発現量を比較したところ、Mann-Whitney U-testで検定し、危険率5%未満の確率で、以下の52種類のマイクロRNAが、ビフィズス菌BB536株投与群で増加変動していることが明らかとなった。各miRNAの発現の変動倍率を、表11に示す。[ビフィズス菌BB536株摂取により増加変動が確認されたマイクロRNA:52種] miR-16,miR-17-5p,miR-18 (miR-18a),miR-19 (miR-19b),miR-20 (miR-20a),miR-21,miR-23 (miR-23a),miR-27 (miR-27a,miR-27b),miR-29 (miR-29a,miR-29b,miR-29c,miR-29c*),miR-30 (miR-30a,miR-30c,miR-30d,miR-30e*),miR-33,miR-34b,miR-92a,miR-93,miR-100,miR-101 (miR-101a,miR-101b),miR-106b,miR-130b,miR-140*,miR-141,miR-143,miR-146a,miR-185,miR-186,miR-192,miR-193,miR-195,miR-200a,miR-205,miR-218,miR-219-5p,miR-221,miR-301a,miR-322,miR-340-5p,miR-361,miR-429,miR-455,miR-466b,miR-497,miR-500,miR-503,miR-532-5p,miR-542-3p, なお、表11から明らかなとおり、増加変動が確認された52種類のマイクロRNAの変動倍率はいずれも1.2倍以上であることが判明した。 すなわち、これら52種類のマイクロRNAの検出により、ビフィズス菌BB536株を、免疫調節作用を有する乳を産生する食餌又は物質としてスクリーニングすることが可能であることが判明した。〔実施例4〕ラット由来の初乳に発現しているマイクロRNAの検出 F344系統の妊娠14日目のラット3匹を購入した。購入した全てのラットは、妊娠21日目に出産し、出産後2日目にエーテル麻酔下で搾乳を行なって、初乳を回収した。 各初乳サンプルについて、1,200×g、4℃で10分間遠心分離を2回行ない、脂肪層と細胞片を除いた。 続いて21,500×g、4℃で40分間、さらに同条件で1時間遠心分離を行ない、カゼイン部分を除いて乳清を得た。 得られた乳清サンプルから、miRNeasy Mini Kit (キアゲン社製)を用いて総RNAを得た。 得られたRNAサンプル100ngを用い、常法に従って、マイクロアレイ(アジレント社製)実験に供した。マイクロアレイ実験の結果をGeneSpring GX11.0 (アジレント社製)を用いて解析した。 その結果、実施例3で確認された155種類のマイクロRNAの他に、4種類のマイクロRNA(miR-193*、miR-409-3p、miR-664、miR-877)が発現していることが確認された。〔実施例5〕ウシ由来の初乳に発現しているマイクロRNAの検出 ホルスタイン種のウシより、出産後1日目〜3日目までの乳を、初乳サンプルとして5検体用意した。また、出産後8日目〜8ヶ月目までの乳を、常乳サンプルとして5検体用意した。 乳(初乳、常乳)サンプルについて、1,200×g、4℃で10分間遠心分離を2回行ない、脂肪層と細胞片を除いた。 続いて21,500×g、4℃で40分間、さらに同条件で1時間遠心分離を行ない、カゼイン部分を除いて乳清を得た。 得られた乳清サンプルから、miRNeasy Mini Kit (キアゲン社製)を用いて総RNAを得た。 得られたRNAサンプル20ngを用い、常法に従って、マイクロアレイ(アジレント社製)実験に供した。マイクロアレイ実験の結果をGeneSpring GX11.0 (アジレント社製)を用いて解析した。 その結果、初乳サンプルと常乳サンプルから、総計102種類のmiRNAの発現が確認された。特に、その102種類のうち、49種類は初乳でのみ発現が確認された。 以下に初乳サンプルのみで発現が確認された49種類のマイクロRNAを示す。〔初乳のみで発現が確認されたマイクロRNA:49種〕 let-7d, let-7i, miR-15a, miR-15b, miR-16b, miR-17-3p, miR-19b, miR-21, miR-23b-3p, miR-24-3p, miR-26b, miR-27b, miR-30a-5p, miR-30c, miR-30f, miR-34a, miR-99a, miR-106, miR-106b, miR-107, miR-125b, miR-126, miR-129-3p, miR-130a, miR-130b, miR-140, miR-155, miR-181b, miR-184, miR-193a-3p, miR-193a-5p, miR-196a, miR-210, miR-222, miR-223, miR-338, miR-361, miR-362-5p, miR-370, miR-429, miR-452, miR-486, miR-500, miR-532, miR-584, miR-708, miR-877, miR-1300b, miR-1307 本発明により、免疫調節作用を有する乳を産生する、食餌又はそれに含まれる成分をスクリーニングすることができる。また、本発明により、免疫調節作用を有する乳製品の製造方法が提供される。本発明の経口摂取用組成物は、免疫増強作用を有し、特に乳幼児に有用である。 哺乳動物の乳中のマイクロRNAプロファイルと、該哺乳動物が摂取した食餌又は該食餌に含まれる物質との相関を指標として、乳中のマイクロRNAの存在量を増加又は減少させる食餌又は物質を同定することを含む、免疫調節作用を有する母乳を産生する食餌又は物質のスクリーニング方法。 前記免疫調節作用が免疫増強作用であって、前記マイクロRNAの存在量が増加すれば、前記食餌又は物質は免疫増強作用を有する母乳を産生させると判定される、請求項1に記載の方法。 前記食餌の摂取前後の各々の乳中に含まれるマイクロRNAプロファイルを比較し、摂取前に比べて摂取後に少なくとも一種のマイクロRNAの存在量が高ければ、前記食餌は乳中のマイクロRNAの存在量を増加させると判定する、請求項1又は2に記載の方法。 乳中のマイクロRNAプロファイルと、血清中又は血漿中のマイクロRNAプロファイルとを比較し、乳中と血清中又は血漿中のいずれにも含まれるマイクロRNAの存在量が、前記食餌の摂取により血清中又は血漿中よりも乳中の方が1.2倍以上高まれば、乳中のマイクロRNAの存在量を増加させると判定する、請求項2又は3に記載の方法。 前記免疫調節作用が免疫抑制作用であって、前記マイクロRNAの存在量が低下すれば、前記食餌又は物質は免疫抑制作用を有する母乳を産生させると判定される、請求項1に記載の方法。 前記食餌の摂取前後の各々の乳中に含まれるマイクロRNAプロファイルを比較し、摂取前に比べて摂取後に少なくとも一種のマイクロRNAの存在量が低ければ、前記食餌は乳中のマイクロRNAの存在量を低下させると判定する、請求項5に記載の方法。 乳中のマイクロRNAプロファイルと、血清中又は血漿中のマイクロRNAプロファイルとを比較し、乳中と血清中又は血漿中のいずれにも含まれるマイクロRNAの存在量が、前記食餌の摂取により血清中又は血漿中よりも乳中の方が0.8倍以下低下すれば、乳中のマイクロRNAの存在量を低下させると判定する、請求項5又は6に記載の方法。 前記哺乳動物がヒト、ラット、又はウシである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。 前記マイクロRNAプロファイルが、miR-10、miR-15、miR-16、miR-17、miR-18、miR-19、miR-20、miR-21、miR-22、miR-23、miR-24、miR-25、miR-26、miR-27、miR-28、miR-29、miR-30、miR-31、miR-33、miR-34、miR-92、miR-93、miR-96、miR-98、miR-99、miR-100、miR-101、miR-103、miR-106、miR-107、miR-125、miR-126、miR-128、miR-129、miR-130、miR-133、miR-134、miR-139、miR-140、miR-141、miR-143、miR-146、miR-148、miR-151、miR-152、miR-155、miR-181、miR-182、miR-183、miR-184、miR-185、miR-186、miR-188、miR-192、miR-193、miR-195、miR-196、miR-199、miR-200、miR-203、miR-204、miR-205、miR-206、miR-210、miR-212、miR-214、miR-218、miR-219、miR-221、miR-222、miR-223、miR-290、miR-291、miR-292、miR-294、miR-296、miR-301、miR-320、miR-322、miR-324、miR-327、miR-328、miR-331、miR-338、miR-340、miR-341、miR-342、miR-345、miR-347、miR-352、miR-361、miR-362、miR-365、miR-370、miR-375、miR-378、miR-409、miR-425、miR-429、miR-452、miR-455、miR-465、miR-466、miR-483、miR-484、miR-486、miR-494、miR-497、miR-500、miR-503、miR-532、miR-542、miR-584、miR-652、miR-664、miR-672、miR-685、miR-708、miR-760、miR-872、miR-874、miR-877、miR-1224、miR-1300、miR-1307、let-7a、let-7b、let-7c、let-7d、le-7e、let-7f、及び、let-7iからなる群から選ばれるマイクロRNAの存在量である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。 前記マイクロRNAプロファイルが、miR-15、miR-16、miR-17、miR-18、miR-19、miR-20、miR-21、miR-23、miR-24、miR-26、miR-27、miR-29、miR-30、miR-33、miR-34、miR-92、miR-93、miR-99、miR-100、miR-101、miR-106、miR-107、miR-125、miR-130、miR-140、miR-141、miR-143、miR-146、miR-155、miR-181、miR-185、miR-186、miR-192、miR-193、miR-195、miR-200、miR-205、miR-210、miR-218、miR-219、miR-221、miR-222、miR-223、miR-301、miR-322、miR-340、miR-361、miR-370、miR-429、miR-455、miR-466、miR-497、miR-500、miR-503、miR-532、miR-542、let-7d、及び、let-7iからなる群から選ばれるマイクロRNAの存在量である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。 前記マイクロRNAプロファイルが、miR-15、miR-16、miR-19、miR-21、miR-23、miR-24、miR-26、miR-27、miR-30、miR-34、miR-99、miR-106、miR-107、miR-125、miR-130、miR-140、miR-181、miR-193、miR-210、miR-222、miR-223、miR-361、miR-370、miR-429、miR-500、miR-532、let-7d、及び、let-7iからなる群から選ばれるマイクロRNAの存在量である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。配列表