タイトル: | 特許公報(B2)_抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤 |
出願番号: | 2010535847 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 36/53,A61P 31/04,A61P 1/04,A61P 35/00 |
佐藤 良也 當眞 弘 岩崎 公典 山口 喜久二 JP 5600067 特許公報(B2) 20140822 2010535847 20091030 抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤 ジャパンローヤルゼリー株式会社 592142603 特許業務法人 津国 110001508 津国 肇 100078662 柳橋 泰雄 100131808 伊藤 佐保子 100119079 小澤 圭子 100135873 鈴木 音哉 100141357 田中 聖 100146422 岡崎 祐一 100147533 三宅 俊男 100116528 齋藤 房幸 100116919 佐藤 良也 當眞 弘 岩崎 公典 山口 喜久二 JP 2008279358 20081030 20141001 A61K 36/53 20060101AFI20140911BHJP A61P 31/04 20060101ALI20140911BHJP A61P 1/04 20060101ALI20140911BHJP A61P 35/00 20060101ALI20140911BHJP JPA61K35/78 QA61P31/04A61P1/04A61P35/00 A61K JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) 特開平11−005745(JP,A) 特開2001−270835(JP,A) 特開2003−252776(JP,A) 3 JP2009068668 20091030 WO2010050583 20100506 7 20120323 田村 聖子 本発明は、消化性潰瘍の発生に関与するヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)を効果的に除菌・排菌することができる、抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤に関する。 ヘリコバクター・ピロリ(Helicobacter pylori)(以下、ピロリ菌とも呼ぶ)は、グラム陰性桿菌(ラセン菌)のひとつで、数本の端在性鞭毛を有している。この鞭毛を回転させて移動することからヘリコバクター(旋回する菌)の名称が付されている。また、特徴的なことはヒトの胃という強酸性の環境下で生存できる点であり、ピロリの名が示すように胃の幽門部(pylorus)に主に感染している。 ヒトヘの感染は経口感染と考えられており、日本人の場合、かつての井戸水を介しての感染が主要な感染経路と推測されている。このため、上水道施設の発達した時代に育った若いヒトたちの間での感染率は低いものの、逆に50歳を超えるような中・高年齢層では70%を超えるような高い感染率が指摘されている。 WarrenとMarshallが胃炎患者からビロリ菌を最初に分離・検出したのは1982年のことであったが、その後、Marshallが1984年に自らに行った感染実験の結果、ビロリ菌が急性胃炎の発症に直接関与していることが証明された。以後、ピロリ菌は萎縮性胃炎、胃潰瘍・十二指腸潰瘍、胃MALTリンパ腫、胃癌の発症に関連していることが強く指摘されるようになった。今日、これらの病気を予防する立場から、ピロリ菌感染者には症状の有無に関わらず除菌することが推奨されている。 治療にはクラリスロマイシン、アモキシシリン等の抗生物質による化学療法が比較的奏功するが、約2割が耐性菌による治療抵抗者といわれる。耐性菌の割合は、今後、急速に増加することが懸念されている。さらに、これら従来の抗生物質等の投与では、長期投与時の安全性または再発時の問題も多く、有効かつ安全な薬剤の開発が望まれている。 本発明は、ヘリコバクター・ピロリに関連する疾患の治療、予防または改善に有用な抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤を提供する。 本発明者らは、シソ科植物の抽出物がヘリコバクター・ピロリの増殖を効果的に抑制することができることを見出し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明は、下記: 1.シソ科植物の抽出物を有効成分として含む、抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤、 2.シソ科植物が、ナギナタコウジュ、アオジソである、上記1に記載の抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤、 3.シソ科植物が、ヤハシである、上記1に記載の抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤、 4.抽出物が、5,000の分子量カットオフフィルターを通過した画分を含む、上記1〜3のいずれかに記載の抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤、 5.ヘリコバクター・ピロリに関連する疾患の治療、予防または改善に用いる、上記1〜4のいずれかに記載の抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤、 6.上記1〜5のいずれかに記載の抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤を飲食することからなる、ヘリコバクター・ピロリの除菌方法、 6.シソ科植物の抽出物を含む、ヘリコバクター・ピロリ除菌のための食品添加用組成物、に関する。 本発明の抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤は、ヘリコバクター・ピロリに対する優れた増殖抑制作用、除菌・排菌作用を有し、かつ安全性が高い。また、本発明の抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤は、優れた熱安定性を有する。さらに、本発明の抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤は、短期間で除菌効果が得られる。従って、ヘリコバクター・ピロリの除菌、ヘリコバクター・ピロリに関連する疾患の治療、予防または改善に非常に有用である。 本発明において、抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤とは、ヘリコバクター・ピロリの増殖を抑制することができる組成物を意味する。このような抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤は、胃内からヘリコバクター・ピロリを除去することができる本発明の抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤は、ヘリコバクター・ピロリに関連する疾患、より具体的には、胃潰瘍および十二指腸潰瘍等の消化性潰瘍、胃炎(急性胃炎、萎縮性胃炎)、胃MALTリンパ腫ならびに胃癌等の治療、予防または改善のために用いることができる。 本発明において、シソ科(Lamiaceae)植物とは、シソ科(Lamiaceae)に属する植物であれば任意の植物を用いることができるが、好ましくは、ナギナタコウジュ属(Elsholtzia)に属する植物であり、より好ましくは、ナギナタコウジュ(Elsholtzia ciliata)、アオジソ(Perilla frutescens viridis)またはヤハシ(Elsholtzia regulosa)である。ナギナタコウジュは漢方薬草として利用されている。アオジソも広く食用に供されている。ヤハシは中国でお茶として慣用されている。したがって、これらの抽出液は、安全性が高く、長期連用が可能である。 ナギナタコウジュ、アオジソ等のシソ科植物の乾燥物は、市販されており、これを本発明に用いることができる。ヤハシは、例えば、中国雲南省に自生しているものを用いることができる。また、本発明に用いられるシソ科植物は、採取後の生の状態または乾燥された状態のいずれの状態であってもよい。部位としては、成熟したまたは未成熟の、花穂、果実、果皮、種子、葉、葉柄、枝、根などを挙げることができる。好ましくは花穂である。 抽出は、慣用の抽出方法、例えば、抽出溶媒により植物原料から有効成分を抽出することにより行うことができる。植物原料を粉砕してから抽出してもよい。粉砕方法としては、慣用の方法が適用でき、例えば、乳鉢、アトマイザー、ハンマーミル、スタンプミル、ボールミル等を用いて粉砕する。 抽出溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール、t−ブタノール、オクタノールまたは、2−メチル−4−フェニルブタノールのようなアルコール類;アセトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノンまたは、ベンゾフェノンのようなケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸メチルまたは、安息香酸t−ブチルのようなエステル類;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロヘキサンまたは、デカリンのような炭化水素類;リン酸緩衝生理食塩水(PBS)のような緩衝溶液;またはこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、水、メタノール、エタノール、ヘキサン、酢酸エチル、アセトン、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、またはこれらの混合物があげられる。水と親水性溶媒との混合溶媒もまた、前記抽出溶媒として用いることができる。水と親水性溶媒との割合は、広い範囲から適宜選択することができ、例えば、水:親水性溶媒=95:5〜5:95であり、好ましくは、50:50〜10:90である。例えば、50%エタノール水溶液を用いることができる。 抽出は、例えば植物体1重量部に対し溶媒0.1重量部〜10000重量部、好ましくは1重量部〜100重量部用いて行う。抽出温度は特に制限が無いが、例えば0℃〜100℃が好ましく、20℃〜90℃がより好ましい。抽出時間は、特に制限がないが、例えば1分間〜1週間が好ましく、30分間〜1日間がより好ましい。 抽出に使用する機器としては、特に制限が無いが、効率よく抽出するために工夫された容器、攪拌機、還流冷却器、ソックスレー抽出機、ホモジナイザー、振とう機、超音波発生装置等などがあげられる。 抽出液は、沈降分離、ケーク濾過、清澄濾過、遠心濾過、遠心沈降、圧搾分離、フィルタープレスなどの各種固液分離方法で処理することができる。 抽出液を、一定の分子量をカットオフするフィルターを通過させてから用いてもよい。分子量20,000をカットオフするフィルターを通過する画分を好ましく用いることができ、分子量5,000をカットオフするフィルターを通過する画分をより好ましく用いることができる。 抽出溶媒により抽出された抽出液は、そのまま使用してもよく、希釈または濃縮して使用してもよい。あるいは、凍結乾燥またはスプレードライなどの方法により粉末化してもよい。 また、本発明の抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤においては、抽出物の使用量は、ヘリコバクター・ピロリに対する抗菌活性が発現する有効量であればよく、例えば、投与単位当たりまたは成人1日当たり、抽出エキス換算で約0.01〜10.0g、乾燥エキス換算で約0.1mg〜5.0gである。通常、製剤中の抽出物の濃度は、その形態により異なるが、錠剤(タブレット)、チュアブル錠、顆粒、カプセル(例えば、ハードカプセル)等の固形の形態の場合は、総質量に対して0.01〜100重量%の範囲、好ましくは10〜100重量%である。好ましくは、有効成分の胃内の最終濃度が10〜100μg/mlになるように調製する。 本発明の抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤の形態としては、錠剤(タブレット)、チュアブル錠、顆粒、カプセル(例えば、ハードカプセル)等の固形食品および流動食等の各種形態、さらにスープ類、ジュース類、茶飲料、乳飲料、発酵乳飲料、豆乳、ココア飲料およびゼリー状飲料などの液状飲料食品、プリンおよびヨーグルト等の半固形食品、パン類、うどんなどの麺類、クッキー、チョコレート、キャンディおよびせんべいなどの菓子、ふりかけ、バターおよびジャムなどのスプレッド類等の形態を挙げることができる。また、本発明の抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤は、保健用食品または医療用食品とすることもでき、特に形態は限定されないが、錠剤(タブレット)、チュアブル錠、顆粒、カプセル等のほかに、菓子類、スープ、飲料および流動食等、継続して摂取できる形態とするのが好ましい。 さらに本発明の抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤には種々の食品添加物、例えば各種栄養素、種々のビタミン、ミネラル、食物繊維、多価不飽和脂肪酸、分散剤および乳化剤等の安定剤、甘味料、呈味成分、フレーバー等を配合することができる。また、液状の場合には、最初から液状として調製してもよいが、粉末またはペースト状で調製し、所定量の水性液体に溶解するものでもよい。 本発明の抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤は、任意の食品素材、例えば、牛乳、オレンジやレモン等の果汁、ヨーグルト等の乳製品、パン、その他の食品に添加して用いることもできる。 本発明の抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤は、優れた熱安定性を有する。したがって、上記食品に添加されて加熱された場合でも、活性を維持することができる。 本発明の抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤は、胃腸内のヘリコバクター・ピロリを除去することができることから、ヘリコバクター・ピロリに関連する疾患を治療、予防または改善するために用いることができる。ヘリコバクター・ピロリに関連する疾患としては、ヘリコバクター・ピロリが胃腸内に存在することにより引き起こされる疾患が含まれる。具体的には、胃潰瘍および十二指腸潰瘍等の消化性潰瘍、胃炎(急性胃炎、萎縮性胃炎)、胃MALTリンパ腫ならびに胃癌等が含まれる(Helocobacter pylori感染の診断と治療のガイドライン(改訂版)、日本ヘリコバクター学会、2003年)。日本ヘリコバクター学会では、2000年6月に「診断と治療のガイドラインを公表し、「ヘリコバクターピロリ陽性の胃潰瘍・十二指腸潰瘍はすべて除菌治療の適応となる」と提言している。 本発明を下記の実施例により詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるわけではない。 実施例1 抽出エキスの作成 シソ科植物として、ヤハシ、ナギナタコウジュ、アオジソを用いた。ヤハシ(Elsholtzia regulosa)は、中国雲南省大桃で採取され、乾燥した植物体(花穂を含む)を用いた。ナギナタコウジュ(Elsholtzia ciliata)は、乾燥させた花期の全草を細かく刻んだ市販品を使用した(百花園漢方薬局、寝屋川市)。アオジソ(Perilla frutescens viridis)は、市販されている花穂および葉を乾燥させて用いた。 抽出は、乾燥草体を乳鉢で磨砕した乾燥粉末1gに対して、30mlの抽出溶媒を用いて、4℃で一晩攪拌して行った。抽出溶媒としては、PBS、50%エタノール、100%メタノールを用いた。これを4,000rpmで30分間遠心し、その上清液を採取した。50%エタノールまたは100%メタノールで抽出した検体は、アルコールを蒸散させた乾燥粉末を所定の量のPBSに溶かし、これをミリポア膜でろ過して用いた。PBS抽出液は、そのまま、または必要に応じて濃縮してろ過したものを用いた。 試験例1 抗ヘリコバクター・ピロリ活性の測定 抗ヘリコバクター・ピロリ活性の測定は、ビロリ菌培養寒天培地(ポアメディアVi HELICO AGAR、栄研化学)を用いたペーパーディスク法により行った。この培地にヘリコバクター・ピロリを全面塗布したのち、その上に60μlの抽出液をしみ込ませた直径8mmの厚手の円形ロ紙(ADVANTEC)を置き、10%炭酸ガス下で培養を行った。培養3〜4日後に、ロ紙の周囲に形成されるヘリコバクター・ピロリ増殖阻止帯の大きさを観察した。陽性対照としてクロラムフフェニコール(CM、100μg/ml)を置き、陰性対照として溶媒であるPBSを置いた。 結果:(1)ヤハシ抽出物 ヤハシ花穂のPBS抽出液は、強い抗ヘリコバクター・ピロリ活性があることが認められた。ヘリコバクター・ピロリの発育阻止域の大きさで判断して、ヤハシ花穂抽出液の抗ヘリコバクター・ピロリ活性は、クロラムフェニコールの100μg/ml濃度にほぼ相当する強さであった。クロラムフェニコールによる抗菌活性は5μg/ml濃度でほぼ認められなくなった。本法によるクロラムフェニコールの最小発育阻止濃度(MIC)を5μg/ml程度と仮定すると、ヤハシ花穂抽出液のヘリコバクター・ピロリに対する最小発育阻止濃度(MIC)は、クロラムフェニコールに対し1/20であり、0.25μg/mlであった。 さらに、ヤハシ花穂の50%エタノール抽出液は、PBS抽出液より強い抗ヘリコバクター・ピロリ活性があった。また、ヤハシ花穂のPBS抽出を行った後の残渣をさらに50%エタノール水溶液で抽出した抽出液は、さらに強い抗ヘリコバクター・ピロリ活性を有することが認められた。(2)ナギナタコウジュ抽出物 ナギナタコウジュ全草のPBS抽出液は、5倍濃縮液で明らかな抗ヘリコバクター・ピロリ活性が確認された。また、ナギナタコウジュ全草の50%エタノール抽出液および100%メタノール抽出液は、PBS抽出液より強い抗ヘリコバクター・ピロリ活性があった。(3)アオジソ抽出物 アオジソ花穂のPBS抽出液には、濃縮することなしに強い抗ヘリコバクター・ピロリ活性が認められた。このアオジソ花穂PBS抽出液の抗ヘリコバクター・ピロリ活性は、クロラムフェニコールの100μg/ml濃度の活性を上回った。また、アオジソ花穂の50%エタノール抽出液は、PBS抽出液と同等の抗ヘリコバクター・ピロリ活性を有することが認められた。 試験例2 抗ヘリコバクター・ピロリ活性の熱安定性 抗ヘリコバクター・ピロリ活性を有する物質の熱安定性を検討するために、ヤハシ花穂のPBS抽出液、ナギナタコウジュの50%エタノール抽出液、およびアオジソ花穂のPBS抽出液を100℃で20分間加熱(煮沸)処理した後の抗ヘリコバクター・ピロリ活性を検討した。測定は、上記試験例1と同様の方法で行った。 結果: いずれの抽出液において、加熱処理をした抽出液は、加熱処理前の抽出液とほぼ同程度の抗ヘリコバクター・ピロリ活性を維持した。 試験例3 抗ヘリコバクター・ピロリ活性を有する物質の分子サイズの検討 抽出液に含まれる抗菌物質の分子サイズを検討した。ヤハシのPBS抽出液、ナギナタコウジュ花穂の50%エタノール抽出液、アオジソのPBS抽出液を用い、これらを各々30,000、20,000、10,000、5,000の分子量カットフィルターを通過させ、その抗菌活性を測定した。測定は、上記試験例1と同様の方法で行った。 結果: いずれの抽出液において、分子量5,000以下の画分に強い抗ヘリコバクター・ピロリ活性が認められた。アオジソのPBS抽出液においては、分子量5,000を超える画分には抗ヘリコバクター・ピロリ活性が認められなかった。 試験例4 ヤハシの抗ヘリコバクター・ピロリ活性成分の探索 ヤハシ花穂から100%メタノールで抽出した抽出液を用い、抗菌物質の分離・精製を試みた。先ず、ヤハシ花穂の100%メタノール抽出液を濃縮後、分配クロマトグラフィーを用いて、各々ヘキサン、酢酸エチル、PBSで抽出した。これら抽出液のうち、強い抗菌活性が認められたのはヘキサン、酢酸エチル画分であった。次に、特に強い活性を示した酢酸エチル画分をさらにシリカゲルカートリッジカラムにかけた。クロロホルム・メタノール溶液で溶出されたフラクションA1〜A10(Fr.A1−Fr.A10)のうち、Fr.A5とFr.A10(クロロホルム:メタノール=4:1)に抗菌活性が認められた。この2画分を集め、さらにODSカートリッジカラムでメタノール抽出を行った。活性の認められたフラクションB1(Fr.B1)を分取用HPLCカラムで精製し、得られたフラクションC1〜C99(Fr.C1−Fr.C99)について検討したところ、Fr.C10−C12に抗菌活性が認められた。これらの分離・精製の結果から、抗ピロリ菌物質は、ヘキサンや酢酸エチルのような有機溶媒によって容易に抽出される極性の高い疎水性物質であると判断された。 以上のように、本発明にかかる抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤は、ヘリコバクター・ピロリに対する優れた増殖抑制作用、除菌・排菌作用を有し、かつ優れた熱安定性を有する。 アオジソの花穂、ナギナタコウジュ又はヤハシの抽出物を有効成分として含む、抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤。 抽出物が、5,000の分子量カットオフフィルターを通過した画分を含む、請求項1に記載の抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤。 ヘリコバクター・ピロリに関連する疾患の治療、予防または改善に用いる、請求項1又は2に記載の抗ヘリコバクター・ピロリ活性剤。