タイトル: | 公表特許公報(A)_アルデヒドの製造方法 |
出願番号: | 2010532476 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C07C 45/50,C07C 47/32,C07C 47/02,B01J 31/22,C07B 61/00 |
フィッシュバッハ・アンドレーアス シュミット・クラウス バルツァーレク・クリストフ ドゥカト・ヴォルフガング フュルマイアー・ザンドラ ライナー・ルーカス ショルツ・ホルスト シュトルム・エトガー JP 2011503018 公表特許公報(A) 20110127 2010532476 20081028 アルデヒドの製造方法 オクセア・ゲゼルシャフト・ミト・べシュレンクテル・ハフツング 507254975 江崎 光史 100069556 鍛冶澤 實 100111486 上西 克礼 100139527 虎山 一郎 100164781 フィッシュバッハ・アンドレーアス シュミット・クラウス バルツァーレク・クリストフ ドゥカト・ヴォルフガング フュルマイアー・ザンドラ ライナー・ルーカス ショルツ・ホルスト シュトルム・エトガー DE 102007053385.5 20071109 C07C 45/50 20060101AFI20101224BHJP C07C 47/32 20060101ALI20101224BHJP C07C 47/02 20060101ALI20101224BHJP B01J 31/22 20060101ALI20101224BHJP C07B 61/00 20060101ALN20101224BHJP JPC07C45/50C07C47/32C07C47/02B01J31/22 ZC07B61/00 300 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW EP2008009084 20081028 WO2009059713 20090514 24 20100506 4G169 4H006 4H039 4G169AA06 4G169AA08 4G169BA21A 4G169BA21B 4G169BA27A 4G169BA27B 4G169BC71A 4G169BC71B 4G169BE08A 4G169BE08B 4G169CB25 4G169CB72 4G169FA01 4G169FB77 4H006AA02 4H006AC21 4H006AC45 4H006BA45 4H006BA50 4H006BA53 4H006BB17 4H006BB42 4H006BC34 4H006BE20 4H006BE40 4H039CA62 4H039CL45本発明は、ロジウムを基礎とする触媒の存在下、かつ錯形成有機リン化合物の非存在下での、反応域におけるアルデヒドの製造方法であって、反応域にロジウム含有有機溶液を供給し、上記溶液が予め少なくとも1種の有機酸またはそれらの混合物と混合されている、アルデヒドの製造方法に関する。オレフィンまたはオレフィン性不飽和化合物の水素および一酸化炭素を用いたアルデヒドおよびアルコール(使用したオレフィンよりも1個多い炭素原子を有する)への遷移金属触媒による反応は、ヒドロホルミル化またはオキソ反応として呼ばれる。ヒドロホルミル化工程はこれまで、重大な経済的および技術的な意義を獲得してきた。ここで最初に得られるアルデヒドはそのまま使用されるか、または例えばアルコール類、カルボン酸類、エステル類もしくはアミン類の生産のための重要な中間体となる。 ヒドロホルミル化はヒドリド金属カルボニル、好ましくは元素の周期律表の第VIII副族の金属のそれによって触媒作用される。古典的な触媒金属であるコバルトのほかに、数年前からロジウムをベースとする触媒がますます使用されてきている。コバルトとは対照的に、ロジウムの場合にはより低い圧力下で反応を実施することが可能である。さらに、末端オレフィンを使用した場合には、好ましくは直鎖状n−アルデヒドが形成し、副次的な量でのみイソアルデヒドが形成する。最終的に、使用したオレフィンの飽和炭化水素への水素化も、ロジウム触媒の存在下では、コバルト触媒使用時よりも著しく少ない。 工業的には、オレフィン性不飽和化合物のヒドロホルミル化は、第三級の有機ホスフィンまたはホスファイトをリガンドとして有するロジウムカルボニル錯体の触媒作用下において実施される。1つの変法では、均一相で、すなわち、使用するオレフィン、触媒および反応生成物を溶液中に一緒に存在させて実施する。反応生成物は、多くの場合には蒸留により、稀に、他の方法、例えば抽出により、混合物から分離される。均一相において実施されるヒドロホルミル化法は、特許文献1に記載のガス循環法の形態で、または特許文献2に記載の液体循環法の形態で実施される。 別の変法では、ロジウム触媒によるヒドロホルミル化反応は、錯形成リガンドの非存在下、例えばホスフィンまたはホスファイトの非存在下でも行われる。そのようなホスフィンまたはホスファイトで変性されていないロジウム触媒、およびそのヒドロホルミル化触媒としての能力は、これまでに文献から公知であり、それらは未変性ロジウム触媒と呼ばれている。このような技術文献では、反応域で同時に起こる多くの化学的機序に基づいて明確に証明されていないにもかかわらず、ロジウム化合物HRh(CO)4が未変性ロジウム触媒を用いるヒドロホルミル化において触媒的に活性なロジウム種であると考えられている。未変性ロジウム触媒は、ヒドロホルミル化反応の条件下で、反応域において、ロジウム化合物、例えば塩化ロジウム(III)、硝酸ロジウム(III)、酢酸ロジウム(III)、酢酸ロジウム(II)、硫酸ロジウム(III)もしくは塩化ロジウム(III)アンモニウムのようなロジウム塩から、酸化ロジウム(III)もしくは硫化ロジウム(III)のようなロジウムカルコゲニドから、ロジウム酸塩(Rhodaten)のようなロジウムオキソ酸の塩から、Rh4(CO)12およびRh6(CO)16のようなロジウムカルボニル化合物から、またはロジウムカルボニルアセトニルアセトネート、シクロオクタジエンロジウム−アセテートもしくは−クロリドのような有機ロジウム化合物から、合成ガスとも呼ばれる一酸化炭素/水素混合物の存在下で形成される。その際、ロジウム化合物は、固体としてまたは有利には溶液中で使用される。未変性ロジウム錯体の存在下におけるヒドロホルミル化の方法は、例えば、ロジウム-2-エチルヘキサノエートが使用される特許文献3、または特許文献4から公知であり、ここでは、反応させるべきオレフィン性不飽和化合物における予め形成させたロジウムカルボニル化合物の溶液が使用される。 安定化リガンドを欠くために、未変性の変法により得られ、反応域から取り出されたヒドロホルミル化粗製混合物の蒸留による後処理の際に、金属ロジウムが析出する。ヒドロホルミル化粗製混合物の後処理装置において析出したロジウムは、再びヒドロホルミル化工程に戻すことはできず、従ってロジウムの減損が生じ、貴金属コストは高いため、これは経済的な不利益を意味するものである。未変性ロジウムヒドロホルミル化により得られる粗製ヒドロホルミル化混合物の後処理段階におけるロジウムの減損を減少させるために、特許文献4は、第一に、水溶性リン含有錯体形成剤の水性溶液を用いる抽出を提案しており、そこでは、水性相にロジウムが抽出され、そして残ったヒドロホルミル化混合物からアルデヒドまたはアルコールが単離される。引き続き、水性の抽出物を一酸化炭素または一酸化炭素含有ガスの存在下で、加圧下および高温において有機性の液体で処理し、その際、ロジウムカルボニルとしてのロジウムを再び有機相に移して、引き続き、これを反応域に再度供給することができる。 未変性ロジウム触媒作用により得られた粗製のヒドロホルミル化混合物の後処理において生じ得るロジウム析出とは別に、ロジウム含有溶液を反応域に導入する場合には、導入領域付近でのロジウム金属の析出もまた予測される。この析出したロジウム金属は、反応域において合成ガス圧力下であっても、もはや触媒的に活性なロジウムカルボニルには変換されない。従って、第一に、使用するロジウム塩を基準として、ほんの少量の触媒的に活性なロジウムが利用でき、そして第二に、析出したロジウム金属が反応域に残り、ロジウムの減損が生じる。特許文献5によると、連続的に行われる未変性ヒドロホルミル化工程において、ロジウム溶液の加熱ならびにオレフィン性不飽和化合物およびロジウム溶液からなる混合物の加熱は避けられるべきものである。同様に、反応域においてロジウム溶液のオレフィン性不飽和化合物との混合の際には、高いロジウム濃度は生じるべきではない。従って、特許文献5は、合成ガス、オレフィン性不飽和化合物およびロジウム溶液を、反応域への導入部の近くで十分に混和することを推奨している。その際、極性有機溶剤におけるロジウム化合物の、例えば塩化ロジウムまたは硝酸ロジウムの溶液が反応域に供給され、ロジウム化合物はオレフィン性不飽和化合物に不溶性である必要がある。例えば、メタノールおよび酢酸からなる混合物中における、酢酸における、またはプロピオン酸における酢酸ロジウムの溶液が使用される。連続的に行われる上記の公知ヒドロホルミル化工程により、約2時間の滞留時間および14ppmのロジウム濃度において、94〜96%の 1−オクテンという転化が可能であり、同時に、反応域へのロジウム溶液の導入部の近くでのロジウム析出を減少させることができる。従って同様に、ロジウム溶液とオレフィン性不飽和化合物との混合の際の高いロジウム濃度を避けるために、添加されるロジウム化合物はオレフィン性不飽和化合物に不溶性であるか、またはほとんど不溶性であるべきである。局所的に高いロジウム濃度が生じると、オレフィン性不飽和化合物の存在下で、ロジウム金属が析出し得る。米国特許第4,247,486号米国特許第4,148,830号独国特許出願公開第38 22 038号明細書欧州特許出願公開第0 695 734号明細書独国特許出願公開第19 20 960号明細書驚くべきことに、引き続いて反応域に供給されるロジウム含有有機溶液への有機酸のねらいを定めた添加が、未変性のロジウムが触媒するヒドロホルミル化工程において、同様に変わることのない高い選択性で、顕著に転化を増加させること、その結果、酸のねらいを定めた添加により、所望のアルデヒド化合物の収率を高めることができることが見出された。それに対して、もし装置設計のためまたは市場状況のために、所望のアルデヒドの絶対的な生産量を変えない必要がある場合には、本発明による実施形態により、製造されるアルデヒド量を基準としてロジウムの特定の使用を減少させることができ、それは経済上の大きな利点を意味する。従って、本発明は、少なくとも1種のロジウム化合物を溶解形態で含む有機溶液の反応域への供給、ならびに少なくとも1種のロジウム化合物の存在下および錯形成有機リン化合物の非存在下での、この反応域における、均一有機相での、オレフィン性不飽和化合物の一酸化窒素および水素との反応による、アルデヒドの製造方法を提供する。これは、ロジウム含有有機溶液に、ロジウム1モルあたり酸当量として計算して全量で3モルより大きく3000モル以下の少なくとも1種の有機酸またはそれらの混合物を添加し、引き続きこの溶液を反応域に供給することを特徴とする。反応域に供給される有機溶液は少なくとも1種のロジウム化合物を溶解形態で含有し、以下においては、ロジウム溶液とも呼ばれる。このロジウム溶液の調製に使用される溶剤は、ロジウム化合物の完全な溶解を保証しなければならない。好適な溶剤は、例えば、水不溶性のケトン類、ジアルキルエーテル、脂肪族ニトリル類、芳香族炭化水素類、例えばベンゼンもしくはトルエン、異性体キシレン類もしくはメシチレン、飽和脂環式炭化水素類、例えばシクロペンタンもしくはシクロヘキサン、または飽和脂肪族炭化水素類、例えばn−ヘキサン、n−ヘプタンもしくはn−オクタンである。極性溶剤、例えば脂肪族飽和モノアルコール類、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、n−およびイソ−ブタノール、異性体ペンタノール類、例えば2−エチルヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノールを基礎とするイソノナノール、飽和多価アルコール類、例えば1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、またはポリアルキレングリコール類、例えばエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびこれらのモノ−およびジエーテル、例えばそれらのメチル−もしくはブチルエーテル、または極性エステル化合物、例えばEastman社のTexanol(登録商標)もまた好適である。ロジウム化合物の十分な可溶性が確保され、溶剤または溶剤混合物が後続のヒドロホルミル化条件下で不活性なことが明らかである限り、溶剤の混合物も使用することができる。2−エチルヘキサノールまたはトルエンがロジウム溶液の調製用溶剤として特に好適なことがわかった。 ロジウム溶液の製造に使用されるロジウム化合物としては、分子内に2〜13個、好ましくは7〜11個の炭素原子を有する脂肪族モノ−もしくはポリカルボン酸の塩が使用される。好適なロジウム塩としては、酢酸ロジウム、プロピオン酸ロジウム、シュウ酸ロジウム、マロン酸ロジウム、ロジウム−2−エチルヘキサノエート、イソノナン酸ロジウム(イソノナン酸は、ジイソブチレンのヒドロホルミル化と後続のヒドロホルミル化生成物の酸化により製造される)、またはイソトリデカン酸ロジウム(イソトリデカン酸はテトラプロピレンのヒドロホルミル化および後続のヒドロホルミル化生成物の酸化により製造される)が挙げられる。さらに、ロジウムのカルボニル化合物、例えばトリカルボニルロジウムRh(CO)3、テトラカルボニルロジウム[Rh(CO)4]2、テトラロジウムドデカカルボニルRh4(CO)12が非常に有効であることが実証された。ハロゲンカルボニル化合物、例えばジカルボニルロジウムブロミド[Rh(CO)2]Brおよびジカルボニルロジウムヨージド[Rh(CO)2]Iも確かに使用できるが、ハロゲンイオンの腐蝕特性のために、限定的にのみ使用される。最後に、ロジウムの錯化合物、特にロジウム(III)化合物もまた、触媒系における触媒活性金属成分の製造のための好適な出発材料である。これらの化合物は、単座、二座もしくは三座の配位子、例えばβ−ジケトン類、例えばアセチルアセトン、または脂肪族もしくは脂環式のジエチレン性不飽和炭化水素類、例えばシクロペンタジエンおよび1,5−シクロオクタジエンを含む。ロジウム溶液の調製のために特に好適なロジウム化合物は、酸化ロジウム、ロジウムカルボニル類、酢酸ロジウム、ロジウム−2−エチルヘキサノエート、イソノナン酸ロジウムおよびロジウム(III)アセチルアセトネートである。ロジウム化合物および溶剤もしくは溶剤混合物からのロジウム溶液の製造は、慣用の方法で、例えばフレッシュなロジウム化合物の単純な溶解により行われ、この場合には酸素を排除するのがよい。さらに、使用されるロジウム触媒の後処理において生じるロジウム溶液も使用することができる。ロジウムカルボキシレートが溶解形態で存在するこのようなロジウム含有有機溶液は、独国特許出願公開第3626536号明細書または独国特許出願公開第3833427号明細書の方法により得ることができる。その際、最初に、水性のロジウム溶液がカルボキシレート類またはカルボキシレートおよびカルボン酸、例えば2−エチルヘキサン酸からなる混合物の存在下で酸化される。ロジウムは水不溶性カルボキシレートとして得られ、これは水不溶性溶剤、例えばトルエンを用いて有機相に抽出することができる。その際、先行する酸化段階で存在するカルボン酸も該有機溶剤に溶解すると考えられる。従って、独国特許出願公開第3626536号明細書または独国特許出願公開第3833427号明細書により得られるロジウム溶液は既に特定のカルボン酸成分を示し、標準的な技術により後処理なしにヒドロホルミル化反応用触媒成分として使用される。驚くべきことに、すでに特定量のカルボン酸を溶解形態で含有するロジウム溶液の場合に、有機酸の積極的な添加が下流のヒドロホルミル化反応におけるアルデヒド収量に対して有利であることが見出された。本発明では、ロジウム溶液に、酸当量で計算してロジウム1モルあたり3モル〜3000モル、好ましくは50〜2000モル、そして特に100〜1000モルの有機酸が存在する量で、少なくとも1種の有機酸が添加される。該ロジウム量を基準として、有機酸のねらいを定めた添加は驚くべきことに、望ましくない副生成物(例えば高沸点の)がかなりの量で形成することなしに、広い範囲にわたって変えることができる。しかしながら、臨界のモル比を超えた場合には、反応混合物における酸含有量があまりにも高くなり、それにより、既に形成されたアルデヒドとの副反応が予測される。同様に、あまりにも高量の酸の添加は、無駄にヒドロホルミル化工程の費用を増加させる。それとは逆に、有機酸に対するロジウムの臨界モル比を下回る場合には、もはやアルデヒド収量に関して有利な効果は観察されない。有機酸のロジウム溶液への添加は、通常、室温で慣用の条件下で行われる。酸素排除下で行うことができるが、これは、必ずしも必要ではない。有機酸としては、2〜13個、好ましくは5〜11個の炭素原子を分子内に有するカルボン酸が好適である。脂肪族、脂環式、芳香族および/または芳香脂肪族(araliphatische)のカルボン酸がこれに該当する。脂肪族、脂環式、芳香族および/または芳香脂肪族系のモノカルボン酸およびジカルボン酸、特に飽和脂肪族モノ−およびジカルボン酸が非常に好適である。典型的には、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−吉草酸、2−メチル酪酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸(ジイソブチレンのヒドロホルミル化と後続のヒドロホルミル化生成物の酸化により製造される)、またはイソトリデカン酸(テトラプロピレンのヒドロホルミル化と後続のヒドロホルミル化生成物の酸化により製造される)を必要な量で添加することができる。好適な脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸またはアジピン酸を添加することができる。成功裏に本発明の方法において使用できる有機酸には同様に、分子内に1〜12個の炭素原子を有するスルホン酸、特に脂肪族の、脂環式の、芳香族のおよび/または芳香脂肪族のスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、パラ−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸もしくはベンゼンジスルホン酸が含まれる。特に、ロジウム溶液の調製の際の分岐状飽和脂肪族モノカルボン酸、例えば2−エチルヘキサン酸またはイソノナン酸の添加が有効であることが実証された。有機酸の混合物、例えば2−エチルヘキサン酸およびイソノナン酸からなる混合物も使用することができる。有機酸の混合物をロジウム溶液へ所望の量での添加する場合に、ロジウムの有機酸に対する前記のモル比は、酸当量として計算して、添加した有機酸の全量を用いる。 有機酸の添加後に反応域に供給されるロジウム溶液におけるロジウム濃度は、ヒドロホルミル化反応が行われる反応域自体における比率と比較して比較的高く、そして通常100〜10000ppm、好ましくは1000〜10000ppmとなる。反応域へのロジウム溶液の導入後に、ロジウム濃度は、添加されたオレフィン性不飽和化合物におけるおよびヒドロホルミル化段階で場合により存在する溶剤における希釈のために、1〜100ppmの含有量に低下する。反応域で用いられている条件下でその後、導入されたロジウム溶液に溶解したロジウム化合物から、合成ガスの存在下で、実際の活性ヒドロホルミル化触媒が生じる。 本発明のヒドロホルミル化工程は、均一有機相において、少なくとも1種のロジウム化合物の存在下、錯形成有機リン化合物の非存在下で行われる。そのような例えばホスフィン類もしくはホスファイト類で変性されないロジウム触媒およびそのヒドロホルミル化触媒としての適性は文献から公知であり、未変性ロジウム触媒と呼ばれる。技術文献においては、ロジウム化合物HRh(CO)4が、未変性ロジウム触媒を用いるヒドロホルミル化において、触媒的に活性なロジウム種であると考えられている。一般に、ホスフィンで変性されていないロジウム触媒の使用は、より少ないロジウム含有量を必要とするので、一般に均一反応混合物を基準として1〜100ppm、好ましくは2〜30ppmのロジウム含有量で行われる。 均一有機相という語句は、実質的に溶剤、ヒドロホルミル化段階に添加される場合には導入されたロジウム溶液に溶解したロジウム化合物を含み存在する溶剤を含む触媒、および添加された有機酸、未反応オレフィン性不飽和出発化合物、形成したアルデヒド、および形成した副生成物、からなる均一溶液を表す。場合により、ヒドロホルミル化段階における溶剤添加が有効であることを示すことができる。ヒドロホルミル化反応用に使用される溶剤は、ロジウム溶液を通して供給されるロジウム化合物、溶剤および有機酸を含めた出発物質、反応生成物および触媒が可溶性な有機化合物である。そのような溶剤の例は、芳香族炭化水素、例えばベンゼンおよびトルエン、または異性体キシレンおよびメシチレンである。他の使用できる溶剤は、パラフィン油、シクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタンまたはn−オクタン、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、ケトンまたはEastman社のテキサノール(Texanol:登録商標)である。反応媒体における溶剤の割合は、広い範囲にわたって変えることができ、反応混合物を基準として、通常10〜80重量%、好ましくは20〜50重量%である。 アルデヒドへのオレフィンまたはオレフィン性不飽和化合物の水素および一酸化炭素との反応は、20〜180℃、好ましくは50〜150℃、そして特に100〜150℃の温度、および0.1〜70 MPa、好ましくは0.1〜60 MPa、そして特に0.1〜30 MPaの圧力で行われる。個々の場合に使用される反応条件は、反応させるオレフィン性不飽和化合物の種類に依存する。従って、反応不活発な化合物が相応に強力な反応条件を必要とするのに対して、反応性の開始物質はすでに、比較的低い温度および圧力において、より少ない量の触媒の存在下で反応することができる。 合成ガスの組成、すなわちガス混合物における一酸化窒素および水素の割合は、広い範囲で変えることができる。通常、一酸化炭素の水素に対するモル比が5:1〜1:5である混合物が使用される。通常、この比率は1:1であるか、またはこの値とわずかだけ相違する。オレフィン性化合物は、そのまままたは溶液で反応域に供給される。好適な溶剤は、ケトン類、例えばアセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン、低級脂肪族ニトリル、例えばアセトニトリル、プロピオニトリルもしくはベンゾニトリル、ジメチルホルムアミド、直鎖状もしくは分岐状飽和脂肪族モノヒドロキシ化合物、例えばメタノール、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノール、芳香族炭化水素類、例えばベンゼンもしくはトルエン、および飽和脂環式炭化水素類、例えばシクロペンタンもしくはシクロヘキサンである。 本発明の方法は、バッチ式でも、連続的にも実施することができる。粗製ヒドロホルミル化生成物からの所望のアルデヒドの回収は、慣用の方法、例えば蒸留により行われる。アルデヒドおよび別の揮発性成分を塔頂生成物として取り出し、必要に応じて、精密精製(Feinreinigung)に付す。使用したロジウム量が蒸留残渣に存在し、公知の方法によって回収される。 新しい方法の使用は、出発物質としての特定のオレフィン性不飽和化合物に限定されない。オレフィン性不飽和化合物は、1つまたはそれ以上の炭素−炭素二重結合を含む。この炭素−炭素二重結合は、末端にまたは内部(内部オレフィン)に配置されることができる。末端の炭素−炭素二重結合を有するオレフィン性不飽和化合物、または置換されていない二重結合を有する環状のオレフィン性不飽和化合物が好ましい。 α−オレフィン化合物(末端の炭素−炭素二重結合を有する)の例は、アルケン類、アルキレンアルカノエート類、アルキレンアルキルエーテルおよびアルケノールであり、特に2〜12個の炭素原子を有するものである。α−オレフィン化合物としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−オクタデセン、2−エチル−1−ヘキセン、スチレン、3−フェニル−1−プロペン、塩化アリル、1,4−ヘキサジエン、1,3−ブタジエン、1,7−オクタジエン、3−シクロヘキシル−1−ブテン、ヘキサ−1−エン−4−オール、オクタ−1−エン−4−オール、ビニルシクロヘキセン、n−プロピル−7−オクタノエート、7−オクテン酸、5−ヘキセンアミドを挙げることができるがこれらに限定はされない。 さらなる好適なオレフィン化合物の例としては、ブテン−2、ジイソブチレン、トリプロピレン、ラフィネートII(Raffinat II)(1−ブテン、2−ブテンおよびブタンからなる混合物)、オクトールまたはダイマーゾル(Dimersol)(ブテン類の二量体化生成物)、テトラプロピレン、シクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、アシル化、環式もしくは二環式テルペン、例えばミルセン(Myrcen)、リモネン(Limonen)およびピネン(Pinen)が挙げられる。ヒドロホルミル化は、好ましくは2〜12個の炭素原子を分子内に有するオレフィン性不飽和化合物を用いて行われる。 以下において、本発明の方法をいくつかの実施例に基づいてより詳細に説明するが、これは記載される実施形態に限定するものではない。<全般的手順>1Lの特殊鋼オートクレーブにおいて300gのオレフィンを30分の範囲内で130℃に加熱し、23MPaの合成ガス圧(モル比CO/H2 = 1:1)で蒸気を送り込んだ。反応温度に達した後に、予め外部の容器に入れたロジウム溶液が、自然に、3MPaという合成ガスの差圧によって、オートクレーブに押し出された。ヒドロホルミル化が少なくとも2時間、130℃および26MPaで行われた。試料を30〜60分後に取り出し、ガスクロマトグラフィーで分析した。120分の反応時間後において、シクロヘキセンまたは1−ヘキセンの転化率は98%を超えた。<実施例1(比較例)>シクロヘキセンのヒドロホルミル化一般的な実験法に従って、シクロヘキセンを、ロジウム−2−エチルヘキサノエートの形態にある3ppmのロジウムの存在下で反応させた。外部の容器に供給した2−エチルヘキサノールを溶剤とするロジウム溶液には、2−エチルヘキサン酸に対して1〜3のモル比のロジウムが存在した。さらなる2−エチルヘキサン酸は、オートクレーブへの導入前に、ロジウム溶液に添加しなかった。60分後、ガスクロマトグラフィーにより求めたシクロヘキセン転化率は70.4%であった。ガスクロマトグラフィーにより求めたホルミルシクロヘキサンへの選択性は94.7%であり、ガスクロマトグラフィーにより求めた66.7%の収率と一致した。特異的な触媒活性は、26.47モルオレフィン・(mmol Rh・h)−1であった。この値を「100」を有する参照値として設定することができる。<実施例2>2−エチルヘキサン酸の添加を伴うシクロヘキセンのヒドロホルミル化一般的な実験法に従って、シクロヘキセンを、ロジウム−2−エチルヘキサノエートの形態にある3ppmのロジウムの存在下で反応させた。外部の容器に供給した2−エチルヘキサノールを溶剤とするロジウム溶液において、オートクレーブへの導入前に2−エチルヘキサン酸を添加することにより、2−エチルヘキサン酸に対するロジウムのモル比を1:125にした。60分後、ガスクロマトグラフィーにより求めたシクロヘキセン転化率は72.0%であった。ガスクロマトグラフィーにより求めたホルミルシクロヘキサンへの選択性は95.7%であり、ガスクロマトグラフィーにより求めた68.9%の収率と一致した。特異的な触媒活性は、27.07モルオレフィン・(mmol Rh・h)−1であり、参照値を基準として2.3パーセントポイントの増加と一致した。<実施例3>2−エチルヘキサン酸の添加を伴うシクロヘキセンのヒドロホルミル化一般的な実験法に従って、シクロヘキセンを、ロジウム−2−エチルヘキサノエートの形態にある3ppmのロジウムの存在下で反応させた。外部の容器に供給した2−エチルヘキサノールを溶剤とするロジウム溶液において、オートクレーブへの導入前に2−エチルヘキサン酸を添加することにより、2−エチルヘキサン酸に対するロジウムのモル比を1:2877にした。60分後、ガスクロマトグラフィーにより求めたシクロヘキセン転化率は78.9%であった。ガスクロマトグラフィーにより求めたホルミルシクロヘキサンへの選択性は95.9%であり、ガスクロマトグラフィーにより求めた75.7%の収率と一致した。特異的な触媒活性は、29.67モルオレフィン・(mmol Rh・h)−1であり、参照値を基準として12.1パーセントポイントの増加と一致した。<実施例4>2−エチルヘキサン酸の添加を伴う1−ヘキセンのヒドロホルミル化一般的な実験法に従って、1−ヘキセンを、ロジウム−2−エチルヘキサノエートの形態にある3ppmのロジウムの存在下で反応させた。外部の容器に供給した2−エチルヘキサノールを溶剤とするロジウム溶液において、オートクレーブへの導入前に2−エチルヘキサン酸を添加することにより、2−エチルヘキサン酸に対するロジウムのモル比を1:125とした。30分後、ガスクロマトグラフィーにより求めた1−ヘキセン転化率は57.1%であった。ガスクロマトグラフィーにより求めたn/i−ヘプタナールに対するアルデヒド選択性は62.3%であり、ガスクロマトグラフィーにより求めた35.6%のn/i−ヘプタナールの収率と一致した。特異的な触媒活性は、20.94モルオレフィン・(mmol Rh・h)−1であった。この値を「100」を有する参照値として設定することができる。<実施例5>2−エチルヘキサン酸の添加を伴う1−ヘキセンのヒドロホルミル化一般的な実験法に従って、1−ヘキセンを、ロジウム−2−エチルヘキサノエートの形態にある3ppmのロジウムの存在下で反応させた。外部の容器に供給した2−エチルヘキサノールを溶剤とするロジウム溶液において、オートクレーブへの導入前に2−エチルヘキサン酸を添加することにより、2−エチルヘキサン酸に対するロジウムのモル比を1:2877にした。30分後、ガスクロマトグラフィーにより求めた1−ヘキセン転化率は60.7%であった。ガスクロマトグラフィーにより求めたn/i−ヘプタナールに対するアルデヒド選択性は67.3%であり、ガスクロマトグラフィーにより求めた39.3%のn/i−ヘプタナールの収率と一致した。特異的な触媒活性は、22.26モルオレフィン・(mmol Rh・h)−1であり、参照値を基準として6.3パーセントポイントの増加と一致した。本発明の実施例が示すように、驚くべきことに、反応域に供給されるロジウム溶液への2−エチルヘキサン酸のねらいを定めた添加により、ヒドロホルミル化反応におけるオレフィン性不飽和化合物の転化率も、所望のアルデヒドへの選択性も増加させることができ、それによりアルデヒドの収率が全体として改善される。他方、絶対的なアルデヒド産生量が変わらない場合には、本発明の方法により、特異的なロジウムの使用が減少する。比較的に高い量の酸の添加にも拘らず、ヒドロホルミル化反応の間に目立った量の高沸点形成物は観察されない。 少なくとも1種のロジウム化合物を溶解形態で含む有機溶液の反応域への供給、ならびに少なくとも1種のロジウム化合物の存在下および錯形成有機リン化合物の非存在下での、この反応域における、均一有機相での、オレフィン性不飽和化合物の一酸化窒素および水素との反応による、アルデヒドの製造方法であって、前記ロジウム含有有機溶液に、酸当量として計算してロジウム1モルあたり全量で3モルより大きく3000モル以下の少なくとも1種の有機酸またはそれらの混合物を添加し、引き続きこの溶液を反応域に供給することを特徴とする、前記の製造方法。 ロジウム含有有機溶液に、酸当量として計算してロジウム1モルあたり全量で50〜2000モル、好ましくは100〜1000モルの前記有機酸またはそれらの混合物を添加することを特徴とする、請求項1記載の方法。 有機酸として、2〜13個、好ましくは5〜11個の炭素原子を分子内に有するカルボン酸または分子内に1〜12個の炭素原子を有するスルホン酸が使用されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。 カルボン酸として、飽和脂肪族モノカルボン酸もしくはジカルボン酸が使用されることを特徴とする、請求項3記載の方法。 飽和脂肪族モノカルボン酸として、酢酸、プロピオン酸、n−酪酸、イソ酪酸、n−吉草酸、2−メチル酪酸、2−エチルヘキサン酸、ジイソブチレンのヒドロホルミル化と後続のヒドロホルミル化生成物の酸化により製造されるイソノナン酸、またはテトラプロピレンのヒドロホルミル化と後続のヒドロホルミル化生成物の酸化により製造されるイソトリデカン酸が使用されることを特徴とする、請求項4記載の方法。飽和脂肪族ジカルボン酸として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸またはアジピン酸が使用されることを特徴とする、請求項4記載の方法。スルホン酸として、脂肪族の、脂環式の、芳香族のおよび/または芳香脂肪族のスルホン酸が使用されることを特徴とする、請求項3記載の方法。スルホン酸として、メタンスルホン酸、パラ−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸またはベンゼンジスルホン酸が使用されることを特徴とする、請求項7記載の方法。反応域に供給されるロジウム含有有機溶液におけるロジウム含有量が100〜10000ppm、好ましくは1000〜10000ppmであることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1つに記載の方法。反応域に供給されるロジウム含有有機溶液が極性溶剤を含有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法。極性溶剤として、2−エチルヘキサノール、または3,5,5−トリメチルヘキサノールを基礎とするイソノナノールが使用されることを特徴とする、請求項10記載の方法。反応域において、オレフィン性不飽和化合物の一酸化炭素および水素との反応が、20〜180℃、好ましくは50〜150℃、そして特に100〜150℃の温度、および0.1〜70 MPa、好ましくは0.1〜60 MPa、そして特に0.1〜30 MPaの圧力で行われることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1つに記載の方法。反応域において、オレフィン性不飽和化合物の一酸化炭素および水素との反応が、その都度、均一反応混合物を基準として1〜100ppm、好ましくは2〜30ppmのロジウム含有量で行われることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1つに記載の方法。オレフィン性不飽和化合物が分子内に2〜12個の炭素原子を含むことを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1つに記載の方法。 本発明は、ロジウムをベースとする触媒の存在下かつ錯形成有機リン化合物の非存在下での反応域におけるアルデヒドの製造方法であって、上記反応域に予め少なくとも1種の有機酸もしくはそれらの混合物が混合されたロジウム含有有機溶液が供給される、上記製造方法に関する。20090408A16330全文3本発明は、ロジウムを基礎とする触媒の存在下、かつ錯形成有機リン化合物の非存在下での、反応域におけるアルデヒドの製造方法であって、反応域にロジウム含有有機溶液を供給し、上記溶液が予め少なくとも1種の有機酸またはそれらの混合物と混合されている、アルデヒドの製造方法に関する。オレフィンまたはオレフィン性不飽和化合物の水素および一酸化炭素を用いたアルデヒドおよびアルコール(使用したオレフィンよりも1個多い炭素原子を有する)への遷移金属触媒による反応は、ヒドロホルミル化またはオキソ反応として呼ばれる。ヒドロホルミル化工程はこれまで、重大な経済的および技術的な意義を獲得してきた。ここで最初に得られるアルデヒドはそのまま使用されるか、または例えばアルコール類、カルボン酸類、エステル類もしくはアミン類の生産のための重要な中間体となる。 ヒドロホルミル化はヒドリド金属カルボニル、好ましくは元素の周期律表の第VIII副族の金属のそれによって触媒作用される。古典的な触媒金属であるコバルトのほかに、数年前からロジウムをベースとする触媒がますます使用されてきている。コバルトとは対照的に、ロジウムの場合にはより低い圧力下で反応を実施することが可能である。さらに、末端オレフィンを使用した場合には、好ましくは直鎖状n−アルデヒドが形成し、副次的な量でのみイソアルデヒドが形成する。最終的に、使用したオレフィンの飽和炭化水素への水素化も、ロジウム触媒の存在下では、コバルト触媒使用時よりも著しく少ない。 工業的には、オレフィン性不飽和化合物のヒドロホルミル化は、第三級の有機ホスフィンまたはホスファイトをリガンドとして有するロジウムカルボニル錯体の触媒作用下において実施される。1つの変法では、均一相で、すなわち、使用するオレフィン、触媒および反応生成物を溶液中に一緒に存在させて実施する。反応生成物は、多くの場合には蒸留により、稀に、他の方法、例えば抽出により、混合物から分離される。均一相において実施されるヒドロホルミル化法は、特許文献1に記載のガス循環法の形態で、または特許文献2に記載の液体循環法の形態で実施される。 別の変法では、ロジウム触媒によるヒドロホルミル化反応は、錯形成リガンドの非存在下、例えばホスフィンまたはホスファイトの非存在下でも行われる。そのようなホスフィンまたはホスファイトで変性されていないロジウム触媒、およびそのヒドロホルミル化触媒としての能力は、これまでに文献から公知であり、それらは未変性ロジウム触媒と呼ばれている。このような技術文献では、反応域で同時に起こる多くの化学的機序に基づいて明確に証明されていないにもかかわらず、ロジウム化合物HRh(CO)4が未変性ロジウム触媒を用いるヒドロホルミル化において触媒的に活性なロジウム種であると考えられている。未変性ロジウム触媒は、ヒドロホルミル化反応の条件下で、反応域において、ロジウム化合物、例えば塩化ロジウム(III)、硝酸ロジウム(III)、酢酸ロジウム(III)、酢酸ロジウム(II)、硫酸ロジウム(III)もしくは塩化ロジウム(III)アンモニウムのようなロジウム塩から、酸化ロジウム(III)もしくは硫化ロジウム(III)のようなロジウムカルコゲニドから、ロジウム酸塩(Rhodaten)のようなロジウムオキソ酸の塩から、Rh4(CO)12およびRh6(CO)16のようなロジウムカルボニル化合物から、またはロジウムカルボニルアセトニルアセトネート、シクロオクタジエンロジウム−アセテートもしくは−クロリドのような有機ロジウム化合物から、合成ガスとも呼ばれる一酸化炭素/水素混合物の存在下で形成される。その際、ロジウム化合物は、固体としてまたは有利には溶液中で使用される。未変性ロジウム錯体の存在下におけるヒドロホルミル化の方法は、例えば、ロジウム-2-エチルヘキサノエートが使用される特許文献3、または特許文献4から公知であり、ここでは、反応させるべきオレフィン性不飽和化合物における予め形成させたロジウムカルボニル化合物の溶液が使用される。 安定化リガンドを欠くために、未変性の変法により得られ、反応域から取り出されたヒドロホルミル化粗製混合物の蒸留による後処理の際に、金属ロジウムが析出する。ヒドロホルミル化粗製混合物の後処理装置において析出したロジウムは、再びヒドロホルミル化工程に戻すことはできず、従ってロジウムの減損が生じ、貴金属コストは高いため、これは経済的な不利益を意味するものである。未変性ロジウムヒドロホルミル化により得られる粗製ヒドロホルミル化混合物の後処理段階におけるロジウムの減損を減少させるために、特許文献4は、第一に、水溶性リン含有錯体形成剤の水性溶液を用いる抽出を提案しており、そこでは、水性相にロジウムが抽出され、そして残ったヒドロホルミル化混合物からアルデヒドまたはアルコールが単離される。引き続き、水性の抽出物を一酸化炭素または一酸化炭素含有ガスの存在下で、加圧下および高温において有機性の液体で処理し、その際、ロジウムカルボニルとしてのロジウムを再び有機相に移して、引き続き、これを反応域に再度供給することができる。 未変性ロジウム触媒作用により得られた粗製のヒドロホルミル化混合物の後処理において生じ得るロジウム析出とは別に、ロジウム含有溶液を反応域に導入する場合には、導入領域付近でのロジウム金属の析出もまた予測される。この析出したロジウム金属は、反応域において合成ガス圧力下であっても、もはや触媒的に活性なロジウムカルボニルには変換されない。従って、第一に、使用するロジウム塩を基準として、ほんの少量の触媒的に活性なロジウムが利用でき、そして第二に、析出したロジウム金属が反応域に残り、ロジウムの減損が生じる。特許文献5によると、連続的に行われる未変性ヒドロホルミル化工程において、ロジウム溶液の加熱ならびにオレフィン性不飽和化合物およびロジウム溶液からなる混合物の加熱は避けられるべきものである。同様に、反応域においてロジウム溶液のオレフィン性不飽和化合物との混合の際には、高いロジウム濃度は生じるべきではない。従って、特許文献5は、合成ガス、オレフィン性不飽和化合物およびロジウム溶液を、反応域への導入部の近くで十分に混和することを推奨している。その際、極性有機溶剤におけるロジウム化合物の、例えば塩化ロジウムまたは硝酸ロジウムの溶液が反応域に供給され、ロジウム化合物はオレフィン性不飽和化合物に不溶性である必要がある。例えば、メタノールおよび酢酸からなる混合物中における、酢酸における、またはプロピオン酸における酢酸ロジウムの溶液が使用される。連続的に行われる上記の公知ヒドロホルミル化工程により、約2時間の滞留時間および14ppmのロジウム濃度において、94〜96%の 1−オクテンという転化が可能であり、同時に、反応域へのロジウム溶液の導入部の近くでのロジウム析出を減少させることができる。従って同様に、ロジウム溶液とオレフィン性不飽和化合物との混合の際の高いロジウム濃度を避けるために、添加されるロジウム化合物はオレフィン性不飽和化合物に不溶性であるか、またはほとんど不溶性であるべきである。局所的に高いロジウム濃度が生じると、オレフィン性不飽和化合物の存在下で、ロジウム金属が析出し得る。米国特許第4,247,486号米国特許第4,148,830号独国特許出願公開第38 22 038号明細書欧州特許出願公開第0 695 734号明細書独国特許出願公開第19 20 960号明細書驚くべきことに、引き続いて反応域に供給されるロジウム含有有機溶液への有機酸のねらいを定めた添加が、未変性のロジウムが触媒するヒドロホルミル化工程において、同様に変わることのない高い選択性で、顕著に転化を増加させること、その結果、酸のねらいを定めた添加により、所望のアルデヒド化合物の収率を高めることができることが見出された。それに対して、もし装置設計のためまたは市場状況のために、所望のアルデヒドの絶対的な生産量を変えない必要がある場合には、本発明による実施形態により、製造されるアルデヒド量を基準としてロジウムの特定の使用を減少させることができ、それは経済上の大きな利点を意味する。従って、本発明は、少なくとも1種のロジウム化合物を溶解形態で含む有機溶液の反応域への供給、ならびに少なくとも1種のロジウム化合物の存在下および錯形成有機リン化合物の非存在下での、この反応域における、均一有機相での、オレフィン性不飽和化合物の一酸化窒素および水素との反応による、アルデヒドの製造方法を提供する。これは、ロジウム含有有機溶液に、ロジウム1モルあたり酸当量として計算して全量で3モルより大きく3000モル以下の、5〜13個の炭素原子を分子内に有する飽和脂肪族モノカルボン酸、5〜13個の炭素原子を分子内に有する飽和脂肪族ジカルボン酸および1〜12個の炭素原子を分子内に有するスルホン酸から選択される少なくとも1種の有機酸またはそれらの混合物を添加し、引き続きこの溶液を反応域に供給することを特徴とする。反応域に供給される有機溶液は少なくとも1種のロジウム化合物を溶解形態で含有し、以下においては、ロジウム溶液とも呼ばれる。このロジウム溶液の調製に使用される溶剤は、ロジウム化合物の完全な溶解を保証しなければならない。好適な溶剤は、例えば、水不溶性のケトン類、ジアルキルエーテル、脂肪族ニトリル類、芳香族炭化水素類、例えばベンゼンもしくはトルエン、異性体キシレン類もしくはメシチレン、飽和脂環式炭化水素類、例えばシクロペンタンもしくはシクロヘキサン、または飽和脂肪族炭化水素類、例えばn−ヘキサン、n−ヘプタンもしくはn−オクタンである。極性溶剤、例えば脂肪族飽和モノアルコール類、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、n−およびイソ−ブタノール、異性体ペンタノール類、例えば2−エチルヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノールを基礎とするイソノナノール、飽和多価アルコール類、例えば1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、またはポリアルキレングリコール類、例えばエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびこれらのモノ−およびジエーテル、例えばそれらのメチル−もしくはブチルエーテル、または極性エステル化合物、例えばEastman社のTexanol(登録商標)もまた好適である。ロジウム化合物の十分な可溶性が確保され、溶剤または溶剤混合物が後続のヒドロホルミル化条件下で不活性なことが明らかである限り、溶剤の混合物も使用することができる。2−エチルヘキサノールまたはトルエンがロジウム溶液の調製用溶剤として特に好適なことがわかった。 ロジウム溶液の製造に使用されるロジウム化合物としては、分子内に2〜13個、好ましくは7〜11個の炭素原子を有する脂肪族モノ−もしくはポリカルボン酸の塩が使用される。好適なロジウム塩としては、酢酸ロジウム、プロピオン酸ロジウム、シュウ酸ロジウム、マロン酸ロジウム、ロジウム−2−エチルヘキサノエート、イソノナン酸ロジウム(イソノナン酸は、ジイソブチレンのヒドロホルミル化と後続のヒドロホルミル化生成物の酸化により製造される)、またはイソトリデカン酸ロジウム(イソトリデカン酸はテトラプロピレンのヒドロホルミル化および後続のヒドロホルミル化生成物の酸化により製造される)が挙げられる。さらに、ロジウムのカルボニル化合物、例えばトリカルボニルロジウムRh(CO)3、テトラカルボニルロジウム[Rh(CO)4]2、テトラロジウムドデカカルボニルRh4(CO)12が非常に有効であることが実証された。ハロゲンカルボニル化合物、例えばジカルボニルロジウムブロミド[Rh(CO)2]Brおよびジカルボニルロジウムヨージド[Rh(CO)2]Iも確かに使用できるが、ハロゲンイオンの腐蝕特性のために、限定的にのみ使用される。最後に、ロジウムの錯化合物、特にロジウム(III)化合物もまた、触媒系における触媒活性金属成分の製造のための好適な出発材料である。これらの化合物は、単座、二座もしくは三座の配位子、例えばβ−ジケトン類、例えばアセチルアセトン、または脂肪族もしくは脂環式のジエチレン性不飽和炭化水素類、例えばシクロペンタジエンおよび1,5−シクロオクタジエンを含む。ロジウム溶液の調製のために特に好適なロジウム化合物は、酸化ロジウム、ロジウムカルボニル類、酢酸ロジウム、ロジウム−2−エチルヘキサノエート、イソノナン酸ロジウムおよびロジウム(III)アセチルアセトネートである。 ロジウム化合物および溶剤もしくは溶剤混合物からのロジウム溶液の製造は、慣用の方法で、例えばフレッシュなロジウム化合物の単純な溶解により行われ、この場合には酸素を排除するのがよい。さらに、使用されるロジウム触媒の後処理において生じるロジウム溶液も使用することができる。ロジウムカルボキシレートが溶解形態で存在するこのようなロジウム含有有機溶液は、独国特許出願公開第3626536号明細書または独国特許出願公開第3833427号明細書の方法により得ることができる。その際、最初に、水性のロジウム溶液がカルボキシレート類またはカルボキシレートおよびカルボン酸、例えば2−エチルヘキサン酸からなる混合物の存在下で酸化される。ロジウムは水不溶性カルボキシレートとして得られ、これは水不溶性溶剤、例えばトルエンを用いて有機相に抽出することができる。その際、先行する酸化段階で存在するカルボン酸も該有機溶剤に溶解すると考えられる。従って、独国特許出願公開第3626536号明細書または独国特許出願公開第3833427号明細書により得られるロジウム溶液は既に特定のカルボン酸成分を示し、標準的な技術により後処理なしにヒドロホルミル化反応用触媒成分として使用される。 驚くべきことに、すでに特定量のカルボン酸を溶解形態で含有するロジウム溶液の場合に、有機酸の積極的な添加が下流のヒドロホルミル化反応におけるアルデヒド収量に対して有利であることが見出された。本発明では、ロジウム溶液に、酸当量で計算してロジウム1モルあたり3モル〜3000モル、好ましくは50〜2000モル、そして特に100〜1000モルの有機酸が存在する量で、少なくとも1種の有機酸が添加される。該ロジウム量を基準として、有機酸のねらいを定めた添加は驚くべきことに、望ましくない副生成物(例えば高沸点の)がかなりの量で形成することなしに、広い範囲にわたって変えることができる。しかしながら、臨界のモル比を超えた場合には、反応混合物における酸含有量があまりにも高くなり、それにより、既に形成されたアルデヒドとの副反応が予測される。同様に、あまりにも高量の酸の添加は、無駄にヒドロホルミル化工程の費用を増加させる。それとは逆に、有機酸に対するロジウムの臨界モル比を下回る場合には、もはやアルデヒド収量に関して有利な効果は観察されない。有機酸のロジウム溶液への添加は、通常、室温で慣用の条件下で行われる。酸素排除下で行うことができるが、これは、必ずしも必要ではない。 有機酸としては、5〜13個、好ましくは5〜11個の炭素原子を分子内に有する飽和脂肪族モノ−およびジカルボン酸が好適である。典型的には、n−吉草酸、2−メチル酪酸、2−エチルヘキサン酸、イソノナン酸(ジイソブチレンのヒドロホルミル化と後続のヒドロホルミル化生成物の酸化により製造される)、またはイソトリデカン酸(テトラプロピレンのヒドロホルミル化と後続のヒドロホルミル化生成物の酸化により製造される)を必要な量で添加することができる。好適な脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸を添加することができる。成功裏に本発明の方法において使用できる有機酸には同様に、分子内に1〜12個の炭素原子を有するスルホン酸、特に脂肪族の、脂環式の、芳香族のおよび/または芳香脂肪族のスルホン酸、例えばメタンスルホン酸、パラ−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸もしくはベンゼンジスルホン酸が含まれる。特に、ロジウム溶液の調製の際の分岐状飽和脂肪族モノカルボン酸、例えば2−エチルヘキサン酸またはイソノナン酸の添加が有効であることが実証された。有機酸の混合物、例えば2−エチルヘキサン酸およびイソノナン酸からなる混合物も使用することができる。有機酸の混合物をロジウム溶液へ所望の量での添加する場合に、ロジウムの有機酸に対する前記のモル比は、酸当量として計算して、添加した有機酸の全量を用いる。 有機酸の添加後に反応域に供給されるロジウム溶液におけるロジウム濃度は、ヒドロホルミル化反応が行われる反応域自体における比率と比較して比較的高く、そして通常100〜10000ppm、好ましくは1000〜10000ppmとなる。反応域へのロジウム溶液の導入後に、ロジウム濃度は、添加されたオレフィン性不飽和化合物におけるおよびヒドロホルミル化段階で場合により存在する溶剤における希釈のために、1〜100ppmの含有量に低下する。反応域で用いられている条件下でその後、導入されたロジウム溶液に溶解したロジウム化合物から、合成ガスの存在下で、実際の活性ヒドロホルミル化触媒が生じる。 本発明のヒドロホルミル化工程は、均一有機相において、少なくとも1種のロジウム化合物の存在下、錯形成有機リン化合物の非存在下で行われる。そのような例えばホスフィン類もしくはホスファイト類で変性されないロジウム触媒およびそのヒドロホルミル化触媒としての適性は文献から公知であり、未変性ロジウム触媒と呼ばれる。技術文献においては、ロジウム化合物HRh(CO)4が、未変性ロジウム触媒を用いるヒドロホルミル化において、触媒的に活性なロジウム種であると考えられている。一般に、ホスフィンで変性されていないロジウム触媒の使用は、より少ないロジウム含有量を必要とするので、一般に均一反応混合物を基準として1〜100ppm、好ましくは2〜30ppmのロジウム含有量で行われる。 均一有機相という語句は、実質的に溶剤、ヒドロホルミル化段階に添加される場合には導入されたロジウム溶液に溶解したロジウム化合物を含み存在する溶剤を含む触媒、および添加された有機酸、未反応オレフィン性不飽和出発化合物、形成したアルデヒド、および形成した副生成物、からなる均一溶液を表す。場合により、ヒドロホルミル化段階における溶剤添加が有効であることを示すことができる。ヒドロホルミル化反応用に使用される溶剤は、ロジウム溶液を通して供給されるロジウム化合物、溶剤および有機酸を含めた出発物質、反応生成物および触媒が可溶性な有機化合物である。そのような溶剤の例は、芳香族炭化水素、例えばベンゼンおよびトルエン、または異性体キシレンおよびメシチレンである。他の使用できる溶剤は、パラフィン油、シクロヘキサン、n−ヘキサン、n−ヘプタンまたはn−オクタン、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、ケトンまたはEastman社のテキサノール(Texanol:登録商標)である。反応媒体における溶剤の割合は、広い範囲にわたって変えることができ、反応混合物を基準として、通常10〜80重量%、好ましくは20〜50重量%である。 アルデヒドへのオレフィンまたはオレフィン性不飽和化合物の水素および一酸化炭素との反応は、20〜180℃、好ましくは50〜150℃、そして特に100〜150℃の温度、および0.1〜70 MPa、好ましくは0.1〜60 MPa、そして特に0.1〜30 MPaの圧力で行われる。個々の場合に使用される反応条件は、反応させるオレフィン性不飽和化合物の種類に依存する。従って、反応不活発な化合物が相応に強力な反応条件を必要とするのに対して、反応性の開始物質はすでに、比較的低い温度および圧力において、より少ない量の触媒の存在下で反応することができる。 合成ガスの組成、すなわちガス混合物における一酸化窒素および水素の割合は、広い範囲で変えることができる。通常、一酸化炭素の水素に対するモル比が5:1〜1:5である混合物が使用される。通常、この比率は1:1であるか、またはこの値とわずかだけ相違する。オレフィン性化合物は、そのまままたは溶液で反応域に供給される。好適な溶剤は、ケトン類、例えばアセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン、低級脂肪族ニトリル、例えばアセトニトリル、プロピオニトリルもしくはベンゾニトリル、ジメチルホルムアミド、直鎖状もしくは分岐状飽和脂肪族モノヒドロキシ化合物、例えばメタノール、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノール、芳香族炭化水素類、例えばベンゼンもしくはトルエン、および飽和脂環式炭化水素類、例えばシクロペンタンもしくはシクロヘキサンである。 本発明の方法は、バッチ式でも、連続的にも実施することができる。粗製ヒドロホルミル化生成物からの所望のアルデヒドの回収は、慣用の方法、例えば蒸留により行われる。アルデヒドおよび別の揮発性成分を塔頂生成物として取り出し、必要に応じて、精密精製(Feinreinigung)に付す。使用したロジウム量が蒸留残渣に存在し、公知の方法によって回収される。 新しい方法の使用は、出発物質としての特定のオレフィン性不飽和化合物に限定されない。オレフィン性不飽和化合物は、1つまたはそれ以上の炭素−炭素二重結合を含む。この炭素−炭素二重結合は、末端にまたは内部(内部オレフィン)に配置されることができる。末端の炭素−炭素二重結合を有するオレフィン性不飽和化合物、または置換されていない二重結合を有する環状のオレフィン性不飽和化合物が好ましい。 α−オレフィン化合物(末端の炭素−炭素二重結合を有する)の例は、アルケン類、アルキレンアルカノエート類、アルキレンアルキルエーテルおよびアルケノールであり、特に2〜12個の炭素原子を有するものである。α−オレフィン化合物としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−オクタデセン、2−エチル−1−ヘキセン、スチレン、3−フェニル−1−プロペン、塩化アリル、1,4−ヘキサジエン、1,3−ブタジエン、1,7−オクタジエン、3−シクロヘキシル−1−ブテン、ヘキサ−1−エン−4−オール、オクタ−1−エン−4−オール、ビニルシクロヘキセン、n−プロピル−7−オクタノエート、7−オクテン酸、5−ヘキセンアミドを挙げることができるがこれらに限定はされない。 さらなる好適なオレフィン化合物の例としては、ブテン−2、ジイソブチレン、トリプロピレン、ラフィネートII(Raffinat II)(1−ブテン、2−ブテンおよびブタンからなる混合物)、オクトールまたはダイマーゾル(Dimersol)(ブテン類の二量体化生成物)、テトラプロピレン、シクロヘキセン、ジシクロペンタジエン、アシル化、環式もしくは二環式テルペン、例えばミルセン(Myrcen)、リモネン(Limonen)およびピネン(Pinen)が挙げられる。ヒドロホルミル化は、好ましくは2〜12個の炭素原子を分子内に有するオレフィン性不飽和化合物を用いて行われる。 以下において、本発明の方法をいくつかの実施例に基づいてより詳細に説明するが、これは記載される実施形態に限定するものではない。<全般的手順>1Lの特殊鋼オートクレーブにおいて300gのオレフィンを30分の範囲内で130℃に加熱し、23MPaの合成ガス圧(モル比CO/H2 = 1:1)で蒸気を送り込んだ。反応温度に達した後に、予め外部の容器に入れたロジウム溶液が、自然に、3MPaという合成ガスの差圧によって、オートクレーブに押し出された。ヒドロホルミル化が少なくとも2時間、130℃および26MPaで行われた。試料を30〜60分後に取り出し、ガスクロマトグラフィーで分析した。120分の反応時間後において、シクロヘキセンまたは1−ヘキセンの転化率は98%を超えた。<実施例1(比較例)>シクロヘキセンのヒドロホルミル化一般的な実験法に従って、シクロヘキセンを、ロジウム−2−エチルヘキサノエートの形態にある3ppmのロジウムの存在下で反応させた。外部の容器に供給した2−エチルヘキサノールを溶剤とするロジウム溶液には、2−エチルヘキサン酸に対して1〜3のモル比のロジウムが存在した。さらなる2−エチルヘキサン酸は、オートクレーブへの導入前に、ロジウム溶液に添加しなかった。60分後、ガスクロマトグラフィーにより求めたシクロヘキセン転化率は70.4%であった。ガスクロマトグラフィーにより求めたホルミルシクロヘキサンへの選択性は94.7%であり、ガスクロマトグラフィーにより求めた66.7%の収率と一致した。特異的な触媒活性は、26.47モルオレフィン・(mmol Rh・h)−1であった。この値を「100」を有する参照値として設定することができる。<実施例2>2−エチルヘキサン酸の添加を伴うシクロヘキセンのヒドロホルミル化一般的な実験法に従って、シクロヘキセンを、ロジウム−2−エチルヘキサノエートの形態にある3ppmのロジウムの存在下で反応させた。外部の容器に供給した2−エチルヘキサノールを溶剤とするロジウム溶液において、オートクレーブへの導入前に2−エチルヘキサン酸を添加することにより、2−エチルヘキサン酸に対するロジウムのモル比を1:125にした。60分後、ガスクロマトグラフィーにより求めたシクロヘキセン転化率は72.0%であった。ガスクロマトグラフィーにより求めたホルミルシクロヘキサンへの選択性は95.7%であり、ガスクロマトグラフィーにより求めた68.9%の収率と一致した。特異的な触媒活性は、27.07モルオレフィン・(mmol Rh・h)−1であり、参照値を基準として2.3パーセントポイントの増加と一致した。<実施例3>2−エチルヘキサン酸の添加を伴うシクロヘキセンのヒドロホルミル化一般的な実験法に従って、シクロヘキセンを、ロジウム−2−エチルヘキサノエートの形態にある3ppmのロジウムの存在下で反応させた。外部の容器に供給した2−エチルヘキサノールを溶剤とするロジウム溶液において、オートクレーブへの導入前に2−エチルヘキサン酸を添加することにより、2−エチルヘキサン酸に対するロジウムのモル比を1:2877にした。60分後、ガスクロマトグラフィーにより求めたシクロヘキセン転化率は78.9%であった。ガスクロマトグラフィーにより求めたホルミルシクロヘキサンへの選択性は95.9%であり、ガスクロマトグラフィーにより求めた75.7%の収率と一致した。特異的な触媒活性は、29.67モルオレフィン・(mmol Rh・h)−1であり、参照値を基準として12.1パーセントポイントの増加と一致した。<実施例4>2−エチルヘキサン酸の添加を伴う1−ヘキセンのヒドロホルミル化一般的な実験法に従って、1−ヘキセンを、ロジウム−2−エチルヘキサノエートの形態にある3ppmのロジウムの存在下で反応させた。外部の容器に供給した2−エチルヘキサノールを溶剤とするロジウム溶液において、オートクレーブへの導入前に2−エチルヘキサン酸を添加することにより、2−エチルヘキサン酸に対するロジウムのモル比を1:125とした。30分後、ガスクロマトグラフィーにより求めた1−ヘキセン転化率は57.1%であった。ガスクロマトグラフィーにより求めたn/i−ヘプタナールに対するアルデヒド選択性は62.3%であり、ガスクロマトグラフィーにより求めた35.6%のn/i−ヘプタナールの収率と一致した。特異的な触媒活性は、20.94モルオレフィン・(mmol Rh・h)−1であった。この値を「100」を有する参照値として設定することができる。<実施例5>2−エチルヘキサン酸の添加を伴う1−ヘキセンのヒドロホルミル化一般的な実験法に従って、1−ヘキセンを、ロジウム−2−エチルヘキサノエートの形態にある3ppmのロジウムの存在下で反応させた。外部の容器に供給した2−エチルヘキサノールを溶剤とするロジウム溶液において、オートクレーブへの導入前に2−エチルヘキサン酸を添加することにより、2−エチルヘキサン酸に対するロジウムのモル比を1:2877にした。30分後、ガスクロマトグラフィーにより求めた1−ヘキセン転化率は60.7%であった。ガスクロマトグラフィーにより求めたn/i−ヘプタナールに対するアルデヒド選択性は67.3%であり、ガスクロマトグラフィーにより求めた39.3%のn/i−ヘプタナールの収率と一致した。特異的な触媒活性は、22.26モルオレフィン・(mmol Rh・h)−1であり、参照値を基準として6.3パーセントポイントの増加と一致した。本発明の実施例が示すように、驚くべきことに、反応域に供給されるロジウム溶液への2−エチルヘキサン酸のねらいを定めた添加により、ヒドロホルミル化反応におけるオレフィン性不飽和化合物の転化率も、所望のアルデヒドへの選択性も増加させることができ、それによりアルデヒドの収率が全体として改善される。他方、絶対的なアルデヒド産生量が変わらない場合には、本発明の方法により、特異的なロジウムの使用が減少する。比較的に高い量の酸の添加にも拘らず、ヒドロホルミル化反応の間に目立った量の高沸点形成物は観察されない。A16333全文3 少なくとも1種のロジウム化合物を溶解形態で含む有機溶液の反応域への供給、ならびに少なくとも1種のロジウム化合物の存在下および錯形成有機リン化合物の非存在下での、この反応域における、均一有機相での、オレフィン性不飽和化合物の一酸化窒素および水素との反応による、アルデヒドの製造方法であって、前記ロジウム含有有機溶液に、酸当量として計算してロジウム1モルあたり全量で3モルより大きく3000モル以下の、5〜13個の炭素原子を分子内に有する飽和脂肪族モノカルボン酸、5〜13個の炭素原子を分子内に有する飽和脂肪族ジカルボン酸および1〜12個の炭素原子を分子内に有するスルホン酸から選択される少なくとも1種の有機酸またはそれらの混合物を添加し、引き続きこの溶液を反応域に供給することを特徴とする、前記の製造方法。 ロジウム含有有機溶液に、酸当量として計算してロジウム1モルあたり全量で50〜2000モル、好ましくは100〜1000モルの前記有機酸またはそれらの混合物を添加することを特徴とする、請求項1記載の方法。 飽和脂肪族モノカルボン酸として、n−吉草酸、2−メチル酪酸、2−エチルヘキサン酸、ジイソブチレンのヒドロホルミル化と後続のヒドロホルミル化生成物の酸化により製造されるイソノナン酸、またはテトラプロピレンのヒドロホルミル化と後続のヒドロホルミル化生成物の酸化により製造されるイソトリデカン酸が使用されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。飽和脂肪族ジカルボン酸としてアジピン酸が使用されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。スルホン酸として、脂肪族の、脂環式の、芳香族のおよび/または芳香脂肪族のスルホン酸が使用されることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。スルホン酸として、メタンスルホン酸、パラ−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸またはベンゼンジスルホン酸が使用されることを特徴とする、請求項5記載の方法。反応域に供給されるロジウム含有有機溶液におけるロジウム含有量が100〜10000ppm、好ましくは1000〜10000ppmであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1つに記載の方法。反応域に供給されるロジウム含有有機溶液が極性溶剤を含有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1つに記載の方法。極性溶剤として、2−エチルヘキサノール、または3,5,5−トリメチルヘキサノールを基礎とするイソノナノールが使用されることを特徴とする、請求項8記載の方法。反応域において、オレフィン性不飽和化合物の一酸化炭素および水素との反応が、20〜180℃、好ましくは50〜150℃、そして特に100〜150℃の温度、および0.1〜70 MPa、好ましくは0.1〜60 MPa、そして特に0.1〜30 MPaの圧力で行われることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1つに記載の方法。反応域において、オレフィン性不飽和化合物の一酸化炭素および水素との反応が、その都度、均一反応混合物を基準として1〜100ppm、好ましくは2〜30ppmのロジウム含有量で行われることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1つに記載の方法。オレフィン性不飽和化合物が分子内に2〜12個の炭素原子を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1つに記載の方法。