タイトル: | 公表特許公報(A)_シナプス形成の調節 |
出願番号: | 2010521856 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | A61K 38/00,A61P 25/28,A61P 25/16,A61P 21/02,A61P 25/00,A61P 27/02,A61P 27/16,A61P 25/24,A61P 25/18,A61K 45/00,A61P 25/04,A61P 43/00,A61K 39/395,A61K 48/00,A61K 31/7105,A61P 29/00,A61P 25/06,A61P 25/14,A61P 9/10,A61P 21/00,A61P 25/32,A61P 7/06,A61P 15/00,A61P 9/12,A61P 9/00,A61P 25/22,A61P 7/02,C12Q 1/02,G01N 33/15,G01N 33/50,C12N 15/09 |
エログル, カグラ バレス, ベン エー. JP 2010536852 公表特許公報(A) 20101202 2010521856 20080814 シナプス形成の調節 ザ ボード オブ トラスティーズ オブ ザ リランド スタンフォード ジュニア ユニヴァーシティ 503115205 山本 秀策 100078282 安村 高明 100062409 森下 夏樹 100113413 エログル, カグラ バレス, ベン エー. US 60/966,073 20070823 US 61/052,551 20080512 A61K 38/00 20060101AFI20101105BHJP A61P 25/28 20060101ALI20101105BHJP A61P 25/16 20060101ALI20101105BHJP A61P 21/02 20060101ALI20101105BHJP A61P 25/00 20060101ALI20101105BHJP A61P 27/02 20060101ALI20101105BHJP A61P 27/16 20060101ALI20101105BHJP A61P 25/24 20060101ALI20101105BHJP A61P 25/18 20060101ALI20101105BHJP A61K 45/00 20060101ALI20101105BHJP A61P 25/04 20060101ALI20101105BHJP A61P 43/00 20060101ALI20101105BHJP A61K 39/395 20060101ALI20101105BHJP A61K 48/00 20060101ALI20101105BHJP A61K 31/7105 20060101ALI20101105BHJP A61P 29/00 20060101ALI20101105BHJP A61P 25/06 20060101ALI20101105BHJP A61P 25/14 20060101ALI20101105BHJP A61P 9/10 20060101ALI20101105BHJP A61P 21/00 20060101ALI20101105BHJP A61P 25/32 20060101ALI20101105BHJP A61P 7/06 20060101ALI20101105BHJP A61P 15/00 20060101ALI20101105BHJP A61P 9/12 20060101ALI20101105BHJP A61P 9/00 20060101ALI20101105BHJP A61P 25/22 20060101ALI20101105BHJP A61P 7/02 20060101ALI20101105BHJP C12Q 1/02 20060101ALI20101105BHJP G01N 33/15 20060101ALI20101105BHJP G01N 33/50 20060101ALI20101105BHJP C12N 15/09 20060101ALN20101105BHJP JPA61K37/02A61P25/28A61P25/16A61P21/02A61P25/00A61P27/02A61P27/16A61P25/24A61P25/18A61K45/00A61P25/04A61P43/00 105A61K39/395 DA61K39/395 NA61K48/00A61K31/7105A61P29/00A61P25/06A61P25/14A61P9/10A61P21/00A61P25/32A61P7/06A61P15/00A61P9/12A61P9/00A61P25/22A61P7/02C12Q1/02G01N33/15 ZG01N33/50 ZC12N15/00 A AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW US2008009747 20080814 WO2009029173 20090305 73 20100401 特許法第30条第1項適用申請有り 2G045 4B024 4B063 4C084 4C085 4C086 2G045AA40 2G045BB20 2G045CB01 2G045DA36 4B024AA01 4B024AA11 4B024CA01 4B024GA11 4B024HA17 4B063QA01 4B063QQ08 4B063QR48 4B063QS36 4C084AA01 4C084AA02 4C084AA13 4C084AA19 4C084BA44 4C084NA14 4C084ZA02 4C084ZA08 4C084ZA12 4C084ZA15 4C084ZA16 4C084ZA18 4C084ZA33 4C084ZA34 4C084ZA36 4C084ZA42 4C084ZA54 4C084ZA55 4C084ZA81 4C084ZA94 4C084ZB11 4C084ZB21 4C085AA13 4C085AA14 4C085BB11 4C085EE01 4C085GG01 4C086AA01 4C086AA02 4C086EA16 4C086NA14 4C086ZA02 4C086ZA08 4C086ZA12 4C086ZA15 4C086ZA16 4C086ZA18 4C086ZA33 4C086ZA34 4C086ZA36 4C086ZA42 4C086ZA54 4C086ZA55 4C086ZA81 4C086ZA94 4C086ZB11 4C086ZB21 (関連する出願) 本願は、2007年8月23日に出願された、米国仮特許出願第60/966,073号および2008年5月12日に出願された同第61/052,551号の優先権の利益を主張する。米国仮特許出願第60/966,073号および同第61/052,551号は、その全体が参考として本明細書に援用される。 (技術分野) 本発明は、一般に、シナプス形成ならびに軸索および樹状突起成長を調節するための組成物および方法に関する。具体的には、本発明は、トロンボスポンジンとカルシウムチャネルのアルファ2デルタサブユニットとの相互作用を調節する薬剤の使用を含む。 シナプスは、神経系の基本機能単位である特殊化した細胞接着部であり、それらは、発達中に驚くべき精度および忠実度で生成される。シナプス形成中に、シナプスは、形成し、成熟し、安定化し、そしてシナプス前パートナーとシナプス後パートナーの間の密接な情報伝達を必要とするプロセスによって削除もされる。加えて、シナプスのタイミング、位置および数の制御を助長する環境決定因子も存在し得る。 シナプスは、ニューロンとニューロンの間、および末梢では、ニューロンとエフェクター細胞、例えば筋肉、との間に生ずる。2ニューロン間の機能的接点は、軸索と細胞体の間、軸索と樹状突起の間、細胞体と細胞体の間、または樹状突起と樹状突起の間に生じ得る。神経伝達を可能にするのがこの機能性接点である。多くの神経および神経疾患が、神経伝達の病的過活動または活動低下によって引き起こされ;ならびに多くの薬物、例えば、幻覚薬、抗精神病薬、抗統合失調症薬、精神安定薬、鎮静薬、麻酔薬、疼痛薬、アルツハイマー病薬、およびパーキンソン病薬が、神経伝達を調節できる。 近年、シナプトタグミン、シンテキシン(syntexin)、シナプトフィジン、シナプトブレビンおよびシナプシンを含むシナプスタンパク質の機能を特製づけするために研究者は多大な努力を払っている。これらのタンパク質は、シナプス機能の特定の態様、例えばシナプス小胞再循環またはドッキング、に、ならびに軸索形成の機構、シナプス前末端の分化、に、ならびにシナプス連結部の形成および維持に、関与する。例えば、特許文献1参照。 シナプス連結部を樹立することによってのみ、神経細胞を網様構造に構成し、学習および記憶などの情報処理能力を獲得することができる。シナプスは、正常な加齢の間にその数が徐々に減少され、そして神経変性疾患中には激しく破壊される。従って、シナプス連結部を作るおよび/または維持することができる分子を見つけることは、神経変性疾患の治療における重要な一歩である。逆に、過剰なシナプス形成は、脳卒中および精神障害を随伴する場合がある。シナプス形成の調節は、様々な神経系障害の治療のために非常に興味深い。 特許文献1には、トロンボスポンジンがシナプス形成を誘発できること、およびシナプス形成の促進または阻害が必要な患者においてシナプス形成を促進または阻害するためにトロンボスポンジンアゴニストまたはアンタゴニストを用いることができることが開示されている。 本明細書に開示するすべての参考文献、刊行物および特許出願は、それら全体が参照により本明細書に援用されている。米国特許出願公開第2006/0019880号 本発明は、個体におけるシナプス形成を促進する方法を提供し、この方法は、シナプス形成が必要な個体に少なくとも1つのトロンボスポンジンEGF様ドメインを含むポリペプチドの有効用量を投与することを含み、この場合、前記ポリペプチドはトロンボスポンジンではなく、およびその個体におけるシナプス形成が増加される。一部の実施形態において、前記ポリペプチドは、α2δ1、α2δ2、α2δ3およびα2δ4から成る群より選択されるカルシウムチャネルサブユニットを結合および/または活性化する。 一部の実施形態において、前記トロンボスポンジンEGF様ドメインは、少なくとも6個のシステインアミノ酸を含む、長さ約35から約65アミノ酸のトロンボスポンジンアイソタイプから誘導されたポリペプチドであり、その主構造は、2本鎖ベータシート、それに続く、C末端の短い2本鎖シートへのループである。一部の実施形態において、前記トロンボスポンジンEGF様ドメインは、ヒトTSP1、アミノ酸551−586、588−636、もしくは650−689、ヒトTSP2アミノ酸553−588、590−635、もしくは652−691、ヒトTSP3アミノ酸316−368、370−412、もしくは418−455、ヒトTSP4アミノ酸290−324、326−377、379−418もしくは424−461、またはヒト軟骨オリゴマー基質アミノ酸87−126、127−179、180−222、もしくは225−267との少なくとも95%の配列同一性を有する。一部の実施形態において、前記ポリペプチドは、少なくとも2つのトロンボスポンジンEGF様ドメインを含む。一部の実施形態において、前記ポリペプチドは、少なくとも3つのトロンボスポンジンEGF様ドメインを含む。一部の実施形態において、前記ポリペプチドは、EGF様ドメイン以外のトロンボスポンジン配列を欠く。一部の実施形態において、前記個体は、老衰の結果としてシナプス消失に罹患している。一部の実施形態において、前記個体は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、多発性硬化症、脊髄損傷、腸神経系異常または緑内障の結果としてシナプス消失に罹患している。一部の実施形態において、前記個体は、黄斑変性、聴力損失、糖尿病性神経障害、または化学療法誘発性神経障害に罹患している。一部の実施形態において、前記個体は、うつ病、統合失調症、自閉症および攻撃性から成る群より選択される精神障害の結果としてシナプス消失に罹患している。一部の実施形態において、シナプス形成は、神経筋接合部でのものである。一部の実施形態において、シナプス形成は、筋肉でのものである。 本発明は、過剰な、過活動性の、異常に連結されたまたは機能不全のシナプスの存在によって引き起こされる疾患を治療するための方法も提供し、この方法は、トロンボスポンジンのシナプス形成活性を阻害するトロンボスポンジンアンタゴニスト剤の有効量を個体に投与することを含む。一部の実施形態において、前記薬剤は、トロンボスポンジンに結合し、そのトロンボスポンジンとα2δ1、α2δ2、α2δ3およびα2δ4から成る群より選択される1つ以上のカルシウムチャネルサブユニットとの相互作用を遮断する。 本発明は、個体における疼痛を治療または予防するための方法も提供し、この方法は、トロンボスポンジンの活性を阻害するトロンボスポンジンアンタゴニスト剤の有効量を個体に投与することを含む。 一部の実施形態において、前記トロンボスポンジンアンタゴニスト剤は、トロンボスポンジンに結合し、そのトロンボスポンジンとα2δ1、α2δ2、α2δ3およびα2δ4から成る群より選択される1つ以上のカルシウムチャネルサブユニットとの相互作用を遮断する。一部の実施形態において、前記薬剤は、トロンボスポンジンに特異的に結合する抗体である。一部の実施形態において、前記薬剤は、トロンボスポンジンのEGF様ドメインに特異的に結合する抗体である。一部の実施形態において、前記薬剤は、トロンボスポンジンの第三EGF様ドメインに特異的に結合する抗体である。一部の実施形態において、前記トロンボスポンジンは、TSP1、TSP2、TSP3、TSP4、または軟骨オリゴマー基質である。一部の実施形態において、前記抗体は、TSP1、TSP2、TSP3、TSP4、または軟骨オリゴマー基質に特異的に結合する抗体である。一部の実施形態において、前記抗体は、トロンボスポンジンの1つより多くの構成員に特異的に結合する。一部の実施形態において、前記薬剤は、抗体模倣体のためのタンパク質足場、または足場誘導結合タンパク質である。 一部の実施形態において、前記薬剤は、α2δ1、α2δ2、α2δ3およびα2δ4から成る群より選択されるカルシウムチャネルサブユニットの細胞外部分を含むポリペプチドであり、この場合、前記ポリペプチドは、トロンボスポンジンに結合し、そのトロンボスポンジンと前記カルシウムチャネルサブユニットとの相互作用を遮断する。一部の実施形態において、前記薬剤は、カルシウムチャネルサブユニットα2δ1のα2部分を含むポリペプチドである。一部の実施形態において、前記ポリペプチドは、ヒトα2δ1の約253から約430のアミノ酸(VWFAドメイン)を含む。一部の実施形態において、前記薬剤は、カルシウムチャネルサブユニットヒトα2δ2のα2部分を含むポリペプチドである。一部の実施形態において、前記ポリペプチドは、ヒトα2δ2の約291から約496のアミノ酸(VWFAドメイン)を含む。一部の実施形態において、前記薬剤は、カルシウムチャネルサブユニットα2δ3のα2部分を含むポリペプチドである。一部の実施形態において、前記ポリペプチドは、ヒトα2δ3の約256から約438のアミノ酸(VWFAドメイン)を含む。一部の実施形態において、前記薬剤は、カルシウムチャネルサブユニットα2δ4のα2部分を含むポリペプチドである。一部の実施形態において、前記ポリペプチドは、ヒトα2δ4の約291から約472のアミノ酸を含む。一部の実施形態において、前記ポリペプチドは、ヒトα2δ4の約291から約473のアミノ酸(VWFAドメイン)を含む。本方法クレームいずれかについての一部の実施形態において、前記ポリペプチドは、イムノアドヘシンである。 一部の実施形態において、前記薬剤は、トロンボスポンジンの発現を特異的に阻害するsiRNA、アンチセンスRNAまたはマイクロRNAである。一部の実施形態において、TSP1、TSP2、TSP4または軟骨オリゴマー基質の発現が阻害される。 本発明は、個体における疼痛を治療または予防するための方法をさらに提供し、この方法は、α2δ1、α2δ2、α2δ3およびα2δ4から成る群より選択されるカルシウムチャネルサブユニットのVWFAドメインに特異的に結合し、トロンボスポンジンと前記カルシウムチャネルサブユニットとの相互作用を遮断する抗体の有効量を個体に投与することを含む。一部の実施形態において、前記抗体は、α2δ1、α2δ2、α2δ3およびα2δ4から成る群より選択されるカルシウムチャネルサブユニットのVWFAドメインに特異的に結合する。 一部の実施形態において、前記抗体は、ヒトα2δ1の約アミノ酸253から約430を含む領域(VWFAドメイン)に結合する。一部の実施形態において、前記抗体は、ヒトα2δ2の約アミノ酸291から約469を含む領域(VWFAドメイン)に結合する。一部の実施形態において、前記抗体は、ヒトα2δ3の約アミノ酸256から約438を含む領域(VWFAドメイン)に結合する。一部の実施形態において、前記抗体は、ヒトα2δ4の約アミノ酸291から約437を含む領域(VWFAドメイン)に結合する。 本明細書に記載する方法によって、異なるタイプの疼痛を治療することができる。疼痛のタイプとしては、体性疼痛;靭帯、腱、骨、血管、腹膜もしくは筋肉に関連した疼痛;内蔵痛;神経系の損傷、化学療法、放射線、外科手術、腫瘍圧迫もしくは事故によって引き起こされる任意の疼痛;癌疼痛;炎症性疼痛;術後疼痛;偏頭痛;幻痛;異痛;または痛覚過敏が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、前記疼痛は、急性である場合もあり、または慢性である場合もある。 本発明は、個体におけるてんかんを治療するための方法も提供し、この方法は、α2δ1、α2δ2、α2δ3およびα2δ4から成る群より選択されるカルシウムチャネルサブユニットのVWFAドメインに特異的に結合し、トロンボスポンジンと前記カルシウムチャネルサブユニットとの相互作用を遮断する抗体の有効量をその個体に投与することを含む。一部の実施形態において、前記抗体は、α2δ1、α2δ2、α2δ3およびα2δ4から成る群より選択されるカルシウムチャネルサブユニットのVWFAドメインに特異的に結合する。 本発明は、個体における軸索成長を促進するための方法を提供し、この方法は、トロンボスポンジンアンタゴニスト剤の有効量をその必要がある個体に投与することを含む。一部の実施形態において、前記個体は、脊髄損傷に罹患している。一部の実施形態において、前記個体は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、または多発性硬化症の結果として軸索または樹状突起変性に罹患している。一部の実施形態において、前記個体は、黄斑変性、聴力損失、糖尿病性神経障害、癌誘発性神経障害、放射線誘発性神経障害、または化学療法誘発性神経障害に罹患している。一部の実施形態において、前記個体は、うつ病、統合失調症、自閉症、不安および攻撃性から成る群より選択される精神障害の結果として軸索または樹状突起変性に罹患している。本明細書に記載するいずれのトロンボスポンジン剤を投与してもよい。 本発明は、個体におけるカルシウムインフラックスの過剰を特徴とする疾患を治療するための方法も提供し、この方法は、トロンボスポンジンとα2δ1、α2δ2、α2δ3およびα2δ4から成る群より選択されるカルシウムサブユニットとの相互作用を遮断する薬剤の有効量をその個体に投与することを含む。一部の実施形態において、前記疾患は、筋痙攣、偏頭痛、脳卒中、アルツハイマー病、およびパーキンソン病から成る群より選択される。一部の実施形態において、前記薬剤は、トロンボスポンジンに特異的に結合する。 本発明は、シナプス形成の増進に関する活性について候補薬剤をスクリーニングするための方法をさらに提供し、この方法は、a)α2δ1、α2δ2、α2δ3もしくはα2δ4ポリペプチドまたはトロンボスポンジンEGF様ドメインへの候補薬剤の結合を測定する段階;b)段階a)において候補薬剤がα2δポリペプチドまたはトロンボスポンジンEGF様ドメインに結合した場合、その候補薬剤の存在下での神経細胞培養におけるシナプスの形成を定量する段階を含み、この場合、その候補薬剤の不在下でのシナプスの形成と比較してその候補薬剤の存在下でのシナプスの形成増加は、その候補薬剤がシナプス形成の増進に関する活性を有することを示す。 本発明は、シナプス形成の阻害に関する活性について候補薬剤をスクリーニングするための方法も提供し、この方法は、a)2δ1、α2δ2、α2δ3もしくはα2δ4ポリペプチドまたはトロンボスポンジンEGF様ドメインへの候補薬剤の結合を測定する段階;b)段階a)において候補薬剤がα2δポリペプチドまたはトロンボスポンジンEGF様ドメインに結合した場合、その候補薬剤およびトロンボスポンジンアゴニストの存在下での神経細胞培養におけるシナプスの形成を定量する段階を含み、この場合、その候補薬剤の不在下でのシナプスの形成と比較してその候補薬剤の存在下でのシナプスの形成減少は、その候補薬剤がシナプス形成の阻害に関する活性を有することを示す。 本明細書に記載する様々な実施形態の特性の1つ、一部またはすべてを組み合わせて、本発明の他の実施形態を構成できることは理解されるはずである。図1A:五量体サブグループBトロンボスポンジン(TSP)は、シナプス形成性である。TSPを、それらのドメイン構造およびオリゴマー化状態に従って2つのサブグループに分ける。サブグループA TSP(TSP 1−2)は三量体である。サブグループB TSP(TSP 3−5)は、五量体である。サブグループB TSPのドメイン構造は、分子のN末端部が異なる。それらは、異なるN末端ドメイン(黒い長円形)を有し、ならびにそれらには、サブグループA TSP中に存在するプロコラーゲン(小さな四角)およびプロパージン様リピート(長方形)が無い。だが一方、すべてのTPSは、3つのEGF様リピート(小さな長円形)、13のカルシウム結合リピート(長い長方形)、およびC末端Lレクチン様球形ドメイン(淡色の四角)から成る、C末端における共通ドメイン構造を共有する。図1B〜F:五量体サブグループBトロンボスポンジン(TSP)は、シナプス形成性である。シナプス前シナプトガミン(shyaptogamin)およびシナプス後PSD−95の共局在についてのRGCの免疫染色は、星状膠細胞(B)の不在下ではシナプス点を殆ど示さないが、星状膠細胞供給層インサート(+星状膠細胞)またはTSP3、4および5の存在下では、多くが、星状膠細胞またはTSP1のシナプス形成効果を模倣し、共局在しているシナプス点を増加させる。図1G:五量体サブグループBトロンボスポンジン(TSP)は、シナプス形成性である。星状膠細胞、精製TSP、ならびに精製組換えTSP4および5(それぞれ8nM)のシナプス数に対する効果の定量。TSP4および5は、シナプス点の数を星状膠細胞またはTSP1と同程度に増加させた。これは、TSP4および5もシナプス形成性であることを示している。図1H:五量体サブグループBトロンボスポンジン(TSP)は、シナプス形成性である。RGCによって作られるシナプスの数に対する星状膠細胞および過発現されたTSP3の効果の定量。TSP3をCos7細胞において過発現させ、このCos7細胞培養上清をRGCに供給した。対照条件として、空ベクターでトランスフェクトされたCos7細胞からの細胞培養上清をRGCに供給した。TSP3を含有する培養上清は、星状膠細胞と同程度にシナプス点の数を増加させた。これは、TSP3もシナプス形成性であることを示している。図2A:EGF様ドメインは、トロンボスポンジンのシナプス形成効果を媒介する。TSP1および2のドメイン構造。TSP1および2は、ヘパリン結合N末端ドメイン(N)、それに続く、オリゴマー化ドメインおよびプロコラーゲンリピート(PC)、3つのプロパージン様(TSPタイプ1)、3つのEGF様(TSPタイプ2)および13のカルシウム結合(TSPタイプ3)リピートならびにC末端L型レクチン様球形ドメイン(C)を含有する。図2B:EGF様ドメインは、トロンボスポンジンのシナプス形成効果を媒介する。精製TSP1トランケーション構築物のシナプス数に対する効果の定量。星状膠細胞、完全長TSP1、またはTSP1トランケーション構築物のパネル(それぞれ8nM)でRGCを処理した。TSP1のEGF様リピートを含有する構築物は、シナプス形成性であった。図2C:EGF様ドメインは、トロンボスポンジンのシナプス形成効果を媒介する。TSP2トランケーション構築物のシナプス数に対する効果の定量。TSP1構築物に類似して、EGF様リピートを含有するTSP2フラグメントもシナプス形成性であった。そのタンパク質のC末端領域に付いている第三EGF様ドメインを含有する構築物は、そのシナプス形成活性の大部分を依然として維持していたが、第三EGF様ドメイン単独ではシナプスの数を有意に増加させなかった。図2D〜E:EGF様ドメインは、トロンボスポンジンのシナプス形成効果を媒介する。TSPのEGF様リピートに対する抗体は、それらのシナプス形成効果を遮断することができる。星状膠細胞と共に、または第三プロパージンリピートと3つのEGF様ドメインとを含有する組換えTSP1(図2D)もしくはTSP2(図2E)トランケーション構築物と共に培養したRGCは、単独で培養したRGCと比較したとき、さらに多くのシナプスを形成した。図3A〜E:ガバペンチンは、インビトロでのTSP誘導シナプス形成を阻止する。図4A:カルシウムチャネルサブユニットα2δ1は、シナプス形成に関与するTSP受容体である。RGCを空ベクター(pcDNA3、Invitrogen)、またはα2δ1を発現するベクター(pcDNA3−α2δ1)でトランスフェクトした。その後、トランスフェクトされた細胞が受け取ったシナプス(GFP共発現によって表される)を定量した。空ベクターでトランスフェクトされたRGCの場合、それらの細胞は、形成されるシナプスの数を5倍より多く増加させることによって、TSPのシナプス形成性ドメイン(SD2)に応答した。α2δ1の過発現は、シナプス数を誘導するTSPの能力を2倍向上させた。細胞数n=20、エラーバーは±SEMを意味する、*P<0.05。図4B:カルシウムチャネルサブユニットα2δ1は、シナプス形成に関与するTSP受容体である。α2δ1発現は、α2δ1 mRNAに対する特異的siRNAプール(Dharmacon)によってノックダウンされ得る。α2δ1に対するモノクローナル抗体での、ラットα2δ1のための発現ベクターとsi対照またはsiα2δ1プールとでコ・トランスフェクトされたHEK293細胞からの細胞溶解産物の、ウエスタンブロット分析は、α2δ1発現がsiα2δ1プールによって特異的にノックダウンされることを示した。同じサンプルを、負荷対照として役立つβ−アクチンに対する抗体でブロットした。図4C:カルシウムチャネルサブユニットα2δ1は、シナプス形成に関与するTSP受容体である。siRNAでトランスフェクトされたRGC(GFP共発現によって表される)のシナプス前シナプトタグミンとシナプス後PSD−95の共局在についての免疫染色。RGCは、星状膠細胞の不在下(単独)ではシナプス点を殆ど形成しないが、それらが非ターゲッティングsi対照プールでトランスフェクトされと、星状膠細胞の存在下で多くのシナプス点を形成する。一方、siα2δ1でトランスフェクトされたRGCは、星状膠細胞の存在下であっても多くのシナプスを形成しなかった。スケールバー=30μm。図4D:カルシウムチャネルサブユニットα2δ1は、シナプス形成に関与するTSP受容体である。RGCにおける星状膠細胞誘導シナプス形成に対するsiRNAプールの効果の定量。非ターゲッティングsi対照プールで、または別のTSP受容体インテグリンβ1に対するターゲッティングsiRNAプール(siIntβ1)でトランスフェクトされたRGCは、星状膠細胞に応答して多くのシナプスを形成したが、siα2δ1プールでトランスフェクトされたRGCでは、星状膠細胞誘導シナプス形成が阻害された。細胞数n=20、エラーバーは±SEMを意味する、*P<0.05。図4E:カルシウムチャネルサブユニットα2δ1は、シナプス形成に関与するTSP受容体である。RGCにおけるTSP誘導シナプス形成に対するδ1過発現の効果の定量。α2δ1のδ1部分のみを発現するベクターでトランスフェクトされたRGCを、TSP誘導シナプス形成についてアッセイした。トランスフェクトされた細胞が受け取ったシナプスを定量した。GFPのみを発現するベクターでトランスフェクトされたRGCは、形成されるシナプス数を有意に増加させることによってTSPのシナプス形成性ドメイン(SD2)に応答したが、δ1の過発現は、シナプス形成を誘導するSD2の能力を遮断した。細胞数n=20、エラーバーは±SEMを意味する、*P<0.05。図5A:カルシウムチャネル機能または発現レベルは、インビトロでのTSP/星状膠細胞誘導シナプス形成をもたらさない。SD2のシナプス形成活性に対するL型カルシウムチャネル遮断薬ニモジピンおよびニフェジピン(Sigma)の効果の定量。SD2は、ニフェジピンまたはニモジピン(それぞれ、4および0.5μM)の存在下であってもシナプス数の有意な増加を誘導することができた。これは、L型カルシウムチャネル機能がTSPのシナプス形成機能に必要とされないことを示している。細胞数n=20、エラーバーは±SEMを意味する、*P<0.05。図5B:カルシウムチャネル機能または発現レベルは、インビトロでのTSP/星状膠細胞誘導シナプス形成をもたらさない。星状膠細胞誘導シナプス形成におけるL型カルシウムチャネルサブユニットα1Cおよびβの過発現の効果の定量。α1Cおよびβサブユニットの過発現は、シナプス形成を誘導する星状膠細胞の能力に対してプラスの効果もマイナスの効果も一切及ぼさなかった。細胞数n=20、エラーバーは±SEMを意味する、*P<0.05。図6A:インビボでのα2δ1過発現は、興奮性シナプス数を増加させる。同腹子野生型(WT)およびα2δ1過発現トランスジェニック(TG)P21マウスからの皮質をシナプス前VGlut2およびシナプス後PSD95について免疫標識した。共局在しているVGlut2/PSD95点(インレイiおよびiiの中の白矢印)の数は、WTよりTGにおけるほうが著しく高かった。スケールバー=20μm。図6B:インビボでのα2δ1過発現は、興奮性シナプス数を増加させる。WTおよびTGマウスからの脳切片におけるシナプス前および後マーカーVGlut2およびPSD95の共局在の定量。TG脳は、WT脳と比較したとき、VGlut2−PSD95シナプスの数のおよそ1.6倍の増加を示した(*P<0.05)。図6C:インビボでのα2δ1過発現は、興奮性シナプス数を増加させる。WTおよびTGマウスからの皮質をVGlut1およびPSD95についても免疫標識した。共局在しているVGlut1/PSD95点(インレイiおよびiiの中の白矢印)の数は、TGおよびWTにおいて同様であった。スケールバー=20μm。図6D:インビボでのα2δ1過発現は、興奮性シナプス数を増加させる。WTおよびTGマウスからの脳切片におけるシナプス前および後マーカーVGlut1およびPSD95の共局在の定量。WT脳と比較してTG脳において同様の数の共局在しているVGlut1/PSD9シナプスが観察された。図7A:ガバペンチンは、TSP/星状膠細胞誘導シナプス形成を阻害する。シナプス前シナプトタグミン(赤)およびシナプス後PSD−95の共局在についてのRGCの免疫染色は、RGCを単独で培養するとシナプス点を殆ど示さないが、SD2の存在下では多くのシナプス点を示す。SD2処理の開始からの32μM濃度のGBPの添加は、TSP誘導シナプス形成を阻害し、これが、SD2にGBPを加えた条件では共局在しているシナプス前および後の点が無いことによって視覚化された(インレイi対ii)。スケールバー=30μm。図7B:ガバペンチンは、TSP/星状膠細胞誘導シナプス形成を阻害する。SD2誘導シナプス形成に対するGBPの効果の定量。GBPは、シナプス形成性ドメインSD2と同時にRGCに添加されたときにしかTSPシナプス形成効果を遮断しない。最後の24時間にそれらの細胞に添加したとき、シナプス数を減少させない。細胞数n=20、エラーバーは±SEMを意味する、*P<0.05。図7C:ガバペンチンは、TSP/星状膠細胞誘導シナプス形成を阻害する。星状膠細胞誘導シナプス形成に対するGBPの効果の定量。32μM GBPの存在下または不在下で、RGCをラットまたはマウスACMのいずれかで処理した。GBPは、すべてのACMシナプス形成活性を遮断することができる。細胞数n=20、エラーバーは±SEMを意味する、*P<0.05。図7D:ガバペンチンは、TSP/星状膠細胞誘導シナプス形成を阻害する。食塩水およびGBPを注射したP7マウスからの脳切片におけるシナプス前および後マーカーVGlut2およびPSD95の共局在の定量。GBPを注射した脳は、食塩水を注射した脳と比較したとき、VGlut2−PSD95シナプスの数の有意な減少を示した(*P<0.05)。図7E:ガバペンチンは、TSP/星状膠細胞誘導シナプス形成を阻害する。食塩およびGBPを注射したP7皮質をシナプス前VGlut2およびシナプス後PSD95について免疫標識した。GBPを注射したマウスの50%において、シナプス前および後マーカーVGlut2およびPSD95両方を含有するシナプス点の数、サイズおよび共局在が非常に激しく減少した(白い矢印、インレイi対ii)。スケールバー=20μm。GABAは、培養でのTSP誘導シナプス形成の阻害に関するGBPの効果を模倣する。SD2誘導シナプス形成に対するGABAの効果の定量。GBP(32μM)は、前に示したようにSD2のシナプス形成活性を遮断する。GABAは、1mM濃度でRGCに添加したときも阻害性であった。GABAは、より低い濃度(10および100μM)で用いたときにはSD2によって誘導されるシナプスの数を減少させなかった。細胞数n=20、エラーバーは±SEMを意味する、*P<0.05。図9A:TSP誘導シナプス形成は、バレル皮質可塑性に関与する。ウィスカーパッドの構成は、マウスのバレル皮質においてポイント対ポイントで繰り返される。実験パラダイムの略図:P1におけるC列のヒゲの切除は、P7における対応する対側バレル表像を収縮および融合させるが、隣接するバレルが、剥奪されたバレルの領域を浸潤する。図9B:TSP誘導シナプス形成は、バレル皮質可塑性に関与する。セロトニン輸送体(5−HTT)に対する抗体での接線方向皮質断面における免疫染色によって、バレル皮質への視床皮質求心路を標識する。左の画像は、無損傷ウィスカーパッド(傷害を受けていない「対照」側)の反対側に位置するバレル皮質を示す。右側の画像は、食塩水を注射したマウス(上)、GBPを注射したマウス(中央)におけるヒゲ毛包切除後の傷害誘導可塑性の代表例である。下の列は、TSP1/2KOマウスからの対照バレル皮質(左)および傷害を受けたバレル皮質(右)である。矢印は、傷害を受けたヒゲに対応するバレルのC列の隣に位置する。括弧および断続線は、D列バレルの拡大を示す。アスタリスクは、異常な傷害誘導可塑性の領域を表す。図9C:TSP誘導シナプス形成は、バレル皮質可塑性に関与する。C列は無いが、隣の毛包列は依然として存在することを示す、(B)にそのバレルを示す同じマウスからのウィスカーパッドのヘマトキシリン染色。食塩水およびGBPを注射したマウスにおけるバレル皮質可塑性表現型のコレクション。セロトニン輸送体(5−HTT)に対する抗体での接線皮質切片に関する免疫染色によって、バレル皮質への視床皮質求心路を標識する。1−8と標識したそれぞれのマウスについて、左の画像は、無損傷ウィスカーパッド(傷害を受けていない「対照」側)の反対側に位置するバレル皮質を示す。右側の画像は、食塩水を注射したマウス(マウス1−4)、GBPを注射したマウス(マウス5−8)におけるヒゲ毛包切除後の傷害誘導可塑性の代表例である。GBP注射は、食塩水を注射したもの(左のパネルのマウス1−8)と同様の様式でバレルが形成したので、バレル皮質の形成には影響を及ぼさなかったが、マウスの50%においてGBP注射は異常バレル皮質可塑性表現型を誘導した。これらのマウスでは、概して、傷害を受けた皮質のA、BおよびC列が、形を失って広がり、互いに合流していた(マウス5)。あるケースでは、隣接するD列のみがC列と合流して広がり、形を失った。ある極端なケースでは、バレル皮質の大部分がその形状を失ってしまっており、広がっていた(マウス7)。食塩水を注射したいずれのマウスもこれらの種類の表現型を示さず、それらは、すべて、正常なバレル皮質可塑性を示した(マウス1−4、右のパネル)。GBPを注射した動物の半分も正常なバレル皮質可塑性表現型を示した(マウス8)。図11A:トロンボスポンジンは、カルシウムチャネルサブユニットα2δ1と相互作用する。RGCは、培養でカルシウムチャネルサブユニットα2δ1を発現する。α2δ1に対するモノクローナル抗体を用いて、ウエスタンブロット法により、9つのDIV RGC溶解産物をα2δ1タンパク質の存在について分析した。RGCは、単独で培養されたとき(レーン1)または星状膠細胞の存在下で培養されたとき(レーン2)またはTSP1の存在下で培養されたとき(レーン3)、α2δ1を発現した。α2δ1レベルは、これらの処理のいずれによっても変わらなかった。それぞれのサンプル中のβ−アクチンレベルを検査して、負荷対照として役立てた。図11B:トロンボスポンジンは、カルシウムチャネルサブユニットα2δ1と相互作用する。α2δ1は、P5ラット大脳皮質溶解産物からのTSP1、2および4と共に免疫沈降する。特異的ウサギポリクローナル抗体を用いてTSP1、2および4をP5皮質溶解産物から免疫沈降させた。それらの免疫沈降(IP)画分に関するウエスタンブロット分析によりα2δ1を検出した。TSP1、2または4はα2δ1と共免疫沈降したが、モック・ウサギポリクローナル抗体のIP画分ではα2δ1は検出されなかった。図11C:トロンボスポンジンは、カルシウムチャネルサブユニットα2δ1と相互作用する。α2δ1は、TSP2のシナプス形成性ドメイン(SD2)と相互作用する。単独での(1)またはSD2の存在下での(2)または別の無関係分泌タンパク質対照−myc−hisの存在下での(3)HEK293細胞において、FLAGタグ付きα2δ1を発現させた。その後、FLAGタグに対する抗体にコンジュゲートさせたアガロースビーズを使用して、HEK293細胞膜溶解産物からα2δ1を免疫沈降させた(レーン1から3)。抗Hisタグ抗体を使用して、ウエスタンブロット法により、IP画分中のSD2または対照−myc−hisタンパク質の存在を分析した(レーン4−6)。SD2は、α2δ1と共免疫沈降した(レーン5)が、対照−his−mycタンパク質はしなかった(レーン6)。これは、SD2とα2δ1との特異的相互作用を明示している。図11D:トロンボスポンジンは、カルシウムチャネルサブユニットα2δ1と相互作用する。SD2は、α2δ1と相互作用するが、カルシウムチャネルサブユニットα1Cとはしない。SD2、ならびにカルシウムチャネルサブユニットα1、α2δ1およびβをHEK293細胞において異なる濃度で共発現させた。レーン1:L型カルシウムチャネルのα2δ1、α1Cおよびβサブユニット。レーン2:α1CおよびβサブユニットならびにSD2。レーン3:α2δ1およびSD2。レーン4:α1C、α2δ1およびβサブユニットならびにSD2。SD2タンパク質を、これらの可溶化HEK293膜から、そのC末端mycタグを利用することによって免疫沈降させた。それらのIP画分中のカルシウムチャネルサブユニットα2δ1またはα1Cの存在を分析した。α1およびβサブユニットの不在または存在に関係なく、SD2とα2δ1は共免疫沈降された(レーン7および8)。SD2は、α2δ1サブユニットの存在下または不在下で、α1Cと相互作用しなかった(レーン6および8)。図12A:TSP2シナプス形成性ドメイン構築物SD2の作製および試験。シナプス形成性TSP2構築物SD2の略図。この構築物は、IgGκ鎖の分泌のためのシグナル配列(SS)、続いて第三プロパージン様リピート(P3)そしてTSP2の3つのシナプス形成性EGF様リピート(E1−3)を含有する。免疫検出、免疫沈降および精製のために、C末端mycおよびHisタグを導入した。図12B:TSP2シナプス形成性ドメイン構築物SD2の作製および試験。HEK293細胞における過発現によってSD2を大量に生産した。その後、Niキレート化クロマトグラフィーを用いることによって培養基からそれらのタンパク質を均質になるまで精製した。純粋なタンパク質を含有するカラム溶離画分をSDS−PAGEによって分析し、クマシン染色によってそのタンパク質の純度を検査した(レーン1−3)。M=分子量マーカー、206、130、87、42、31、17および7kDa(BioRad)。図12C:TSP2シナプス形成性ドメイン構築物SD2の作製および試験。シナプス前シナプトタグミンおよびシナプス後PSD−95の共局在についてのRGCの免疫染色は、RGCを単独で培養すると(対照)シナプス点を殆ど示さないが、SD2の存在下では多くのシナプス点を示す(インレイiiにおける白矢印)。スケールバー=30μm。図12D:TSP2シナプス形成性ドメイン構築物SD2の作製および試験。シナプス数に関するSD2の効果についての用量応答の定量。SD2は、10〜20nM範囲でシナプス数の増加に最も有効であったが、50nM濃度より上ではそのシナプス形成活性を失った。細胞数N=20、エラーバーは±SEMを意味する、*P<0.05。図13A:用量依存的および可逆的様式で行動過敏性を誘導したナイーブラットへのTSP4タンパク質の髄腔内注射。TSPタンパク質効果の開始時は、注射の2日後であり、ピーク効果は、注射の2〜4日後に発生した。TPS4ボーラス注射(45μg/ラット)の3日後にガバペンチンまたは食塩水ボーラス治療注射を開始し、その後、その治療注射の1時間後に行動試験を行い、そしてさらにその後は毎日、行動試験を行った。髄腔内ボーラス、食塩水ではなく、ガバペンチンは、TSP4の疼痛誘発作用を遮断した。ガバペンチン効果は1〜2日間、続いた。PWTは、フォン・フライ・フィラメント刺激に対する肢逃避閾値を意味する。図13B〜C:活性TSP4抗体の髄腔内注射は、用量依存様式で脊髄神経結紮ラットにおける触覚異痛を逆転させた。80μg/ラットまたは様々な用量でのボーラス髄腔内用TSP4抗体を週齢2週のL5/6脊髄神経結紮ラットに注射し、その後、フォン・フライ試験を行った(図13B−C)。そのボーラス活性TSP4抗体は、損傷部位の定着した異痛を逆転させた。図13BおよびCにおいて、「PWT」は、フォン・フライ・フィラメント刺激に対する肢逃避閾値を指し;「Active」は、活性抗体を指し;「Inactive」は、10分間、沸騰させた抗体を指し;「Contra」は、非損傷部位を指し;「Ips」は、損傷部位を指し;エラーバーは±SEMを意味し;ならびに、「*」は、未治療レベルと比較したときのP<0.05を示しおよび「**」は、p<0.01を示す。図13D:TSP4抗血清の先取り髄腔内注射は、脊髄神経結紮ラットにおける触覚異痛の発現を予防した。左L5/6脊髄神経の結紮前に、TSP4抗体(80μg/ラット/日)での毎日の先取り髄腔内治療を開始した。TSP4抗体での先取り治療は、損傷誘導異痛の発症を遅らせ、これが、機械的刺激に対する肢逃避閾値(PWT)減少として示された。データは、平均±SEMである。「L」は、左(結紮)側を指し;「R」は、右(非損傷)側を指す。「*」は、食塩水(L)と比較したときのp<0.05を示し;「**」は、食塩水(L)と比較したときのp<0.01を示し;および「***」は、食塩水(L)と比較したときのp<0.001を示す。図13E:TSP4アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドの髄腔内注射は、配列特異的および可逆的様式で脊髄神経結紮ラットにおける触覚異痛を逆転させた。脊髄神経結紮ラットに、結紮損傷の5週間後、2つのTSP4アンチセンスオリゴヌクレオチド(#1および#2)を4日間、髄腔内注射した(50μg/ラット/日)。TSP4アンチセンスオリゴヌクレオチド#2の毎日の髄腔内注射は、損傷部位の定着した異痛の完全逆転を生じさせた。毎日行動試験を注射前に盲検的に行った。それぞれの群のn=6からの平均±SEMを示す。「Contra」は、非損傷部位を指し;および「Ips」は、L5/6脊髄神経結紮側を指す。「*」は、治療前レベルと比較したときのp<0.05を示す。 シナプス形成不足の有害作用もしくは望ましくなく活性なシナプス形成から個体を守るための、またはシナプス形成不足の有害作用または望ましくなく活性なシナプス形成で苦しんでいる個体を治療するための、または個体のシナプス形成不足の有害作用もしくは望ましくなく活性なシナプス形成を予防するための方法および組成物を提供する。これらの発見は、外傷性脳損傷、てんかん、およびシナプスが形成できないまたは不適切に形成する他の状態を含めて、様々な臨床状態に幅広い影響を有する。シナプス形成は、トロンボスポンジンの特異的アゴニストである薬剤とニューロンを接触させることによって増進される。逆に、シナプス形成は、トロンボスポンジンの阻害剤またはアンタゴニストとニューロンを接触させることによって阻害される。 外因性トロンボスポンジンまたはそのアゴニストの送達は、正常なCNSにおいて、修復を促進するためにCNS損傷後に、神経筋接合部で、例えば、脊髄運動ニューロンと筋肉の接合部で新たなシナプスを誘導する。成体においてシナプス形成を回復する能力は、正常な脳における記憶の向上に;アルツハイマー病(シナプスを失う疾病)の治療に、ならびに脳卒中または髄損傷後の損傷を受けたCNSの修復および再生の際の新たなシナプス形成の促進;筋ジストロフィーの際の神経接合部の強化;筋萎縮性側索硬化症(ALS);およびこれらに類するものに、重要な影響を有する。新生ニューロンおよび他のニューロンとエフェクター細胞との機能的連結を促進するために、神経前駆体の投与、またはシナプス形成の増加、と併用で、外因性トロンボスポンジンまたはそのアゴニストの送達も用いられている。 トロンボスポンジンアンタゴニストは、過剰な、望ましくないシナプスからの疾病の治療に有用である。成体の脳は、神経膠瘢痕を構成する「反応性星状膠細胞」の損傷後、トロンボスポンジンをアップレギュレートすることができる。神経膠瘢痕は、てんかん遺伝子座と関連付けられており、また、てんかんの基礎となる望ましくない過剰なシナプス形成を誘導し得る。同様に、嗜癖および/または疼痛からの永続的な薬物渇望の基礎となる望ましくない余分なシナプスが存在する。 可溶性因子でのシナプス形成の調節のための方法を提供する。トロンボスポンジンは、ニューロンにおけるシナプス形成を増加させるために十分であり、詳細には、シナプス形成は、第三EGF様ドメインをはじめとする、トロンボスポンジンによって共有される共通のEGF様ドメインの作用によって増加されることが判明した。このドメインは、広範に発現される膜貫通型ニューロン細胞表面分子、カルシウムチャネルサブユニットα2δ1、と相互作用する。トロンボスポンジンとα2δ1との相互作用を遮断する薬剤は、シナプス形成の阻害に、例えば、疼痛、てんかん、不安、嗜癖の治療に、および再生ニューロンの軸索成長を助長するために有用である。α2δ1に結合するガバペンチン、およびトロンボスポンジンEGF様ドメインに特異的な抗体は、トロンボスポンジンによって誘導されるシナプス形成を特異的に阻害することが判明した。興味深い方法としては、ニューロンとトロンボスポンジンEGF様ドメイン、またはそれらの模倣体、例えばアゴニスト抗体とを接触させることによるシナプス形成の増進、およびトロンボスポンジンEGF様ドメインとα2δ1、α2δ2、α2δ3またはα2δ4ポリペプチドまたはタンパク質との相互作用を遮断することによるシナプス形成の阻害が挙げられる。 本発明の1つの実施形態において、シナプス形成の阻害をはじめとするシナプス形成を調節する能力について候補薬剤をスクリーニングするための方法を提供する。本発明の1つの実施形態において、前記ニューロンは、中枢神経系におけるニューロンである。もう1つの実施形態において、前記ニューロンは、末梢神経系ニューロンである。スクリーニングは、α2δ1、α2δ2、α2δ3またはα2δ4ポリペプチドまたはタンパク質を接触させること、およびα2δ1、α2δ2、α2δ3もしくはα2δ4に結合するまたはα2δ1、α2δ2、α2δ3もしくはα2δ4と別様に相互作用する薬剤の能力を判定することを含む場合がある。そのようなスクリーニングアッセイは、α2δ1、α2δ2、α2δ3またはα2δ4を発現する細胞に対する候補薬剤の効果を判定することをさらに含む場合がある。そのような薬剤は、てんかん、および望ましくないシナプス形成を特徴とする他の状態の治療的処置のための候補である。 トロンボスポンジン、そのアゴニストおよび模倣体、特に、EGF様ドメインを少なくとも含むトロンボスポンジンペプチド、またはトロンボスポンジンEGF様ドメインの活性を模倣するアゴニスト抗体は、シナプス形成を増進するために投与される。5つの公知トロンボスポンジンアイソフォームすべてが、EGF様ドメインを共有する結果として強いシナプス誘導活性を有する。阻害剤、例えば、抗体、ガバペンチンおよびそれらの類似体、などは、シナプス形成を阻害するために投与される。 TSPのシナプス形成性ドメインは、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、多発性硬化症、網膜変性、緑内障、脳卒中、神経障害、加齢など、のためにシナプスが失われる領域におけるシナプス形成の刺激に有用である。他の実施形態において、TSP媒介シナプス形成を阻止する薬剤、例えばα2δ1リガンド、例えばガバペンチン、プレガバリンなど;TSPのEGF様ドメインに特異的な抗体、などは、シナプス形成の阻害に有用である。このような方法は、再生軸索への損傷後、例えば、緑内障の際の神経(視神経を含む)または精髄損傷後の脊髄ニューロンなどへの損傷後、異常なシナプス形成の予防に用いられる。前記シナプス形成調節剤は、局所的に、例えば視神経または脊髄に、投与することができる。 定義 シナプス形成は、本明細書において用いる場合、シナプス前部および/またはシナプス後部がニューロン上に形成するプロセスを指す。シナプス形成の増進は、結果としてシナプス数の増加をもたらし、一方、シナプス形成の阻害は、結果としてシナプス数の減少を、または増加が別様に発生する場合には増加の欠如をもたらす。本明細書において用いる場合のシナプス形成の「増加」または「調節」は、形成されるシナプスの数が、その特定の状況にでの必要に応じて増されるまたは抑制されることを意味する。 本明細書において用いる場合、用語「トロンボスポンジン」は、トロンボスポンジンI、II、III、IV、および軟骨オリゴマー基質タンパク質を含むタンパク質のファミリーのいずれか1つを指すことができる。特定のトロンボスポンジンの1つ以上に言及する場合もある。トロンボスポンジンは、3つの同一のサブユニットから成るホモ三量体タンパク質(TSP1およびTSP2)または5つの同一のサブユニットから成るホモ五量体タンパク質(TSP3−5)、MW180,000のジスルフィド連結サブユニットを有する糖タンパク質、である。それは、トロンビン、フィブリノゲン、ヘパリン、フィブロネクチン、プラスミノゲン、プラスミノゲン活性化剤、コラーゲン、ラミニン、カルシウムなどのための結合部位を含有し、ならびにプロコラーゲン、プロパージンおよび上皮成長因子(EGF)に相同なドメインも含有する。それは、血小板凝集をはじめとする多くの細胞接着および移動事象において機能する。 本明細書において用いる場合、用語「シナプス形成の調節剤」は、シナプスの形成を変更することができる薬剤を指す。調節剤は、「活性化剤」と「阻害剤」の両方を含むが、これらに限定されない。「活性化剤」または「アゴニスト」は、シナプス形成を増進させる物質である。逆に、「阻害剤」または「アンタゴニスト」は、シナプスの数を減少させる。この減少は、完全である場合もあり、または部分的である場合もある。本明細書において用いる場合、調節剤は、トロンボスポンジンアゴニストおよびアゴニストを包含する。 本明細書において用いる場合、用語「軸索および/または樹状突起成長の調節剤」は、軸索および/または樹状突起成長を変更することができる薬剤を指す。調節剤は、「活性化剤」と「阻害剤」の両方を含むが、これらに限定されない。「活性化剤」または「アゴニスト」は、軸索および/または樹状突起成長を増進させる物質である。逆に、「阻害剤」または「アンタゴニスト」は、軸索および/または樹状突起成長を減少させる。この減少は、完全である場合もあり、または部分的である場合もある。本明細書において用いる場合、調節剤は、トロンボスポンジンアゴニストおよびアゴニストを包含する。 本明細書において用いる場合、「薬剤」は、生物学的、製薬学的または化学的化合物を指す。非限定的な例としては、単純なまたは複雑な有機または無機分子、ペプチド、タンパク質、オリゴヌクレオチド、抗体、抗体誘導体、抗体フラグメント、ビタミン誘導体、炭水化物、毒素、化学療法用化合物が挙げられる。様々な化合物、例えば小分子およびオリゴマー(例えば、オリゴペプチドおよびオリゴヌクレオチド)、ならびに様々なコア構造に基づく合成有機化合物を合成することができる。加えて、様々な天然源、例えば植物または動物抽出物、およびこれに類するものから、スクリーニング用の化合物を得ることができる。本発明の薬剤の構造的性質などに制限がないことは当業者には容易に理解できる。 本発明の方法において用いられる薬剤は、ランダムに選択される場合もあり、または合理的に選択もしくは設計される場合もある。本明細書において用いる場合、一部の実施形態において、薬剤は、カルシウムチャネル(例えば、α1δ2カルシウムチャネル)とトロンボスポンジンの会合に関与する特定の配列を考慮せずにその薬剤が選択されるとき、ランダムに選択されると言われる。ランダムに選択される薬剤の例は、ケミカルライブラリーまたはペプチド・コンビナトリアル・ライブラリーの使用である。 アゴニストおよびアンタゴニストとしては、タンパク質(すなわち、ポリペプチド)、核酸、炭水化物、抗体、または対象となるタンパク質および/もしくは分子に影響を及ぼす任意の他の分子を挙げることができる。一部の実施形態において、アンタゴニストは、対象となるタンパク質および/または分子の1つ以上の活性または機能を阻害する(例えば、減少させる)ことができる。一部の実施形態において、アゴニストは、対象となるタンパク質および/または分子の1つ以上の活性または機能を刺激する(例えば、増加させる)ことができる。用語「類似体」は、対象となる分子に構造的にまたは機能的に似ているが、その基準分子の特定の置換基を代替の置換基で置換することによって、ターゲッティングされたおよび制御された様式で修飾されている分子を指す。その出発分子と比較して、類似体は、同じ、類似したまたは改善された有用性を示すことができる。改善された形質(例えば、特定の受容体タイプに対するより高い作用強度、またはターゲットとなる受容体タイプに対するより高い選択性、および他の受容体タイプに対するより低い活性レベル)を有する公知化合物の変異体を同定するための、類似体の合成およびスクリーニングは、製薬化学において周知であるアプローチである。 「抗体」は、その免疫グロブリン分子の可変領域に位置する少なくとも1つの抗原認識部位によって、ターゲット、例えば炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、ポリペプチドなど、に特異的に結合することができる免疫グロブリン分子である。本明細書において用いる場合、この用語は、インタクトなポリクローナルまたはモノクローナル抗体ばかりでなく、それらのフラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、1本鎖(ScFv)、それらの突然変異体、自然発生変異体、必要な特異性の抗原認識部位を有する抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、キメラ抗体、ならびに必要な特異性の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾構造も包含する。 用語「モノクローナル抗体」は、インタクトなモノクローナル抗体および完全長モノクローナル抗体ばかりでなく、それらのフラグメント(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fv)、1本鎖(ScFv)、それらの突然変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化モノクローナル抗体、キメラモノクローナル抗体、ならびに必要な特異性および抗原に結合する能力の抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の修飾構造も包含する。それは、抗体の源、または(例えば、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、トランスジェニック動物などによる)それを作る方法に関して制限を受けると解釈されない。 「ヒト化」抗体は、非ヒト種からの免疫グロブリンから実質的に誘導される抗原結合部位を有する分子であって、その分子の残りの免疫グロブリン構造がヒト免疫グロブリンの構造および/または配列に基づく分子を指す。前記抗原結合部位は、定常ドメインに融合した完全可変ドメインを含む場合もあり、またはその可変ドメイン内の適切なフレームワーク領域にグラフトされた相補性決定領域(CDR)のみを含む場合もある。抗原結合部位は、野生型である場合もあり、または1つ以上のアミノ酸置換によって修飾されている、例えば、ヒト免疫グロブリンにさらにそっくりになるように修飾されている場合もある。ヒト化抗体の一部の形態は、すべてのCDR配列を保存する(例えば、マウス抗体からの6つCDRすべてを含有するヒト化マウス抗体)。ヒト化抗体の他の形態は、原抗体を基準にして変更されている1つ以上(1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ)のCDRを有し、これらは、1つ以上のCDR「から誘導された」1つ以上のCDRとも呼ばれる。 「キメラ抗体」は、重および軽鎖のそれぞれのアミノ酸配列の一部分は、特定の種に由来するまたは特定のクラスに属する抗体における対応する配列と相同であるが、それらの鎖の残りのセグメントは、別のものにおける対応する配列と相同である、抗体を指す。典型的に、これらのキメラ抗体において、軽鎖と重鎖両方の可変領域は、哺乳動物の1つの種に由来する抗体の可変領域を模倣するが、定常部分は、別のものに由来する抗体における配列と相同である。そのようなキメラ形態にとっての1つの明確な利点は、例えば、容易に入手できるハイブリドーマまたは非ヒト宿主生物からのB細胞と例えばヒト細胞試料から得た定常領域とを併用して、現在知られている源から可変領域を適便に得ることができる点である。前記可変領域は、作製の容易さという利点を有し、およびその特異性はその源の影響を受けず、その上、ヒトである前記定常領域は、非ヒト源からの定常領域より、それらの抗体が注射されたときにヒト被験者から免疫反応を惹起する可能性が低い。しかし、この定義は、この特定の例に限定されない。 本明細書において用いる場合、用語「イムノアドヘシン」は、異種タンパク質の結合特異性(「付着性」)と免疫グロブリン定常領域のエフェクター機能とを兼備する抗体様分子を示す。構造的には、イムノアドヘシンは、抗体の抗原認識および結合部位以外である(すなわち、「異種である」)所望の結合特異性を有するアミノ酸配列と、免疫グロブリン定常ドメイン配列とを含む。イムノアドヘシン分子のアドへシン部分は、一般に、受容体またはリガンドの結合部位を少なくとも含む連続アミノ酸配列である。イムノアドヘシンの中の免疫グロブリン定常ドメイン配列は、任意の免疫グロブリン、例えば、IgG−1、IgG−2、IgG−3またはIgG−4サブタイプ、IgA(IgA−1およびIgA−2を含む)、IgE、IgDまたはIgMから得ることができる。Ig融合体は、好ましくは、Ig分子内の少なくとも1つの可変領域の場所での本明細書に記載するポリペプチドまたは抗体のドメインの置換を含む。特に好ましい実施形態において、免疫グロブリン融合体は、IgG1分子のヒンジ、CH2およびCH3、またはヒンジ、CH1、CH2およびCH3領域を含む。免疫グロブリン融合体の生産については、1995年6月27日発行の米国特許第5,428,130号も参照のこと。ある実施形態において、本発明は、カルシウムチャネルの細胞外ドメイン(例えば、α2δサブユニットもしくはα2サブユニット)またはそれらのフラグメントおよび融合パートナー、例えば抗体Fcドメイン、のすべてまたは一部を含む免疫付着体(immunoadhesion)を提供する。 抗体の「可変領域」は、単独または組み合わせでの、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域を指す。重および軽鎖の可変領域は、それぞれ、超可変領域としても公知である3つの相補性決定領域(CDR)によって連結された4つのフレームワーク領域(FR)から成る。それぞれの鎖内のCDRは、FRによって互いに極めて接近して保持されており、また、他の鎖からのCDRと共に抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。CDRを決定するための技術は少なくとも2つある:(1)異種間配列可変性に基づくアプローチ(すなわち、Kabatら Sequences of Proteins of Immunological Interest,(5th ed.,1991,National Institus of Health,Bethesda MD));および(2)抗原−抗体複合体の結晶学的研究に基づくアプローチ(Al−lazikaniら(1997)J.Molec.Biol.273:927−948))。本明細書において用いる場合、CDRは、いずれかのアプローチによって定義されるCDRを指す場合もあり、または両方のアプローチの併用によって定義されるCDRを指す場合もある。 抗体の「定常領域」は、単独または組み合わせでの、抗体軽鎖の定常領域または抗体重鎖の定常領域を指す。 抗体は、ターゲットに、他の物質に結合するより大きな親和性、アビディティーで、より容易に、および/またはより長期間結合する場合、「特異的に結合する」または「優先的に結合する」。例えば、トロンボスポンジンおよび/またはカルシウムチャネルエピトープに特異的にまたは優先的に結合する抗体は、他のトロンボスポンジンおよび/もしくはカルシウムチャネルエピトープまたは非トロンボスポンジンおよび/もしくは非カルシウムチャネルエピトープに結合するより大きな親和性、アビディティーで、より容易に、および/またはより長期間、このトロンボスポンジンおよび/またはカルシウムチャネルエピトープに結合する抗体である。例えば、第一のターゲットに特異的にまたは優先的に結合する抗体(または部分もしくはエピトープ)が、第二のターゲットに特異的にまたは優先的に結合する場合もあり、またはしない場合もあることも、この定義を読むことによって理解される。従って、「特異的結合」または「優先的結合」は、排他的結合を(含む場合もあるが)必ずしも求めない。必ずしもそうではないが、一般に、結合への言及は優先的結合を意味する。 本明細書において用いる場合、抗体に関して、「標識する」という用語は、検出可能な物質、例えば、放射性物質または蛍光体(例えば、フルオレセインイソチオシアネート(FITC)もしくはフィコエリトリン(PE))を抗体にカップリングさせることによる抗体の直接標識、ならびに検出可能な物質との反応性によるプローブまたは抗体の間接的標識を包含する。 本明細書において用いる場合、「実質的に純粋な」は、少なくとも50%純粋(すなわち、不純物がない)、さらに好ましくは少なくとも90%純粋、さらに好ましくは少なくとも95%純粋、さらに好ましくは少なくとも98%純粋、さらに好ましくは少なくとも99%純粋である材料を指す。 用語「ポリペプチド」、「オリゴペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために本明細書では交換可能に用いている。前記ポリマーは、線状である場合もあり、または分岐している場合もあり、それは、修飾されたアミノ酸を含む場合があり、およびそれに非アミノ酸が割り込んでいる場合もある。これらの用語は、自然に修飾されている、あるいは介入、例えば、ジスルフィド結合形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、または任意の他の操作もしくは修飾、例えば標識成分とのコンジュゲーション、によって修飾されているアミノ酸も包含する。例えば、アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸などを含む)の1つ以上の類似体を含有するポリペプチド、ならびに当該技術分野において公知の他の修飾体も、この定義に包含される。本発明のポリペプチドは抗体に基づくため、本ポリペプチドが1本鎖として生ずる場合もあり、または会合している鎖として生ずる場合もあることは理解される。 本明細書における抗体をコードする「単離された」核酸分子は、同定されている核酸分子であって、それを生産する環境において通常はそれに付随する少なくとも1つの汚染核酸分子から分離されている核酸分子である。好ましくは、単離された核酸分子には、その生産環境に付随するすべての成分の付随がない。本明細書におけるポリペプチドおよび抗体をコードする単離された核酸分子は、それが自然界で見いだされる形態または設定以外の形態で存在する。従って、単離された核酸分子は、細胞内に自然に存在する、本明細書におけるポリペプチドおよび抗体をコードする核酸とは区別される。 用語「制御配列」は、特定の宿主生物における作動可能に連結されたコーディング配列の発現に必要なDNA配列を指す。原核生物に適する制御配列としては、例えば、プロモーター、場合によってはオペレーター配列、およびリボソーム結合部位が挙げられる。真核細胞は、プロモーター、ポリアデニル化シグナル、およびエンハンサーを利用することが知られている。 核酸は、それが別の核酸配列と機能できる関係に置かれているとき、「作動可能に連結されている」。例えば、プレ配列または分泌リーダーについてのDNAは、それがポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、ポリペプチドについてのDNAに作動可能に連結されており;プロモーターもしくはエンハンサーは、それがその配列の転写に影響を及ぼす場合、コーディング配列に作動可能に連結されており;またはリボソーム結合部位は、それが翻訳を助長するように配置されている場合、コーディング配列に作動可能に連結されている。一般に、「作動可能に連結された」は、連結されているDNA配列が隣接しており、ならびに分泌リーダーの場合には、隣接していて読取り期にあることを意味する。しかし、エンハンサーが隣接されている必要がない。連結は、適便な制限部位でのライゲーションによって遂行される。そのような部位が存在しない場合には従来の実施に従って合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが用いられる。 本明細書において用いるときの用語「エピトープタグ付き」は、「タグポリペプチド」に融合した本明細書に記載するポリペプチドまたは抗体を含むキメラポリペプチドを指す。前記タグポリペプチドは、抗体を作ることができるエピトープを生じさせるために十分な残基を有するが、十分に短いので、それが融合しているポリペプチドの活性に干渉しない。好ましくは、前記タグポリペプチドは、その抗体が他のエピトープと実質的に交差反応しないようにかなり独特なものでもある。適するタグポリペプチドは、一般に、少なくとも6個のアミノ酸残基および通常は約8個と50個の間のアミノ酸残基(好ましくは、約10個と20個の間のアミノ酸残基)を有する。 「宿主細胞」は、ポリヌクレオチドインサートの組込み用のベクター(単数または複数)のためのレシピエントであり得るまたはあった、個々の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の後代を含み、この後代は、自然、偶発的または計画的突然変異のため、(形態に関してまたはゲノムDNA補体に関して)原親細胞と必ずしも完全に同一でない場合がある。宿主細胞は、本発明のポリヌクレオチド(単数または複数)でインビボでトランスフェクトされた細胞を含む。 本明細書において用いる場合、ペプチド、ポリペプチドまたは抗体配列に関して「アミノ酸配列同一パーセント(%)」および「相同性」は、配列をアラインし、必要な場合には、最大の配列同一パーセントを達成するためにギャップを導入した後の、およびいずれの保存的置換も配列同一性の一部と見なさない、特定のペプチドまたはポリペプチド配列内のアミノ酸残基と同一である候補配列内のアミノ酸残基の百分率を指す。アミノ酸配列同一パーセントを決定することを目的としたアラインメントは、当該技術分野における技術の範囲内である様々な方法で、例えば、公的に利用できるコンピュータソフトウェア、例えば、BLAST、BLAST−2、ALIGNまたはMEGALIGNTM(DNASTAR)ソフトウェアを用いて、達成することができる。当業者は、比較する配列の完全長にわたって最大アラインメントを達成するために必要な任意のアルゴリズムを含めて、アラインメントを測定するための適切なパラメータを決定することができる。 本明細書において用いる場合、一般に、用語「RNA干渉」または「RNAi」は、2本鎖RNA分子または短鎖RNA分子が、その2本鎖または短鎖ヘアピンRNA分子が実質的相同性または全相同性を共有する核酸配列の発現を減少させるまたは阻害するプロセスを指す。用語「短鎖干渉RNA」または「siRNA」または「RNAi剤」は、RNA干渉を惹起するRNA配列を指す。Kreutzerら,WO 00/44895;Zernicka−Goetzら,WO 01/36646;Fire,WO 99/32619;MelloおよびFire,WO 01/29058参照。本明細書において用いる場合、siRNA分子は、化学的に修飾されたヌクレオチドおよび非ヌクレオチドを包含するRNA分子を含む。用語「ddRNAi剤」は、外因性ベクターから転写されるDNA指向性RNAi剤を指す。用語「短鎖ヘアピンRNA」または「shRNA」は、二重鎖領域とループ領域とを有するRNA構造を指す。一定の実施形態において、ddRNAi剤は、最初はshRNAとして発現される。 本明細書において用いる場合の「担体」は、用いられる用量および濃度でそれらに曝露される細胞または哺乳動物に非毒性である、医薬的に許容される担体、賦形剤または安定剤を含む。多くの場合、生理的に許容される担体は、pH緩衝水溶液である。生理的に許容される担体の例としては、緩衝剤、例えば、リン酸塩、クエン酸塩および他の有機酸;アスコルビン酸をはじめとする抗酸化物質;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンもしくはリシン;単糖類、二糖類、および他の炭水化物(グルコース、マンノースもしくはデキストランを含む);キレート剤、例えばEDTA;糖アルコール、例えばマンニトールもしくはソルビトール;塩形成性対イオン、例えばナトリウム;および/または非イオン性界面活性剤、例えばTWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)およびPLURONICS(商標)が挙げられる。 「医薬的に許容される」緩衝剤および塩としては、上に示した酸および塩基の酸付加塩と塩基付加塩の両方から誘導されるものが挙げられる。具体的な緩衝剤および/または塩としては、ヒスチジン、コハク酸塩および酢酸塩が挙げられる。 用語「医薬調合物」は、活性成分の生物活性が有効にならしめるような形態で存在する製剤であって、その調合物が投与される被験者にとって許容できないほど毒性である追加の成分を含有しない製剤を指す。そのような調合物は無菌である。 本明細書において用いる場合の「神経学的」または「認知」機能は、脳内のシナプスの増加が、患者の思考能力、機能などを向上させることを意味する。軸索消失および再成長がある状態では、運動および分泌能力の回復があり得る。 本明細書において用いる場合、用語「治療」は、臨床的病変の経過中に治療される個体または細胞の自然の経過を改変するように計画された臨床的介入を指す。治療の望ましい効果としては、疾病進行速度の低下、疾病状態の改善または緩和、および軽減または改善された予後が挙げられる。固体は、例えば、疾病または状態に随伴する1つ以上の症状が緩和または除去された場合、首尾よく「治療される」。 本明細書において用いる場合、用語「予防」は、個体における疾病の発生または再発に対する予防策をもたらすことを含む。個体は、疾病を有するとまだ診断されていなかったとしてもその疾病の素因を有することがある。 「有効量」は、所望の治療または予防結果を達成するために、必要な投薬でおよび期間にわたって、有効な量を少なくとも指す。有効量を1回以上の投与で与える場合がある。 「治療有効量」は、少なくとも、特定の疾患の測定可能な改善を果たすために必要な最低濃度である。本明細書における治療有効量は、患者の疾病状態、年齢、性別および体重、ならびに個体において所望の反応を惹起する抗体の能力などの要因に従って変わり得る。治療有効量は、治療有益効果がいずれの有毒または有害作用にも勝る量でもある。 「予防有効量」は、所望の予防結果を達成するために、必要な投薬でおよび期間にわたって、有効な量を指す。必ずしもそうではないが一般に、予防用量は疾病に先立ってまたはより早い疾病段階で用いられるので、予防有効量は、治療有効量より少ないことがある。 「慢性」投与は、長期間にわたって最初の治療効果(活性)を維持するために、急性方式とは対照的に継続方式で薬物(単数または複数)を投与することを指す。 「間欠的」投与は、中断なく連続的に行われるのではなく、どちらかと言えば実際は周期的である治療を指す。 本明細書において用いる場合、「併用」投与は、同時投与および/または異なる時点での投与を含む。併用投与は、共調合物としての投与または別の組成物としての投与(異なる投薬頻度または間隔でのもの、および同じ投与経路または異なる投与経路を用いるものを含む)も包含する。 「個体」または「被験者」は、ヒト、家畜および農場動物、ならびに動物園、競技用またはペット動物、例えば、チンパンジーならびに他の類人猿およびサル種、イヌ、ウマ、ウサギ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、アレチネズミ、マウス、フェレット、ラット、ネコおよびこれらに類するものをはじめとする哺乳動物を指す。好ましくは、個体は、ヒトである。この用語は、特定の年齢または性別を意味しない。 本明細書において用いる場合の用語「約」は、本技術分野における技術者には容易にわかる、それぞれの値についての通常の誤差範囲を指す。本明細書において「約」の値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータそれ自体に関する実施形態を含む(および記述する)。 本明細書において用いる場合、単数形「a」「and」および「the」は、その文脈が明確に別様に指示していない限り複数の指示対象を含む。 本明細書に記載する本発明の態様および実施形態は、態様および実施形態「から成ること」および/または「から本質的に成ること」を含むと解釈する。 軸索成長および/またはシナプス形成を調節する方法 本発明は、個体における軸索成長および/またはシナプス形成を調節するための方法を提供する。前記方法は、トロンボスポンジンおよび/またはカルシウムチャネルのα2δサブユニット(例えば、α2δ1、α2δ2、α2δ3およびα2δ4)を調節する薬剤の有効量を投与することを含む。一部の実施形態において、前記薬剤は、トロンボスポンジンおよび/またはカルシウムチャネルのα2δサブユニットに結合する。一部の実施形態において、前記薬剤は、アゴニストである。一部の実施形態において、前記薬剤は、アンタゴニストである。 カルシウムチャネル、アルファ−2/デルタサブユニット 本明細書に記載する方法のいずれかについての一部の実施形態において、カルシウムチャネルは、電位ゲート型Ca2+(CaV)チャネルであり、これらは、少なくともCaV1および2サブファミリーの場合、輸送に責任を負う細胞内βサブユニットおよび膜貫通型α2δ(例えば、α2δ1)サブユニットと会合している、孔形成性α1サブユニットから成る。前記α1サブユニットが前記チャネルの主な生物物理学的性質を決め、および他のサブユニットによって調節される。 CACNA2D1遺伝子は、4つのサブユニット:アルファ−1、アルファ−2/デルタ、ベータ−1およびガンマを含むヘテロ多量体複合体である、骨格筋および脳電位依存性カルシウムチャネルのアルファ−2/デルタサブユニットをコードする。この分子の別名としては、アルファ2デルタサブユニット1、Cacna2d1;カルシウムチャネルアルファ2デルタ−1;カルシウムチャネル、電位依存性、アルファ2/デルタ1サブユニット;カルシウムチャネル、電位依存性、アルファ2/デルタサブユニット1;Cchl2a;および電位依存性カルシウムチャネルアルファ2デルタ−1が挙げられる。CACNA2D1は、電位ゲート型カルシウムチャネルの孔形成性アルファ−1サブユニットの特性を改変し、およびそれは、ジスルフィド結合によって一緒に保持される2つのポリペプチド、アルファ−2サブユニットおよびデルタサブユニット、へと翻訳後プロセッシングされる。アルファ−2/デルタタンパク質は、少なくとも4つの異なる遺伝子:CACNA2D1(α2δ1)、CACNA2D2(α2δ2)、CACNA2D3(α2δ3)およびCACNA2D4(α2δ4)によってコードされる(例えば、参照により本明細書に特に援用されている、Schleithoffら,1999 Genomics 61:201−209;およびFieldら(2006)Proc.Nat.Acad.Sci.103:17537−17542を参照のこと)。それらの遺伝子配列およびタンパク質配列は、公的に入手することができる。例えば、α2δ1についての遺伝子配列は、GenBankにおいてアクセッション番号BC117470であり;およびα2δ1についてのタンパク質配列は、Genbankにおいてアクセッション番号AAI17471であり;α2δ2についてのタンパク質配列は、Genbankにおいてアクセッション番号AAI52439であり;α2δ3についてのタンパク質配列は、Genbankにおいてアクセッション番号AAI37506およびAAI37502であり;ならびにα2δ4についてのタンパク質配列は、Genbankにおいてアクセッション番号AAI50187である。 Ilesら(1994)Hum.Molec.Genet.3:969−975は、CACNL2A遺伝子をクローニングし、部分的に塩基配列を決定した。CACNL2Aは、骨格筋、脳、心臓および肺をはじめとする多くの組織において発現される。骨格筋および脳アイソフォームを代表するcDNAの配列の比較により、それらが単一遺伝子によってコードされることが証明された。エキソン37から40によってコードされる「デルタ」部分は、そのタンパク質のC末端「アルファ」部分から転写後に開裂される。そのデルタ部分の膜貫通領域は、エキソン40によってコードされる。CACNA2D1遺伝子は、筋肉および脳アイソフォームにそれぞれ対応するエキソン19および24において選択的スプライシングを受ける。 α2δタンパク質のトポロジーは、4つすべてのα2δサブユニットについて一般化するようである。それらは、すべてが膜貫通ドメインである可能性が高いC末端(CT)内に疎水性領域を有するため、すべて、1回膜貫通型タンパク質であると予測される。α2δは、単一遺伝子産物から翻訳され、それが、翻訳後に、ジスルフィド結合によって会合されたままであるα2およびδ部分へと開裂される。前記タンパク質のα2部分は、完全に細胞外にあるが、そのδ部分は、α2に結合している小さな細胞外部分と、非常に短い細胞質テールを伴う膜貫通ドメインとを有し、そのテールがその分子全体をその膜につなぎ留めている(Daviesら,Trends in Pharmacol.Sci.28:220−228,2007)。すべてが予測N末端シグナル配列を有し、これは、N末端が細胞外にあることを示している。すべてのα2δサブユニットの細胞外配列における配列相同性によって特定される1つのドメインが、α2部分の中のフォン・ヴィルブランド因子タイプA(VWFA)ドメインである。Cantiら,Curr.Neuropharmacology 1:209−217,2003;Cantiら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 102:11230−11235,2005;Arikkathら,Curr.Opin.Neurobiol.13,:298−307,2003。ヒトα2δサブユニットにおいて、VWFAドメインは、α2δ1の約253から約430のアミノ酸(ワールドワイドウェブ、expasy.org/uniport/P54289を参照のこと)、α2δ2の約291から約469のアミノ酸(ワールドワイドウェブ、expasy.org/uniport/Q9NY47を参照のこと)、α2δ3の約256から438のアミノ酸(ワールドワイドウェブ、expasy.org/uniport/Q8IZS8を参照のこと)、およびα2δ4の約291から約473のアミノ酸(ワールドワイドウェブ、expasy.org/uniport/Q7Z3S7を参照のこと)を含む。これらのアミノ酸位置は、シグナル配列を伴う、プロセッシングされていない前駆タンパク質に基づく。 すべてのα2δサブユニットは、高電位活性化(HVA)CaV1およびCaV2チャネルを通るカルシウム電流を増す。電位活性化Ca2+チャネルは、筋収縮、分泌、シナプス機能および転写調節をはじめとする多くの細胞プロセスにおける重要なシグナル伝達タンパク質である。α2δ−1タンパク質の発現は、膜へのα1サブユニットのターゲッティングを増加させ、および孔形成性サブユニットのゲーティングを(ゲーティング電荷によって測定して)増す。一般に、α2δ−1タンパク質と高電位ゲート型カルシウムチャネルのα1およびβサブユニットとの共発現は、活性化および不活性化の電位依存性をより負電位へとシフトさせ、ならびにチャネル活性化および不活性化速度を加速する。 カルシウムチャネル機能に対するこれらの直接的な作用に加えて、α2δ−1タンパク質は、ガバペンチンおよびプレガバリン(神経因性疼痛の治療に用いられる薬剤)の作用を媒介する。このサブユニットはガバペンチン(抗痛覚過敏作用を発揮する抗てんかん薬)のための結合部位であることが、インビトロ研究によって証明された。さらに、神経因性疼痛の齧歯動物モデルにおいてα2δ−1タンパク質の点突然変異はガバペンチンの治療効果を消すことが、インビボ研究によって実証された。脊髄および後根神経節(DRG)におけるこのサブユニットの発現増加は、無害な機械的刺激に対する脊髄神経損傷ラットの侵害受容応答(異痛)増進に一定の役割を果たすと示唆されている。DRGおよび脊髄におけるアルファ2デルタ−1サブユニットの誘導は、個々の神経障害に特異的である、およびガバペンチン感受性異痛の一因と成り得る要因によって調整される可能性が高い。 ガバペンチン(1−(アミノメチル)シクロヘキサン酢酸)は、様々な神経因性疼痛の「ゴールド・スタンダード」治療薬であると医師たちに考えられている。糖尿病性神経障害またはヘルペス後神経痛に罹患している患者の50%より多くにそれが処方される。この薬は、より高い用量で鎮静作用が見られることを除き、十分に許容される。あるいは、γ−アミノ酪酸(GABA)の3置換類似体、プレガバリン、は、同様の活性に備えるものであり、改善された薬物動態プロフィールを有する。ガバペンチンおよびプレガバリンによって代表される化合物は、電位ゲート型Ca2+チャネルのα2δ1サブユニットに結合することによって神経因性疼痛を阻止するそれらの作用を発揮する(Maraisら(2001)Mol.Pharmacol.59:1243−1248およびWangら(1999)Biochem.J.342:313−320参照)。この相互作用は、ニューロン細胞へのカルシウムインフラックスの阻害、それによる神経伝達物質放出の阻害および中枢感作発現の抑制を生じさせる結果となると考えられた。 β−アミノ酸およびα−アミノ酸クラス、非アミノ酸リードおよびプロドラッグに関する構造変異体を含めて、多数のα2δ1リガンドの医薬品化学が探査された。アルファ2デルタサブユニットへのこれらのリガンドの結合が、てんかん、糖尿病性神経障害からの疼痛、ヘルペス後神経痛および線維筋痛症ならびに全般性不安障害をはじめとする幾つかの臨床疾患の治療におけるそれらの有用性を説明すると考えられる。 トロンボスポンジン 本明細書に記載する方法のいずれかについての一部の実施形態において、「トロンボスポンジン」は、トロンボスポンジンI、II、III、IV、および軟骨オリゴマー基質タンパク質を含むタンパク質のファミリーのいずれか1つを指す場合がある。それらの特定のトロンボスポンジンの1つ以上に言及する場合もある。トロンボスポンジンは、MW180,000のジスルフィド結合サブユニットを有するホモ三量体(TSP1およびTSP2)またはホモ五量体(TSP3−5)糖タンパク質である。それは、トロンビン、フィブリノゲン、ヘパリン、フィブロネクチン、プラスミノゲン、プラスミノゲン活性化剤、コラーゲン、ラミニンなどのための結合部位を含有する。それは、血小板凝集をはじめとする多くの細胞接着および移動事象において機能する。 トロンボスポンジンI(THBS1;TSP1としても公知)は、ヒトDNA配列についてのGenbankアクセッション番号X04665およびヒトタンパク質についてのTSP1ヒト(P07996)(ワールドワイドウェブ、expasy.org/uniport/P07996を参照のこと)を有する。それは、細胞外基質と会合しているマルチモジュール型分泌タンパク質であり、ならびに強力な血管新生活性をはじめとする様々な生物学的機能を有する。他のトロンボスポンジン遺伝子としては、対応するタンパク質配列TSP1ヒト(P07996)、TSP2ヒト(P35442)、TSP3ヒト(P49746)およびTSP4ヒト(P35443)を有する、トロンボスポンジンII(THBS2;188061)、III(THBS3;188062)、およびIV(THBS4;600715)が挙げられる。 ヒトトロンボスポンジン2(THBS2;TSP2としても公知)は、ヒト配列についてのGenbankアクセッション番号L12350(ワールドワイドウェブ、expasy.org/uniport/P35442を参照のこと)を有する。これは、配列に関してTHBS1と非常に類似している。 ヒトトロンボスポンジン3(THBS3;TSP3としても公知)は、ヒト配列についてのGenbankアクセッション番号L38969(ワールドワイドウェブ、expasy.org/uniport/P49476を参照のこと)を有する。このタンパク質は、そのCOOH末端ドメインに関してTHBS1およびTHBS2と明らかに相同であるが、そのNH2末端領域に関しては実質的に異なり、これは、独特であるがTHBS1およびTHBS2のものとの関連もあるTHBS3の機能特性を示唆している。956アミノ酸予測タンパク質は、特に、7つのタイプIIIカルシウム結合リピートに対応する配列の四分の三に関して、高酸性である。4つのタイプII EGF様リピートも存在する。 ヒトTHBS4遺伝子(TSP4としても公知)、ヒト配列についてはGenbankアクセッション番号Z19585(ワールドワイドウェブ、expasy.org/uniport/P35443を参照のこと)、は、第三タイプ3リピート内にRGD(arg−gly−asp)細胞結合配列を含有する。これは、ヘパリンおよびカルシウムに結合する五量体タンパク質である。 軟骨オリゴマー基質タンパク質(TSP5としても公知)、Genbankアクセッション番号L32137(ワールドワイドウェブ、expasy.org/uniport/P49474を参照のこと)、は、軟骨細胞の小腔周囲基質において高レベルで発現される524kDタンパク質である。それらの配列は、それがトロンボスポンジン遺伝子ファミリーの一員であることを示している。 トロンボスポンジンEGF様ドメイン 本明細書に記載する方法のいずれかについての一部の実施形態において、前記方法は、少なくとも1つのトロンボスポンジンEGF様ドメインの投与を含む。公知のトロンボスポンジンアイソフォームは、多数の特異的ドメインを含む。THBS1およびTHBS2についてのこれらは、ヘパリン結合N末端ドメイン、プロコラーゲンとの相同性を有するリンカー、3つのTPS−タイプ−1リピート、3つのEGF様リピート、7つのTSPタイプ−3カルシウム結合リピート、および細胞結合カルボキシル末端ドメインを含む。本明細書に、例えば図2に示すように、EGF様ドメインは、シナプス形成を誘導するために十分なものである。 EGF様ドメインは、明瞭なモチーフ配列を有する。共通の特徴は、これらのリピートが膜結合タンパク質の細胞外ドメインにおいてまたは分泌されることがわかっているタンパク質において見つけられることである。EGFドメインは、6つのシステイン残基を含み、これらがジスルフィド結合に関与することは証明されている。主構造は、2本鎖ベータシート、それに続く、C末端の短い2本鎖シートへのループである。保存システイン間のサブドメインは、様々な長さである。例えば、Apellaら(1988)FEBS Lett 231:1−4およびEngel(1989)FEBS Lett 25:1−7(それぞれ、参照により本明細書に援用されている)に記載されているように、多くのタンパク質においてEGFおよびその前駆体ならびにTGF−αによって例示されるジスルフィド結合構造に遭遇する。マウスTSP EGF様ドメインのアラインメントは、Bornstein(1992)FASEB J 6:3290−3299(参照により本明細書に援用されている)において見つけることができる。それぞれのEGF様ドメインは、約35から約70アミノ酸の長さ、さらに通常はおよそ約40アミノ酸からおよそ約65アミノ酸の長さである。前記EGFリピートは、ヒドロキシル化アミノ酸、β−ヒドロキシアスパラギン酸およびβ−ヒドロキシアスパラギンを含む場合がある。前記リピートは、そのドメインの位置2、4および5に負の電荷を有するアミノ酸も含む場合がある。 例示的EGF様ドメインは、ヒトトロンボスポンジンポリペプチドにおいて見つけられる。THBS1配列および上で参照した配列に関して、EGF様ドメインは、アミノ酸551−586、588−636および650−689において見つけられる。THBS2配列および上で参照した配列に関して、EGF様ドメインは、アミノ酸553−588、590−635および652−691において見つけられる。THBS3配列および上で参照した配列に関して、EGF様ドメインは、アミノ酸316−368、370−412および418−455において見つけられる。THBS4配列および上で参照した配列に関して、EGF様ドメインは、アミノ酸290−324、326−377、379−418および424−461において見つけられる。 本明細書において用いる場合、トロンボスポンジンEGF様ドメインとしては、少なくとも6つのシステインアミノ酸を含み、その主構造が、2本鎖ベータシート、それに続く、C末端の短い2本鎖シートへのループである、約35から約65アミノ酸の長さのポリペプチドが挙げられるが、これに限定されない。前記ドメインは、ヒトトロンボスポンジンタンパク質からの上で定義したドメインとの少なくとも約95%の配列同一性、少なくとも約98%の配列同一性、少なくとも約99%の配列同一性、100%の配列同一性を有し得る。ペプチドは、そのアミノ末端、そのカルボキシ末端、または両方から1個、2個、3個、4個、5個、またはそれより多くのアミノ酸がトランケートされている場合がある。 アゴニスト 本発明は、トロンボスポンジンのアゴニストの有効用量を投与することを含む、その必要がある個体における軸索成長および/またはシナプス形成を調節するための方法を提供する。一部の実施形態において、本発明は、シナプス形成の必要がある個体にアゴニストの有効用量を投与することを含む、個体におけるシナプス形成を促進するための方法を提供する。一部の実施形態において、前記アゴニストは、トロンボスポンジンアゴニストである。アゴニストは、当該技術分野において公知の方法および/または本明細書に記載する方法を用いて(例えば、カルシウムチャネルのα2δサブユニットを結合および活性化する)1つ以上のアゴニスト活性について試験することができる。 前記方法のいずれかについての一部の実施形態において、トロンボスポンジンアゴニストとしては、ポリペプチド、核酸、炭水化物、免疫付着体(immunoadhesion)、トロンボスポンジン変異体、ペプチド模倣体、および小分子、抗トロンボスポンジン抗体および免疫グロブリン変異体、ヒトトロンボスポンジンのアミノ酸変異体(アミノ酸置換、欠失および付加変異体、またはそれらの任意の組み合わせを含む)、ならびにキメラ免疫グロブリンが挙げられる。本発明のトロンボスポンジンアゴニストは、トロンボスポンジンのその天然リガンド、例えばカルシウムチャネルα2δサブユニット、への結合に関与するトロンボスポンジンドメインについての本発明者らの同定に基づくものであり得る。一部の実施形態において、トロンボスポンジンアゴニストは、抗体である。一部の実施形態において、前記抗体は、モノクローナル抗体である。一部の実施形態において、前記モノクローナル抗体は、キメラ抗体またはヒト化抗体である。一部の実施形態において、前記トロンボスポンジンアゴニストは、小分子である。 一部の実施形態において、トロンボスポンジンアゴニストは、ポリペプチドである。一部の実施形態において、前記ポリペプチドは、少なくとも1つのトロンボスポンジンEGF様ドメインを含むポリペプチドであり、このポリペプチドは、α2δ1、α2δ2、α2δ3およびα2δ4から成る群より選択されるカルシウムチャネルサブユニットに結合して活性化し、ならびに個体におけるシナプスの形成を増加させる。一部の実施形態において、前記ポリペプチドは、トロンボスポンジンではない。一部の実施形態において、前記ポリペプチドは、トロンボスポンジンである。 一部の実施形態において、前記ポリペプチドトロンボスポンジンアゴニストは、EGF様ドメインを含む。対象となるEGF様ドメインポリペプチドは、上で定義したような1個、2個、3個またはそれより多くのトロンボスポンジンEGF様ドメインを含む場合がある。一部の実施形態において、前記EGF様ドメインポリペプチドは、1つのEGF様ドメインを含む、または、から成る場合がある。一部の実施形態において、前記EGF様ドメインポリペプチドは、少なくとも2つのトロンボスポンジンEGF様ドメインを含む。一部の実施形態において、前記EGF様ドメインポリペプチドは、少なくとも3つのトロンボスポンジンEGF様ドメインを含む。一部の実施形態において、前記EGF様ドメインポリペプチドは、トロンボスポンジンの第三EGF様ドメイン、カルシウム結合リピートおよびC末端領域を含む。一部の実施形態において、前記EGF様ドメインポリペプチドは、EGF様ドメイン以外のトロンボスポンジン配列を欠く。一部の実施形態において、前記EGF様ドメインポリペプチドは、トロンボスポンジンラミニンGドメイン、フォン・ヴィルブランド因子Cタイプドメイン、トロンボスポンジンタイプIドメイン、トロンボスポンジンタイプ3リピート、および/またはトロンボスポンジンC末端領域のうちの1つ以上を欠く場合がある。一部の実施形態において、前記トロンボスポンジンEGF様ドメインは、少なくとも6個のシステインアミノ酸を含み、その主構造が、2本鎖ベータシート、それに続く、C末端の短い2本鎖シートへのループである、約35から約65アミノ酸の長さのトロンボスポンジンアイソタイプから誘導されたポリペプチドである。一部の実施形態において、前記トロンボスポンジンEGF様ドメインは、ヒトTHBS1、アミノ酸551−586、588−636、650−689、ヒトTHBS2アミノ酸553−588、590−635、652−691、ヒトTHBS3アミノ酸316−368、370−412、418−455、ヒトTHBS4アミノ酸290−324、325−377、379−418および424−461との少なくとも95%の配列同一性を有する。 前記トロンボスポンジンEGF様ドメインの配列を当該技術分野において公知の様々なな方法で改変して、ターゲッティングされた配列変更を生じさせることができる。通常、前記ポリペプチドは、本明細書に提供する配列と実質的に同様であろう、すなわち、少なくとも1個のアミノ酸が異なるであろう、また、約10個以下だが少なくとも2個のアミノ酸が異なる場合もある。前記配列変更は、置換、挿入、または欠失であり得る。アラニンまたは他の残基を系統的に導入する突然変異のスキャニングを用いて、重要なアミノ酸を決定することができる。保存的アミノ酸置換は、概して、以下の群の中での置換を含む:(グリシン、アラニン);(バリン、イソロイシン、ロイシン);(アスパラギン酸、グルタミン酸);(アスパラギン、グルタミン);(セリン、トレオニン);(リシン、アルギニン);または(フェニルアラニン、チロシン)。 一次配列を改変しない、興味深い修飾としては、ポリペプチドの化学的誘導体化、例えば、アセチル化またはカルボキシル化が挙げられる。グリコシル化の修飾、例えば、その合成およびプロセッシング中にまたはさらなるプロセッシング段階においてポリペプチドのグリコシル化パターンを修飾することによって;例えば、グリコシル化に影響を及ぼす酵素、例えば哺乳動物グリコシル化または脱グリコシル化酵素、にそのポリペプチドを曝露することによって、行われるものも含まれる。リン酸化アミノ酸残基、例えばホスホチロシン、ホスホセリンまたはホスホトレオニン、を有する配列も包含される。 通常の分子生物学技術および合成化学を用いて、タンパク質溶解性分解に対するそれらの耐性を改善するように、または可溶化特性を最適化するように、またはそれらを治療薬としてさらに適するものにするように修飾されたポリペプチドも、本発明に含まれる。例えば、ポリペプチドの骨格を環化して安定性を向上させることができる(Friedlerら(2000)J.Biol.Chem.275:23783−23789参照)。そのようなポリペプチドの類似体としては、天然に存在するLアミノ酸以外、例えばDアミノ酸または天然に存在しない合成アミノ酸、の残基を含有するものが挙げられる。一部の実施形態において、トロンボスポンジンポリペプチド(それらの免疫原性エピトープおよび他のフラグメントを含む)を異種分子と組み合わせ、結果として、治療に有用な融合分子を得ることができる。それは、トロンボスポンジンに好適な薬物動態および/または薬力学を付与することができる融合パターンをもたらす。ある実施形態において、本発明は、トロンボスポンジンのEGF様ドメインのすべてもしくは一部、またはそれらのフラグメントおよび融合パートナー、例えば抗体Fcドメインを含む、融合分子を提供する。本発明の融合分子は、トロンボスポンジンEGF様ドメインと比較して、増加されたインビボ半減期を有することができる。 本ペプチドは、当該技術分野において公知であるような従来の方法を用いるインビトロ合成によって作製することができる。様々な市販合成装置、例えば、カリフォルニア州、フォスターシティーのApplied Biosystem,Inc.、Beckmanなどによる自動合成装置を利用することができる。合成装置を用いることにより、天然に存在するアミノ酸を非天然アミノ酸で置換することができる。個々の配列および作製方法は、適便さ、経済性、必要な純度およびこれらに類するものによって決定されるであろう。 所望される場合には、合成中または発現中にポリペプチドに様々な基を導入することができ、それによって、他の分子または表面への連結が可能となる。例えば、チオエーテルを作るためにシステイン、金属イオン錯体に連結させるためにヒスチジン、アミドまたはエステルを形成するためにカルボキシル基、アミドを形成するためにアミノ基、およびこれらに類するものを用いることができる。 前記ポリペプチドは、従来の組換え合成法に従って単離および精製することもできる。発現宿主の溶解産物を作製し、HPLC、排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動法、アフィニティークロマトグラフィーまたは他の精製技術を用いてその溶解産物を精製することができる。大部分について、用いられる組成物は、生成物の作製およびその精製の方法に関連した不純物との関係で、少なくとも20重量%、さらに通常は少なくとも約75重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、および治療のためには通常は少なくとも約99.5重量%の所望の生成物を含むであろう。通常、前記百分率は、全タンパク質に基づくであろう。 アンタゴニスト 本発明は、トロンボスポンジンおよび/またはカルシウムチャネルのアンタゴニスト(例えば、薬剤)の有効用量を投与することを含む、その必要がある個体における軸索成長および/またはシナプス形成を調節するための方法を提供する。一部の実施形態において、前記方法は、シナプス形成を阻害する、シナプスの数を減少させる、またはシナプスの活性を低下させる。一部の実施形態において、前記方法は、軸索成長を促進する。一部の実施形態において、前記方法は、樹状突起成長を促進する。一部の実施形態において、前記方法は、軸索成長と樹状突起成長の両方を促進する。一部の実施形態において、前記アンタゴニストは、トロンボスポンジンアンタゴニストである。一部の実施形態において、前記トロンボスポンジンアンタゴニストは、トロンボスポンジンの1つ以上の活性、例えばシナプス形成活性を阻害する。一部の実施形態において、前記トロンボスポンジンアンタゴニストは、トロンボスポンジンに結合し、トロンボスポンジンとカルシウムチャネルのα2δサブユニットとの相互作用を遮断する。一部の実施形態において、前記アンタゴニストは、カルシウムチャネルのα2δサブユニットのアンタゴニストである。一部の実施形態において、前記アンタゴニストは、カルシウムチャネルのα2δサブユニットに結合し、トロンボスポンジンとそのカルシウムチャネルのα2δサブユニットとの相互作用を遮断する。 さらに、本発明は、一部の実施形態において、疼痛を有する個体にアンタゴニストの有効量を投与することを含む、疼痛(例えば、神経因性疼痛、内蔵痛、癌疼痛、炎症性疼痛、術後疼痛、偏頭痛、または幻痛)を治療するための方法を提供する。一部の実施形態において、前記疼痛としては、体性疼痛(例えば、皮膚(体表)もしくは深組織(筋骨格組織)痛);靭帯、腱、骨、血管、腹膜、および筋肉に関連した疼痛;内蔵痛(例えば、胸部(胸)痛、腹痛、もしくは骨盤臓器痛、もしくは神経因性疼痛);神経系への損傷、化学療法、放射線、外科手術、腫瘍圧迫もしくは事故によって引き起こされた任意の疼痛;癌疼痛(例えば、突発的癌疼痛、膵臓癌もしくは腹部もしくは骨における転移からの疼痛);炎症性疼痛(例えば、関節リウマチ、乾癬性関節炎、ライター症候群(反応性関節炎)、強直性脊椎炎、もしくは炎症性関節炎性疾患に随伴する疼痛);術後疼痛;偏頭痛;または幻痛(例えば、四肢麻痺患者における切断術)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、前記疼痛は、急性である場合もあり、または慢性である場合もあり、および異痛(すなわち、通常は疼痛を引き起こさない刺激に起因する疼痛)または痛覚過敏(すなわち、通常痛い刺激に対する反応増加)を含む。 一部の実施形態において、本発明は、アンタゴニストの有効量を個体に投与することを含む、個体におけるてんかんを治療するための方法も提供する。一部の実施形態において、前記アンタゴニストは、トロンボスポンジンアンタゴニストである。一部の実施形態において、前記アンタゴニストは、α2δサブユニットカルシウムチャネルアンタゴニストである。一部の実施形態において、前記方法は、トロンボスポンジンに結合し、そのトロンボスポンジンとα2δ1、α2δ2、α2δ3およびα2δ4から成る群より選択される1つ以上のカルシウムチャネルサブユニットとの相互作用を遮断するアンタゴニスト(薬剤)の有効量をその必要がある個体に投与することを含む。 シナプス形成のアンタゴニストは、トロンボスポンジンとカルシウムチャネルサブユニットα2δとの相互作用に干渉する薬剤を含み、それらとしては、例えば、参照により本明細書に援用されている米国特許第6518289号、同第6683112号、同第4087544号、米国特許出願公開第20050192353号などに記載されているような、トロンボスポンジンに特異的な抗体、特に、少なくとも1つのトロンボスポンジンEGF様ドメインに特異的な抗体、およびα2δリガンド(ガバペンチンおよびプレガバリンならびにそれらの類似体を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態において、前記アンタゴニストは、ガバペンチン、プレガバリンおよび/またはそれらの類似体を含まない。 前記方法のいずれかについての一部の実施形態において、トロンボスポンジンアンタゴニストとしては、ポリペプチド、核酸(例えば、RNA(例えば、siRNA、アンチセンスRNA、またはマイクロRNA)、およびDNA)、炭水化物、免疫付着体(immunoadhesion)、トロンボスポンジン変異体、トロンボスポンジンペプチドアンタゴニスト、ペプチド模倣体、小分子、抗トロンボスポンジン抗体および免疫グロブリン変異体、トロンボスポンジンに結合する足場誘導結合タンパク質が挙げられる。足場に基づくタンパク質は、抗体の単一ドメイン、免疫グロブリンスーパーファミリー、プロテアーゼ阻害剤、ヘリックス・バンドル・タンパク質、ジスルフィドで結ばれたペプチド(disulphide−knotted peptide)、プロテインA、リポカリン、フィブロネクチンドメイン、アンキリン・コンセンサス・リピート・ドメイン、チオレドキシン、および高ジスルフィド密度足場タンパク質を含む。例えば、U.S.6818418、Lipovsekら;Skerra(2000)J Mol Recognit.13(4):167−87;Skerra(2007)Current Opinion in Biotechnology,18:295−304;ワールドワイドウェブ、.amunix.com/Technology.htmlを参照のこと。ヒトトロンボスポンジンのアミノ酸変異体としては、アミノ酸置換、欠失および付加変異体、またはそれらの組み合わせ、およびキメラ免疫グロブリンが挙げられる。本発明のトロンボスポンジンアンタゴニストは、カルシウムチャネルα2δサブユニットへのトロンボスポンジンの結合に関与するトロンボスポンジンドメインの本発明者らの同定に基づくものであり得る。一部の実施形態において、トロンボスポンジンアンタゴニストは、抗体である。一部の実施形態において、前記抗体は、モノクローナル抗体である。一部の実施形態において、前記モノクローナル抗体は、キメラ抗体またはヒト化抗体である。一部の実施形態において、前記トロンボスポンジンアンタゴニストは、小分子である。一部の実施形態において、前記小分子は、ガバペンチンまたはその類似体である。一部の実施形態において、前記小分子は、ガバペンチンまたはその類似体以外の小分子である。 一部の実施形態において、前記アンタゴニスト(例えば、薬剤)は、トロンボスポンジンに特異的に結合する。一部の実施形態において、前記アンタゴニストは、トロンボスポンジンのEGF様ドメインに特異的に結合する。一部の実施形態において、前記アンタゴニストは、トロンボスポンジンの第三EGF様ドメインに特異的に結合する。一部の実施形態において、トロンボスポンジンは、TSP1、TSP2、TSP3、TSP4、または軟骨オリゴマー基質である。一部の実施形態において、前記アンタゴニストは、抗体である。 一部の実施形態において、前記アンタゴニストは、小さなサイズ、安定性および生産の容易さなどの特性を示す、抗体模倣体または足場誘導結合タンパク質のためのタンパク質足場である。これらとしては、抗体の単一ドメインまたは免疫グロブリンスーパーファミリー、プロテアーゼ阻害剤、ヘリックス・バンドル・タンパク質、ジスルフィドで結ばれたペプチド、プロテインA、リポカリン、フィブロネクチンドメイン、アンキリン・コンセンサス・リピート・ドメイン、チオレドキシン、および高ジスルフィド密度足場タンパク質が挙げられる。 一部の実施形態において、前記アンタゴニストは、1つ以上のトロンボスポンジンの発現を特異的に阻害する、siRNA、アンチセンスRNAまたはマイクロRNAである。一部の実施形態において、RSP1、TSP2、TSP4、または軟骨オリゴマー基質の発現が阻害される。 本明細書に記載する方法のいずれかについての一部の実施形態において、カルシウムチャネルのα2δサブユニットのアンタゴニストとしては、ポリペプチド、核酸(例えば、RNA(例えば、siRNA、アンチセンスRNA、またはマイクロRNA)、およびDNA)、炭水化物、免疫付着体(immunoadhesion)、カルシウムチャネル変異体、カルシウムチャネルペプチドアンタゴニスト、ペプチド模倣体、および小分子、抗カルシウムチャネル抗体および免疫グロブリン変異体、α2δサブユニット(例えば、VWFAドメイン)に結合する足場誘導結合タンパク質、ヒトカルシウムチャネルのアミノ酸変異体(アミノ酸置換、欠失および付加変異体、またはこれらの任意の組み合わせを含む)、およびキメラ免疫グロブリンが挙げられる。本発明のカルシウムチャネルのα2δサブユニットのアンタゴニストは、トロンボスポンジンへのカルシウムチャネルの結合に関与するカルシウムチャネルドメインの本発明者らの同定に基づくものであり得る。一部の実施形態において、前記カルシウムチャネルのα2δサブユニットのアンタゴニストは、抗体である。一部の実施形態において、前記抗体は、モノクローナル抗体である。一部の実施形態において、前記モノクローナル抗体は、キメラ抗体またはヒト化抗体である。一部の実施形態において、前記抗体は、α2δ1に対する抗体である。一部の実施形態において、前記抗体は、α2δ1のVWFAドメインに特異的に結合する。一部の実施形態において、前記カルシウムチャネルのα2δサブユニットのアンタゴニストは、小分子である。一部の実施形態において、前記小分子は、ガバペンチンまたはその類似体である。一部の実施形態において、前記小分子は、ガバペンチンまたはその類似体以外の小分子である。一部の実施形態において、調節および/またはアンタゴニストタンパク質は、カルシウムチャネルサブユニットα2δのδ部分(例えば、カルシウムチャネルサブユニットα2δ1のδ1部分)のポリペプチド配列を含む。 本明細書に記載する方法のいずれかについての一部の実施形態において、アンタゴニストとしては、カルシウムチャネルα2δサブユニットの細胞外部分を含むポリペプチドが挙げられる。一部の実施形態において、ポリペプチドは、カルシウムチャネルサブユニットα2δサブユニットのα2部分を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、ヒトα2δ1の約253から約430のアミノ酸(VWFAドメイン)を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、カルシウムチャネルα2δ2の細胞外部分を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、カルシウムチャネルサブユニットα2δ2のα2部分を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、ヒトα2δ2の約291から約469のアミノ酸(VWFAドメイン)を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、カルシウムチャネルα2δ3の細胞外部分を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、カルシウムチャネルサブユニットα2δ3のα2部分を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、ヒトα2δ3の約256から約438のアミノ酸(VWFAドメイン)を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、カルシウムチャネルα2δ4の細胞外部分を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、カルシウムチャネルサブユニットα2δ4のα2部分を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、ヒトα2δ4の約291から約472のアミノ酸を含む。一部の実施形態において、ポリペプチドは、ヒトα2δ4の約291から約473のアミノ酸(VWFAドメイン)を含む。 ポリペプチド配列(カルシウムチャネルサブユニットα2δの細胞外部分などの、カルシウムチャネルサブユニットα2δを含む)を当該技術分野において公知の様々な方法で改変して、ターゲッティングされた配列変更を生じさせることができる。前記ポリペプチドは、本明細書に提供する配列と通常は実質的に同様であろう、すなわち、少なくとも1個のアミノ酸が異なるであろう、また、約10個以下だが少なくとも2個のアミノ酸が異なる場合もある。前記配列変更は、置換、挿入、または欠失であり得る。アラニンまたは他の残基を系統的に導入する突然変異のスキャニングを用いて、重要なアミノ酸を決定することができる。保存的アミノ酸置換は、概して、以下の群の中での置換を含む:(グリシン、アラニン);(バリン、イソロイシン、ロイシン);(アスパラギン酸、グルタミン酸);(アスパラギン、グルタミン);(セリン、トレオニン);(リシン、アルギニン);または(フェニルアラニン、チロシン)。 一次配列を改変しない、興味深い修飾としては、ポリペプチドの化学的誘導体化、例えば、アセチル化またはカルボキシル化が挙げられる。グリコシル化の修飾、例えば、その合成およびプロセッシング中にまたはさらなるプロセッシング段階においてポリペプチドのグリコシル化パターンを修飾することによって;例えば、グリコシル化に影響を及ぼす酵素、例えば哺乳動物グリコシル化または脱グリコシル化酵素、にそのポリペプチドを曝露することによって、行われるものも含まれる。リン酸化アミノ酸残基、例えばホスホチロシン、ホスホセリンまたはホスホトレオニン、を有する配列も包含される。 通常の分子生物学技術および合成化学を用いて、タンパク質溶解性分解に対するそれらの耐性を改善するように、またはそれらを治療薬としてさらに適するものにするように修飾されたポリペプチドも、本発明に含まれる。例えば、ポリペプチドの骨格を環化して安定性を向上させることができる(Friedlerら(2000)J.Biol.Chem.275:23783−23789参照)。そのようなポリペプチドの類似体としては、天然に存在するLアミノ酸以外、例えばDアミノ酸または天然に存在しない合成アミノ酸、の残基を含有するものが挙げられる。一部の実施形態では、それらの免疫原性エピトープおよび他のフラグメントを含めて、カルシウムチャネルα2δ(例えば、カルシウムチャネルサブユニットα2δの細胞外部分)を異種分子と組み合わせ、結果として、治療に有用な融合分子を得ることができる。それは、カルシウムチャネルサブユニットα2δ(例えば、カルシウムチャネルサブユニットα2δの細胞外部分)に好適な薬物動態および/または薬力学を付与することができる融合パターンをもたらす。ある実施形態において、本発明は、カルシウムチャネルα2δ(例えば、カルシウムチャネルサブユニットα2δの細胞外部分)のすべてもしくは一部、またはそれらのフラグメントおよび融合パートナー、例えば抗体Fcドメインを含む、融合分子を提供する。前記Fcドメインは、1つ以上のエフェクター機能を除去するようにさらに修飾することができる。本発明の融合分子は、カルシウムチャネルα2δ(例えば、カルシウムチャネルサブユニットα2δの細胞外部分)と比較して、増加されたインビボ半減期を有することができる。 本ペプチドは、当該技術分野において公知であるような従来の方法を用いるインビトロ合成によって作製することができる。様々な市販合成装置、例えば、カリフォルニア州、フォスターシティーのApplied Biosystem,Inc.、Beckmanなどによる自動合成装置を利用することができる。合成装置を用いることにより、天然に存在するアミノ酸を非天然アミノ酸で置換することができる。個々の配列および作製方法は、適便さ、経済性、必要な純度およびこれらに類するものによって決定されるであろう。 所望される場合には、合成中または発現中にポリペプチドに様々な基を導入することができ、それによって、他の分子または表面への連結が可能となる。例えば、チオエーテルを作るためにシステイン、金属イオン錯体に連結させるためにヒスチジン、アミドまたはエステルを形成するためにカルボキシル基、アミドを形成するためにアミノ基、およびこれらに類するものを用いることができる。 前記ポリペプチドは、従来の組換え合成法に従って単離および精製することもできる。発現宿主の溶解産物を作製し、HPLC、排除クロマトグラフィー、ゲル電気泳動法、アフィニティークロマトグラフィーまたは他の精製技術を用いてその溶解産物を精製することができる。大部分について、用いられる組成物は、生成物の作製およびその精製の方法に関連した不純物に関係して、少なくとも20重量%、さらに通常は少なくとも約75重量%、好ましくは少なくとも約95重量%、および治療のためには通常は少なくとも約99.5重量%の所望の生成物を含むであろう。通常、前記百分率は、全タンパク質に基づくであろう。 シナプス形成 シナプス形成は、動的プロセスである。発達中、最終的に維持されるものより多くのシナプスが樹立される。従って、過剰なシナプスインプットの削除が、シナプス回路成熟における重要な段階である。シナプス削除は、シナプス前パートナーとシナプス後パートナーとの相互作用を含む競合プロセスである。CNSでは、NMJと同様に、シナプス回路の発達の活性依存性再構築が、共働性インプットの選択的安定化および相関の無い活性を有するインプットの削除を含み得るプロセスによって発生する。シナプスの迅速な削除を含む動的プロセスにより、個々の軸索および樹状突起レベルでシナプス回路の構造的洗練が行われる。軸索が分岐して再構築するにつれて、シナプスが形成し、そしてシナプス削除が迅速に発生してシナプスが分解する。 シナプスは、2つのニューロン間に形成される、またはニューロンと筋肉細胞の間の神経筋接合部(NMJ)に形成される、非対称性情報伝達接合部である。化学的シナプスは、神経伝達物質の分泌によって細胞同士の情報伝達を可能にし、これに対して電気的シナプスでは、シグナルは、ギャップ結合(イオン電流を流すことができる特殊化した細胞間チャネル)によって伝達される。イオンに加えて、シナプス機能を調節する他の分子(例えば、ATPおよび第二メッセンジャー分子)がギャップ結合の細孔を通って拡散できる。成熟NMJにおいて、シナプス前および後膜は、基底板を形成する細胞外タンパク質を含有するシナプス間隙によって隔てられている。シナプス小胞は、シナプス前放出部位でクラスター化され、伝達物質受容体は、シナプス後膜の接合部ヒダ、および神経終末周囲のグリア突起においてクラスター化される。 本明細書に記載する方法のいずれかについての一部の実施形態では、シナプスの形成を増加させることができる。一部の実施形態において、シナプスは、増加された新たなシナプス形成に起因して増加される。一部の実施形態において、シナプスは、増加されたシナプス維持に起因して増加される。一部の実施形態において、前記シナプスは、神経筋接合部にある。一部の実施形態において、前記シナプスは、興奮性シナプスを含む、または、から成る。一部の実施形態において、前記シナプスは、VGlut2陽性興奮性シナプスである。一部の実施形態において、前記シナプスは、VGlut1陽性興奮性シナプスである。一部の実施形態において、前記シナプス形成は、老衰に起因するシナプス消失後に増加される。一部の実施形態において、前記シナプス形成は、外傷に起因するシナプス消失後に増加される。 多数の細胞接着分子およびチロシンキナーゼ受容体リガンドがシナプス形成の調節に関係づけられている。インテグリン、カドヘリンおよびニューロリギンは、シナプス形成に一定の役割を果たすことができる細胞接着分子である。エフリンおよびそれらの受容体、Ephチロシンキナーゼ、は、脳回路の活性依存性局所構成に関与し、ならびにシナプスの形成および成熟にも関与し得る。ニューロトロフィンもシナプスの発達および機能の態様に関係づけられている。本発明の方法を用いて、シナプス形成、および機能向上を促進する細胞変化を誘導することにより、虚血性脳損傷または他のニューロン損傷からの転帰改善を促進する。前記方法は、神経変性疾患、例えばアルツハイマー病、てんかんなど、に罹患している患者におけるシナプス形成を増進させるためにも用いられる。 対象となる疾病および状態 本明細書に記載する方法は、様々な疾病および状態を治療または予防するために用いることができる。脳卒中または脊髄損傷後の損傷したCNSの修復および再生の際の新規シナプス形成の促進ばかりでなく、シナプス形成を増進させる本方法の対象となる状態には、老衰、脳卒中、脊髄損傷、アルツハイマー病(シナプスを喪失する疾病)、パーキンソン病、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、神経障害、筋ジストロフィー、ハンチントン病、アルコール中毒、アレキサンダー病、アルパーズ病、毛細血管拡張性運動失調、バッテン病(シュピールマイヤー・フォークト・シェーグレン・バッテン病としても公知)、ウシ海綿状脳症(BSE)、カナヴァン病、コケーン症候群、大脳皮質基底核変性症、クロイツフェルト・ヤコブ病、HIV関連認知症、ケネディ病、クラッベ病、レビー小体認知症、マシャド・ジョセフ病(脊髄小脳失調症3型)、多系統萎縮症、ナルコレプシー、神経ボレリア症、ペリツェウス・メルツバッハー病、原発性側索硬化症、プリオン病、進行性核上性麻痺、レフスム病、サンドホフ病、シルダー病、悪性貧血の二次的な亜急性脊髄連合変性症、統合失調症、シュピールマイヤー・フォークト・シェーグレン・バッテン病(バッテン病としても公知)、脊髄小脳失調症(様々な特徴を有する多数のタイプ)、脊髄性筋萎縮症、スティール・リチャードソン・オルシェウスキィ病、脊髄ろうも含まれる(しかし、これらに限定されない)。このような状態は、シナプスの発生を増加させるまたは増進する、トロンボスポンジンまたはトロンボスポンジンアゴニストの投与の恩恵を受ける。ニューソン喪失があった幾つかの事例では、例えば、シナプス形成、ニューロン前駆細胞の翻訳、などを増加させる薬剤またはレジメンの施与により、シナプス形成を増進することが同じく望ましい場合がある。 患者は、脳卒中、CNS損傷および神経変性疾患後に神経および機能障害に罹患する場合がある。本発明の発見は、CNS障害または変性後にシナプス形成を調節するおよび機能を向上させる手段を提供する。シナプス形成を促進することによって誘導される神経結合の誘導は、脳卒中、損傷、加齢および神経変性疾患後の機能向上を促進するであろう。増加されるシナプス形成の量は、そのような治療を欠く対照に比べて少なくとも測定可能な増加、例えば、少なくとも10%増加、少なくとも20%増加、少なくとも50%増加、またはそれ以上の増加を含む場合がある。一部の実施形態において、シナプスの数は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%または60%のいずれかの%増加され得る。一部の実施形態において、前記シナプスは、神経筋接合部にある。一部の実施形態において、前記シナプスは、興奮性シナプスを含む、または、から成る。一部の実施形態において、前記シナプスは、VGlut2陽性興奮性シナプスである。一部の実施形態において、前記シナプスは、VGlut1陽性興奮性シナプスである。一部の実施形態において、シナプスは、増加された新たなシナプス形成に起因して増加される。一部の実施形態において、シナプスは、増加されたシナプス維持に起因して増加される。 本明細書に記載する方法のいずれかについての一部の実施形態において、個体または被験者は、老衰の結果としてシナプス消失に罹患している場合がある。一部の実施形態において、前記個体または被験者は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、多発性硬化症または緑内障の結果としてシナプス消失に罹患している場合がある。一部の実施形態において、個体または被験者は、黄斑変性、聴力喪失、糖尿病性神経障害、または化学療法誘発性神経障害に罹患している場合がある。一部の実施形態において、前記個体または被験者は、急性ストレス障害、広場恐怖症、解離性健忘症、神経性食欲不振症、双極性障害、身体醜形障害、短期精神病性障害、神経性過食症、転換性障害、気分循環障害、妄想性障害、離人症性障害、解離性同一性障害(DID)、性交疼痛症、気分変調性障害、男性勃起障害、全般性不安障害、性交不能症、疼痛性障害、パニック障害、恐怖症、外傷後ストレス障害、分裂感情障害、統合失調症様障害、共有精神病性障害、および物質乱用から成る群より選択される精神障害の結果としてシナプス消失に罹患している場合がある。一部の実施形態において、前記個体は、脊髄損傷または中枢神経系損傷などの損傷に起因するシナプス消失に罹患している場合がある。 用語「脳卒中」は、原因に関係なく脳への血流障害に関連した神経障害の発現を広く指す。可能性のある原因としては、血栓症、出血および塞栓症が挙げられるが、これらに限定されない。脳卒中を診断するための現行法としては、症状評価、病歴、胸部X線、ECG(電気的心臓活動度)、EEG(脳神経細胞活動度)、脳障害を評定するためのCATスキャン、および体内映像を得るためのMRIが挙げられる。脳虚血発作の最も一般的な原因には、血栓、塞栓および全身性低血圧などがある。高血圧、高血圧性脳血管疾患、動脈瘤破裂、血管腫、血液疾患、心不全、心停止、心臓ショック、敗血症性ショック、頭部外傷、脊髄外傷、痙攣、腫瘍からの出血または他の失血によって他の損傷が引き起こされる場合もある。 「虚血発作」とは、組織への血液の不十分な供給をもたらす結果となる任意の状況を意味する。虚血が脳卒中に関連している場合、それは、下で定義するような、全体性虚血または限局性虚血のいずれかである。用語「虚血性脳卒中」は、限られた範囲のものであり、且つ、血流遮断に起因して生ずる、脳卒中の1タイプをより具体的に指す。脳虚血発作は、脳への血液供給の不足の結果として生ずる。中枢神経系の一部でもある脊髄は、血流減少の結果として生ずる虚血に、同じく罹患しやすい。 老衰は、特に、障害、疾病および正常な使用に応じて再生する体組織の能力低下に関しての、加齢の影響または特徴を指す。あるいは、一般的な生理的特徴によって加齢を定義することができる。加齢の速度は、非常に種特異的であり、人間は約50歳でおよび齧歯動物や約2年で老化し得る。一般的に言うと、身体の自然な漸進的衰退は、成人早期に始まるが、数十年後に最も顕性になる。人間においてより正確に老年期を定義する1つの任意の方法によると、それは従来の定年、およそ約60歳、およそ約65歳の年齢で始まるということである。もう1つの定義は、生殖能力の喪失と符号して加齢に関するパラメータを設定しており、これは、人間ではおよそ約45歳、さらに通常はおよそ約50歳だが、しかし、個人によって異なるであろう。シナプス機能の喪失、例えば軽度認知不全を、老人において見つけることができる。 老人の間で、アルツハイマー病は、深刻な状態である。アルツハイマー病は、大脳皮質および皮質下灰白質内の過多な数の老人斑を随伴する進行性で避けがたい認知機能喪失であり、前記大脳皮質はおよび皮質下白質は、βアミロイド、およびタウタンパク質から成る神経原線維濃縮体も含有する。その一般的な形態は、60歳より高齢の人を罹患させ、その発病率は、年齢が進むについて増加する。それは、老人における認知症の65%より多くの原因となっている。 アルツハイマー病の原因は不明である。この疾病は、症例の約15から20%が家族内で遺伝する。残り、いわゆる散発性の症例は、幾つかの遺伝的決定因子を有する。この疾病は、可変的な晩年浸透度だが大部分の早発性および一部の晩発性の症例において常染色体優性の遺伝パターンを有する。環境要因が活発な調査の焦点になっている。 この疾病の過程で、大脳皮質、海馬体および皮質下構造(マイネルト基底核における選択的細胞消失を含む)、青斑および背側縫線核内のニューロンが失われる。脳グルコース使用および潅流が、脳の一部の領域(早期疾病では頭頂葉、後期疾病では前前頭皮質)において減少される。(神経突起、星状膠細胞、およびアミロイドコア周囲のグリア細胞から成る)神経突起斑または老人斑および(二重らせん状細繊維から成る)神経原線維濃縮体は、アルツハイマー病の病因に一定の役割を果たす。老人斑および神経原線維濃縮体は、正常な加齢に伴って発生するが、アルツハイマー病を有する患者ではそれらがはるかに多く普及している。 認知症の本質的な特徴は、短期記憶および長期記憶、抽象的思考ならびに判断の欠陥;高次皮質機能に関する他の障害;ならびに人格変化である。認知障害の進行がその診断を裏付け、また、アルツハイマー病を有する患者は好転しない。 本発明の方法は、中枢神経系への細胞または組織の移植と併用もされ、この場合、そのような移植片としては、神経前駆体、例えば、胎児組織、神経幹細胞、胚性幹細胞、または神経修復もしくは増加のために考えられる他の細胞および組織において見つけられるものが挙げられる。神経幹/前駆体細胞は、当該技術分野において説明されており、様々な治療プロトコルでのそれらの使用が広く論じられている。例えば、なかんずく、米国特許第6,638,501号、Bjornsonら;米国特許第6,541,255号、Snyderら米国特許第6,498,018号、Carpenter;米国特許出願第20020012903号、Goldmanら;Palmerら(2001)Nature 411(6833):42−3;Palmerら(1997)Mol Cell Neurosci.8(6):389−404;Svendesenら(1997)Exp.Neurol.148(1):135−46およびShihabuddin(1999)Mol Med Today 5(11):474−80;それぞれが参照により本明細書に特に援用されている。 神経幹および前駆体細胞は、散在CNS領域への十分に確立された移動経路に沿っての移動、微環境の手掛かりに応じての多数の発達上および部位的に適切な細胞タイプへの分化、宿主祖先およびそれらの後代との非分解性、非腫瘍形成性の相互的散在をはじめとする、神経発達の態様に関与し得る。ヒトNSCは、これらの散在位置においてインビボで異種トランスジーンを発現することができる。従って、これらの細胞は、脊髄、脳および末梢神経系への外傷性損傷をはじめとする様々な状態の治療に;アルツハイマー病、ハンチントン病、パーキンソン病をはじめとする変性疾患;大うつ病をはじめとする感情障害;脳卒中;およびこれらに類するものの治療に使用される。シナプス形成増進により、ニューロンの機能的連結が増進され、それが改善された臨床転帰の備えとなる。 本発明のシナプス形成阻害剤を投与した場合、シナプス形成の減少は、そのような治療を欠く対照に比べて少なくとも測定可能な減少、例えば、少なくとも10%減少、少なくとも20%減少、少なくとも50%減少、またはそれ以上の減少を含む場合がある。一部の実施形態において、シナプスの数は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%または60%のいずれかの%阻害され得る。一部の実施形態において、前記シナプスは、神経筋接合部にある。一部の実施形態において、前記シナプスは、興奮性シナプスを含む、または、から成る。一部の実施形態において、前記シナプスは、VGlut2陽性興奮性シナプスである。一部の実施形態において、前記シナプスは、VGlut1陽性興奮性シナプスである。 シナプス形成を減少させる本方法についての対象となる条件には、疼痛、てんかん、不安、嗜癖の治療におけるもの、および再生ニューロンの軸索成長を助長するためのものがある。そのような条件は、シナプスの発達を減少させる、または阻害する、トロンボスポンジンアンタゴニストの投与の恩恵を受ける。本明細書に記載する任意のアンタゴニスト、例えば、トロンボスポンジンに特異的に結合する抗体およびそれらのフラグメント(例えば、トロンボスポンジンのEGF様ドメイン);ならびにカルシウムチャネルα2δサブユニット(例えば、カルシウムチャネルのα2δサブユニット、例えばα2δ1、α2δ2、α2δ3およびα2δ4)に結合する分子、例えば、α2δのVWFAドメインに特異的に結合する抗体、ガパペンチンおよびその類似体(特に、本明細書に記載するスクリーニング方法によって同定される類似体を含む)、を使用することができる。 てんかんは、脳ニューロンの過度の放電によって引き起こされる変容した意識、運動活動、知覚現象または不適当行動の突然の短い発作を特徴とする脳機能の反復性、発作性障害である。症状発現は、部分発作または全般発作に分類され得る、発作のタイプに依存する。部分発作の場合、過度のニューロン放電は大脳皮質の1領域内に封じ込められる。全般発作の場合、その放電には皮質全体が左右両側およびびまん的に関係する。時として、脳半球の一部分の巣状病変が、局所徴候が現れる前に全身性強直性間代性発作を生じさせるほど急速に、大脳全体を左右両側とも活性化する。 てんかんを有する大部分の患者は、発作と発作の間は神経学的に正常になるが、抗痙攣薬の濫用は、敏捷性を鈍らせることがある。進行性精神荒廃は、通常、発作の原因となる神経疾患と関係がある。左側頭葉てんかんは、言語記憶異常を随伴し;右側頭葉てんかんは、時として、視覚空間記憶異常の原因となる。脳病変が明白でなければ、予後は最良である。 抹消神経が部分的に障害を受けると、切断された線維が再生する前に機能が回復される。末梢神経系、脊髄および脳は、すべて、新芽形成および回路構成再構築が証明されている。損傷後、傷害と本来関係のない領域も、シナプス密度変化およびその後の長期にわたる対照レベルへの回復を示す。これらのゾーン内に再生末端が不在であることに関係なく、シナプスの変化が発生する。従って、CNSへの大きな外傷後に著しい経ニューロン変化が発生し得り、これは、反応性シナプス形成が、原傷害を有するまたは有さない領域内の複雑な回路構成の機能的完全性を調整できることを示唆している。成熟した脳において損傷が発生したとき、傷害を受けた系の状況でその成長プロセスを実行することができる。古い系を一掃し、成長の開始および新しいシナプスの形成と整合させなければならない。望ましくは、その広範な再構築および成長のための能力は、そのような再構築が必要とされないときには保持される。そのような状態の場合、本発明のシナプス形成阻害剤を、シナプスの形成に先立ち、ニューロンの成長を可能ならしめる十分な期間にわたって投与することができる。 シナプス形成は、アルコール中毒および薬物嗜癖の根本的な神経基盤に関与する。神経生物学的研究によって、薬物乱用および依存症に関与する特定の脳領域および分子メカニズムが特定された。薬物誘発持続行動、例えば感受性増感、耐性または再発が、いずれの以前に報告された分子メカニズムよりはるかに長く続く。シナプスのつなぎ直しの超微細構造の証拠が、コカイン誘発行動的増感に関連して発見された。そのようなシナプス再構築は、嗜癖の持続の根底にある潜在的神経基盤の代表である。そこで、アルコール中毒および薬物嗜癖のための部位特異的薬物療法および行動治療プログラムは、これらの回路をターゲットにし得る。そのような状態の場合、本発明シナプス形成阻害剤を、嗜癖に関連したシナプス形成を阻害するために十分な期間にわたって投与することができる。 本発明の発見は、CNS傷害後に軸索および/または樹状突起成長を調節するならびに機能を向上させる手段も提供する。軸索および/または樹状突起成長の誘導は、損傷後の機能向上を促進するであろう。軸索および/または樹状突起成長の増加の量は、そのような治療を欠く対照と比べて少なくとも測定可能な増加、例えば、少なくとも10%増加、少なくとも20%増加、少なくとも50%増加、またはそれ以上の増加を含む場合がある。一部の実施形態において、前記軸索および/または樹状突起成長は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%または60%のいずれかの%増加され得る。一部の実施形態において、前記軸索および/または樹状突起成長は、軸索成長である。一部の実施形態において、前記軸索および/または樹状突起成長は、樹状突起成長である。本発明の軸索および/または樹状突起成長阻害剤を投与した場合、軸索および/または樹状突起成長の減少は、そのような治療を欠く対照と比べて少なくとも測定可能な減少、例えば、少なくとも10%減少、少なくとも20%減少、少なくとも50%減少、またはそれ以上の減少を含む場合がある。一部の実施形態において、前記軸索および/または樹状突起成長は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%または60%のいずれかの%阻害され得る。一部の実施形態において、阻害される軸索および/または樹状突起成長は、軸索成長である。一部の実施形態において、阻害される軸索および/または樹状突起成長は、樹状突起成長である。 本明細書に記載する方法のいずれかについての一部の実施形態において、個体は、脊髄損傷の結果として軸索および/または樹状突起変性に罹患している場合がある。一部の実施形態において、前記個体は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALSまたは多発性硬化症の結果として軸索および/または樹状突起変性に罹患している。一部の実施形態において、前記個体は、黄斑変性、聴力喪失、糖尿病性神経障害、または化学療法誘発性神経障害に罹患している。一部の実施形態において、前記個体は、急性ストレス障害、広場恐怖症、解離性健忘症、神経性食欲不振症、双極性障害、身体醜形障害、短期精神病性障害、神経性過食症、転換性障害、気分循環障害、妄想性障害、離人症性障害、解離性同一性障害(DID)、性交疼痛症、気分変調性障害、男性勃起障害、全般性不安障害、性交不能症、疼痛性障害、パニック障害、恐怖症、外傷後ストレス障害、分裂感情障害、統合失調症様障害、共有精神病性障害、および物質乱用から成る群より選択される精神障害の結果として軸索および/または樹状突起変性に罹患している。 本明細書に記載するアンタゴニストは、個体における過剰なカルシウムインフラックスを特徴とする疾患を治療または予防するために使用することもできる。本発明は、トロンボスポンジンとα2δ1、α2δ2、α2δ3およびα2δ4から成る群より選択されるカルシウムサブユニットとの相互作用を遮断する薬剤の有効量をその個体に投与することを含む方法を提供する。一部の実施形態において、前記薬剤(例えば、抗体)は、トロンボスポンジンに特異的に結合する。一部の実施形態において、前記疾患は、筋痙攣、偏頭痛、脳卒中、またはパーキンソン病である。 遺伝子送達 シナプス形成を調節するための1つのアプローチは、遺伝子療法を含む。そのような方法では、ターゲッティングされた細胞にアゴニストまたはアンタゴニストを供給する手段として、本明細書に記載するアゴニストまたはアンタゴニスト、例えば少なくとも1つのトロンボスポンジンEGF様ドメインを含むペプチド、RNAi配列または抗体、をコードする配列を、中枢神経系に導入し、発現させる。BBBによって保護されているニューロンを遺伝子修飾するために、2つの一般的なカテゴリーのアプローチを用いた。一方のタイプのアプローチでは、細胞を体外で遺伝子改変し、その後、CNS内のどこかに、通常はBBB内の領域に移植する。他方のタイプのアプローチでは、遺伝子「ベクター」をCNS内の1つ以上の領域に直接注入して、BBBによって通常は保護されている細胞を遺伝子改変する。用語「トランスフェクトする」および「形質転換する」は、本明細書では交換可能に用いていることに留意しなければならない。両方の用語は、1つ以上の既存細胞に外来遺伝子(「外因性」遺伝子とも呼ばれる)を、その(それらの)外来遺伝子を発現させて対応するポリペプチドを形成する様式で、導入するプロセスを指す。 好ましいアプローチは、CNS内の遺伝子操作細胞によって、望ましいポリペプチド源をCNSに導入することを目的とする。これは、遺伝子ベクターをCNSに直接注入して、外来遺伝子を「インサイチュー」でCNSニューロン(すなわち、その遺伝子トランスフェクションまたは形質転換手順全体を通して、患者の脳または脊髄内の、それらの正常な位置に留まっているニューロン)に導入することによって達成した。 有用なベクターとしては、ウイルスの脂質エンベロープまたは表面殻(カプシドとしても公知)を使用するウイルスベクターが挙げられる。これらのベクターは、(i)一定のタイプの細胞上の1つ以上の特定の表面タンパク質に結合する、およびその後、(ii)そのウイルスのDNAまたはRNAをその細胞に注入する、ウイルスの天然の能力を真似、利用する。この要領で、ウイルスベクターは、DNAまたはRNAの遺伝子操作された鎖を、ターゲット細胞の外膜を通して、およびそれらの細胞の細胞質に、送達および輸送することができる。単純疱疹ウイルス(例えば、欧州特許453242、Breakfieldら 1996)、アデノウイルス(La Salleら 1993)およびアデノ随伴ウイルス(Kaplittら 1997)から誘導されたそのようなベクターを使用するCNSニューロンへの遺伝子移入が報告されている。 非ウイルスベクターは、当該技術分野において公知であるように、所望の遺伝子の発現に必要な転写調節要素を概して含有し、ならびに複製起点、選択マーカーおよびこれらに類するものを含む場合がある。そういうわけで、非ウイルス遺伝子ベクターは、ターゲット細胞へのその遺伝子構築物の侵入を助長することができる選択された薬剤を遺伝子発現構築物に付加させることによって作られる。幾つかの一般に用いられている薬剤としては、脂質、正の電荷を有する分子、例えばポリリシンもしくはポリエチレンイミン、および/またはターゲット細胞の表面で発現された受容体に結合するリガンドが挙げられる。この議論のために、Curiel(1997)によって記載されたDNA−アデノウイルスコンジュゲートは、非ウイルスベクターとみなす。ターゲット細胞への遺伝子発現構築物の十分な侵入を助長するために前記アデノウイルスカプシドタンパク質をその遺伝子発現構築物に付加させるからである。 カチオン性遺伝子ベクターの場合、DNA鎖は負の電荷を有し、細胞表面も負の電荷を有する。従って、正の電荷を有する薬剤は、それらを互いに引き寄せる助けとなり、ターゲット細胞へのDNAの侵入を助長することができる。正の電荷を有するとトランスフェクション剤の例としては、ポリリシン、ポリエチレンイミン(PEI)、および様々なカチオン性脂質が挙げられる。カチオン性薬剤を使用して遺伝子ベクターを作製するための基本手順は類似している。カチオン性薬剤(ポリリシン、PEI、またはカチオン性脂質製剤)の溶液を、(負の電荷を有する)DNAを含有する水溶液に適切な比率で添加する。正の電荷を有する成分と負の電荷を有する成分が互いに引きつけ合い、会合し、縮合し、分子複合体を形成する。適切な比率で作製すると、結果として生ずる複合体は、何らかの正の電荷を有し、これは、負の電荷を有するターゲット細胞表面への付着および侵入を助長するであろう。感覚ニューロンに外来遺伝子を送達するためのリポソームの使用は、Sahenkら 1993などの様々な論文に記載されている。PEI、ポリリシンおよび他のカチオン性薬剤の使用は、Liら 2000およびNabelら 1997などの論文に記載されている。 ターゲット細胞にDNAを導入するための代替戦略は、その細胞に通常侵入する分子とDNAを会合させることである。このアプローチは、米国特許第5,166,320号(Wuら 1992)において肝細胞で実証されている。このアプローチの利点は、そのタイプのターゲット細胞に選択的に取り込まれる分子とそのDNAを会合させることによって、特定のタイプの細胞にDNA送達をターゲッティングできる点である。限られた数の分子が、ニューロンへの受容体媒介エンドサイトーシスを受けることは公知である。ニューロン受容体に結合し、エンドサイトーシスを誘発してそれらをニューロンに侵入させる公知の薬剤としては、(i)破傷風毒素の非毒性フラグメントC(例えば、Knightら 1999);(ii)植物に由来する様々なレクチン、例えば、大麦レクチン(Horowitzら 1999)および小麦麦芽凝集素レクチン(Yoshiharaら 1999);ならびに(iii)一定の神経栄養因子(例えば、Bardeら 1991)が挙げられる。これらのエンドサイトーシス剤の少なくとも一部は、ニューロン内での「逆行性」軸索輸送を受ける。この文脈における用語「逆行性」は、これらの分子が、細胞プロセスによって、ニューロンの先端(または「末端」)から、軸索または樹状突起に沿って、核が位置する細胞本体のほうに、そしてその中へと能動的に輸送されることを意味する。この移動方向は、細胞内での大部分の代謝産物(細胞体によって合成されるタンパク質、それらのタンパク質によって合成される神経伝達物質、などを含む)の正常な外向き(順行性)移動とは反対方向に行くので、「逆行」と呼ばれる。 投与方法および投薬量 従って、前記化合物(本明細書に記載するアゴニストおよびアンタゴニストを含む)の投与は、経口、口腔内、直腸内、非経口、腹腔内、皮内、経皮、髄腔内、経鼻、鼻腔内、局所、静脈内、動脈内、筋肉内、皮下、真皮下、頭蓋内、眼科的(例えば、局所、注射(例えば、結膜下、テノン嚢下、硝子体内、など)、もしくは内植)または髄腔内投与をはじめとする様々な方法で遂行することができる。前記活性薬剤は、投与後、全身性である場合もあり、または局所投与、壁内投与の使用、もしくは内植位置に活性用量を保持するように作用するインプラントの使用により、局在する場合もある。 本発明の組成物は、任意の医学的に適切な手順、例えば、血管内(静脈内、動脈内、毛細血管内)投与、脳脊髄液への注射、脳における腔内または直接注射を用いて投与することができる。髄腔内投与は、公知の技術(F.Balisら,Am J.Pediatr.Hematol.Oncol.11,74,76(1989))に従って、オンマイヤ貯留槽の使用によって行うことができる。 血液脳関門(BBB)を通しての薬物到達の1つの戦略は、マンニトールもしくはロイコトリエンなどの浸透圧手段、または生物化学的に、ブラジキニンなどの血管作用物質の使用、いずれかによるBBBの破壊を必要とする。特定の薬剤を対象にするBBB開通を用いる可能性も選択肢である。本組成物を血管内注射によって投与する場合、BBB破壊剤を本発明の治療用組成物と併用投与することができる。BBBを通過させる他の戦略は、担体媒介輸送体、例えばグルコースおよびアミノ酸担体、インスリンまたはトランスフェリンのための受容体媒介トランスサイトーシス、ならびに能動排出輸送体、例えばp−糖タンパク質をはじめとする、内因性輸送系の使用を必要とし得る。本発明において使用するための治療用またはイメージング化合物に能動輸送部分をコンジュゲートして、血管の上皮壁を横断する輸送を助長することもできる。あるいは、BBB後方への薬物送達は、オンマイヤ貯留槽によるような直接的な頭蓋への治療またはイメージング剤の髄腔内送達による。 治療薬を脳内に局所投与する場合、本発明の治療用組成物の1つの投与方法は、任意の適する技術による、例えば、直接注射(必要な場合には、注射器の定位ポジショニングによって補助する)による、または投与のためにオンマイヤ貯留槽の先端を腔、すなわち嚢胞、内に配置することにより、その部位にまたはその部位の付近に堆積させることによるものである。あるいは、対流増加送達カテーテルを、直接その部位に、自然なもしくは外科手術によって作られた嚢胞に、または正常な脳塊に内植することができる。そのような対流増加医薬組成物送達は、脳塊全体にわたる組成物の拡散を大きく向上させる。これらの送達器具の内植カテーテルは、拡散流ではなく(約0.5から15.0μL/分の範囲の流量での)高流量微量注射を利用して、治療用組成物を脳および/または腫瘍塊に送達する。そのような器具は、参照により本明細書に完全に援用されている、米国特許第5,720,720号に記載されている。 本明細書に記載する治療方法および投与方法についての一部の実施形態において、前記方法は、シナプスの形成を促進する薬剤の有効量を投与することを含む。本明細書に記載する治療方法および投与方法についての一部の実施形態において、前記方法は、シナプスの形成を阻害する薬剤の有効量を投与すること含む。本明細書に記載する治療方法および投与方法についての一部の実施形態において、前記方法は、軸索および/または成長を促進する薬剤の有効量を投与することを含む。本明細書に記載する治療方法および投与方法についての一部の実施形態において、前記方法は、軸索および/または樹状突起成長を阻害する薬剤の有効量を投与することを含む。一部の実施形態において、前記薬剤は、アンタゴニストである。一部の実施形態において、前記薬剤は、アゴニストである。 本明細書に記載する治療方法および投与方法についての一部の実施形態において、前記方法は、本明細書に記載する1つ以上の調節剤(例えば、2つの調節剤(例えば、アンタゴニストおよびアゴニスト))を投与することを含む。一部の実施形態において、前記方法は、(a)軸索および/または樹状突起成長を促進する第一の薬剤の有効量を投与すること、および(b)シナプスの形成を促進する第二の薬剤の有効量を投与することを含む。一部の実施形態において、前記第一の薬剤は、トロンボスポンジンおよび/またはカルシウムチャネルのα2δサブユニットのアンタゴニストである。一部の実施形態において、前記第二の薬剤は、トロンボスポンジンのアゴニストである。一部の実施形態において、前記第一の薬剤および第二の薬剤は、逐次的に投与される。一部の実施形態において、前記第一の薬剤および第二の薬剤は、別々に投与される。一部の実施形態において、前記第一の薬剤は、第二の薬剤の前、約1、2、3、4、5、6、7、8、9または10日未満のいずれかに投与される。一部の実施形態において、前記第二の薬剤は、第一の薬剤の後、約1、3、6、9、12、18、24時間未満のいずれかに投与される。 本発明のアゴニストおよび/またはアンタゴニストを含む本明細書に記載する治療方法および投与方法は、シナプス形成および/または軸索成長を調節し、その上、一切の副作用を最小にする投与量で施与される。組成物は、インビボ使用についての医師のガイドラインのもとで得られ、使用されると考えられる。治療調合物の投薬量は、疾病の性質、投与頻度、投与様式、宿主からの薬剤のクリアランス、およびこれらに類するものに依存して幅広く変わるであろう。 前記医薬組成物は、予防的および/または治療的処置のために投与することができる。活性成分の毒性および治療効力は、例えば、LD50(集団の50%にとって致死的な用量)およびED50(集団の50%において治療上有効な量)を投与することを含む、細胞培養物および/または実験動物における標準的な手順に従って判定することができる。毒性効果と治療効果の間の用量比が治療係数であり、それは、LD50/ED50として表すことができる。大きな治療係数を示す化合物が好ましい。 細胞培養および/または動物研究から得られるデータは、人間のための投薬量範囲の公式化に用いることができる。活性成分の投薬量は、概して、低い毒性を有するED50を含む循環濃度の範囲内である。前記投薬量は、用いられる剤形および用いられる投与経路に依存して、この範囲内で変わる場合がある。 特定の患者に与えるための本明細書に記載する治療用組成物の有効量は、様々な要因に依存し、それらの要因の幾つかは、患者によって異なるであろう。前記薬剤の投薬量は、治療、投与経路、療法の性質、療法に対する患者の感度、などに依存するであろう。LD50動物データ、および他の情報を利用することにより、臨床家は、投与経路に依存して個体のための最大安全用量を決定することができる。通常の技術を用いて、有能な臨床家は、常例的な臨床試験の過程で特定の治療用組成物の投薬量を最適化することができるであろう。前記組成物は、1回より多くの一連の投与で被験者に投与することができる。治療用組成物についての規則正しい定期的な投与が、時として必要とされることとなる、または望ましいことがある。治療レジメンは、薬剤によって変わるであろう。例えば、一部の薬剤は、1日1回または1日2回ベースで長期間にわたって服用することができ、その一方で、より選択的な薬剤は、1日1回、1日2回、1週間に2回、1週間に1回などの摂取で、より限定された時間経過、例えば、1、2、3日以上、1週間以上、1ヶ月以上、などにわたって投与することができる。 医薬的に許容される組成物および調合物 治療薬、例えば、アゴニストまたはアンタゴニストを、適切な医薬的に許容される担体または希釈剤との併用により、治療的投与のための様々な調合物に添合することができ、ならびに固体、半固体、液体または気体形態の製剤、例えば、錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル、マイクロスフェアおよびエーロゾルに調合することができる。医薬組成物は、所望される調合に依存して、医薬的に許容される非毒性担体または希釈剤を含む場合があり、前記担体または希釈剤は、動物または人間に投与するための医薬組成物の調合に一般に用いられるビヒクルと定義する。前記希釈剤は、併用物の生物活性に影響を及ぼさないように選択される。そのような希釈剤の例は、蒸留水、緩衝水、生理食塩水、PBS、リンガー溶液、デキストロース溶液、およびハンクス溶液である。加えて、前記医薬組成物または調合物は、他の担体、アジュバント、または非毒性、非治療用、非免疫原性安定剤、賦形剤およびこれらに類するものを含む場合がある。前記組成物は、生理条件に近づけるための追加の物質、例えば、pH調整および緩衝剤、毒性調整剤、湿潤剤および界面活性剤も含む場合がある。 前記組成物は、例えば抗酸化物質などの任意の様々な安定剤も含む場合がある。前記医薬組成物がポリペプチドを含むとき、そのポリペプチドは、そのポリペプチドのインビボ安定性を向上させる、またはその薬理特性を別様に向上させる(例えば、そのポリペプチドの半減期を増加させる、その毒性を減少させる、溶解度または取込みを向上させる)、様々な周知の化合物と複合させることができる。そのような修飾または複合体形成剤の例としては、硫酸塩、グルコン酸塩、クエン酸塩およびリン酸塩が挙げられる。組成物のポリペプチドを、それらのインビボ特性を向上させる分子と複合させることもできる。そのような分子としては、例えば、炭水化物、ポリアミン、アミノ酸、他のペプチド、イオン(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン)、および脂質が挙げられる。 様々なタイプの投与に適する調合物に関するさらなるガイドラインは、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mace Publishing Company,Philadelphia,PA,17th ed.(1985)において見つけることができる。薬物送達法の簡単な論評については、Langer,Science 249:1527−1533(1990)を参照のこと。 経口投与については、活性薬剤を固体剤形、例えばカプセル、錠剤および粉末で、または液体剤形、例えばエリキシル、シロップおよび懸濁液で、投与することができる。前記活性成分(単数または複数)を、不活性成分および粉末担体、例えばグルコール、ラクトース、スクロール、マンニトール、デンプン、セルロースもしくはセルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、サッカリンナトリウム、滑石、炭酸マグネシウム、と一緒にゼラチンカプセルにカプセル封入することができる。望ましい色、味、安定性、緩衝能力、分散または他の公知の望ましい特徴をもたらすために添加することができる追加の不活性成分の例は、酸化第二鉄、シリカゲル、ラウリル硫酸ナトリウム、二酸化チタン、および食用白色インクである。同様の希釈剤を使用して、圧縮錠剤を作ることができる。錠剤とカプセルは、両方とも、数時間にわたる期間の薬物の継続的放出に備える徐放性製品として製造することができる。一切の望ましくない味を隠蔽するためおよびその錠剤を大気から保護するために糖衣またはフィルムコーティングを、または胃腸管での選択的崩壊のために腸溶コーティングを、圧縮錠剤に施すことができる。経口投与のための液体剤形は、患者の許容度を増すために着色剤および着香剤を含有する場合がある。 非経口投与に適する調合物としては、水性および非水性、等張性滅菌注射溶液(これらは、抗酸化物質、緩衝剤、静菌剤、およびその調合物を所定のレシピエントの血液と等張性にする溶質を含有する場合がある)ならびに水性および非水性滅菌懸濁液(これらは、懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定剤、および保存薬を含む場合がある)が挙げられる。 前記医薬組成物を調合するために使用される成分は、好ましくは、高純度のものであり、潜在的に有害な不純物が実質的にない(例えば、少なくともNational Food(NF)グレード、一般には少なくとも分析グレード、およびさらに典型的には少なくとも医薬品グレード)。さらに、インビボ使用のための組成物は、通常、無菌である。所与の化合物を使用前に合成しなければならないほどに、結果として得られる製品には、一般に、合成または精製プロセス中に存在し得るいずれの潜在的に毒性の薬剤も、特に、いずれのエンドトキシンも実施的に無い。非経口投与のための組成物も無菌であり、実質的に等張性であり、およびGMP条件下で作られる。 配合物を、脳内での保持および安定化について最適化することができる。前記薬剤を頭蓋区画に投与する場合、前記薬物が前記区画内に保持され、拡散しないまたは別様に血液脳関門を横断しないことが望ましい。安定化方法としては、分子量の増加を達成するための架橋、多量体化、または基、例えばポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、中性タンパク質担体など、への連結が挙げられる。 保持率を増加させる他の戦略としては、生体分解性または生体侵食性インプラントへの前記薬剤の捕捉が挙げられる。治療活性薬剤の放出速度は、ポリマーマトリックスを通しての輸送の速度、およびそのインプラントの生体分解速度によって制御される。前記ポリマーバリヤを通しての薬物の輸送は、化合物の溶解度、ポリマーの疎水性、ポリマーの架橋程度、薬物をより透過性にするような水吸収時のポリマーの膨張、インプラントの幾何形状、およびこれらに類するものによる影響も受けるであろう。前記インプラントは、内植部位として選択された領域の寸法および形状に見合った寸法のものである。インプラントは、粒子、シート、パッチ、プラック、繊維、マイクロカプセルおよびこれらに類するものであり得、ならびに選択された挿入部位に適合している任意のサイズまたは形状のものであり得る。 前記インプラントは、一体式である、すなわち、ポリマーマトリックス中に均一に分布された、または封入された、活性薬剤を有することがあり、この場合、活性薬剤のレザバーはそのポリマーマトリックスによって封入されている。用いられるポリマー組成物の選択は、投与部位、所望される治療期間、患者の許容度、治療する疾病の性質、およびこれらに類するものによって変わるであろう。前記ポリマーの特性としては、内植部位での生体分解性、対象となる薬剤との相溶性、封入の容易さ、その生理環境での半減期が挙げられるであろう。 利用することができる生体分解性ポリマー組成物は、分解されたときにモノマーをはじめとする生理的に許容される分解生成物を生じる結果となる有機エステルまたはエーテルであり得る。無水物、アミド、オルトエステルまたは同様のものを単独で、または他のモノマーと併用で使用することができる。前記ポリマーは、縮合ポリマーであろう。前記ポリマーは、架橋されている場合もあり、または架橋されていない場合もある。特に興味深いものは、ヒドロキシ脂肪族カルボン酸のポリマー、ホモポリマーまたはコポリマーのいずれか、および多糖類である。興味深いポリエステルには、D−乳酸、L−乳酸、ラセミ乳酸、グリコール酸、ポリカプロラクトン、およびそれらの組み合わせが含まれる。L−乳酸塩またはD−乳酸塩を利用することによってポリマーの遅い生体分解が達成されるが、ラセミ化合物を用いると分解は実質的に増進される。グリコール酸と乳酸のコポリマーは特に興味深く、この場合、生体分解速度は、グリコール酸の乳酸に対する比率によって制御される。最も急速に分解するポリマーは、ほぼ等量のグリコール酸と乳酸を有し、この場合、いずれかのホモポリマーのほうが分解に対して耐性である。グリコール酸の乳酸に対する比率は、インプラントの脆性にも影響を及ぼすこととなり、幾何形状が大きいほど、可撓性の高いインプラントが望ましい。興味深い多糖類には、アルギン酸カルシウム、および水不溶性であること、約5kDから500kDの分子量などを特徴とする官能化セルロース、特にカルボキシメチルセルロースなどがある。生体分解性ヒドロゲルも本発明のインプラントに利用することができる。概して、ヒドロゲルは、液体を吸収する能力を特徴とするコポリマー材料である。利用することができる例示的生体分解性ヒドロゲルは、Heller in:Hydrogels in Medicine and Pharmacy,N.A.Peppes ed.,Vol.III,CRC Press,Boca Raton,Fla.,1987,pp 137−147に記載されている。 製品およびキット 本発明は、本明細書に記載する治療方法および投与方法での使用のための適するパッケージングでの本明細書に記載の組成物、調合物および単位投薬量を含む製品を提供する。本明細書に記載する組成物のための適するパッケージングは、当該技術分野において公知であり、例えば、バイアル(例えば、密封バイアル)、容器(例えば、密封容器)、アンプル、ビン、ジャー、軟質パッケージング(例えば、密封マイラーまたはプラスチックバッグ)、およびこれらに類するものが挙げられる。これらの製品をさらに滅菌および/または密封することができる。 本発明は、本発明の医薬組成物の成分の1つ以上を充填した1つ以上の容器を含む医薬品パックまたはキットも提供する。そのような容器(単数または複数)には、医薬品または生物学的製剤の製造、使用または販売を規制する政府機関による規定された形式で、人間への投与のための製造、使用または販売に関する前記機関による認可を示す注意書きが付随する場合がある。 本発明のキットに補充される説示は、概して、ラベルまたは添付文書(例えば、そのキットに含まれた紙のシート)に書かれた説示であるが、機械で読取ることができる説示(例えば、磁気または光記憶ディスクに収容された説示)も容認され得る。ナノ粒子組成物の使用に関する説示は、所期の治療のための投薬量、投薬スケジュールおよび投与経路に関する情報を含む。本キットは、治療に適する個体を選択する説明書をさらに含む場合がある。 本発明は、本明細書に記載する組成物(または単位投薬量形態および/または製品)を含むキットをさらに提供し、ならびに本明細書にいおてさらに説明する使用などの本組成物の使用の方法に関する説示(単数または複数)をさらに含む場合がある。一部の実施形態において、本発明のキットは、上で説明したパッケージングを含む。他の実施形態において、本発明のキットは、上で説明したパッケージング、および緩衝剤を含む第二のパッケージングを含む。他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、注射器、および本明細書に記載するいずれかの方法を行うための説示を伴う添付書類をはじめとする、商業的および使用者の見地から望ましい他の材料をさらに含む場合もある。 スクリーニングのための方法 本発明の一部の態様において、本発明は、シナプス形成の増進に関する活性について候補薬物をスクリーニングするための方法を提供し、この方法は、a)α2δポリペプチド(例えば、α2δ1ポリペプチド)またはトロンボスポンジンEGF様ドメインへの候補薬物の結合を測定する段階;b)段階a)において候補薬物がα2δポリペプチド(例えば、α2δ1ポリペプチド)またはトロンボスポンジンEGF様ドメインに結合した場合、その候補薬物の存在下での神経細胞培養におけるシナプスの形成を定量する段階、を含み、この場合、その候補薬剤の不在下でのシナプスの形成と比較してその候補薬剤の存在下でのシナプスの形成増加は、その候補薬剤がシナプス形成の増進に関する活性を有することを示す。本発明は、シナプス形成の阻害に関する活性について候補薬剤をスクリーニングするための方法も提供し、この方法は、a)α2δポリペプチド(例えば、α2δ1ポリペプチド)またはトロンボスポンジンEGF様ドメインへの候補薬物の結合を測定する段階;b)段階a)において候補薬物がα2δポリペプチド(例えば、α2δ1ポリペプチド)またはトロンボスポンジンEGF様ドメインに結合した場合、その候補薬物の存在下での神経細胞培養におけるシナプスの形成を定量する段階、を含み、この場合、その候補薬剤の不在下でのシナプスの形成と比較してその候補薬剤の存在下でのシナプスの形成減少は、その候補薬剤がシナプス形成の阻害に関する活性を有することを示す。 候補薬剤を、シナプス形成を調節するその能力についてスクリーニングし、前記薬剤としては、候補トロンボスポンジン誘導体、変異体、フラグメント、模倣体、アゴニストおよびアンタゴニスト、ならびに/またはGABA類似体および模倣体を挙げることができる。対象となる薬剤を、カルシウムチャネルサブユニットα2δ(例えば、サブユニットα2δ1)、および/または少なくとも1つのトロンボスポンジンEGF様ドメインを含むポリペプチドと対照してスクリーニングすることができる。そのような化合物スクリーニングは、インビトロモデル、ポリペプチドを発現する細胞(遺伝子改変細胞または動物を含む)、または精製タンパク質を使用して行うことができる。多種多様なアッセイをこのために用いることができる。1つの実施形態では、シナプス形成のアンタゴニストまたはアゴニストであると予測される化合物を、最初に、カルシウムチャネルサブユニットα2δ(例えば、カルシウムチャネルサブユニットα2δ1)への結合について、またはトロンボスポンジンEGF様ドメインとの相互作用について試験する。その後、それらの化合物を生物学的モデル、例えば、下で説明するようなインビトロ培養系、動物モデル、などにおいて機能活性についてさらに試験することができる。 例えば、公知の薬理学によって、構造分析によって、コンピューターベースのモデリングを用いる合理的薬剤設計により、結合アッセイにより、およびこれらに類するものにより、候補薬剤を同定することができる。様々なインビトロモデルを使用して、化合物がトロンボスポンジン活性に結合するかどうか、または別様に影響を及ぼすかどうかを判定することができる。そのような候補化合物を使用して、シナプス形成を許容する環境でニューロンを接触させる。そのような化合物をインビトロモデルにおいてシナプス形成増進についてさらに試験することができる。 シナプス形成は、候補薬剤を培養中のニューロンに投与すること、およびその薬剤の不在下または存在下でシナプスの存在を判定することによって、定量することができる。本発明の1つの実施形態において、前記ニューロンは、例えばRGCの、初代培養物である。精製されたRGC集団は、逐次的イムノパンニングなどの従来の方法によって得られる。適切な成長因子、例えば、CNTF、BDNFなどを通常は含むであろう適切な培地で、それらの細胞を培養する。陽性対照として、可溶性トロンボスポンジン、例えば、TSP1、TSP2などを一定のウエルに添加してもよい。頑丈な突起の成長を可能ならしめる十分な期間、神経細胞、例えばRGCを培養し、その後、約1日から1週間の期間、候補薬剤と共に培養して、シナプスを形成させる。シナプス定量のために、培養物を固定し、ブロックし、洗浄し、その後、シナプスタンパク質に特異的な抗体、例えばシナプトタグミンなどで染色し、当該技術分野において公知であるような適切な試薬で可視化する。染色の分析は、顕微鏡によって行うことができる。1つの実施形態では、カメラおよび画像キャプチャソフトウェアを用いて、ピクセル値範囲の不使用部分を除去するように蛍光放射のデジタル画像を調整し、使用するピクセル値を調整して全ピクセル値範囲を利用する。対応するチャネル画像をマージして、個々のカラーチャネルとして2つの単一チャネル画像を含むカラー(RGB)画像を作ることができる。ローリングボール背景差分処理アルゴリズムを用いてそれぞれの画像チャネルから低頻度背景を除去することにより、共局在する点を同定することができる。画像中のすべてのシナプトタグミン、PSD−95および共局在点についての数、平均面積、平均最小および最大ピクセル強度ならびに平均ピクセル強度を記録し、分析のためにディスクに保存する。 一部の実施形態において、候補薬剤は非常に多くの化学クラスを包含するが、概して、それらは、有機分子、好ましくは、50ダルトンより大きく、約2,500ダルトン未満の分子量を有する小さな有機化合物である。候補薬剤は、タンパク質との構造的相互作用、特に水素結合、に必要な官能基を含み、および概して、少なくともアミン、カルボニル、ヒドロキシルまたはカルボキシル基を含み、好ましくは前記化学官能基の少なくとも2つを含む。多くの場合、前記候補薬剤は、上の官能基のうちの1つ以上で置換されている、環状炭素もしくは複素環式構造および/または芳香族もしくは多環芳香族構造を含む。候補薬剤は、ペプチド、糖類、脂肪酸、ステロイド、プリン、ピリミジン、それらの誘導体、構造類似体または組み合わせを含む生体分子の中にも見出すことができる。一般に、多数のアッセイ混合物を異なる薬剤濃度で並行して処理して、様々な濃度に対する差分応答を得る。概して、これらの濃度のうちの1つは、陰性対照として、すなわちゼロ濃度でまたは検出レベル未満で、役立つ。 候補薬剤は、合成または天然化合物のライブラリーをはじめとする様々な源から得られる。例えば、ランダム化されたオリゴヌクレオチドおよびオリゴペプチドの発現をはじめとする非常に多くの手段を、多種多様な有機化合物および生体分子のランダムおよび定方向合成に利用することができる。あるいは、細菌、真菌、植物および動物抽出物の形態の天然化合物のライブラリーを利用することができ、またはそれらは容易に生産される。加えて、天然または合成生産ライブラリーおよび化合物は、従来の化学的、物理的および生化学的手段によって容易に修飾され、ならびにコンビナトリアルライブラリーを作るために使用することができる。公知の薬物を定方向またはランダム化学修飾、例えばアシル化、アルキル化、エステル化、アミド化などに付して、構造類似体を生成することができる。例えば天然産物ライブラリーまたはコンビナトリアルライブラリーなどのライブラリーから試験薬剤を得ることができる。 候補化合物のライブラリーを合理的設計によって得ることもできる。(一般に、Choら,Pac.Symp.Biocompat.305−16,1998);Sunら,J.Comput.Aided Mol.Des.12:597−604,1998)参照;それぞれ、それら全体が参照により本明細書に援用されている)。例えば、ホスファターゼ阻害剤のライブラリーをコンビナトリアル・ケミカル・ライブラリーの合成によって調製することができる(一般に、DeWittら,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 90:6909−13,1993;国際特許広報WO 94/08051;Baum,Chem.& Eng.News 72:20−25,1994;Burbaumら,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 92:6027−31,1995;Baldwinら,J.Am.Chem.Soc.117:5588−89,1995;Nestlerら,J.Org.Chem.59:4723−24,1994;Borehardtら,J.Am.Chem.Soc.116:373−74,1994;Ohlmeyerら,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 90:10922−26参照、これらのすべてはそれら全体が参照により本明細書に援用されている)。 「コンビナトリアルライブラリー」は、そのコレクションを構成する化合物が1つ以上のタイプのサブユニットから成る、化合物のコレクションである。コンビナトリアルライブラリーを作る方法は、当該技術分野において公知であり、次のものを含む:米国特許第5,958,792号、同第5,807,683号、同第6,004,617号、同第6,077,954号(これらは、参照により本明細書に援用されている)。前記サブユニットは、天然または非天然部分から選択することができる。コンビナトリアルライブラリーの化合物は、それらの化合物を構成するサブユニットの1つ以上に対して行われた修飾の数、順序、タイプ(単数または複数)に関して1つ以上の点で異なる。あるいは、コンビナトリアルライブラリーは、それらが含有するR基の数、タイプもしくは位置および/またはそのコア分子を構成する分子の同一性に関して異なる、「コア分子」のコレクションを指すことがある。化合物のコレクションは、系統的な方法で生成される。上で述べた点の1つ以上が互いに異なる化合物のコレクションを系統的に生成するいずれの方法も、コンビナトリアルライブラリーである。 コンビナトリアルライブラリーは、1つ以上の固相結合樹脂出発原料から固体支持体上で合成することができる。前記ライブラリーは、互いに異なる五(5)つ以上、好ましくは十(10)以上の有機分子を含有し得る。異なる分子のそれぞれが検出可能な量で存在する。その存在を判定できるために必要とされるそれぞれの異なる分子の実際の量は、用いられる実際の手順のために異なることがあり、ならびに単離、検出および分析のための技術が進歩するにつれて変わることがある。分子が実質的に等モル量で存在する場合、100ピコモル以上の量を検出することができる。好ましいライブラリーは、実質的に等モル量のそれぞれの所望の反応生成物を含み、および相対的に大きなまたは小さな量のいずれの所与の分子も、そのような分子の存在がいずれのアッセイにおいても優位を占めるまた完全に削除されるようには含まない。 コンビナトリアルライブラリーは、一般に、固相支持体(例えばビーズ)上で出発化合物を誘導体化することによって作製される。一般に、前記固体支持体は、取り付けられた市販の樹脂、例えばリンクまたはメリフィールド樹脂、を有する。出発化合物を取り付けた後、置換基をその出発化合物に取り付ける。置換基を出発化合物に添加し、また、置換基を、それらの置換基を含む反応体の混合物を供給することによって、変えることができる。適する置換基の例としては、炭化水素置換基、例えば、脂肪族、環式脂肪族置換基、芳香族、脂肪族および環式脂肪族置換芳香族核、およびこれらに類するもの、ならびに環式置換基;置換されている炭化水素置換基、すなわち、主要炭化水素置換基を変えない非炭化水素ラジカル(例えば、ハロ(特に、クロロおよびフルオロ)、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、スルホキシおよびこれらに類するもの)を含有する置換基;ならびにヘテロ置換基、すなわち、主としてヒドロカルビル特性を有するが炭素以外の原子を含有する置換基、が挙げられるが、これらに限定されない。適するヘテロ原子としては、例えば、硫黄、酸素、窒素、ならびにピリジル、フラニル、チオフェニル、イミダゾリルおよびこれらに類するものなどの置換基が挙げられる。炭化水素系置換基中のそれぞれの炭素原子についてヘテロ原子、および概して1個以下のヘテロ原子、が存在する場合がある。あるいは、炭化水素系置換基中にそのようなラジカルまたはヘテロ原子が無い場合もあり、従って、前記置換基は、純粋に炭化水素である場合がある。 任意のスクリーニング法によって最初に同定される化合物をさらに試験して、見かけの活性を確認することができる。そのような方法の基本形式は、初期スクリーニング中に同定されたリード化合物を、人間のためのモデルとしての役割を果たす動物に投与すること、およびその後、シナプス形成に対する効果を判定することを含む。確認調査に利用する動物モデルは、一般に、哺乳動物である。適する動物の具体的な例としては、霊長類、マウスおよびラットが挙げられるが、これらに限定されない。 以下の実施例は、本発明を製造および使用するための方法についての完全な開示および説明を通常の当業者に提供するために提出するものであり、本発明とみなされるものの範囲を限定するためのものではない。用いた数値(例えば、量、温度、濃度など)に関して正確さを確保するように努力したが、多少の実験誤差および偏差を見込まなければならない。別の指示が無い限り、部は、重量部であり、分子量は、平均分子量であり、温度は、摂氏度でのものであり;および圧力は、大気圧でのまたは大気圧付近のものである。 実施例1 培養でのCNSニューロン間のシナプスの数は、星状膠細胞によって分泌される可溶性シグナルによって大いに増加され、ここでは、それらを、星状膠細胞調整培地のシナプス促進活性の必要且つ十分な成分である、トロンボスポンジン(TSP)として同定する。TSPは、シナプス前活性であるがシナプス後不活性である、超微細構造的に正常なシナプスを誘導する。インビボで、TSPは、発達中の脳の至る所で星状膠細胞およびシナプスに濃縮され、TSP1とそのオルトログTSP2の両方が欠如したマウスは、シナプス数の有意な減少を有する。 TSPは、ずらりと並んだ膜受容体、他の細胞外基質タンパク質、およびサイトカインを結合することによって細胞−細胞および細胞−基質相互作用を媒介する大きなオリゴマー細胞外基質タンパク質、約500kD、である。5つのTSPがあり、それぞれ、別の遺伝子のよってコードされる。幾つかのTSPは脳で発現されるが、これらのTSPの機能は不明である。TSP1およびTSP2は、構造および機能ドメインの同じセットを共有する密接に関連した三量体タンパク質である。五量体であり、TSP1およびTSP2とは異なるドメイン構造を有するTSP4は、成体の神経系に存在し、そこで、それは、一部のCNSシナプスならびに神経筋接合部に局在する。 5つTSPアイソフォームすべてが、共通のEGF様ドメインを共有する結果として強力なシナプス誘導活性を有する。このドメインを用いて、本発明者らは、TSPが、これまでにシナプスの形成に関係づけられていない、広範に発現される膜貫通型ニューロン細胞表面分子、カルシウムチャネルサブユニット・アルファ2デルタ1、との新規相互作用によってシナプスの形成を誘導することを確認した。 抗てんかん薬および抗神経因性疼痛薬として用いられているガバペンチンがこの受容体に結合することは以前に証明されているが、その作用メカニズムは長きにわたって謎である。本発明者らは、培養でのガバペンチンがトロンボスポンジンまたはそのドメインのシナプス形成活性を特異的に阻害できることを証明した。この作用は、トロンボスポンジンに特異的である。ガバペンチンは、別の星状膠細胞分泌シナプス形成性タンパク質ヘビン(Hevin)によって誘導されるシナプスの形成を阻害しないからである。 図1Aに示すように、すべてのTSPは、細胞表面および細胞外基質環境で機能する細胞外多量体、マルチドメイン、カルシウム結合糖タンパク質である。トロンボスポンジン遺伝子ファミリーは、2つのサブグループに分けられる。サブグループAトロンボスポンジンは、TSP1および2を含み、これらは、三量体であり、およびより大きなN末端ドメイン(黒い長円形)を有し、および3つの追加のプロパージン様リピート(長方形)を有する。サブグループB TSPは、五量体であり、およびプロパージン様リピートを欠く。 以前に、サブグループA TSP1および2がシナプス形成性であることは証明されている(Christophersonら Cell,2005)。ここでは、五量体サブグループBトロンボスポンジンもシナプス形成性であることを証明する。シナプス前シナプトタグミンおよびシナプス後PSD−95の共局在についてのRGCの免疫染色は、星状膠細胞の不在下では共局在するシナプス点を殆ど示さなかった(B)が、星状膠細胞の供給層の存在下では多くの共局在するシナプス点を見つけられた(図1C)。 TSP3過発現ベクター(図1D)でまたは精製TSP4(図1E)またはTSP5(図1F)でトランスフェクトされたCOS7細胞からの調整培地でのRGC培養物は、多くのシナプスを形成し、これらは、共局在するシナプス前および後の点として観察される。シナプス点に対する星状膠細胞およびTSPの効果の定量を図1Gに示す。星状膠細胞とTSP1、TSP4またはTSP5の両方が、RGC単独(対照)より共局在するシナプス点の数/細胞を有意に増加させた。TSP3過発現ベクターでトランスフェクトされたCOS7細胞からの調整培地でのRGCの培養が、空ベクターでトランスフェクトされたCOS7細胞からの調整培地で培養したRGC(対照)と比較したとき、共局在するシナプス点の数/細胞を有意に増加させたことを図1Hに示す(*p<0.05、n=20、エラーバーはSEM値を示す)。 トロンボスポンジンドメイン構造を図2Aに示す。TSP1および2は、ヘパリン結合N末端ドメイン(C)、プロコラーゲン(PC)との相同性を有するリンカー、3つのTSP−タイプ−1(プロパージン)リピート、3つのEGF様(TSP−タイプ−2)リピート、7つのTSPタイプ−3(カルシウム結合)リピート、および細胞結合カルボキシル末端ドメイン(C)から成る。 インビトロでRGCによって形成されるシナプスの数に対するTSP1(B)およびTSP2(C)ドメインの効果の定量を図2Bに示す。星状膠細胞および精製されたTSP1(三量体−8nM)は、単独で培養したRGCと比較したとき、RGCによって形成されるシナプスの数を有意に増加させた。興味深いことに、EGF様リピート(青色)を含有するTSP1トランケーション構築物(単量体−20nM)も、シナプス数を有意に増加させることができた。 同様に、TSP2のEGF様ドメインを含有する精製組換えTSP2ドメイン(単量体−20nM)が、単独で培養したRGCと比較したとき、RGCによって形成されるシナプスの数を有意に増加させたことを図2Cに示す。興味深いことに、TSP2のC末端と共に第三EGF様ドメインのみを含有する構築物もシナプス形成性であった。しかし、第三EGF様リピート(青)単独では、シナプス数を有意に増加させなかった(図2D、E)。TSPのEGF様リピートに対する抗体は、それらのシナプス形成効果を遮断することができる。星状膠細胞と共に培養したRGC、または3つのEGF様ドメインを有する第三プロパージンリピート(この事実に基づいてEGF様ドメインと呼ぶこととする)を含有する組換えTSP1(図2D)もしくはTSP2(図2E)トランケーション構築物と共に培養したRGCは、単独で培養したRGCと比較したとき、より多くのシナプスシナプスを形成した。 興味深いことに、TSPの第三EGF様ドメインに結合するモノクローナル抗体A4.1(Neomakers)は、TSP1シナプス形成性構築物とTSP2シナプス形成構築物の両方のシナプス形成効果を遮断した。TSPの第二のEGF様リピートに結合するもう1つのモノクローナル抗体C6.7(Neomakers)は、TSP1構築物のシナプス形成機能に影響を及ぼさなかったが、シナプス形成性TSP2ドメインを遮断することができた。これらのデータは、TSPのシナプス形成効果が、TSPのEGF様リピートによって媒介されること、および第三EGF様ドメインにマッピングされる相互作用によって媒介される可能性が最も高いことを示している。(*p<0.05、n=20、エラーバーはSEM値を示す)。 図3Aは、シナプス前シナプトタグミンとシナプス後PSD−95の共局在についてのRGCの免疫染色が、単独で培養したときには共局在するシナプス点を殆ど示さなかったが、精製TSP1または組換えTSP2 EGF様ドメインの存在下では多くの共局在するシナプス点を示したことを示している。 ガバペンチン(GBP、32μM)、カルシウムチャネルサブユニット・アルファ2デルタに結合する薬物、は、図3Bに示すように、TSP1またはTSP2 EGF様ドメインのシナプス形成効果を遮断した。図3C、TSP誘導シナプス形成に対するガバペンチンの効果の定量。TSP1またはTSP2 EGF様ドメインへのガバペンチン(32μM)の添加は、RGCによって形成されるシナプスの数を下はバックグラウンドレベルに至るまで減少させる。図3D、ガバペンチンは、星状膠細胞調整培地(ACM)のシナプス形成効果を遮断する。ラットまたはマウスACMの存在下で培養したRGCは、単独で培養したRGCと比較したとき、5〜10倍多い数のシナプスを形成した。ガバペンチン(32μM)の添加は、ラットACMとマウスACMの両方のシナプス形成効果を減少させた。 図3E。ガバペンチンは、新たなシナプスの形成を阻止するが、既に形成されたシナプス、または別のシナプス形成性タンパク質ヘビンによって形成されるシナプスを破壊することはできない。3つのDIV RGCを、精製組換えTSP2 EGF様ドメイン(20μM)またはヘビン(30nM)で9日間、インビトロで処理した。EGF様ドメインとヘビンの両方が、単独で培養したRGCと比較したとき、形成されるシナプスの数を有意に増加させた。(C)と同様に、EGF様ドメインと共にガバペンチン(GBP)を添加することにより、そのシナプス形成効果は減少された。しかし、さらに3日間、第6日におけるEGF様ドメインで処理したRGCへのガバペンチンの添加は、シナプスの数を減少させなかった。これは、ガバペンチンが、既に形成されたシナプスを破壊せず、むしろ新しいシナプスの形成を阻止したことを示している。ヘビン、構造シナプスの形成を誘導できるもう1つの星状膠細胞分泌タンパク質、へのガバペンチン添加は、それを添加したときに関係なく、ヘビンのシナプス形成効果に影響を及ぼさなかった。(*p<0.05、n=20、エラーバーはSEM値を示す)。 方法 RGCの精製および培養。以前に記載された(Barresら(1988)Neuron 9,791)ように、逐次的イムノパンニングによってRGCをP5 Sprague−Dawleyラット(カリフォルニア州、ギルロイのSimonsen Labs)から99.5%より高い純度に精製した。ポリ−D−リシン(10μg/mL)、その後、ラミニン(2μg/mL)で被覆されたガラス(Assistant)またはAclar 22C(Allied Signal)カバースリップ上で24ウエルプレート(Falcon)内のウエルあたりおよそ30,000個のRGCを培養した。Neurobasal(Gibco)、ウシ血清アルブミン、セレン、プトレッシン、トリヨードサイロニン、トランスフェリン、プロゲステロン、ピルベート(1mM)、グルタミン(2mM)、CNTF(10ng/mL)、BDNF(50ng/mL)、インスリン(5μg/mL)およびフォルスコリン(10μM)を含有する、BottensteinおよびSato(1979)から改良した、600μLの無血清培地において、RGCを培養した。組換えヒトBDNFおよびCNTFは、Regeneron Pharmaceuticalsによって惜しみなく提供された。 精製ヒト血小板TSP1は、SigmaまたはHaematologic Technologiesのいずれかからのものであり、同様の結果を有した。組換えTSP2は、マウスTSP2を発現するバキュロウイルス感染昆虫細胞によって調整した無血清培地から精製した。精製TSP1は容易に入手できるので、本発明者らは、別様に述べていない限り、本発明者らの実験におけるTSP源としてこれを使用し、特に別の指定が無い限り、5μg/mLの濃度でTSPを使用した。RGCを4日間、培養して頑丈な突起を成長させ、その後、さらに6日間、TSPと共に培養した。すべての他の試薬は、Sigmaから入手した。 星状膠細胞およびACMの調製。皮質グリアは、McCarthy,J.de Vellis,J.Cell Biol.85,890(1980)に記載されているように調製した。簡単に言うと、生後1〜2日の皮質をパパイン消化し、組織培養フラスコ(Falcon)内で、ニューロンを生存させない培地(ダルベッコ変性イーグル培地、ウシ胎仔血清(10%)、ペニシリン(100U/mL)、ストレプトマイシン(100μg/mL)、グルタミン(2mM)およびピリビン酸Na(1mM))にプレーティングした。4日後、非付着細胞をその単層から振り落とし、細胞をさらに2〜4日インキュベートして単層を再びいっぱいにさせした。培地を、AraC(10μM)を含有する新しい培地と交換し、48時間、インキュベートした。星状膠細胞をトリプシン処理し、24ウエルインサート(Falcon、1.0μm)または10cm組織培養プレートにプレーティングした。 ACMの調製については、10cm皿の中の星状膠細胞の集密培養物をPBSで3回洗浄し、(CNFT、BDNFおよびフォルスコリンを伴わない)10mLのRGC培地を供給した。別の指示が無い限り、ACMは、4〜6日の調整後に回収し、0.2μmシリンジフィルターによって濾過し、5KD分子量カットオフ遠心濃縮機(Millipore)によって10倍濃縮した。ACMは、別の指示が無い限り、5Xの最終濃度で使用した。4日間、RCGを培養して頑丈な突起を成長させ、その後、さらに6日間、ACMまたは星状膠細胞供給層と共に培養した。 シナプスアッセイ。シナプス定量のために、培養物を7分間、4%パラホルムアルデヒド(PFA)中で固定し、リン酸緩衝食塩水(PBS)で3回洗浄し、100μLのブロッキング用緩衝液(50%抗体緩衝液(0.5%ウシ血清アルブミン、0.5% Triton X−100、30mM NaPO4、750mM NaCl、5%正常ヤギ血清、および0.4% NaN3、pH7.4)、50%ヤギ血清(NGS)、0.1% Triton−X)中で30分間、ブロッキングした。ブロッキング後、カバースリップをPBS中で3回洗浄し、抗体緩衝液で1:500希釈したウサギ抗シナプトタグミン(サイトゾルドメイン、Synaptic Systems)およびマウス抗PSD−95(6G6−1C9クローン、Affinity Bio Reagents)から成る100μLの一次抗体溶液を、それぞれのカバースリップに添加した。カバースリップを一晩、4℃でインキュベートし、PBS中で3回洗浄し、抗体緩衝液で1:1000希釈したAlexa−594コンジュゲート型ヤギ抗ウサギおよびAlexa−488コンジュゲート型ヤギ抗マウス(Molecular Probes)を含有する100μLの二次抗体溶液と共にインキュベートした。2時間、室温でインキュベートした後、カバースリップをPBS中で5回洗浄し、DAPIを伴うVectashield封入剤(Vector Laboratories Inc)でスライドガラス(VWR Scientific)にマウントした。シナプス前活性アッセイのために、シナプトタグミンのN末端管腔部分に対応するペプチドで免疫することによって、ウサギシナプトタグミン抗血清を生成した。この血清を生培養物に1:500で添加し、6時間、インキュベートした。その後、一次抗体溶液からシナプトタグミン抗体を省いたことを除き、上のように細胞をDPSB中で3回洗浄し、固定し、染色した。 マウントしたカバースリップを、Nikon DiaphotおよびEclipse落射蛍光顕微鏡(Nikon)を使用して撮像した。DAPI蛍光を用いて目視により最も近くの隣り合う細胞と少なくとも2細胞直径離れている健常な細胞を特定し、ランダムに選択した。白黒冷却CCDカメラおよびSPOT画像キャプチャソフトウェア(Diagnostic Instruments,Inc)を使用して、選択された細胞それぞれについての594nmと488nmの両方での蛍光放射の8ビットデジタル画像を記録した。ピクセル値範囲の不使用部分を除去するようにそれぞれの単一チャネル画像を調整し、使用するピクセル値を適切に調整してし全ピクセル値範囲を利用した。その後、対応するチャネル画像をマージして、2つの単一チャネル画像を個々のカラーチャネルとして含むカラー(RGB)画像を作った。カスタム・ソフトウェア・パッケージSpotRemover((著作権)2001 Barry Wark)を使用してこれらの操作を自動的に行った。 特注プラグイン(custom−written plug−in)を使用して共局在する点を特定した。点カウントアルゴリズムの全ドキュメンテーションは、「Puncta Analyzer」プラグインのソースコードで入手できる。簡単に言うと、ローリングボール背景差分処理アルゴリズムを用いて、それぞれの画像チャネルから低頻度背景を除去した。閾値より上の妥当なシナプス点のみが残るように画像に閾値を設定することによって、単一チャネル画像内の点を「マスク」した。その後、ImageJの「Partcle Analyzer」プラグインを用いて、それぞれのチャネル内の点を特定し、特製付けした。異なる色のチャネル内の点を、2つの円の中心が、点の重心に、点の面積に等しい面積で集まっており、2つの円のうちの大きいほうの円の半径以上に離れていない場合、共局在していると定義した。画像の中のシナプトタグミン、PSD−95および共局在する点すべてについての数、平均面積、平均最小および最大ピクセル強度、ならびに平均ピクセル強度を記録し、後の分析のためにディスクに保存した。 免疫組織化学。脳切片を30分、37℃で乾燥させ、その後、ブロッキング用緩衝液を塗布した。スライドガラスをPBS中で5分間、3回洗浄した。使用した一次抗体を、次のような抗体緩衝液:TP1(P10、マウスモノクローナル、Immunotech、1:200またはAb 8、Neomarkers、ウサギ、1:200)、シナプトタグミン(ウサギモノクローナル、Synaptic Systems、1:500)、エズリン(モノクローナル 3C12、Neomarkers、1:200)、SV2(ハイブリドーマ上清、Developmental Studies Hybridoma Bank、1:30)、バスーン(Bassoon)(Stressgen、1:400)、PSD−95(モノクローナル 6G6−1C9、Affinity Bioreagents、1:250)で希釈し、4℃で一晩インキュベートし、その後、PBS中で3回洗浄した。Alexaコンジュゲート型二次抗体(Molecular Probes)を1:1000で2時間、室温で添加した。スライドガラスをPBS中で3回洗浄し、DAPIを加えたVectashieldでマウントした。 シナプス数の共焦点分析。免疫染色した脳の画像をLeica SPS SP2 AOBS共焦点顕微鏡で収集した。光学切片を線平均し、0.28μM間隔で収集した。ゲイン、閾値および黒レベルを、同じピクセル値範囲を扱うようにセクションごとに個々に調整するか、またはWT切片について設定し、すべて切片について一定に保った。両方の場合、WTまたはKO動物におけるシナプスの相対数について同じ結果が得られた。5つの光学切片の1系列(最も大きいシナプス点の全体を光学的に切り分けるために経験的に決定した数)を投射すること、およびそれぞれの投射量中のシナプスの数をカウントすることによって、20の光学切片のスタックをシナプス数について定量した。ImageJ puncta analyzerプログラムを用いてシナプスを自動的にカウントし、それらのカウントの精度を、手でカウントすることによって確認した。P8 WTおよびKOについての脳半球N=6、ならびにP21 WTおよびKOについての脳半球N=10。脳半球1つにつき平均で3つのスタックを得、その結果、P8脳についてのシナプス点分析については合計18のスタック(72の光学切片)およびP21脳についてのシナプス点分析については合計30のスタック(120の光学切片)を得た。 実施例2−カルシウムチャネルサブユニットα2δ1はシナプス形成に関与するニューロンTSP受容体である α2δ1がインビトロでのTSP誘導シナプス形成において一定の役割を果たすかどうかを判定するために、本発明者らは、RGCにおいてα2δ1を発現させ、TSP誘導シナプス形成が影響を受けるかどうかを判定した。α2δ1を過発現しているRGCは、GFPのみでトランスフェクトしたRGCが形成したものと比較して2倍の多さのシナプスをSD2に反応して形成した(図4)。これは、α2δ1過発現がTSP誘導シナプス形成を増進することを示している。α2δ1過発現のみでは、TSPの不在下でシナプス形成を誘導するために不十分であった。これは、シナプス形成の開始にTSP−α2δ1相互作用が必要であることを示している。 α2δ1がTSP誘導シナプス形成に必要であるかどうかをさらに判定するために、短鎖干渉RNA(siRNA)ノックダウンアプローチを用いた。ラットα2δ1に特異的なsiRNAプールは、トランスフェクトされたHEK293細胞におけるラットα2δ1の発現を有意に減少させた(図4B)。RGCを、ラットα2δ1に対するこのsiRNAプールでまたはsiRNA対照プールでトランスフェクトした。α2δ1のノックダウンは、インビトロでの星状膠細胞またはTSP誘導シナプス形成を有意に阻害した(図4C、4D、および示してないデータ)が、RGCシナプスに存在する別のTSP受容体であるラットインテグリンβ1タンパク質に対する非ターゲッティング対照siRNAプール(si対照)およびターゲッティングsiRNAプールはいずれも、シナプス形成に影響を及ぼさなかった(図4C、4D)。これらの結果は、α2δ1がインビトロでのTSPおよび星状膠細胞誘導シナプス形成に必要であることを明示している。α2δ1過発現実験においても、α2δ1ノックダウン実験においても、GFP発現細胞上のシナプスのみをカウントしたので、これらの結果は、α2δ1がシナプス後側に対して作用性であり、シナプスを受け取る細胞の能力に必要であることも示している。 実施例3−α2δ1促進シナプス形成はカルシウムチャネル機能または数に依存しない α2δ1が、カルシウムチャネルの生物物理特性を調節するその能力によってシナプス形成を促進するかどうかを確かめるために、δ1サブユニットがTSP誘導シナプス形成を依然として増進させ得るかどうか試験した。そうするために、δ1をRGCにおいて過発現させ、SD−2誘導シナプス形成に対するその効果について分析した。δ1サブユニットの過発現は、完全長α2δ1の効果を模倣しなかった。それどころか、δ1サブユニットは、優性阻害型構築物として作用し、SD2誘導シナプス形成を阻害した(図4E)。同様に、δ1サブユニット発現は、星状膠細胞誘導シナプス形成も阻止した(データは示さない)。これらの結果は、α2δ1が、カルシウムチャネルの生物物理特性を調節することによってシナプス形成に対するその効果を媒介しないことを示している。加えて、α2δ1によるTSP誘導シナプス形成の増進は、VWF−Aドメインを含有する受容体のα2サブユニットの存在を必要とする。さらに、δサブユニットの優性阻害効果は、TSP−α2相互作用に基づくシナプス誘導シグナルの伝達に必要とされることを示唆している。 シナプス形成におけるα2δ1の役割を、表面カルシウムチャネル数を増加させることによってカルシウム電流を増加させるその能力に関連づけるられるかどうか判定するために、さらなる調査を行った。以前に、本発明者らは、星状膠細胞がRGC細胞表面のカルシウムチャネルの総数を増加させることを発見した(Ullianら,Science 291:657−661,2001)。この増加は小さく、また、シナプス形成より先ではなくシナプス形成と同時であり、そのため、それがシナプス形成の原因になる可能性は低い。電位ゲート型カルシウムチャネル(VGCC)機能がシナプス形成に必要であるかどうかを直接試験するために、L型カルシウムチャネルブロッカー・ニモジピンおよびニフェジピンをRGC培養基に添加して、これがSD2誘導シナプス形成を減少させるかどうか判定した(図5A)。RGCにおける大部分のカルシウム電流の原因であり(Ullianら,Science 291:657−661,2001)、主としてシナプス後部のものであるL型チャネル機能の遮断は、RGC生存がこれらの薬物の存在によってマイナスの影響を受けたにもかかわらず、TSP誘導シナプス形成に対して効果を及ぼさなかった。同様に、シナプス前NおよびP/Q型チャネルのブロッカー(コノトキシンGV1A、コノトキシンMVIIA、アガトキシンIVAおよびコノトキシンMVIIC)は、TSP誘導シナプス形成を阻止しなかった。 最後に、RGCにおけるシナプス後L型カルシウムチャネル発現の増加が、α2δ1の過発現と同様にシナプス形成を増進させるかどうかを判定するための調査を行った。そうするために、L型カルシウムチャネルα1CおよびβサブユニットをRGCにおいて過発現させ、星状膠細胞誘導シナプス形成に対するそれらの効果について分析した。α1およびβサブユニットの過発現は、星状膠細胞の存在下または不在下でシナプス形成に対してプラスの効果もマイナスの効果も及ぼさなかった(図5B)。これらの結果は、カルシウムチャネル機能も、カルシウムチャネル数の増加も、TSP誘導シナプス形成の推進力ではないが、α2δ1−VGCC相互作用は、TSP誘導シナプス形成の開始をもたらすシグナル伝達事象にとって、尚、重要であり得ることを示唆している。合わせて、これらの観察は、α2δ1−TSP相互作用がα2δ1の未だ不明の機能によってシナプス形成を誘導し得るさらなる証拠をもたらす。 実施例4−ニューロンにおけるα2δ1の過発現はインビボでのシナプス形成を増進させる α2δ1ノックダウンは、胚致死性であり;従って、インビボでシナプス形成に対するα2δ1の効果を試験することは難しい。代替アプローチとして、Thy1プロモーターの制御下でニューロンにおいて特異的にα2δ1を発現するマウス(Liら,Pain 125:20−34,2006)におけるシナプス数を検査した。これらのトランスジェニックマウスは、脊髄興奮性亢進のため機械的および熱的刺激に対して過敏性であり、CNS全体にわたって高レベルのα2δ1タンパク質を有する。本発明者らは、これらのマウスがより高いレベルの興奮性シナプスを皮質に有するかどうかを調査した。日齢21日(P21)トランスジェニックおよび野生型同腹子マウスからの脳矢状切片を、シナプス後肥厚部タンパク質95(PSD95)とシナプス前小胞グルタミン酸輸送体1または2(それぞれ、VGlut1およびVGlut2)のいずれかとで共免疫染色した。共局在するシナプス前および後の点の数を定量して、これらのマウスの皮質におけるシナプス密度を決定した。α2δ1を過発現しているトランスジェニックマウスは、同腹子野生型対照と比較したとき、有意に多い数のVGlut2陽性興奮性シナプスを皮質内に有した(図6AおよびB)。一方、VGlut1陽性興奮性シナプスの数は、トランスジェニックマウスと野生型マウスの両方について同様であった(図6CおよびD)。α2δ1過発現がVGlu5陽性シナプスを特異的に増加させるという観察は興味深い。1つの可能性のある説明は、これらのマウスでは、α2δ1トランスジーンが、VGlut2陽性シナプスを樹立するニューロンにおいて特異的に過発現されるということである。結論として、α2δ1過発現マウスにおけるVGlut2/PSD95シナプスの数の増加は、α2δ1が脳における興奮性シナプス形成の促進に一定の役割を果たすことを示している。 実施例5−ガバペンチン、α2δ1の高親和性リガンド、はTSPおよび星状膠細胞誘導シナプス形成を強く阻害する α2δ1は、ガバペンチンの高親和性受容体である。ガバペンチン(GBP)がTSPまたは星状膠細胞誘導シナプス形成に影響を及ぼすかどうかを判定するために、RGCをGBP(32μM)の存在下または不在下でSD2またはACMと共に培養した。GBPは、TSP誘導シナプス形成も、星状膠細胞誘導シナプス形成も、強く阻害した(図7A−C)。GBPは、RGCに対して毒性ではなかった(RGC生存は、GBPを含有する培養基中での66.5±4.1%に対して、対照培養基中で62.0±2.1%であった)。同様に、GBPは、神経突起成長に影響を及ぼさなかった(データは示さない)。GBPが、既に形成されたシナプスを溶解し得るかどうかを判定するために調査を行った。RGCを5日間、SD2と共に培養してシナプスを形成させ、その後、さらに1日間、GBPを添加した。GBPは、6日の培養期間全体にわたってそれが存在したとき、SD2によって誘導されるシナプス形成を完全に阻害したが、GMPを最後の24時間にだけDS2に添加したとき、シナプス形成は影響を受けなかった(図7B)。従って、GBPは、TSPおよび星状膠細胞によって誘導される新たなシナプス形成を強力に阻止するが、既に形成されているシナプスを溶解しない。興味深いことに、GABA、はるかい低い親和性でα2δ1に結合する阻害性神経伝達物質(IC50=650μM、(Suman−Chauhanら,Eur.J.of Pharmacol.244:293−301,1993)、も、高濃度で使用すると、TSP誘導シナプス形成を阻止した(図8)。 GBPが、インビボでのシナプス形成を同様に阻止するかどうかを判定するために、新生仔マウスに、脳のシナプス形成の開始と符合する生後第1週の間、GBPまたは食塩水のいずれかを注射した(実験手順参照)。GBPを注射したマウスが皮質におけるグルタミン酸作動性興奮性シナプス数減少を有するかどうかを判定するために分析を行った。この日齢P7で、皮質におけるグルタミン酸作動性シナプスは、主としてVGlut2陽性である(Miyazakiら,The Eur.J.of Neuroscience,17:2563−2572,2003)。従って、VGult2およびPSD95に対する抗体で(P7)食塩またはGBPを注射したマウスからの脳矢状切片の共免疫染色を行い、共局在するシナプス前および後の点の数を定量して、これらのマウスの皮質におけるシナプス密度を決定した。食塩水を注射した対照マウスと比較してGBPを注射したマウスの大脳皮質には興奮性シナプスの密度の有意な減少があった(図7D)。この違いは、GBPを注射した動物の半分でのシナプス数の激しい減少に主として起因した。GBPに応答するマウスのこの半分において、VGlut2/PSD95シナプス密度は、食塩水を注射したマウスの10%未満へと著しく低下したが、ニューロンの数に対する明らかな効果は無かった。GBP注射は、インビトロでのシナプス点に対するその効果(図7A)と類似して、VGlut2およびPSD95の両方の点に対してそれらの数、サイズおよび共局在を減少させることで影響を及ぼした(図7E)。GBPを注射した群の残りの半分は、食塩水を注射した対照と同様のシナプス密度を有した。インビボでのGBPの効果が、シナプス数に関して漸減ではなく「全か無かの」効果であること、およびマウスの50%しかGBP注射に反応しなかったことは、興味深い。これは、一部のマウスにおいてしか達成されないシナプス形成の阻止において有効であるために必要なGBPの臨界閾濃度に起因し得る。しかし、3回の反復実験において、本発明者らが総投薬量を増加し、1日1回から1日3回に頻度を増加した(下記および実験手順参照)ときでさえ、ならびに近交系のマウスを使用したにもかかわらず、マウスの半分しかGBPによる影響を受けないことが観察された。それにもかかわらず、これらの発見は、GBPがインビトロにおいてもインビボにおいても新たなシナプス形成の強力な阻害剤であることを示している。 実施例6−TSP誘導シナプス形成の阻害は、新生仔マウスにおける傷害誘導バレル皮質可塑性に干渉する 脳がそのニューロン網を再構築する方法の理解は、これらのプロセスが学習、記憶、および損傷からの回復の基礎となるので、神経生物学の主目標である。星状膠細胞誘導シナプス形成は、発達中の神経回路の再構築に関与するするのか?この問題を探求ために、十分に確率された発達可塑性パラダイム、「バレル皮質可塑性」アッセイを用いた。マウスの鼻の主要なヒゲに分布している神経は、ウィスカーパッド上に見られる構造構成を繰り返す規則正しいモジュールを、求心性軸索およびターゲット細胞が形成するトポグラフィー的に規則正しい「体部位局在」マップとして、脳に投射する(Erzurumluら,The Anatomical Record 288:121−134,2006)。先ず、三叉神経のニューロンが洞毛(ヒゲ)に神経を張り巡らせ、完全に交差する投射を脳の反対側に送る。次にこれらの投射が脳幹(バレレット)にシナプスを形成し、その後、それらの求心性部分が視床(バレロイド)に投射してシナプスを形成する。最後に、視床皮質軸索が一次体性感覚皮質に投射し、そこでそれらはシナプス後層IV顆粒細胞を用いて「バレル」の体部位局在マップを形成する(図9A)。TSP誘導シナプス形成が、経験依存性可塑性メカニズムに関与するかどうかを試験するために、本発明者らは、末梢ヒゲ操作に反応してその回路構成の構造変化を示すバレル皮質の能力を利用した。鼻のヒゲの列が、重要な生後発育期(マウスでは生後最初の3日)の間に求心路遮断されると、ヒゲの傷害を受けた列に対応する皮質中のバレルが収縮し、互いに融合するが、隣接するバレル内の細胞が、その損傷したヒゲからの投射によって空いた領域を浸潤する(Van der Loos and Woolsey,Science 179:395−546,1973)。これらの変化は、生後第7日(P7)のバレル皮質を分析することによって視覚化することができる(図9A)。 新生仔マウスの2つの群に、GBPまたは同量の食塩水のいずれかを、P0で開始してP7まで注射した。P1において、それぞれのマウスの鼻の片側のC列から5本のヒゲを外科的に除去し、焼灼した。その後、P7にマウスを犠牲にし、傷害を受けていない「対照」脳半球と傷害を受けた脳半球の両方に対応するそれらのバレル構造を分析した。食塩水を注射したマウスも、GBPを注射したマウスも、対照側に形成された典型的なバレルを有した(図9Bの左側上2つのパネル)。しかし、その一方で、傷害を受けた側では、食塩水を注射したマウスすべてが、典型的なバレル皮質可塑性パターンを示し、焼灼されたヒゲに対応するC列バレルが融合し、隣接するBおよびD列バレルが肥大して空いた領域を浸潤した。GBPを注射したマウスの50%は、典型的でない可塑性応答を示した(図9B、右のパネル)。これらのマウスではこれらの列のヒゲ毛包が依然として存在し、乱されていないことを鼻の分析が示したのにもかかわらず、これらのマウスでは、C列ばかりでなくAおよびB列も形を失って融合した(図9Bおよび9C、表現型のコレクションについては図10を参照のこと)。 GBPは、星状膠細胞媒介シナプス形成を強く阻止するので、これらの発見は、星状膠細胞分泌TSPが、損傷後のバレルのつなぎ直しに必要なシナプス形成を誘導することを示唆している。TSP誘導シナプス形成の阻止は、「停止および連結」シグナルの喪失を引き起こすことがあり、それ故、軸索は、バレルの再形成を失敗させる結果となる適当なターゲットを、尚、探し続ける。TSPの役割をより直接的に試験するために、TSP1/2ダブルノックアウト(KO)マウスにおけるバレル皮質可塑性を検査した。分析したTSP1/2KOマウスの三分の一は、非常に類似した、異常な皮質可塑性表現型(図9B、右下のパネル)、野生型マウスのいずれにおいても決して観察されないパターン、を示した。これらの発見は、バレル皮質可塑性に関するGBPの主要効果が星状膠細胞由来TSP誘導シナプス形成のその阻害による可能性が高いという、およびTSP誘導シナプス形成がマウスにおけるバレル皮質可塑性に関与するという証拠を提供する。興味深いことに、GBPを注射したマウスも、TSP1/2KOマウスも、傷害を受けていない対照側でのバレルの正常な樹立には問題が無かった。これは、TSPが、この系における損傷に基づくシナプスの可塑性際構築に一定の役割を特異的に果たすことを示唆している。実施例7−カルシウムチャネルサブユニットα2δ1はTSPのシナプス形成性ドメインと相互作用する TSPの多くのドメインが、特定の細胞表面受容体、特にインテグリン、と相互作用することは以前に判明しているが、TSPのEGF様ドメインについての受容体は最近まで判っていなかった。最近、TSP4のEGF様ドメインは、インテグリンαMのVWF−Aドメインに結合することが判明した(Pluskotaら,Blood,106:3970−3978,2005)。幾つかの他のインテグリンαおよびβサブユニットは、VWF−A様ドメインを含有する(Whittaker and Hynes,Mol.Bio.of the Cell 13:3369−3387,2002)ので、本発明者らは、インテグリンαMまたは他のVWF−Aドメイン含有インテグリンが、RGCによって発現されるかどうか、およびTSP誘導シナプス形成に関与するかどうかを調査した。TSPのシナプス形成活性にとって非常に重要である、VWF−Aドメインを含有し、且つ、RGCによって発現されるインテグリンは無かった(データは示さない)。 VWF−Aドメインを含有するニューロン原形質膜分子のもう1つのクラスは、カルシウムチャネルサブユニット・アルファ2デルタ(α2δ)ファミリーである。哺乳動物における4つのα2δサブユニットが今日までにクローニングされている(Klugbauerら,J.of Bioenergetics and Biomembranes 35:639−647,2003)。RGCの遺伝子発現プロファイリングは、L型カルシウムチャネルサブユニットα2δ1の高レベルの発現を示し、それをRT−PCRによって、およびウエスタンブロット法によって検証した(データは示さない、図11A)。従って、本発明者らは、次に、α2δ1がTSPと相互作用するかどうかを調査した。本発明者らは、特異的なポリクローナル抗体を使用して生後5日目のラットの大脳皮質溶解産物からTSP1、2および4を免疫沈降させ、α2δ1に特異的なモノクローナル抗体を使用してそれらの免疫沈降タンパク質に関するウエスタンブロット分析を行った。それら3つのTSP抗体それぞれを使用して行った免疫沈降においてα2δ1が検出された(図11B)。これは、α2δ1とTSPとのインビボでの相互作用の証拠を提供する。 TSPのシナプス形成性ドメインとα2δ1の間に直接的で特異的な結合相互作用が存在するかどうかを判定するために、本発明者らは、FLAGタグ付きα2δ1を単独で(図11Cレーン1)、SD2と共に(レーン2)、またはSD2と同じベクターにサブクローニングした、且つ、同じC末端mycおよび6−ヒスチジンタグを有する、無関係の分泌対照タンパク質と共に(対照−myc−his、図11Cレーン3)、共発現させた。本発明者らが、抗FLAG−タグ抗体にコンジュゲートさせたビーズを使用することによりα2δ1−FLAGを免疫沈降させたとき、本発明者らは、SD2が、α2δ1−FLAGと共免疫沈降するが、対照−myc−hisタンパク質とはしないのを見た(図11C、それぞれ、レーン5および6)。これらのデータは、α2δ1が、TSPのシナプス形成性EGF様ドメインと特異的に相互作用することを示している。 α2δ1とSD2との相互作用についてのさらなる証拠を提供するために、本発明者らは、HEK293細胞においてα2δ1とSD2を共発現させ、このとき、抗−myc抗体とコンジュゲートしたビーズを使用して、界面活性剤で可溶化したHEK293細胞膜調製品からSD2を免疫沈降させた。α2δ1は、SD2と共免疫沈降した。これは、α2δ1が、TSPのシナプス形成性ドメインと直接相互作用することをさらに示している(図11D、レーン7)。他のカルシウムチャネルサブユニットが、SD2−α2δ1相互作用に必要であるかどうか、およびカルシウムチャネルα1サブユニットがSD2と相互作用するかどうかを判定するために、本発明者らは、SD2とL型カルシウムチャネルα1Cおよびβサブユニットをα2δ1の存在下または不在下で共発現させた(レーン1、2および4)。α1サブユニットは、α2δ1の存在下でさえSD2と相互作用せず(図11D、レーン5、6および8)、SD2と共免疫沈降したα2δ1の量は、α1サブユニットも発現されたとき、減少した(図3D、レーン8の上のパネル)。従って、TSPのシナプス形成性ドメインは、α2δ1と特異的に相互作用するが、L型カルシウムチャネルのα1サブユニットとはしない。α2δ1−SD2相互作用は、膜調製および免疫沈降に使用した緩衝液中のマグネシウムイオン(実験手順)の存在に強く依存した。結論として、これらのデータは、α2δ1とTSPが、TSPのシナプス形成性ドメインによって相互作用し、この相互作用が、他のL型カルシウムチャネルサブユニットの存在に依存しないことを示している。 実施例8−TSP2シナプス形成性ドメイン構築物SD2の調製および試験 第三プロパージン様リピートとTSP2の3つのEGF様リピートとを含む分泌単量体TSP2フラグメントをコードするように設計した哺乳動物発現構築物を作った(図12A)。C末端6−ヒスチジンタグ(His−タグ)の利用により、トランスフェクトされたHEK293細胞培養基からこの組換えタンパク質を均一になるまで精製した(図12B)。このタグ付きの精製されたTSP2フラグメント(シナプス形成性ドメイン2についてのSD2を示す)は、強くシナプス形成性であった(図12C、D)。これらのシナプスは、完全長TSP1によって誘導されたシナプスとよく似ていた。それらがシナプス前的には活性であるが、シナプス後的にはサイレントであったからである(データは示さない)。SD2の活性は、10〜20nM範囲で最高であった(図12D)。より高い濃度では、その活性は低減された。これは、高いリガンド濃度に起因するその受容体の阻害または脱感受性を示唆している。 実施例2−8についての実験手順 RGCおよび星状膠細胞の精製および培養 以前に説明されているように(Christophersonら,Cell 120:421−433,2005;Meyer−Frankeら,Neuron 15:805−819,1995;Ullianら,Science 291:657−661,2001)、逐次イムノパンニングによってP5 Sprague−Dawleyラット(Charls Rivers)からRGCを99.5%より高い純度に精製し、ラミニン被覆カバースリップ上でBDNF、CNTFおよびフォルスコリンを含有する無血清培地で培養した。皮質星状膠細胞インサートおよびACMは、(Christophersonら,Cell 120:421−433,2005)に記載されているように調製した。RCGを3〜4日間培養して頑丈な突起を成長させ、その後、星状膠細胞インサート、ACMまたはTSPと共にさらに6日間培養した。 組換えタンパク質およびDNA構築物 精製ヒト血小板TSP1は、Haematologic Technologiesから入手した。組換えTSP4およびTSP5は、(Chenら,J.Biol.Chem.275:26538−26544,2000;Lawlerら,J.Biol.Chem.270:2809−2814,1995)に記載されているように発現させて精製した。pcDNA3哺乳動物発現ベクター中のマウスTSP cDNAは、V.Dixit(Qabarら,J.Biol.Chem.269:1262−1269,1994)からの進呈品であった。TSP3は、Cos7細胞において過発現させ、Cos7細胞調整培地をTSP3の源として使用した。同じ実験において、空pcDNA3ベクターでトランスフェクトしたCos7細胞からの調整培地で対照条件を処理した。前に(Mosherら,Methods in Cell Bio.69;69−81,2002;Miaoら,Cancer Research 61:7830−7839,2001;Saumetら,Blood 106:658−667,2005)に記載されいるように、TSP1および2トランケーション構築物のパネルを発現させて精製した。 α2δ1のついての過発現ベクターは、D.Lipscombe(Brown University)からの親切な贈呈品であった。δ1発現ベクターは、K.Campbell(Univ.of Iowa)からの親切な贈呈品であり、(Gurnettら,J.Biol.Chem.272:18508−18512,1997)に記載されている。カルシウムチャネルサブユニットα1Cおよびβを発現するベクターは、(Dolmetschら,Science 294:333−339,2001)に記載されている。 TSP2のシナプス形成性ドメイン(SD2)をpAPtag5ベクター(GenHunter)のSfiI部位とXhoI部位の間にクローニングした。Lipofectamine 2000(Invtrogen)を製造業者の説示に従って使用してトランスフェクトしたHek293細胞によってSD2を発現させた。その後、Ni−NTA樹脂(Qiagen)を製造業者の説示に従って使用して、Niキレート化クロマトグラフィーにより、その分泌された組換えタンパク質を調整培養基から精製した。 RGCに関するシナプスアッセイ RGC培養物のシナプス定量のために、細胞を7分間、4%パラホルムアルデヒド(PFA)で固定し、リン酸緩衝食塩水(PBS)中で3回洗浄し、50%正常ヤギ血清および0.1%Triton X−100を含有する100μLのブロッキング用緩衝液中で30分間、ブロッキングした。ブロッキング後、カバースリップをPBS中で3回洗浄し、ウサギ抗シナプトタグミン(1:750、サイトゾルドメイン、Synaptic Systems)およびマウス抗PSD−95(1:750、6G6−1C9クローン、Affinity Bio Reagents)から成る100μLの一次抗体溶液を、それぞれのカバースリップに添加した。カバースリップを一晩、4℃でインキュベートし、PBS中で3回洗浄し、抗体緩衝液で1:1000希釈した100μLのAlexa−594コンジュゲート型ヤギ抗ウサギおよびAlexa−488コンジュゲート型ヤギ抗マウス(Invitrogen)と共にインキュベートした。2時間、インキュベートした後、カバースリップをPBS中で3〜4回洗浄し、DAPIを伴うVectashield封入剤(Vector Laboratories Inc)でスライドガラス(VWR Scientific)にマウントした。二次のみの対照は、常例的に行い、有意なバックグラウンド染色が無いこをと示した。 マウントしたカバースリップを、Nikon Eclipse E800落射蛍光顕微鏡(Nikon)を使用して撮像した。DAPI蛍光を用いて目視により最も近くの隣り合う細胞と少なくとも2細胞直径離れている健常な細胞を特定し、ランダムに選択した。白黒CCDカメラおよびSPOT画像キャプチャソフトウェア(Diagnostic Instruments,Inc)を使用して、それぞれの選択された細胞についての594nmと488nmの両方での蛍光放射の8ビットデジタル画像を記録した。NIH画像処理パッケージImageJ(ワールドワイドウェブ、rsb.info.nih.gov.laneproxy.stanford.edu/ij/を参照のこと)のための特製プラグイン(Barry Wark、GPLのもとでライセンスされたもの(ワールドワイドウェブ、gnu.org/copyleft/gpl.htmlを参照のこと)の使用により、マージ画像を共局在する点について分析した。この分析は、目視によるカウントを非常に多くの回数検証して得られた数と同様であるカウントを生じさせる。電子顕微鏡によってカウントされ、電気生理学的分析によって確認されたシナプスの数の実際の増加に共局在する点の増加が対応することは以前に証明されている(Christophersonら,Cell 120:421−433,2005;Ullianら,Science 291:657−661,2001)。 RGCトランスフェクション Lipofectamin 2000(Invitrogen)試薬を使用して、6つのDIV RGCをトランスフェクトした。簡単に言うと、それらの細胞から300μLの調整培養基を除去し、37℃の10%CO2インキュベーター内の別の組織培養プレートに取っておいた。その後、200μLの新たな培地を供給した。1μgのDNAまたは2μLの20μM siRNAプールを100μLのOptiMEM培地(Invitrogen)および2μLのLipofectamin 2000試薬(Invitrogen)と混合した。その混合物を20分間、室温でインキュベートし、細胞に添加した。3時間後、細胞を温かいPBSで2回洗浄し、200μLの新たなRGC成長培地および300μLの取っておいた調整培地を供給した。SD2または星状膠細胞インサート処理を、プラスミド構築物についてはトランスフェクションの1日後、siRNAプールについてはトランスフェクションの2日後に開始した。トランスフェクトした細胞は、それぞれの条件でコ・トランスフェクトしたGFPによって特徴づけられる。典型的なトランスフェクション効率は、10%と15%の間の範囲であった。前に説明したように6日のSD2または星状膠細胞処理の後に細胞をシナプスについて染色した。この場合、Alexa 680にコンジュゲートしたヤギ抗マウス二次抗体を使用することによってPSD95を検出した。トランスフェクトした細胞の画像を3つのチャネルで撮った(GFPについては488nm、シナプトタグミンについては594nm、およびPSD95については680nm)。上で説明した方法を用いて、GFP陽性細胞上のシナプスの数を定量した。 免疫沈降およびウエスタンブロット法 Lipofectamine 2000(Invitrogen)をその供給業者の説示に従って使用して、2から3日間の一過性トランスフェクションにより、SD2、α2δ1(タグなしまたはFLAGタグ付き)ならびにL型カルシウムチャネルα1CおよびβサブユニットをHEK293細胞において発現させた。 共免疫沈降のためにHEK293細胞原形質膜を次のように調製した。細胞をPBSで3回洗浄し、組織培養プレートからこすり落とした。それらの細胞をペレット化し、プロテアーゼ阻害剤(Complete EDTA−free、Roche)を伴う氷冷低張緩衝液(10mM Tris pH7.4、1mM CaCl2および1mM MgCl2)に再懸濁させ、氷上で15分間インキュベートして細胞を膨潤させた。その後、ガラス・オン・ガラス・ダウンサー(douncer)での均質化(5回)によってそれらの細胞を破壊した。核および未分解細胞を300gでの5分間の遠心分離によって除去した。後核上清を20分間、20,000gで遠心分離して、膜をペレット化した。 それらの膜を、プロテアーゼ阻害剤(Complete EDTA−free、Roche)および0.5% Surfact−Amp NP−40(Pierce)を伴う可溶化用緩衝液(25mM Tris pH7.2、150mM NaCl、250mM スクロース、1mM CaCl2および1mM MgCl2)に再懸濁させ、4℃で10分間インキュベートして可溶化させた。不溶破片を遠心分離(10分間、20,000g)によって除去した。SD2(Upstate)を免疫沈降させために上抗−myc抗体コンジュゲート型アガロースビーズと共に、またはFLAGタグ付きα2δ1(Shigma−aldrich)を免疫沈降させ抗FLAG抗体M2コンジュゲート型ビーズと共に、4時間または一晩、4℃で上清をインキュベートした。結合が完了した後、それらのビーズを可溶化用緩衝液で4〜5回洗浄した。結合したタンパク質を、非還元SDS−PAGE緩衝液(2X、Pierce)の添加および37℃での5分間のインキュベーションによって溶離させた。その後、その溶離物を清浄な試験管に移し、β−メルカプト−エタノールを添加した。それらのサンプルを37℃で30分間変性させ、SDS−PAGEゲル(4〜15%、BioRad)に負荷した。SDS−PAGE電気泳動の後、タンパク質をPVDF膜上に移し、ターゲットタンパク質についてブロットした。 TSP免疫沈降は、次のように行った。5つのP5ラット皮質を切開し、上で説明したように膜を調製して可溶化した。TSP1、2または4ポリクローナル抗体に一晩、前以って結合させておいたタンパク質A/Gビーズと共に可溶性画分をインキュベートした(前記TSP抗体は、(Lawlerら,J.Biol.Chem.270:2809−2814,1995;Tooneyら,Matrix Biol.17:131−143,1998)に記載されている)。それらのビーズを、上で説明したように、4〜5回洗浄し、タンパク質を溶離し、SDS−PAGE分析のために準備した。 カルシウムチャネルサブユニットα2δ1は、モノクローナル抗体(Sigma、1:1000)を使用することによりウエスタンブロットで検出した。SD2およびそのmycタグ付き対照タンパク質は、両方とも、C末端6−Hisタグを含有しており、モノクローナル抗ペンタヒスチジン抗体(Qiagen、1:1000)を使用することによりウエスタンブロットでそれらを識別した。カルシウムチャネルサブユニットα1Cは、ウサギポリクローナル抗体(Chemicon、1:1000)で検出した。ホースラディッシュペルオキシダーゼコンジュゲート型抗マウスまたは抗ウサギ(1:5000)を二次抗体として使用し(Jackson Labs)、その検出は、AmershamからのECLキットで行った。 マウス脳切片でのシナプスアッセイ 脳を4%パラホルムアルデヒド(PFA)に浸漬し、一晩、4℃で固定し、30%スクロース中で凍結保護した。シナプス染色のために、BPS中の20%スクロース:OCTの2:1混合物に組織を包埋し、凍結切片(12μm)を作った。切片を37℃で乾燥させ、PBS中で3回洗浄し、1時間、PBS中の20%正常ヤギ血清(NGS、Invitrogen)でブロッキングした。0.3%トリトンおよび10% NGSを伴うPBSで、次のように一次抗体を希釈した:4℃で一晩、インキュベートした、PSD95(Zymed、ウサギ、1:500)ならびにVGlut1およびVGlut2(Chemicon、モルモット、1:2500)。二次Alexaコンジュゲート型抗体(ヤギ抗モルモットAlexa 488およびヤギ抗ウサギAlexa 594、Invitrogen)を2時間、室温、暗所で(同じ緩衝液中、1:200)で添加した。DAPIを伴うVectashieldでスライドにマウントし、Zeiss LSM 510共焦点レーザー走査顕微鏡を使用して撮像した。 動物1匹につき3つの独立した脳矢状切片をシナプス前および後マーカーで染色し、皮質での5μm共焦点スキャンを行った(光学切片幅0.38μm、それぞれ14個の光学切片)。スキャンする皮質面積の一貫性を確保するために、それぞれの切片において、歯上回の背側の皮質のシナプス層をはじめとする皮質外側領域を選んだ。スキャニングのためのパラメータは、常に野生型(または食塩水を注射した)脳切片に設定し、同じ撮像パラメータをトランスジェニック(またはGBPを注射した)動物に用いた。共局在しているシナプス前および後の点の数をカウントするためにImageJ−puncta analyzerオプションを用いて、マージした単一の光学切片の画像を1μm間隔で分析した(脳切片1つにつき5つの光学切片および脳1つにつき合計15の画像)。撮像面積あたりの平均シナプス密度をそれぞれの条件について計算した。 マウス FVBバックグラウンドに基づくTSP1/2ダブルノックアウトマウスを使用した(n=12)(Agahら,Matrix Biol.22:539−47,2004)。FVBバックグラウンドを有する野生型マウスは、Charles River Laboratoriesから購入した。P21、α2δ1過発現、トランスジェニック動物およびそれらの同腹子野生型対照(n=8)からの脳は、Liおよび同僚によって提供されたものであり、(Liら,Pain 125:20−34,2006)に記載されている。 食塩水およびガバペンチン注射: 3つの独立した実験において、二腹の野生型マウス(n=3x12、FVBバックグランド)に、GBP(Sigma−Aldrich)の400mg/kgの単回用量または食塩液(PBS)の匹敵する量のいずれかの腹腔内注射を毎日施した。1つの実験では、マウスに200mg/kgのGBP(n=6)を1日3回注射し、対照は、同量の食塩液を受けた(n=6)。投与する用量を決めるために、およびそれらの体重増加および全般的な健康状態を追跡するためにも、注射直前に子の体重を量り、それによって、GBPを注射したマウスと食塩水を注射したマウスの間で差がないことを証明した。バレル皮質可塑性の分析中はサンプルを目隠しした。 ヒゲ傷害: すべてのヒゲ傷害は、P1マウスの右のウィスカーパッドの中央の列(列C)からヒゲ毛包を除去したものであった。新生仔マウスの左側を解剖用スコープの下に保持し、除去するヒゲの列に隣接する位置に手術刀で2つの平行した切開を施した。それらの切開部の間の皮膚を鉗子で引き戻した。開口部の毛包を鉗子で個々に除去した。その後、可撓性焼灼薬アプリケーター(Tech−Med)を使用して硝酸銀で損傷部位を焼灼した。その後、マウスをそれらのホームケージで回復させた。 バレル皮質免疫組織化学: マウスをP7に犠牲にし、脳を切開し、4%パラホルムアルデヒド中で12から24時間固定した。脳をPBS中の30%スクロース中で、それらがその溶液の底に沈むまで(24〜48時間)、凍結保護した。その後、脳を正中に沿って二等分し、Leica SM2000R凍結マイクロトームを用いてそれぞれの脳半球のバレル皮質の接線に沿って40μm厚の切片を切除し、PBSの中に入れた。浮動性切片を用いてバレル皮質染色を行った。先ず、切片を45分間、室温で、PBS中の10% NGSおよび0.25% Triton−X−100のブロッキング溶液に入れた。その後、切片を1時間、室温で、ブロッキング溶液中、1:400での抗セロトニン(5−HT)輸送体ウサギポリクローナル抗体(Calbiochem)と共にインキュベートした。PBSで3回洗浄した後、組織切片を90分間、室温で、ブロッキング溶液中、1:1000でのヤギ抗ウサギAlexa 594二次抗体(Invitrogen)と共にインキュベートして、一次抗体の蛍光検出を可能にした。PBS中で3回洗浄した後、切片を、それらを切断する順序でスライドガラス(VWR)上にマウントし、およびVectashield Mounting Medium(Vector Laboratories)を用いてマウントした。Nikon Eclipse E800蛍光顕微鏡を使用して切片を視覚化し、SPOTカメラ(ミシガン州、スターリングハイツのDiagnostic Instruments)を使用して画像をデジタル収集した。 バレル皮質再構成: バレル皮質の完全マップを再び組み立てるために、連続切片からの5−HTT染色画像をPhotoshop(Adobe Systems)で再構成した。既に平面にバレル皮質の大部分を通常は有する1つの切片を基礎画像として選択し、それに基づいて隣接切片からのデータを積層した。先ず、それぞれの追加切片を、前の切片に合うように注意深く位置合わせし、次に、追加切片の中でより明るく標識されたバレルフィールドの部分だけをレイヤーマスクで明らかにした。一次バレル皮質全体が可視化されるまで、このプロセスを繰り返した。その後、層間のコントラストおよび輝度レベルを注意深く調和させて、再構成されたバレルフィールド全体を横断するシグナルのレベルのより正確な表像を獲得した。 ウィスカーパッド染色: 鼻領域全体を4%パラホルムアルデヒドで浸漬固定し、その後、一晩、PBS中の30%スクロース中で凍結保護した。鼻を正中に沿って二等分し、ウィスカーパッドのみを含むように後方に切り取った。その後、ウィスカーパッドを平らにし、2:1の30%スクロース:O.C.T.に包埋した。50μmの切片を切り取り、Leica CM3050クリオスタットを使用してポジティブ・コート・スライドガラス(Sigma)上に回収した。切片を37℃で30から90分間乾燥させ、その後、PBSで1回洗浄し、30秒間、マイヤーのヘマトキシリン(リリー変性)(Dako)で染色した。スライドガラスを脱イオン蒸留水ですすぎ、Faramount水性封入剤(Dako)を用いてカバースリップを載せた。Nikon Eclipse E800顕微鏡で明視野顕微鏡検査を行い、SPOTカメラ(Diagnostic Instruments)を使用して画像をデジタル収集した。 実施例9−活性抗TSP4抗体またはTSP4アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドの髄腔内ボーラス注射は、脊髄神経損傷ラットにおける異痛を逆転させる TSP4タンパク質が行動過敏性を誘導し得、ガバペンチンがその誘導を阻止し得るかどうかを試験するために、次の実験を行った。食塩水に溶解した活性または熱不活性化TSP4タンパク質を第0日に注射し、実験手順において説明したように行動過敏性試験を毎日行った。TSP4(45ug/ラット)ボーラス注射の3日後にガバペンチンまたは食塩水を注射し、続いて1時間後に、そしてその後は毎日、行動試験を行った。図13Aに示すように、ナイーブラットのL5/6脊髄セグメントへの、熱不活性化TSP4タンパク質ではなく、活性TSP4タンパク質の髄腔内ボーラス注射は、フォン・フライ・フィラメント(機械的)刺激に対するそれらの後肢逃避閾値の用量依存的様式での漸減を生じさせた(図13A)。行動過敏性は、注射の2日後に発症し、注射の約2〜4日後にピークに達し、TSP4後1週間を越えて続いた。TSP4誘導行動過敏性は、可逆的であり、逆転時は、ピーク効果時間の約5日後であった。TSP4によって誘導された行動過敏性は、食塩水ではなく、ガバペンチンの髄腔内注射(1mg/ラット、ボーラスi.t.注射)によって阻止された。ガバペンチン効果は、1日を越えて続いた。ガバペンチンは、カルシウムチャネルα2δ1サブユニットに結合するので、これらのデータは、TSP4誘導異痛がカルシウムチャネルα2δ1サブユニットとの相互作用によって媒介される可能性が高いことを支持している。ガバペンチン効果の遅い逆転は、急性ではなく慢性の薬物作用メカニズムを示唆していた。 TSP4が、脊髄レベルでの神経因性疼痛処理の媒介に一定の役割を果たすかどうかを判定するために、脊髄神経結紮ラットにおいて定着した異痛を逆転させる際の髄腔内TSP4麻酔の効果を検査した。活性TSP4抗体(ドイツ、ケルン、University of ColognのDr.Frank Zauckeからの、ニワトリポリクローナル)の髄腔内ボーラス注射を、左L5/6脊髄神経結紮マウスに、その損傷ラットが異痛を完全に発現していた損傷2週間後に投与した。そのボーラスTSP4抗体は、損傷側の定着した異痛を用量依存様式で逆転させた(図13B−C)。熱不活性化(沸騰させた)抗TSP4抗体での注射は、異痛逆転に何の効果も示さなかった(図13B−C)。異痛逆転における活性抗血清(80ug/ラット、ボーラスi.t.注射)の効果は、4時間の開始時間および10時間を越える持続時間を有した(図13B)。同様の活性TSP4抗体治療は、非損傷側(対側)における同じ刺激に対するベースライン行動閾値を変化させなかった。これらのデータは、上昇したTSP4タンパク質が、脊髄レベルで末梢神経損傷誘導異痛に重要な役割を果たし得ること、および脊髄レベルでのその機能の遮断が疼痛管理において治療価値を有し得ることを示唆している。 同様の抗TSP4治療が損傷誘導異痛の発現を予防し得るかどうかを判定するために、脊髄神経結紮ラットを、TSP4抗血清(ニワトリポリクローナル、80ug/ラット)の毎日の髄腔内注射で先取り治療した。神経結紮手術前にその治療を開始した。図13Dに示すように、先取り髄腔内TSP4抗血清治療は、非損傷(右)側でのベースライン閾値を変えなかったが、食塩水の髄腔内注射で治療した損傷ラットと比較して脊髄神経結紮ラットの損傷(左)側での異痛の発症を予防した。TSP4抗体効果は、最後の注射後2日を越えて続いた。損傷誘導TSP4タンパク質が、脊髄レベルで異痛の開始に重要な役割を果たし得る、およびTSP効果の遮断が、神経因性疼痛予防において治療恩恵を有し得るというこれらのデータ。 TSP4アンチセスオリゴデオキシヌクレオチドが損傷誘導触覚異痛を阻止し得るかどうかを判定するために、TSP4 mRNAの2つの異なる領域に相補的な2つのTSPアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド(#1および#2)を、脊髄神経結紮ラットに、それらの損傷ラットが損傷側に定着した異痛を有していた損傷5日後に髄腔内注射した。図13Eに示すように、4日間のTSP4アンチセンス#1(50ug/日)の毎日の髄腔内注射は、異痛逆転に多少の効果を有したが、ミスマッチ#2ではないアンチセンスでの同様の治療は、非損傷側(対側)で観察されたものと同様のレベルへの損傷側(同側)における定着した異痛の完全逆転を生じさせた。これらのアンチセンス効果は、3日の開始時間を有し、この4日の治療の1日後にピークに達し、最後の注射後3日間続いた。アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドも、ミスマッチオリゴデオキシヌクレオチドも、非損傷側での行動閾値を変えなかった。アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドでの損傷誘導TSP4発現の阻止が、疼痛処理における脊髄TSP4の効果の遮断に関するもう1つのアプローチを意味するというこれらのデータ。 実施例9についての実験手順 外科手術および行動試験 オスHarlan Sprague Dawleyラット(100〜150g、インディアナ州、インディアナポリスのHarlan Industries)を別々のケージに収容し、12/12時間の昼/夜サイクルに曝露し、食餌および水を自由に入手できるようにした。イソフラン麻酔した動物において、DRGと脊髄神経の始点の間での左L5/6脊髄神経の堅固な結紮で、末梢神経損傷を誘導した(Kim and Chung,Pain 50 50:355−363,1992)。触覚異痛に近づくために、以前に記載されているように(Chaplanら,J.Neuros.Methods 53:55−63,1994)、フォン・フライ・フィラメント(米国、イリノイ州、ウッドデールのStoelting)を用いるDixonのアップ・ダウン法(Dixon,Ann.Rev.Pharma.& Toxico.20:441−462,1980)を用いて肢逃避閾値(PWT)を決定した。簡単に言うと、金網床を有する透明なプラスチックキュービクルの中で30分間、動物を馴化させた。先ず、2gの較正フィラメントを、そのフィラメントを曲げさせる圧力で、左肢足底に当てた。5秒後に肢の持上げが観察されなかった場合、重みを増して次のフィラメントを使用した。足の持上げが観察された場合、より弱い次のフィラメントを使用した。最初の応答変化前の1回から始めて合計6回の測定にこのパラダイムを用いた、すなわち5回の応答(0.25gのスコアを割り当てた)に至った。以前に記載されているように(Luoら,J.Neurosci.21:1868−75,2001)、50%応答閾値を計算した。 髄腔内アンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド ターゲット遺伝子の翻訳開始領域に対するアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチド#1が設計され、他のターゲット遺伝子の発現のノックダウンに有効であることが証明された(Wahlestedtら,Nature 363:260−263,1993;Jiら,PNAS 91:12540−12543,1994;Huaら,J.Neurochem.70:688−698,1998;Liら,J.Neurosci.24:8494−8499,2004)。ラットTSP4 mRNA配列セグメントに基づくオリゴデオキシヌクレオチド#2も設計され、実時間PCR実験でプライマーを生成するために使用されており(TaqMan Gene Expression Assay ID:Rn014934317、Applied Biosystems)、およびTSP4 mRNAに特異的である。(TSP4 mRNAのいずれの特定の領域にも相補的でない)ランダムな順序でだが同じ数のヌクレオチドを含有するミスマッチオリゴデオキシヌクレオチドを対照として使用した。単一塩基ミスマッチは、結合親和性を約500倍低下させる(Freier,1992)ので、前記ミスマッチオリゴデオキシヌクレオチドは、TSP4 mRNAに対して非常に低い親和性を有するはずである。ラットTSP4遺伝子のこれらの領域ならびにアンチセンスおよびミスマッチオリゴデオキシヌクレオチドについての核酸配列を下に示す:翻訳開始領域に対応するラットTSP4 cDNA配列(開始コドンに下線を引く):5’CgtatgAccATGAttAcgCC 3’(配列番号:1;GenBankアクセッション#:X89963)オリゴデオキシヌクレオチド:アンチセンス#1;5’GGCGTAATCATGGTCATACG 3’(配列番号:2)ミスマッチ#1:5’CGGAGTCATGATCGTAATCG 3’(配列番号:3)実時間PCRプライマーのための領域に対応するラットTSP4 cDNA配列:5’GGAAGATAGCAACAATGATGG 3’(配列番号:4、GenBankアクセッション#:X89963)オリゴデオキシヌクレオチド:アンチセンス#2:5’CCATCATTGTTGCTATCTTCC 3’(配列番号:5)ミスマッチ#2:5’ACCATCGTTGTTACTTTCTCC 3’(配列番号:6) これらのアンチセンスおよびミスマッチ配列は、ラットゲノムデータベースにおけるBLASTサーチ結果によって示されるように、他のラット遺伝子のいずれの配列にも相補性でなかった。チオリン酸修飾を有するオリゴデオキシヌクレオチドが、脂質二重層を横断する可能性増大を有し、ヌクレアーゼ分解を減少させることは証明されている(Crookeら,Ann.Rev.Pharmacology.& Toxicology,1996)。前記オリゴデオキシヌクレオチドの両末端の3つのヌクレオチドのみに対する限定チオリン酸修飾を用いた。この修飾方法は、インビボで炎症性副作用を生じさせない(Liら,J.Neurosci.24:8494−8499,2004)。これらの研究で用いたすべてのアンチセンスオリゴデオキシヌクレオチドは、商業的に合成されたものであり(Genelink,Inc.,NY)、エタノール沈殿法で滅菌し、使用前に滅菌食塩水に溶解した。 薬物調製および髄腔内注射 ガバペンチン、精製TSPタンパク質および抗体を使用前に滅菌食塩水に溶解して希釈し、30G針に接続したマイクロインジェクターを使用して、イソフルオラン(isofluorane)麻酔したラットのL5/6脊髄領域に10mLの合計量で直接注射した。 統計 対応のないスチューデント検定を行い、0.05未満の両側p値によって有意性を示した。 本明細書において引用したすべての刊行物および特許は、個々の刊行物または特許が参照により援用されていると具体的におよび個々に示されているかのごとく、参照により本明細書に援用されている。いずれの刊行物の引用も、本出願日前のその開示についてのものであり、そのような刊行物に先行する権利が先行発明を理由に本発明に与えられないことの容認と解釈すべきでなはない。 本発明が、記載する特定の方法論、プロトコル、細胞系列、動物種または属および試薬に限定されず、従って変わる場合があることは、理解されるはずである。本明細書において用いる専門用語が、特定の実施形態の説明のみを目的とするものであり、本発明の範囲を限定するためのものでなく、添付のクレームによってのみ本発明の範囲が限定されることも理解されるはずである。 本明細書において用いるすべての技術および科学用語は、特に別の指示が明確に無い限り、本発明の属する技術分野における通常の技術者に一般に理解されているのと同じ意味を有する。シナプス形成が必要な個体に少なくとも1つのトロンボスポンジンEGF様ドメインを含むポリペプチドの有効用量を投与することを含み、前記ポリペプチドがトロンボスポンジンではなく、および該個体におけるシナプス形成が増加される、個体におけるシナプス形成を促進する方法。前記トロンボスポンジンEGF様ドメインが、少なくとも6個のシステインアミノ酸を含む、長さ約35から約65アミノ酸のトロンボスポンジンアイソタイプから誘導されたポリペプチドであり、その主構造が、2本鎖ベータシート、それに続く、C末端の短い2本鎖シートへのループである、請求項1に記載の方法。トロンボスポンジンEGF様ドメインが、ヒトTSP1、アミノ酸551−586、588−636、もしくは650−689、ヒトTSP2アミノ酸553−588、590−635、もしくは652−691、ヒトTSP3アミノ酸316−368、370−412、もしくは418−455、ヒトTSP4アミノ酸290−324、326−377、379−418もしくは424−461、またはヒト軟骨オリゴマー基質アミノ酸87−126、127−179、180−222、もしくは225−267との少なくとも95%の配列同一性を有する、請求項2に記載の方法。前記ポリペプチドが、少なくとも2つのトロンボスポンジンEGF様ドメインを含む、請求項3に記載の方法。前記ポリペプチドが、少なくとも3つのトロンボスポンジンEGF様ドメインを含む、請求項4に記載の方法。前記ポリペプチドが、EGF様ドメイン以外のトロンボスポンジン配列を欠く、請求項5に記載の方法。前記個体が、老衰の結果としてシナプス消失に罹患している、請求項1に記載の方法。前記個体が、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALS、多発性硬化症、または緑内障の結果としてシナプス消失に罹患している、請求項1に記載の方法。前記個体が、黄斑変性、聴力損失、糖尿病性神経障害、または化学療法誘発性神経障害に罹患している、請求項1に記載の方法。前記個体が、うつ病、統合失調症、自閉症、および攻撃性から成る群より選択される精神障害の結果としてシナプス消失に罹患している、請求項1に記載の方法。前記シナプスの形成が、神経筋接合部でのものである、請求項1に記載の方法。トロンボスポンジンのシナプス形成活性を阻害するトロンボスポンジンアンタゴニスト剤の有効量を個体に投与することを含む、個体における疼痛を治療または予防する方法。前記薬剤が、トロンボスポンジンに結合し、該トロンボスポンジンと、α2δ1、α2δ2、α2δ3およびα2δ4から成る群より選択される1つ以上のカルシウムチャネルサブユニットとの間の相互作用を遮断する、請求項12に記載の方法。前記薬剤が、トロンボスポンジンに特異的に結合する抗体である、請求項13に記載の方法。前記薬剤が、トロンボスポンジンのEGF様ドメインに特異的に結合する抗体である、請求項14に記載の方法。前記薬剤が、トロンボスポンジンの第三EGF様ドメインに特異的に結合する抗体である、請求項14に記載の方法。前記トロンボスポンジンが、TSP1、TSP2、TSP3、TSP4、または軟骨オリゴマー基質である、請求項14に記載の方法。前記薬剤が、トロンボスポンジンに特異的に結合する足場誘導結合タンパク質である、請求項13に記載の方法。前記薬剤が、トロンボスポンジンの発現を特異的に阻害するsiRNA、アンチセンスRNAまたはマイクロRNAである、請求項13に記載の方法。TSP1、TSP2、TSP4または軟骨オリゴマー基質の発現が阻害される、請求項19に記載の方法。前記薬剤が、カルシウムチャネルサブユニットα2δ1の細胞外部分を含むポリペプチドである、請求項13に記載の方法。前記ポリペプチドが、ヒトα2δ1の約253から約430のアミノ酸(VWFAドメイン)を含む、請求項21に記載の方法。前記薬剤が、カルシウムチャネルサブユニットα2δ2の細胞外部分を含むポリペプチドである、請求項13に記載の方法。前記ポリペプチドが、ヒトα2δ2の約291から約469のアミノ酸(VWFAドメイン)を含む、請求項23に記載の方法。前記薬剤が、カルシウムチャネルサブユニットα2δ3の細胞外部分を含むポリペプチドである、請求項13に記載の方法。前記ポリペプチドが、ヒトα2δ3の約256から約438のアミノ酸(VWFAドメイン)を含む、請求項25に記載の方法。前記薬剤が、カルシウムチャネルサブユニットα2δ4の細胞外部分を含むポリペプチドである、請求項13に記載の方法。前記ポリペプチドが、ヒトα2δ4の約291から約473のアミノ酸(VWFAドメイン)を含む、請求項27に記載の方法。前記ポリペプチドが、イムノアドヘシンである、請求項21、23、25および27のいずれか一項に記載の方法。前記疼痛が、体性疼痛、神経因性疼痛、内蔵痛、癌疼痛、突発的癌疼痛、炎症性疼痛、術後疼痛、骨痛、関節痛、偏頭痛、または幻痛である、請求項12に記載の方法。前記疼痛が、異痛または痛覚過敏である、請求項12に記載の方法。α2δ1、α2δ2、αα2δ3およびα2δ4から成る群より選択されるカルシウムチャネルサブユニットのVWFAドメインに特異的に結合し、トロンボスポンジンと前記カルシウムチャネルサブユニットとの間の相互作用を遮断する抗体の有効量を個体に投与することを含む、個体における疼痛を治療または予防する方法。前記疼痛が、体性疼痛、神経因性疼痛、内蔵痛、癌疼痛、突発的癌疼痛、炎症性疼痛、術後疼痛、骨痛、関節痛、偏頭痛、または幻痛である、請求項32に記載の方法。α2δ1、α2δ2、α2δ3およびα2δ4から成る群より選択されるカルシウムチャネルサブユニットのVWFAドメインに特異的に結合し、トロンボスポンジンと前記カルシウムチャネルサブユニットとの間の相互作用を遮断する抗体の有効量を個体に投与することを含む、個体におけるてんかんを治療する方法。トロンボスポンジンアンタゴニストの有効量をその必要がある個体に投与することを含む、個体における軸索成長を促進する方法。前記個体が、脊髄損傷に罹患している、請求項35に記載の方法。前記個体が、アルツハイマー病、パーキンソン病、ALSまたは多発性硬化症の結果として軸索または樹状突起変性に罹患している、請求項35に記載の方法。前記個体が、黄斑変性、聴力損失、糖尿病性神経障害、または化学療法誘発性神経障害に罹患している、請求項35に記載の方法。前記個体が、うつ病、統合失調症、自閉症、および攻撃性から成る群より選択される精神障害の結果として軸索または樹状突起変性に罹患している、請求項35に記載の方法。トロンボスポンジンに特異的に結合し、該トロンボスポンジンとα2δ1、α2δ2、α2δ3およびα2δ4から成る群より選択されるカルシウムサブユニットとの間の相互作用を遮断する薬剤の有効量を個体に投与することを含む、個体におけるカルシウムインフラックスの過剰を特徴とする疾患を治療するための方法。前記疾患が、筋痙攣、偏頭痛、脳卒中、およびパーキンソン病から成る群より選択される、請求項40に記載の方法。シナプス形成の増進における活性について候補薬剤をスクリーニングする方法であって、 a)α2δポリペプチドまたはトロンボスポンジンEGF様ドメインへの候補薬剤の結合を測定する工程; b)工程a)において候補薬剤がα2δポリペプチドまたはトロンボスポンジンEGF様ドメインに結合した場合、該候補薬剤の存在下での神経細胞培養におけるシナプスの形成を定量する工程であって、ここで、該候補薬剤の不在下でのシナプスの形成と比較して該候補薬剤の存在下でのシナプスの形成増加は、該候補薬剤がシナプス形成の増進における活性を有することを示す工程、を含む方法。シナプス形成の阻害における活性について候補薬剤をスクリーニングする方法であって、 a)α2δポリペプチドまたはトロンボスポンジンEGF様ドメインへの候補薬剤の結合を測定する工程; b)段階a)において該候補薬剤がα2δポリペプチドまたはトロンボスポンジンEGF様ドメインに結合した場合、該候補薬剤およびトロンボスポンジンアゴニストの存在下での神経細胞培養におけるシナプスの形成を定量する工程であって、該候補薬剤の不在下でのシナプスの形成と比較して該候補薬剤の存在下でのシナプスの形成減少は、該候補薬剤がシナプス形成の阻害における活性を有することを示す工程、を含む方法。 シナプスは、ニューロンとニューロンの間、および末梢では、ニューロンとエフェクター細胞、例えば筋肉、との間に生ずる。2ニューロン間の機能的接点は、軸索と細胞体の間、軸索と樹状突起の間、細胞体と細胞体の間、または樹状突起と樹状突起の間に生じ得る。神経伝達を可能にするのがこの機能性接点である。多くの神経および神経疾患が、神経伝達の病的過活動または活動低下によって引き起こされる。本発明は、シナプス形成ならびに軸索および/または樹状突起成長を調節するための方法および組成物を記載するものである。本方法は、トロンボスポンジンおよび/またはカルシウムチャネルのα2δサブユニットを調節する薬剤の使用を含む。 20100512A16330配列表1配列表