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タイトル:特許公報(B2)_コンドロイチン硫酸を含有する軟骨水系溶媒抽出物とケルセチン配糖体を含有する経口投与用製剤
出願番号:2010520763
年次:2011
IPC分類:A61K 31/737,A61K 31/7048,A61K 9/20,A61K 47/26,A61K 47/42,A23L 1/30


特許情報キャッシュ

泰松 暁 伊地智 節 城處 絢子 JP 4652486 特許公報(B2) 20101224 2010520763 20090615 コンドロイチン硫酸を含有する軟骨水系溶媒抽出物とケルセチン配糖体を含有する経口投与用製剤 サントリーホールディングス株式会社 309007911 小野 新次郎 100140109 社本 一夫 100089705 小林 泰 100075270 千葉 昭男 100080137 富田 博行 100096013 山本 修 100118902 泰松 暁 伊地智 節 城處 絢子 JP 2008196743 20080730 20110316 A61K 31/737 20060101AFI20110224BHJP A61K 31/7048 20060101ALI20110224BHJP A61K 9/20 20060101ALI20110224BHJP A61K 47/26 20060101ALI20110224BHJP A61K 47/42 20060101ALI20110224BHJP A23L 1/30 20060101ALI20110224BHJP JPA61K31/737A61K31/7048A61K9/20A61K47/26A61K47/42A23L1/30 Z A61K 31/33-33/44 A23L 1/30 CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 米国特許出願公開第2007/0077317(US,A1) 米国特許出願公開第2005/0220908(US,A1) 特開2000−273102(JP,A) 特開2006−298791(JP,A) 特開2004−059522(JP,A) 特開2008−081462(JP,A) 特開2009−189276(JP,A) 国際公開第98/043675(WO,A1) 特開平07−196523(JP,A) 11 JP2009060857 20090615 WO2010013551 20100204 13 20100526 前田 佳与子 本発明は、水抽出コンドロイチン硫酸とケルセチン配糖体を含有する経口投与用製剤に関する。特に本発明は、ケルセチン配糖体に起因する異味が改善された経口投与用製剤に関する。また、本発明は、ケルセチン配糖体の異味を改善する方法に関する。 フラノイドの一種でタマネギやソバなどの植物に多く含まれるケルセチンはさまざまな生理作用を示すことが知られている。ケルセチンおよびその配糖体に関して、これまで、抗炎症作用、抗酸化作用、血管収縮作用、毛細血管壁を強くする作用などが報告されており、食品、医薬品、化粧品などの用途において使用されている。さらに細胞増殖などに関わるいくつかの酵素を阻害することが報告されている。しかしながら、ケルセチン配糖体には独特の香味、特に苦味がある。 ところで、関節症や関節痛に対する対処法として、コンドロイチン硫酸(例えば、サメ軟骨粉末)やグルコサミンなどの天然物由来の成分を摂取する方法が、安全性の高い関節症の治療・予防・緩和の方法として検討されている(非特許文献1)。「機能性糖質素材の開発と食品への応用」(井上國世監修、2005年、シーエムシー出版、394〜400頁) 独特の香味、特に苦味を有するケルセチン配糖体については、経口での摂取においてはその香味や嗜好性がしばしば問題となる。特にサプリメントなどの機能性食品として日常的にケルセチン配糖体を経口摂取しようとする場合、ケルセチン配糖体に特有の香味を抑制することによって継続的な摂取や長期的な摂取が容易になるため、ケルセチン配糖体に起因する香味が抑制された経口投与用製剤の開発が求められている。本発明の課題は、ケルセチン配糖体に由来する香味を抑制する方法、および、ケルセチン配糖体に由来する香味が抑制された経口用製剤を提供することである。 本発明者らは、上記課題について鋭意研究を行った結果、水抽出したコンドロイチン硫酸によってケルセチン配糖体の苦味を効果的にマスキングできることを見出し、本発明を完成させた。 1つの観点からは、本発明は、水抽出コンドロイチン硫酸とケルセチン配糖体とを含んでなる経口投与用製剤である。特に、サプリメントなどの食品用途においては日常的に経口で摂取できることが求められるところ、本発明の経口投与用製剤はケルセチン配糖体の香味が効果的に抑制されており、好適である。 別の観点からは、本発明は、ケルセチン配糖体を含有する経口投与用製剤の製造方法であり、この方法は、水抽出コンドロイチン硫酸とケルセチン配糖体を配合する工程を含んでなる。 また別の観点からは、本発明は、ケルセチン配糖体を含有する組成物の香味改善方法であり、この方法は、水抽出コンドロイチン硫酸を配合することを含んでなる。 すなわち、本発明によれば、これに限定されるものではないが、以下の発明が提供される。1. 水抽出コンドロイチン硫酸とケルセチン配糖体とを含んでなる経口投与用製剤。2. 前記ケルセチン配糖体が酵素処理ルチンである、上記1に記載の経口投与用製剤。3. グルコサミン類をさらに含んでなる、上記1または2に記載の経口投与用製剤。4. 前記製剤が固形製剤である、上記1〜3のいずれかに記載の経口投与用製剤。5. 前記固形製剤が錠剤または顆粒剤である、上記4に記載の経口投与用製剤。6. 水抽出コンドロイチン硫酸とケルセチン配糖体の重量比が、1:50〜200:1である、上記1〜5のいずれかに記載の経口投与用製剤。7. 前記水抽出コンドロイチン硫酸が、タンパク質との複合体として存在するコンドロイチン硫酸である、上記1〜6のいずれかに記載の経口投与用製剤。8. 機能性食品である、上記1〜7のいずれかに記載の経口投与用製剤。9. 水抽出コンドロイチン硫酸とケルセチン配糖体を配合すること含んでなる、ケルセチン配糖体を含有する経口投与用製剤の製造方法。10. 水抽出コンドロイチン硫酸を配合することを含んでなる、ケルセチン配糖体を含有する経口投与用製剤の香味改善方法。 本発明にしたがって水抽出コンドロイチン硫酸を配合することによって、ケルセチン配糖体に特有の異味を効果的に抑制することが可能になる。また、本発明の経口投与用製剤は、ケルセチン配当に起因する異味が抑制されているため、継続的な摂取が容易になる。 本発明の経口投与用製剤は、水抽出コンドロイチン硫酸とケルセチン配糖体とを含んでなり、獣医薬用途を含む医薬用途、サプリメントを含む食品用途、化粧・美容用途などに用いることができる。 (コンドロイチン硫酸) 本発明の製剤は水抽出されたコンドロイチン硫酸を含んでなる。コンドロイチン硫酸は、人体にも広く分布しており、特に、関節部の軟骨や皮膚に多く含まれることから、変形性関節症の改善や皮膚の美容等の効果を目的とした健康食品に利用されている。当技術分野において理解されているように、本発明において単にコンドロイチン硫酸とした場合、コンドロイチン硫酸および/またはその塩を意味する。コンドロイチン硫酸は軟骨や皮膚に含まれているが、特に、軟骨には高濃度で含まれており、コラーゲンと共に軟骨の主成分としてその機能を果たしている。また、コンドロイチン硫酸は、水分を保持し組織にとどめる機能や組織から物質を運搬する機能を有しており、粘性や保湿を担う重要な物質である。特に、加齢にともなって体内のコンドロイチン硫酸は減少するとされ、体内の通常の代謝で不足する分は種々の方法で体外から補充する必要がある。 本発明に関してコンドロイチン硫酸は、上述したように、コンドロイチン硫酸やその塩を意味し、各種のコンドロイチン硫酸を含む。一般に、コンドロイチンは、D−グルクロン酸(ウロン酸)とN−アセチル−D−ガラクトサミンが結合した構造を有し、これに硫酸基が結合してコンドロイチン硫酸となる。コンドロイチン硫酸は硫酸基の結合位置により、A,B,C、D,E,Kなど複数のタイプに分類され、コンドロイチン硫酸BはL−イズロン酸が構成糖となっている。本発明で使用するコンドロイチン硫酸は、これら各タイプのコンドロイチン硫酸であってよい。また、本発明においては、上記した各種のコンドロイチン硫酸を複数組み合わせて使用しても、1種類のみを使用してもよい。 本発明に用いるコンドロイチン硫酸は、水抽出により得たものであればよく、その原料は特に制限されない。本発明において、コンドロイチン硫酸は、軟骨・皮膚などに多く存在し、例えば、サメ、イカ、サケ、カニ、ウシ、ブタ、トリなどから得ることができる。一般に、コンドロイチン硫酸Aはウシ・ブタなどの高等な脊椎動物に多く含まれ、コンドロイチン硫酸Cは下等な脊椎動物に多く含まれるとされる。また、サメなどの軟骨魚類は、軟骨の比率が高く、ヒレや中骨などの軟骨からコンドロイチン硫酸A,C,Dなどが多く得られるため、本発明のコンドロイチン硫酸の原料として好ましい。さらに、コンドロイチン硫酸Eはイカ、コンドロイチン硫酸Kはカブトガニに多く存在するとされる。本発明においては、用途に応じてコンドロイチン硫酸の原料を選択することができる。 本発明においては、コンドロイチン硫酸を高濃度で含むことからサメ軟骨を原料とすることが好ましい。ここで、本発明のコンドロイチン硫酸の原料とするサメの種類について制限はなく、例えばアブラツノザメ、ヨシキリザメが挙げることができる。さらに軟骨の由来部位についても制限はなく、例えば頭部、ヒレなどが挙げられる。 本発明においては、水抽出により得たコンドロイチン硫酸を使用する。本発明の水抽出コンドロイチン硫酸とは、原料から水系の溶媒を用いて抽出されたコンドロイチン硫酸を意味する。後で述べるように、ケルセチン配糖体は独特の苦味があるところ、本発明者らは、特に水抽出のコンドロイチン硫酸を配合するとケルセチン配糖体の異味を効果的に抑制されることを見出し、本発明を完成させた。本発明において、水抽出のコンドロイチン硫酸がケルセチン配糖体の異味を効果的に抑制できるメカニズムは明らかでなく、また、本発明は以下の推論に拘束されるものではないが、水抽出工程を経たコンドロイチン硫酸は、サメ軟骨などの原料を単に粉砕しただけの粉砕品と比較して、吸湿性や水への分散速度、吸着特性などが高くなっており、このような特性により水抽出コンドロイチン硫酸はケルセチン配糖体由来の異味を効果的に抑制できるものと推論される。 一般に、コンドロイチン硫酸は、原料を直接粉砕して得た粉砕物と原料から抽出して得た抽出物があるところ、本発明においては水を利用して抽出したコンドロイチン硫酸を使用する。本発明において水抽出コンドロイチン硫酸とは、原料から水系溶媒を利用して抽出されたコンドロイチン硫酸であれば特に制限されず、種々のコンドロイチン硫酸を使用することができる。水系溶媒としては、各種温度の水(熱水、温水、常温水)や、エタノールやメタノールなどの極性溶媒を含んだ水などが挙げられる。例えば、本発明の水抽出コンドロイチン硫酸は、サメ軟骨などの軟骨を細断し適当な大きさにした後、水系溶媒中で抽出処理を行い、吸着や濾過などの方法で精製し、デキストリン等の賦形剤を加えてスプレー乾燥などの方法により粉末状とすることに得ることができる。水抽出の際に蛋白分解酵素などを添加することもでき、また、溶媒として熱水を使用することもできる。 本発明においては、水抽出コンドロイチン硫酸として、コンドロイチン硫酸とタンパク質とが複合体を形成しているもの(タンパク複合品)を使用してもよく、あるいは、タンパク質が除去されたコンドロイチン硫酸(タンパク除去品)のいずれを使用してもよい。 タンパク複合品は生体内での構造がある程度維持され体内での調和・利用されやすいとされることから、食品素材としては好まれる傾向がある。本発明ではこれを好適にもちいることができる。タンパク質複合体が使用され市販品の例としてはSCP(マルハニチロ食品製)などが挙げられる。 一方、タンパク除去品については精製工程にてアルコール精製を行うなどタンパクを除去する工程を経て得ことができる。市販品の例としてはコンドロイチンQ(キユーピー製)などが挙げられる。さらに通常、医薬品・化粧品用途でもちいられることの多いコンドロイチン硫酸ナトリウムを使用してもよい。 本発明の製剤において、コンドロイチン硫酸の配合量は、一個体あたり、好ましくは1日10〜3000mg、より好ましくは50〜1000mgとなることを目安として決めることができる。また、体重1kgあたりの摂取量が、例えば0.15〜50.0mg/kg、より好ましくは0.80〜20.0mg/kgとすることができる。さらに、経口製剤へのコンドロイチン硫酸の配合割合は、製剤全体に対して、0.1〜95重量%が好ましく、0.5〜20重量%がより好ましい。 (ケルセチン配糖体) 本発明の固体製剤は、ケルセチン配糖体を含んでなる。後述するようにケルセチン配糖体は抗炎症作用を有するとされ、コンドロイチン硫酸と同時に摂取することによって、関節痛などの痛みをより効果的に低減できると考えられる。本発明においてケルセチン配糖体とは、フラボノイドの一種であるケルセチン(クエルセチンともよばれる)の配糖体であり、例えば、ルチン、クエルシトリン、イソクエルシトリン、モリン、ミリシトリン、ミリセチン、ヘスペリジン、ナリンギン、タンゲリジンなどを挙げることができ、こういったケルセチン配糖体の酵素処理物も包含される。 本発明で使用するケルセチン配糖体はさまざまな生理作用を示すことが知られており、抗炎症作用、抗酸化作用、血管収縮作用、毛細血管の透過抑制作用、毛細血管壁を強くする効果、さらに細胞増殖などに関わるいくつかの酵素を阻害することが報告されている。しかしながら、ケルセチン配糖体は独特の香味、特に苦味を有しており、食品として日常的に経口摂取しにくいものであった。そこで、本発明の経口投与用製剤においては、ケルセチン配糖体に加えて、上記した水抽出コンドロイチン硫酸を添加することにより、香味が改善された経口投与用製剤を得ている。 本発明で使用するケルセチン配糖体としては、ルチンまたはその類縁体が好ましい。ルチン類は、フラボノイドの一種であり、ビタミン様の働きがあることからビタミン様物質とされる。一般に、ミカン科の植物に限らずマメ科のエンジュやタデ科のソバなどからも得ることができる。 本発明で使用するケルセチン配糖体は、その由来、製法については特に制限はない。例えば、ケルセチンを多く含む植物として、ケッパー、リンゴ、茶、タマネギ、ブドウ、ブロッコリー、モロヘイヤ、ラズベリー、コケモモ、クランベリー、オプンティア、葉菜類、柑橘類などが知られており、これらの植物からケルセチン配糖体を得ることができる。 本発明の好ましい態様においては、ケルセチン配糖体として、ケルセチン配糖体を糖転移酵素などで処理して糖転移させたものを使用することができる。ルチンなどのケルセチン配糖体は水に難溶性のため使用しにくい場合があるが、ケルセチン配糖体を酵素処理物は糖転移により水溶性が高められているため、本件発明の製剤に使用するのに好適である。 本発明の特に好ましい態様においては、ケルセチン配糖体として、ルチンの酵素処理物(以下、酵素処理ルチンという)を使用する。酵素処理ルチンとは、酵素処理イソクエルシトリンや糖転移ルチンなどとも呼ばれ、ルチンおよびその類縁体を酵素処理して糖転移させたα−グリコシルイソクエルシトリンを主成分とするものをいう。一般に、ルチンには抗酸化作用があることが知られていたものの、水に難溶性のため使用用途は限られていたが、酵素処理ルチンとして糖転移を図ることにより水溶性を高めることができ、好適である。酵素処理ルチンは強力な抗酸化活性の他、血小板の凝集抑制および接着抑制作用、血管拡張作用、抗ガン作用等、多彩な生理機能をもつことが知られており、炎症の改善や血液循環促進等の効果を目的とした健康食品に利用されている。酵素処理ルチンについては、例えば、エンジュ、ソバなどの抽出物を糖転移酵素で処理して得ることができる。詳細には特開平7−10898に記載の方法で得ることができる。 本件発明の製剤へのケルセチン配糖体の配合量は、酵素処理ルチンの摂取量が一個体あたり、1日1〜500mg、好ましくは5〜300mgとなることを目安として、決めることができる。また、体重1kgあたりの摂取量は、例えば0.015〜8.5mg/kg、より好ましくは0.080〜5.0mg/kgとすることができる。さらに、経口製剤へのケルセチン配糖体の配合割合は、製剤全体に対して、0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜80重量%とすることができる。 本件発明の製剤において、水抽出コンドロイチン硫酸とケルセチン配糖体との重量比は、1:50〜200:1が好ましく、1:5〜50:1がさらに好ましく、最も好ましくは1:5〜20:1である。 (グルコサミン) 好ましい態様において、本発明の製剤はグルコサミンを含有する。グルコサミンはコンドロイチン硫酸と配合すると良いとされており(G.C.Reyes, et al., Progress in Drug Res., 55, pp.83-103, 2000)、本発明の製剤にグルコサミンを配合することが好ましい。グルコサミンは、グルコースの2位の水酸基がアミノ基に置換した2−アミノグルコースであり、生体成分である糖蛋白質、糖脂質、ムコ多糖などの構成糖分子として自然界に幅広く分布する天然アミノ糖である。工業的にはカニ、エビ、オキアミなどの甲殻類やイカの軟骨などに含まれるキチンを酸又は酵素により加水分解し、分離、精製することによって得ることができる。 近年、グルコサミンは、生体成分の基本構成分子としての重要性のみならず、その摂取による様々な有効性が確認され、関節痛や変形性関節症の治療・予防、美容等の効果を目的とした健康食品に広く利用されている。本発明の製剤においては、コンドロイチン硫酸およびケルセチン配糖体に加えて、関節痛の緩和が期待できるグルコサミンを配合することが好ましい。 本発明に使用できるグルコサミンは、その由来、製法等について特に制限はない。また、グルコサミンを、塩や種々の誘導体として使用することもでき、それら種類についても特に制限はなく、本発明において単にグルコサミンとした場合、塩や誘導体も包含される。グルコサミンの塩や誘導体としては、例えば、グルコサミン塩酸塩、グルコサミン硫酸塩、グルコサミン乳酸塩、N−アセチルグルコサミン等が挙げられる。 グルコサミンの製剤への配合量は、グルコサミンの摂取量が一個体あたり、1日100〜5000mg、好ましくは300〜2000mgとなることを目安として決めることができる。また、体重1kgあたりの摂取量は、例えば1.5〜85.0mg/kg、より好ましくは5.0〜60.0mg/kgとすることができる。例えば、錠剤へのグルコサミンの配合割合は、錠剤全体に対して、0.1〜95重量%、好ましくは10〜80重量%とすることができる。 (その他の成分など) 本発明の製剤は、水抽出コンドロイチン硫酸およびケルセチン配糖体に加えて、その他の生体内機能性を有する素材、例えば、コラーゲン、ヒアルロン酸、ビタミンなどを含んでもよい。さらに、食品や医薬品に一般に使用される添加剤や補助成分を含んでいてもよく、例えば、甘味料、酸味料、賦形剤、滑沢剤、レモン香料やミルク香料などの香味料、デンプン、デキストリンなどを含んでいてもよい。 本発明は経口製剤であり、水抽出コンドロイチン硫酸によってケルセチン配糖体に起因する異味が抑制されるため、特に経口投与用の製剤として適する。本発明の製剤は、経口投与に適した形態、例えば、錠剤、カプセル、顆粒剤、粉末、トローチ、またはドリンク剤等の液剤の形態をとることが好ましい。中でも、本発明の製剤は、異味成分であるケルセチン配糖体を含有することから、錠剤または顆粒剤であることが好ましい。また、コンドロイチン硫酸として水抽出コンドロインチンを用いることから、液剤であることも好ましい。 本発明の製剤は、好ましい態様において、1錠あたりの重量が50mg〜5000mg、好ましくは70mg〜1000mgの錠剤として調製することができる。また、顆粒剤であれば、1分包あたりの重量が50mg〜5000mg、好ましくは300mg〜3000mgの分包の顆粒剤を、あるいは、瓶などの容器包装であれば1容器あたり、例えば5g〜5kgの顆粒剤を調製することができる。また、ドリンク剤などの液剤であれば、例えば5g〜2kgの容器入り製品として調製することができる。 本発明の製剤の投与対象は、特に制限されず、ヒトであっても、ヒト以外の動物であってもよい。投与対象に応じて製剤の剤形を適宜選択することができ、例えば、ヒトを対象とする場合、関節炎発症のリスクが高い中高年層においては錠剤の嚥下が困難な場合があるため、本発明の製剤を顆粒剤チュアブル錠とすることが特に好ましい。また、子供などを投与対象とする場合、本発明の製剤を糖衣錠などにしてもよい。さらに、ヒトを除く動物においては、嗜好性が投与の容易性に大きな影響を与えるため、ケルセチン配糖体の異味が改善された本件発明の製剤は動物投与に好適である。例えば、口中で錠剤を噛んでしまう傾向がある愛玩動物(特に、イヌやネコ)に対しては、剤形としてチュアブル錠を選択することが特に好ましい。 本発明の製剤は、食品、医薬品、化粧品、食品用添加物として使用することができる。本発明の製剤は、ケルセチン配糖体に起因する苦味が抑制されるため無理なく日常的に摂取することができ、いわゆる機能性食品などの食品として使用することに適する。 (方法) また、別の観点からは、本発明は、水抽出コンドロイチン硫酸を配合することを含んでなる、ケルセチン配糖体を含有する経口投与用製剤の製造方法と評価することができる。さらに他の観点からは、本発明は、水抽出コンドロイチン硫酸を配合することを含んでなる、ケルセチン配糖体を含有する経口投与用製剤の香味改善方法と理解することもできる。 以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断らない限り、本明細書において、部および%などは重量基準であり、数値範囲はその端点を含むものとして記載される。 実施例1 ケルセチン配糖体を含有する組成物において、ケルセチン配糖体の異味を好適にマスキングする組成について検討を行った。具体的には、ケルセチン配糖体の異味をマスキングするための成分として、水抽出コンドロイチン硫酸(タンパク複合品・タンパク除去品)、粉砕コンドロイチン硫酸、デキストリンを試験した。 (材料) 使用した材料は以下のとおりである。・ケルセチン配糖体:サンエミックP15(三栄源エフエフアイ製、ケルセチン配糖体15%含有)・水抽出コンドロイチン硫酸(タンパク複合品):SCP(マルハニチロ食品製、コンドロイチン硫酸20%含有、サメ軟骨の熱水抽出物にデキストリンを加えた粉末)・水抽出コンドロイチン硫酸(タンパク除去品):コンドロイチンQ(キユーピー製、コンドロイチン硫酸20%含有、サメ軟骨の熱水抽出物をアルコール精製して複合タンパク質を除去し、デキストリンを加えた粉末)・粉砕コンドロイチン硫酸:サメ軟骨粉末KSCP−S(ニッスイ製、コンドロイチン硫酸20%含有、サメ軟骨の粉砕粉末)・デキストリン:サンデック#250(三和澱粉工業製) (評価方法) ケルセチン配糖体と各種マスキング成分を表1に示す組成で配合した混合粉末を調製した。調製した混合粉末1gを6名のパネラーが水とともに経口摂取し、ケルセチン配糖体由来の苦味の強さを以下の基準にしたがって評価した。 3点:「苦い」 2点:「やや苦い」 1点:「弱い苦味を感じる」 0点:「ほとんど苦味を感じない」 6名のパネラーの評価を集計し、スコアの平均が3点以下2点超を×、2点以下1点超を△、1点以下0点を○とした。結果を表1に示す。 表1の結果から明らかなように、水抽出したコンドロイチン硫酸によってケルセチン配糖体の苦味を効果的にマスキングすることができた。 実施例2:固形製剤の製造および評価 ケルセチン配糖体と各種マスキング成分を含有する組成物を製剤化し、ケルセチン配糖体の異味のマスキング効果を評価した。使用した材料は以下のとおりである。・ケルセチン配糖体:サンエミックP15(三栄源エフエフアイ製、ケルセチン配糖体15%含有)・水抽出コンドロイチン硫酸(タンパク複合品):SCP(マルハニチロ食品製、コンドロイチン硫酸20%含有、サメ軟骨の熱水抽出物にデキストリンを加えた粉末)・水抽出コンドロイチン硫酸(タンパク除去品):コンドロイチンQ(キユーピー製、コンドロイチン硫酸20%含有、サメ軟骨の熱水抽出物をアルコール精製して複合タンパク質を除去し、デキストリンを加えた粉末)・粉砕コンドロイチン硫酸:サメ軟骨粉末KSCP−S(ニッスイ製、コンドロイチン硫酸20%含有、サメ軟骨の粉砕粉末) (錠剤) 表2に示す配合にしたがって、原料粉末を混合し、混合粉末約3kgを調製した。各成分の混合は、原料粉末を混合機(寿ミックスウェルV-100、徳寿工作所製)に投入し、22rpmで5分間混合した。得られた混合粉末を、臼杵(HT-AP15SS-II、畑鉄工所製)を用いて打圧約2000kgf、回転速度約20rpm、直径10mmの条件で直径9mm、1錠あたり370mgとなるように直接打錠し、錠剤を得た。 錠剤を6名のパネラーに1錠経口摂取してもらい、10秒間口腔内に含んだ後飲み込んで摂取した際の香味について官能し、以下の基準にしたがって評価した。 3点:「苦い」 2点:「やや苦い」 1点:「弱い苦味を感じる」 0点:「ほとんど苦味を感じない」 6名のパネラーの評価を集計し、スコアの平均が3点以下2点超を×、2点以下1点超を△、1点以下0点を○とした。結果を表2に示す。 表2に示すとおり、ケルセチン配糖体の苦味に対する、水抽出コンドロイチン硫酸のマスキング効果が確認された。 (顆粒剤) 表3に示す配合にしたがって、原料粉末を混合し、混合粉末約3kgを調製した。バインダーとして60%エタノール水溶液600gを調製し、混合末に加えて練合機(HU-N、畑鐵工所製)にて練合を行なった後、押出造粒機(HU-G、畑鐵工所製)にて造粒した。スクリーンは目開き1.0mmのものを用いた。造粒物を乾燥機(MOV-112F、三洋電機製)にて60℃にて30分間乾燥後、16号(目開き1000μm)の篩で篩過した。さらに80号(目開き177μm)の篩で篩過を行い、篩を通過した微粉を取り除き、顆粒剤を得た。 調製した顆粒剤を6名のパネラーに1g経口摂取してもらい、10秒間口腔内に含んだ後飲み込んで摂取した際の香味について官能し、以下の基準にしたがって評価した。 3点:「苦い」 2点:「やや苦い」 1点:「弱い苦味を感じる」 0点:「ほとんど苦味を感じない」 6名のパネラーの評価を集計し、スコアの平均が3点以下2点超を×、2点以下1点超を△、1点以下0点を○とした。結果を表3に示す。 表3に示すとおり、ケルセチン配糖体の苦味に対する、水抽出コンドロイチン硫酸のマスキング効果が確認された。 (ペット用錠剤) 表4に示す配合にしたがって、原料粉末を混合し、混合粉末約3kgを調製した。各成分の混合は、原料粉末を混合機(寿ミックスウェルV-100、徳寿工作所製)に投入し、22rpmで5分間混合した。得られた混合粉末を、臼杵(HT-AP15SS-II、畑鉄工所製)を用いて打圧約2000kgf、回転速度約20rpm、直径10mmの条件で直径11mm、1錠あたり500mgとなるように直接打錠し、錠剤を得た。 以上より、水抽出コンドロイチン硫酸によりケルセチン配糖体の苦味がマスキングされたペット用錠剤を得ることができた。参考例:ドリンク剤の製造 有効成分換算量のケルセチン配糖体0.5g、および有効成分換算量の水抽出コンドロイチン硫酸(タンパク除去品)0.5gを計り取り、更に、N−アセチルグルコサミン10g、アスコルビン酸ナトリウム1.2g、ショ糖26.5g、クエン酸2.1g、無水カフェイン0.3mgを計り取った。これらの原料に水を加えて溶解し1000gとした。これを100gずつ褐色瓶に分注した後にレトルト殺菌し、本発明のドリンク剤を得た。 コンドロイチン硫酸を含有する軟骨水系溶媒抽出物とケルセチン配糖体とを含んでなる経口投与用固形製剤。 軟骨が魚類軟骨である、請求項1記載の経口投与用固形製剤。 魚類軟骨がサメ軟骨である、請求項2記載の経口投与用固形製剤。 ケルセチン配糖体が酵素処理ルチンである、請求項1〜3のいずれか一項記載の経口投与用固形製剤。 グルコサミン類をさらに含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項記載の経口投与用固形製剤。 錠剤または顆粒剤である、請求項1〜5のいずれか一項記載の経口投与用固形製剤。 コンドロイチン硫酸を含有する軟骨水系溶媒抽出物とケルセチン配糖体の重量比が、1:50〜200:1である、請求項1〜6のいずれか1項記載の経口投与用固形製剤。 前記コンドロイチン硫酸が、タンパク質との複合体として存在する、請求項1〜7のいずれか1項記載の経口投与用固形製剤。 機能性食品である、請求項1〜8のいずれか1項記載の経口投与用固形製剤。 コンドロイチン硫酸を含有する軟骨水系溶媒抽出物とケルセチン配糖体を配合することを含んでなる、ケルセチン配糖体を含有する経口投与用固形製剤の製造方法。 コンドロイチン硫酸を含有する軟骨水系溶媒抽出物を配合することを含んでなる、ケルセチン配糖体を含有する固形組成物の香味改善方法。


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