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タイトル:特許公報(B2)_アポラクトフェリン含有組成物
出願番号:2010519792
年次:2015
IPC分類:A61K 38/16,A61K 35/20,A61P 31/04


特許情報キャッシュ

母里 彩子 JP 5712429 特許公報(B2) 20150320 2010519792 20090708 アポラクトフェリン含有組成物 株式会社アップウェル 506307809 進藤 卓也 100163647 母里 彩子 JP 2008178652 20080709 20150507 A61K 38/16 20060101AFI20150416BHJP A61K 35/20 20060101ALI20150416BHJP A61P 31/04 20060101ALI20150416BHJP JPA61K37/14A61K35/20A61P31/04 A61K 38/00−38/58 A61K 35/00−35/76 A61K 8/00− 8/99 A61Q 1/00−99/00 A23L 1/27− 1/308 CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 特開平05−320068(JP,A) 特開昭62−249931(JP,A) 特開平03−181421(JP,A) 特開2007−137817(JP,A) 特開2008−063303(JP,A) 国際公開第2007/049757(WO,A1) 特開平08−112063(JP,A) 特開2001−054367(JP,A) 食品工業, 2008.06.30, Vol.51, No.12, p.26-31 JMARS News Letter, Vol.5, 2008.06.03, p.3,URL,URL:http://www.maillard.umin.jp/5th%20JMARS%20newsletter.pdf 2 JP2009062411 20090708 WO2010005012 20100114 14 20120305 佐々木 大輔 本発明は、アポラクトフェリンを含有する組成物に関する。 ラクトフェリンは、生体中で鉄運搬作用を担うトランスフェリンファミリーの鉄結合糖タンパク質であり、1960年に単離された。ラクトフェリンの機能については、殺菌または静菌作用、免疫機能の調節作用、有用な腸内細菌の保護および育成、フリーラジカル(含活性酸素)の抑制などに関する多くの研究が実施されており、特に、殺菌または静菌作用は効果が明確であることから研究が進んでいる。その殺菌または静菌の機序は、ラクトフェリンが細菌やウイルスの細胞膜にとりついて、細胞膜を壊すことによって直接的に菌を殺す、またはラクトフェリンが細菌の成長や維持に必要な鉄を奪い取り、細菌を鉄欠乏の状態にして、細菌の生存を抑制するという作用によると考えられる。 ラクトフェリンは、約690個の鎖状アミノ酸からなり、その三次元構造には2つの鉄結合ポケットがあり、当該ポケットに鉄が1個ずつ結合する。このポケットに鉄が100%結合したものを「ホロラクトフェリン」、そして鉄が結合していないものを「アポラクトフェリン」という。通常のウシ由来ラクトフェリンは、ポケットの15〜20%に鉄が入り込んでいるので、その粉末や溶液はピンク色をしており、鉄の結合度が高くなればなるほど赤みが増す。他方、鉄を取り除いたアポラクトフェリンは白色をしており、外観で容易に見分けがつく。アポラクトフェリンは、通常のラクトフェリンよりも求鉄性が高くなっており、抗菌または静菌効果が格段に高い。 ラクトフェリンは、フリーの鉄を結合・固定するために、抗酸化物質としても分類される。この求鉄作用が大きなアポラクトフェリンは、ラクトフェリンよりも抗酸化物質としての能力が高い。 アポラクトフェリンは上述したような有用な性質を有するので、種々の分野において利用されている。例えば、眼科用組成物、化粧品などのように、アポラクトフェリンを利用した種々の組成物が知られている(特許文献1〜4)。 ところで、各種還元糖とタンパク質(アミノ酸)との間に生じるメイラード反応は、食品の加工または貯蔵によって進行し、加工食品に色または香りを付与し、更には、食品成分を安定化させることで、抗酸化作用または抗変異原性を高めることが知られている。一方で、この反応が、生体内で生じた場合、特に、高血糖状態が持続する糖尿病患者には、反応生成物である終末糖化産物(AGEs)が生体作用物質として挙動し、一部のAGEsでは毒性を示すことも知られている。 AGEsは、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症などの糖尿病血管合併症の発症および進展に深く関わっていることが分かってきた。そのため、AGEsは、糖尿病診断において既に広く利用されている。ヘモグロビンA1C(HbA1C)は、メイラード反応前期のアマドリ転移物であり、食事の影響を受けないことから糖尿病診断の重要な指標となっている。メイラード反応前期で、アマドリ転移物が酸素(O2)を一電子還元して、活性酸素であるスーパーオキシドアニオンを発生させる。この反応は、常態でも進行するが、生体内のように、銅または亜鉛のような遷移金属が豊富に存在する環境ではその触媒作用により、活性酸素の発生は100倍以上に増加する。さらに、発生したスーパーオキシドアニオンは、過酸化水素(H2O2)およびヒドロキシラジカル(・OH)を派生させる。加えて、これらの活性酸素が身体の中の一酸化窒素(NO)と反応して、酸化力の大きなペルオキシナイトライト(ONOO−)を産生し、これらのフリーラジカルが臓器として繊細な眼、腎臓、血管内皮などを傷害する。また、メイラード反応後期で、生成した(不可逆的な)AGEsが、AGEs受容体(Receptor of AGEs; RAGEと略される)を介して血管内皮細胞または血管平滑筋細胞、あるいはマクロファージの細胞内に信号を伝え、種々の障害を引き起こすことが明らかになっている。しかし、RAGEを遺伝的に発現しないようにしたり、RAGEの抗体を大量に投与したりしても、AGEsによる細胞障害性を完全には防ぐことができないことも分かっている。したがって、AGEsがRAGEを介することなく直接細胞に障害をもたらす機序も存在することが示唆されている。これらの血中のAGEsは、糖尿病だけでなく、加齢によりAGEsの代謝および排泄が減弱した老化によっても増加する。 身近な加工食品の中にも多種のAGEsが少なからぬ量存在している。パン、ビスケット、味噌、醤油、日本酒、ビール、ココア、ワインなどの食品の茶褐色画分の多くが、AGEsに起因する。AGEsの産生量は、加工時の温度、pH、溶解酸素濃度などによって規定される。これら、加工食品中のAGEsの多くが消化管内で消化および分解され、身体の中へ吸収される。摂取したAGEsのうち6〜7%が生体内に留まると試算されている。腎臓病患者では、AGEsの排泄が進まないために、生体内に留まる割合が高くなることが報告されている。このことから、食物性(つまり外来性)AGEsが、身体の中で、生体作用物質AGEsとして機能する可能性があることが示唆されている。 ラクトフェリンがAGEsと高い結合性を有することは早くから知られていたが、その詳細な研究成果が発表されるようになったのは1990年代からである。ラクトフェリンは、AGEsに結合する2つのドメインを有し、それらは17個から18個のアミノ酸のループであることが分かっている。このループの端にはそれぞれシステインが付いていることから、システインループと呼ばれることもある。このループは、著しい親水性を呈することが分かっており、他のAGEsに比較的結合しやすいペプチドであるライソザイムやディフェンシンなどの結合部位も同様に高い親水性を示すことから、AGEsとタンパク質あるいはペプチドとの結合には親水性環境が有利であることが示唆されている。 AGEsの結合性について、アポラクトフェリンと通常のラクトフェリンとの間には大きな差はなく、僅かに、アポラクトフェリンの結合性が通常のラクトフェリンを上回る程度である(アポラクトフェリンとの解離定数:2.0×10−7M;通常のラクトフェリンとの解離定数:2.4×10−7M)。この結合性の僅かな高まりは、ラクトフェリンのアポ化による三次元構造の変化に起因すると考えられる。特開2007−137817号公報特開2007−277153号公報特開2008−63303号公報国際特許出願公開第2008/032847号公報特開2006−188446号公報 本発明は、アポラクトフェリンを含有する有用な組成物を提供することを目的とする。 本発明は、アポラクトフェリンと、終末糖化産物結合剤、抗酸化物質および抗菌物質からなる群から選択される少なくとも1種とからなる組成物を提供する。 1つの実施態様では、上記終末糖化産物結合剤は、ホエイをエンドプロテアーゼ、エキソプロテアーゼ、およびエンドペプチダーゼで加水分解することにより得られる乳成分加水分解物である。 本発明によれば、アポラクトフェリンを、終末糖化産物結合剤、抗酸化物質または抗菌物質と組み合わせることにより、有用な効果を発揮する組成物が提供される。アポラクトフェリン単独(グルコース由来AGE非添加)、グルコース由来AGE添加時のアポラクトフェリン、およびグルコース由来AGE添加時のアポラクトフェリンおよび終末糖化産物結合剤による大腸菌培養液における吸光度を示すグラフである。アポラクトフェリン単独(グリセルアルデヒド由来AGE非添加)、グリセルアルデヒド由来AGE添加時のアポラクトフェリン、およびグリセルアルデヒド由来AGE添加時のアポラクトフェリンおよび終末糖化産物結合剤による大腸菌培養液における吸光度を示すグラフである。アポラクトフェリンと種々の濃度のα−トコフェロールとの組み合わせの抗酸化力を示すグラフである。アポラクトフェリンと種々の濃度のアスコルビン酸との組み合わせの抗酸化力を示すグラフである。 (アポラクトフェリン) アポラクトフェリンとは、ラクフェリン分子中に結合されている鉄が遊離した糖蛋白分子である。本発明で使用するアポラクトフェリンは特に限定されないが、以下の特性を有することが好ましい。 アポラクトフェリンは、その分子中の鉄結合度が5%以下、好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下であることが好ましい。ここで、鉄結合度とは、アポラクトフェリンのモル数に対する鉄のモル数の割合をいう。鉄結合度は、分光分析によりアポラクトフェリンの吸光度を測定すること、あるいは原子吸光分析や誘導結合プラズマ(ICP)分光分析によりアポラクトフェリン中の鉄量を直接測定することによって決定され得る。本発明においては、鉄結合度は、アポラクトフェリン粉末を純水に溶解して1w/v%溶液とし、これを470nmの吸光度で測定して求めたものをいう。 アポラクトフェリンは、1w/v%の濃度でアポラクトフェリンを含む水溶液を調製した場合に、該水溶液中の総陽イオン濃度が5mmol/L以下であることが好ましい。総陽イオン濃度の決定は、アポラクトフェリン粉末を0.1N塩酸に溶解して0.1w/v%溶液を調製し、原子吸光光度法によって各陽イオン量を測定することにより各陽イオンの濃度を求め、これらを合算する。総陽イオン濃度は、アポラクトフェリン粉末に不純物として含有される塩(イオン)に相当し得る。上記の0.1N塩酸によって、ラクトフェリンに結合しているイオンではなく、その粉末に混入している塩のみが溶け出され得るためである。総陽イオン濃度は、好ましくは、3mmol/L以下であり、より好ましくは、1mmol/L以下である。 アポラクトフェリンは、通常、ラクトフェリンを含有する水溶液のpHを、酸性側に調節して、ラクトフェリン分子が有する2価の鉄イオンを解離させることにより、製造され得る。 アポラクトフェリンの原料となるラクトフェリンは、乳汁(例えば、牛乳)などの哺乳動物の分泌液または脱脂乳、ホエイ(乳清)などの乳汁加工物からの分離精製(例えば、カチオン交換樹脂に吸着させた後、高濃度塩類溶液で脱離させる方法、電気泳動による分離法、アフィニティークロマトグラフィーによる分離法など)を利用することによって得られたものであってもよい。さらに遺伝子組換えした種々の細胞(微生物、植物細胞、動物細胞、昆虫細胞などを含む)、植物、動物などにより産生されたものであってもよい。ラクトフェリンは、医薬品、試薬などとして市販されているものであってもよい。ラクトフェリンは、好ましくは、天然物に由来し、より好ましくは、乳清由来のものである。牛乳または脱脂乳から乳製品(例えば、チーズ、カゼインなど)を製造する際に発生する副産物として得られるホエイは、ラクトフェリンの供給源として好適に用いられ得る。 アポラクトフェリンは、好適には、例えば、ラクトフェリン含有液を限外濾過する際に該液に酸を添加し、ラクトフェリンに結合している鉄イオンを解離させることによって製造され得る。ここで用いられ得る酸としては、例えば、クエン酸、塩酸、リン酸、リンゴ酸、または(0.4M以上の)酢酸が挙げられるが、クエン酸が好ましい。あるいは、アポラクトフェリンは、例えば、カチオン交換膜とアニオン交換膜とが張り合わさった構造を有する複合イオン交換膜であるバイポーラ膜とカチオン交換膜とが交互に配列されて、これらの膜により仕切られた酸室と塩基室とを有する電気透析装置を使用することによっても、好適に製造され得る(例えば、特許文献5)。この場合、酸としては、電気透析装置での製造工程の間に産生される塩酸が用いられる。 アポラクトフェリンの製造において、調節される酸性側のpHは、好ましくは0.5〜3であり、より好ましくは1.5〜2.5である。pHが中性に近い場合(例えば、5.5)では、得られるアポラクトフェリンの抗菌性が弱くなることがある。ラクトフェリンを含有する水溶液のpH調整剤としては、上記酸だけでなく、フタル酸、グリシンなども用いられ得る。これらのpH調整剤は、ラクトフェリンを含有する水溶液に、そのpHを上記の値に調節するに適切な量で添加される。 ラクトフェリンを含有する水溶液のpHを酸性側へ調節する際の温度は、蛋白の変性を考慮すると高温でないほうが好ましい。通常5℃〜60℃、より好ましくは15℃〜35℃であり、さらにより好ましくは室温である。 本発明におけるアポラクトフェリンの具体的な製造については、以下の調製例1に詳述するが、アポラクトフェリンの製造方法はこれらに限定されない。また、アポラクトフェリンとして市販されているものを上記の鉄結合度および総陽イオン濃度を有するように改質してもよい。 アポラクトフェリンの製造の際に、通常、アポラクトフェリンは水溶液の形態で得られ得る。水溶液の形態を用いても、あるいは溶媒を除去して粉末化した形態を用いてもよい。 (終末糖化産物結合剤) 終末糖化産物結合剤としては、乳成分加水分解物が好適に用いられ得る。乳成分加水分解物は、ホエイをエンドプロテアーゼ、エキソペプチダーゼ、およびエンドペプチダーゼで処理することにより調製され得る。このため、「ホエイ加水分解物」ともいう。ホエイは、乳タンパク質の主成分であるカゼインが生乳(例えば牛乳)から取り除かれている乳由来成分である。牛乳または脱脂乳から乳製品(例えば、チーズ、カゼインなど)を製造する際に発生する副産物として得られるホエイは、乳成分加水分解物を調製するために好適に用いられ得る。 AGEs(特にグリセルアルデヒド由来AGE)に結合可能であり、そして好ましくは皮膚膜を透過可能である、乳成分加水分解物を調製できれば、ホエイを処理する酵素の種類および作用様式は問わない。乳成分加水分解物を調製するための出発材料としては、乳汁(例えば、牛乳)などの哺乳動物の分泌液または脱脂乳もまた用いられ得るが、この場合、酵素で処理する前にカゼインを除去することが好ましい。ホエイ中の乳由来タンパク質に対するタンパク質分解酵素の処理条件(温度および時間を含む)は、タンパク質の変性および酵素の作用温度を考慮して適宜決定され得る。 エンドプロテアーゼとしては、ウシ胃粘膜由来ペプシン;E.C.3.4.23.1が好ましく、エキソペプチダーゼとしては、Aeromonas Proteolytica由来アミノペプチダーゼ;E.C.3.4.11.10が好ましく、エンドペプチダーゼとしては、ウシ膵臓由来キモトリプシンII型;E.C.3.4.21.1が好ましい。エンドプロテアーゼ、エキソペプチダーゼ、およびエンドペプチダーゼの酵素の処理温度は、好ましくは20〜60℃、より好ましくは40〜60℃であり、なおより好ましくは約50℃である。エンドプロテアーゼ、エキソペプチダーゼ、およびエンドペプチダーゼは、同時に作用させても、あるいは別々に作用させてもよい。同時に作用させる場合、処理時間は、好ましくは0.5〜5時間、より好ましくは1〜3.5時間である。作用させる組合せの比率は、Unit/1kgタンパク質で、好ましくは、1〜1000:1〜10:1〜100であり、より好ましくは、100〜1000:1〜2:5〜20であり、なおより好ましくは、約1000:1:10である。 乳成分加水分解物を調製するには、以下の調製例2と実質的に同様にして、ホエイにタンパク質分解酵素を作用させることが好ましい。 乳成分加水分解物は、製品または組成物に含有させる場合、水溶液の形態であっても、あるいは溶媒を除去して粉末化した形態(例えば、凍結乾燥による)であってもよい。 乳成分加水分解物は、AGEs、特にグリセルアルデヒド由来AGEに対する結合性を有する。例えば、乳成分加水分解物は、食品として摂取した場合、食物性のAGEsを吸着して腸管からの吸収を阻害し、これにより食物性AGEsから体内で転換されるグリセルアルデヒド由来AGE量を減ずる。また、体内に導入した場合は、抗グリセルアルデヒド由来AGE剤として、あるいはグリセルアルデヒド由来AGEが関与する疾患、例えば、糖尿病およびその合併症、またはアルツハイマー病の予防または治療剤として有用である。糖尿病罹患患者において、または老化に伴って、血中AGEs濃度が上昇することが知られており、血中のAGEs(特に、グルコース由来AGE)の上昇によって、血中の血管障害マーカーである単球走化活性化因子(MCP−1)も増加し得るが、乳成分加水分解物は、そのような血中のAGEs濃度の上昇に起因し得るMCP−1の増加を抑制し得る。 乳成分加水分解物は、好ましくは、皮膚を透過することができる。このような乳成分加水分解物は、市販の人工皮膚膜(例えば、東レ株式会社から入手可能)を透過し得る。人工皮膚膜は、分子量約2000をカットオフ可能な膜であり得る。このような乳成分加水分解物は、皮下のAGEsの蓄積を抑制する素材としても利用可能であり、化粧料などとして用いられる。 (抗酸化物質) 抗酸化物質とは、フリーラジカル捕捉能を有する任意の物質をいう。抗酸化作用が優れるもの、または生体への安全性の高いものが好ましい。以下に詳述する分野の製品に適した、あるいはそれらへの適用が認可されている抗酸化物質が好ましい。抗酸化物質としては、例えば、アスコルビン酸、α−トコフェロール、ポリフェノール類(カテキン、クルクミン、アントシアニン、カカオマスポリフェノール、イソフラボン、ルチンなど)、カロテノイド(リコピン、α−カロテン、カプサイシンなど)、硫化アリル、サポニン、セサミンなどが挙げられるが、これらに限定されない。また、抗酸化物質は当業者に容易に入手可能であり、市販または自家調製などの手段によって入手され得る。 (抗菌物質) 抗菌物質とは、菌体への殺菌作用、滅菌作用、または静菌作用を有する任意の物質をいう。抗菌作用が優れるもの、または生体への安全性の高いものが好ましい。以下に詳述する分野の製品に適した、あるいはそれらへの適用が認可されている抗菌物質が好ましい。本明細書中でいう「抗菌物質」とは、アポラクトフェリンを除く。抗菌物質としては、例えば、クエン酸、ナイシン、アスコルビン酸、ポリ−L−リジン、グリシン、メチルパラベン、塩化セチルピリジニウム(CPC)、安息香酸、ソルビン酸、銀、ビタミンK2(メナキノン)、ピコリン酸、イミダゾール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,3−ブチレングリコールなどが挙げられるが、これらに限定されない。上で説明した終末糖化産物結合剤(特に、乳成分加水分解物)は、抗菌物質としても用いられ得る。また、抗菌物質は当業者に容易に入手可能であり、市販または自家調製などの手段によって入手され得る。 (組み合わせからなる組成物) アポラクトフェリンは、終末糖化産物結合剤、抗酸化物質および抗菌物質のうちの少なくとも1種との組み合わせで有用な作用または効果を発揮し得る。アポラクトフェリンは、終末糖化産物結合剤との組み合わせで抗菌性を増強し得、またAGEs過多の状態であっても抗菌性を発揮し得る。抗酸化物質との組み合わせで抗酸化力を増強し得る。抗菌物質との組み合わせで抗菌性を増強し得る。したがって、上記に示した組み合わせからなる組成物が提供される。 上記に示した組み合わせからなる組成物は、使用形態として、上記に示した組み合わせとなるように個々の物質を別々に製品に添加(添加剤として用いる)しても、あるいは上記に示した組み合わせからなる組成物を含む製品として提供されてもよい。このような製品には、組み合わせの効果を妨げない限りで他の任意の材料、添加剤などを含み得る。上記に示した組み合わせからなる組成物は、食品、化粧品、口内清浄剤、皮膚外用剤、眼科用製品、表面被覆剤(例えば、食品包装容器または缶用)、ポリマー添加剤、消臭剤(例えば、消臭ミスト)、洗剤、香水などの分野に好適に用いられ得る。例えば、アポラクトフェリンおよび抗菌物質を、眼科用製品に通常用いられ得る成分と合わせて眼科用製品を調製することができる。 製品は、溶液の形態であっても、あるいは溶媒を除去して粉末化した形態(例えば、凍結乾燥による)であってもよい。 製品が溶液の形態である場合、該製品中に、アポラクトフェリンは、例えば0.01〜20、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.5〜5の濃度(単位はw/v%)となるように含有または添加され得る。終末糖化産物結合剤は、例えば0.05〜20、好ましくは0.1〜10、より好ましくは0.5〜3の濃度(単位はw/v%)となるように含有または添加され得る。抗酸化物質は、例えば0.01〜10、好ましくは0.05〜5、より好ましくは0.1〜2の濃度(単位はw/v%)となるように含有または添加され得る。抗菌物質は、例えば0.01〜10、好ましくは0.05〜5、より好ましくは0.1〜2の濃度(単位はw/v%)となるように含有または添加され得る。 以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこの実施例によって限定されるものではない。 (調製例1:アポラクトフェリンの製造) マイクローザUFラボテスト機(LX−22001;旭化成ケミカルズ株式会社)に、同社製のUFモジュールであるLOV(中空糸モジュール:膜内径0.8mm、有効膜面積41m2、膜素材:ポリアクリロニトリル、公称分画分子量:50,000)を組み込んだ限外濾過装置を用いて、以下のようにアポラクトフェリンを製造した。 50mg/mLのラクトフェリン(フォンテラ製;鉄結合度は約20%)溶液を10kg用いた。アポラクトフェリンの製造工程において、ラクトフェリンを0.1Mクエン酸で処理した。まず、上記ラクトフェリン溶液を装置の供給タンクに投入し、10分間循環させた後、5秒間逆方向に循環させて、溶液を濃縮した。このとき、UF膜の入口および出口の圧力、循環液流量を、それぞれ0.12Mpa、0.08Mpa、15L/分と設定した。この操作を非透過の濃縮液が半減するまで繰り返した(これを1ラウンドとする)。次いで、ラクトフェリン溶液の代わりにクエン酸溶液をタンクに投入し、上と同様の操作を2ラウンド行った。次いで、8MΩ・cm以上の純水をタンクに投入し、上記の操作を5ラウンド行い、非透過の濃縮液中に残存する酸を除去した。なお、循環液の温度は、製造工程を通して10〜28℃の範囲内であり、pHは2〜3であった。 上記製造工程により、40kgの濃縮液を得た。次いで、濃縮液を凍結乾燥し、9.5gの白色粉末を得た。 各酸処理により得られた粉末がアポラクトフェリンであることおよびアポラクトフェリンの純度を、粉末を純水に溶解後、BIOXYTECH(登録商標)Lacto f EIATM(OXIS International Inc. 米国・オレゴン)を用いて抗体定量を行うことにより決定した。 さらに、各酸処理により得られた粉末の鉄結合度を、粉末を純水に1w/v%の濃度になるように溶解し、次いで、アポラクトフェリンに結合している鉄量を470nmの吸光度で測定することにより決定した。得られたアポラクトフェリンの鉄結合度をそれぞれ表1に示す。ここで、鉄結合度は、鉄結合度(%)=(1w/v%溶液中の鉄モル数/1w/v%溶液中のアポラクトフェリンモル数)×100によって算出した。鉄結合度は2.95%であった。 なお、この鉄結合度2.95%のアポラクトフェリンの総陽イオン濃度を測定した。アポラクトフェリンの凍結乾燥粉末に0.1N塩酸を加え、0.1w/v%アポラクトフェリン溶液を調製し、原子吸光光度法によってNa、K、Ca、Mg、およびCuについて測定することにより、これらの各陽イオンの濃度を求め、合計したものを総陽イオン濃度と換算したところ、総陽イオン濃度は3.9mmol/Lであった。 (調製例2:終末糖化産物結合剤の製造) ウシの生乳からカゼインナトリウムを製造した後の残りのホエイをタツア・ジャパン株式会社から入手した。このホエイにエンドプロテアーゼ(ウシ胃粘膜由来ペプシン;E.C.3.4.23.1;シグマ社)1000Unit/1kgタンパク質、エキソペプチダーゼ(Aeromonas Proteolytica由来アミノペプチダーゼ;E.C.3.4.11.10;シグマ社)1Unit/1kgタンパク質、およびエンドペプチダーゼ(ウシ膵臓由来キモトリプシンII型;E.C.3.4.21.1;シグマ社)10Unit/1kgタンパク質を添加し、50℃にて3.5時間処理した。このような酵素処理により得られた加水分解物を凍結乾燥し、ホエイ加水分解物を得た。 凍結乾燥したホエイ加水分解物を10mg/mLとなるように純水に溶解し、これをA液とした。人工皮膚膜(東レ株式会社)を中心に挟んだ両側の相を有する横置型膜透過セルを作製した。この膜透過セルの片側の相にA液を入れ、そしてもう一方の相には純水を入れて、セル全体を25℃の水を循環させることによって定温とした。両相を120rpmの速度で10分間攪拌した。10分の攪拌後、純水を入れた相から溶液を取り出し、これをB液とした。 凍結乾燥したホエイ加水分解物を純水に溶解したA液(攪拌開始前の溶液)およびB液の内容物を、経皮吸収評価法試験で用いられる方法に準じて、以下に記載する条件下で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって測定した: カラム ODS(資生堂製) 4.6×150mm 溶離液 A:0.02%(v/v)TFA(溶媒H2O) B:0.016%(v/v)TFA(溶媒ACN) A:B=95:5(v/v)で使用 流速 0.75ml/分 温度 40℃ 検出器UV 220nm。 その結果、人工皮膚膜を透過してA液からB液に移動した物質が存在した。 上記のA液およびB液について、分子間相互作用定量水晶天秤(QCM)装置「AFFINIXQ」(型番:QCM2000;株式会社イニシアム)を用いて、グリセルアルデヒド由来AGE(以下の参考例にて調製)との相互作用(解離定数)を調べた。 分子間相互作用定量水晶天秤(QCM)装置「AFFINIXQ」(型番:QCM2000;株式会社イニシアム)の専用センサーチップに、100μg/mLのグリセルアルデヒド由来AGE 1μLを滴下し、十分に風乾し、次いで超純水でチップを洗浄した。グリセルアルデヒド由来AGEを固定したチップを上記装置に装着し、8mLの超純水を入れた試験容器に挿入した。上記A液またはB液の凍結乾燥物を超純水で1mg/mLとした被験物質溶液を8μL取り、試験容器に添加した。装置のディスプレイ上でチップ上のグリセルアルデヒド由来AGEと被験物質との結合が安定になったことを確認し、上記被験物質溶液8μLをさらに添加する。この操作を2〜4回繰り返し、グリセルアルデヒド由来AGEと被験物質との相互作用を示す平衡曲線(吸着曲線)を作成した。装置に内蔵した専用測定解析ソフトウェアで結果を解析し、解離定数を算出した。 A液およびB液のそれぞれについて、ソフトウェアによる解析から、A液では解離定数Kd=1.60×10−4Mであり、そしてB液では解離定数Kd=5.87×10−4Mであった。したがって、攪拌前の溶液であるA液に溶解している物質も人工皮膚膜透過により得られたB液に溶解している物質の両方ともグリセルアルデヒド由来AGEに対する結合性を有していた。このことにより、ホエイ加水分解物(および人工皮膚膜を透過した物質)が、グリセルアルデヒド由来AGEに対する結合性を有することが確認できた。 したがって、以下の実施例では、上記のように酵素処理した後に凍結乾燥したホエイ加水分解物(以下、単に「凍結乾燥ホエイ加水分解物」という)を用いた。 (参考例:終末糖化産物の製造) まず、360mgのDL−グルコースおよびキレート剤として39mgのジエチレントリアミン−五酢酸をそれぞれ秤量し、50mLのファルコンチューブに入れた。次いでファルコンチューブに0.2Mリン酸緩衝液(pH7.4)を20mL添加して、ボルテックスミキサーにてDL−グルコースおよびジエチレントリアミン−五酢酸を溶解した。さらにファルコンチューブにヒト血清アルブミン(HSA)(Sigma社製)を500mg添加し、ボルテックスミキサーにて溶解した。次いで、得られた溶液をクリーンベンチ内でポアサイズ0.22μmのフィルターを通すことによって無菌溶液とした。パラフィルムにて50mLファルコンチューブの蓋を密封し、37℃で1週間インキュベートし、DL−グルコースとHSAとを反応させた。インキュベーション後、溶液をPD−10カラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)にかけて未反応のDL−グルコースを除き、その結果をHPLCで確認し、グルコース由来終末糖化産物(グルコース由来AGE)画分を得た。 他方、180mgのDL−グリセルアルデヒドおよびキレート剤として39mgのジエチレントリアミン−五酢酸をそれぞれ秤量し、50mLのファルコンチューブに入れた。次いでファルコンチューブに0.2Mリン酸緩衝液(pH7.4)を20mL添加して、ボルテックスミキサーにてDL−グリセルアルデヒドおよびジエチレントリアミン−五酢酸を溶解した。さらにファルコンチューブにヒト血清アルブミン(HSA)(Sigma社製)を500mg添加し、ボルテックスミキサーにて溶解した。次いで、得られた溶液をクリーンベンチ内でポアサイズ0.22μmのフィルターを通すことによって無菌溶液とした。パラフィルムにて50mLファルコンチューブの蓋を密封し、37℃で1週間インキュベートし、DL−グリセルアルデヒドとHSAとを反応させた。インキュベーション後、溶液をPD−10カラム(GEヘルスケアバイオサイエンス社製)にかけて未反応のDL−グリセルアルデヒドを除き、その結果をHPLCで確認し、グリセルアルデヒド由来糖化産物(グリセルアルデヒド由来AGE)画分を得た。 上記のようにして得た画分中のグルコース由来AGEまたはグリセルアルデヒド由来AGEの生成を、モノクローナル抗体を用いたELISA法で確認した。抗グルコース由来AGEモノクローナル抗体または抗グリセルアルデヒド由来AGEモノクローナル抗体は、東洋紡株式会社に委託して、グルコース由来AGEまたはグリセルアルデヒド由来AGEを抗原としてマウスから作製した。これらの抗モノクローナル抗体をビオチン化試薬EZ-Link(登録商標)Sulfo-NHS-Biotinylation Kit(PIERCE、商品コード21420)でビオチン化し、さらにこのビオチン化抗モノクローナル抗体にストレプトアビジン ペルオキシダーゼ標識(ナカライテスク、商品コード02517−61)を結合した。ELISA POD基質A.B.T.Sキット(ナカライテスク、商品コード14351−80)を用いて、HSA抗体(RayBiotech, Inc)を固相化したウェルに、上記にて調製したいずれかの終末糖化産物およびペルオキシダーゼ標識ストレプトアビジンを結合したビオチン化抗モノクローナル抗体を添加して、化学発光を検出することによりこれらの終末糖化産物、グルコース由来AGEおよびグリセルアルデヒド由来AGEの生成を確認した。 (実施例1) 抗菌性試験に用いる菌体を以下のように調製した。独立行政法人 製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部 生物遺伝資源部門(NBRC)から購入した大腸菌(NBRC 3972)をSCDブイヨン(日水製薬株式会社)5mL中に継代培養法にて液体中に保存した。この保存していた大腸菌液50μLをSCDブイヨン(日水製薬株式会社)5mL中に接種し、振盪水浴中で30℃にて16時間培養した。培養後の菌液を滅菌水で希釈し、107倍までの10倍段階希釈液を調製した。 抗菌性を調べる試験系列を以下のように調製した。96ウェル平底マイクロプレート(BD Falcon)に、8w/v%のアポラクトフェリン(調製例1にて調製)の水溶液(ポアサイズ0.22μmのフィルターで除菌)を滅菌水で倍数希釈し、各50μLの希釈系列を調製した。ウェル中のアポラクトフェリン濃度は、0〜2w/v%であった。それぞれにポアサイズ0.22μmのフィルターで除菌した10w/v%の終末糖化産物(参考例にて調製したグルコース由来AGEまたはグリセルアルデヒド由来AGE)を50μL添加してこれらの最終濃度が2.5w/v%となるようするか、または滅菌水50μLを添加し、グルコース由来AGEまたはグリセルアルデヒド由来AGEの添加系列および終末糖化産物添加なしの系列を得た。さらに、グルコース由来AGEまたはグリセルアルデヒド由来AGEの添加系列に、調製例2にて調製した凍結乾燥ホエイ加水分解物(終末糖化産物結合剤)を最終濃度が2.5w/v%となるように添加して、終末糖化産物結合剤添加系列も得た。 これらの系列に4倍濃度のSCDブイヨン(日水製薬株式会社)50μLおよび上記で調製した105倍希釈の菌液50μLを加えた。コントロールとして、菌を接種しない系も調製した。 上記マイクロプレート試験系および上記シャーレ試験系を35℃にて24時間培養した。培養後、試験マイクロプレートは、マイクロプレートリーダー(マルチスキャンJX Thermo Labsystems)にて、630nmの波長で濁度(吸光度)を測定し、培養後の菌の増減を調べた。 終末糖化産物が添加された場合のアポラクトフェリンおよび終末糖化産物結合剤の併用による抗菌性を調べた結果を図に示す(図1:グルコース由来AGEが添加された場合;図2:グリセルアルデヒド由来AGEが添加された場合)。図1は、アポラクトフェリン単独(グルコース由来AGE非添加)、グルコース由来AGE添加時のアポラクトフェリン、およびグルコース由来AGE添加時のアポラクトフェリンおよび終末糖化産物結合剤による大腸菌培養液における吸光度を示すグラフである。図2は、アポラクトフェリン単独(グリセルアルデヒド由来AGE非添加)、グリセルアルデヒド由来AGE添加時のアポラクトフェリン、およびグリセルアルデヒド由来AGE添加時のアポラクトフェリンおよび終末糖化産物結合剤による大腸菌培養液における吸光度を示すグラフである。図1および図2とも、横軸は培養液中のアポラクトフェリン濃度(%)(w/v)を示す。縦軸は吸光度を示し、吸光度が低いほど生菌数が少ない、すなわち抗菌活性が高いことを表す。図中、白丸がアポラクトフェリン溶液に何も添加していない場合の結果、黒丸がアポラクトフェリン溶液に各AGE(図1はグルコース由来AGE、図2はグリセルアルデヒド由来AGE)を添加した場合の結果、そして白四角がアポラクトフェリン溶液に各AGEおよび終末糖化産物結合剤を添加した場合の結果を表す。 これらの図から明らかなように、アポラクトフェリン溶液にいずれのAGEを添加した場合も抗菌作用が阻害された。しかし、アポラクトフェリン溶液に各AGEおよび終末糖化産物結合剤を添加した場合、アポラクトフェリン単独の抗菌作用には及ばないとしても、AGEによる抗菌作用の阻害が終末糖化産物結合剤により抑制された。なお、グルコース由来AGEの被検体への投与によって、投与濃度依存的に該被検体の血中グリセルアルデヒド由来AGE濃度が増加することが判明している。本実施例の結果からは、グルコース由来AGEおよびグリセルアルデヒド由来AGEのようなAGEsが体内蓄積された場合、アポラクトフェリンの効果が阻害され得るが、終末糖化産物結合剤との併用によりそのような場合であってもアポラクトフェリンの効果が発揮され得ることが示され得る。 (実施例2) 菌体の調製は、実施例1と同様に行った。次いで、96ウェル平底マイクロプレート(BD Falcon)に、8w/v%のアポラクトフェリン(調製例1にて調製)の水溶液(ポアサイズ0.22μmのフィルターで除菌)を滅菌水で倍数希釈し、各50μLの希釈系列を調製した。ウェル中のアポラクトフェリン濃度は、0〜2w/v%であった。それぞれのアポラクトフェリン濃度の系に、ポアサイズ0.22μmのフィルターで除菌8w/v%の種々の試薬(以下の表1に示す)を滅菌水で倍数希釈したものを50μLずつ添加し、試験系を調製した。用いた組み合わせ試薬は以下の通りである:クエン酸(ナカライテスク株式会社)、凍結乾燥ホエイ加水分解物(調製例2にて調製)、ナイシン(SIGMA)、アスコルビン酸(ナカライテスク株式会社)、ポリ−L−リジン(SERVA Electrophoresis GmbH)、グリシン(和光純薬工業株式会社)、メチルパラベン(和光純薬工業株式会社)、塩化セチルピリジニウム(CPC)(和光純薬工業株式会社)。アポラクトフェリンおよび組み合わせ試薬をそれぞれ0、0.03、0.06、0.13、0.25、0.5、1、2(単位はw/v%)の濃度で組み合わせて試験系とした。次いで、これらの試験系に対して、実施例1と同様に菌体接種および培養し、培養後の菌の増減を調べた。最小発育阻止濃度(MIC)を決定し、fractional inhibitory concentration index (FIC index)を下記の計算式に従い算出した: FIC index=併用時のApo溶液MIC/単独時のApo溶液MIC+併用時の併用試薬MIC/単独時の併用試薬MIC 得られたFIC indexより、≦0.5を相乗効果、0.5<〜<2を相加効果、=2を無関係、>2を拮抗関係として評価を行った。表1に結果を示す。 用いたいずれの試薬も、アポラクトフェリンと組み合わせることにより、抗菌性が増強された。 (実施例3) 20w/v%のDL−α−トコフェロール(CALBIOCHEM)のジメチルスルホキシド溶液を調製した。この5μLを2w/v%のアポラクトフェリン(調製例1にて調製)の水溶液500μLに添加し、次いで超純水にてα−トコフェロール濃度が0.1w/v%となるよう調製した。同様にして、α−トコフェロール濃度が0.05、0.025、および0.01(単位はw/v%)となるよう調製し、試験試料を得た。 他方、2w/v%のアポラクトフェリン(調製例1にて調製)の水溶液と倍数希釈したL−アスコルビン酸(ナカライテスク;特級)を1:1で混合し、最終的に、アスコルビン酸濃度が、0.1、0.05、0.025、および0.01(単位はw/v%)となるように調製し、試験試料を得た。 製造者のプロトコルに従って試験試料をFRAS4(活性酸素・フリーラジカル自動分析装置;株式会社ウイスマー)に供し、抗酸化力を測定した。 図3は、アポラクトフェリンと種々の濃度のα−トコフェロールとの組み合わせの抗酸化力を示す。横軸は培養液中のα−トコフェロール濃度(%)(w/v)を示す。縦軸は抗酸化力(μmol/L)を示す。図中、白丸がα−トコフェロール単独の場合の結果、そして黒丸がアポラクトフェリン溶液にα−トコフェロールを添加した場合の結果を表す。抗酸化効果において、相加効果を有することが明らかとなった。 図4は、アポラクトフェリンと種々の濃度のアスコルビン酸との組み合わせの抗酸化力を示す。横軸は培養液中のアスコルビン酸濃度(%)(w/v)を示す。縦軸は抗酸化力(μmol/L)を示す。図中、白丸がアスコルビン酸単独の場合の結果、そして黒丸がアポラクトフェリン溶液にアスコルビン酸を添加した場合の結果を表す。抗酸化効果において、相加効果を有することが明らかとなった。 本発明によれば、食品、化粧品、口内清浄剤、皮膚外用剤、眼科用製品、表面被覆剤(例えば、食品包装容器または缶用)、ポリマー添加剤、消臭剤(例えば、消臭ミスト)、洗剤、香水などに好適に利用可能な組成物が得られる。 アポラクトフェリンと、ウシの生乳からカゼインナトリウムを製造した後の残りのホエイをエンドプロテアーゼ、エキソプロテアーゼ、およびエンドペプチダーゼで加水分解することにより得られるホエイ加水分解物とを含有する抗菌性組成物。 前記ホエイ加水分解物が、終末糖化産物(AGEs)との結合作用を有する、請求項1に記載の抗菌性組成物。


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