タイトル: | 特許公報(B2)_ヘリコバクターピロリ菌の駆除剤 |
出願番号: | 2010519615 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 33/00,A61K 31/198,A61K 31/375,A61K 33/26,A61K 33/30,A61K 33/34,A61K 33/38,A61K 47/20,A61K 47/34,A61K 47/18,A61P 31/04,A61P 1/04,A61K 31/235,A61K 31/192,A61K 31/19,A61K 31/428,A61K 31/7048,A61K 45/00 |
秦 忠世 秦 知世 真木 修一 丸岡 俊之 JP 5434915 特許公報(B2) 20131220 2010519615 20080711 ヘリコバクターピロリ菌の駆除剤 パナセア ディシンフェクタント カンパニー リミテッド 506426100 柳野 隆生 100074561 森岡 則夫 100124925 関口 久由 100141874 秦 忠世 秦 知世 真木 修一 丸岡 俊之 20140305 A61K 33/00 20060101AFI20140213BHJP A61K 31/198 20060101ALI20140213BHJP A61K 31/375 20060101ALI20140213BHJP A61K 33/26 20060101ALI20140213BHJP A61K 33/30 20060101ALI20140213BHJP A61K 33/34 20060101ALI20140213BHJP A61K 33/38 20060101ALI20140213BHJP A61K 47/20 20060101ALI20140213BHJP A61K 47/34 20060101ALI20140213BHJP A61K 47/18 20060101ALI20140213BHJP A61P 31/04 20060101ALI20140213BHJP A61P 1/04 20060101ALI20140213BHJP A61K 31/235 20060101ALI20140213BHJP A61K 31/192 20060101ALI20140213BHJP A61K 31/19 20060101ALI20140213BHJP A61K 31/428 20060101ALI20140213BHJP A61K 31/7048 20060101ALI20140213BHJP A61K 45/00 20060101ALI20140213BHJP JPA61K33/00A61K31/198A61K31/375A61K33/26A61K33/30A61K33/34A61K33/38A61K47/20A61K47/34A61K47/18A61P31/04A61P1/04A61K31/235A61K31/192A61K31/19A61K31/428A61K31/7048A61K45/00 A61K 33/00 A61K 31/19 A61K 31/192 A61K 31/198 A61K 31/235 A61K 31/375 A61K 33/26 A61K 33/30 A61K 33/34 A61K 33/38 A61K 45/00 A61K 47/18 A61K 47/20 A61K 47/34 A61P 1/04 A61P 31/04 CAplus/REGISTRY(STN) PubMed 国際公開第98/016218(WO,A1) 国際公開第01/089534(WO,A1) 特開2002−308784(JP,A) 国際公開第96/005822(WO,A1) 特表2001−509779(JP,A) 特開2001−245890(JP,A) SONG, Jae-Chul, et al.,Studies on food components and food additives affecting thegrowth patterns of Helicobacter pylori,Han'guk Sikp'um Yongyang Hakhoechi,1999年,Vol.12, No.5,470-7 VELAYUDHAN,J. et al,Iron acquisition and virulence in Helicobacter pylori: a major role for FeoB, a high-affinity ferrous iron transporter,Mol Microbiol,2000年,Vol.37, No.2,p.274-86 BRUGGRABER,S.F. et al,Selective and effective bactericidal activity of the cobalt (II) cation against Helicobacter 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ピロリ菌の検査は(1)内視鏡を使って直接胃の組織を採取し鏡見や培養により調べる方法と(2)13Cで標識された尿素を服用する前と服用後にその呼気を採取し、その中に含有される二酸化炭素の比率からピロリ菌の有無を調べる方法及び(3)血液や尿で抗体の有無を調べる方法など幾つかの検査方法があるが現在では(2)の尿素呼気試験が迅速かつ高感度という事で推奨されていて本発明者等も試験に際しそれを採用することとした。 現在のところ、ヘリコバクターピロリを除菌するために、抗生剤を中心とした様々な薬剤の組み合わせが試みられている。欧米では、ビスマス製剤、メトロニダゾールと抗菌剤を併用する三剤併用療法、また、酸分泌抑制剤のプロトンポンプ阻害薬とアモキシシリンを併用する二剤併用療法が主流となっている。また、最近では、プロウノトール、ソファルコンとアモキシシリンを併用する療法も行われているが、これらのいずれの療法においても充分な除菌率は得られていない。加えて、抗生剤の投与によっては、下痢などの副作用が懸念されるばかりでなく、除菌に失敗した場合、耐性菌が出現する危険性も指摘され始めている(特許文献1)。 例えば、 現在行なわれている駆除、除菌方法の主流は2種類の抗菌剤(アモキシシリン、クラリスロマイシン)と胃酸分泌抑制剤(PPI)を2回/日、7日間連続服用、その成功率は80%程度とされるが最近は薬剤耐性株の出現もあって除菌に難渋するケースもしばしば見られ、某大学での調査では38%との報告もある。除菌に成功すると組織の炎症が改善し、潰瘍の再発は抑制され胃癌の発症のリスクも低下する。 一方薬剤に頼らない方法として特殊な乳酸菌の投与や梅干など抗菌作用を有する食品の日常的な摂取が有効との報告もあるが実効性は未知数で疑問視する専門家も多いのが実情である。特開平11−189529号公報(段落0004) 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、従来にはなかった概念に基づき、短期かつ実質的に死滅せしめることができる安全性に優れたヘリコバクターピロリ菌の駆除駆除剤を提供することを目的とする。 また、本発明は、従来の抗生物質と併用することで、従来では駆除が困難であったヘリコバクターピロリ菌保菌者でも実質的に死滅せしめることができる安全性に優れたヘリコバクターピロリ菌の駆除剤を提供することを目的とする。 本発明者等は、従来の方法では除菌に至らないケースでさえほぼ100%除菌しえる駆除剤とその方法を鋭意検討した結果、胃粘液に被われた胃粘膜の内外に潜み生息するピロリ菌をより早く完全に死滅せしめる事に成功し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明の要旨は、〔1〕抗菌作用を有する金属イオンとL−システイン並びにL−アスコルビン酸を主成分としてこの主成分に非イオン系を除く界面活性剤を含有し、 前記抗菌作用を有する金属イオンが(III)価の鉄イオン(Fe3+)、(II)価の鉄イオン(Fe2+)、亜鉛イオン(Zn2+)、銅イオン(Cu2+)、コバルトイオン(Co2+)、ニッケルイオン(Ni2+)及び銀イオン(Ag+)から成る群より選択される1種以上であり、 前記非イオン系を除く界面活性剤がアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム及び塩酸アルキルジアミノエチルグリシンから成る群より選択される1種以上であり、 前記L−システインの濃度が25〜250ppm及び前記L−アスコルビン酸の濃度が20〜100ppmであることを特徴とするヘリコバクターピロリ菌駆除剤、〔2〕抗菌作用を有する金属イオンの濃度が(III)価の鉄イオンでは30〜100ppm、(II)価の鉄イオンでは50〜250ppm、亜鉛イオンでは5〜10ppm、銅イオンでは10〜25ppm、コバルトイオンでは50〜180ppm、ニッケルイオンでは40〜85ppm及び銀イオンでは0.5〜1ppmである前記〔1〕に記載のヘリコバクターピロリ菌駆除剤、〔3〕非イオン系を除く界面活性剤の濃度が5〜10ppmである前記〔1〕または〔2〕に記載のヘリコバクターピロリ菌駆除剤、〔4〕ソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、安息香酸塩、並びにパラオキシ安息香酸エステルから成る群より選択される1種以上をさらに含有した前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載のヘリコバクターピロリ菌駆除剤、〔5〕ソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、安息香酸塩、並びにパラオキシ安息香酸エステルの濃度が10〜20ppmである前記〔4〕に記載のヘリコバクターピロリ菌駆除剤、〔6〕PHが2.5〜4.0に調整された前記〔1〕〜〔5〕のいすれか1項に記載のヘリコバクターピロリ菌駆除剤、〔7〕前記〔1〕〜〔6〕のいずれか1項に記載のヘリコバクターピロリ菌駆除剤と抗生物質から成り、 前記抗生物質がアモキシシリン、クラリスロマイシン及びプロトンポンプ阻害剤の3剤からなるヘリコバクターピロリ菌の駆除剤、に関する。 現在はあらゆる分野で「安心と安全性」が何よりも重視される時代であり、健康や医療も例外ではない。高齢化社会の到来による成人病(生活習慣病)や慢性感染症の増加とそれに伴う医療費の肥大化が必至である時、先進諸国の中では際立って多く6000万人にも達すると言われるヘリコバクターピロリ菌の慢性感染が誘引となって発症する胃、十二指腸潰瘍と胃癌の予防並びに治療に本剤は多いに貢献しうるものである。一旦駆除・除菌に成功したならば再発の可能性は限りなく0に近い。さらには現在の除菌の主流である「3剤」と数日間併用したならばその成功率はほぼ100%で抗生物質の長期投与による副作用(下痢、アレルギー、出血性大腸炎、味覚障害など)の発現もない。 本発明のヘリコバクターピロリ菌駆除剤は、抗菌作用を有する金属イオンとL−システイン並びにL−アスコルビン酸を主成分としてこの主成分に非イオン系を除く界面活性剤を含有することを特徴とする。(1)抗菌作用を有する金属イオン 前記抗菌作用を有する金属イオンとは、(III)価の鉄イオン(Fe3+)、(II)価の鉄イオン(Fe2+)、亜鉛イオン(Zn2+)、銅イオン(Cu2+)、コバルトイオン(Co2+)、ニッケルイオン(Ni2+)、銀イオン(Ag+)が挙げられる。これらの金属イオンは単独でも併用してもよい。 本発明のヘリコバクターピロリ菌駆除剤中の前記金属イオンの量としては、所望の殺菌力が得られるように適宜調整すればよいが、例えば、(III)価の鉄イオンでは30〜100ppm、(II)価の鉄イオンでは50〜250ppm、亜鉛イオンでは5〜10ppm、銅イオンでは10〜25ppm、コバルトイオンでは50〜180ppm、ニッケルイオンでは40〜85ppm及び銀イオンでは0.5〜1ppmであることが好ましい。 また、前記金属イオンとしては、例えば、水に可溶し、イオンとなる前記各種化合物を使用すればよい。例えばFe3+イオンについては塩化第二鉄、硝酸第二鉄・六水和物、硝酸第二鉄・九水和物、硝酸第二鉄・n水和物、リン酸第二鉄・n水和物、クエン酸第二鉄・n水和物等、Fe2+イオンについては塩化鉄・四水和物、グルコン酸鉄、クエン酸鉄、蓚酸鉄等、Zn2+についてはクエン酸亜鉛・二水和物、グルコン酸亜鉛等、Cu2+については塩化銅・二水和物、塩化二アンモニウム銅・二水和物、硝酸銅・三水和物等、Co2+についてはグルコン酸コバルト三水和物、水酸化コバルト、クエン酸コバルト等、Ni2+については硝酸ニッケル等並びにAg+については硫酸銀、リン酸銀等が挙げられる。(2)L−システイン L−システインは含硫アミノ酸の一種で皮膚の代謝に不可欠な成分でコラーゲンの生成を助けL−アスコルビン酸と協働してメラニンの発生を抑制する。皮膚、爪、髪の主要構成成分で体内に広く分布している。そして意外にもL−システインそのものも用い方次第で抗菌作用を発現するのみならず、分子構造中にSH基(硫黄と水素の結合したチオール基)と抗菌性の金属イオンとが結合、活性を増幅して強い殺菌性を発現、DNA阻害、酵素の失活、代謝機能の阻害、蛋白の変性またフリーラジカルの発生により菌体破壊を促進せしめる。強い抗酸化作用と還元作用で構成成分の安定性に寄与し、生体親和性が高く病原体に強く付着してひいては浸透性を助長しうる役割を担う。その至適濃度は含有する金属イオンの種類とその濃度により若干異なるが、イオン濃度の数倍程度が好ましい。例えば、本発明の殺菌消毒液中におけるL−システインの含有量は、20〜250ppmが好ましい。(3)L−アスコルビン酸 L−アスコルビン酸の作用については前記の通りである。本発明のヘリコバクターピロリ菌駆除剤中におけるL−アスコルビン酸の含有量は、20〜100ppmであることが好ましい。(4)非イオン系を除く界面活性剤 界面活性剤の基本構造は油になじみやすい親油基と水になじみやすい親水基から成り立ち、その作用は湿潤、吸湿、浸透、可溶性、乳化、分散、起泡、潤滑、洗浄、帯電防止、吸着、皮膜形成、抗菌、細胞膜撹乱、防錆、等幅広い。主用途は合成洗剤、台所洗剤、歯磨、リンス、乳化剤、柔軟剤等我々の日常生活の中にすっかり溶け込み、今やなくてはならないものとして認知されている。 界面活性剤の多くは上記作用を多少なりとも持ち合わせてはいるが「殺菌消毒」という視点と目途から鑑みて本発明に使用して優れた効果を発揮しうる非イオン系を除く界面活性剤としては、以下の陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられる。 (陰イオン系界面活性剤) アルキルベンゼンスルホン酸塩(ABS系)、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS系)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(AES系)、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、高級アルコール硫酸エステル塩(AS) (陽イオン系界面活性剤) 塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼントニウム (両性界面活性剤) 塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、塩酸アルキルポリアミノエチルグリシン 前記非イオン系を除く界面活性剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。 中でも、非イオン系を除く界面活性剤がアルキルベンゼンスルホン酸塩、直鐘アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチエンアルキルエーテル硫酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、塩化ステアリルジメチルベンゼンアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン及び塩酸アルキルポリアミノエチルグリシンから成る群より選択される1種以上が好ましい。 前記非イオン系を除く界面活性剤の濃度は、ヘリコバクターピロリ菌駆除剤中において5〜10ppmであることが好ましい。(5)その他 本発明のヘリコバクターピロリ菌駆除剤は、ソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、安息香酸塩、及びパラオキシ安息香酸エステル類からなる群より選ばれる1種以上を含有することで、殺菌力を向上することが可能になる。 前記ソルビン酸塩としては、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウムが挙げられる。また、安息香酸塩としては、安息香酸カリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カルシウム、安息香酸アンモニウム、安息香酸亜鉛が挙げられる。 前記ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム、及びパラオキシ安息香酸エステル類のヘリコバクターピロリ菌駆除剤中の濃度は、10〜20ppmが好ましい。 本発明のヘリコバクターピロリ菌駆除剤は、前記各種成分を水に添加、混合することで調製することができる。添加の順番は特に限定はない。また、媒体として使用する水についても、水道水、イオン交換水、純水、精製水等が挙げられ、使用目的に応じて適宜選択すればよい。(6)pH また、本発明のヘリコバクターピロリ菌駆除剤では、酸性に調整とすることで、ヘリコバクターピロリ菌駆除剤の構成成分の力価の維持と安定性に貢献すると同時に、病原体内部への浸透をサポートする。本発明のヘリコバクターピロリ菌駆除剤のpHは2.5〜4.0であることが好ましい。なお、pHの調整には、公知のpH調整剤を使用することができる。 また、本発明のヘリコバクターピロリ菌駆除剤は、抗生物質と併用することで、抗生物質のみでは達成困難であった抗生物質耐性を備えたヘリコバクターピロリ菌でも駆除することが可能になるため、顕著な駆除効果を奏することができる。 前記抗生物質がアモキシシリン、クラリスロマイシン及びプロトンポンプ阻害剤が挙げられる。前記プロトンポンプ阻害剤としては、ランプソラゾール、オメプラゾール等が挙げられる。これらの抗生物質は単独でも2種以上を組み合わせ用いてもよい。中でも、アモキシシリン、クラリスロマイシン及びプロトンポンプ阻害剤の3種を併用することが好ましい。 本発明のヘリコバクターピロリ菌駆除剤における作用機序は複雑で未だ充分に解明されていないが表面張力低下による細胞膜の障害、破壊に続いて引き起こされる金属イオンの抗菌作用(そのメカニズムの中心は強い酸化力にありイオン触媒作用による活性酸素の生成、イオンの還元による過酸化水素の発生、OHラジカルの生成による菌体そのもの破壊。また蛋白を凝固変性せしめ酵素系に障害を与え、代謝機能を阻害する。さらには細菌の−SH基、−COOH基、−OH基等と結合して細菌の細胞核膜を破壊する)を最大限発揮せしめ得て極めて短時間での殺傷能力を示すものと推測している。 本発明のヘリコバクターピロリ菌駆除剤は、胃内に取り込まれて、ヘリコバクターピロリ菌に接触させることで殺菌・駆除することができる。 前記ヘリコバクターピロリ菌駆除剤の胃内への送達方法としては、前記駆除剤をそのまま、もしくは前記駆除剤を他の液体成分と飲むことで行うことができる。 中でも、ヘリコバクターピロリ菌の駆除方法としては、前記ヘリコバクターピロリ菌の駆除剤を75ml以上投与することで、駆除効果を高めることができる。 また、前記ヘリコバクターピロリ菌駆除除菌剤を4日ないし5日間連続投与することで駆除効果を高めることができる。 以下、具体的な製造例並びに実施例について説明を加える事にするが、本発明の趣旨はこれ等に限定されるものではない。 以下、本発明について、開発の経緯を順次説明することとする。 先ずは従来から難渋している慢性感染症に、外科的手術に依らない治療方法の成功例を教本とすることから始めた。 その一例として皮膚白癬症があり原因の白癬菌は皮膚の表面の角質層に寄生繁殖、角質層の蛋白(ケラチン)を栄養源として繁殖しそれが足首から先であった場合、俗に水虫と称し、一昔前は外部から薬剤を塗布するしかなかったが現在では毒性の比較的少ないイミダゾール系の抗真菌薬を症状に応じて数ヶ月間の内服と従来の外用薬との併用での治療が主となって来ている。すなわち内と外から白癬菌を攻撃する事で不治といわれていた頑固な水虫をほぼ完治せしめる事も可能になった。 また、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)に於いても内服薬として抗生剤(マクロライド系が多い)を3〜6ヶ月間投与し、外部からは洗浄剤(ステロイド、抗生剤、粘液溶解剤、血管収縮剤など)の微量をネプライザーとして鼻粘膜に付着せしめて治療する事で患者を苦しみから解放した。 痔疾特に内痔核のケースでも内服と座薬又は軟膏とを併用することで軽快が早い。 さらには慢性の皮膚カンジダ症(表在性カンジダ症)に際しても外用としてイミダゾール系の抗真菌薬とトリアゾール系の内服薬とを併用する事によって頑固なカンジダ菌を駆逐することが出来るようになった。 また感染症ではないが肌荒れにも内部から全身症状を良くする事と外用クリームとで解消は早い。病気に限らず内外から同時に行動する事で目的を完遂しうる事は我々日常生活でもしばしば体験する所である。古来より城攻めをする際、外からやみくもに攻めるだけでなく内部からも崩壊に導く工作をする事によって少ない兵力でも早期に落城させえるに似ている。 これらの事実は病巣が表皮下又は粘膜下に存在する場合早期治療と完璧を期する為には外部からのみ又は内部からのみの薬剤の投与ではなく、内外から同時に病巣を攻撃することが必要不可欠である事を示唆している。 本発明者等はこの事象、実情をピロリ菌の駆除にも採用することとした。なぜかなれば解剖学的には胃や腸の内腔は外界に直接連がっており、従って「胃粘膜は体表面が反転したもの」とのと発想と論理から上記治療法が応用可能であると判断したからである。〔1〕外部からの駆逐、除菌 (1)先ずはピロリ菌に対して有効と巷間言われているものの抗菌活性について試験管内テスト(in vitro)で検証してみる事とした。各食品や各植物エキス液の10%量を添加した水溶液にピロリ菌の懸濁液(1×108cells/ml)を2重量%添加、経時的に釣菌し、該菌をSkirrow培地に植え、二酸化炭素5%を含む環境下で培養し、菌のダメージやその殺菌効果を観察した。 尚、接触時間を最長5分迄としたのは摂取した際胃内に滞留してピロリ菌に作用する時間を勘案しての事である。培地組成:(Skirrowの培地) プロテオースペプトン 15g 肝消化物末 2.5g 酵母エキス 5g NaCl 5g 馬脱繊維血液 5ml 37℃ 96時間培養 以下第1表にその成績を示す。 上記成績から明らかなように5分間の接触ではピロリ菌を死滅せしめる事は敵わなかったが、ココアを除いてはピロリ菌に相応のダメージを与えるという事は確認し得た。実験的に30分間の接触をも試みたが5分間での成績と基本的に変わらず死滅するには到らなかった。 次に類似の試験であるがフィルターで除菌した上記エキスを10%量添加したSkirrow培地にピロリ菌を1×107cells/培地ml接種してその発育の有無程度を観察した。──(培養期間中エキスに接触しているという設定) 第2表にその結果を簡略化して表示した。 培地にエキスの10%量の添加で何れも抗菌作用を示すがその作用は発育抑制又は静菌的な効果で第1表での成績と同様、殺菌効果を示すことはなかった。 ブロッコリーの新芽、カモミール、カジュツ、ミント、甘草などでも上記と同様の結果となった。また各エキス等の組合せテストも試みたが相加作用や相乗効果は特に見られず胃粘膜内外に潜むピロリ菌の駆除、除菌には大して貢献しえないことがあからさまとなった。すなわち長期にわたり摂取を続けた場合はいざ知らず、短期の摂取では殆ど無効であると言わざるを得なかった。 かくして試験の対象にはいわゆる殺菌液類しか残されていなかった。 (2)既存の殺菌消毒液の内、最近食品の殺菌消毒にも使用され人体にも比較的安全と称される殺菌液について試験を行なった。ピロリ菌の懸濁液を調整し(1×108cells/生食水)該菌液を殺菌消毒液の2重量%滴下し、経時的に1白金耳釣菌し前記Skirrow培地に接種、培養し増殖の有無で殺菌効果を観察した。 以下第3表にその成績を示す。 上記「強酸性水」とは水に食塩を加え、特殊な膜を仲介して電気分解して得られるものでPHは2.7以下、酸化還元電位(ORP)は1100mV、残留塩素20ppm以上の水で微生物の生育環境をはるかに越えている為強い殺菌力を有する。殺菌消毒液として汎用される次亜塩素酸ナトリウム液に近いもので殺菌力は主として強い酸化作用によってもたらされる。 「オゾン水」とは誘電体を挟んだ2つの電極内に交流の高電圧を通電して放電せしめた中を酸素を通過せしめることによって酸素(O2)をオゾン(O3)に変えそれを曝気して水に溶解せしめたものでオゾンを0.1ppm程度含有するもので強い酸化作用で細菌の細胞膜を破壊溶菌せしめる。 また「オゾンナノバブル水」とはオゾンの50μm以下の微小な気泡に物理的な刺激を与え、さらに微細な気泡にして水に溶解せしめたものでピンク色を呈し殺菌作用だけでなく様々な生理活性効果があるとされている。 使用した駆除剤をヘリコバクターピロリ殺菌液と称し、その組成を以下に示す(製造例1)。製造例1(1000ml) FeCl3・6H2O 0.96g L−システイン 1g L−アスコルビン酸 0.1g ソルビン酸カリウム 0.05g ラウリル硫酸ナトリウム 0.1g 3N HCl 1ml 残部水 上表から明らかなように何れの殺菌液も10秒前後の接触でピロリ菌を死滅せしめる事が出来た。 次に上記各種殺菌液をSkirrow培地の10%量及び20%量を夫々添加、ピロリ菌を接種して培養した所、ヘリコバクターピロリ殺菌液のみが強い抗菌作用を発揮してピロリ菌を発育阻害又は死滅させるに到った。第4表にそれを示す。 この試験結果は有機物の存在下では強酸性水もオゾン水もオゾンナノバブル水も殺菌成分が速やかに分解又は消費され、肝心のピロリ菌にはダメージを殆ど与える事が出来ない事を如実に物語っていた。すなわち、ヘリコバクターピロリ殺菌液を除いた殺菌液を胃内に送り込んだとしても胃粘液や食物残渣等によって効果が急速に減じられるか又は無効となる可能性を示唆していた。 従って、次に実際に人工的に胃粘液を作成し各殺菌液に10%量20%量50%量を添加しその添加直後、5分後、10分後、及び15分後に夫々ピロリ菌懸濁液(1×108cells/生食水1ml)を2重量%滴下、接触せしめ経時的にその殺菌効果を観察してみた。尚、人工胃粘液は米薬局法等を参考にして以下の第5表に示す組成を使用した。 胃粘液は胃粘膜の表面に存在する表層粘膜細胞と胃の表面にある腺粘液細胞で産生分泌され不溶性の粘液ゲル層及び胃内腔に可溶化された状態で存在しており胃粘膜を1mmの厚さで被っていて胃を守るバリアとして働いている。種々の物質で構成された複雑な混合物でありその主成分はムチン(大部分は糖質からなる糖蛋白質)であるが未だ充分に解明されていない。 得られた殺菌効果を第6表(1)(2)に示す。尚、混和10分後及び15分後の場合は混和5分後に類似の成績を示したので割愛することにした。 上記成績から明らかなように人工胃粘液の混和直後にピロリ菌を摂取した時強酸性水、オゾン水、オゾンナノバブル水の場合は人工胃粘液の濃度が10%では3分以上の接触でピロリ菌は死滅した。ヘリコバクターピロリ殺菌液のケースでは10秒では死滅しなかったが30秒の接触で死滅した。 人工胃粘液を20%量添加した場合はヘリコバクターピロリ殺菌液以外の3種は5分の接触でも死滅しなかったがヘリコバクターピロリ殺菌液では1分で死滅した。 また50%量にした時は3種は5分の接触では当然乍ら死滅しなかったがヘリコバクターピロリ殺菌液では3分の接触で死滅する事が分かった。 次に、人工胃粘液混和5分後にピロリ菌を添加した時は強酸性水、オゾン水、オゾンナノバブル水の場合は胃粘液の濃度が10%でも死滅しなかった。 これらに対してヘリコバクターピロリ殺菌液では人工胃粘液混和直後と同様の効果を示した。すなわち10%量混和で30秒20%量混和で1分、50%量混和で3分で死滅した。 以上の試験成績から殺菌液の胃内滞留時間を5分として強酸性水、オゾン水、オゾンナノバブル水に仮に毒性がなかったとしても胃腔に投与して胃の粘液中を遊走しているピロリ菌や粘膜下に潜んでいるピロリ菌を撲滅又は失活せしむる事は到底敵わないことが証明された。 従って今後は「ヘリコバクターピロリ殺菌液」に限って種々実験、試験を進めていく事とした。ヘリコバクターピロリ殺菌液とは前記した様に生命活動の基本物質を主成分として粘膜親和性が高く細胞浸透性を有している。 次に製造例1以外で製造の各種のヘリコバクターピロリ殺菌液の例を製造例2〜10として第7表(1)(2)にまとめた。 これらの製造例で作成した各ヘリコバクターピロリ殺菌液に人工胃粘液を夫々10%量、20%量、30%量及び50%量を添加し、ピロリ菌を接種してその死滅時間を概算測定し、第8表に記した。 第8表から明らかな様に何れのヘリコバクターピロリ殺菌液でも人工胃粘液10%量添加ではピロリ菌は30秒〜1分の接触で死滅、20%量で1〜2分、30%量で1.5分〜3分、50%量で3分〜5分で死滅せしめる事が可能であった。 例えば100ml胃内に投与(服用)した場合、5分間胃内滞留の間に胃粘液の混和は多く見積もっても20%程度と推測され従ってピロリ菌は2分以内で死滅する可能性を示していた。 次にヘリコバクターピロリ殺菌液を水で希釈して、該液に人工胃粘液を20%量添加し、ピロリ菌が5分以内で死滅する濃度を調査する事とした。本ヘリコバクターピロリ殺菌液は実質無害無毒に近いとは言え薄めて用いてもなお有効であるならば、一層使い易い事は自明の理である。結果を第9表に示す。 何れのヘリコバクターピロリ殺菌液も3〜4倍希釈(人口胃粘液は20%量含有)しても5分以内でピロリ菌殺菌能力を示した。 さらにヘリコバクターピロリ殺菌液の成分の中で最も懸念される界面活性剤の必要最小限について種々テストした結果、主成分となるアミノ酸、ビタミン、ミネラルの濃度にあまり影響なくピロリ菌には5〜10ppmの濃度で充分な殺菌効果を示す事が明らかになった。 これは我々が毎日朝晩歯磨きをして口を1〜2度ゆすいだ後に口内に残留する界面活性剤の濃度より薄く何ら問題はない。(ちなみに一般的な歯磨きには洗浄剤兼発泡剤としてラウリル硫酸ナトリウム等の界面活性剤は5%量ほど含有している─50000ppm) 上記試験を始めとして種々のテストを鋭意実施した結果、主成分の濃度は、(III)価の鉄イオンは30〜100ppm、(II)価の鉄イオンは50〜250ppm、亜鉛イオンは5〜10ppm、銅イオンでは10〜25ppm、コバルトイオンでは50〜180ppm、ニッケルイオンは40〜85ppm、銀イオンでは0.5〜1ppm、またL−システインの濃度は25〜250ppm、L−アスコルビン酸の濃度20〜100ppm、非イオン系を除く界面活性剤は5〜10ppm、さらにソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、安息香酸塩ならびにパラオキシ安息香酸エステルを含有せしめる場合は10〜20ppmでピロリ菌に対して充分な殺菌能力を発揮しえる事を突き止めた。 以上の知見に基づいて製造した殺菌液を本明細書では「ピロリ・コロリ」(登録商標)液と呼称することし、製造例(1L当たり)を以下第10表で示した。〔2〕内部からの駆逐、除菌 現在広く行なわれいるピロリ菌の除菌方法である抗生物質と胃酸分泌抑制剤との組み合わせを踏襲することとした。 健康保険に適用されているのはペニシリン系のアモキシシリン(AMPC)とマクロライド系のクラリスロマイシン(CAM)との2剤と胃酸分泌抑制剤のプロトンポンプ阻害剤(PPI)のランソプラゾール又はオメプラゾールとの3剤とを2回/日(朝、夕食後)7日間の連続内服でその成功率は80%と称せられているが、一説によれば耐性ピロリ菌の出現で50%を割っているとも言われており従って、胃粘膜生息のピロリ菌を分離採取して感受性テストを行い、その結果を踏まえての抗生剤の投与が望ましいが、基本的には従来の3剤内服の除菌方法を採用して差し支えない。 以下上記「ピロリ・コロリ液」の製造例での実施例、「3剤」での実施例並びに両者を併用した際の実施例について記載することとする。 <実施例1>「ピロリ・コロリ液」のみ投与 尿素呼気試験(尿素:13Cユービット錠、大塚製薬、炭酸ガス炭素同位体比分析装置、POC one、大塚電子株式会社)でのピロリ菌感染者10名に「ピロリ・コロリ液」のみ1回/日100mlを8時間絶食後投与、投与後体の左側を下にして5分間横になり、胃幽門前庭部を主として生息部位としているピロリ菌を狙い打ちして殺菌せしめるという方法を採用した(7日間連続投与)。 治験成績は投与終了直後及び1ヶ月間の尿素呼気試験で判断した。結果を第11表(1)に示す。 第11表(1)に示す記成績から明らかな様に「ピロリ・コロリ液」のみを投与したケースでは10名の内、除菌成功者は2名(20%)で6名は相当の効果が認められたが残念ながら完全除菌には到らず、残りの2名には効果が低かった。 考察するに除菌成功者2名の投与前の検査値は13C変化量が8.5%及び7.5%で数値が低くピロリ菌の感染量が少ないか又はその活動が低いものと推察された。なお、治験者全員には何ら副作用は見られなかった。 従って次に13C変化量が10%以下の感染者10名に対して同様の「ピロリ・コロリ液」のみの治験テストを実施した所8名(80%)が完全除菌に成功した。第11表(2)にその成績を示した。 上記感染者のピロリ菌の活性は弱いとは言え、除菌成功率は80%に及び公表されている「3剤」内服に匹敵するかそれを上回る成績を示した。なお、治験者全員には何ら副作用は見られなかった。 なお、第11表(1)(2)での評価基準を以下に示す。 判定 ◎:完全に死滅したものと推察される ○:相当の効果があったが完全死滅には到らずピロリ菌が徐々に復活 △:有効ではあるが充分に死滅には到らずピロリ菌が再び旺盛となる ×:効果が殆ど見られない <比較例>「従来の3剤内服」 ピロリ菌感染者10名に対し既存の「3剤」をマニュアルに従い投与した。 具体的にはアモキシシリン250mgを3カプセル、クラリスロマイシン200mgを1錠、ランソプラゾール30mgを1カプセルを毎日、朝、夕食後の2回感染者に服用してもらった。その治験成績を第12表に示した。 上表から明らかなように除菌成功率は60%であった。また効果は認められたが完全除菌に到らなかったのは30%、無効は10%(抗生物質耐性ピロリ菌の感染と思われる)であった。 基本的に無作為に選んだ感染者に対しての治験成績は「ピロリ・コロリ液」のみの投与より好成績が得られたが、ただ耐性菌であった時は当然ながら全く効果はなかった。<実施例2> ピロリ菌感染者10名に「ピロリ・コロリ液」100mlを絶食8時間以上で1回/日投与し、既存の「3剤」をも常法に従い投与した。尚比較例で除菌が不成功だった4名もこの治験に参加した。結果を第13表に示す。 上表から明らかなように除菌率は100%であった。 特に、耐性株に感染していると思われたE.T氏も除菌に成功した。「ピロリ・コロリ液」によって菌が衰弱し活動型から休止型へと変化し本来なら無効に近い抗生物質も有効に作用したものと推察された。 上記10名以外にも本治験に参加した人は50名に及んだが除菌が不成功に終わった人は僅か2名のみで実質成功率は96%に達した。また、治験者全てに何ら副作用は見られなかった。 <実施例3> 次に製造例1の「ピロリ・コロリ液」と「3剤」とを併用した場合、その投与日数と除菌率との関係をみた。その結果を第14表に示す。 上表から明らかのように4日間ないし5日間の連続投与で100%の除菌率を示た。また、治験者全てに何ら副作用は見られなかった。 <実施例4> さらに製造例1の「ピロリ・コロリ液」の濃度と投与量と、投与日数との相間関係について調べる事にした。投与量の設定を25ml、50ml、75ml及び100mlにして、100mlの場合の濃度を1(実施例1〜3で投与したものと同じ濃度)とした場合25ml(濃度1,2,3,4)、50ml(濃度1,1.5、2)75ml(濃度1,1.3)に設定した。「3剤」と併用してその除菌成功率の概略を以下第15表に記載した。 上表から明らかな様に「ピロリ・コロリ液」の投与量は75ml以上好ましくは100ml以上が望ましく液量を少なくしてその分濃度を高めてもin vivoに於いては充分な効果が得られないことが判明した。 その理由としてピロリ菌が主要な生息部所としている胃幽門前庭部を中心に胃内腔全体に「ピロリ・コロリ液」が万遍なく行き渡る為には100ml程度が必要であることを物語っていた。また、治験者全てに何ら副作用は見られなかった。 尚「ピロリ・コロリ液」に香料やエッセンス等で香りや味付けをして飲み易くする事は可能であり随意である事は言うまでもない。 以上、実施例の一部を紹介したが最後に毒性テストについて触れることとする。 製造例1で作製した本発明のヘリコバクターピロリ殺菌液の毒性はマウスに於けるLD50は経口投与1ml>、腹腔投与4mlまた動物細胞に対する障害性(細胞増殖抑制度)は供試細胞(サル腎CV−1細胞及び人リンパ球)により若干異なるが10倍希釈でも約半数の細胞は障害を受けず増殖しえた。そして1000倍〜10000倍の希釈で全く障害は認められなかった。 また、他の製造例で作製した本発明のピロリ・コロリ液は毒性がさらに低いものであり、極めて安全性の高いヘリコバクターピロリ菌の駆除剤であることが証明された。 一昔前、結核が国民病と言われ国を挙げての予防と治療などの結核対策が功を奏して急速に減少し、一時は過去の伝染病と言われる迄になったが、本剤の使用によってピロリ菌感染症も結核のケースと同じ軌跡をたどるだろう。 また、本剤の使用方法は感染症の原因菌の撲滅にはすべからく外部からの攻撃(薬剤、乳酸菌などのプロバイオティクス)と内部からの攻撃(抗生物質、ワクチンなど)との両面から対処することが肝要である事を広く知らしめたことで今後の感染症対策、特に慢性に陥った場合の治療方法の指針となろう。 本明細書に包含される本発明の多くの利点を上記に述べたが、この開示は、多くの点で例示に過ぎないことが理解されよう。本発明の範囲を逸脱しなければ、細部にわたり、特に、部品の形状、大きさ及び配置等の事項について、様々な変更を行うことが可能である。 本発明の範囲が添付の請求の範囲に述べられている文言により限定されることは勿論である。 抗菌作用を有する金属イオンとL−システイン並びにL−アスコルビン酸を主成分としてこの主成分に非イオン系を除く界面活性剤を含有し、 前記抗菌作用を有する金属イオンが(III)価の鉄イオン(Fe3+)、(II)価の鉄イオン(Fe2+)、亜鉛イオン(Zn2+)、銅イオン(Cu2+)、コバルトイオン(Co2+)、ニッケルイオン(Ni2+)及び銀イオン(Ag+)から成る群より選択される1種以上であり、 前記非イオン系を除く界面活性剤がアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシンナトリウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム及び塩酸アルキルジアミノエチルグリシンから成る群より選択される1種以上であり、 前記L−システインの濃度が25〜250ppm及び前記L−アスコルビン酸の濃度が20〜100ppmであることを特徴とするヘリコバクターピロリ菌駆除剤。 抗菌作用を有する金属イオンの濃度が(III)価の鉄イオンでは30〜100ppm、(II)価の鉄イオンでは50〜250ppm、亜鉛イオンでは5〜10ppm、銅イオンでは10〜25ppm、コバルトイオンでは50〜180ppm、ニッケルイオンでは40〜85ppm及び銀イオンでは0.5〜1ppmである請求項1に記載のヘリコバクターピロリ菌駆除剤。 非イオン系を除く界面活性剤の濃度が5〜10ppmである請求項1または2に記載のヘリコバクターピロリ菌駆除剤。 ソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、安息香酸塩、並びにパラオキシ安息香酸エステルから成る群より選択される1種以上をさらに含有した請求項1〜3のいずれか1項に記載のヘリコバクターピロリ菌駆除剤。 ソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、安息香酸塩、並びにパラオキシ安息香酸エステルの濃度が10〜20ppmである請求項4に記載のヘリコバクターピロリ菌駆除剤。 pHが2.5〜4.0に調整された請求項1〜5のいすれか1項に記載のヘリコバクターピロリ菌駆除剤。 請求項1〜6のいずれか1項に記載のヘリコバクターピロリ菌駆除剤と抗生物質から成り、 前記抗生物質がアモキシシリン、クラリスロマイシン及びプロトンポンプ阻害剤の3剤からなるヘリコバクターピロリ菌の駆除剤。