生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ヒトアドレナリンβ3受容体リガンド、これを含む食品及び医薬品
出願番号:2010516877
年次:2014
IPC分類:A61K 31/202,A61K 31/201,A61K 31/20,A61P 43/00,A61P 3/04,A61P 3/10,A61P 3/06,A61P 9/12,A61P 19/06


特許情報キャッシュ

藤本 康雄 栗原 昭一 浜屋 忠生 JP 5544660 特許公報(B2) 20140523 2010516877 20090611 ヒトアドレナリンβ3受容体リガンド、これを含む食品及び医薬品 株式会社リコム 591163546 熊倉 禎男 100082005 箱田 篤 100084663 浅井 賢治 100093300 山崎 一夫 100119013 市川 さつき 100123777 藤本 康雄 栗原 昭一 浜屋 忠生 JP 2008153390 20080611 20140709 A61K 31/202 20060101AFI20140619BHJP A61K 31/201 20060101ALI20140619BHJP A61K 31/20 20060101ALI20140619BHJP A61P 43/00 20060101ALI20140619BHJP A61P 3/04 20060101ALN20140619BHJP A61P 3/10 20060101ALN20140619BHJP A61P 3/06 20060101ALN20140619BHJP A61P 9/12 20060101ALN20140619BHJP A61P 19/06 20060101ALN20140619BHJP JPA61K31/202A61K31/201A61K31/20A61P43/00 111A61P3/04A61P3/10A61P3/06A61P9/12A61P19/06 A61K31/00−33/44 国際公開第2008/000440(WO,A1) 特開2005−179264(JP,A) 国際公開第1996/031240(WO,A1) Emilio Herrera, Encarnacion Amusquivar, and Judith Cacho,Changes in dietary fatty acids modify the decreased lipolytic β3-adrenergic response to hyperinsulinemia in adipocytes from pregnant and nonpregnant rats ,Metabolism,Elsevier,2000年 9月,Volume49, Issue9,1180-1187 Barre D. E.,Potential of Evening Primrose, Borage, Black Currant, and Fungal Oils in Human Health,Nutrition & Metabolism,2001年,Vol.45,p.47-57 6 JP2009060682 20090611 WO2009151094 20091217 11 20120323 ▲高▼岡 裕美 本発明は、ヒトアドレナリンβ3受容体リガンド、これを含む食品及び医薬品に関する。 アドレナリン受容体は、交感神経から遊離されるアドレナリンやノルアドレナリンなどのカテコールアミン作動薬と結合する受容体であり、カテコールアミン作動薬に対する感受性によりα受容体とβ受容体の2種類に分けられる。アドレナリンα受容体はノルアドレナリン≧アドレナリン>ドーパミン>イソプロテレノールの順に感受性を示し、アドレナリンβ受容体はイソプロテレノール>アドレナリン≧ノルアドレナリン>ドーパミンの順に感受性を示す。 アドレナリンβ受容体には、β1、β2、β3受容体があり、近年β4受容体の存在も示唆されている。それぞれの受容体に対するリガンドの作用として、アドレナリンβ1受容体アゴニストは心拍数増加作用、アドレナリンβ1受容体アンタゴニストは降圧作用、アドレナリンβ2受容体アゴニストは気管支平滑筋弛緩作用、アドレナリンβ3受容体アゴニストは熱産生の活性化作用及び脂肪分解の促進作用があることが知られている。このことから、交感神経を活性化してカテコールアミン作動薬の分泌を促進させるもの、又は、非選択的なアドレナリンβ受容体アゴニストは、β1やβ2作用による副作用が懸念され、肥満などの生活習慣病の予防及び/又は改善には適していない。従って、肥満などの生活習慣病の予防及び/又は改善には、アドレナリンβ3受容体アゴニストが有効である。 アドレナリンβ3受容体リガンドとしてそのアゴニストは、1984年に初めて発見され、動物実験において熱産生や脂肪分解による抗肥満作用、抗糖尿病作用が認められた。しかし、これらの作用はヒトにおいては微弱であった。この効果差の原因が、1989年になり、マウスやラットなどの齧歯類とヒトのアドレナリンβ3受容体の化学構造上の種差であることが明確になった(非特許文献1及び2)。これらのことから、ヒトアドレナリンβ3受容体リガンド、特にアゴニストが、肥満、糖尿病などの生活習慣病の予防及び/又は改善に有効であり、その開発が望まれている。 最近、ヒトアドレナリンβ3受容体アゴニストとして幾つかの化合物が知られており(非特許文献1)、臨床試験において抗肥満薬又は抗糖尿病薬としての効果が確認されてきている。また、山椒抽出物を有効成分とするヒトβ3アドレナリン受容体アゴニスト剤も報告されている(特許文献1)。 一方、アガリクス、椎茸、エノキタケ、しめじ、舞茸、なめこ等の茸から製造されたキトサン含有多糖は、血圧、尿糖値、血糖値、尿酸値、総コレステロール値、中性脂肪値等の低下作用を有し、高血圧症や糖尿病などの生活習慣病、成人病の検査数値改善に大いに効果があることが報告されている(特許文献2)。特開2006−96666WO2004/033502高倉康人、吉田俊秀、日本薬理学雑誌, 118, 315〜320, 2001C. Weyer, et al., Diabetes & Metabolism, 25, 11〜21, 1999 本発明の目的は、ヒトアドレナリンβ3受容体リガンドを提供することである。 本発明の他の目的は、上記ヒトアドレナリンβ3受容体リガンドを含む食品及び医薬品を提供することである。 本発明のさらに他の目的は、ヒトアドレナリンβ3受容体リガンドを含有する、肥満、肥満症、糖尿病、高脂血症、高血圧症、痛風などの生活習慣病の予防及び/又は改善剤を提供することである。 本発明者は上記目的を達成するために種々検討を行った結果、特定の不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸の組み合わせがヒトアドレナリンβ3受容体に対する高い結合活性を有することを見出し本発明を完成するに至った。 本発明は以下の特定の不飽和脂肪酸と飽和脂肪酸の組み合わせを有効成分とするヒトアドレナリンβ3受容体リガンド、これを含有する食品及び医薬品を提供するものである。1.下記の3成分を含むヒトアドレナリンβ3受容体リガンド。(A)二重結合を3個以上有する不飽和脂肪酸又はその薬学的に許容される塩、(B)二重結合を1個又は2個有する不飽和脂肪酸又はその薬学的に許容される塩、及び(C)飽和脂肪酸又はその薬学的に許容される塩。2.(A)成分の不飽和脂肪酸の炭素数が、8〜24である上記1記載のヒトアドレナリンβ3受容体リガンド。3.(B)成分の不飽和脂肪酸の炭素数が、8〜24である上記1又は2記載のヒトアドレナリンβ3受容体リガンド。4.(C)成分の飽和脂肪酸の炭素数が、8〜24である上記1〜3のいずれか1項記載のヒトアドレナリンβ3受容体リガンド。5.(A)成分と(B)成分の質量比が1:90〜8:2である上記1〜4のいずれか1項記載のヒトアドレナリンβ3受容体リガンド。6.(A)成分及び(B)成分の合計質量と成分(C)の質量との比が50:1〜1:3である上記1〜5のいずれか1項記載のヒトアドレナリンβ3受容体リガンド。7.上記1〜6のいずれか1項記載のヒトアドレナリンβ3受容体リガンドを含有する食品。8.上記1〜6のいずれか1項記載のヒトアドレナリンβ3受容体リガンドを含有する医薬品。 本発明のヒトアドレナリンβ3受容体リガンドは、ヒトアドレナリンβ3受容体に対する結合活性が高く、血圧、尿糖値、血糖値、尿酸値、総コレステロール値、中性脂肪値、内臓脂肪値等の低下作用を有し、高血圧症、糖尿病、肥満、高コレステロール血症、高脂血症などの生活習慣病の予防及び/又は治療に有効である。また、本発明の有効成分は細胞毒性が低く、食品や医薬品として安全に使用できる。 本発明の有効成分(A)の二重結合を3個以上有する不飽和脂肪酸としては、炭素数が、好ましくは8〜24、さらに好ましくは10〜20であるものが望ましい。 トリ不飽和脂肪酸として、α-リノレン酸(18:3、9,12,15-トリ不飽和脂肪酸)、α-エレオステアリン酸(α-eleostealicacid)(18:3、9c,11t,13t)、β-エレオステアリン酸(β-eleostealic acid)(18:3、9t,11t,13t)、プニカ酸(punicicacid)(18:3、9c,11t,13c)、カレンデイン酸(calendic acid)(18:3、8t,10t,12c)、ジャルカリック酸(jarcaric acid)(18:3、8c,10t,12c)、カタルピン酸(catalpic acid)(18:3、9t,11t,13c)、カムロレニン酸(kamlolenic acid)(18OH、9c,11t,13t)、テトラ不飽和脂肪酸として、ステアリドン酸(stearidonic acid)(6,9,12,15-テトラ不飽和脂肪酸)、アラキドン酸(arachidonic acid)(5、8,11,14-テトラ不飽和脂肪酸)、パリナリン酸(parinaric acid)(18:4、9c,11t,13t,15c)、ペンタ不飽和脂肪酸として、エイコサペンタエン酸(all-cis-icosa-5,8,11,14,17-pentaenoic acid)、イワシ酸(7,10,13,16,19-ペンタ不飽和脂肪酸)、ヘキサ不飽和脂肪酸として、ドコサヘキサエン酸等が挙げられる。 特に好ましいものは、α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、等である。 本発明の有効成分(B)の二重結合を1個又は2個有する不飽和脂肪酸としては、炭素数が、好ましくは8〜24、さらに好ましくは10〜20であるものが望ましい。 モノ不飽和脂肪酸として、ミリストレイン酸(myristoleic acid)(炭素数14)、パルミトレイン酸(palmitoleic acid)(炭素数16)、オレイン酸(oleic acid)(炭素数18)、エライジン酸(elaidic acid)(炭素数18)、バクセン酸(vaccenic acid)(炭素数18)、ガドレイン酸(gadoleic acid)(炭素数20)、エルカ酸(erucic acid)(炭素数22)、ネルボン酸(nervonic acid)(炭素数24)等が、ジ不飽和脂肪酸として、リノール酸(linoleic acid)(炭素数18)等が挙げられる。 本発明の有効成分(C)の飽和脂肪酸としては、炭素数が、好ましくは8〜24、さらに好ましくは10〜20であるものが望ましい。 具体例としては、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸、オクタデカン酸、ノナデカン酸、イコサン酸、ドコサン酸、テトラドコサン酸、ヘキサドコサン酸、オクタドコサン酸、トリアコンタン酸等が挙げられる。 本発明において、有効成分(A)、(B)及び(C)は、塩、エステル、アミド等の形態であってもよい。 塩としては、食品学的、栄養学的、又は薬理学的に許容されるものであれば特に制限されず、ナトリウム塩、カルシウム塩等の金属塩、アンモニウム塩、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、ヘキサメチレンイミン、アニリン、ピリジン等の有機塩基との塩、アルギニン、グルタミン酸、オルニチン等のアミノ酸との塩等が挙げられる。 また、エステル誘導体としては、食品学的、栄養学的、又は薬理学的に許容されるものであれば何れでも選択しうるが、エチルエステル、ブチルエステル、プロピルエステル及びグリセロールエステルが好ましく、更に好ましくはエチルエステル及びグリセロールエステルである。グリセロールエステル誘導体としては、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドの何れの形でもよいが、ジグリセリド及びトリグリセリドの形が好ましく、トリグリセリドが最も好ましい。 さらにアミド誘導体としては、食品学的、栄養学的、又は薬理学的に許容されるものであれば特に制限されず、アセトアミド、プロピオンアミド、ブチルアミド、バレルアミド等が挙げられる。 本発明において(A)成分と(B)成分の質量比は、好ましくは1:90〜8:2、さらに好ましくは1:60〜3:7である。 また、(A)成分及び(B)成分の合計質量と成分(C)の質量との比は好ましくは50:1〜1:3、さらに好ましくは40:1〜1:1である。 本発明のアドレナリンβ3受容体リガンドは有効成分のみで使用することもできるが、賦形剤等を加えた形態で使用することもできる。 例えば、本発明のリガンドを液剤の形態で使用するには、上記有効成分に、安息香酸ナトリウム、p−オキシ安息香酸メチル、デヒドロ酢酸ナトリウムなどの保存剤、リンゴ酸、アスコルビン酸、クエン酸、酢酸などの溶解補助剤、さらに着色剤、香料、風味剤、グルコース、マンニトールなどの甘味剤などを必要に応じて配合し、さらに蒸留水、生理食塩水などの希釈剤を必要に応じて加えて医薬品又は食品を調製する。 上記成分を有効成分とする医薬品は、通常、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、座剤等の固形製剤の形態に調製する。その際、これらの医薬製剤は、通常使用される充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤などの稀釈剤又は賦形剤を用いて調製される。 錠剤の形態に形成するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えば乳糖、マンニトール、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、澱粉、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロースなどの賦形剤、蒸留水、生理食塩水、単シロップ、ブドウ糖液、澱粉液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドンなどの結合剤、乾燥澱粉、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、澱粉、乳糖などの崩壊剤、白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油などの崩壊抑制剤、酢酸、アスコルビン酸、リンゴ酸などの溶解吸収促進剤、グリセリン、澱粉、乳糖、カオリン、ベントナイト、コロイド状硅酸などの吸着剤、精製タルク、ステアリン酸塩、ポリエチレングリコールなどの滑沢剤などがあげられる。さらに錠剤は、必要に応じて糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるいは二重錠、多層錠とすることができる。 丸剤の形態に成形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のものを広く使用でき、例えばブドウ糖、乳糖、マンニトール、澱粉、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルクなどの賦形剤、アラビアゴム末、ゼラチンなどの崩壊剤などが挙げられる。座剤の形態に成形するに際しては、担体として従来公知のものを広く使用でき、例えばカカオ脂、高級アルコールのエステル類、ゼラチンなどが挙げられる。 有効成分の含有量は特に限定されず広範囲に選択されるが、有効成分(A)、(B)及び(C)の全体で、通常製剤中に0.001〜30質量%、好ましくは0.01〜10質量%含有させるのがよい。 投与量は特に限定されないが、用法、患者の年齢、性別、疾患の程度などの条件に応じて適宜選択すればよい。例えば、体重1kgに対して有効成分(A)、(B)及び(C)の全体で0.01〜20mg、好ましくは0.02〜10mgとなる量を一日1〜4回に分けて経口投与する。 本発明の有効成分(A)、(B)及び(C)を含有する食品は特に限定されないが、例えば、スープ、味噌汁、ドリンク、ゼリー、グミ等が挙げられる。これら食品中の有効成分(A)、(B)及び(C)の全体の含有量は、好ましくは0.001〜30質量%、さらに好ましくは0.01〜10質量%である。 アドレナリンβ3受容体結合活性は例えば、ヒト組換え体アドレナリンβ3受容体を発現するHEK−293細胞を使用し、Cell Biology: Feve et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91(1994), Vol.91, pp.5677-5681記載の方法に準拠して行うことができる。すなわち、トリス緩衝液(pH7.4)に、試料の1%DMSO溶液、及び0.5nM[125I]シアノピンドロールを加え、HEK−293細胞を、25℃で90分培養した後、濾過、洗浄し、アドレナリンβ3受容体結合リガンドの放射能を測定することにより行うことができる。 以下実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。試験例1 ラット初代前駆脂肪細胞4種(内臓脂肪・精巣上体周囲脂肪・皮下白色脂肪・褐色脂肪)を用いて、本発明の組成物による脂肪蓄積抑制効果および脂肪放出効果をin vitro にて予備検討を行なった。試験材料及び試験方法陰性対照物質 Dimethyl Sulfoxide(以下DMSO)(和光純薬工業(株))を使用した。被験物質 下記の表1に示す成分を表1に示す質量比で含有する成分をDMSO で1w/v%に溶解して、脂肪細胞分化メディウム((株)プライマリーセル,Lot.No.080411)に最終濃度10 μg/mL になるよう添加して使用した。アドレナリンβ3受容体結合活性試験は前述の方法で行った。使用細胞 前駆脂肪細胞培養キット3 種セットH-3(初代、ラット、(株)プライマリーセル:内臓脂肪前駆細胞(以下VAC)Lot.No.FIHA-FV・皮下白色前駆脂肪細胞(以下SAC)FIHA-FS・精巣上体周囲前駆脂肪細胞(以下EAC)FIHA-FE)および褐色脂肪細胞培養キットF-8(初代、ラット、(株)プライマリーセル:Lot.No.HDOA-1)を用いた。 ノルエピネフリン(以下NE)(-)-Norepinephrine(+)-bitartrate salt hydrate(SIGMA:Lot No.103K0979)を使用した。セルライセートの調製 TRI-Reagent(Molecular Research Center:Lot No.3681)を使用した。試験方法培養操作(1)前駆脂肪細胞3 種(VAC・SAC・EAC) 3 種の脂肪細胞前駆細胞(内臓脂肪,精巣上体周囲,皮下白色)1.5×106 cellsを24 穴プレートの12 wellに播種し(細胞数は1.2×105 cells/mL/well)、4 日間脂肪細胞分化メディウムにて予備培養を行った。予備培養後(播種後4 日目)に陰性対照物質及び被験物質を内臓脂肪分化メディウムで規定濃度に調製し、調製済み培地を細胞に添加した。 培地交換は、被験物質添加0, 2, 4 日目(播種4, 6, 8 日目)に行い、回収後は新しい調製済み培地を加えた。最終日は、NE未処理群についてはそのままセルライセートの調製を行い、NE処理群についてはセルライセート調製の6 時間前に被験物質および陰性対照物質を規定濃度に、NEを1×10-6 M濃度に脂肪細胞分化メディウムで調製して細胞に添加した。顕微鏡観察は、被験物質添加日およびNE添加前後に行い、代表例についてホフマンモジュールレンズによる写真撮影を行った。(2)褐色脂肪細胞(以下BAT) 24 穴プレートに播種された褐色脂肪細胞を、増殖用メディウムで3 日間培養し、コンフルエントになったのを確認した。分化誘導培地に交換して、2 日間培養し、陰性対照物質及び被験物質を維持メディウムで規定濃度に調製し、調製済み培地を細胞に添加し4 日間培養を行なった。NE 処理については、VAC と同様の処理を維持メディウムで行った。顕微鏡観察は、NE 添加前後に行い、代表例についてホフマンモジュールレンズによる写真撮影を行った。 試験群の構成を以下の表2及び表3に示す。試験結果細胞形態観察顕微鏡写真(VAC)被験物質投与0 日目(播種4 日目) 内臓脂肪細胞を播種してから4 日目に、通常培地および被験物質調製済みの培養液1mL を添加し、顕微鏡観察及び代表例の写真撮影を行なった。 各ウェルの全体を観察したところ、脂肪細胞に脂肪滴が少しずつではあるが蓄積し始めたのが確認された。 各群間での差異は認められず、試験系が各群同条件で行われていることが確認された。被験物質投与2 日目(播種6 日目) コントロール群では、小さな脂肪滴を蓄積した脂肪細胞も見られるが、成熟した脂肪細胞も若干見られた。 本発明の組成物(実施例3)10 μg/mL 添加群では、小さな脂肪滴を蓄積した脂肪細胞が多く、肥大化した脂肪細胞はほとんど認められなかった。 いずれの群においても、細胞障害の様子は確認されなかった。被験物質投与4 日目(播種8 日目) コントロール群では、殆どの脂肪細胞が成熟細胞になり、肥大化している細胞も多くみられた。 本発明の組成物(実施例3)10 μg/mL 継続添加群では、成熟した脂肪細胞が増加した。また、肥大化した脂肪細胞も若干見られた。コントロール群と比較して、大きな差は認められなかった。 サンプル添加6 時間による効果は、明確には見られなかった。 NE 添加6 時間による反応は得られた。また、サンプルの継続添加により、NE 反応性は上がっているように見受けられた。NE+サンプル6 時間添加では、NE 添加6 時間の群と同等の反応性であるように見受けられた。被験物質投与6日目(播種10日目) コントロール群では、肥大化している細胞が多く、脂肪滴の融合が認められる。 サンプル添加群では、肥大化細胞はほとんど認められず、明確な肥大化抑制作用が確認された。 細胞形態観察顕微鏡写真(VAC)(倍率100倍)を図1に示す。細胞形態観察顕微鏡写真(SAC)被験物質投与0 日目(播種4 日目) 皮下白色脂肪細胞を播種してから4 日目に、通常培地および被験物質調製済みの培養液1 mL を添加し、顕微鏡観察及び代表例の写真撮影を行なった。 各ウェルの全体を観察したところ、脂肪細胞に脂肪滴が蓄積し始めたのが確認された。 各群間での差異は認められず、試験系が各群同条件で行われていることが確認された。被験物質投与2 日目(播種6 日目) コントロール群では、小さな脂肪滴を蓄積した脂肪細胞も見られるが、成熟した脂肪細胞も見られた。 本発明の組成物(実施例3)10 μg/mL 添加群では、コントロール群と比較し、小さな脂肪滴を蓄積した脂肪細胞が多く、肥大化した脂肪細胞はほとんど認められなかった。 本発明の組成物(実施例3)10 μg/mL 添加群では、細胞のはがれと思われる現象がわずかに見られ、細胞密度が薄くなっているのが確認された。被験物質投与4 日目(播種8 日目) コントロール群では、殆どの脂肪細胞が成熟細胞になったのが確認された。 本発明の組成物(実施例3)10 μg/mL 添加群では、成熟した脂肪細胞が増加した。また、6 日目に見られた細胞はがれと思われる現象が進み、コントロール群と比較して、脂肪細胞の数は少なかった。 サンプル添加6 時間の群では、形態観察からはあまり効果は認められなかった。 NE 添加による反応は得られた。また、サンプルの同時添加により、反応が良く進んでいる可能性が示唆された。細胞形態観察顕微鏡写真(EAC)被験物質投与0 日目(播種4 日目) 精巣上体周囲脂肪細胞を播種してから4 日目に、通常培地および被験物質調製済みの培養液1 mL を添加し、顕微鏡観察及び代表例の写真撮影を行なった。 各ウェルの全体を観察したところ、脂肪細胞に脂肪滴が少しずつではあるが蓄積し始めたのが確認された。 各群間での差異は認められず、試験系が各群同条件で行われていることが確認された。被験物質投与2 日目(播種6 日目) コンロール群では、小さな脂肪滴を蓄積した脂肪細胞も見られるが、脂肪蓄積が進んでいるのが確認された。 本発明の組成物(実施例3)10 μg/mL 添加群では、コントロール群と比較し、脂肪滴の小さな細胞が多く、脂肪滴が肥大化した脂肪細胞はほとんど認められなかった。 コントロール群に比較して、細胞密度が薄く、細胞はがれの可能性が考えられた。被験物質投与4 日目(播種8 日目) コントロール群では、殆どの脂肪細胞が成熟細胞になり、脂肪滴が肥大化している細胞が多く認められた。 本発明の組成物(実施例3)10 μg/mL 添加群では、脂肪滴が肥大化した脂肪細胞も若干見られたが、コントロール群と比較して、脂肪滴が肥大化した脂肪細胞の数は少なかった。また、細胞密度が薄く、細胞はがれの可能性が考えられた。 サンプル添加6 時間による効果は、明確に認められなかった。 NE 添加6 時間による反応は得られた。なお、サンプルの同時添加または継続添加による、NE 反応性はNE 添加6 時間群と同程度であった。細胞形態観察顕微鏡写真(BAT)被験物質投与0 日目(播種5 日目) 褐色脂肪細胞を播種してから5 日目に、維持培地および被験物質調製済みの培養液1mL を添加し、顕微鏡観察及び代表例の写真撮影を行なった。 各ウェルの全体を観察したところ、脂肪細胞に脂肪滴が少しずつではあるが蓄積し始めたのが確認された。 各群間での差異は認められず、試験系が各群同条件で行われていることが確認された。被験物質投与4 日目(播種9 日目) コントロール群では、殆どの脂肪細胞が成熟細胞になっているのが確認された。 本発明の組成物(実施例3)10 μg/mL 継続添加群では、脂肪滴の大きさが小さく、また細胞の密度が薄くなっているように見受けられた。 サンプル添加刺激1 時間の効果は、形態観察では明確に確認できなかった。 NE 添加1 時間による反応は十分に確認できた。 NE とサンプルの同時添加、またはサンプルの継続添加後のNE 添加による刺激についても、形態観察より反応が確認された。製剤例1(錠剤) 実施例1で製造した組成物10gに、リンゴ酸10g、アスコルビン酸10gを加えて1000mlの水に溶解し、凍結乾燥した。このものは純水に瞬時に溶解する特性を有する。この凍結乾燥物10gにマンニトール20g、乳糖50g、ポリデキストロース20gを加えて良く混合し、結着剤としてショ糖脂肪酸エステル2gを加えて錠剤を作った。製剤例2(顆粒剤) 実施例2で製造した組成物1gをデキストリン100gに十分に分散させた後、これをデキストリン900gと混ぜ、流動層造粒により顆粒剤を作った。製剤例3(ゼリー) 実施例3で製造した組成物1gにアスコルビン酸10gを加えて500gの液糖に分散・溶解し、ゲル化剤0.1g、レモン香料0.1gと水500mlを加えて、プラスチック容器に充填し、冷却してゼリーを作った。被験物質投与6日目(播種10日目)の細胞形態観察顕微鏡写真(VAC)(倍率100倍)である。下記の3成分からなるヒトアドレナリンβ3受容体リガンド。(A)二重結合を3個有する遊離の不飽和脂肪酸又はその薬学的に許容される塩、(B)二重結合を1個又は2個有する遊離の不飽和脂肪酸又はその薬学的に許容される塩、及び(C)遊離の飽和脂肪酸又はその薬学的に許容される塩。(A)成分の不飽和脂肪酸の炭素数が、8〜24である請求項1記載のヒトアドレナリンβ3受容体リガンド。(B)成分の不飽和脂肪酸の炭素数が、8〜24である請求項1又は2記載のヒトアドレナリンβ3受容体リガンド。(C)成分の飽和脂肪酸の炭素数が、8〜24である請求項1〜3のいずれか1項記載のヒトアドレナリンβ3受容体リガンド。(A)成分と(B)成分の質量比が1:90〜8:2である請求項1〜4のいずれか1項記載のヒトアドレナリンβ3受容体リガンド。(A)成分及び(B)成分の合計質量と成分(C)の質量との比が50:1〜1:3である請求項1〜5のいずれか1項記載のヒトアドレナリンβ3受容体リガンド。


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