タイトル: | 公表特許公報(A)_分枝状炭化水素の製造方法 |
出願番号: | 2010511670 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | C10G 3/00,C10L 1/04,C07C 1/20,C07C 9/18 |
コイブサルミ、エイヤ ピーロラ、ラミ アールト、ペッカ JP 2010529274 公表特許公報(A) 20100826 2010511670 20080610 分枝状炭化水素の製造方法 ネステ オイル オサケ ユキチュア ユルキネン 505081261 コイブサルミ、エイヤ ピーロラ、ラミ アールト、ペッカ FI 20075434 20070611 C10G 3/00 20060101AFI20100730BHJP C10L 1/04 20060101ALI20100730BHJP C07C 1/20 20060101ALI20100730BHJP C07C 9/18 20060101ALI20100730BHJP JPC10G3/00C10L1/04C07C1/20C07C9/18 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW FI2008050343 20080610 WO2008152199 20081218 30 20091210 4H006 4H129 4H006AA02 4H006AC13 4H006BA26 4H006BA61 4H006BE20 4H006DA12 4H129AA01 4H129BA09 4H129BB05 4H129BC42 4H129KA06 4H129KA11 4H129KA14 4H129KB03 4H129KC13X 4H129KC21X 4H129KD13X 4H129KD18X 4H129KD21X 4H129KD23X 4H129KD44X 4H129NA03 4H129NA04 4H129NA22 4H129NA23 4H129NA25 4H129NA31 4H129NA32発明の分野 本発明は、再生可能な供給源からの分枝状飽和炭化水素の製造方法、特に、ディーゼル燃料、灯油またはガソリンプールに適した炭化水素の製造方法に関する。該方法は、生物由来の原料油を縮合させ、次いで、触媒法による水素化脱官能化(hydrodefunctionalization)と異性化の併合工程に供する工程を含む。技術水準 脂肪酸は、化学業界の種々の適用用途において原料として使用されており、典型的には、潤滑油、ポリマー、燃料および溶媒から化粧品に及ぶ製品の製造に使用されている。脂肪酸は、一般的に、木材パルプ加工プロセスから、または植物もしくは動物由来のトリグリセリドの加水分解によって得られる。天然に存在するトリグリセリドは、通常、グリセロールと、4〜26個の炭素原子を有する偶数炭素数の直鎖カルボン酸とのエステルである。ほとんどの一般的な脂肪酸は、16、18、20または22個の炭素原子を含有するものであるが、C4〜C14脂肪酸とのトリグリセリドも多く存在する。また、ギ酸(C1)および酢酸(C2)は、天然に存在するカルボン酸である。 脂肪酸は、飽和型のもの、または1つ以上の不飽和結合を含むもののいずれかであり得る。不飽和脂肪酸は、多くの場合、炭素−炭素二重結合を有するシス型のオレフィン系である。不飽和中心は、炭素鎖内の好ましい位置に現れる。最も一般的な位置は、オレイン酸(C18:1)およびエルカ酸(C22:1)などの場合のようなω9である。多価不飽和酸は、一般的に、シス−オレフィン系二重結合間にメチレンが介在する構成を有する。長鎖の飽和直鎖脂肪酸(C10以上:0)は室温で固形であり、その加工処理と使用が、いくつかの適用用途において困難となる。長鎖の不飽和脂肪酸(オレイン酸など)は、室温で、容易に加工処理可能な液状であるが、二重結合のため使用不可能である。分枝状脂肪酸は、多くの点で直鎖不飽和脂肪酸の性質を模倣し、より安定である。たとえば、イソステアリン酸として知られる分枝状C18:0脂肪酸は、室温で液状であるが、分枝状C18:0には不飽和結合が存在しないため、C18:1酸ほど不安定ではない。したがって、分枝状脂肪酸は、多くの適用用途で直鎖脂肪酸よりも望ましい。 脂肪酸含有生体物質を含む原料は、燃料製造のために一部のプロセスで使用されている。生物性物質を基にしたディーゼル燃料は、一般的に、バイオディーゼルと称されている。「バイオディーゼル」の定義は、Original Equipment Manufacturer(OEM)ガイドラインに、以下のように示されている:バイオディーゼルは、植物油または動物性脂肪由来の長鎖脂肪酸のモノアルキルエステルであり、以下の表1に示すディーゼルエンジンにおける使用のためのASTM D6751またはEN 14214規格の満たすものである。バイオディーゼルは、従来のディーゼル燃料と配合する前の純粋な燃料(B100)をいう。 高品質ディーゼル燃料には、高いセタン価、適正な粘度範囲および良好な低温特性が求められる。 また、バイオディーゼルの他に、以下のバイオ燃料が利用可能である。a)バイオエタノール:バイオマスおよび/または廃棄物の生分解性留分から製造され、バイオ燃料として使用されるエタノール;b)バイオディーゼル:植物性または動物性の油から製造され、ディーゼル品質のものであり、バイオ燃料として使用されるメチルエステル;c)バイオガス:バイオマスおよび/または廃棄物の生分解性留分から製造され、天然ガス品質まで精製されたものであり、バイオ燃料として使用される燃料ガス、または木ガス;d)バイオメタノール:バイオマスから製造され、バイオ燃料として使用されるメタノール;e)バイオジメチルエーテル:バイオマスから製造され、バイオ燃料として使用されるジメチルエーテル;f)バイオETBE(エチルターシャリーブチルエーテル):バイオエタノールを基にして製造されるETBE。バイオETBEの割合(バイオ燃料として計算)は47%v/vである;g)バイオMTBE(メチルターシャリーブチルエーテル):バイオメタノールを基にして製造される燃料成分。バイオMTBEの割合(バイオ燃料として計算)は36%v/vである;h)合成バイオ燃料:バイオマスから製造される合成炭化水素または合成炭化水素の混合物;i)バイオ水素:バイオマスおよび/または廃棄物の生分解性留分から製造され、バイオ燃料として使用される水素;j)純粋な植物油:油脂植物から圧搾、抽出または同等手順によって製造される油類であって、粗製または精製であるが化学的に未修飾であり、関与するエンジンの型および対応する排ガス規制に適合性のある油類。 上記のものに加え、バイオエタノールを基にして製造されるバイオTAME(ターシャリーアミルメチルエーテル)がある。バイオTAMEの割合(バイオ燃料として計算)は31%v/vである。 バイオ燃料の無公害性と再生可能な性質のため、欧州連合指令2003/30/ECでは、バイオ燃料または他の再生可能燃料の使用が推進されている。この指令では、輸送目的のためのディーゼルまたはガソリンと置き換えるバイオ燃料の最低割合を、2010年末までに、販売されるガソリンおよびディーゼル燃料のうちバイオ燃料の割合が最低5.75%となるようにすべきであると設定した。 米国では、大気浄化法(Clean Air Act)により、一酸化炭素の放出を削減するため、酸素物質(oxygenate)の添加が求められている。酸素物質は、一般的にはアルコールとエーテルであり、これらは、ガソリンに添加されると、そのガソリン配合物中の酸素の量を増大させる。酸素物質としての使用における一般的なエーテルとしては、ETBE(エチルターシャリーブチルエーテル)、MTBE(メチルターシャリーブチルエーテル)およびTAME(ターシャリーアミルメチルエーテル)が挙げられる。一般的なアルコールは、メタノールとエタノールである。酸素物質エーテルは、ガソリンに対するエタノールの溶解性を改善する。 エタノールは、種々の方法で、さまざまな原料油を用いて製造され得る。バイオエタノールは、炭化水素系の再生可能な農業原料油(サトウキビおよびトウモロコシなど);または木材パルプ加工によって得られる原料油の変換により得られる。バイオメタノールは、フィッシャー・トロプシュ合成でのバイオマス原料油由来の合成ガスから製造され得る。メタノール製造のための別の生物由来の供給源は、バイオディーゼル製造の副生成物であるグリセロールである。合成バイオ燃料は、バイオマスから熱分解およびフィッシャー・トロプシュプロセスによって;または、トリグリセリドから、伝統的な鉱物原油の精油プロセスとよく似たプロセスによって製造され得る。 バイオメタノールは、その高いオクタン価のため、スパーク点火エンジンにおける石油代替燃料としての適用用途に非常に適している。バイオエタノールの場合と同様、自動車用燃料として適用される場合は、低蒸気圧、低容積エネルギー密度(石油の約半分)およびエンジンの材質との不適合性が考慮されなければならない。バイオメタノールは、10〜20%まで、エンジンまたは構造基盤を改良する必要なく石油と配合され得る。しかしながら、純メタノールはエタノールと異なり、目に見えない火炎により燃焼を起こすため、メタノールの取り扱いに対して、さらなる安全対策が取られる必要がある。さらに、メタノールは有毒であるため皮膚や目との接触が回避されなければならない。 エタノール燃料を、純エタノール(E100)となるまで任意の濃度でガソリンと合わせてもよい。水分含量が最大1%である無水エタノールは、石油燃料の消費が削減される種々の量でガソリンに配合され得る。世界各地で、自動車用エタノールの性能は広く異なり、ほとんどのスパーク点火型のガソリン用エンジンは、10%エタノール(E10)の混合物で良好に動作する。10%混合物のエタノールによりオクタン価が上昇することによって、エンジンのノックの可能性が低減される。欧州で最も一般的なエタノール燃料組成物は、エタノール85%とガソリン15%のE85である。 別のガソリン配合用成分はアルキレートである。アルキレートは、イソブタンと軽質オレフィン(エチレン、プロピレン、ブチレン、およびアミレン(ペンチレン)など)との触媒反応によって形成される分枝状パラフィン化合物(i−パラフィン)であり、したがって、炭素数はC6〜C9である。アルキレートは、その高いオクタンと比較的低い揮発性のため、望ましいガソリン配合用成分である。 バイオディーゼルは、再生可能な供給源から製造される代替燃料であり、石油を含有していない。バイオディーゼルは微量で石油ディーゼルに配合され、バイオディーゼル配合物が製造され得る。さらに、これは、無毒性で、本質的にイオウ分と芳香族を含まない。これは、圧縮点火(ディーゼル)エンジンにおいて、ほとんどまたはまったく改良することなく使用され得る。 最新型車両において新規で効率的な公害防止技術の充分な効果を得るため、および窒素酸化物、揮発性の炭化水素や粒子の放出を削減するため、ならびに排ガス中の亜硫酸ガスの直接的な削減を達成するために、サルファーフリーの燃料が求められている。欧州連合により、このような製品が、2005年から市場で入手可能となるべきであり、2009年から市販される唯一の形態となるべきであると定められた。この新たな要件により、自動車用燃料からの年間イオウ排出量が削減されよう。 生物由来の供給源から得られる出発材料は、通常、多量の酸素を含有しており、酸素含有化合物の例として、脂肪酸、脂肪酸エステル、アルデヒド、第1級アルコールおよびその誘導体が挙げられ得る。 欧州特許第457,665号明細書には、酸化鉄含有ボーキサイト触媒を用いて、トリグリセリド、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸塩、および脂肪酸無水物からケトンを製造するための方法が開示されている。米国特許第5,777,183号明細書には、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物を金属酸化物助触媒とともに使用し、アルコールを縮合させ、ゲルベアルコールを得るための方法が開示されている。NaOHおよびCa(OH)2などの塩基性均一系触媒、ならびにNa/SiO2などの担持型アルカリ金属が、アルデヒド縮合用の不均一系触媒として挙げられ、これは、Kelly,G.J.ら、Green Chemistry,2002,4,392-399に記載されている。 酸安定性アルデヒドおよびケトンは、クレメンセン還元によって、対応する炭化水素に還元することができる。アマルガム化亜鉛と塩酸の混合物は、脱酸素化触媒として使用されている。 しかしながら、上記の強酸性アマルガム触媒系は、工業規模での炭化水素燃料生産には適していない。強酸性度とバッチプロセスに加え、アルキル化、クラッキングおよび異性化などの制御不能な副反応の可能性がある。 Durand,R.ら、Journal of Catalysis 90(1)(1984),147-149には、硫化物型NiO−MoO3/γ−Al2O3触媒でのケトンおよびアルコールの水素化脱酸素化によって対応パラフィンを得ることが記載されている。このような水素化脱硫触媒はまた、生物性出発材料の分子の水素化脱酸素化プロセスにも適用され、燃料範囲のパラフィンが製造される。米国特許第5,705,722号明細書には、バイオマス原料油(トール油、桐油、動物性脂肪およびトール油と植物油の配合物など)から、CoMoまたはNiMo触媒の存在下で生成物の混合物を得るディーゼル燃料用の添加剤を製造するための方法が記載されている。 水素化脱酸素化プロセスでは、慣用的な水素処理触媒、特に、NiMoおよびCoMo系触媒が使用され、該触媒は、プロセス条件において活性が維持されるように、硫化物型の形態に維持される必要があり、したがって、少量のH2S同時供給原料が一般的に添加される。しかしながら、特に環境上の理由によりイオウ分の使用の低減の必要性が一般的に存在するため、このような触媒は望ましくない。さらに、上記の方法で得られる生成物は、本質的に氷点下の温度で凝固するn−パラフィンであり、したがって高品質ディーゼル燃料、灯油およびガソリン化合物には不適当である。 フィンランド特許第100248号公報には、植物油の脂肪酸またはトリグリセリドを、市販のイオウ分除去触媒(NiMoおよびCoMo)を用いて水素処理してn−パラフィンを得た後、前記n−パラフィンを、金属含有分子ふるいまたはゼオライトを用いて異性化して分枝状−鎖パラフィンを得ることにより、植物油から中間留分を製造するための2工程による方法が記載されている。水素処理は、330〜450℃の反応温度で行なわれた。 水素化異性化機能を有する脱ろう触媒は、一般的に、ヘテロ原子不純物に許容性がないと考えられており、典型的には、ヘテロ原子不純物を供給原料から除去するため、脱ろうの前にイオウ分要求性水素処理工程が使用される。これは、前記不純物が触媒の不活化を加速させると考えられているためである。しかしながら、国際公開第2006/100584号パンフレットには、原料油を単一の工程で水素化脱酸素化および水素化異性化することを含む、植物油および動物性脂肪からのディーゼル燃料の製造方法が開示されている。 米国特許第7,087,152号明細書には、ワックス状無機系炭化水素原料またはフィッシャー・トロプシュワックスを含有する酸素物質を、原料に添加された該酸化剤によって選択的に活性化される脱ろう触媒を用いて脱ろうさせる方法が開示されている。欧州特許第1549725号明細書は、プロセス工程間に合間なしで水素処理、水素化脱ろう(水素化異性化)および/または水素化精製を含む、イオウ分および窒素不純物を含む炭化水素原料油を加工処理するための一体型触媒法による水素化脱ろうプロセスに関する。 生物由来の生成物の製造方法は、当該技術分野においてよく知られているが、依然として、再生可能原料油を利用してバイオ燃料に適した炭化水素を製造するための新たな方法の必要性が存在する。発明の目的 本発明の目的は、分枝状飽和炭化水素の製造方法である。 本発明の別の目的は、飽和ディーゼル燃料、灯油およびガソリンの製造方法である。 本発明のさらに別の目的は、生物由来の出発材料を用いて飽和ディーゼル燃料、灯油およびガソリンを製造するための方法である。 本発明のさらに別の目的は、生物性出発材料から得られる原料油を縮合させた後、水素化脱官能化と異性化の併合工程を行なうディーゼル燃料、灯油およびガソリンの製造方法である。定義 カルボン酸およびその誘導体は、脂肪酸およびその誘導体を包含する。脂肪酸およびその誘導体の炭素数は少なくともC1であり、縮合反応後、反応生成物の鎖長は少なくとも5個の炭素で、炭素数がC5である。 たとえば、C18:1と示すカルボン酸は、本明細書において、1つの二重結合を有するC18鎖をいう。 用語「飽和炭化水素」は、本明細書で用いる場合、パラフィン系およびナフテン系の化合物をいうが、芳香族化合物を除く。パラフィン系化合物は、直鎖状(n−パラフィン)または分枝状(i−パラフィン)のいずれかであり得る。 飽和ディーゼル燃料、灯油およびガソリンは、本明細書において、飽和炭化水素を含むものである。 ナフテン系化合物は、環状飽和炭化水素、すなわちシクロパラフィンをいう。かかる環状構造を有する炭化水素は、典型的には、シクロペンタンまたはシクロヘキサンから誘導される。ナフテン系化合物は、単環構造(モノナフテン)もしくは2つの環が孤立した構造(孤立型ジナフテン)、または2つの環の縮合構造(縮合型ジナフテン)もしくは3つ以上の環の縮合構造(多環式ナフテンまたはポリナフテン)で構成されたものであり得る。 縮合は、本明細書において、2つの原料油分子が結合してより大きな分子が形成される反応をいう。縮合では、原料油分子の炭素鎖がディーゼル燃料、灯油およびガソリンに必要なレベルまで、典型的には、少なくともC5の炭化水素鎖長まで伸長される。 脱酸素化または水素化脱酸素化(HDO)は、本明細書において、水素による酸素の除去をいう。反応中には、水分が放出される。生物性出発材料の構造は、使用される触媒および反応条件に応じて、パラフィン系またはオレフィン系のいずれかに変換される。 水素化脱官能化(HDF)は、本明細書において、水素による酸素、窒素およびイオウ原子の除去をいう。HDF工程により、酸素、窒素およびイオウを含有する不純物は、それぞれ、水、アンモニアおよび硫化水素に変換される。 異性化は、本明細書において、分枝状炭化水素(i−パラフィン)が得られる直鎖状構造(n−パラフィン)の水素化異性化をいう。 併合水素化脱官能化/異性化工程(CHI)は、本明細書において、水素による酸素、窒素およびイオウ原子の除去とワックス分子の分枝状異性化物(炭化水素)への異性化をいう。 これに関連して、圧力は、標準大気圧に対するゲージ圧である。 元素の周期表の分類は、第1族から第18族まで有するIUPAC周期表形式である。 これに関連して、炭素数範囲の幅は、生成物の最大分子と最小分子の炭素数の差+1(FIMS分析のメインピークから測定)をいう。発明の概要 分枝状飽和炭化水素、特に、高品質ディーゼル燃料、灯油およびガソリンの製造のための本発明による方法では、原料油を縮合に供して、酸素、イオウおよび窒素から選択される1個以上のヘテロ原子を含有する炭化水素を含む縮合生成物を得て、次いで、この縮合生成物を、水素化脱官能化と異性化の併合工程(CHI)に供し、それにより、単一の触媒法によるプロセス工程で異性化とヘテロ原子の除去が同時に行なわれる。得られるディーゼル燃料、灯油およびガソリンは、なんら配合制限なく従来の燃料に混合され、添加剤を大量に使用することなく非常に厳しい技術的要件を満たすものである。 本発明を添付の図1により説明するが、本発明の範囲を前記図の実施形態に限定されることを望まない。 図1に、本発明の好ましい一実施形態を概略的に示す。このプロセスでは、縮合工程が、水素化脱官能化と異性化の併合工程の前に行なわれる。供給槽1から、ヘテロ原子含有原料油流2を縮合反応器3まで通過させた後、縮合流4を併合水素化脱官能化/異性化反応器5まで、水素ガス6と一緒に通過させる。過剰の水素と水素添加されたヘテロ原子は、ガス流7として除去される。得られた分枝状パラフィン流8を蒸留および/または分離ユニット9まで通過させ、ここで、異なる温度範囲で沸騰する生成物成分、ガス10、ガソリン11、灯油12、およびディーゼル13が分離される。 種々の留分の蒸留カットは異なり得る。 典型的には、ガスは、−162〜36℃の範囲で沸騰するC1〜C5炭化水素を含み、ガソリンは、36〜174℃の範囲で沸騰するC5〜C10炭化水素を含み、灯油は、151〜254℃の範囲で沸騰するC9〜C14炭化水素を含み、ディーゼルは、216〜431℃の範囲で沸騰するC12〜C28炭化水素を含む。 しかしながら、沸点範囲は、前記炭素数のn−パラフィンについて測定したものである。異性化化合物の沸点は、天然状態では、より低い。本発明の好ましい一実施形態を示した概略図である。発明の詳細な説明 驚くべきことに、高品質の飽和炭化水素、特に、ディーゼル燃料、灯油およびガソリンが、原料油を縮合させ、続いて、水素化脱酸素化と異性化併合工程に供する方法によって得られることがわかった。水素化脱酸素化反応と異性化反応は、水素と、酸性機能および水素添加機能の両方を有する触媒との存在下、同じ反応器内で首尾よく同時に行なわれ得る。触媒は、典型的には、分子ふるいと金属の組合せを含むものである。縮合用原料油 縮合工程の原料油は、好適には、生物由来の出発材料から得られる物質である。原料油は、生物由来の出発材料から得られるケトン、アルデヒド、アルコール、カルボン酸、カルボン酸のエステルおよびカルボン酸の無水物、カルボン酸から生成されるαオレフィン、カルボン酸の金属塩、および対応するイオウ化合物、対応する窒素化合物ならびにその組合せから選択される。原料油の選択は、使用される縮合反応の型に依存する。 原料油は、1〜26(412℃の沸点を有する)、好ましくは1〜20、特に好ましくは1〜14の範囲の総炭素数を有するものであり得る。 好ましくは、原料油は、脂肪酸エステル、脂肪酸無水物、脂肪族アルコール、脂肪族ケトン、脂肪族アルデヒド、天然ワックス、および脂肪酸の金属塩から選択される。また、縮合工程では、二官能性または多官能性原料油、たとえば、ジカルボン酸または、ジオールを含むポリオール、ヒドロキシケトン、ヒドロキシアルデヒド、ヒドロキシカルボン酸、および対応する二官能性または多官能性イオウ化合物、対応する二官能性または多官能性窒素化合物ならびにその組合せが使用され得る。 生物由来の出発材料から得られる原料油は、本発明記載において生物性出発材料とも称し、a)植物性脂肪、植物油、植物性ワックス、動物性脂肪、動物性油、動物性ワックス、魚類脂肪、魚油または魚類系ワックス、b)植物性脂肪、植物油、植物性ワックス、動物性脂肪、動物性油、動物性ワックス、魚類脂肪、魚油または魚類系ワックスから得られる脂肪酸または遊離脂肪酸、および、加水分解、エステル交換または熱分解によるそれらの混合物、c)植物性脂肪、植物油、植物性ワックス、動物性脂肪、動物性油、動物性ワックス、魚類脂肪、魚油または魚類系ワックスから得られるエステル、およびエステル交換によるそれらの混合物、d)植物性脂肪、植物油、植物性ワックス、動物性脂肪、動物性油、動物性ワックス、魚類脂肪、魚油または魚類系ワックスから得られる脂肪酸の金属塩、およびケン化によるそれらの混合物、e)植物性脂肪、植物油、植物性ワックス、動物性脂肪、動物性油、動物性ワックス、魚類脂肪、魚油または魚類系ワックス由来の脂肪酸の無水物、およびそれらの混合物、f)植物、動物および魚起源の遊離脂肪酸とアルコールとのエステル化によって得られるエステル、g)植物性脂肪、植物油、植物性ワックス、動物性脂肪、動物性油、動物性ワックス、魚類脂肪、魚油または魚類系ワックス由来の脂肪酸の還元生成物として得られる脂肪族アルコールまたはアルデヒド、およびそれらの混合物、h)リサイクル食品等級の油脂、および、遺伝子操作によって得られる脂肪、油類およびワックス、ならびにi)前記出発材料の混合物からなる群より選択される。 また、生物性出発材料は、藻類、細菌および昆虫由来の対応化合物、ならびに炭水化物から調製されるアルデヒドおよびケトンに由来する出発材料を包含する。 好適な生物性出発材料の例としては、魚油(バルト海ニシン(Baltic herring)油、サケ油、ニシン油、マグロ油、アンチョビー油、イワシ油、およびサバ油など);植物油(菜種(rapeseed)油、菜種(colza)油、キャノーラ油、トール油、ヒマワリ種子油、大豆油、コーン油、大麻油、亜麻仁油、オリーブ油、綿実油、からし油、ヤシ油、ピーナッツ油、ヒマシ油、ホホバ種子油、クロヨナ(Pongamia pinnata)種子油、パーム核油、およびココナッツ油など)が挙げられ、さらに、動物性脂肪(バター、ラードおよび獣脂など)、また廃油脂およびリサイクル食品等級の油脂、および、遺伝子操作によって作出された脂肪、ワックスおよび油類もまた好適である。油脂に加え、好適な生物由来の出発材料としては、動物性ワックス、たとえば、蜜蝋、シナ蝋(虫白蝋)、シェラックワックス、およびラノリン(羊毛蝋)など、ならびに植物性ワックス、たとえば、カルナウバヤシ油ワックス、ウリクリ(Ouricouri)ヤシ油ワックス、ホホバ種子油、カンデリラワックス、エスパルトワックス、木蝋、および米糠油などが挙げられる。特に好適な生物性出発材料としては、短鎖脂肪酸の割合が高いもの、たとえば、コーン油、オリーブ油、ピーナッツ油、パーム核油、ココナッツオイルバター、ラードおよび獣脂などが挙げられる。 また、生物性出発材料は、遊離脂肪酸および/または脂肪酸エステルおよび/またはその金属塩を含むものであってもよい。前記金属塩は、典型的には、アルカリ土類金属またはアルカリ金属の塩である。縮合 縮合工程では、少なくともC1の炭素数を有する化合物を含む原料油が、C5〜C28の炭素数を有する単官能性または多官能性の化合物に加工処理される。 好適な縮合反応は供給原料の分子の官能性に基づき、脱カルボキシル縮合(ケトン化)、アルドール縮合、アルコール縮合(ゲルベ反応)およびα−オレフィン二重結合と弱いα−水素官能性に基づくラジカル反応である。縮合反応工程は、好ましくはケトン化、アルドール縮合、アルコール縮合およびラジカル反応から選択される。好適な縮合反応を、以下に、より詳細に記載する。脱カルボキシル縮合(ケトン化) ケトン化反応では、原料油中に含まれる脂肪酸の官能基(典型的には、酸基)は互いに反応し、少なくともC5の炭素数を有するケトンが生じる。また、ケトン化は、脂肪酸エステル、脂肪酸無水物、脂肪族アルコール、脂肪族アルデヒド、天然ワックス、および脂肪酸の金属塩を含む原料油でも行なわれ得る。また、ケトン化工程では、ジカルボン酸またはポリオール(たとえば、ジオール)が、脂肪酸のみの場合よりも長い鎖伸張を可能にするさらなる出発材料として使用され得る。この場合、ポリケトン系分子が得られる。ケトン化反応において、圧力は、0〜10MPa、好ましくは0.1〜5MPa、特に好ましくは0.1〜1MPaの範囲であり、一方、温度は、10〜500℃、好ましくは100〜400℃、特に好ましくは300〜400℃の範囲であり、供給流速WHSVは、0.1〜10L/時、好ましくは0.3〜5L/時、特に好ましくは0.3〜3L/時である。ケトン化工程において、任意選択で担持されたものである金属酸化物触媒が使用され得る。典型的な金属としては、Na、Mg、K、Ca、Sc、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sr、Y、Zr、Mo、Rh、Cd、Sn、La、Pb、Bi、および希土類金属が挙げられる。担持体は、典型的には、ラテライト、ボーキサイト、二酸化チタン、シリカおよび/または酸化アルミニウムである。金属は、好ましくは、モリブデン、マンガン、マグネシウム、鉄および/またはカドミウムであり、担持体は、シリカおよび/またはアルミナである。特に好ましくは、金属は、担持体なしの触媒中で酸化物としてのモリブデン、マンガンおよび/またはマグネシウムである。脂肪酸の金属塩(石鹸)のケトン化に特別な触媒は必要とされない。それは、石鹸中に存在する金属がケトン化反応を促進するためである。アルドール縮合 アルドール縮合反応では、供給原料中のアルデヒドおよび/またはケトンが縮合されてヒドロキシアルデヒドまたはヒドロキシケトンが生じた後、水分子の切断により、供給原料に応じて少なくともC5の炭素数の不飽和アルデヒドまたは不飽和ケトンが生成する。飽和または不飽和アルデヒド、ケトン、ヒドロキシアルデヒドおよびそれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種類の成分を含む供給原料、好ましくは、飽和アルデヒドおよびケトンを含む供給原料が使用される。反応は、均一系または不均一系のアルドール縮合触媒の存在下で行なわれる。Na/SiO2などの担持型アルカリ金属触媒が好適な不均一系触媒であり、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、たとえば、NaOH、KOHまたはCa(OH)2が好適な均一系触媒である。低分子量供給原料では、80〜400℃の反応温度範囲、好ましくは低温が使用され、高分子量供給原料では高温が使用される。任意選択で、アルコールなどの溶媒が使用され得る。反応に使用される均一系触媒の量は、1〜20%、好ましくは1.5〜19%(重量基準)で異なり得る。あるいは、アルドール縮合の反応条件は、反応生成物としてアルドールなどのヒドロキシアルデヒドが得られるように調整され、したがって、二重結合の反応に基づくオリゴマー化が最小限となる。少なくともC5の炭素数を有する分枝状不飽和アルデヒドまたはケトンが得られる。アルコール縮合 アルコール縮合反応(好適には、ゲルベ反応)では、供給原料中のアルコールが縮合され、炭化水素流の炭素数が相当増大し、したがって、それぞれ一価および多価アルコールから、少なくともC5の炭素数を有する分枝状単官能性アルコールおよび分枝状多官能性アルコールが得られる。第1級および/または第2級の飽和および/または不飽和アルコール、好ましくは、飽和アルコールを含む供給原料が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物およびアルコキシドならびに金属酸化物から選択されるゲルベ反応の塩基性触媒と金属塩含有助触媒との組合せの存在下、縮合に供される。塩基性触媒の量は、1〜20%、好ましくは1.5〜10重量%で異なり得る。好適な助触媒としては、クロム(III)、マンガン(II)、鉄(II)、コバルト(II)、鉛(II)およびパラジウムの塩、酸化第二スズおよび酸化亜鉛が挙げられ、該塩は、水またはアルコールに可溶性の塩であり、好ましくは、硫酸塩および塩化物である。助触媒は、0.05〜1%、特に好ましくは0.1〜0.5%(重量基準)の種々の量で使用される。アルカリ金属水酸化物またはアルコキシド(アルコラート)が、助触媒としての機能を果たす酸化亜鉛または塩化パラジウムとともに好ましく使用される。反応は、200〜300℃、好ましくは240〜260℃で、反応混合物中に存在するアルコールによってもたらされる蒸気圧下で行なわれる。反応中に水が放出され、前記水は継続的に分離される。ラジカル反応 ラジカル反応では、供給原料中の飽和カルボン酸の炭素鎖がαオレフィンにより伸張される。ラジカル反応工程において、モル比が1:1の飽和カルボン酸とαオレフィンを含む原料油を、100〜300℃、好ましくは130〜260℃で、反応混合物によってもたらされる蒸気圧下、アルキル系パーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイドまたはパーオキシケタール触媒の存在下で反応させる。ジターシャリーブチルパーオキサイド触媒などのアルキル系パーオキサイドが好ましく使用される。反応に使用される触媒の量は、1〜20%、好ましくは1.5〜10%(重量基準)である。少なくともC5の炭素数を有する分枝状カルボン酸が反応生成物として得られる。縮合生成物 縮合生成物の炭素数は、供給原料の分子の炭素数ならびに縮合反応に依存する。ケトン化反応による縮合生成物の典型的な炭素数は、供給原料の炭素数の合計−1であり、他の縮合反応による生成物の炭素数は、供給原料の炭素数の合計である。好ましくは、供給原料は、異なる炭化水素鎖長の1〜3種類のみの原料油化合物を含むもの;すなわち、たとえば、C8のみ、またはC10のみ、またはC12のみ、またはC8/C10など、またはC8/C10/C12などを含むもののいずれかである。縮合用の供給原料は、縮合生成物の炭素数がC5〜C28となるように選択される。併合水素化脱官能化/異性化(CHI) ケトン、アルデヒド、アルコールおよびカルボン酸および対応するイオウ化合物、対応する窒素化合物ならびにその組合せから選択される、少なくともC5、好ましくはC5〜C28の炭素数を有する上記の単官能および/または多官能性の化合物を含む飽和および/または不飽和縮合生成物は、得られたら、次いで、酸性機能分子ふるいと結合剤に担持された水素添加金属とを含む二官能性分子ふるい触媒の存在下での水素化脱官能化と異性化の併合工程(CHI)に供する。結合剤は、本明細書において、担体または担持体を意味する。触媒 併合水素化脱官能化/異性化(CHI)工程において好ましい触媒は、n−パラフィン系のワックス分子を、所望の範囲の沸点を有するイソパラフィンに異性化することにより、脱ろうを可能にするものである。CHI工程では、二官能性分子ふるい触媒が使用される。該触媒は、分子ふるい、水素添加/脱水素化金属および任意選択の結合剤を含むものである。 分子ふるいは、結晶質シリコアルミノホスフェートおよびアルミノシリケートから選択され、好ましくは、AEL、TON、およびMTTのから選択される型の骨格を含むものから選択される。分子ふるいは、交差する細孔のない平行な細孔を含み、細孔開口部がほぼ4〜7Åであり、交差するチャネルがなく、強力なクラッキング活性を誘導する1次元チャネル系を有するものであり得る。好ましくは、結晶質分子ふるいは、少なくとも1つの10員環チャネルを含み、アルミノシリケート(ゼオライト)またはシリコアルミノホスフェート(SAPO)を主成分とする。少なくとも1つの10員環チャネルを含む好適なゼオライトの例としては、ZSM−11、ZSM−22、ZSM−23、ZSM−48、EU−1が挙げられ、少なくとも1つの10員環チャネルを含む好適なシリコアルミノホスフェートの例としては、SAPO−11およびSAPO−41が挙げられる。好ましい触媒としては、SAPO−11およびZSM−23が挙げられる。SAPO−11は、欧州特許第0985010号明細書にしたがって合成され得る。ZSM−23は、国際公開第2004/080590号パンフレットにしたがって合成され得る。 分子ふるいは、典型的には、高温に耐久性であり、かつ最終触媒を形成するための脱ろう条件下での使用に適した結合剤物質と複合体形成されたものであるか、または、結合剤不要(自己結合型)であり得る。結合剤物質は、通常、無機酸化物(シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナなど)、シリカと他の金属酸化物(たとえば、チタニア、マグネシア、トリア、ジルコニアなど)との2成分の組合せ、および該酸化物の3成分の組合せ(シリカ−アルミナ−トリアおよびシリカ−アルミナマグネシアなど)である。最終触媒中の分子ふるいの量は、触媒に対して10〜100重量%、好ましくは15〜80重量%である。残部は結合剤で構成される。 前記触媒は二官能性である、すなわち、元素の周期表の第6族金属、第8族〜第10族金属およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種類の金属の脱水素化/水素添加成分が負荷されている。好ましい金属は第9族〜第10族金属である。特に好ましいのは、Pt、Pdおよびそれらの混合物である。触媒中の金属含有量は、触媒に対して0.1〜30重量%、好ましくは0.2〜20重量%で異なる。金属成分は、任意の適当な既知の方法、たとえば、イオン交換および分解性金属塩を用いた含浸法などを用いて負荷され得る。プロセス条件 縮合生成物は、0.1〜15MPa、好ましくは1〜10MPa、特に好ましくは、2〜8MPaの範囲の圧力下、100〜500℃、好ましくは200〜400℃、特に好ましくは300〜400℃の範囲の温度、0.1〜10L/時、好ましくは0.1〜5L/時、特に好ましくは0.1〜2L/時である流速WHSV、1〜5000NL/L(通常、リットル/リットル)、好ましくは10〜2000NL/L、特に好ましくは100〜1300NL/Lである水素対液状供給原料比で、上記の二官能性分子ふるい触媒の存在下、水素化脱官能化と異性化の併合工程に供される。固定触媒床反応器、たとえば、トリクル床反応器が該反応に好適である。水素化精製 任意選択で、CHI工程で得られた生成物は、生成物の品質を所望される規格に調整するため、水素化精製に供され得る。水素化精製は、任意のオレフィンの飽和ならびに残留ヘテロ原子および着色物質の除去に指向される穏やかな水素処理の一形態である。好適には、水素化精製は、前述の工程とカスケードで行なわれる。典型的には、水素化精製は、約150℃〜350℃、好ましくは180℃〜250℃範囲の温度で、水素化精製触媒の存在下にて行なわれる。全圧は、典型的には3〜20MPa(約400〜3000psig)である。重量空間速度(WHSV)は、典型的には0.1〜5L/時、好ましくは0.5〜3L/時であり、水素処理ガス速度は1〜2000NL/Lである。 水素化精製触媒は、元素の周期表の第6族金属、第8族〜第10族金属およびそれらの混合物から選択される少なくとも1種類の金属を含む適切な担持型触媒である。好ましい金属としては、強力な水素添加機能を有する貴金属、特に、白金、パラジウムおよびそれらの混合物が挙げられる。また、金属の混合物をバルク金属触媒として存在させてもよく、この場合、金属の量は触媒に対して30重量%以上である。好適な担持体としては、低酸性金属酸化物、たとえば、シリカ、アルミナ、シリカ−アルミナまたはチタニアが挙げられ、好ましくはアルミナである。 任意選択の精製後、生成物を蒸留および/または分離ユニットに通す。該ユニットでは、異なる温度範囲で沸騰する生成物成分および/または異なる適用用途が意図される生成物成分が互いから分離される。生成物 本発明による方法により、典型的にはC5〜C28の炭素数を有する飽和分枝状炭化水素を含む、特に、ディーゼル燃料、灯油およびガソリンプールに適した分枝状のパラフィン系炭化水素生成物が得られる。該生成物は、生物由来の供給原料から、出発材料分子の炭素鎖がディーゼル燃料、灯油またはガソリン(>C5)に必要なレベルまで伸張される方法によって製造される。 該生成物には、典型的に、炭素−炭素側鎖分枝状構造が少量含まれる。ディーゼル燃料では、この分枝状構造により、既知の方法によって得られる生成物と比べて、非常に低い曇点と目詰まり点がもたらされるが、セタン価は良好なままである。表2において、本発明による方法によって製造されたバイオディーゼル生成物(1)と、当該技術分野の水準技術による方法によって得られたもの(2〜6)との物性を比較する。生成物はすべて100%ディーゼル成分である。(1)は、本発明による方法によって、脂肪酸の縮合と併合水素化脱官能化/異性化により製造される。(2)は、フィンランド特許第100248号公報によるトリグリセリドの水素化脱酸素化と水素化異性化によって製造される合成バイオディーゼルである。(3)は、菜種油のエステル交換によって製造される脂肪酸メチルエステルバイオディーゼル(バイオディーゼル)である。(4)は、ガス液体水素化異性化プロセスによって製造されるディーゼル燃料(GTLディーゼル)系の天然ガスである。(5)と(6)は、寒冷条件での使用のための異なる規格での鉱油を主成分とするディーゼル燃料の標品である。 本発明にしたがって得られた生成物の分枝状構造は、結晶質ワックスが存在しないため凝固点が低くなり、特に、灯油燃料成分としても好適である。 本分枝状飽和炭化水素生成物は、80体積%より多く、好ましくは99体積%より多くのパラフィンを含む。 本分枝状飽和炭化水素生成物は、30重量%未満、好ましくは15重量%未満のn−パラフィンを含む。 本分枝状飽和炭化水素生成物は、20体積%未満、好ましくは10体積%未満(IP−391法による)の芳香族化合物を含む。 生物性出発材料を基にして得られた分枝状の飽和炭化水素生成物は、再生可能原料の使用の表示とみなされ得る炭素14C同位体を含む。生成物中の総炭素含量の典型的な14C同位体含量(割合)の、完全に生物由来のものは、少なくとも100%である。炭素14C同位体含量は、1950(ASTM D 6866)において、大気中の放射性炭素(炭素14C同位体)含量に基づいて測定される。利点 本発明による方法はいくつかの利点を有する。生成物は、再生可能な天然資源に基づいた原料油に由来するものである。本発明の方法の出発材料は、世界中で入手可能であり、さらに、該方法の利用は、たとえば、フィッシャー・トロプシュワックスを製造するGTL技術とは対照的に、相当な初期投資によって制限されない。 本発明の方法は、縮合反応工程と、水素化脱官能化/異性化の併合工程(CHI)との組合せを含む。技術的に利用可能な方法と比較した場合、本発明の併合方法は、再生可能な供給源からの経済的かつ効率的なディーゼル燃料、灯油およびガソリンの製造方法である。 酸素、窒素またはイオウ含有供給原料を用いるCHI工程では、異性体化炭化水素のクラッキングが有意に抑制され、水素化脱官能化工程と異性化工程を別々に行なった場合と比べて、収率が改善される。 本発明による方法では、特に、ディーゼル燃料、灯油およびガソリン、またディーゼルおよびガソリン成分を製造するために、ヘテロ原子を含有する再生可能な生物由来の出発材料を利用する。伝統的な原油または合成ガス供給原料に加え、高品質分枝状パラフィン系燃料用の完全に新しい再生可能な原料供給源が、ここに提供される。 得られる生成物は、その使用と廃棄に関して二酸化炭素ニュートラルである、すなわち、化石出発材料由来の生成物とは対照的に、大気中の二酸化炭素負荷を増加させない。 本方法では、バイオ燃料成分に適した分枝状飽和炭化水素生成物が、再生可能な供給源から得られる。このような分枝状飽和炭化水素は、ガソリン、灯油またはディーゼル燃料用化合物として使用され得る。 該炭化水素生成物には不飽和物が存在しないため、酸化安定性と熱安定性が良好であり、重合する傾向が低い。重合では、沈着物などのガム状物質が形成されて燃料フィルター上に沈着し、噴射ノズルが破壊され、熱交換器やエンジンシステム上に沈着することがあり得る。 本発明による非芳香族で低分子ナフテン系分枝状炭化水素の燃焼特性は良好であり、したがって、排気煙の形成が最小限となる。 パラフィン系炭素鎖内の分枝により、凝固点、曇点、流動点および目詰まり点などの低温特性が向上する。きわめて良好な低温特性により、本分枝状飽和炭化水素生成物を、ディーゼル燃料として、または寒冷地用燃料のディーゼル燃料成分としても使用することが可能となる。 本発明にしたがって製造される分枝状飽和炭化水素化合物は、特に、圧縮点火エンジンにおける使用のために設計されたものである。圧縮点火エンジンでは、空気がディーゼル燃料の自己発火温度より上まで昇温されるままで圧縮され、次いで燃料が高圧噴霧として噴射され、燃料と空気の混合体がディーゼルの可燃限界内で維持される。点火源がないため、ディーゼル燃料には、高セタン価および低自己発火温度が求められる。 飽和であること、およびパラフィン鎖長が長いことにより、本分枝状飽和炭化水素生成物のセタン価は高く、したがって、該生成物はセタン価向上剤として適したものとなる。セタン価により、ディーゼル燃料が圧縮されたときの自己発火の容易性が評価される。高セタン価は、自己発火が容易であり、エンジンの動作が良好であることを示す。 分枝状飽和ディーゼル燃料生成物の引火点が高いことは、主に、燃料取り扱いの観点から重要である。エタノール/鉱油ディーゼルまたはエタノール/植物油ディーゼルマイクロエマルジョンでは、引火点は著しく低い。引火点が低すぎると、燃料が引火する原因となり、閃光を放ち易くなり、発火と爆発が継続する可能性がある。 天然の脂肪酸系原料であるため、本分枝状飽和炭化水素生成物は、イオウ分を含まない。したがって、排ガスの前処理において、本発明によるサルファーフリー炭化水素化合物に対して、触媒と微粒子状フィルターが容易に調整され得る。触媒による汚染が低減され、触媒耐用年数期間が有意に長くなる。 本分枝状飽和炭化水素生成物が天然脂肪酸系の原料から製造される場合であっても、該生成物は酸素を含まず、したがって、窒素酸化物(NOx)の放出は、従来のバイオディーゼル燃料よりも大きく削減される。 本発明にしたがって製造される分枝状飽和炭化水素生成物の組成は、従来のディーゼル燃料のものと非常に類似しており、したがって、圧縮点火(ディーゼル)エンジンにおいて改良することなく使用され得る(脂肪酸メチルエステル系バイオディーゼル化合物の場合では改良が必要)。 本分枝状飽和炭化水素生成物は任意のレベルで、石油ディーゼルおよび脂肪酸メチルエステル系バイオディーゼル化合物と配合され得る。後者の生成物では、潤滑性の向上が必要とされる場合、好都合であり得る。 原料油のイオウおよび他のヘテロ原子を含まない、無極性で完全飽和の炭化水素成分が、併合水素化脱官能化/異性化(CHI)工程において得られる。CHI工程では、炭素鎖が分枝状となり、したがって、低温特性が改善される、すなわち、流動点が低くなり、低温流動性が向上し、低温でのフィルター性能が改善される。固形ワックスは、特に寒冷条件において、ディーゼル燃料、ガソリンまたは灯油として適当な油状飽和炭化水素生成物に変換される。 エタノールは、自動車の動力供給源として最も一般的に使用されているが、他の乗り物、たとえば、農作業トラクターおよび航空機の動力供給源としても使用され得る。エンジン内でのエタノール(E100)燃費は、単位容積あたりのエネルギーが34%低いため、ガソリンよりもおよそ34%高い。したがって、本発明のバイオガソリン化合物の燃費は、エタノール系バイオ燃料よりも低い。 本発明による生成物は自動車用燃料に、バイオエタノールまたはRMEよりも高比率で配合され得る。したがって、全ガソリンおよびディーゼル燃料のうちバイオ燃料の割合を最低5.75%にするという要件が容易に満たされる。 本発明を、本発明の一部の好ましい実施形態を示す以下の実施例によって説明する。しかしながら、当業者には、本発明の範囲がこれらの実施例のみに限定されないことが意図されることは明白であろう。実施例1ヤシ油由来脂肪酸からの燃料成分の調製 ヤシ油を加水分解した。ヤシ油由来脂肪酸原料油の二重結合を選択的に予備水素添加し、飽和脂肪酸を、MnO2触媒を用いて管状反応器内で、常圧で継続的にケトン化した。反応器の温度を370℃とし、総原料の重量空間速度(WHSV)を約0.8L/時とした。C31、C33およびC35の炭素鎖長を有する飽和ケトンの混合物が生成物として得られた。 次いで、ケトンを含む上記で得られた供給原料を、併合水素化脱官能化/異性化に供した。供給原料のC35ケトンは約3.16重量%の酸素を含有し、C33ケトンは3.34重量%の酸素を含有し、C31ケトンは3.55重量%の酸素を含有する、したがって、ヤシ油ケトンは約3.4重量%の酸素を含有する。併合工程で使用した触媒は、アルミナ結合剤に担持させたPt/SAPO−11とした。この方法は、365℃の温度で4MPaの圧力下、1250NL/LのH2/HC比および0.8L/時のWHSVを用いて行なった。ガス/ガソリン/灯油留分は、水素流から縮合させたものであった。ディーゼル、プロセス油(356〜413℃)および基油(>413℃)を減圧下で蒸留し、別々の留分とした。プロセス条件および生成物の分布を表3に示す。炭化水素分布は有機相から算出し、水分はヤシ油脂肪酸ケトン原料から算出したものである。 燃料生成物は、主として、ガソリン、灯油およびディーゼルプールに適した分枝状イソパラフィンを含むものである。製造された灯油またはガソリン留分の物性を表8に示し、製造されたディーゼル留分の物性を表9に示す。実施例2ヤシ油由来C16アルコールからの燃料成分の調製 200gの第1級飽和C16脂肪族アルコール(ヘキサデカノール)、塩化パラジウム(5ppmのパラジウム)および12gのナトリウムメトキシレートをParr反応器に投入した。混合を250rpmに、温度を250℃に、および圧力を0.5MPaに調整した。わずかな窒素パージは、反応において分離した水を掃引するために維持された。縮合反応は、GC分析にて縮合アルコールの総量が安定化するまで行われた。反応後、生成物は塩酸によって中和され、水で洗浄され、塩化カルシウムとともに乾燥された。縮合C32アルコールが反応生成物として得られた。 分枝状C32アルコール、2−テトラデシル−オクタデカノールを含む上記で得られた供給原料を、併合水素化脱官能化/異性化に供した。供給原料のC32アルコールは約3.43重量%の酸素を含有する。併合工程で使用した触媒は、アルミナ結合剤に担持させたPt/ZSM−23とした。この方法は、366℃の温度で4.2MPaの圧力下、2000NL/LのH2/HC比および0.5L/時のWHSVを用いて行なった。ガス/ガソリン/灯油留分は、水素流から縮合させたものであった。ディーゼル、プロセス油(356〜413℃)および基油(>413℃)を減圧下で蒸留し、別々の留分とした。プロセス条件および生成物の分布を表4に示す。 燃料生成物は、主として、ガソリン、灯油およびディーゼルプールに適した分枝状イソパラフィンを含むものである。製造された灯油またはガソリン留分の物性を表8に示し、製造されたディーゼル留分の物性を表9に示す。実施例3ヤシ油由来不飽和脂肪酸からの燃料成分の調製 遊離脂肪酸をヤシ油から留出した(PFAD)。飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の両方を含む原料を、MnO2触媒を用いて管状反応器内で、常圧で継続的にケトン化した。反応器の温度を370℃とし、総原料の重量空間速度(WHSV)を約0.6L/時とした。C31、C33およびC35の炭素鎖長を有する飽和ケトンと不飽和ケトン両方の混合物が生成物として得られた。 ケトンを含む上記で得られた供給原料を、併合水素化脱官能化/異性化に供した。供給原料のC35ケトンは約3.16重量%の酸素を含有し、C33ケトンは3.34重量%の酸素を含有し、C31ケトンは3.55重量%の酸素を含有する、したがって、不飽和ヤシ油ケトンは約3.4重量%の酸素を含有する。この方法は、アルミナ結合剤に担持させたPt/SAPO−11触媒の存在下、356℃の温度で3.0MPaの圧力下、2000NL/LのH2/HC比および0.5L/時のWHSVを用いて行なった。ガス/ガソリン/灯油留分は、水素流から縮合させたものであった。ディーゼル、プロセス油(356〜413℃)および基油(>413℃)を減圧下で蒸留し、別々の留分とした。プロセス条件および生成物の分布を表5に示す。 燃料生成物は、主として、ガソリン、灯油およびディーゼルプールに適した分枝状イソパラフィンを含むものである。製造された灯油またはガソリン留分の物性を表8に示し、製造されたディーゼル留分の物性を表9に示す。実施例4ステアリン酸留分(C17H35COOH)からの燃料成分の調製 植物油(亜麻仁油、大豆油および菜種油)の混合物を加水分解および蒸留によって前処理し、炭素数にしたがって脂肪酸留分を得た。C18酸留分の二重結合を選択的に予備水素添加し、ステアリン酸を、MnO2担持アルミナ触媒を用いて管状反応器内で、常圧で継続的にケトン化した。反応器の温度を360℃とし、原料のWHSVを0.9L/時とした。12重量%の未変換ステアリン酸を有する飽和C35ケトンが生成物として得られた。 C35の炭素鎖長を有し、12重量%の残留ステアリン酸を含むケトンの混合物が、ケトン化での不完全変換によって得られた。ケトン化は、上記のようにして行なった。供給原料を併合水素化脱官能化/異性化に供し、異性化に対する脂肪酸の影響を試験した。C35ケトンは約3.16重量%の酸素を含有し、ステアリン酸は11.25重量%の酸素を含有し、したがって、供給原料は総量4.1重量%の酸素を含有する。併合工程で使用した触媒は、アルミナ結合剤に担持させたPt/ZSM−23とした。CHIプロセスは、363℃の温度で4.0MPaの圧力下、2000NL/LのH2/HC比および0.5L/時のWHSVを用いて行なった。ガス/ガソリン/灯油留分は、水素流から縮合させたものであった。ディーゼル、プロセス油(356〜413℃)および基油(>413℃)を減圧下で蒸留し、別々の留分とした。プロセス条件および生成物の分布を表6に示す。炭化水素分布は有機相から算出し、水分は供給原料のケトンと脂肪酸から算出したものである。 燃料生成物は、主として、ガソリン、灯油およびディーゼルプールに適した分枝状イソパラフィンを含むものである。製造された灯油またはガソリン留分の物性を表8に示し、製造されたディーゼル留分の物性を表9に示す。実施例5ヤシ油由来脂肪酸からの燃料成分の調製 ヤシ油を加水分解した。ヤシ油由来脂肪酸原料油の二重結合を選択的に予備水素添加し、飽和脂肪酸を、MnO2触媒を用いて管状反応器内で、常圧で継続的にケトン化した。反応器の温度を370℃とし、総原料の重量空間速度(WHSV)を約0.8L/時とした。C31、C33およびC35の炭素鎖長を有する飽和ケトンの混合物が生成物として得られた。 上記のプロセスによるケトン化によって得られた供給原料を、併合水素化脱官能化/異性化に供した。供給原料のC35ケトンは約3.16重量%の酸素を含有し、C33ケトンは3.34重量%の酸素を含有し、C31ケトンは3.55重量%の酸素を含有する、したがって、ヤシ油ケトンは約3.4重量%の酸素を含有する。CHIプロセスは、アルミナ結合剤に担持させたPt/ZSM−23触媒の存在下、345℃の温度で4MPaの圧力下、950NL/Lの水素対炭化水素(H2/HC)比および0.5L/時の重量空間速度(WHSV)を用いて行なった。ガス/ガソリン/灯油留分は、水素流から縮合させたものであった。ディーゼル、プロセス油(356〜413℃)および基油(>413℃)を減圧下で蒸留し、別々の留分とした。プロセス条件および生成物の分布を表7に示す。炭化水素(HC)分布は有機相から算出し、水分はヤシ油ケトン供給原料から算出したものである。 製造されたガソリン留分の物性を表8に示し、製造されたディーゼル留分の物性を表9に示す。 燃料生成物は、主として、ガソリン、灯油およびディーゼルプールに適した分枝状イソパラフィンを含むものである。実施例5のCHIに選択された触媒では、実施例1〜4と比較した場合、最も高い収率の燃料成分が得られた。 実施例1〜4において、軽質カット分が正圧で水素供給原料から縮合され、実施例5で、これを全液状供給原料から蒸留する。驚くべきことに、分枝状飽和炭化水素(特に、縮合型)は灯油化合物として好適であること、および本発明の方法によって得られたディーゼル留分はきわめて良好な低温特性を有することがわかった。すべての実施例において、異なる留分のカットポイントが異なることがあり、したがって、ガソリンとディーゼル留分に加え、灯油もまた製造され得る。 すべての実施例において、異なる留分のカットポイントが異なることがあり、したがって、たとえば、灯油がガソリン留分とディーゼル留分の中間留分カットとして得られる。生物由来の出発材料から得られる、ケトン、アルデヒド、アルコール、カルボン酸、カルボン酸のエステルおよびカルボン酸の無水物、αオレフィン、カルボン酸の金属塩および対応するイオウ化合物、対応する窒素化合物ならびにその組合せから選択される原料油を、ケトン化、アルドール縮合、アルコール縮合およびラジカル反応から選択される縮合工程に供し、続いて、水素化脱官能化と異性化の併合工程に供する工程を含み;ケトン化が、0〜10MPaの圧力下、10〜500℃の温度にて担持型金属酸化物触媒の存在下で行なわれ、原料油が、脂肪酸エステル、脂肪酸無水物、脂肪族アルコール、脂肪族アルデヒド、天然ワックス、脂肪酸の金属塩、ジカルボン酸およびポリオールから選択されるものであり、アルドール縮合が、均一系または不均一系のアルドール縮合触媒の存在下、80〜400℃の温度であり、原料油が、アルデヒド、ケトンおよびヒドロキシアルデヒドから選択されるものであり;アルコール縮合が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物およびアルコキシドならびに金属酸化物から選択される触媒と、金属含有助触媒との組合せの存在下、200〜300℃の温度で行なわれ、原料油が、第1級および/または第2級の飽和および/または不飽和アルコールから選択されるものであり;ラジカル反応が、100〜300℃の温度にて、アルキル系パーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイドまたはパーオキシケタール触媒の存在下で行なわれ、原料油が、モル比1:1の飽和カルボン酸とαオレフィンから選択されることを特徴とするC5〜28の飽和炭化水素の製造方法。水素化脱官能化と異性化の併合工程が、0.1〜15MPaの圧力下、100〜500℃の温度で、アルミノシリケートおよびシリコアルミノホスフェートから選択される少なくとも1種類の分子ふるいと、元素の周期表の第6族および第8〜10族の金属から選択される少なくとも1種類の金属とを含む二官能性触媒の存在下で行なわれることを特徴とする請求項1記載の方法。水素化脱官能化と異性化の併合工程において、流速WHSVが0.1〜10L/時であること、および水素対液状供給原料比が1〜5000NL/Lであることを特徴とする請求項2記載の方法。二官能性触媒が、ゼオライトおよびシリコアルミノホスフェートから選択される少なくとも1種類の分子ふるいと、元素の周期表の第9族または第10族の金属から選択される少なくとも1種類の金属と、結合剤とを含むことを特徴とする請求項2または3に記載の方法。水素化脱官能化と異性化の併合工程後、任意選択の水素化精製工程を行なうこと、および、生成物を、異なる温度範囲で沸騰する生成物成分が互いから分離される蒸留および/または分離ユニットに通すことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。原料油が、ケトン、アルデヒド、アルコール、カルボン酸、カルボン酸のエステルおよびカルボン酸の無水物、カルボン酸から生成されるαオレフィン、カルボン酸の金属塩、および対応するイオウ化合物、対応する窒素化合物ならびにその組合せから選択されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。原料油が、a)植物性脂肪、植物油、植物性ワックス、動物性脂肪、動物性油、動物性ワックス、魚類脂肪、魚油または魚類系ワックス、b)植物性脂肪、植物油、植物性ワックス、動物性脂肪、動物性油、動物性ワックス、魚類脂肪、魚油または魚類系ワックスから得られる脂肪酸または遊離脂肪酸、および、加水分解、エステル交換または熱分解によるそれらの混合物、c)植物性脂肪、植物油、植物性ワックス、動物性脂肪、動物性油、動物性ワックス、魚類脂肪、魚油または魚類系ワックスから得られるエステル、およびエステル交換によるそれらの混合物、d)植物性脂肪、植物油、植物性ワックス、動物性脂肪、動物性油、動物性ワックス、魚類脂肪、魚油または魚類系ワックスから得られる脂肪酸の金属塩、およびケン化によるそれらの混合物、e)植物性脂肪、植物油、植物性ワックス、動物性脂肪、動物性油、動物性ワックス、魚類脂肪、魚油または魚類系ワックス由来の脂肪酸の無水物、および、それらの混合物、f)植物、動物および魚由来の遊離脂肪酸とアルコールとのエステル化によって得られるエステル、g)植物性脂肪、植物油、植物性ワックス、動物性脂肪、動物性油、動物性ワックス、魚類脂肪、魚油または魚類系ワックス由来の脂肪酸の還元生成物として得られる脂肪族アルコールまたはアルデヒド、および、それらの混合物、h)リサイクル食品等級の油脂、および、遺伝子操作によって得られる脂肪、油類およびワックス、i)ジカルボン酸または、ジオールを含むポリオール、ヒドロキシケトン、ヒドロキシアルデヒド、ヒドロキシカルボン酸、対応する二官能性または多官能性イオウ化合物、対応する二官能性または多官能性窒素化合物、ならびにj)前記出発材料の混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。生成物としてディーゼル燃料が得られることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。生成物として灯油が得られることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。生成物としてガソリンが得られることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。 本発明は、生物由来の出発材料から得られる原料油を縮合工程に供し、続いて、水素化脱官能化と異性化の併合工程に供する工程を含む、ディーゼル燃料、灯油およびガソリンとして好適なC5〜C28の飽和炭化水素の製造方法に関する。 20090327A16333全文3生物由来の出発材料から得られる原料油を、ケトン化、アルドール縮合、アルコール縮合およびラジカル反応から選択される縮合工程に供し、続いて、水素化脱官能化と異性化の併合工程に供する工程を含み;ケトン化が、0〜10MPaの圧力下、10〜500℃の温度にて担持型金属酸化物触媒の存在下で行なわれ、原料油が、脂肪酸エステル、脂肪酸無水物、脂肪族アルコール、脂肪族アルデヒド、天然ワックス、脂肪酸の金属塩、ジカルボン酸およびポリオールから選択され、アルドール縮合が、担持型のアルカリ金属触媒またはアルカリ金属水酸化物触媒またはアルカリ土類金属水酸化物触媒の存在下、80〜400℃の温度で行なわれ、原料油が、アルデヒド、ケトンおよびヒドロキシアルデヒドから選択され;アルコール縮合が、アルカリ金属およびアルカリ土類金属の水酸化物およびアルコキシドならびに金属酸化物から選択される触媒と、金属含有助触媒との組合せの存在下、200〜300℃の温度で行なわれ、原料油が、第1級および/または第2級の飽和および/または不飽和アルコールから選択され;ラジカル反応が、100〜300℃の温度にて、アルキル系パーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイドまたはパーオキシケタール触媒の存在下で行なわれ、原料油が、モル比1:1の飽和カルボン酸とαオレフィンから選択されることを特徴とするC5〜28の飽和炭化水素の製造方法。水素化脱官能化と異性化の併合工程が、0.1〜15MPaの圧力下、100〜500℃の温度で、アルミノシリケートおよびシリコアルミノホスフェートから選択される少なくとも1種類の分子ふるいと、元素の周期表の第6族および第8〜10族の金属から選択される少なくとも1種類の金属とを含む二官能性触媒の存在下で行なわれることを特徴とする請求項1記載の方法。水素化脱官能化と異性化の併合工程において、流速WHSVが0.1〜10L/時であること、および水素対液状供給原料比が1〜5000NL/Lであることを特徴とする請求項1または2記載の方法。二官能性触媒が、ゼオライトおよびシリコアルミノホスフェートから選択される少なくとも1種類の分子ふるいと、元素の周期表の第9族または第10族の金属から選択される少なくとも1種類の金属と、結合剤とを含むことを特徴とする請求項2または3に記載の方法。水素化脱官能化と異性化の併合工程後、任意選択の水素化精製工程を行なうこと、および、生成物を、異なる温度範囲で沸騰する生成物成分が互いから分離される蒸留および/または分離ユニットに通すことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。原料油が、a)植物性脂肪、植物油、植物性ワックス、動物性脂肪、動物性油、動物性ワックス、魚類脂肪、魚油または魚類系ワックス、b)植物性脂肪、植物油、植物性ワックス、動物性脂肪、動物性油、動物性ワックス、魚類脂肪、魚油または魚類系ワックスから得られる脂肪酸または遊離脂肪酸、および、加水分解、エステル交換または熱分解によるそれらの混合物、c)植物性脂肪、植物油、植物性ワックス、動物性脂肪、動物性油、動物性ワックス、魚類脂肪、魚油または魚類系ワックスから得られるエステル、およびエステル交換によるそれらの混合物、d)植物性脂肪、植物油、植物性ワックス、動物性脂肪、動物性油、動物性ワックス、魚類脂肪、魚油または魚類系ワックスから得られる脂肪酸の金属塩、およびケン化によるそれらの混合物、e)植物性脂肪、植物油、植物性ワックス、動物性脂肪、動物性油、動物性ワックス、魚類脂肪、魚油または魚類系ワックス由来の脂肪酸の無水物、および、それらの混合物、f)植物、動物および魚由来の遊離脂肪酸とアルコールとのエステル化によって得られるエステル、g)植物性脂肪、植物油、植物性ワックス、動物性脂肪、動物性油、動物性ワックス、魚類脂肪、魚油または魚類系ワックス由来の脂肪酸の還元生成物として得られる脂肪族アルコールまたはアルデヒド、および、それらの混合物、h)リサイクル食品等級の油脂、および、遺伝子操作によって得られる脂肪、油類およびワックス、i)ジカルボン酸または、ジオールを含むポリオール、ヒドロキシケトン、ヒドロキシアルデヒド、ヒドロキシカルボン酸、および、対応する二官能性または多官能性イオウ化合物、対応する二官能性または多官能性窒素化合物、ならびにj)前記出発材料の混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。生成物としてディーゼル燃料が得られることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。生成物として灯油が得られることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。生成物としてガソリンが得られることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。