タイトル: | 特許公報(B2)_イオン液体 |
出願番号: | 2010511070 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C07C 311/48,C07C 211/63,C07F 9/6568,H01M 10/0564,H01G 11/54,H01M 14/00,H01M 8/02 |
松本 一 寺澤 直弘 栄部 比夏里 都築 誠二 JP 5339542 特許公報(B2) 20130816 2010511070 20090501 イオン液体 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 特許業務法人三枝国際特許事務所 110000796 松本 一 寺澤 直弘 栄部 比夏里 都築 誠二 JP 2008123623 20080509 JP 2008231764 20080910 20131113 C07C 311/48 20060101AFI20131024BHJP C07C 211/63 20060101ALI20131024BHJP C07F 9/6568 20060101ALI20131024BHJP H01M 10/0564 20100101ALI20131024BHJP H01G 11/54 20130101ALI20131024BHJP H01M 14/00 20060101ALN20131024BHJP H01M 8/02 20060101ALN20131024BHJP JPC07C311/48C07C211/63C07F9/6568H01M10/0564H01G9/00 301DH01M14/00 PH01M8/02 M C07C 211/63 C07C 217/06 C07C 311/48 C07F 9/54 C07F 9/6568 CAplus(STN) REGISTRY(STN) JSTPlus(JDreamIII) JST7580(JDreamIII) 特開2005−200359(JP,A) Chemistry Letters,2008年,Vol.37, No.10,p.1020-1,Published on the web:2008.08.30 3 JP2009058579 20090501 WO2009136608 20091112 22 20101015 特許法第30条第1項適用 平成20年11月 5日 社団法人電気化学会発行の「第49回電池討論会 講演要旨集」に発表 太田 千香子 本発明は、イオン液体に関し、詳しくは低粘度及び低融点かつ高い導電性を有するイオン液体に関する。 イオン液体は、リチウム二次電池、色素増感太陽電池、アクチュエータ及び電気二重層キャパシタなどの各種電気化学デバイス用の電解質、反応媒体、有機合成の触媒としての応用可能性のためにここ数年特別な注目を集めてきた。従来の有機液体電解質と比較して、イオン液体の電解質としての主な利点は、不燃性、不揮発性及び高い熱安定性である。現在までに報告されているほとんどのイオン液体において、イオン液体のアニオンとしては、ビストリフルオロメチルスルホニルアミド(※従来はビストリフルオロメチルスルホニルイミド、TFSIと呼ばれているものと同じであるが、近年はアミドと呼ぶことがIUPACより推奨されているため本特許ではアミドとする。)([(CF3SO2)2N]-; [TFSA]-と略す。)とテトラフルオロボレート(BF4-)がその高い電気化学的安定性及び熱安定性のために注目されている(特許文献1,2)。特に[TFSA]-塩は脂肪族四級アンモニウム等の電荷の分散性が低いためイオン液体になりにくいカチオン種においても容易にイオン液体を形成し、かつその電気化学安定性が従来のイミダゾリウム塩にくらべて高い(特許文献3)ため、リチウムの電析が可能となる一方、Li/LiCoO2セル等に適用した場合にあまり高い充放電電流密度での充放電が不可能であった。一方、近年、同じアミド系アニオンである、ビスフルオロメチルスルホニルアミド([(FSO2)2N]-;[FSA]-)が優れた基礎物性並びに電池特性を示す事が報告されたが、そのリチウム塩(非特許文献1)やイオン液体の熱安定性が低い(非特許文献2)ことから、より熱分解温度が高く優れた電池特性を示すイオン液体が求められている。 特許文献4には、フルオロスルホニル(トリフルオロメチルスルホニルアミド)(FTA)を含む塩が開示されているが、実施例で得られた塩の融点の開示はなく、この塩がイオン液体であることは実証されていない。特開2002-099001号公報特開2003-331918号公報特許第2981545号特開2005-200359号公報K.Kubota, T.Nohira, T.Goto, R.Hagiwara, Electrochem. Commun., 10, (2008) 1886-1888.W.Yadong, K.Zaghib,A.Guerfi, F.F.C.Bazito, R.M.Torresi, J.R.Dahn, Electrtochim. Acta, 52 (2007) 6346. 本発明は、低粘度及び低融点、高導電性かつ熱安定性の高いイオン液体を提供することを目的とする。 本発明者は、上記課題に鑑み検討を重ねた結果、フルオロスルホニル(トリフルオロメチルスルホニルアミド)(FTA)アニオンと特定のカチオンからなるイオン液体が、低粘度、低融点、低温での高い導電性かつ、比較的高い熱安定性を有することを見出した。 即ち、本発明は、以下のイオン液体を提供するものである。項1. フルオロスルホニル(トリフルオロメチルスルホニルアミド)(FTA)アニオンと、以下のいずれかのカチオンからなるイオン液体:テトラメチルアンモニウム(N1111);エチルトリメチルアンモニウム(N1112);n-プロピルトリメチルアンモニウム(N1113);ジエチルジメチルアンモニウム(N1122);ジn-プロピルジメチルアンモニウム(N1133);トリエチルメチルアンモニウム(N2221);n-ブチルジエチルメチルアンモニウム(N1224);N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム(DEME);テトラエチルアンモニウム(N2222);テトラn-プロピルアンモニウム(N3333);テトラn-ブチルアンモニウム(N4444);テトラn-ペンチルアンモニウム(N5555);5-アゾニアスピロ[4.4]ノナン(AS44)ジメチルイミダゾール(DMI)プロピルメチルイミダゾール(PMI)ブチルメチルイミダゾール(BMI)N,N-ジメチルピロリジニウム(Py11)N-メチル-N-エチルピロリジニウム(Py12)N-メチル-N-ブチルピロリジニウム(Py14)N,N-ジメチル-ピペリジニウム(PP11)N-メチル-N-エチル-ピペリジニウム(PP12)N-メチル-N-プロピル-ピペリジニウム(PP13)N-メチル-N-ブチル-ピペリジニウム(PP14) テトラエチルホスホニウム(P2222);または5-フォスフォニアスピロ[4.4]ノナン(PS44) 項2. カチオンがテトラエチルアンモニウム(N2222)またはトリエチルメチルアンモニウム(N2221)である項1に記載のイオン液体。項3. カチオンがテトラメチルアンモニウム(N1111)、エチルトリメチルアンモニウム(N1112)、またはn-プロピルトリメチルアンモニウム(N1113)である項1に記載のイオン液体。項4. カチオンがN,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム(DEME)である項1に記載のイオン液体。項5. カチオンがテトラエチルホスホニウム(P2222)である項1に記載のイオン液体。項6. カチオンがN-メチル-N-プロピル-ピペリジニウム(PP13)である項1に記載のイオン液体。項7. カチオンが5-アゾニアスピロ[4.4]ノナン(AS44)である項1に記載のイオン液体。 本発明のイオン液体は、リチウム二次電池、燃料電池、色素増感太陽電池、電気二重層キャパシタ等の電気化学デバイス、化学反応の溶剤、潤滑油として適している。 本発明で使用するカチオンの構造を概略的に以下に示す: 本発明で使用するアニオンと比較対照のアニオンの構造を以下に示す。 本発明により提供されるイオン液体の融点は、120℃以下、好ましくは80℃以下、より好ましくは50℃以下、さらに好ましくは25℃以下、特に好ましくは0℃以下、最も好ましくは−20℃以下である。例えば燃料電池に使用する場合には80℃以下のイオン液体を広く使用することができる。一方、太陽電池、リチウム電池、キャパシタなどのエネルギーデバイス、エレクトロクロミックデバイス、電気化学センサーなどの電気化学デバイスではイオン液体の融点は室温(25℃)以下が好ましく、特に0℃以下であるのがさらに好ましい。 なお、本発明で使用するイオン液体において、融点を明確に観測できない場合であっても、ガラス転移温度が、−70℃以下、好ましくは−80℃以下、より好ましくは−90℃以下、更に好ましくは−100℃以下であれば、該イオン液体は同温度の融点を示すイオン液体と同様に扱う事ができるものである。 本発明は、イオン液体のアニオン成分としてフルオロスルホニル(トリフルオロメチルスルホニルアミド)(FTA;[(FSO2)(CF3SO2)N]-)を使用する。該アニオンは公知化合物であり、例えば特許文献3に従い製造することができる。 イオン液体を製造する場合、FTA ([(FSO2)(CF3SO2)N]-)とアルカリ金属イオン(Na+, K+, Li+, Cs+など)、アルカリ土類金属イオン(Ca2+, Mg2+,Ba2+など)、H+, Bu3Sn+などのカチオン成分との塩を本発明の特定のカチオンを含む塩と混合し、本発明のイオン液体を分離することにより製造できる。例えば、イオン交換樹脂を通すことにより得られるFTA([(FSO2)(CF3SO2)N]-)H+の塩と、(本発明のいずれかのカチオン)+(OH)−の塩を混合し、水を除くことにより、FTAと本発明のカチオンからなるイオン液体を好ましく得ることができる。イオン液体を得るための塩交換反応は、所望の溶融塩が抽出可能である場合には、溶媒抽出法により行うことができる。 本発明のイオン液体のカチオン成分は、以下のカチオンから選ばれる:テトラメチルアンモニウム(N1111);エチルトリメチルアンモニウム(N1112);n-プロピルトリメチルアンモニウム(N1113);ジエチルジメチルアンモニウム(N1122);ジn-プロピルジメチルアンモニウム(N1133);トリエチルメチルアンモニウム(N2221);n-ブチルジエチルメチルアンモニウム(N1224);N,N-ジエチル-N-メチル-N-(2-メトキシエチル)アンモニウム(DEME);テトラエチルアンモニウム(N2222);テトラn-プロピルアンモニウム(N3333);テトラn-ブチルアンモニウム(N4444);テトラn-ペンチルアンモニウム(N5555);5-アゾニアスピロ[4.4]ノナン(AS44)ジメチルイミダゾール(DMI)プロピルメチルイミダゾール(PMI)ブチルメチルイミダゾール(BMI)N,N-ジメチルピロリジニウム(Py11)N-メチル-N-エチルピロリジニウム(Py12)N-メチル-N-ブチルピロリジニウム(Py14)N,N-ジメチル-ピペリジニウム(PP11)N-メチル-N-エチル-ピペリジニウム(PP12)N-メチル-N-プロピル-ピペリジニウム(PP13)N-メチル-N-ブチル-ピペリジニウム(PP14) テトラエチルホスホニウム(P2222);または5-フォスフォニアスピロ[4.4]ノナン(PS44)。 これらのカチオンは、すべて公知であり、公知の方法によって製造でき、または入手可能である。 本発明で使用するアニオンであるFTAの分子量は、対称構造を有するアニオンであるTFSA([(CF3SO2)2N]−)とFSA([(FSO2)2N]―)の中間であるので、粘度や伝導率、拡散係数等も、TFSAとFSAの中間的な物性を有すると予測されるが、融点に関しては、FTAアニオンは非対称構造を有するためより劇的に低下することが期待され、特に本発明による特定のカチオンと組み合わせた場合では予想以上に低くなり、さらに導電率は、TFSAとFSAの中間よりもFSA塩に近い値となり、さらにFSAの欠点であった熱安定性についても、概ねFSAよりも高い熱安定性を兼ね備えたイオン液体になることが、本発明により見出された。 本発明で使用するFTAアニオンは従来アニオンに匹敵する高い電気化学安定性を備えている事を、本発明者は確認した。高い対称性を有しその塩が一般的に高い融点を示すN2222,AS44,及びPS44を含むイオン液体は、本発明により初めて得られており、このように従来イオン液体の製造が不可能であったカチオン(N2222)で液体になることは、これまででもっとも高い酸化安定性を示すアミド塩であることを示すものである。 本発明で使用する25種のカチオン成分(N1111、N1112、N1113、N1122、N1133、N2221、N1224、DEME、N2222、N3333、N4444、N5555、AS44、DMI、PMI、BMI、Py11、Py12、Py14、PP11、PP12、PP13、PP14、P2222、PS44)は、1種のみを使用してもよいが、2種以上のカチオンを組み合わせることで、さらにイオン液体の融点を低下させ、さらに粘度を下げることが可能である。 また、イオン液体のアニオンとしては、FTAを使用するが、FTAが主成分である限り、他のアニオンを配合することもできる。 以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明する。方法 化合物の同定について、JEOL ECA-500 FT-NMRスペクトロメータを用いて、1H NMR (500.2MHz), 19F NMR (470.6 MHz)及び11B NMR (160.5MHz)スペクトルを測定した。JEOL JMS-HX110/110A スペクトロメーターを用いて、FAB-MSスペクトルを測定した。密度: イオン液体の密度は、25℃で1.0 mL のイオン液体の重量を3回測定することにより決定した。比導電率:ニート(無溶媒)のイオン液体のイオン導電率(κ)は、密閉導電セル中で、導電率計(Radiometer Analytical, model CDM230)を用いて測定した。粘度:粘度は、25℃で0.6 mLのサンプルを使用して粘度計(Brookfield model DV-III+)を用いて測定した。 熱重量分析(TGA): TGAは熱分析システム(Seiko Instruments, TG/DTA 6200)を用いて行った。5mgの平均重量サンプルをプラチナパンに配置し、窒素気流下に10℃/minの割合で約40〜600℃に加熱した。分解の開始は、分解温度(Td)として定義した。示差走査型熱量計(DSC):DSCは熱分析システム(Perkin/Elmer Pyris 1)に液体窒素冷却装置を接続し、-150℃から250℃の範囲内で、ヘリウム気流中10℃/minにて測定し、最も相転移温度を融点とした。室温以上の融点の場合は測定温度近辺での融解現象を目視にて確認した。合成 使用するすべての原材料は、市販品であり、さらに精製することなく使用した。化合物の合成は、参考文献1−3に記載の方法に従い行った。K[CF3SO2NH]の合成 無水MeOH (250 ml)中のCF3SO2NH2 (49.3 g, 0.33 mol) の撹拌溶液に、無水MeOH (150 ml)中のKOtBu (36.9 g, 0.33 mol)の溶液を滴下した。反応混合物を50℃で2時間撹拌した。0.02 Torrで24時間エバポレーション後、白色固体を得た(60.53 g, 96.4 %)。19F NMR (D2O, CFCl3, 470.6 MHz) δ -78.0 (s, 3F); MS m/z (%) 149 (100) [CF3SO2NH]-; Anal Calcd. for CF3O2SNK: C, 6.4; H, 0.5; N, 7.5; Found : C, 6.3; H, 0.7; N, 7.7.K[CF3SO2NSO2F]の合成 無水 Et2O (980 ml)中のK[CF3SO2NH] (60.0 g, 0.32 mol)の撹拌溶液に(FSO2)2O1)(69.5 g, 0.38 mol)を-20℃で30分かけて滴下した。 混合物を-20℃で3時間撹拌を続け、ろ過した。 粗生成物(21.5 g)をMeOHで洗浄してろ過した。溶媒を真空で除去し、アセトン/CHCl3から再結晶して生成物を得た。19F NMR (CD3OD, CFCl3, 470.6 MHz) δ 56.8 (s, 1F), -78.0 (s, 3F); MS m/z (%) 230 (100) [CF3SO2NSO2F]-; Anal Calcd. for CF4O4S2NK: C,4.5; N, 5.2; Found : C, 4.3; N, 5.4. 上記のFTAのカリウム塩と、各種のアンモニウムの臭化物を、当モル量混合することにより生じる水に不要なFTAイオン液体をジクロロメタンで抽出、数度の水洗浄の後、ジクロロメタンを留去することによって得た。DEME[FTA](0.65 g, 80.3 %) 1H NMR (CD3OD, TMS, 500.2 MHz) δ 1.33 (m, 6H), 3.04 (s, 3H), 3.38 (s, 3H), 3.43(q, J = 7.3 Hz, 4H), 3.51 (t, J = 4.5 Hz, 2H), 3.78 (m, 2H); 19F NMR (CD3OD, CFCl3, 470.6 MHz) δ 56.6 (s, F), -78.2 (s, 3F); MS m/z (%) 146 (100) [DEME]+, 230(100) [FTA]-; Anal Calcd. for C9H20N2F4O5S2: C, 28.7; H, 5.4; N, 7.4; F, 20.2; Found : C, 28.8; H, 5.1; N, 7.5; F, 20.2; PP13[FTA] (2.30 g, 88.2 %) 1H NMR (CD3OD, TMS, 500.2 MHz) δ 1.02 (t, J= 7.3 Hz, 3H), 1.62-1.76 (m 2H), 1.77-1.84 (m 2H), 1.90 (m, 4H), 3.04 (s, 3H), 3.27-3.31(m, 2H), 3.35 (t, J = 5.8 Hz, 4H); 19F NMR (CD3OD, CFCl3, 470.6 MHz) δ 56.9 (s, F), -78.1 (s, 3F); MS m/z (%) 142 (100) [PP13]+, 230 (100) [FTA]-; Anal Calcd. for C10H20N2F4O4S2: C, 32.3; H, 5.4; N, 7.5; F, 20.4; Found : C, 32.4; H, 5.2; N, 7.6; F, 20.4N1111[FTA] CH3CN(10 ml)中のK[CF3SO2NSO2F](0.94 g, 3.5 mmol)の撹拌溶液にN1111Br (0.54 g,3.5 mmol)を室温で加えた。混合物をさらに3時間撹拌した。溶媒を留去後、白色固体をCH2Cl2に溶かし、濾別した。溶媒を真空下で除去した。得られた液体を80℃、0.02 Torrで24時間乾燥した。(1.06 g, 99.5 %) 1H NMR (CD3OD, TMS, 500.2 MHz) δ 3.19 (s, 12H); 19F NMR (CD3OD, CFCl3, 470.6 MHz) δ 56.6 (s, F), -78.2 (s, 3F); MS m/z (%) 74 (100) [N1111]+,230 (100) [FTA]-;Anal Calcd. for C5H12N2F4O4S2: C, 19.7; H, 4.0; N, 9.2; F, 25.0; Found : C, 19.9; H, 3.9; N, 9.3; F, 24.8.N2221[FTA] MS m/z (%) 116 (100) [N2221]+,230 (100) [FTA]- Anal Calcd. for C8H18N2F4O4S2: C,27.7; H, 5.2; N, 8.1; F, 21.9; Found : C, 27.8; H, 5.2; N, 8.2; F, 21.9.N1112[FTA] (0.51 g, 22.3 %) 1H NMR (CD3OD, TMS, 500.2 MHz) δ 1.39 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 3.10 (s, 9H), 3.41 (q, J = 7.2 Hz, 2H); 19F NMR (CD3OD, CFCl3, 470.6 MHz) δ 56.6 (s, F), -78.1 (s, 3F); MS m/z (%) 88 (100) [N1112]+, 230 (100) [FTA]-; Anal Calcd. for C6H14N2F4O4S2: C, 22.6; H, 4.4; N, 8.8; F, 23.9; Found : C, 22.4; H, 4.4; N, 8.9; F, 24.0N1113[FTA] (1.46 g, 62.9 %) 1H NMR (CD3OD, TMS, 500.2 MHz) δ1.02 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 1.78-1.86 (m, 2H), 3.12 (s, 9H), 3.26-3.32 (m, 2H); 19F NMR (CD3OD, CFCl3, 470.6 MHz) δ 56.8 (s, F), -78.1 (s, 3F); MS m/z (%) 102 (100) [N1113]+, 230 (100) [CF3SO2NSO2F]-; Anal Calcd. for C7H16N2F4O4S2: C, 25.3; H, 4.9; N, 8.4; F, 22.9; Found : C, 25.5; H, 4.8; N, 8.5; F, 22.7.N2222[FTA] (2.13 g, 84.4 %) 1H NMR (CD3OD, TMS, 500.2 MHz) δ 1.29 (t, J = 7.5 Hz, 12H), 3.29 (q, J = 7.2 Hz, 8H); 19F NMR (CD3OD, CFCl3, 470.6 MHz) δ 56.7 (s, F), -78.1 (s, 3F); MS m/z (%) 130 (100) [N2222]+,230 (100) [FTA]-; Anal Calcd. for C9H20N2F4O4S2: C, 30.0;H, 5.6; N, 7.8; F, 21.1; Found : C, 29.8; H, 5.5; N, 7.8; F, 21.1.P2222[FTA] (2.38 g, 90.1 %) 1H NMR (CD3OD, TMS, 500.2 MHz) δ 1.22-1.28 (m, 12H), 2.21-2.28 (m 8H); 19F NMR (CD3OD, CFCl3, 470.6 MHz) δ 56.6 (s, F), -78.1 (s, 3F); MS m/z (%) 147 (100) [P2222]+,230 (100) [FTA]-; Anal Calcd. for C9H20NPF4O4S2: C, 28.7; H, 5.3; N, 3.7; F, 20.1; Found : C, 28.7; H, 5.2; N, 3.7; F, 19.7.比較例1 FTAに代えてTFSAまたはFSAを用いた他は上記と同様にして、対応する化合物を合成した。比較例2 FTAとEMI(1-エチル-3-メチルイミダゾリウム)の塩からなるイオン液体を上記と同様にして作製した。 以下のイオン液体を製造した。使用した全ての原材料は市販されており、さらに精製することなく用いた。化合物の合成は、参考文献1-7に記載の方法に準じて行った。Py13[FTA] (2.17 g, 86.5 %) 1H NMR (CD3OD, TMS, 500.2 MHz) δ 1.02 (t, J = 7.3 Hz, 3H), 1.80-1.87 (m 2H), 2.22 (s 4H), 3.05 (s, 3H), 3.28-3.32 (m, 2H), 3.47-3.56 (m, 4H); 19F NMR (CD3OD, CFCl3, 470.6 MHz) δ 56.8 (s, F), -78.1 (s, 3F); MS m/z (%) 128 (100) [Py13]+, 230 (100) [CF3SO2NSO2F]-; Anal Calcd. for C9H18N2F4O4S2: C, 30.2; H, 5.1; N, 7.8; F, 21.2; Found : C, 30.1; H, 4.9; N, 7.7; F, 21.2DEME[FSA] MS m/z (%) 146 (100) [DEME]+,180 (100) [FSA]-; Anal Calcd. for C8H20N2F2O5S2: C, 29.4; H, 6.2; N, 8.6; F, 11.6; Found : C, 29.4; H, 6.2; N, 8.5; F, 11.6.N2221[FSA] MS m/z (%) 116 (100) [N2221]+,180 (100) [FSA]-; Anal Calcd. for C7H18N2F2O4S2:C, 28.4; H, 6.1; N, 9.5; F, 12.8; Found : C, 28.2; H, 6.0; N, 9.4; F, 12.7.N1113[FSA] MS m/z (%) 102 (100) [N1113]+,180 (100) [FSA]-; Anal Calcd. for C6H16N2F2O4S2: C, 25.5; H, 5.7; N, 9.9; F, 13.5; Found : C, 25.5; H, 5.6; N, 10.0; F, 13.5.N1112[FSA] MS m/z (%) 88 (100) [N1112]+,180 (100) [FSA]-; Anal Calcd. for C5H14N2F2O4S2: C, 22.4; H, 5.3; N, 10.4; F, 14.2; Found : C, 22.3; H, 5.2; N, 10.4; F, 14.0.N2222[FSA] MS m/z (%) 130 (100) [N2222]+,180 (100) [FSA]-; Anal Calcd. for C8H20N2F2O4S2: C, 31.0; H, 6.5; N, 9.0; F, 12.2; Found : C, 30.8; H, 6.4; N, 9.0; F, 12.2.N1111[FSA] MS m/z (%) 74 (100) [N1111]+,180 (100) [FSA]-; Anal Calcd. for C4H12N2F2O4S2: C, 18.9; H, 4.8; N, 11.0; F, 14.9; Found : C, 18.8; H,4.7; N,11.0; F, 14.9.P2222[TFSA] MS m/z (%) 147 (100) [P2222]+,280 (100) [TFSA]-; Anal Calcd. for C10H20NPF6O4S2: C, 28.1; H, 4.7; N, 3.3; F, 26.7; Found : C, 28.0; H, 4.6; N, 3.2; F, 25.6P2222[FSA] MS m/z (%) 147 (100) [P2222]+,180 (100) [FSA]-; Anal Calcd. for C8H20NPF2O4S2: C, 29.4; H, 6.2; N, 4.3; F, 11.6; Found : C, 29.2; H, 6.1; N, 4.1; F, 11.4.PP14[FTA]MS m/z (%) 156 (100) [PP14]+,230 (100) [CF3SO2NSO2F]-; Anal Calcd. for C11H22N2F4O4S2: C, 34.2; H, 5.7; N, 7.3; F, 19.7; Found : C, 33.9; H, 5.7; N, 7.1; F, 19.7. PP14[FSA]MS m/z (%) 156 (100) [PP14]+,180 (100) [FSA]-; Anal Calcd. for C10H22N2F2O4S2: C, 35.7; H, 6.6; N, 8.3; F, 11.3; Found : C, 35.6; H, 6.6; N, 8.3; F, 11.4. PP14[TFSA]MS m/z (%) 156 (100) [PP14]+,280 (100) [TFSA]-; Anal Calcd. for C12H22N2F6O4S2: C, 33.02; H, 5.08; N, 6.42; F, 26.12; Found : C, 32.7; H, 5.0; N, 6.2; F, 26.3.PP11[FTA]MS m/z (%) 114 (100) [PP11]+,230 (100) [FTA]-; Anal Calcd. for C8H16N2F4O4S2: C, 27.9; H, 4.7; N, 8.1; F, 22.1; Found : C, 27.7; H, 4.5; N, 8.2; F, 22.1. PP11[FSA]MS m/z (%) 114 (100) [PP11]+,180 (100) [FSA]-; Anal Calcd. for C7H16N2F2O4S2: C, 28.6; H, 5.5; N, 9.5; F, 12.9; Found : C, 28.4; H, 5.3; N, 9.6; F, 12.9. N5555[FSA] MS m/z (%) 298 (100) [N5555]+,180 (100) [FSA]-; Anal Calcd. for C20H44N2F2O4S2: C, 50.2; H, 9.3; N, 5.9; F, 7.9; Found : C, 50.0; H, 9.3; N, 5.8; F, 7.9.N4444[FSA] MS m/z (%) 242 (100) [N4444]+,180 (100) [FSA]-; Anal Calcd. for C16H36N2F2O4S2: C, 45.5; H, 8.6; N, 6.6; F, 9.0; Found : C, 45.2; H, 8.7; N, 6.6; F, 9.1.N3333[FSA] MS m/z (%) 186 (100) [N3333]+,180 (100) [FSA]-; Anal Calcd. for C12H28N2F2O4S2: C, 39.3; H, 7.7; N, 7.6; F,10.4; Found : C, 39.2; H, 7.5; N, 7.8; F, 10.4.PMI[FSA] MS m/z (%) 125 (100) [PMI]+,180 (100) [FSA]-; Anal Calcd. for C7H13N3F2O4S2: C, 27.5; H, 4.3; N, 13.8; F, 12.4; Found : C, 27.7; H, 4.2; N, 13.7; F, 12.5.PMI[TFSA] MS m/z (%) 125 (100) [PMI]+,280 (100) [TFSA]-; Anal Calcd. for C9H13N3F6O4S2: C, 26.7; H, 3.3; N, 10.4; F, 28.1; Found : C, 26.7; H, 3.2; N, 10.5; F, 27.9.N1224[TFSA] MS m/z (%) 144 (100) [N1224]+,280 (100) [TFSA]-; Anal Calcd. for C11H22N2F6O4S2: C, 31.1; H, 5.2; N, 6.6; F, 26.9; Found : C, 31.0; H, 5.0; N, 6.6; F, 26.9.DMI[TFSA] MS m/z (%) 97 (100) [DMI]+,280 (100) [TFSA]-; Anal Calcd. for C7H9N3F6O4S2: C, 22.3; H, 2.4; N, 11.1; F, 30.2; Found : C, 22.1; H, 2.5; N, 11.4; F, 30.0.DMI[FSA] MS m/z (%) 97 (100) [DMI]+,180 (100) [FSA]-; Anal Calcd. for C5H9N3F2O4S2: C, 21.7; H, 3.3; N, 15.2; F, 13.7; Found : C, 21.7; H, 3.3; N, 15.2; F, 13.7.N1224[FSA] MS m/z (%) 144 (100) [N1224]+,280 (100) [TFSA]-; Anal Calcd. for C9H22N2F2O4S2: C, 33.3; H, 6.8; N, 8.6; F, 11.7; Found : C, 33.3; H, 6.6; N, 8.8; F, 11.9.N1133[FSA] MS m/z (%) 130 (100) [N1133]+,180 (100) [FSA]-; Anal Calcd. for C8H20N2F2O4S2: C, 31.0; H, 6.5; N, 9.0; F, 12.2; Found : C, 30.7; H, 6.2; N, 9.0; F, 12.2.N1133[TFSA] MS m/z (%) 130 (100) [N1133]+,280 (100) [FSA]-; Anal Calcd. for C10H20N2F6O4S2: C, 29.3; H, 4.9; N, 6.8; F, 27.8; Found : C, 29.1; H, 4.6; N, 6.8; F, 27.6.N1224[FTA]MS m/z (%) 144 (100) [N1224]+,230 (100) [FTA]-; Anal Calcd. for C10H22N2F4O4S2: C, 32.1; H, 5.9; N, 7.5; F, 20.3; Found : C, 32.2; H, 5.7; N, 7.6; F, 20.3.N3333[FTA] MS m/z (%) 186 (100) [N3333]+,230 (100) [FTA]-; Anal Calcd. for C13H28N2F4O4S2: C, 37.5; H, 6.8; N, 6.7; F,18.3; Found : C, 37.4; H, 6.5; N, 6.8; F, 18.3.N4444[FTA] MS m/z (%) 242 (100) [N4444]+,230 (100) [FTA]-; Anal Calcd. for C17H36N2F4O4S2: C, 43.2; H, 7.7; N, 5.9; F, 16.1; Found : C, 43.3; H,7.5; N, 6.0; F, 15.9.N5555[FTA] MS m/z (%) 296 (100) [N5555]+,230 (100) [FTA]-; Anal Calcd. for C21H44N2F4O4S2: C, 47.7; H, 8.4; N, 5.3; F, 14.4; Found : C, 47.3; H, 8.5; N, 5.3; F, 14.2.PP12[FSA]MS m/z (%) 128 (100) [PP12]+,180 (100) [FSA]-; Anal Calcd. for C8H18N2F2O4S2: C, 31.2; H, 5.9; N, 9.1; F, 12.3; Found : C, 30.9; H, 5.6; N, 9.1; F, 12.3. Py12[FTA]MS m/z (%) 114 (100) [Py12]+,230 (100) [FTA]-; Anal Calcd. for C8H16N2F4O4S2: C, 27.9; H, 4.7; N, 8.1; F, 22.1; Found : C, 27.9; H, 4.7; N, 8.3; F, 21.9. Py14[FTA]MS m/z (%) 142 (100) [Py14]+,230 (100) [FTA]-; Anal Calcd. for C10H20N2F4O4S2: C, 32.25; H, 5.41; N, 7.52; F, 20.41; Found : C, 32.11; H, 5.16; N, 7.61; F, 20.43. Py14[FSA]MS m/z (%) 142 (100) [Py14]+,180 (100) [FSA]-; Anal Calcd. for C9H20N2F2O4S2: C, 33.53; H, 6.25; N, 8.69; F, 11.79; Found : C, 33.29; H, 6.00; N, 8.80; F, 11.78. BMI[FTA] MS m/z (%) 139 (100) [BMI]+,230 (100) [FTA]-; Anal Calcd. for C9H15N3F4O4S2: C, 29.3; H, 4.1; N, 11.4; F, 20.6; Found : C, 29.1; H, 4.1; N, 11.4; F, 20.4.PMI[FTA] MS m/z (%) 125 (100) [PMI]+,230 (100) [FTA]-; Anal Calcd. for C8H13N3F4O4S2: C, 27.0; H, 3.7; N, 11.8 F, 21.4; Found : C, 27.1; H, 3.6; N, 11.9; F, 21.3.DMI[FTA] MS m/z (%) 97 (100) [DMI]+,230 (100) [FTA]-; Anal Calcd. for C6H9N3F4O4S2: C, 22.0; H, 2.8; N, 12.8 F, 22.3; Found : C, 22.1; H, 2.8; N, 13.1; F, 23.3.BMI[FTA] MS m/z (%) 139 (100) [BMI]+,230 (100) [FTA]-; Anal Calcd. for C9H15N3F4O4S2: C, 29.3; H, 4.1; N, 11.4; F, 20.6; Found : C, 29.1; H, 4.1; N, 11.4; F, 20.4.Py12[FSA] MS m/z (%) 114 (100) [Py12]+,180 (100) [FSA]-; Anal Calcd. for C7H16N2F2O4S2: C, 28.6; H, 5.5; N, 9.5; F, 12.9; Found : C, 28.4; H, 5.3; N, 9.6; F, 12.9. AS44[FTA]MS m/z (%) 126 (100) [AS44]+,230 (100) [FTA]-; Anal Calcd. for C9H16N2F4O4S2: C, 30.3; H, 4.5; N, 7.9; F, 21.3; Found : C,30.1 ; H,4.5 ; N,7.7 ; F,21.2 . AS44[TFSA]MS m/z (%) 126 (100) [AS44]+,280 (100) [TFSA]-; Anal Calcd. for C10H16N2F6O4S2: C, 29.6; H, 4.0; N, 6.9; F, 28.1; Found : C,29.1 ; H,3.9 ; N,6.8 ; F,28.1 . AS44[FSA]MS m/z (%) 126 (100) [AS44]+,180 (100) [FSA]-; Anal Calcd. for C8H16N2F2O4S2: C, 31.4; H, 5.3; N, 9.1; F, 12.4; Found : C,31.0 ; H,9.2 ; N,12.4; F,31.1. PS44[FTA]MS m/z (%) 143 (100) [PS44]+,230 (100) [FTA]-; Anal Calcd. for C9H16NPF4O4S2: C, 29.0; H, 4.3; N, 3.8; F, 20.0; Found : C,39.2 ; H,4.1 ; N,3.9; F,19.6. PS44[FSA]MS m/z (%) 143 (100) [PS44]+,180 (100) [FSA]-; Anal Calcd. for C8H16NPF2O4S2: C, 29.7; H, 5.0; N, 4.4; F, 11.8; Found : C,29.7 ; H,4.8 ; N,4.3; F,11.5. PS44[TFSA]MS m/z (%) 143 (100) [PS44]+,280 (100) [TFSA]-; Anal Calcd. for C10H16NPF6O4S2: C, 28.4; H, 3.8; N, 3.3; F, 26.5; Found : C, 28.5; H, 3.7; N, 3.4; F, 26.9. 試験例1 上記実施例、比較例で得られた化合物の融点、導電率、ガラス転移点、熱分解温度、粘度、密度を表1〜表6に示す。試験例2 実施例及び比較例の各種イオン液体について、還元リミット電位、酸化リミット電位、電位窓を測定し、表7及び図1に示した。なお、表7の「*」で示されている値は、引用文献*に記載された値をそのまま記載した。引用文献 * 松本一ら、Journal of Power Sources, 160巻,2号,2006年,1308-1313頁、電位窓測定結果25℃走査速度:50mV/s作用電極:グラッシーカーボン電極対極:白金参照電極:EMI[TFSA]に60mMテトラプロピルアンモニウムヨウ化物と15mMのヨウ素を含有させたヨウ素レドックスを先端をポーラスバイコールガラスで閉じたガラス管に入れ、白金線を含浸させたもの。(各イオン液体中でのフェロセンの酸化還元電位を測定し内部標準とした) N2222[FTA]、N122.1O2 [FTA]、EMI[FTA]、AS44[FTA]の電位窓の測定結果を図1に示す。 なお、N122.1O2[FTA]は、DEME[FTA]のことである。 また、表7の還元リミット電位、酸化リミット電位は、1mA/cm2における電位とした。 これらの結果から、FTAアニオンは、従来のTFSAやFSAに匹敵する高い電気化学安定性を有する事が明らかである。 特に、カチオン種にN2222を用いる事が可能であり、酸化リミット電位は、従来のアミドアニオン系ではもっとも正電位である。試験例3 EMI[FTA]、AS44[FTA]及び濃度1MのLi-PF6を含むエチレンカーボネート+ジメチルカーボネート(EC+DMC)溶液それぞれを用いて、Li/LiCoO2セルを参考文献8と同じ方法にて作製し、レート試験後に4.2Vで充電したときの交流インピーダンスを測定した。 また、AS44[FTA]、EMI[FTA]、EMI[FSA]、EMI[TFSA]、Py13[TFSA]及びPy13 [FSA]それぞれのLi/LiCoO2セルの放電容量とCレートとの関係を測定した。各測定結果を図2及び図3に示す。なお、リチウム電解液は、各イオン液体にリチウム塩Li-TFSA(0.5M)を溶解させて調製した。セル構成は、参考文献9を参照して作成した。 図2の測定結果より、EMI-FTAの界面抵抗はEC+DMCと比べてもそれほど大きくなく、界面抵抗は比較的小さいことがわかった。また、図3の測定結果より、EMI[FTA]を用いたセルではEMI[FSA]とほぼ同等、AS44[FTA]を用いたセルでは、より粘性が低いPy13[FSA]と同等の性能を示し、TFSAでは如何に粘性の低い系を用いても不可能であった1C(0.2mA/cm2)以上での充放電が可能になることが分かった。交流インピーダンス測定による見かけの界面電荷移動抵抗は、FTA系はFSA 系に近い低い値を示すことからアニオン中での-FSO2基の存在が界面抵抗の低下の原因であることが示唆され、これが高いレート特性を示す原因と考えられる。 AS44[FTA]を用いたLi/LiCoO2セルの充放電レート特性(25℃)に及ぼすセパレータ厚みおよびLi塩濃度による影響を検討し、最適化を行った結果図4に示すように、従来の有機溶媒電解液並みの高い充放電レート特性を発揮することが分かった。リチウム塩濃度を高くすることで、正負電極界面電荷移動抵抗がより小さくなる一方、従来のTFSAイオン液体では1M程度のリチウム塩添加によって粘度が七倍以上と著しく高くなるのにたいし、図5に示すようにFTAでは、FSAと同様に粘度があまり変化しないことも相まってこのような高い性能が発揮されたものと考えられる。参考文献1) S. Kongpricha, W. C. Preusse, R. Schwarer, J. K. Ruff, Inorganic Syntheses 8, 151-155.参考文献2) Z. B. Zhou, M. Takeda, M. Ue, J Fluorine Chem. 2003, 123, 127-131.参考文献3) Z. B. Zhou, H. Matsumoto, K. Tatsumi, Chem.Eur. J.2004, 10, 6581-6591.参考文献4) Zhi-bin Zhou, Hajime Matsumoto, Kuniaki Tatsumi, Chem. Eur. J., 2005, 11, 752-766.参考文献5) Zhi-bin Zhou, Hajime Matsumoto, Kuniaki Tatsumi, Chem. Eur. J., 2006, 12, 2196-2212.参考文献6) V .Braun, Chemische Berichte, 1916, 49, 970.参考文献7) N. Ya Derkach, A. V. Kirsanov, Zhurnal Obshchei Khimii 1968, 38(2), 331-7. 参考文献8) H. Sakaebe et al., Electrochim. Acta 53 (2007) 1048.参考文献9) H. Sakaebe, H. Matsumoto, Electrochem. Commun., 5(7),594 (2003).N2222[FTA]、DEME[FTA]、EMI[FTA]およびAS44[FTA]の25℃でのリニアスイープボルタモグラムの測定結果を示す。電解液として、EMI[FTA]、AS44[FTA]におよそ0.5MのLi[TFSA]を添加したもの、1 M Li-PF6を含むEC+DMC(1:1)溶液を用いた場合のLi/LiCoO2セルのレート試験後、4.2Vで充電後のセルの交流インピーダンス測定結果(Cole-Cole plot)を示す。EMI[FTA]、AS44[FTA]、EMI[FSA]及びEMI[TFSA]のLi/LiCoO2セルの放電容量とCレートとの関係を示す。AS44[FTA]を電解質に用いたLi/LiCoO2セルのレート特性に及ぼすLi塩濃度とセパレータ厚みの効果。イオン液体の粘度に及ぼす共存Li塩濃度依存性。フルオロスルホニル(トリフルオロメチルスルホニルアミド)(FTA)アニオンと、以下のいずれかのカチオンからなるイオン液体:5-アゾニアスピロ[4.4]ノナン(AS44)N,N-ジメチル-ピペリジニウム(PP11)N-メチル-N-エチル-ピペリジニウム(PP12)N-メチル-N-プロピル-ピペリジニウム(PP13)N-メチル-N-ブチル-ピペリジニウム(PP14);または5-フォスフォニアスピロ[4.4]ノナン(PS44)。カチオンがN-メチル-N-プロピル-ピペリジニウム(PP13)である請求項1に記載のイオン液体。カチオンが5-アゾニアスピロ[4.4]ノナン(AS44)である請求項1に記載のイオン液体。