タイトル: | 公表特許公報(A)_NAPE−PLD又はAbh4の活性を修飾する薬剤を同定するためのアッセイ方法 |
出願番号: | 2010510478 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | C12Q 1/44,C12M 1/00 |
ジェーン・ヴイ・ペパード シュジャース・メヘディ シューイン・リー メイ・エス・デュガイド JP 2010528615 公表特許公報(A) 20100826 2010510478 20080529 NAPE−PLD又はAbh4の活性を修飾する薬剤を同定するためのアッセイ方法 サノフィ−アベンティス 399050909 結田 純次 100127926 三輪 昭次 100105290 竹林 則幸 100140132 ジェーン・ヴイ・ペパード シュジャース・メヘディ シューイン・リー メイ・エス・デュガイド US 60/941,045 20070531 C12Q 1/44 20060101AFI20100730BHJP C12M 1/00 20060101ALI20100730BHJP JPC12Q1/44C12M1/00 Z AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MT,NL,NO,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RS,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SV,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,ZA,ZM,ZW US2008065028 20080529 WO2008150832 20081211 27 20100114 4B029 4B063 4B029AA07 4B029BB16 4B029CC01 4B029FA13 4B063QA18 4B063QQ32 4B063QQ61 4B063QR12 4B063QR41 4B063QX02 N−アシルホスファチジルエタノールアミン−加水分解ホスホリパーゼD(NAPE−PLD)酵素は、ホスファチジン酸及びアナンダミドへのN−アシルホスファチジルエタノールアミン(NAPE)の加水分解を触媒するホスホリパーゼである(図1)。α/βヒドロラーゼ4(Abh4;Abhd4とも略される)は、代替の経路によってアナンダミドを生成する。アナンダミドは、公知の内在性カンナビノイドの1つである。従って、NAPE−PLD及びAbh4は、アナンダミドの生合成の阻害はカンナビノイド−1(CB1)アンタゴニストといくつかの同様の効果又はさらなる効果を有する可能性があるため、生物学的に魅力的な標的である。従って、NAPE−PLD又はAbh4の活性を調節する治療法は、様々な障害、例えばしかしこれらに限定されないが、肥満、糖尿病、及びアテローム性動脈硬化症の治療において有用であり得る。 NAPE−PLDを調節する化合物を発見するという治療的可能性のために、製薬産業においてハイスループットスクリーニング(HTS)アッセイを開発する必要性が存在した。しかし、NAPE−PLDは独特な酵素である。それは、他のホスホリパーゼD(PLD)酵素を含む他のリパーゼから構造的に及び触媒的に識別可能である。類似の反応を触媒しヒスチジン依存性酵素である他のPLDとは異なり、NAPE−PLDは、亜鉛依存性酵素であり、細菌の亜鉛−メタロ−β−ラクタマーゼと似ている。基質中のNアシル部分がNAPE−PLD基質認識のために必要とされ、一方、他のPLDは基質としてホスファチジルコリン又はホスファチジルイノシトールを使用する(非特許文献1〜5)。従って、文献において報告されたPLDについてのアッセイ方法の多くは、NAPE−PLDを測定するために修正可能でない。PLDからのp−ニトロフェノールの遊離を測定する分光光度アッセイは、NAPE−PLD酵素活性に必要なNアシル部分を必要としない(非特許文献6、7)。NAPE−PLDはコリンを生成しないので、多くの通常のPLDの生産物であるコリンの形成を検出するアッセイは有用ではない(非特許文献8)。遊離脂肪酸の形成を検出するPLDについての連続蛍光置換アッセイは、ホスホリパーゼA酵素のさらなるカップリングを必要とし(即ち、PLD活性の間接測定)、Nアシル部分を欠く基質を使用する(非特許文献9)。他の方法は、HTS形式では容易に検出可能ではないクロマトグラフィー、pH変化、及び膜電荷などの技術を利用する(非特許文献10〜12)。最近開発されたリパーゼについてのいくつかのHTSアッセイは、必要とされるNアシル部分を有さない(非特許文献13)。NAPE−PLDとは異なり、Abh4は、亜鉛依存性酵素ではなく、セリンヒドロラーゼである(非特許文献14)。 NAPE−PLD活性をアッセイすることについて報告された方法は、放射標識されたNAPEを使用し、その後、遊離した放射標識生成物を薄層クロマトグラフィー(非特許文献2)、ジルコニウム沈殿(非特許文献10)、又は液体クロマトグラフィー(非特許文献15)によって定量する。 蛍光消光及び蛍光エネルギー移動法は、HTS形式のアッセイにおいて一般的に使用されている。しかし、蛍光消光及び蛍光エネルギー移動法又は任意の他のHTSを可能にする方法は、NAPE−PLDに適用されていなかった。本発明者らは、蛍光性BODIPY基及び消光性2,4−ジニトロフェニル(DNP)基(非特許文献16)を利用して、ハイスループットスクリーニングを可能にするNAPE−PLDの新規アッセイを開発した。HTS適合性NAPE−PLD蛍光アッセイは、基質としての、BODIPY及びDNPで二重標識されたN−アシルホスファチジルエタノールアミン分子(PED6)に基づく。インタクトな分子の場合、BODIPY部分からの蛍光は、DNP部分によってクエンチされ;PED6の酵素加水分解で、DNP部分はBODIPY部分から遊離され、BODIPYからの発蛍光を可能にする(図2を参照のこと)。蛍光強度は、NAPE−PLDの活性に比例する。この新規なアッセイは、スクリーニングの処理量を増加させ、短時間でより多くの化合物の試験を可能にする。また、このHTS形式のアッセイは、放射標識材料の放射能及び薄層クロマトグラフィーの使用に伴う、取り扱い、廃棄物管理及び処理の問題を未然に防ぐ。 Abh4は、特徴であるα/βタンパク質折り畳みを含有するヒドロラーゼのファミリーのメンバーである。Abh4は、内在性カンナビノイド アラキドニルエタノールアミド(arachidonlethanolamide)(AEA;アナンダミド)の生合成の経路に関与すると提唱されている(非特許文献14)。この経路は、酵素NAPE−PLDを使用する経路の代わるものとして提唱されている。Abh4の酵素活性を測定するためのSimon及びCravattによって記述されたアッセイは、放射性NAPE基質を使用し、続いて、生成物を薄層クロマトグラフィーによる分離を使用する。このようなアッセイは、扱いにくく、任意のかなりの処理量で化合物をスクリーニングすることに明らかに適さない。さらに、放射能の使用は、予防的な取り扱い及び処理方法に起因して、ルーチンなアッセイにとって望ましくない。Simon及びCravattによって使用された放射性基質は、化学的タグ、又はそうでなければ蛍光性を有しないNAPEである。Schmid et al. J. Biol. Chem. 258:9302-9306, 1983Okamoto et al., J. Biol. Chem. 279:5298-5305, 2004Gottlin et al., Proc. Natl. Acad. USA 95:9202-9207, 1998Petersen and Hansen, FEBS Lett. 455:41-44, 1999Ueda et al., Curr. Med. Chem. 12:1413-1422, 2005Hagishita et al., Anal. Biochem. 276:161-165, 1999D'Arrigo et al., Analytica Chimica Acta 304:249-254, 1995Hojjati and Jiang, J. Lipid Res. 47:673-676, 2006Kinkaid and Wilton, Biochem. Soc. Trans. 25:S595, 1997Petersen et al., J. Lipid Res. 41:1532-1538, 2000Morris et al., Anal. Biochem. 252:1, 1997Aridor et al., Methods Enzymol. 404:108-115, 2005Schmidt and Bornscheuer, Biomol. Eng. 22:51-56, 2005Simon and Cravatt, J. Biol. Chem. 281:26465, 2006Fezza et al, Analytical Biochemistry 339:113-120, 2005Hendrickson et al., Anal. Biochem. 276:27-35, 1999 本発明者らは、NAPE−PLD活性を測定するために本発明者らによって初めて使用するのに成功した、NAPEアナログであるPED6が、同様にAbh4用にも有用となり得ると仮説を立てた。本発明者らは、Abh4は、NAPE−PLDによって切断される結合とは異なる結合である2位のエステル結合を切断するが(図3を参照のこと)、クエンチングを除去した際の蛍光の増加という最終結果は同様であろうと予想した。1位のエステル結合も同様にAbh4によって切断され得るが、測定可能な蛍光変化を生じさせない。タグ付きの基質であるPED6をAbh4酵素に対して使用することは新規であり、何故ならば、該酵素が該基質中のタグに耐性でかつPED6を測定可能な程度まで加水分解することは全く明白ではないためである。酵素N−アシルホスファチジルエタノールアミン−加水分解ホスホリパーゼD(NAPE−PLD)によるホスファチジン酸及びアナンダミドへのN−アシルホスファチジルエタノールアミン(NAPE)の加水分解を示す図である。BODIPY部分という蛍光基とDNP部分という消光基とを含むPED6のインタクトな分子の略図を示す。NAPE−PLDによって酵素加水分解されると、DNP部分がBODIPY部分から遊離され、BODIPYからの発蛍光が可能となる。任意の2つの好適に置かれた蛍光分子、例えばBODIPY及びDNPのドナー及びアクセプター(又はクエンチャー)部分の可能な位置を示す。NAPE−PLD及びAbh4の切断部位を注記する。NAPE−PLD活性を測定するBODIPY蛍光のシグナル対バックグラウンド比に対する、PED6基質を調製するために使用したトリトン(Triton) X−100及び脂質の効果を示す図である。最終トリトン X−100濃度は0.0125%であった。基質を溶解するためにクロロホルムを使用した。NAPE−PLD活性を測定するBODIPY蛍光のシグナル対バックグラウンド比に対する、PED6基質を溶解するために酢酸エチルを使用した場合のトリトン X−100の効果を示す図である。PED6基質滴定曲線(CPS=カウント/秒)を示す図である。NADE−PLD酵素滴定曲線(CPS=カウント/秒)を示す図である。NADE−PLDについてのKm測定を示す図である。NADE−PLDアッセイについてのDMSO感度曲線を示す図である。典型的なIC50曲線を示す図である。C末端6xHisタグの付いたNAPE−PLDを発現させるために使用したヌクレオチド配列(配列番号1)を示す図である;発現され精製されたC末端Hisタグを有するNAPE−PLDタンパク質は、全長NAPE−PLDの配列(配列番号2)と比較して、N末端で切り詰められていることがわかった(配列番号3)。C末端Hisタグを有するAbh4の発現されたアミノ酸配列(配列番号5)を示す図である。経時的なAbh4によるPED6の加水分解から生じる発蛍光を追跡する典型的なトレースを示す(発光波長520nm)。時間は秒(sec)であり、RFUは、ミリ蛍光単位/分(mRFU/分)の相対蛍光単位(flourescent units)である。A1(白丸)は、基質コントロール単独を表わし(傾き=17335mRFU/分)、A2(白四角)は、Abh4を含有するベクターでトランスフェクションされた細胞由来の溶解物を表わし(傾き=849272mRFU/分)、A3(白三角)は、非トランスフェクト細胞由来の溶解物を表わす(傾き=41622mRFU/分)。 本明細書において引用される全ての刊行物は、参照によって本明細書に組み入れられる。特に定義しない限り、本明細書において使用される全ての技術及び科学用語は、本発明が属する技術の当業者に一般的に理解されるのと同一の意味を有する。 本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される専門用語は、特定の実施態様のみを説明する目的のためであり、本明細書における使用は、本発明を限定するようには意図されない。単語の単数形は、文脈がそうではないように明確に示さない限り、複数形を含むものとする。例えば、「ア(a)」、「アン(an)」及び「ザ(the)」という単数形は、複数形も同様に含むものとする。さらに、薬剤への言及は、2つ又はそれ以上の薬剤の混合物を含み得る。従って、用語「薬剤(an agent)」は、その混合物及び/又はエナンチオマーを含む、複数の薬剤を含む。用語「又は」は、文脈がそうではないように明確に指示しない限り、「及び/又は」を含む意味で一般的に使用されることにも留意すべきである。用語「含む(comprises)」及び/又は「含むこと(comprising)」は、本明細書において使用される場合、記載した特徴、工程、要素、及び/又は成分の存在を特定するが、1つ又はそれ以上の他の特徴、工程、要素、成分、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除しないことはさらに当然のことと理解されよう。 さらに、本発明によれば、当分野の技術内の従来の分子生物学、微生物学及び組換えDNA技術が使用され得る。このような技術は、文献に十分に記載されている。例えば、以下を参照のこと:Sambrook, Fritsch & Maniatis, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition (1989) Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y. (本明細書において“Sambrook et al., 1989”);DNA Cloning: A Practical Approach, Volumes I and II (D. N. Glover ed. 1985);Oligonucleotide Synthesis (M. J. Gait ed. 1984);Nucleic Acid Hybridization [B. D. Hames & S. J. Higgins eds. (1985)];Transcription And Translation [B. D. Hames & S. J. Higgins, eds. (1984)];Animal Cell Culture [R. I. Freshney, ed. (1986)];Immobilized Cells And Enzymes [IRL Press, (1986)];B. Perbal, A Practical Guide To Molecular Cloning (1984);F. M. Ausubel et al. (eds.), Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, Inc. (1994)。 本発明のある実施態様は、NAPE−PLD又はAbh4の活性を修飾する薬剤を同定する方法であって、 (a)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器にNAPE−PLD又はAbh4を添加すること; (b)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器に薬剤を添加すること; (c)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器に基質を添加すること、ここで基質はドナー部分及びクエンチャー部分を含み、ここでドナー部分とクエンチャー部分との分子内近接が、クエンチされた検出可能なシグナルを生じさせる; (d)所定の期間の間、容器のアレイ中、薬剤、NAPE−PLD又はAbh4及び基質をインキュベートすること; (e)容器のアレイ中、NAPE−PLD又はAbh4によって基質からクエンチャー部分を除去した後の、ドナー部分からの検出可能なシグナルの量を測定すること;及び (f)薬剤、基質及びNAPE−PLD又はAbh4を含む第1の容器の検出可能なシグナルな量と、基質及びNAPE−PLD又はAbh4を含む第2の容器の検出可能なシグナルな量とを比較することを含み、 それによって、差が所定の閾値を超える場合、上記薬剤を修飾剤として同定する、方法である。 本発明のさらなる実施態様は、NAPE−PLD又はAbh4の活性を修飾する薬剤を同定する方法であって、 (a)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器にNAPE−PLD又はAbh4を添加すること; (b)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器に薬剤を添加すること; (c)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器に基質を添加すること、ここで基質はドナー部分及びクエンチャー部分を含み、ここでドナー部分とクエンチャー部分との分子内近接が、クエンチされた検出可能なシグナルを生じさせる; (d)第1の時点で、容器のアレイ中、NAPE−PLD又はAbh4によって基質からクエンチャー部分を除去した後の、ドナー部分からの検出可能なシグナルの量を測定すること; (e)所定の期間の間、容器のアレイ中、薬剤、NAPE−PLD又はAbh4及び基質をインキュベートすること; (f)第2の時点で、容器のアレイ中NAPE−PLD又はAbh4によって基質からクエンチャー部分を除去した後の、ドナー部分からの検出可能なシグナルの量を測定すること;及び (g)第1の時点での検出可能なシグナルの量と第2の時点での検出可能なシグナルの量とを比較することを含み、 それによって、差が所定の閾値を超える場合、上記薬剤を修飾剤として同定する方法である。 「所定の」は、期間又は閾値が、本発明の方法を使用する前に確立されることを示す。期間又は閾値は、任意に又は実験的に選択され得る。非限定的な例は、時間的経過を行い、次いで、時間的経過の結果に基づいて検出可能なシグナルを測定するための時間を選択することである。「期間」は、時間の任意の単位であり得;非限定的な例としては、秒、分又は時間が挙げられる。「閾値」は、応答を示すために必要とされる検出可能なシグナルの量を指す。 本発明のある実施態様は、検出可能なシグナルを利用する。当業者は、本発明によって使用され得る膨大な数の検出可能なシグナルを容易に認識し得る。非限定的な例としては、蛍光色素、発色団、酵素、リンカー部分、ビオチン、電子供与体、電子受容体、色素、金属、及び放射性核種が挙げられる。 本発明のある実施態様は、ドナー部分及びクエンチャー部分を使用する。非限定的な例としては、BODIPY及びDNP、ローダミン及びDNP、Cy色素及びDNP、Alexa及びQSY色素、BODIPY及びDNPが挙げられる。当業者は、それらが本発明によって利用され得るような好適な特性を有する異なるドナー及びクエンチャー部分を使用する他の好適な組み合わせを容易に同定し得る。 本発明は、検出可能なシグナルを発生させるための多くの技術の利用へ修正可能である。非限定的な例は、蛍光共鳴エネルギー移動(より一般的にはFRETと呼ばれる)の使用である。蛍光共鳴エネルギー移動は、励起状態のフルオロフォアから、非常に近接している第2の発色団へ、エネルギーの移動が生じるプロセスである。例えば、蛍光共鳴エネルギー移動は、励起電子状態のドナーフルオロフォアを必要とし、これは、その励起エネルギーを長距離双極子−双極子相互作用によって近くのアクセプター発色団へ移動させ得る。共鳴エネルギー移動は、連成振動子、例えば、同一の周波数で振動する音叉の対と考えられ得る。従って、使用されるドナー及びアクセプター部分に応じて、当業者は、ドナー−アクセプター対の分子内相互作用から生じる検出可能なシグナル、並びに分子内相互作用の分離又は崩壊に続いてのドナー部分及びアクセプター部分又は両方からの検出可能なシグナルを測定し得る。ドナー−アクセプター対の非限定的な例としては、以下が挙げられる:シアン蛍光タンパク質−黄色蛍光タンパク質対、緑色蛍光タンパク質−青色蛍光タンパク質対、ユーロピウム及びアロフィコシアニン(allophcocyamin)、シアン蛍光タンパク質/黄色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質/青色蛍光タンパク質、並びに好適な励起及び放射波長を有する種々のCy色素、種々のBODIPY色素又は種々のAlexa色素の組み合わせ、Texas Red及びフルオレセイン、BODIPY及びフルオレセイン、ローダミン及びフルオレセイン、好適な蛍光特性を有する種々のBODIPY色素の組み合わせ、好適な蛍光特性を有する種々のCy色素の組み合わせ、並びにユーロピウムキレート若しくは他のランタニドキレート及びAPC、XL665若しくは他の修飾APC。当業者は、Cy色素は、類似の構造を有するが異なる蛍光特性を有する多くの色素についての一般名であることを容易に認識し得る。同様に、BODIPY及びAlexa色素は、類似の構造及び異なる蛍光特性を有するあるクラスの色素を示す。従って、理論上は、多数の組み合わせが、FRETについて好適である。非限定的な例は、BODIPY480とCy色素520である。 従って、本発明のある実施態様は、NAPE−PLD又はAbh4の活性を修飾する薬剤を同定する方法であって、 (a)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器にNAPE−PLD又はAbh4を添加すること; (b)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器に薬剤を添加すること; (c)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器に基質を添加すること、ここで基質はドナー部分及びアクセプター部分を含む; (d)所定の期間の間、薬剤、NAPE−PLD又はAbh4及び基質をインキュベートすること; (e)検出可能なシグナルの量を測定すること、ここで測定される検出可能なシグナルは、ドナー部分、アクセプター部分、ドナー部分のアクセプター部分に対する比率、及びドナー−アクセプター部分複合体からなる群より選択される;及び (f)薬剤、基質及びNAPE−PLD又はAbh4を含む第1の容器の検出可能なシグナルな量と、基質及びNAPE−PLD又はAbh4を含む第2の容器の検出可能なシグナルな量とを比較することを含み、 それによって、差が所定の閾値を超える場合、上記薬剤を修飾剤として同定する方法である。 本発明のさらなる実施態様は、NAPE−PLD又はAbh4の活性を修飾する薬剤を同定する方法であって、 (a)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器にNAPE−PLD又はAbh4を添加すること; (b)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器に薬剤を添加すること; (c)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器に基質を添加すること、ここで基質はドナー部分及びアクセプター部分を含む; (d)第1の時点で、検出可能なシグナルの量を測定すること、ここで測定される検出可能なシグナルは、ドナー部分、アクセプター部分、ドナー部分のアクセプター部分に対する比率、及びドナー−アクセプター部分複合体からなる群より選択される; (e)所定の期間の間、薬剤、NAPE−PLD又はAbh4及び基質をインキュベートすること; (f)第2の時点で、検出可能なシグナルの量を測定すること、ここで測定される検出可能なシグナルは、ドナー部分、アクセプター部分、ドナー部分のアクセプター部分に対する比率、及びドナー−アクセプター部分複合体からなる群より選択される;及び (g)第1の時点での検出可能なシグナルの量と第2の時点での検出可能なシグナルの量とを比較することを含み、 それによって、差が所定の閾値を超える場合、上記薬剤を修飾剤として同定する方法である。 本発明の原理は、エネルギードナー部分からエネルギーアクセプター部分への基質分子内でのエネルギーの移動に基づく。最も広い範囲で、前記アッセイは、任意の2つの好適に置かれた部分、ドナー及びアクセプター(又はクエンチャー)が基質分子によって連結されている場合、機能的である。非限定的な例として、ドナーは、NAPE基質の3つの脂肪酸鎖のうちの1つに配置され(例えば、鎖1又は2)、エネルギーアクセプター(又はクエンチャー)は、エネルギー移動が生じるに十分に依然として近い、別の部位に配置される(例えば、鎖3、図3を参照のこと)。基質が加水分解される前は、ドナー及びアクセプター(又はクエンチャー)は、非常に近接しており、ドナーからの検出可能なシグナルは、アクセプター(又はクエンチャー)によってクエンチされている。基質が加水分解されると、ドナー及びアクセプター(又はクエンチャー)は分離され、検出可能なシグナル、例えばドナーからの蛍光が遊離され、これは、酵素活性を検出するための読出しとして役立つ。代替の例としては、基質が加水分解され、ドナー及びアクセプターが分離されると、ドナーからの蛍光が検出され得、アクセプターからの蛍光が検出され得、ここで、ドナー及びアクセプターシグナルの一方又は両方が測定され得るか、又はドナーとアクセプターとの比率が測定され得る。 以下は、ドナー−アクセプター配置の組み合わせの非限定的な例である:鎖1及び3、鎖2及び3、鎖3及び1、又は鎖3及び2(図3)。当業者は、鎖1及び2の炭化水素鎖が変更し得ることを正しく理解する。鎖3も変更し得るが、Nアシル部分は維持すべきである。蛍光プローブは、修飾がNAPE−PLD酵素の活性に干渉しない限り、鎖の任意の位置に配置され得る。一つの波長によって励起されると、反対のフルオロフォア(fluorphore)によってアクセプト又はクエンチされるに適切な波長の光をドナーが放射するという点で、蛍光性ドナー及びアクセプター対は適合性でなければならない。蛍光性ドナー−アクセプター対のいくつかの組み合わせが存在する。例えば、使用に適した組み合わせの非限定的な例として以下が挙げられる:シアン蛍光タンパク質−黄色蛍光タンパク質対、緑色蛍光タンパク質−青色蛍光タンパク質対、ユーロピウム及びアロフィコシアミン、シアン蛍光タンパク質/黄色蛍光タンパク質、緑色蛍光タンパク質/青色蛍光タンパク質、並びに好適な励起及び発光波長を有する種々のCy色素、種々のBODIPY色素又は種々のAlexa色素の組み合わせ、BODIPY及びDNP、ローダミン及びDNP、Cy色素及びDNP、Alexa及びQSY色素、BODIPY及びDNP、テキサスレッド(Texas Red)及びフルオレセイン、BODIPY及びフルオレセイン、ローダミン及びフルオレセイン、好適な蛍光特性を有する種々のBODIPY色素の組み合わせ、好適な蛍光特性を有する種々のCy色素の組み合わせ、並びにユーロピウムキレート若しくは他のランタニドキレート及びAPC、XL665若しくは他の修飾APC。 当業者は、NAPE−PLD又はAbh4、薬剤、及び基質を添加する順序は任意に行われ得るか又は一緒に行われ得ることを容易に正しく理解し得る。非限定的な例は、NAPE−PLD又はAbh4、基質、及び薬剤を1つの混合物に作製し、該混合物を一度に添加することである。別の非限定的な例は、最初に基質、次いで薬剤、次いでNAPE−PLD又はAbh4を添加することである。いかなる添加順序もフォローされ(followed)得る。さらなる実施態様は、NAPE−PLD若しくはAbh4、薬剤、又は基質のいずれか1つ又はそれ以上の所定の期間の間のインキュベーションを、工程a、b又はcの間に追加することであり得る。基質、薬剤、又はNAPE−PLD若しくはAbh4を一度に又は異なる順序で添加することなどの改良は、十分に当業者の知識及び能力の範囲内にあり、本発明の考慮される実施態様である。 本発明の実施態様は基質を利用する。基質は、NAPE−PLD又はAbh4が作用し得る任意の材料又は物質であり得る。非限定的な例はPED6である。 本発明の実施態様は、全長ヒトNAPE−PLDを含む酵素NAPE−PLDを利用する。他の種由来のNAPE−PLDもまた使用され得る。NAPE−PLDは、他のタンパク質、例えばタンパク質単離に有用であるHISタグも同様に含むように発現され得る。さらに、NAPE−PLD酵素の切り詰め型が使用され得る。非限定的な例は配列番号3である。切り詰められる場合、切り詰めは活性部位に干渉しない場合がある。切り詰められたタンパク質内に活性部位が依然として含まれかつインタクトであるならば、いかなる切り詰めも使用され得る。 本発明の実施態様は、全長ヒトAbh4を含む酵素Abh4を利用する。非限定的な例は配列番号5である。他の種由来のAbh4も使用され得る。Abh4は、他のタンパク質、例えばタンパク質単離に有用であるHISタグも同様に含むように発現され得る。さらに、Abh4酵素の切り詰め型が使用され得る。切り詰められる場合、切り詰めは活性部位に干渉しない場合がある。切り詰められたタンパク質内に活性部位が依然として含まれかつインタクトであるならば、いかなる切り詰めも使用され得る。 本発明は、NAPE−PLD又はAbh4の活性を修飾する薬剤を同定(例えば、スクリーニング、検出、キャラクタライズ、分析、及び定量)するための方法を提供する。用語「薬剤」、「テスト薬剤」、「テスト化合物」、「薬物候補物」若しくは「モジュレーター」又は文法的均等物は、本明細書において使用される場合、本発明のアッセイにおいて使用され、NAPE−PLD又はAbh4の活性を調節するその能力についてアッセイされる、天然又は合成の、任意の分子、例えばタンパク質、オリゴペプチド(例えば、約5〜約25アミノ酸長、好ましくは約10〜20又は12〜18アミノ酸長、好ましくは12、15、又は18アミノ酸長)、小有機分子、多糖、脂質(例えば、スフィンゴリピド)、脂肪酸、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチドなどを示す。アッセイされ得る化合物について特別の制限はない。例としては、低、中若しくは高分子量の化学分子の単一の薬剤又はライブラリー、精製タンパク質、遺伝子ライブラリーの発現産物、合成ペプチドライブラリー、細胞抽出物、及び培養上清が挙げられる。薬剤は、種々の薬剤の任意の組み合わせを包含する。 薬剤は、少なくとも1つ又はそれ以上の可溶性若しくは不溶性因子、細胞マトリックス成分、調整培地、細胞抽出物、組織抽出物、外植片、pH調整剤、ガス、浸透圧調整剤、イオン強度調整剤、ウイルス、DNA、RNA、又は遺伝子フラグメントを含み得る。薬剤は、十分な範囲の多様性を提供するか、又は逆に類似の構造若しくは特徴に限定されるコンビナトリアル又はランダム化ライブラリーなどの、テスト薬剤のライブラリーの形態であり得る。薬剤は、場合により、融合パートナー、例えば標的化合物、レスキュー化合物(rescue compound)、二量体化化合物、安定化化合物、アドレサブル化合物(addressable compound)、及び他の機能性部分へ連結され得る。従来的に、有用な特性を有する新規化合物は、ある所望の特性又は活性、例えば阻害活性若しくは調節活性、を有するテスト薬剤(「リード化合物」又は「リード」と呼ばれる)を同定することによって、作り出される。次いで、リード化合物はスカフォールドとして使用され、リード化合物の変異体が作出され、さらにそれらの変異体化合物の特性及び活性が評価される。 薬剤は、処理条件、並びに外部及び内部条件又は環境の操作を含み得る。このような薬剤の非限定的な例としては、紫外線が挙げられる。 本発明のある実施態様は、NAPE−PLD又はAbh4の活性を修飾する薬剤を同定するための方法である。用語「修飾する」は、NAPE−PLD又はAbh4の活性又は特異性のいかなる変化をも包含する。従って、用語「修飾する」は、NAPE−PLD活性又はAbh4活性のインヒビター、インデューサー又はモジュレーターである薬剤を挙げ得る。 用語「インヒビター」は、NAPE−PLD又はAbh4の活性又は特異性を遮断、中断又は防止することができるいかなる薬物、化学物質、タンパク質又はタンパク質フラグメントをも包含する。さらに、インヒビターは、細胞性タンパク質の発現を遮断しそれによってNAPE−PLD又はAbh4に直接的に又は間接的に影響を与える経路を阻害する、例えば分子シャペロン、抗体又は阻害性RNA(RNAi)であり得る。「遮断」、「遮断する」又は「遮断すること」は、絶対的である必要はなく、しかし任意の測定可能な阻害が、遮断が生じているという指示である。「インヒビター」は、細胞応答を遮断、中断又は防止し、それによってNAPE−PLD又はAbh4の活性又は特異性を防止又は中断又は遮断するような様式での、培地成分の変更又は酸素増加若しくは欠乏などの培養条件の操作であってもよい。 用語「インデューサー」は、NAPE−PLD又はAbh4の活性又は特異性を開始、刺激又は増強することができるいかなる薬物、化学物質、タンパク質又はタンパク質フラグメントをも包含する。さらに、インデューサーは、細胞性タンパク質の発現を遮断しそれによって阻害を除去するか又は細胞応答、活性若しくは経路を直接的に開始若しくは刺激する、分子シャペロン、抗体又は阻害性RNA(RNAi)であり得る。「インデューサー」は、細胞応答を遮断、中断又は防止し、最終的にNAPE−PLD又はAbh4の活性又は特異性を開始、刺激又は増強するような様式での、培地成分の変更又は酸素増加若しくは欠乏などの培養条件の操作であってもよい。 用語「モジュレーター」は、NAPE−PLD又はAbh4の活性又は特異性の、又はNAPE−PLD又はAbh4の活性又は特異性に関与する細胞応答、活性又は経路の、強度、割合又は特徴を調節することができるいかなる薬物、化学物質、タンパク質又はタンパク質フラグメントをも包含する。さらに、モジュレーターは、細胞性タンパク質の発現を遮断しそれによって阻害を除去するか又はNAPE−PLD又はAbh4の活性又は特異性に最終的に影響を与える細胞応答、活性又は経路を誘導する、分子シャペロン、抗体又は阻害性RNA(RNAi)であり得る。「モジュレーター」は、NAPE−PLD又はAbh4の活性又は特異性に影響を与え得る細胞応答の強度、割合又は特徴を調節するような様式での、培地成分の変更又は酸素増加若しくは欠乏などの培養条件の操作であってもよい。 本発明のさらなる実施態様において、モジュレーターは、インデューサーと併用して使用され得、その結果、インデューサーのモジュレーターは、インデューサーの効力をより高め(例えば、NAPE−PLD又はAbh4活性を増強させる)、又は、インデューサーの効力をより低める(例えば、NAPE−PLD又はAbh4活性を低下させる)。インヒビターのモジュレーターは、インヒビターの効力をより低め(例えば、NAPE−PLD又はAbh4活性を増強させる)、又は、インヒビターの効力をより高める(例えば、NAPE−PLD又はAbh4活性を低下させる)。 インヒビター、インデューサー又はモジュレーターはまた、疾患状態の経路又は側面を模倣するために利用され得る。非限定的な例示的な例として、本発明の実施態様は、精神障害、糖尿病又は肥満の側面を模倣するNAPE−PLD又はAbh4インヒビター、インデューサー又はモジュレーターの存在下でNAPE−PLD又はAbh4の活性を修飾する薬剤を同定することである。従って、本発明の実施態様は、NAPE−PLD又はAbh4活性又は特異性が影響されると考えられる疾患状態を改善し得るテスト薬剤を同定するためのスクリーニング方法を包含する。 本発明の別の実施態様は、2つ以上のインデューサー、インヒビター又はモジュレーターの使用である。2つ以上のインデューサー、インヒビター又はモジュレーターを使用することは、相加効果、カウンター効果、相乗効果を有し得、又は複数の経路に影響を与え得るが、これらに限定されない。 本発明の実施態様は、NAPE−PLD又はAbh4の活性を修飾する薬剤を同定する方法であって、さらにコントロールを含む方法である。コントロールは、当業者によって十分に理解される技術用語である。適切なコントロールは、研究下の実験課題又は使用されるアッセイパラメータに依存し得る。コントロールは、アッセイ条件の特定のセット又は培養培地への特定の化合物の添加若しくは排除であり得る。コントロールは、添加されるコントロール化合物又はアッセイ条件が、期待される反応をもたらす場合、ポジティブコントロールと考えられ得る。例えば、研究下の薬剤がNAPE−PLD又はAbh4を阻害すると予想される場合、ポジティブコントロールは、NAPE−PLD又はAbh4を阻害することが公知である化合物又は薬剤である。コントロールはまた、ネガティブコントロールであり得る。ネガティブコントロールは、期待される反応をもたらす、アッセイ条件の特定のセット又は培養培地への特定の化合物若しくは薬剤の、添加若しくは排除であり得る。例えば、研究下の薬剤がNAPE−PLD又はAbh4を阻害すると期待される場合、ネガティブコントロールはNAPE−PLD又はAbh4を阻害しないことが期待されることになる。コントロールは、「ビヒクル」コントロールであり得る。例えば、テスト薬剤がDMSOに溶解される場合、ビヒクルコントロールは、テスト薬剤を含まないDMSOである。コントロールは、単に、過去のデータの使用であってもよい。 本発明の実施態様は、NAPE−PLD又はAbh4が、NAPE−PLD又はAbh4を発現するように一過的に又は安定的にトランスフェクションされている原核又は真核細胞を容器中培養することによって提供される方法である。従って、本発明のさらなる実施態様は、NAPE−PLD又はAbh4を発現又は過剰発現するように一過的に又は安定的に形質転換された細胞を使用することである。発現は、誘導性又は構成的であり得る。薬剤は、NAPE−PLD又はAbh4を発現又は過剰発現するように一過的に又は安定的に形質転換された培養細胞を含む容器へ薬剤を添加することによって、NAPE−PLD又はAbh4活性を調節するそれらの能力について試験され得る。 本発明の組換え発現ベクターは、宿主細胞における核酸の発現に好適な形態で核酸分子を含む。従って、本発明の組換え発現ベクターは、発現について使用される宿主細胞に基づいて選択された、1つ又はそれ以上の調節配列を含み得、これは、発現される核酸へ機能可能に連結されている。組換え発現ベクター内で、「機能可能に連結された」は、問題のヌクレオチド配列が、(例えば、インビトロ転写/翻訳系における、又はベクターが宿主細胞中へ導入される場合は宿主細胞における)該ヌクレオチド配列の発現を可能にする様式で調節配列へ連結されていることを意味するものとする。用語「調節配列」は、プロモーター、エンハンサー及び他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むものとする。このような調節配列は、例えば、Goeddel, Gene Expression Technology: Methods in Enzymology Vol. 185, Academic Press, San Diego, Calif. (1990) に記載されている。調節配列としては、多くのタイプの宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を指令するもの(例えば、組織特異的調節配列)が挙げられる。発現ベクターの設計は、形質転換される宿主細胞の選択、所望のタンパク質の発現レベルなどの因子に依存し得ることは、当業者によって正しく理解されよう。本発明の発現ベクターは、本明細書に記載される核酸によってコードされるタンパク質又はペプチドを産生するように宿主細胞中へ導入され得る。 用語「過剰発現」は、本明細書において使用される場合、ポリペプチドを通常発現しない細胞における、又はポリペプチドを通常発現する細胞における、ポリペプチドの発現の通常レベルよりも大きいレベルでの、細胞による、ポリペプチド、例えばアポトーシス又は細胞生存機構に関与し得る分子の発現を指す。例えば、ポリペプチドの発現は、ポリペプチドを通常発現する野生型、基底状態又は非誘導性細胞におけるポリペプチドの発現と比較した場合、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70、80%、90%、100%、又はそれ以上の差であり得る。問題のポリペプチドの突然変異体、変異体、又はアナログは、過剰発現され得る。 本明細書において使用される場合、用語「一過性」発現は、細胞の染色体から分離している外因性核酸分子の発現を指す。一過性発現は、一般的に、外因性核酸の導入の2〜3日後にその最大値に達し、続いて減少する。 本明細書において使用される場合、用語「安定」発現は、細胞の染色体の一部である外因性核酸分子の発現を指す。一般的に、遺伝子の安定発現のためのベクターは、1つ又はそれ以上の選択マーカーを含む。 形質転換された、形質転換されていない、初代培養及び生物学的サンプルについての細胞培養技術は、当技術分野においてよく知られている。生物学的サンプル又は培養細胞は、使用のために必要とされるまで保存され得る。培養のために使用される培地は、特別に設計されるか又は商業的供給源から購入され得る。 本発明の実施態様は、市販されている細胞株を使用する。例えば、使用され得る細胞は、American Tissue Culture Company又は他の供給源から入手可能である。細胞は、原核細胞又は真核細胞であり得る。本発明の範囲は、使用される細胞のタイプによって限定されない。初代培養物も利用され得る。未分化細胞は、細胞を特定の表現型へ分化させるために種々の薬剤へ供され得る。例えば、乏突起膠細胞に分化するように誘導される前駆細胞は、本発明の実施態様である。使用される特定の細胞型は、所望の細胞型によって特異的に発現されるマーカーによって、又は代わりに、特定のマーカーの消失によって、選択され得る。細胞は、当業者によって一般的に使用されているフローサイトメトリーなどの方法によって分離又はソートされ得る。 本発明の実施態様は、均一な細胞集団を使用する。本発明の代替の実施態様は、不均一な細胞集団を使用する。細胞は、本発明のアッセイを完成するための任意のタイプ及び任意の割合のものであり得る。 細胞は生物学的サンプルから得られ得る。生物学的サンプルとしては、組織又は流体、組織の切片、例えば、生検及び剖検サンプル、並びに組織学的目的で採取された凍結切片が挙げられ得るが、これらに限定されない。このようなサンプルとしては、血液、痰、組織、培養細胞、例えば初代培養物、外植片、及び形質転換細胞、糞便、尿などが挙げられる。生物学的サンプルは、哺乳動物、例えば霊長類、例えばチンパンジー、マカク若しくはヒト、ウシ、イヌ、ネコ、齧歯動物、例えばモルモット、ラット、マウス、ウサギ、又は鳥類、爬虫類、若しくは魚類を含む、真核生物から得られ得る。 本発明の実施態様は、ハイスループットスクリーニング(HTS)法における使用である。HTSは、疾患病理の生物学的機構又は側面をモデル化するように設計されたアッセイにおける何千もの異なる化合物の自動同時試験である。2つ以上の化合物、例えば、複数の化合物が、同時に、例えば1つのバッチにおいて、試験され得る。1実施態様において、用語HTSスクリーニング法は、選択の読出しに影響を及ぼす1つの化合物又は複数の化合物の能力を試験するアッセイを指す。 本発明の実施態様は、ロボット又はワークステーションデバイスを利用する。液体処理システム、分析装置、例えば蛍光リーダー又はシンチレーションカウンター、並びに細胞培養及びサンプル操作のためのロボット工学は、当技術分野において周知である。機械システム、例えばロボットアーム又は「チェリーピッキング」装置が、当業者に利用可能である。市販のプレートリーダーが、例えば、従来の96ウエル又は384ウエルプレートを分析するために利用可能である。所定のウエルを分析し生データレポートを作製する、単一サンプル、複数サンプル又はプレートサンプルリーダーが、利用可能である。生データは、種々の様式で変換され、提示され得る。 本発明の実施態様は、細胞及び他の材料、例えば培養培地を受容し得る、容器のアレイを含む。容器のアレイは、本発明の範囲内の細胞を保持するに好適な少なくとも1つ又は2つ以上の容器からの任意の数の容器であり得る。例としては、フラスコ、培養皿、チューブ、例えば1.5mlチューブ、12ウエルプレート、96ウエルプレート、384ウエルプレート、1536ウエルプレート、及び恐らく4000個の容器を有する小型マイクロタイタープレート(米国特許出願第20050255580号)が挙げられるが、これらに限定されない。容器のアレイは、保護カバーの追加に修正可能であり得、この場合、汚染物質の侵入又は内容物の蒸発を防止する。 容器のさらなる特徴は、容器が分析を可能にし得ることであり、非限定的な例としては、分光光度分析、シンチレーション計数及び蛍光測定が挙げられる。しかし、サンプルはさらなる分析へ修正可能な好適な容器に移され得ることを考えると、これは、本発明の範囲内で使用され得る容器に対する限定ではない。非限定的な例は、方法が容器の第2のアレイを提供することさらに含むように方法を変更することであり、ここで、容器の第1のアレイ由来のサンプルが容器の第2のアレイへ移される。 本発明のある実施態様は、NAPE−PLD又はAbh4の活性を修飾する薬剤を同定するためのアッセイシステムであって、(a)容器のアレイ;(b)NAPE−PLD又はAbh4;(c)ドナー部分及びクエンチャー部分を含む基質、ここで、ドナー部分が検出可能である;及び(d)少なくとも1つの成分、ここで、成分は、薬剤、インデューサー、インヒビター、モジュレーター、インデューサーのモジュレーター、インヒビターのモジュレーター、及びコントロールからなる群より選択される;を含むアッセイシステムである。 本発明の別の実施態様は、NAPE−PLD又はAbh4の活性を修飾する薬剤を同定するためのアッセイシステムであって、(a)容器のアレイ;(b)NAPE−PLD又はAbh4;(c)ドナー部分及びアクセプター部分を含む基質、ここで、ドナー部分又はアクセプターアクセプター部分又は両方が検出可能である;及び(d)少なくとも1つの成分、ここで、成分は、薬剤、インデューサー、インヒビター、モジュレーター、インデューサーのモジュレーター、インヒビターのモジュレーター、及びコントロールからなる群より選択される;を含むアッセイシステムである。 本発明の実施態様は、NAPE−PLD又はAbh4の活性又は特異性を修飾する成分である。成分は、コントロール、薬剤、インデューサー、インヒビター、モジュレーター、インデューサーのモジュレーター、及びインヒビターのモジュレーターからなる群より選択される。アッセイシステムは、2つ以上の成分を有し得る。 本発明のさらなる実施態様は、アッセイシステムの少なくとも1つの要素と使用説明書とを含むキットである。従って、アッセイシステムの成分は、別々に提供され得、又は一緒に、例えばキット中に、提供され得る。アッセイシステムの成分は、個々の成分の安定性を最大化する方法に従って、作製され、キット中に含まれ得る。このような方法は、当業者によく知られている。例えばアッセイシステムの細胞は、懸濁液として提供され得るか、又は凍結乾燥され得る。アッセイシステムのさらなる成分、例えば緩衝液、アッセイ成分を混合するための容器、例えばマイクロタイタープレート又は試験管も含まれ得る。アッセイシステムは、アッセイを行うための説明書並びにデータ処理及び解釈についての説明書を含むキットの形態で提供され得る。 本発明の実施態様は、治療有効量の本発明の方法によって同定された薬剤と薬学的に許容される担体とを含む、NAPE−PLD又はAbh4の調節のための薬剤組成物である。用語「治療有効量」は、患者(subject)又は哺乳動物における疾患又は障害を治療するに有効な薬剤の量を指す。非限定的な例として、肥満の症例では、治療有効量の薬物は、体重を減少させ得る。本発明の薬剤組成物は、他の治療剤と組み合わせて使用され得る。例えば、肥満の治療において、薬剤組成物は、他の食欲抑制剤と組み合わせて投与され得る。 下記の実施例において本発明をさらに説明するが、これらは、特許請求の範囲に記載される本発明の範囲を限定するものではない。当業者が製造し及び使用するのに十分詳細に本発明を説明し及び例証しているが、一方種々の代替、修飾、及び改良が本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく理解できる。当業者は、目標を達成し、言及した目的及び利点、さらにそれに内在する目的及び利点を得るために、本発明をうまく適合させることを容易に正しく理解する。下記の実施例は、実施態様の説明であり、本発明の範囲に関する限定として意図されていない。それらに関する修飾及び他の使用は、当業者に思い浮かび得る。これらの修飾は、本発明の趣旨内に包含され、特許請求の範囲によって画定される。本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、種々の置換及び修飾を、本明細書に開示した本発明に対して為すことが可能である。 本明細書において例示的に記載した本発明を、本明細書に具体的に開示していない任意の一つ又は複数の要素、一つ又は複数の限定の非存在下において実施することができる。用いられている用語及び表現は説明の用語として使用されており、かつ限定するものではなく、このような用語及び表現の使用において、明らかにし、開示した本特徴又はその部分のいかなる均等物をも排除する意図はなく、しかし、種々の修飾が特許請求される本発明の範囲内で可能なはずである。従って、本発明は実施態様及び場合による特徴によって具体的に開示されているが、本明細書に開示された概念の修飾及び変更が当業者によってなされ得ること、並びにこのような修飾及び変更は添付の特許請求の範囲によって画定される本発明の範囲内にあると考えられることが当然のことと理解すべきである。実施例1NAPE−PLD酵素の作製: NAPE−PLDを大腸菌及び哺乳動物細胞中で発現させた。NAPE−PLDの活性が比較的低いこと及び大量のタンパク質がハイスループットスクリーニングに必要とされることのために、哺乳動物発現系は良い選択ではなかった。HTSをサポートするための大量のタンパク質を得るために、本発明者は、大腸菌及びバキュロウィルス/昆虫細胞系中においてNAPE−PLDの発現を試験した。大腸菌中において発現されたNAPE−PLDは、バキュロウィルス/昆虫細胞中において発現されたタンパク質と比べて、より低い溶解性、より低い特異的活性、及びより低い発現レベルしか有していなかった。従って、本発明者は、HTSをサポートする発現系としてバキュロウィルス/昆虫細胞を選択した。pDEST8.1ベクター(Invitrogen)を使用し、昆虫細胞中においてC末端6xHisタグを有するNAPE−PLDを発現させた(配列番号1)。この発現系は、金属キレートクロマトグラフィーを通して高純度で大量のNAPE−PLDを生成することを可能にした。 NAPE−PLDの配列は前述した(配列番号2)。C末端Hisタグを有するタンパク質(MW 49kDa)を発現させ、これをトリトン X−100の存在下で昆虫細胞から可溶性活性形態で精製した。発現した酵素は、46個のアミノ酸だけN末端で切り詰められているとわかった(配列番号3)。実施例2一般アッセイパラメータ: 一般アッセイ条件は、以下の材料の以下の最終濃度を使用した:NAPE−PLD 14nM、PED6(基質)10μM、テスト化合物10μM、DMSO 1%。PED6を凍結乾燥粉末として購入し(表1参照)、−20℃で保存した。新鮮な基質溶液を毎日調製した。PED6 1mgを酢酸エチル0.88mlに溶解し、アッセイ緩衝液43.12ml中に希釈し、20μM ワーキング溶液を作製した。光感受性であるので、PED6は直射日光を避けなければならなかった。 テスト化合物を適切な緩衝液に希釈した。非限定的な例は、50mM Tris−HCl,pH8.0であり、該緩衝液は、DMSO、例えば10%DMSOを含有する場合があった。アッセイ緩衝液は、50mM Tris−HCl,pH8.0、0.05%トリトン X−100であり、停止液は、0.4M HCl、0.05%トリトン X−100であった。 試薬の添加順序、及び使用した装置: 1)酵素(NAPE−PLD、22μM)をアッセイ緩衝液で28nMに希釈した。 2)基質を調製した(アッセイ緩衝液中20μM)。 3)NAPE−PLD 10μlを、FLEXDROPを使用して、アッセイプレートに添加した。 4)化合物(化合物プレートからの)2μlを、Cy−Bioを使用して、アッセイプレートの適切なウエルに添加した。 5)室温で30分間、カバーした状態で、プレートをインキュベートした(化合物プレインキュベート)。 6)PED6 10μlを、FLEXDROPを使用して、アッセイプレートに添加した。 7)室温で30分間、カバーした状態で、プレートをインキュベートした(酵素反応)。 8)FLEXDROPを使用して停止液20μlを添加することによって、反応を停止させた。 9)LJL Acquestで読み取った。励起フィルター、485nM;発光フィルター、530nM。実施例3基質(PED6)溶媒の最適化: PED6及びNAPE−PLDの他の可能性ある基質は脂質であるので、それらは非常に疎水性である。従って、水性アッセイ緩衝液を添加する前に、クロロホルムに基質を溶解することは合理的であった。本発明者は、水溶液中のPED6の溶解性をさらに高めるために、トリトン X−100を0〜0.05%添加した。さらに、高濃度のトリトン X−100も、NAPE−PLDの活性を高めると報告されていた(0.2%まで)(Petersen and Hansen, FEBS Lett. 455:41-44, 1999)。これらの基質溶媒条件下では、アッセイは機能しなかった(表2参照)。 どのようにして基質を適切に調製するかという問題のさらなる研究のために、本発明者は、他のPLDについてのアッセイ条件を調べた。1つの論文では、PLDの疎水性脂質基質が使用され、これらは、クロロホルムに溶解し、次いでクロロホルムに溶解したホスファチジルイノシトール/ホスファチジルコリン(PI/PC)ブレンドと混合された(Petry et al., J. Lipid Res. 46:603-614, 2005)。次いで、最終混合物を乾燥した。混合物を水性緩衝液に再懸濁するために、超音波処理を必要とした。この手順に続いて、アッセイは検出可能なシグナルを与え始めたが、シグナル対バックグラウンド比は低かった。水性アッセイ緩衝液にトリトン X−100を添加することによって、シグナル対バックグラウンド比が増加したが、アッセイノイズも増加した(図4)。このようなノイズの多いアッセイは、ハイスループットスクリーニングに適さなかった。 水性緩衝液中における疎水性脂質基質の溶解性を高めるために3つの方法があった:有機溶媒(例えば、クロロホルム)、脂質(例えば、PI及びPC)、又は洗浄剤(例えば、トリトン X−100)。最初の溶解において使用した有機溶媒クロロホルムは最終的にタンパク質を損傷するので、本発明者は、水性緩衝液を添加する前にクロロホルムを乾燥除去なければならなかった。本発明者は、より「タンパク質親和性」の有機溶媒、例えば酢酸エチルを使用すれば、それは、タンパク質を損傷することなく水性アッセイ緩衝液中に残り得、疎水性脂質基質の溶解性を高めるのに役立ち得ると仮説を立てた。この理論に基づいて、本発明者は、疎水性脂質基質を溶解するために酢酸エチルを使用し、次いで、酢酸エチルを乾燥除去することなく、トリトン X−100を0〜0.1%含有する水性緩衝液を添加した。このアッセイ戦略は良好に機能した(表2を参照のこと)。しかし、トリトン X−100ワーキング濃度についてのシグナル対バックグラウンド検出ウィンドウは制限された。低いトリトン X−100濃度下において、疎水性脂質基質は完全には可溶性でなく、NAPE−PLD酵素に利用可能でなく、従ってシグナル対バックグラウンド比は小さかった。トリトン X−100の濃度を増加させることによって、酵素に対する基質の利用可能性を高め、より高いシグナル対バックグラウンド比が得られた。しかし、トリトン X−100濃度をさらに高めると、非常に高いバックグラウンド蛍光が生じ、従ってシグナル対バックグラウンド比が低下した(図5)。従って、最適な基質調製条件について、本発明者は条件5を選択した(表2)。実施例4基質及び酵素滴定: 基質滴定について、基質濃度を5μMから10μMに増加させるにつれて、検出ウィンドウはほぼ二倍になり、一方、バックグラウンドシグナルは一定のままであった(図6)。最新の緩衝液条件(トリトン X−100 0.05%)下での最大蛍光シグナルを見出すために、高濃度の酵素(1:100)を使用した。 酵素滴定について、NAPE−PLDを、1:100から1:6400へ連続希釈した(図7)。反応を、PED6を10μMの最終濃度まで添加することによって開始させた。反応体積は20μlであった。蛍光強度を2分毎に測定した。これらの結果に基づいて、14nM酵素(1:1600)及び30分の反応時間を、さらなる実験用に選択した。実施例5NAPE−PLDについてのKm測定: 3.9μMのKm及び4.46×104FU/分/μgタンパク質のVmaxについての値(図8)を測定した。使用するタンパク質の量についてVmax値を正規化した。競合的インヒビターを含む、種々の作用様式を有するインヒビターを同定することができるように、本発明者は、測定されたKm値に近い濃度である5μMの濃度から基質滴定を開始することを選択し、10μM基質濃度が、シグナル対バックグラウンド比とインヒビターに対する感度との最良の組み合わせを提供することがわかった。さらに、NAPE−PLDアッセイ条件についての以下のパラメータは:14nM酵素、10μM基質、反応時間20μl体積中30分である。実施例6DMSO感度: 多くのケミカルライブラリーはDMSO中のストック溶液として維持されているので、本発明者は、DMSOに対するアッセイの感度を試験した(図9)。アッセイは、DMSOにいくぶん感受性であったが、DMSOは十分に許容された。実施例7典型的なIC50曲線: NAPE−PLDの公知のインヒビターはない。従って、アッセイのバリデーションの間、NAPE−PLDを阻害するとわかった化合物を、アッセイにおける用量反応活性を実証するために使用した(図10)。一次アッセイにおける一般的な「偽陽性」効果は、ミセル崩壊性化合物に起因することが予想され、何故ならば、疎水性基質は、溶解性について、緩衝液中の洗浄剤に非常に依存性であるためである。トリトン X−100がアッセイ緩衝液中に存在しない場合、基質蛍光は非常に低く、この効果により陽性化合物とよく似ることがあった。このような「偽陽性」を確認するために、化合物及び基質の存在下でしかし酵素の非存在下で蛍光を測定し、化合物がトリトン X−100の存在下で基質の蛍光強度に干渉するかどうかを測定することができる。実施例8Abh4の調製及び基質としてのPED6の試験 pcDNA3.1zeo_DESTベクターを使用して、一過性発現のための懸濁細胞株であるFreeStyle293F細胞(Invitrogen)で、ヒトAbh4をクローニングし及び発現させた。pcDNA3.1zeo_DESTは、pcDNA3.2zeo(Invitrogen)の修飾ベクターである。Abh4コード配列を含有するpcDNA3.1zeo_DESTベクターを、配列番号4に開示する。Abh4を、C末端Hisタグと共に発現した(配列番号5)。粗溶解物の一部をPED6の加水分解について試験し、これは蛍光を生じた。トランスフェクト細胞からの溶解物(75μgタンパク質)を、最終体積100μL中にトリトン X−100(基質を可溶化させるため)を0.05%含有するTris HCl緩衝液(pH7.6)中のPED6(最終アッセイ濃度5μM)の溶液に添加した。96ウエルブラックプレート中の反応を、励起及びトップからの読み取り(励起波長488nm、発光波長520nm)で、蛍光プレートリーダーGemini(SpectraMax)で連続的にモニタリングした。トランスフェクションされていないFreeStyle293F細胞の溶解物(75μgタンパク質)を、コントロールとして使用した。これらの条件下で、19倍より高い割合が、コントロール溶解物と比べてトランスフェクト細胞由来の溶解物で観察され、このことは、存在するAbh4が基質PED6を効率的に加水分解していることを示唆している(図12)。この知見をさらに検証するために、インヒビターMAFP(メチルアラキドニルフルオロホスホネート)を使用した。5.34μMの濃度で、このインヒビターは、観察された活性の>95%阻害を示し、Simon及びCravatt(2006)の知見と一致した。 Abh4による及びNAPE−PLDによるPED6の加水分解の生産物が異なることを確認するために、薄層クロマトグラフィー(TLC)を行った。酢酸エチルで抽出した酵素反応混合物のクロロホルム:メタノール:アンモニア系を使用してのシリカゲルでのTLCによって、反応生成物が異なることが示された。 NAPE−PLD又はAbh4の活性を修飾する薬剤を同定する方法であって、 a)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器にNAPE−PLD又はAbh4を添加すること; b)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器に薬剤を添加すること; c)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器に基質を添加すること、ここで基質はドナー部分及びクエンチャー部分を含み、ここでドナー部分とクエンチャー部分との分子内近接が、クエンチされた検出可能なシグナルを生じさせる; d)所定の期間の間、容器のアレイ中、薬剤、NAPE−PLD又はAbh4及び基質をインキュベートすること; e)容器のアレイ中、NAPE−PLD又はAbh4によって基質からクエンチャー部分を除去した後の、ドナー部分からの検出可能なシグナルの量を測定すること;及び f)薬剤、基質及びNAPE−PLD又はAbh4を含む第1の容器の検出可能なシグナルな量と、基質及びNAPE−PLD又はAbh4を含む第2の容器の検出可能なシグナルな量とを比較することを含み、 それによって、差が所定の閾値を超える場合、上記薬剤を修飾剤として同定する、方法。 NAPE−PLD又はAbh4の活性を修飾する薬剤を同定する方法であって、 a)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器にNAPE−PLD又はAbh4を添加すること; b)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器に薬剤を添加すること; c)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器に基質を添加すること、ここで基質はドナー部分及びクエンチャー部分を含み、ここでドナー部分とクエンチャー部分との分子内近接が、クエンチされた検出可能なシグナルを生じさせる; d)第1の時点で、容器のアレイ中NAPE−PLD又はAbh4によって基質からクエンチャー部分を除去した後の、ドナー部分からの検出可能なシグナルの量を測定すること; e)所定の期間の間、容器のアレイ中薬剤、NAPE−PLD又はAbh4及び基質をインキュベートすること; f)第2の時点で、容器のアレイ中NAPE−PLD又はAbh4によって基質からクエンチャー部分を除去した後の、ドナー部分からの検出可能なシグナルの量を測定すること;及び g)第1の時点での検出可能なシグナルの量と第2の時点での検出可能なシグナルの量とを比較することを含み、 それによって、差が所定の閾値を超える場合、上記薬剤を修飾剤として同定する、方法。 NAPE−PLD又はAbh4の活性を修飾する薬剤を同定する方法であって、 a)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器にNAPE−PLD又はAbh4を添加すること; b)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器に薬剤を添加すること; c)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器に基質を添加すること、ここで基質はドナー部分及びアクセプター部分を含む; d)所定の期間の間、薬剤、NAPE−PLD又はAbh4及び基質をインキュベートすること; e)検出可能なシグナルの量を測定すること、ここで測定される検出可能なシグナルは、ドナー部分、アクセプター部分、ドナー部分のアクセプター部分に対する比率、及びドナー−アクセプター部分複合体からなる群より選択される;及び f)薬剤、基質及びNAPE−PLD又はAbh4を含む第1の容器の検出可能なシグナルな量と、基質及びNAPE−PLD又はAbh4を含む第2の容器の検出可能なシグナルな量とを比較することを含み、 それによって、差が所定の閾値を超える場合、上記薬剤を修飾剤として同定する、方法。 NAPE−PLD又はAbh4の活性を修飾する薬剤を同定する方法であって、 a)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器にNAPE−PLD又はAbh4を添加すること; b)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器に薬剤を添加すること; c)容器のアレイ中の少なくとも1つの容器に基質を添加すること、ここで基質はドナー部分及びアクセプター部分を含む; d)第1の時点で、検出可能なシグナルの量を測定すること、ここで測定される検出可能なシグナルは、ドナー部分、アクセプター部分、ドナー部分のアクセプター部分に対する比率、及びドナー−アクセプター部分複合体からなる群より選択される; e)所定の期間の間、薬剤、NAPE−PLD又はAbh4及び基質をインキュベートすること; f)第2の時点で、検出可能なシグナルの量を測定すること、ここで測定される検出可能なシグナルは、ドナー部分、アクセプター部分、ドナー部分のアクセプター部分に対する比率、及びドナー−アクセプター部分複合体からなる群より選択される;及び g)第1の時点での検出可能なシグナルの量と第2の時点での検出可能なシグナルの量とを比較することを含み、 それによって、差が所定の閾値を超える場合、上記薬剤を修飾剤として同定する、方法。 検出可能なシグナルを蛍光共鳴エネルギー移動によって測定する、請求項3又は4に記載の方法。 工程cの前に所定の期間の間、薬剤及びNAPE−PLD又はAbh4のインキュベーションをさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 工程a、b及びcが任意の順序で行われ得るか又は一緒に行われ得る、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 少なくとも1つのコントロールをさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 少なくとも1つのインヒビター、インデューサー又はモジュレーターをさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 基質がPED6である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 PED6を酢酸エチルに溶解する、請求項10に記載の方法。 溶解されたPED6を、トリトン X−100を約0.005〜0.1%含む緩衝液に添加する、請求項11に記載の方法。 緩衝液がトリトン X−100を約0.05%含む、請求項12に記載の方法。 検出可能なシグナルが、蛍光色素、発色団、酵素、リンカー部分、ビオチン、電子供与体、電子受容体、色素、金属、及び放射性核種からなる群より選択される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 ドナー部分及びクエンチャー部分が、BODIPY/DNP、ローダミン/DNP及びCy色素/DNPからなる群より選択される、請求項1又は2に記載の方法。 ドナー部分及びアクセプター部分が、テキサスレッド及びフルオレセイン、BODIPY及びフルオレセイン、ユーロピウム及びアロフィコシアニン(allophcocyamin)(APC)、シアン蛍光タンパク質/黄色蛍光タンパク質、並びに緑色蛍光タンパク質/青色蛍光タンパク質からなる群より選択される、請求項3又は4に記載の方法。 工程aにおけるNAPE−PLD又はAbh4を、NAPE−PLD又はAbh4を発現するように一過的に又は安定的にトランスフェクションされた原核又は真核細胞を容器中培養することによって得る、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 NAPE−PLD又はAbh4を、生物学的サンプルからの、又はNAPE−PLD又はAbh4を発現するように一過的に又は安定的にトランスフェクションされた細胞からの単離後に得る、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 生物学的サンプルが、ヒト、サル、ラット、マウス、ウサギ、及びモルモットからなる群より選択される哺乳動物由来である、請求項18に記載の方法。 1つ又はそれ以上の工程をロボット又はワークステーションデバイスによって行う、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 NAPE−PLD又はAbh4の活性を修飾する薬剤を同定するためのアッセイシステムであって、 a)容器のアレイ; b)NAPE−PLD又はAbh4; c)ドナー部分及びクエンチャー部分を含む基質、ここでドナー部分が検出可能である;及び d)少なくとも1つの成分、ここで成分は、薬剤、インデューサー、インヒビター、モジュレーター、インデューサーのモジュレーター、インヒビターのモジュレーター、及びコントロールからなる群より選択されるを含む、アッセイシステム。 NAPE−PLD又はAbh4の活性を修飾する薬剤を同定するためのアッセイシステムであって、 a)容器のアレイ; b)NAPE−PLD又はAbh4; c)ドナー部分及びアクセプター部分を含む基質、ここでドナー部分又はアクセプター部分又は両方が検出可能である;及び d)少なくとも1つの成分、ここで成分は、薬剤、インデューサー、インヒビター、モジュレーター、インデューサーのモジュレーター、インヒビターのモジュレーター、及びコントロールからなる群より選択されるを含む、アッセイシステム。 請求項21又は請求項22に記載のアッセイシステムの少なくとも1つの要素と使用説明書とを含むキット。 本発明は、N−アシルホスファチジルエタノールアミン−加水分解ホスホリパーゼD(NAPE−PLD)酵素又はα/βヒドロラーゼ4(Abh4)酵素の活性を修飾する薬剤の検出方法を提供する。開示の方法は、ハイスループットスクリーニング応用に適しているアッセイ形式で構成される。 配列表