タイトル: | 特許公報(B2)_免疫賦活剤 |
出願番号: | 2010508257 |
年次: | 2014 |
IPC分類: | A61K 38/00,A61K 31/135,A61P 37/04,A61P 31/00,A61P 1/12,A61P 35/00,A61P 1/04,A61P 37/08 |
小寺 智博 江藤 譲 峯 芳徳 JP 5533648 特許公報(B2) 20140509 2010508257 20090417 免疫賦活剤 味の素株式会社 000000066 川口 嘉之 100100549 佐貫 伸一 100126505 丹羽 武司 100131392 小寺 智博 江藤 譲 峯 芳徳 JP 2008108063 20080417 20140625 A61K 38/00 20060101AFI20140605BHJP A61K 31/135 20060101ALI20140605BHJP A61P 37/04 20060101ALI20140605BHJP A61P 31/00 20060101ALI20140605BHJP A61P 1/12 20060101ALI20140605BHJP A61P 35/00 20060101ALI20140605BHJP A61P 1/04 20060101ALI20140605BHJP A61P 37/08 20060101ALI20140605BHJP JPA61K37/02A61K31/135A61P37/04A61P31/00A61P1/12A61P35/00A61P1/04A61P37/08 A61K 38/00−38/58 A61K 31/135 CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 国際公開第07/055393(WO,A1) 国際公開第07/055388(WO,A1) 国際公開第98/042363(WO,A1) 特開平11−292737(JP,A) 国際公開第07/027548(WO,A1) 日本栄養・食糧学会総会講演要旨集,2004年 4月 1日,Vol.58th,p116,2E−10p フレグランス ジャーナル,1987年,Vol.15,No.82,p63−66 2 JP2009057721 20090417 WO2009128523 20091022 15 20120417 小森 潔 本発明は、免疫賦活剤に関し、医薬及び食品分野等において利用できる。 グルタチオン、シナカルセット及びγ−グルタミルバリン、並びにその誘導体又は類似体等の化合物は、カルシウムセンシング受容体(Calcium Sensing Receptor:CaSR)を活性化する作用を有し、これらのCaSRアゴニストは内科系疾患治療剤として利用できることが示唆されている(特許文献1)。 また、グルタチオンを含むインフルエンザウイルスの感染・予防組成物が知られている(特許文献2)。 しかしながら、CaSRアゴニストが免疫を顕著に賦活し得ることは知られていない。WO2007/055388号国際公開パンフレットWO98/30228号国際公開パンフレット 本発明は、免疫を有効に賦活することができる免疫賦活剤、及びそれを含む飲食品を提供することを課題とする。 本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、カルシウム受容体活性化剤であるシナカルセット及びγ−グルタミルバリン等の化合物が免疫賦活作用を有することを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち本発明は以下のとおりである。(1)カルシウム受容体活性化剤を含む免疫賦活剤。(2)カルシウム受容体活性化剤が、γ−Glu−X−Gly(XはCysを除くアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ−Glu−Val−Y(Yはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ−Glu−Ala、γ−Glu−Gly、γ−Glu−Met、γ−Glu−Thr、γ−Glu−Val、γ−Glu−Orn、Asp−Gly、Cys−Gly、Cys−Met、Glu−Cys、Gly−Cys、Leu−Asp、γ−Glu−Met(O)、γ−Glu−γ−Glu−Val、γ−Glu−Val−NH2、γ−Glu−Val−ol、γ−Glu−Ser、γ−Glu−Tau、γ−Glu−Cys(S−Me)(O)、γ−Glu−Leu、γ−Glu−Ile、γ−Glu−t−Leu、γ−Glu−Cys(S−Me)、2価又はそれ以上のカチオン、プロタミン、ポリリジン、スペルミン、スペルミジン、プトレシン、シナカルセット、シナカルセット類縁化合物、及びそれらの塩からなる群から選択される、前記免疫賦活剤。(3)前記XがCys(SNO)、Cys(S−allyl)、Gly、Cys(S−Me)、AbuまたはSerであり、前記YがGly、Val、Glu、Lys、Phe、Ser、Pro、Arg、Asp、Met、Thr、His、Orn、Asn、CysまたはGlnである、前記免疫賦活剤。(4)前記カルシウム受容体活性化剤が、γ−Glu−Valまたはシナカルセットである、前記免疫賦活剤。(5)感染症、下痢、ポリープ、腫瘍、腸炎、又はアレルギーの治療もしくは予防のための医薬として用いられる、前記免疫賦活剤。(6)γGlu−Valまたはシナカルセットを0.000000001質量%以上含む、免疫賦活のための飲食品。(7)免疫賦活剤の製造のためのカルシウム受容体活性化剤の使用。(8)カルシウム受容体活性化剤が、γ−Glu−X−Gly(XはCysを除くアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ−Glu−Val−Y(Yはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ−Glu−Ala、γ−Glu−Gly、γ−Glu−Met、γ−Glu−Thr、γ−Glu−Val、γ−Glu−Orn、Asp−Gly、Cys−Gly、Cys−Met、Glu−Cys、Gly−Cys、Leu−Asp、γ−Glu−Met(O)、γ−Glu−γ−Glu−Val、γ−Glu−Val−NH2、γ−Glu−Val−ol、γ−Glu−Ser、γ−Glu−Tau、γ−Glu−Cys(S−Me)(O)、γ−Glu−Leu、γ−Glu−Ile、γ−Glu−t−Leu、γ−Glu−Cys(S−Me)、2価又はそれ以上のカチオン、プロタミン、ポリリジン、スペルミン、スペルミジン、プトレシン、シナカルセット、シナカルセット類縁化合物、及びそれらの塩からなる群から選択される前記使用。(9)前記XがCys(SNO)、Cys(S−allyl)、Gly、Cys(S−Me)、AbuまたはSerであり、前記YがGly、Val、Glu、Lys、Phe、Ser、Pro、Arg、Asp、Met、Thr、His、Orn、Asn、CysまたはGlnである、前記使用。(10)前記カルシウム受容体活性化剤が、γ−Glu−Valまたはシナカルセットである、前記使用。(11)感染症、下痢、ポリープ、腫瘍、腸炎、又はアレルギーの治療もしくは予防のための医薬の製造のための前記カルシウム受容体活性化剤の使用。(12)カルシウム受容体活性化剤を、免疫の賦活が必要な対象に投与することを含む、免疫賦活方法。(13)カルシウム受容体活性化剤が、γ−Glu−X−Gly(XはCysを除くアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ−Glu−Val−Y(Yはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ−Glu−Ala、γ−Glu−Gly、γ−Glu−Met、γ−Glu−Thr、γ−Glu−Val、γ−Glu−Orn、Asp−Gly、Cys−Gly、Cys−Met、Glu−Cys、Gly−Cys、Leu−Asp、γ−Glu−Met(O)、γ−Glu−γ−Glu−Val、γ−Glu−Val−NH2、γ−Glu−Val−ol、γ−Glu−Ser、γ−Glu−Tau、γ−Glu−Cys(S−Me)(O)、γ−Glu−Leu、γ−Glu−Ile、γ−Glu−t−Leu、γ−Glu−Cys(S−Me)、2価又はそれ以上のカチオン、プロタミン、ポリリジン、スペルミン、スペルミジン、プトレシン、シナカルセット、シナカルセット類縁化合物、及びそれらの塩からなる群から選択される、前記免疫賦活方法。(14)前記XがCys(SNO)、Cys(S−allyl)、Gly、Cys(S−Me)、AbuまたはSerであり、前記YがGly、Val、Glu、Lys、Phe、Ser、Pro、Arg、Asp、Met、Thr、His、Orn、Asn、CysまたはGlnである、前記免疫賦活方法。(15)前記カルシウム受容体活性化剤が、γ−Glu−Valまたはシナカルセットである、前記免疫賦活方法。(16)前記カルシウム受容体活性化剤を、感染症、下痢、ポリープ、腫瘍、腸炎、又はアレルギーを有する患者に投与することを含む、感染症、下痢、ポリープ、腫瘍、腸炎、又はアレルギーの治療もしくは予防の方法。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明の免疫賦活剤は、カルシウム受容体活性化剤を有効成分として含む。 カルシウム受容体活性化剤は、カルシウム受容体活性化作用を有するペプチド又は低分子化合物であることが好ましい。<1>カルシウム受容体活性化剤 本明細書中において「カルシウム受容体」とは、カルシウムセンシング受容体、又はCalcium Sensing Receptor(CaSR)と呼ばれる、7回膜貫通型受容体のクラスCに属するものを指す。本明細書中において「カルシウム受容体活性化剤」(以下、「CaSR活性化剤」と記載することがある)には、上記CaSRに結合し、CaSRを活性化し、CaSRを発現している細胞の機能を調節する物質(以下、「CaSR作動薬」ともいう)、及び、CaSR活性を拡張する働きをする物質(以下、「CaSRモジュレータ」ともいう)を含む。また、本明細書中において「CaSRの活性化」とは、カルシウム受容体にリガンドが結合し、グアニンヌクレオチド結合タンパク質を活性化して、シグナルを伝達することを意味する。また、カルシウム受容体がこのシグナルを伝達することを「CaSR活性」という。 CaSR活性化剤は、例えば以下に示すスクリーニング法により取得することかできるが、これらの方法に限定されるものではない。尚、CaSR活性化剤及びそのスクリーニング方法は、WO2007/055388号国際公開パンフレットにも詳述されている。 CaSR作動薬及びモジュレータは、CaSRを発現する細胞を用いて、被検物質によるCaSRの活性化の有無を調べることにより、スクリーニングすることができる。 CaSRの活性化の有無は、これに結合する物質(リガンド)、CaSRの活性を調節するシグナルとの反応を阻害する物質、CaSRにリガンドが結合することにより発生するシグナルを伝達する物質(セカンドメッセンジャー等)等の量を測定することで調べることができる。例えば、CaSRにCa2+等のリガンドが結合することによって発生するセカンドメッセンジャーを検出することによって、CaSRの活性化を検出することができる。また、既知のリガンドを標識したものを用い、標識リガンドとCaSRとの結合を測定することによっても、CaSRの活性化を検出することができる。 CaSRは、リガンドが結合することによりGTP結合蛋白質(G蛋白質ともいう。Gi、Gq等)に作用し、cAMP等のセカンドメッセンジャーを介して細胞の諸機能を制御している。このうち、Gqの活性化によっては、細胞内カルシウム濃度が上昇する。また、シグナル伝達における細胞内カルシウム濃度上昇の下流には、カルモジュリンやプロテインキナーゼCやアデニレートサイクレース等の細胞内酵素の活性化や細胞質・膜蛋白のリン酸化による急性期の機能調節がある。したがって、被検物質を、CaSRを発現する細胞に接触させ、細胞内カルシウム濃度、cAMPの細胞内蓄積量の測定値等を指標にしてG蛋白質の活性化をみることによって、被検物質によるCaSRの活性化の有無を検出することができる。 スクリーニングに用いられるCaSRを発現する細胞は、例えば、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ウサギ、イヌ、サル、ヒト等の哺乳動物、ニワトリ等の鳥類などの動物に由来する細胞であり得る。また、CaSRは、その由来は特に制限されず、上記動物のCaSRが挙げられる。具体的には、GenBank Accession No NM_000388で登録されているヒトCaSR遺伝子によってコードされるヒトCaSRが好ましく例示できる。尚、CaSRは、上記配列の遺伝子によってコードされるタンパク質に制限されず、CaSR機能を有するタンパク質をコードする限りにおいて、上記配列と60%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上、特に好ましくは98%以上の相同性を有する遺伝子によってコードされるタンパク質であってもよい。GPRC6A受容体や5.24受容体もまたCaSRのサブタイプとして知られており、以下の方法において利用可能である。 スクリーニングにおける被検物質は、いかなる公知化合物及び新規化合物であってもよく、例えば、核酸、糖質、脂質、タンパク質、ペプチド、有機低分子化合物、コンビナトリアルケミストリー技術を用いて作製された化合物ライブラリー、固相合成やファージディスプレイ法により作製されたランダムペプチドライブラリー、あるいは微生物、動植物、海洋生物等由来の天然成分等が挙げられる。 スクリーニングの第1の方法(以下、「方法A」ともいう。)は、例えば、以下の工程(a)、(b)及び(c)を含む:(a)被検物質とCaSRを発現する細胞とを接触させる工程、(b)被検物質に接触させた細胞におけるG蛋白質の活性化を測定し、該活性化を被検物質に接触させない対照細胞における活性化と比較する工程、(c)上記(b)の比較結果に基づいて、CaSRを活性化し得る物質を選択する工程。 上記スクリーニング方法の工程(a)では、CaSRを発現する細胞が被検物質と接触条件下におかれる。該細胞に対する被検物質の接触は、培養培地中で行われ得る。培養培地は、用いられる細胞の種類などに応じて適宜選択される。 工程(b)では、まず被検物質の存在下、CaSRを発現する細胞におけるG蛋白質の活性化が評価される。次いで該活性化を、被検物質の非存在下での活性化と比較する。ここで、G蛋白質の活性化を測定する指標としては、細胞内カルシウム濃度、細胞内cAMP量などが挙げられる。 工程(c)において、活性化の比較は、例えば、有意差の有無に基づいて行われる。評価の結果、被検物質の非存在下に対して被検物質の存在下で、活性化の上昇・拡張が確認できれば、その被検物質はCaSR作動薬と判定され得る。 また、CaSRモジュレータをスクリーニングする場合は、上記工程(a)で、被検物質およびCaSR作動薬を、CaSRを発現する細胞と接触させ、(b)において、被検物質の存在下でCaSR作動薬を細胞へ接触させた場合におけるG蛋白質の活性化と、被検物質の非存在下でCaSR作動薬を細胞へ接触させた場合におけるG蛋白質の活性化とを比較し、(c)において、G蛋白質の活性化を拡張した物質を、CaSRモジュレータとして選択してもよい。 CaSR作動薬又はモジュレータのスクリーニングの第2の方法は、例えば、以下の工程(a)、(b)及び(c)を含む:(a)CaSRを発現する細胞に、被検物質及びCaSRに作用するリガンドを接触させる工程、(b)当該細胞の細胞膜に結合したリガンドの量を測定し、該リガンドの量を被検物質に接触させない対照細胞におけるリガンドの量と比較する工程、(c)上記(b)の比較結果に基づいて、CaSRを活性化し得る物質を選択する工程。 上記スクリーニング方法の工程(a)では、CaSRを発現する細胞が被検物質及びCaSRに作用するリガンドと接触条件下におかれる。該細胞に対する被検物質及びCaSRに作用するリガンドの接触は、培養培地中で行われ得る。培養培地は、用いられる細胞の種類などに応じて適宜選択される。 工程(b)では、まず被検物質の存在下、CaSRを発現する細胞の細胞膜に結合したリガンドの量が評価される。次いでリガンドの量を、被検物質の非存在下でのリガンドの量と比較する。結合したリガンドの量は、例えば、放射標識リガンド等を用いることで、測定することができる。 工程(c)において、リガンドの量の比較は、例えば、有意差の有無に基づいて行われる。評価の結果、被検物質の非存在下に対して被検物質の存在下で、リガンド結合量の減少が確認できれば、その被検物質はCaSR作動薬又はCaSRモジュレータと判定され得る。 さらに、リガンド結合量の減少が確認できた物質について、前述のスクリーニング方法Aにより、CaSR作動薬であることを確認することができる。 CaSRに作用するリガンドとしては、特に限定されないが、例えばCa2+やシナカルセット等が挙げられる。 以下に、CaSRを発現する細胞(CaSRを機能可能な状態で保持する細胞)を用いた、免疫賦活物質を検出する具体的な方法(1)〜(3)を例示する。(1)以下の工程(a)、(b)及び(c)を含む方法:(a)被検物質とCaSRを発現する細胞とを一定期間接触させる工程、(b)被検物質に接触させた細胞におけるcAMP量を計測し、該cAMP量を被検物質に接触させない対照細胞におけるcAMP量と比較する工程、(c)上記(b)の比較結果に基づいて、CaSRを活性化し得る物質を選択する工程。 cAMP量は、市販のアッセイキットを用いて測定することができる。 上記スクリーニング方法の工程(a)において、CaSRモジュレータをスクリーニングする場合は、被検物質およびCaSR作動薬を、CaSRを発現する細胞と接触させてもよい。 上記スクリーニング方法の工程(b)において、CaSRモジュレータをスクリーニングする場合は、被検物質の存在下でCaSR作動薬を細胞へ接触させた場合におけるcAMP量と、被検物質の非存在下でCaSR作動薬を細胞へ接触させた場合におけるcAMP量とを比較してもよい。 上記スクリーニング方法の工程(c)において、cAMP量の比較は、例えば、有意差の有無に基づいて行われる。cAMP量の評価の結果、cAMP量の増加が確認できれば、その被検物質はCaSRを活性化し得る物質と判定され得る。CaSRモジュレータをスクリーニングする場合は、cAMP量の増加を拡張した物質を、CaSRモジュレータとして選択してもよい。(2)以下の工程(a)、(b)及び(c)を含む方法:(a)CaSRを発現する細胞に、被検物質及びCaSRに作用する既知のリガンド(例えばCa2+、シナカルセット等)を一定期間接触させる工程、(b)当該細胞の細胞膜に結合したリガンドの量を測定し、該リガンドの量を被検物質に接触させない対照細胞におけるリガンドの量と比較する工程、(c)上記(b)の比較結果に基づいて、CaSRを活性化し得る物質を選択する工程。 既知リガンドの量は、それらの物質の一部を放射活性ラベルし、細胞膜に結合する放射活性の量により、測定することができる。 上記スクリーニング方法の工程(c)において、リガンドの量の比較は、例えば、有意差の有無に基づいて行われる。リガンドの量の評価の結果、リガンド結合量の減少が確認できれば、その被検物質はCaSR作動薬又はモジュレータと判定され得る。(3)以下の工程(a)、(b)及び(c)を含む方法:(a)被検物質とcAMP感受性蛍光蛋白質(例えばFlCRhR等)を導入したCaSRを発現する細胞とを一定期間接触させる工程、(b)被検物質に接触させた細胞における蛍光強度(細胞内cAMP濃度)を測定し、該強度を被検物質に接触させない対照細胞における強度と比較する工程、(c)上記(b)の比較結果に基づいて、CaSRを活性化し得る物質を選択する工程。 上記スクリーニング方法の工程(a)において、CaSRモジュレータをスクリーニングする場合は、被検物質およびCaSR作動薬を、cAMP感受性蛍光蛋白質(例えばFlCRhR等)を導入したCaSRを発現する細胞と接触させてもよい。 上記スクリーニング方法の工程(b)において、CaSRモジュレータをスクリーニングする場合は、被検物質の存在下でCaSR作動薬を細胞へ接触させた場合における蛍光強度(細胞内cAMP濃度)と、被検物質の非存在下でCaSR作動薬を細胞へ接触させた場合における蛍光強度(細胞内cAMP濃度)とを比較してもよい。 上記スクリーニング方法の工程(c)において、蛍光強度の比較は、例えば、有意差の有無に基づいて行われる。蛍光強度の評価の結果、蛍光強度の上昇が確認できれば、その被検物質はCaSR作動薬と判定され得る。CaSRモジュレータをスクリーニングする場合は、蛍光強度の上昇を拡張した物質を、CaSRモジュレータとして選択してもよい。 上記のようにして得られるCaSR活性化剤(CaSR作動薬又はモジュレータ)について、免疫賦活作用を有することを確認することが好ましい。免疫賦活作用は、例えば、実施例に記載した、IgA又はIgGの産生促進作用、あるいは抗体産生調節作用を有するIL-6やIFN-γ等のサイトカインを指標とする方法により、確認することができる。 CaSR作動薬として具体的には、γ−Glu−X−Gly(XはCysを除くアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ−Glu−Val−Y(Yはアミノ酸又はアミノ酸誘導体を表す)、γ−Glu−Ala、γ−Glu−Gly、γ−Glu−Met、γ−Glu−Thr、γ−Glu−Val、γ−Glu−Orn、Asp−Gly、Cys−Gly、Cys−Met、Glu−Cys、Gly−Cys、Leu−Asp、γ−Glu−Met(O)、γ−Glu−γ−Glu−Val、γ−Glu−Val−NH2、γ−Glu−Val−ol、γ−Glu−Ser、γ−Glu−Tau、γ−Glu−Cys(S−Me)(O)、γ−Glu−Leu、γ−Glu−Ile、γ−Glu−t−Leu、γ−Glu−Cys(S−Me)などの各種ペプチド、フェニルアラニンやトリプトファンなどのアミノ酸、カルシウム及びガドリニウムなどの2価又はそれ以上のカチオン、プロタミンなどのタンパク質、ポリリジンなどの塩基性ペプチド、スペルミン、スペルミジン、プトレシンなどのポリアミン、シナカルセット、シナカルセット類縁化合物などの各種低分子化合物などが挙げられる。 尚、本明細書中においてペプチドを構成するアミノ酸は、特に断わらない限りいずれもL−体である。ここで、アミノ酸とは、Gly, Ala, Val, Leu, Ile, Ser, Thr, Cys, Met, Asn, Gln, Pro, Hypなどの中性アミノ酸、Asp, Gluなどの酸性アミノ酸、Lys, Arg, Hisなどの塩基性アミノ酸、Phe, Tyr, Trpなどの芳香族アミノ酸や、ホモセリン、シトルリン、オルニチン、α-アミノ酪酸、ノルバリン、ノルロイシン、タウリンなども含有する。 本明細書においてアミノ基残基の略号は以下のアミノ酸を意味する。(1)Gly:グリシン(2)Ala:アラニン(3)Val:バリン(4)Leu:ロイシン(5)Ile:イソロイシン(6)Met:メチオニン(7)Phe:フェニルアラニン(8)Tyr:チロシン(9)Trp:トリプトファン(10)His:ヒスチジン(11)Lys:リジン(12)Arg:アルギニン(13)Ser:セリン(14)Thr:トレオニン(15)Asp:アスパラギン酸(16)Glu:グルタミン酸(17)Asn:アスパラギン(18)Gln:グルタミン(19)Cys:システイン(20)Pro:プロリン(21)Orn:オルニチン(22)Sar:サルコシン(23)Cit:シトルリン(24)N−Val:ノルバリン(25)N−Leu:ノルロイシン(26)Abu:α−アミノ酪酸(27)Tau:タウリン(28)Hyp:ヒドロキシプロリン(29)t−Leu:tert−ロイシン また、アミノ酸誘導体とは、上記アミノ酸の各種誘導体であって、例えば、特殊アミノ酸や非天然アミノ酸、アミノアルコール、或いは末端カルボニル基やアミノ基、システインのチオール基などのアミノ酸側鎖が各種置換基により置換したものが挙げられる。置換基としては、アルキル基、アシル基、水酸基、アミノ基、アルキルアミノ基、ニトロ基、スルフォニル基や各種保護基などが挙げられ、例えば、Arg(NO2):N−γ−ニトロアルギニン、Cys(SNO):S−ニトロシステイン、Cys(S-Me):S−メチルシステイン、Cys(S-allyl):S−アリルシステイン、Val-NH2:バリンアミド、Val-ol:バリノール(2−アミノ−3−メチル−1−ブタノール)などが含まれる。 尚、前記γ-Glu-Met(O)およびγ-Glu-Cys(S-Me)(O)中の(O)はスルフォキシド構造であることを意味する。γ-Gluの(γ:gamma)とは、グルタミン酸のγ位のカルボキシ基を介して他のアミノ酸が結合していることを意味する。 前記ペブチド中の「X」は、Cys(SNO)、Cys(S-allyl)、Gly、Cys(S-Me)、AbuまたはSerであることが好ましく、「Y」は、Gly、Val、Glu、Lys、Phe、Ser、Pro、Arg、Asp、Met、Thr、His、Orn、Asn、CysまたはGlnであることが好ましいが、これらに限定されない。 上記ペプチドは、市販品を用いることが可能である。また、ペプチドは、(1)化学的に合成する方法、又は(2)酵素的な反応により合成する方法等の公知手法を適宜用いることによって取得することができる。本発明において用いられるペプチドは、含まれるアミノ酸の残基数が2〜3残基と比較的短いので、化学的に合成する方法が簡便である。化学的に合成する場合は、該オリゴペプチドをペプチド合成機を用いて合成あるいは半合成することにより行うことができる。化学的に合成する方法としては、例えばペプチド固相合成法が挙げられる。そのようにして合成したペプチドは通常の手段、例えばイオン交換クロマトグラフィー、逆相高速液体クロマトグラフィー、アフィニティークロマトグラフィー等によって精製することができる。このようなペプチド固相合成法、およびそれに続くペプチド精製はこの技術分野においてよく知られたものである。 また、本発明において用いられるペプチドを、酵素的な反応により生産することも出来る。例えば、国際公開パンフレットWO2004/011653号に記載の方法を用いることが出来る。即ち、一方のアミノ酸又はジペプチドのカルボキシル末端をエステル化又はアミド化したアミノ酸又はジペプチドと、アミノ基がフリーの状態であるアミノ酸(例えばカルボキシル基が保護されたアミノ酸)とを、ペプチド生成酵素の存在下において反応せしめ、生成したジペプチド又はトリペプチドを精製することによっても生産することもできる。ペプチド生成酵素としては、ペプチドを生成する能力を有する微生物の培養物、該培養物より分離した微生物菌体、又は、該微生物の菌体処理物、又は、該微生物に由来するペプチド生成酵素が挙げられる。 尚、上述した様な酵素的な方法や化学的合成法以外にも本発明において用いられるペプチドが、野菜や果物等の植物、酵母等の微生物、酵母エキス等に存在する場合がある。天然に存在する場合には、これらから抽出して用いてもかまわない。 また、ペプチドは、単離して用いる必要はなく、本発明のペプチドを多く含んでいる画分を用いてもかまわない。 低分子化合物としてはシナカルセット((R)-N-(3-(3-(トリフルオロメチル)フェニル)プロピル)-1-(1-ナフチル)エチルアミン)及びその類縁化合物が挙げられる。シナカルセットの類縁化合物としては、下記化学式(1)で示される化合物((R)-N-[(4−エトキシ−3−メチルフェニル)メチル]-1-(1-ナフチル)エチルアミン))または化学式(2)で示される化合物((R)-N-(3-フェニルプロプ-2-エニル)-1-(3-メトキシフェニル)エチルアミン)等が挙げられる。これらの化合物は、例えば、米国特許第6211244号公報に記載されるような公知の方法により合成することができる。また、市販品を用いることもできる。 その他、CaSR活性化剤としては、米国特許第6211244号、国際公開WO06/123725号、国際公開WO05/115975号、米国特許第6313146号、米国特許第6213146号、米国特許第5688938号、米国特許第5763569号、米国特許第5858684号、米国特許第5962314号、米国特許第6001884号、米国特許第6011068号、米国特許第6031003号明細書、国際公開WO95/11221号、国際公開WO1996/012697号、国際公開第WO2002/059102号、又は特開1999-130737号に記載される化合物が挙げられる。 本発明においては、上記CaSR活性化剤のうち、γ-Glu-Val及びシナカルセットが特に好ましい。 CaSR活性化剤は、その一部又は全部について、遊離体のみならず、塩の形態で使用することもできる。本明細書において、CaSR活性化剤とは、遊離体及びその塩の両方を含む概念である。塩の形態には、酸付加塩や塩基との塩等を挙げることができ、医薬品又は食品として許容される塩を選択することが好ましい。医薬品又は飲食品として許容される塩を形成するものとしては、例えば、塩化水素、臭化水素、硫酸、リン酸塩等の無機塩、酢酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸又はモノメチル硫酸等の有機塩が挙げられる。<2>免疫賦活剤 本発明の免疫賦活剤は、有効成分としてCaSR活性化剤を含む。本発明の免疫賦活剤の形態としては、医薬、医薬部外品、飲食品等が挙げられる。 本発明の免疫賦活剤により賦活される免疫系としては、腸管、口腔、鼻、呼吸器等の粘膜組織、脾臓等が挙げられる。これらの免疫系を賦活することにより免疫力が向上する。したがって、本発明の免疫賦活剤は、免疫を賦活することが予防又は治療に有効な疾患、例えば種々の感染症、下痢、ポリープ、腫瘍、腸炎、又はアレルギー等の治療もしくは予防に有効である。 感染症としては、ウイルス感染症、及び細菌感染症が挙げられる。ウイルス感染症は特に限定されず、例えば、消化管感染性ウイルス感染症(例えば、エンテロウイルス、サイトメガロウイルス)、呼吸器感染性ウイルス感染症(例えば、インフルエンザウイルス、ライノウイルス、コロナウイ ルス、パラインフルエンザウイルス、RSウイルス、アデノウイルス、 レオウイルス等の呼吸器感染性ウイルスによる感染症)、ヘルペスウイルスを原因とする帯状癌疹、ロタウイルスを原因とする下痢、ウイルス性肝炎、AIDS等が挙げられるが、本発明においては、特に消化管感染性ウイルス感染症感染症に対して効果的である。 また、細菌感染症は特に限定されず、例えば、セレウス菌、腸炎ビブリオ、腸管出血性大腸菌、黄色ブドウ球菌、MRSA、サルモネラ、ボツリヌス、カンジダ等による感染症が挙げられる。 本発明において免疫賦活とは、生体が独自に有する免疫系を活性化することを意味し、具体的には例えば、小腸などの腸管粘膜組織、口腔、鼻、呼吸器等の粘膜組織、脾臓等の免疫器官又は免疫組織におけるIgA及び/又はIgGの分泌を促進することをいう。 免疫低下は病気を招き、例えば腸管の免疫の常に関連した症状・疾患には感染症、アレルギー疾患、ポリープ、腫瘍、腸炎などがあることが知られている(腸管免疫講座、http://www.ioudou.co.jp/col/archives/2004/11/post_7.html)。 また、後記実施例に示すように、CaSR活性化剤は、IgA又はIgGの分泌を促進する作用を有する。分泌型IgAは、例えば、侵入性の細菌やウイルスなどの微生物に特異的に結合し、これらの微生物が上皮細胞に接着するのを阻止する。さらに、分泌型IgAは、コレラ菌などの細菌が産生する毒素に対しても中和活性を有し、また、食物中に含まれるアレルゲンと結合して食餌性抗原の体内への吸収を阻止することが知られている(保井久子、ビフィズス菌の腸管免疫調節作用、http://www.healthist.jp/special/150_03/03_03.html)。 さらに、分泌型IgAは、腸管から吸収されるタンパク質に対して免疫抑制機構である「経口免疫寛容」の誘導に関与することが知られており(八村敏志、食品と免疫系の接点としての腸管免疫系:その特有の細胞応答性、http://jsbba.bt.a.u-tokyo.ac.jp/03reikai3/hachimura.pdf)、経口免疫寛容を誘導することによってアレルギーを抑制し得る。 以上のことから、免疫を賦活、例えば腸管におけるIgAの分泌を促進することは、前記疾患の治療又は予防に有効であると考えられる。 本発明の免疫賦活剤の適用方法としては、特に制限されず、経口投与あるいは注射等を利用した浸襲的投与あるいは座薬投与あるいは経皮投与を採用することが出来る。有効成分を経口、注射などの投与方法に適した固体または液体の医薬用無毒性担体と混合して、慣用の医薬製剤の形態で投与することが出来る。このような製剤としては例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などの固形剤の形態、溶液剤、懸濁剤、乳剤などの液剤の形態、凍結乾燥剤などの形態が挙げられる。これらの製剤は製剤上の常套手段により調製することができる。 上記医薬用無毒性担体としては、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングリコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ゼラチン、アルブミン、アミノ酸、水、生理食塩水などが挙げられる。また、必要に応じて、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤などの慣用の添加剤を適宜添加することもできる。 本発明の免疫賦活剤は、CaSR活性化剤に加えて、免疫賦活作用、又は感染症の治療又は予防作用を有する物質等、対象疾患の治療に有効な他の薬剤を1種または2種以上含むものであってもよい。そのような薬剤としては、例えば、シスチン又はその誘導体及びテアニン、乳酸菌等が挙げられる。 本発明の免疫賦活剤の投与又は摂取量は、治療や予防に有効な量であればよく、患者の年齢、性別、体重、症状などに応じて適宜調節されるが、例えば、経口投与の場合、CaSR活性化剤の量として、1回の投与において1kg体重あたり、0.0000001〜10gが好ましく、1kg体重あたり、0.000001〜1gがより好ましい。投与回数は特に制限されず、1日あたり1回〜数回投与することができる。 本発明の免疫賦活剤中のCaSR活性化剤の含有量は、上記投与量に適したものであれば特に制限されず、好ましくは乾燥重量当り0.000001質量%〜99.9999質量%、より好ましくは0.00001質量%〜99.999質量%、特に好ましくは0.0001質量%〜99.99質量%である。 本発明の飲食品は、CaSR活性化剤を含む。本発明の飲食品の種類は特に制限されず、例えば、調味料、発酵食品、アルコール飲料、スープ、ソース、マヨネーズ、ドレッシング、カレールー、ジュース、栄養飲料、おかゆ、パン、菓子類、レトルト食品、冷凍食品、サプリメント、及び美容食品等が挙げられる。 本発明の飲食品は、CaSR活性化剤を含むこと以外は、通常の飲食品と同様の原料を用い、同様の方法によって製造することができる。このような原料としては、特に制限されないが、例えばアルコール飲料では、米、大麦、コーンスターチ等、パンでは小麦粉、砂糖、食塩、バター、発酵用酵母菌等が、発酵食品では大豆、小麦等が挙げられる。 本発明の飲食品は、CaSR活性化剤を好ましくは0.000000001質量%以上、より好ましくは0.000001質量%以上、特に好ましくは1質量%以上含む。 本発明の飲食品は、免疫賦活効果を有し、例えば、容器や包装に同効果を有すること、又は、前記疾患に対する治療効果や予防効果がある旨を表示してもよい。 以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に制限されない。なお、シナカルセットは、下記製造例1に記載の方法で合成した。〔製造例1〕(R)-N-(3-(3-トリフルオロメチルフェニル)プロピル)-1-(1-ナフチル)エチルアミン塩酸塩(シナカルセット塩酸塩)の合成(工程1)3-(3-トリフルオロメチルフェニル)-プロピオン酸メチルエステルの合成 3-(トリフルオロメチル)桂皮酸2.20g、パラジウム/炭素(10%, wet)166mg、エタノール40mlの混合物を、1気圧水素雰囲気下で一晩撹拌した。パラジウム/炭素を濾別して、濾液を減圧濃縮した。メタノール20ml、濃硫酸4滴を加えて60℃で2時間撹拌後、放冷した。減圧濃縮後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液20mlを加え、ジクロロメタン20mlで抽出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮して、油状の表題化合物2.40gを得た。1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ 2.66 (2H, t, J=7.5Hz), 3.02 (2H, t, J=7.5Hz), 3.68 (3H, s), 7.37-7.50 (4H, m)(工程2)3-(3-トリフルオロメチルフェニル)プロパナールの合成 工程1で合成した3-(3-トリフルオロメチルフェニル)-プロピオン酸メチルエステル2.40gを乾燥ジクロロメタン20mlに溶解し、アルゴン雰囲気下、-78℃で水素化ジイソプロピルアルミニウムのヘキサン溶液(0.91M)13mlを5分かけて滴下し、同じ温度で40分撹拌した。飽和塩化アンモニウム水溶液50mlを滴下後撹拌して室温に昇温し、水20ml、濃塩酸5mlを加えて分液した。水層をジクロロメタンで抽出し、分液した有機層とあわせて無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮して、油状の表題化合物2.12gを得た。1H-NMR (300MHz, CDCl3) δ 2.83 (2H, t-t, J=7.5Hz, 1.2Hz), 3.02 (2H, t, J=7.5Hz), 7.36-7.52 (4H, m), 9.83 (1H, t, J=1.2Hz)(工程3)(R)-N-(3-(3-トリフルオロメチルフェニル)プロピル)-1-(1-ナフチル)エチルアミン塩酸塩(シナカルセット塩酸塩)の合成 工程2で合成した3-(3-トリフルオロメチルフェニル)プロパナール2.12g、(R)-1-(1-ナフチル)エチルアミン2.0ml、トリアセトキシ水素化ほう素ナトリウム3.42g、乾燥ジクロロメタン150mlの混合物に氷酢酸0.750mlを加えて、室温で5時間撹拌した。水100mlを加えて3時間撹拌後、2M 水酸化ナトリウム水溶液100mlを加えて分液した。水層をジクロロメタンで抽出し、分液した有機層とあわせて無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮した。残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル/ヘキサン:酢酸エチル4:1〜1:1)で精製後濃縮して、油状の(R)-N-(3-(3-トリフルオロメチルフェニル)プロピル)-1-(1-ナフチル)エチルアミンを3.41g得た。これをジクロロメタン10mlに溶解し、4M 塩酸ジオキサン5ml、トルエン20mlを加えて、減圧濃縮乾固した。これをエタノール40ml、ヘプタン200mlより再結晶して、表題化合物1.71gを得た。1H-NMR (300MHz, DMSO-d6) δ 1.69(3H, d, J=6.6Hz), 2.00 (2H, quintet, J=7.8Hz), 2.72 (2H, t, J=7.5Hz), 2.65-2.85 (1H, br), 2.90-3.05 (1H, br), 5.24-5.38 (1H, br), 7.44-7.67 (7H, m), 7.96-8.04 (3H, m), 8.23-8.28 (1H, pseud d), 9.20-9.40 (1H, br), 9.80-10.00 (1H, br)MS (ESI, m/z) 358(MH+)〔実施例1〕 6〜8週齢のBALBマウス(メス)を購入し、馴化のため、1週間飼育した。飼料は、市販固形飼料を用い、水は市水を使用した。シナカルセット及びγ−グルタミルバリンの抗体産生活性への影響を評価するため、マウス脾臓細胞を用いた培養システムを活用した。脾臓はBALB-cマウス(n=3)から採取した。採取した細胞は洗浄後、RPMI1640培地(10% FCS、50U/mlペニシリン、50μg/mlストレプトマイシン)に懸濁した。48ウエル培養プレート当り1×106個に調整した細胞に対し、シナカルセットもしくはγ−グルタミルバリン(滅菌リン酸緩衝液に溶解)、又は対象としてリン酸緩衝液を添加して、5μgのLPS(リポ多糖類。シグマから入手)で刺激した。その後、37℃のCO2インキュベーターにて5日間培養し、上清のIgA抗体量を分析した。 同様に、48ウエル培養プレート当り1×106個に調整した細胞に対し、シナカルセットもしくはγ−グルタミルバリン存在下、あるいは非存在下で0.5μgのConA(コンカナバリンA)で刺激した。その後、37℃のCO2インキュベーターにて5日間培養し、上清のIgG抗体量を分析した。 IgAとIgG量はELISA法にて測定した。IgGの測定法を以下に示す。100μlのラット抗マウスIgG抗体(Calbiochem社、1μg/ml 50mM炭酸ナトリウム緩衝液, pH8.5)液を96ウエルELISAプレートに添加し、4℃、一晩インキュベートして各ウエルを抗マウスIgG抗体でコーティングした。プレートはPBST(リン酸緩衝生理食塩水、0.05% Tween 20)にて3回洗浄した後、2% BSAを含むPBS液200μlで、37℃、1hrブロッキング処理した。 プレートはPBSTで3回洗浄し、100μlの培養上清(1% BSAを含むPBSTで9倍希釈)を添加して37℃、2hr反応させた。プレートは再度、PBSTで4回洗浄した。1% BSAを含むPBSTで2000倍希釈した100μlのアルカリホスファターゼ結合抗マウスIgG(ウサギ)(BD Biosciences社)溶液を添加し、37℃で1時間反応させた。プレートは6回洗浄した後、p-ニトロフェニルホスフェートで発色させた。反応は100μl/wellの3M NaOHで停止させた後、405nmの吸光度を測定した。 IgAの測定もIgGの方法に準じたが、固相化抗体としてラット抗マウスIgA抗体(BD Biosciences社)、標識抗体としてビオチン化抗マウスIgA抗体(ラット)(BD Biosciences社)、発色基質に3,3',5,5'-テトラメチルベンジジン溶液(TMB substrate-developing solution、シグマ社)を用い、発色停止は1M 硫酸を用いて行い、吸光度は450nmで測定した。 統計処理はスチューデントt検定により行い、危険率5%以下を有意差とした。 結果を表1、表2に示した。LPS刺激により、シナカルセットやγ−グルタミルバリンによるIgA産生促進能が有意に確認できた。またConA刺激によりIgG産生促進効果も有意に確認できた。 本発明の免疫賦活剤は、安全、かつ有効に免疫を賦活することができる。また、本発明の飲食品は、免疫賦活作用を有する。γ−Glu−Val、シナカルセット及びそれらの塩からなる群から選択されるカルシウム受容体活性化剤を含む免疫賦活剤。感染症、下痢、ポリープ、腫瘍、腸炎、又はアレルギーの治療もしくは予防のための医薬として用いられる、請求項1に記載の免疫賦活剤。