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タイトル:特許公報(B2)_溶存水素と溶存酸素との反応の評価方法および溶存水素による水中の活性酸素消去能の評価方法
出願番号:2010501936
年次:2012
IPC分類:G01N 31/00


特許情報キャッシュ

片山 誠二 片山 裕美子 JP 4988037 特許公報(B2) 20120511 2010501936 20090304 溶存水素と溶存酸素との反応の評価方法および溶存水素による水中の活性酸素消去能の評価方法 エウレカ・ラボ株式会社 507206309 片山 誠ニ 507206756 西澤 利夫 100093230 片山 誠二 片山 裕美子 JP 2008054107 20080304 20120801 G01N 31/00 20060101AFI20120712BHJP JPG01N31/00 L G01N 31/00-31/22 JSTPlus(JDreamII) 特開2005−296794(JP,A) 特開2005−126384(JP,A) SHIRAHATA,S. et al.,Electrolyzed-reduced water scavenges active oxygen species and protects DNA from oxidative damage,Biochem Biophys Res Commun. ,1997年,Vol.234,No.4,Page.269-274 2 JP2009054087 20090304 WO2009110515 20090911 11 20120206 草川 貴史 本発明は、溶存水素と溶存酸素との反応の評価方法および溶存水素による水中の活性酸素消去能の評価方法に関するものである。 水素分子(原子)が還元性を有することは従来から知られており、化学合成の還元反応(水素付加反応)等の実際の応用に供されてきた。 しかし、比較的安定な水素分子に、どのようなメカニズムに基づいて還元性が生じるかは未だ研究の途上にある。反応の直前に、水素は活性状態の「原子状の水素」、あるいは「発生期の水素」になっていると推測されてきたが、その物性上の理論的根拠は未解決のままである。 水素分子の還元性を顕著に引き出すために、一般に、反応の活性化エネルギーを下げることを目的として金属触媒などが用いられてきた。この金属触媒を用いる方法では、金属表面に吸着した水素が原子状の水素となって働き還元性が生じるものとされている。一方、水素分子が水に溶解したときに極めて高い還元電位を示すことが知られているが、この現象も同じ作用によるものと理解されている。しかし、その還元性の性質や化学量論的な側面は未解決のままとなっている。 たとえば、水に水素分子を溶解すると、酸化還元電位が溶解前の約250mVから溶解後の約-500mVへと変化を示すことが知られている。この溶存水素水の大きな還元電位より、溶存水素水は抗酸化作用や活性酸素消去能の機能を有することが想定され、特に活性酸素は人体の健康との関連も報告されていることから多くの研究者や市井の人々の関心を惹きつけてきた。 実際に、鉄が水道水中では錆びるが水素水中では錆びない事実や、緑茶が水素水を用いた場合には褐色に変色しない事実など、様々な現実的なevidenceに直面するが、残念ながら未だに確固たる学術的検証に至っていないのが現状である。 その一つの要因としては、活性酸素は寿命が極めて短いこと等が挙げられる。たとえばESR(電子スピン共鳴)や発光測定などの信号が速い系におけるspectroscopicな手法により寿命が短い活性酸素の挙動を捉える検討がなされているが、溶存水素の水中の活性酸素との反応に関する詳細な知見を得るには更に新たな側面からの検討が必要とされている。 本発明者らは、水素のマイクロバブルを水中や溶液中に分散させることにより、大容量の水素を溶存させた還元性水素溶液を短時間に得る技術等の検討を行ってきたが(特許文献1参照)、これまでの知見も踏まえて、溶存水素の水中の活性酸素との反応に関して、化学量論的に、かつ大容量での反応速度を捉える観点から検証を行うことで、溶存水素による活性酸素消去の応用に際して有用な知見を得るための新たな手法を探索した。国際公開WO2008/156171号パンフレット そこで本発明は、以上のとおりの背景から、溶存水素による抗酸化作用の実用的な応用、そして水中の活性酸素消去反応の実用的な応用に際して有用な知見を得るための新しい技術手段を提供することを課題としている。 本発明は、上記の課題を解決するものとして、以下のことを特徴としている。 第1:水中の溶存酸素量を水素以外のガスを吹き込むことにより強制的に低減させて水中の溶存酸素量を所定の初期濃度とした後、水中における経時の溶存酸素量を測定する工程と、水中に水素を強制的に溶存させて水中の溶存酸素量を前記初期濃度に合わせた後、水中における経時の溶存酸素量を測定する工程と、水素を強制的に溶存させて測定した溶存酸素量と水素以外のガスを吹き込んで測定した溶存酸素量との差の経時プロファイルに基づいて溶存水素と溶存酸素との反応を定量評価する工程とを含むことを特徴とする溶存水素と溶存酸素との反応の評価方法。 第2:水中に光増感色素を含有させずに水素を強制的に溶存させて水中の溶存酸素量を所定の初期濃度とした後、水中における経時の溶存酸素量を測定する工程と、水中に光増感色素を含有させ水素を強制的に溶存させて水中の溶存酸素量を前記初期濃度に合わせた後、光増感色素の励起波長の光を含む光を照射しながら水中における経時の溶存酸素量を測定する工程と、水中に光増感色素を含有させて測定した溶存酸素量と水中に光増感色素を含有させずに測定した溶存酸素量との差の経時プロファイルに基づいて溶存水素と活性酸素との反応を定量評価する工程とを含むことを特徴とする溶存水素による水中の活性酸素消去能の評価方法。 本発明者は、ESRや蛍光法を用いて溶存水素水の活性酸素消去能についての検証を実施してきたが、良好な結果が得られなかった。その原因は実験的に発生させた活性酸素(一重項酸素、過酸化水素、スーパーオキシドアニオンラジカル、ヒドロキシラジカルなど)の寿命が短く、かつ、スピントラップ剤(DMPO、TMPDなど)や蛍光試薬との反応が極めて早いため、水素のクエンチング効果が観測されないことに気付いた。 そこで、溶存水素と溶存酸素および溶存活性酸素との反応を直接観測するin vitroの評価系を構築して実験を行ったところ、反応速度等の定量的な評価が可能であることを見出し本発明を完成するに至った。 本発明によれば、溶存水素による抗酸化作用の実用的な応用、そして水中の活性酸素消去反応の実用的な応用に際して有用な知見を得るための新しい技術手段が提供される。図1は、実施例1における溶存水素量の経時変化を示すグラフである。図2は、実施例1における溶存酸素量の経時変化を示すグラフである。図3は、実施例1における溶存酸素量(N2バブリング、H2バブリング、メチレンブルーおよび光照射+H2バブリング)の経時変化を示すグラフである。図4は、実施例1における溶存水素量と溶存酸素量の経時変化を示すグラフである。図5は、窒素ガスでバブリングしたサンプルにおいて、メチレンブルー溶解および白熱電球照射の有無を比較した溶存酸素量の経時変化を示すグラフである。図6は、実施例2(H2/NaCl水溶液)における溶存酸素量の経時変化を示すグラフである。図7は、実施例2(H2/NaCl水溶液)における溶存水素量と溶存酸素量の経時変化を示すグラフである。図8は、実施例2(H2/トリプトファン水溶液)における溶存酸素量の経時変化を示すグラフである。図9は、実施例2(H2/トリプトファン水溶液)における溶存水素量と溶存酸素量の経時変化を示すグラフである。図10は、実施例2(H2/L-ヒスチジン水溶液)における溶存酸素量の経時変化を示すグラフである。図11は、実施例2(H2/L-ヒスチジン水溶液)における溶存水素量と溶存酸素量の経時変化を示すグラフである。 本発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。 本発明において水素を溶存させる水としては、真水を使用することができるが、活性酸素消去能等の評価の前提となる実際の応用などの目的に応じて、アミノ酸等の酸、塩基、塩などを添加するようにしてもよい。 上記の水を用いた評価系は、目的に応じて大気に開放してもよく、あるいは大気から密閉するようにしてもよいが、大気に開放する場合には、測定結果の評価に際して大気圧の酸素と水中の溶存酸素との平衡も考慮する必要がある。 本発明の溶存水素と溶存酸素との反応の評価方法では、上記の水中の溶存酸素量を水素以外のガスを吹き込むことにより強制的に低減させて水中の溶存酸素量を所定の初期濃度とした後、水中における経時の溶存酸素量を測定する。水中に吹き込む水素以外のガスとしては、たとえば、窒素等の不活性ガスが挙げられる。これにより、溶存酸素量を、たとえば常温における通常の溶解量の7〜8ppmから1〜5ppmまで減少させ所定の初期濃度とする。 溶存酸素量の測定には市販の溶存酸素分析計を使用することができ、溶存酸素量を所定の初期濃度とした直後から概ね1時間程度の間の濃度プロファイルをプロットすることで、溶存酸素量の変化が観測される。たとえば、大気開放下での測定では、大気からの水中への酸素溶解による直線的な溶存酸素量の増加が観測される。 そして本発明では、上記の水中に水素を強制的に溶存させて水中の溶存酸素量を前記初期濃度に合わせた後、水中における経時の溶存酸素量を測定する。水素を水中に溶存させる方法としては、バブリングにより気体水素を水中に吹き込む方法などが適用できるが、その他、微細発泡製造装置を用いて気体水素を水中に吹き込みマイクロバブルとして分散させるようにしてもよい。 このようにして、溶存水素濃度が一例としては1〜1.5ppm程度となるまで水中に水素を溶存させる。これにより、溶存酸素量は、たとえば常温における通常の溶解量の7〜8ppmから1〜5ppmまで減少し、水中の溶存酸素量を前記初期濃度に合わせることができる。 そして水素溶存直後から概ね1時間程度の間の濃度プロファイルをプロットすることで、溶存水素と溶存酸素とのH2O生成反応に起因する溶存酸素量の低減を明確に把握することができる。 そして、水素を強制的に溶存させて測定した溶存酸素量と水素以外のガスを吹き込んで測定した溶存酸素量との差の経時プロファイルに基づいて溶存水素と溶存酸素との反応を定量評価する。定量評価としては、化学量論の解析、反応速度の解析などが挙げられる。なお、実施例に示すようなプロファイルで溶存酸素量と溶存水素量が変化することは、本発明者らの知る限りにおいてこれまでに報告がなく、溶存水素による溶存酸素との反応挙動に関する化学量論的かつ巨視的な観点からの新規な知見を提供するものである。 一方、本発明の溶存水素による水中の活性酸素消去能の評価方法では、水中に光増感色素を含有させずに水素を強制的に溶存させて水中の溶存酸素量を所定の初期濃度とした後、水中における経時の溶存酸素量を測定する。水素の溶存と溶存酸素量の測定は上記と同様に行うことができる。 そして、水中に光増感色素を含有させ水素を強制的に溶存させて水中の溶存酸素量を前記初期濃度に合わせた後、光増感色素の励起波長の光を含む光を照射しながら水中における経時の溶存酸素量を測定する。光増感色素としては、一重項酸素の生成を促進するメチレンブルーやローズベンガルなどを用いることができる。 一例としては、溶存水素濃度1〜1.5ppm程度となるまで水中に水素を溶存させ、これにより、溶存酸素量は、たとえば常温における通常の溶解量の7〜8ppmから1〜5ppmまで減少し、水中の溶存酸素量を前記初期濃度に合わせることができる。 そして水素溶存直後から概ね1時間程度の間の濃度プロファイルをプロットすることで、溶存水素と活性酸素とのH2O生成反応に起因する溶存酸素量の低減を明確に把握することができる。 そして、水中に光増感色素を含有させて測定した溶存酸素量と水中に光増感色素を含有させずに測定した溶存酸素量との差の経時プロファイルに基づいて溶存水素と活性酸素との反応を定量評価する。定量評価としては、化学量論の解析、反応速度の解析などが挙げられる。なお、実施例に示すようなプロファイルで活性酸素量と溶存水素量が変化することは、本発明者らの知る限りにおいてこれまでに報告がなく、溶存水素による活性酸素との反応挙動に関する化学量論的かつ大容量での観点からの新規な知見を提供するものである。 本発明は、医療、工業、農業、食品、環境、その他の各種の分野において、基礎データの取得等に好適に利用できる。 以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。<実施例1> 上面を大気に開放した直径8cm、高さ11cmの500mlのガラス瓶にサンプルとして500mlの蒸留水を入れ、攪拌しながら溶存水素計、溶存酸素計を用いて様々な実験条件下で溶存水素量、溶存酸素量の測定を実施した。実験開始直前の溶存水素量、溶存酸素量を定め、その後の経時変化を測定し、30分後に白金黒を添加して測定を継続した。 溶存水素計は共栄電子研究所製 KM2100 DHを用い、溶存酸素計はHORIBA DO METER OM-51を用いた。 図1および図2は、水サンプルに水素ガスをバブリングして、サンプル中の溶存水素量0.953ppm、溶存酸素量2.92ppmの実験開始条件を定め、その後の溶存水素量、溶存酸素量の経時変化を測定した結果である(メチレンブルー未添加、蛍光灯照射下)。 なお、空気と平衡にある溶存酸素量は8.3ppmであるが、水素ガスのバブリングによって溶存酸素を追い出し2.92ppmに減少させた。 図1より、溶存水素量は0.953ppmから直線的に減少し、30分後には0.427ppmに至った。この溶存水素の減少量(矢印a)は、溶存水素の溶存酸素との反応量と水素ガスの大気への逃げの量とのバランスによって決定していると理解される。 一方、30分後白金黒(約5mg)を添加すると急激に溶存水素は減少し添加10分後にはゼロに至った。この急激な溶存水素の減少は溶存水素が白金触媒により活性化され、溶存酸素との反応速度が大きくなったためと解される。この白金触媒添加によって誘起された正味の溶存水素量の減少量(矢印b)は0.260ppm/5minと算出された。 一方、溶存酸素量の経時変化は、図2に示すように実験開始から30分経過まで殆んど一定で変化を示さなかったが、30分後白金黒(約5mg)を添加すると急激に減少し8分後に0.45ppmの最小値を示し、その後暫時増加した。 溶存酸素量は実験開始から30分経過まで殆んど変化しなかったが、この結果は溶存酸素と溶存水素との反応による酸素量の減少と大気からの溶解補給される酸素量とがバランスして生じたと解される。従って、白金触媒添加後は活性化された溶存水素と溶存酸素との反応による溶存酸素量の減少を示し、その減少量(矢印)は1.85ppm/5minと算出された。これらの結果は、白金触媒添加によって反応した正味の溶存水素および溶存酸素の減少量のモル比は約2対1となるため、溶存水素と溶存酸素が反応していることを裏付けるものとして理解された。 次に、光増感色素メチレンブルー等を用いた図3および図4に示す実験を行った。図3の直線Aは溶存酸素の初期濃度を窒素ガスのバブリングにより約2.7ppmに調製し、そのサンプルの経時変化を示した結果である。直線Bは水素ガスのバブリングにより溶存酸素の初期濃度を約2.7ppmに調製したサンプルの経時変化を示した結果である。直線Cは水素ガスのバブリングにより溶存酸素の初期濃度を約2.7ppmに調製し、その水サンプル500mlに光増感色素メチレンブルー(2mM)を溶かし白熱電球(500W)を30cmの距離からを連続照射(λ=670nmを含む)しながら溶存酸素の経時変化を示した結果である。図4は、30分後の白金黒添加以後も含めた溶存水素濃度と溶存酸素濃度の経時変化を示す。 図3において、直線Aの溶存酸素の直線的な増加は大気から溶解し補給される酸素量の増加を示している。溶存水素を含むサンプルの直線Bは水素と酸素の反応によって生じる溶存酸素の減少と、大気から溶解し補給される酸素量の増加とのバランスによって決定されている。従って、直線Aと直線Bとの差は、溶存水素と溶存酸素の反応による溶存酸素の減少量を示唆している。 直線Cの溶存酸素の減少は、大気から溶解し補給される酸素量の増加量と、水素と酸素の反応による溶存酸素の減少量と、溶存水素と活性酸素(一重項酸素)との反応による減少量とのバランスによって成り立っている。ここで、活性酸素(一重項酸素)は光増感色素メチレンブルーに光照射(含λ=670nm)することによって生じるものである。 上記の結果より、直線Bと直線Cとの差は、溶存水素と活性酸素(一重項酸素)との反応による溶存酸素の減少量を示唆している。 なお、図5は、図3中における窒素ガスでバブリングした溶存酸素を2.7ppmに調節したサンプルの40分までの経時変化と、メチレンブルーを溶解した水溶液に窒素ガスをバブリングし、溶存酸素を2.7ppmに調節したサンプルに白熱電球を照射した場合の経時変化の結果を示したものである。両者共に30分後には白金黒が添加されているが、いずれの場合も全く白金触媒の影響は現れなかった。これらの両直線がほぼ一致することから、溶存水素が存在しない場合は、白金触媒の影響は現れないこと、メチレンブルーの有無や、白熱電球の照射の有無に関わらず、溶存酸素の変化量には影響を与えないこと等が明白となった。 上記の結果に基づき水中における溶存水素と溶存酸素との反応速度および溶存水素と活性酸素との反応速度に関する考察を行った。 抗酸化反応の反応速度vO2は、次式で表される。vO2=−d[O2]/dt=k1[O2]n 一方、活性酸素消去の反応速度v O2*は、次式で表される。v O2*=−d[O2]/dt=k2[O2*]n そして図1〜図4の結果(および後述の実施例2における結果)より、時間対濃度(O2、O2*、H2)の関係は全て直線関係にある。このことは、反応速度が時間に関係なく一定値kであることを示唆する。すなわち、0次反応であると解することができる。 そこで、図3の実験結果による具体的な反応速度vO2、v O2*の計算を行った。30分後の溶存水素と溶存酸素との反応による溶存酸素の減少量は、(A−B)=4−3.25=0.75ppm/30分である。よって、vO2=−d[O2]/dt=(0.75/32)mM/30分=0.78μMmin-1=k1と見積もられる。 また、30分後の溶存水素と活性酸素との反応による活性酸素の減少量は、(B−C)=3.15−2.3=0.95ppm/30分である。よって、vO2*=−d[O2*]/dt=(0.95/32)mM/30分=0.99mMmin-1=k2と見積もられる。 なお、以上の結果は25℃における反応速度および反応速度定数であるが、温度を変更して測定を行った場合を仮定してArrheniusの式より活性化エネルギーを見積もると、溶存状態における2H2+O2→2H2Oの反応の活性化エネルギーは7kJmol-1のオーダーと推定される。また、溶存状態における2H2+O2*→2H2Oの反応の活性化エネルギーは6kJmol-1のオーダーと推定される。<実施例2> 水溶液サンプルとして10mM NaCl水溶液(図6、図7)、10mM トリプトファン水溶液(図8、図9)、10mM L-ヒスチジン水溶液(図10、図11)を用い、それ以外は実施例2の図3、図4と同様にして、N2バブリング、H2バブリング、メチレンブルーおよび光照射+H2バブリングの各場合について溶存酸素濃度の経時変化(図6、図8、図10)、30分後の白金黒添加以後も含めた溶存水素濃度と溶存酸素濃度の経時変化(図7、図9、図11)を測定した。溶存水素量と溶存酸素量の経時変化は単調減少もしくは単調増加であり実施例1と同様の傾向を示した。この結果より、溶存水素と溶存酸素の反応および溶存水素と活性酸素との反応は、いずれも0次の化学反応速度であると推定された。 以上の結果、in vitro の実験方法によって、溶存水素と溶存酸素、および溶存水素と活性酸素がppm オーダーの濃度、拾数分のタイムスケールの反応速度の実験条件下で反応することが明らかとなった。そして、図中AとBとの差から2H2+O2→2H2O、すなわち抗酸化反応(溶存水素の抗酸化作用)を定量評価でき、一方、BとCとの差から2H2+O2*→2H2O、すなわち活性酸素消去反応(溶存水素の活性酸素(一重項酸素O2*)消去作用)を定量評価できることが明らかになった。 水中の溶存酸素量を水素以外のガスを吹き込むことにより強制的に低減させて水中の溶存酸素量を所定の初期濃度とした後、水中における経時の溶存酸素量を測定する工程と、水中に水素を強制的に溶存させて水中の溶存酸素量を前記初期濃度に合わせた後、水中における経時の溶存酸素量を測定する工程と、水素を強制的に溶存させて測定した溶存酸素量と水素以外のガスを吹き込んで測定した溶存酸素量との差の経時プロファイルに基づいて溶存水素と溶存酸素との反応を定量評価する工程とを含むことを特徴とする溶存水素と溶存酸素との反応の評価方法。 水中に光増感色素を含有させずに水素を強制的に溶存させて水中の溶存酸素量を所定の初期濃度とした後、水中における経時の溶存酸素量を測定する工程と、水中に光増感色素を含有させ水素を強制的に溶存させて水中の溶存酸素量を前記初期濃度に合わせた後、光増感色素の励起波長の光を含む光を照射しながら水中における経時の溶存酸素量を測定する工程と、水中に光増感色素を含有させて測定した溶存酸素量と水中に光増感色素を含有させずに測定した溶存酸素量との差の経時プロファイルに基づいて溶存水素と活性酸素との反応を定量評価する工程とを含むことを特徴とする溶存水素による水中の活性酸素消去能の評価方法。


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