タイトル: | 公開特許公報(A)_下肢虚血モデル動物 |
出願番号: | 2010279358 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A01K 67/027,G01N 33/15 |
江頭 健輔 JP 2012125180 公開特許公報(A) 20120705 2010279358 20101215 下肢虚血モデル動物 興和株式会社 000163006 津国 肇 100078662 齋藤 房幸 100116919 鈴木 音哉 100141357 江頭 健輔 A01K 67/027 20060101AFI20120608BHJP G01N 33/15 20060101ALI20120608BHJP JPA01K67/027G01N33/15 Z 7 OL 14 (出願人による申告)平成20年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、「血管内皮細胞選択的ナノDDS技術開発を基盤とする革新的低侵襲治療的血管新生療法の実現のための橋渡し研究(ピタバスタチン封入ナノ粒子製剤の研究開発)」委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願 本発明は、サルの下肢虚血モデル、その作製方法、及びそれを用いた末梢動脈疾患の治療のための薬物等のスクリーニング方法に関する。 末梢動脈疾患(peripheral arterial disease;PAD)は、末梢動脈の血行障害に伴ういくつかの疾患の総称である。それらは、その重症度や臨床所見によっていくつかのグレードに分類されている。例えば、Fontaine分類は、病期と症状を結びつけたものとして広く用いられている。即ち、Fontaine分類では以下の症状によってI度〜IV度に分類されている。I) 無症候〜下肢の冷感や色調の変化、IIa)軽度の跛行、IIb)中等度〜重度の跛行、III)虚血性安静時疼痛、IV) 潰瘍や壊疽。 一般的に、重症度が増すにつれて様々な合併症の併発や、予後の不良、下肢の脱落、生命の危険をもたらし、上記分類毎に治療戦略や治療薬剤は異なる。Fontane分類IIa及びIIbに分類される間歇性跛行の薬物療法では、血管拡張作用及び抗血小板作用を有するシロスタゾール、筋代謝を改善し赤血球及び血小板凝集抑制作用を有するナフチドロフリル等が臨床現場で使用されている。また、骨格筋代謝改善作用を有するL−カルニチンやプロピオニル−L−カルニチン等が臨床的有用性のある医薬品として知られている。しかし、これらの薬物療法では、監視下運動療法や血行再建術の成功例と同程度の効果は期待できない。さらに、Fontane分類III及びIVに分類される重症下肢虚血の治療においては、上記薬物による効果はほとんどない。重症下肢虚血患者に対しては、虚血性疼痛の軽減、虚血性潰瘍の治癒、肢切断の予防、Quality of Life (QOL)の改善、および生存期間の延長が治療の第一目標とされており、それら全てに満足のいく薬物療法は存在しない。抗血小板作用及び白血球活性化阻害作用を有するプロスタノイドを用いる治療法が一部のイベントに対して効果を示すという報告があるが、効果を示すのはごく限られた患者のみである(非特許文献1、非特許文献2)。その他、全身性の血管イベントリスクを減少させる目的で抗血小板薬のアスピリン及びチクロピジンによる長期併用投与治療が行われているが、重症下肢虚血を改善するといった報告は得られていない。 そこで、重症下肢虚血の新たな治療戦略として、虚血部位周辺の血管新生を促し、虚血組織の血流を回復させることを目指した治療的血管新生療法の研究が盛んに行われている。1990年代当初、basic fibroblast growth factor(bFGF)やvascular endotherial growth factor(VEGF)といった増殖因子が側副血行路の血流回復を促進させるという基礎研究データが報告され、その臨床への応用が期待された。実際に臨床へ応用されれば、患者のQOLを改善し生命予後を向上させることが期待されるため、世界的に注目され、多くの臨床試験が実施された。具体的には、血管増殖因子であるbFGF、VEGF、又はhepatocyte growth factor(HGF)等をタンパク質又はベクターを用いて虚血組織に局所投与する方法、もしくは、様々な血管増殖因子を分泌することが期待される内皮前駆細胞、自己骨髄細胞、又は末梢血単核球細胞(factors attracting cells)等を下肢虚血組織に投与する方法が行われた。しかし、それらは期待に反し、大規模臨床で得られた効果は無いか、有っても軽微であり、決定的な治療法として普及するには至っていない(非特許文献3)。その理由として、1)血管増殖因子の半減期が短いため、血管増殖因子を直接投与しても効果が不十分であること、2)血管増殖因子の投与量を増量しても効果の増強は得られないこと、3)遺伝子治療による血管増殖因子の投与には、浮腫、血管病の悪化、癌の発生・増悪等の副作用の危険性があること、4)患者の血管新生能が低下していること等が挙げられる。 また、その他の要因として、これらの治療法の非臨床有効性試験がマウス急性下肢虚血モデルを用いたものであったことも挙げられる。マウスとヒトでは種差があまりにも大きく、解剖学的にも大きな隔たりがある。それ故、ヒトへの外挿が困難であることが指摘されている。すなわち、マウスの場合、微小血管の新生や機能的側副血行路の伸長を必要とする虚血組織が極めて小さいため、血管新生因子が少量であっても虚血が改善される。一方、ヒトの場合、虚血組織が巨大であり微小血管がいくら新生しても十分に血流が回復されず、ある程度太い血管の側副血行路の伸長が必要不可欠である。非げっ歯類の中動物であるウサギで再現したウサギ慢性下肢虚血モデルを外科的に作製し、VEGF、bFGFタンパクを血管内投与した基礎研究も成されている(非特許文献4)。しかし、この場合もモデル動物では良い結果が得られても、ヒトでの臨床応用には至っていない。換言すると、新規治療的血管新生療法の開発には、臨床における治療的血管新生に重要な側副血行路の伸長を、造影Computed Tomography (造影CT)等のヒトと同じ測定機器を用いて評価できる、より適切な下肢虚血モデルを用いて薬効薬理試験や薬物動態試験を行うことが重要と考えられる。げっ歯類及びウサギ以外の動物での安全性試験では、これまでイヌが用いられることが多かった。しかし、新規な血管新生因子の研究開発を実施するにあたり、イヌは他の動物と比べ側副血行路が発達していることが知られており、虚血モデルとしては不適切である。サルを使用したモデルでは、ステント留置後の血管の再狭窄を評価するためのモデル(非特許文献5)や血栓溶解作用を評価するためのモデル(非特許文献6)の作製は報告されているが、微小血管の新生や臨床における治療的血管新生に重要な側副血行路の伸長促進作用を、造影CT等のヒトと同じ測定機器を用いて評価するために最適化されたモデルは存在しない。Diabetes Metab Res Rev. 2000; 16(suppll): S37-S41Eur J Vasc Endovasc Surg. 2004; 28(1): 9-23Circulation. 2003;107; 1359-1365Circulation. 1995; 92: 365-371Gene Therapy(2004)11: 1273-1282Arterioscler Thromb Vascular Biol. Vol.16, No.1, January 1996: 34-43 本発明の課題は、サルの下肢虚血モデル、その作製方法、及びそれを用いた末梢動脈疾患の治療のための薬物等のスクリーニング方法の提供である。 本発明者らは鋭意検討の結果、サルの大腿動脈を結紮及び/又は切除することで、末梢動脈部位の微小血管の新生作用又は側副血行路の伸長促進作用といった治療的血管新生を評価するための下肢虚血モデルが得られることを見出し、本発明を完成した。 即ち、本発明は以下に示す通りである。 [1]大腿動脈近位部から遠位部まで、及びその間に存在する血管分枝を結紮及び/又は切除した、サルの下肢虚血モデル、 [2]下肢虚血が、重症下肢虚血である、[1]記載のサルの下肢虚血モデル、 [3]サルが、カニクイザルまたはアカゲザルである、[1]又は[2]のいずれか記載のサルの下肢虚血モデル、 [4]大腿動脈近位部から遠位部まで、及びその間に存在する血管分枝を結紮及び/又は切除することを含む、サルの下肢虚血モデルの作製方法、 [5]下肢虚血が、重症下肢虚血である、[4]記載のサルの下肢虚血モデルの作製方法、 [6]サルが、カニクイザルまたはアカゲザルである、[4]又は[5]のいずれか記載のサルの下肢虚血モデルの作製方法、及び [7][1]〜[3]記載の下肢虚血モデルに候補物質を投与することを含む、末梢動脈疾患治療作用又は治療的血管新生作用を有する物質のスクリーニング方法。 本発明のモデル動物は、ヒトと同じ霊長類であるサルの大腿動脈の結紮及び/又は切除により得られた動物であるので、下肢の解剖学的特長および薬物動態が最もヒトに近いモデルとなり得る。本疾患モデル動物を提供することにより、非臨床試験の段階で、ヒトと同様の造影CT等の装置を用いて候補薬物による微小血管の新生ならびに側副血行路の伸長および成熟を的確に評価することが可能となる。また、げっ歯類やウサギを用いて作製したモデル動物においては、虚血組織が極めて小さいため、微小血管の新生ならびに臨床的には不十分な側副血行路の伸長でも虚血を改善できるのに対して、本発明のモデル動物は、大腿部の体積が大きいことから十分な治療を施さない限り(実施例については6日間反復投与)治療効果を見出すことができない。したがって、げっ歯類やウサギを用いた下肢虚血モデルで安易に薬効が発揮されたことを根拠として臨床試験(治験)を行い、ヒトでの有効性が得られないというリスクを低減する事が可能となる。 本発明のモデル動物の作製方法によれば、前記したモデル動物を確実に提供することが可能となる。 本発明の評価方法によれば、非臨床試験の段階で、ヒトと同様の造影CT等の装置を用いて候補薬物による微小血管の新生ならびに側副血行路の伸張および成熟を的確に評価することが可能となる。本発明のスクリーニング方法によれば、末梢動脈疾患、特に重症下肢虚血を改善する候補物質を的確に選別することができる。サルの下肢における動脈及び筋肉の図である。造影CT検査の結果である。運動能スコアの結果である。動静脈酸素飽和度較差試験の結果である。 本発明は、生理学的にヒトと近縁の動物種であるサルを用いた末梢動脈疾患の評価のためのモデル動物である。本発明で使用するサルとは、実験動物用に飼育されたサルである。具体的には、オナガザル科(Cercopithecidae)マカク属(Macaca)の実験動物用に飼育されたカニクイザル(Macaca fascicularis)又はアカゲザル(Macaca mulatta)が挙げられ、カニクイザルを使用することが好ましい。これらのサルは、市販のもの(日本クレア、日本医科学動物資材研究所、Gaoyao Kangda Laboratory Animal Science & Technology、雄森霊長類実験動物繁殖公司、Covance等)を使用することができる。 本発明で使用するサルは24ヶ月齢〜38ヶ月齢の個体であることが好ましく、32ヶ月齢〜36ヶ月齢の個体であることがより好ましい。24ヶ月齢未満であると、安易に微小血管の新生および側副血行路の伸張および成熟が生じてしまい、ヒトへの外挿を鑑みると薬効薬理試験には好ましくない。また、38ヶ月齢を超えていると外科処置を行った後、重症化し、下肢組織の壊死または脱落が生じる可能性が高まるため好ましくない。本発明で使用するサルの性別は、雄でも雌でも構わないが、雄が好ましい。また、体重は、2.5kg〜3.8kgであることが好ましく、3.0kg〜3.5kgであることがより好ましい。その他、本発明で使用するサルは、健康であることが好ましく、適正に飼育管理されていることが好ましい。また、供与する飼料については一般的にサル用飼料として市販されている飼料が好ましい。 本発明におけるサルの下肢虚血モデルは、外科処置により大腿動脈が結紮及び/又は切除されたものである。 その作製方法は、少なくとも以下の工程を含む。なお、サルの下肢における動脈及び筋肉の図を図1に示す。工程1)サルを麻酔する工程工程2)サルの右大腿部又は左大腿部のいずれかを切開し、大腿動脈を周辺組織から剥離する工程工程3)大腿動脈近位部から遠位部、及びその間に存在する血管分枝を結紮及び/又は切除し、大腿動脈の血流を遮断する工程 工程1において、サルを麻酔する場合、手術部位の局所麻酔又は全身麻酔のいずれでもよく、局所麻酔及び全身麻酔を併用することもできる。その際の麻酔薬としては、局所麻酔薬としてコカイン、プロカイン、クロロプロカイン、テトラカイン、リドカイン、メピバカイン、ジブカイン、ブピバカイン、ロピバカイン、レボブピバカイン、キシロカイン及びそれらの塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせが挙げられ、全身麻酔薬としてケタミン、フェンタニル、レミフェンタニル、ジアゼパム、フルニトラゼパム、ミダゾラム、フルマゼニル、チオペンタール、チアミラール、ペントバルビタール、プロポフォール、亜酸化窒素、イソフルラン、セボフルラン及びそれらの塩からなる群から選ばれる1種又は2種以上の組み合わせが挙げられる。 また、上記の麻酔薬を投与する前に、麻酔前投与薬として、ペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系、モノバクタム系、ペネム系、βラクタマーゼ阻害薬配合剤等のβラクタム系、アミノグリコシド系、マクロライド系、ケトライド系、リンコマイシン系、ストレプトグラミン系、テトラサイクリン系、グリコペプチド系、ホスホマイシン系、クロラムフェニコール系、ポリペプチド系、キノロン系、ニューキノロン系、オキサゾリジノン系、サルファ剤、ST合剤等の抗生物質又は合成抗菌薬;アトロピン又はその塩等の抗コリン作動薬;トランキライザー;鎮静薬;又は鎮痛剤の投与をすることができる。これらの麻酔薬又は麻酔前投与薬は、適宜、経皮、経口、静脈内注射、または筋肉内注射等により投与することができる。 工程2において、大腿部を切開し、大腿動脈を周辺組織から剥離する場合、その部位の皮膚及び筋肉組織をメス又は電気メス等で切開すればよい。 工程3において、大腿動脈近位部から遠位部を結紮する場合、結紮前に大腿動脈起始部および伏在動脈付近にそれぞれシリコンバンドを架けることができる。 なお、本発明中、大腿動脈近位部とは、大腿動脈の起始部(そけいじん帯)から上流側1.0cmまでを意味し、大腿動脈遠位部とは、大腿動脈の遠位端、すなわち伏在動脈の起始部から下流側3.0cmまでを意味する。 結紮時はまず分枝血管を結紮し、最後に大腿動脈遠位部および大腿動脈近位部を結紮することが好ましい。分枝血管としては、少なくとも大腿深動脈、膝窩動脈、及び最上膝動脈が挙げられる。また、個体によってはこれら以外にも解剖学的に記載のない分枝血管が存在する場合があり、それも含む。結紮には、4−0ブレードシルク、6−0ブレードシルク、4−0ナイロン、6−0ナイロン、2号絹糸、1号絹糸等を使用することができる。 なお、大腿動脈遠位部の結紮は、伏在動脈の起始部より末梢側(下流側)3.0cmまでの任意の部分を結紮することが好ましく、1.5cmまでの任意の部分を結紮することがより好ましい。 大腿動脈近位部の結紮は、大腿動脈の起始部より上流の血管、すなわち、大腿動脈を下流側に引っ張り、そけい靭帯より上流1.0cmまでに位置する任意の部位を結紮することが好ましく、0.8cmまでに位置する任意の部位を結紮することがより好ましい。 必要な血管を全て結紮した後は、結紮した血管を切断・除去(切除)することができる。血管を切断する場合は、出血量を減少させるために、切断部位の上流及び下流0.1cm〜0.5cmの2か所を結紮し、その中央を切断することが好ましい。また、出血が止まらない場合は、適宜、止血をすることが好ましい。 大腿動脈の血流を上記工程により遮断した後は、処置部位を注射用生理食塩水等で洗浄し、出血のないことを確認した後、皮膚を縫合し、処置を終了する。その際、切開した筋肉組織については一般状態スコアに影響を及ぼすため、縫合しないことが好ましい。 また、上述の処置後に、細菌やウイルスの感染防止のため、必要に応じてペニシリン系、セフェム系、カルバペネム系、モノバクタム系、ペネム系、βラクタマーゼ阻害薬配合剤等のβラクタム系、アミノグリコシド系、マクロライド系、ケトライド系、リンコマイシン系、ストレプトグラミン系、テトラサイクリン系、グリコペプチド系、ホスホマイシン系、クロラムフェニコール系、ポリペプチド系、キノロン系、ニューキノロン系、オキサゾリジノン系、サルファ剤、ST合剤等の抗生物質又は合成抗菌薬を投与することができる。これらの抗生物質又は合成抗菌薬は、適宜、経皮、経口、静脈内注射、または筋肉内注射等により投与することができる。 こうして作製された本発明のサルの下肢虚血モデルは、以下の方法によりその虚血の程度を評価することができる。 評価方法1 造影CT検査 造影CTにより微小血管および側副血行路の二次元及び/又は三次元画像を撮影、解析することで、側副血行路の伸長の程度を評価することができる。また、場合によっては半膜様筋の面積及び体積を造影CTにより撮影、解析することで、側副血行路の伸長の程度を評価することができる。造影CT検査時に使用される造影剤としては、特に制限はないが、イオヘキソール注射液、イオパミドール注射液、イオベルソールキット、イオメプロール注射液、イオプロミド注射液、イオキシラン注射液、イオキサグル酸注射液等が挙げられる。これらは市販品を使用することができ、例えばオムニパーク240(第一三共)、オムニパーク300(第一三共)、オムニパーク350(第一三共)、イオパミロン300(バイエル薬品)、イオパミロン370(バイエル薬品)、オプチレイ320(コヴィディエン ジャパン)、イオメロン300(ブラッコ・エーザイ)、イオメロン350(ブラッコ・エーザイ)、プロスコープ300(田辺三菱製薬)、プロスコープ370(田辺三菱製薬)、イマジニール300(ゲルベ・ジャパン)、イマジニール350(ゲルベ・ジャパン)、ヘキサブリックス320(ゲルベ・ジャパン)等が挙げられる。造影剤の投与方法は、特に制限はないが、23ゲージ翼付針及びルアーロック付きの5mLシリンジ(テルモ)を用いて、モデル動物の上腕静脈から5mLを5秒で投与する。投与後、3秒後に静脈叢から動脈叢へ移行することが確認されているので、そのタイミングで撮影を開始する。ただし、動物の体重等により動脈叢への移行時間が異なるため、事前に予備検討を実施することが好ましい。本発明で使用する造影CT装置は、ヒトの検査で使用されるものが好ましく、例えばAquilionTM CX Edition(東芝メディカルシステムズ)、AquilionTM 32列システム(東芝メディカルシステムズ)、AquilionTM 16列システム(東芝メディカルシステムズ)、AquilionTM LBシステム(東芝メディカルシステムズ)、SOMATOM Spirit(シーメンス・ジャパン)、SOMATOM Emotion 6−Slice configuration(シーメンス・ジャパン)、SOMATOM Emotion 16−Slice configuration(シーメンス・ジャパン)、SOMATOM Sensation Open(シーメンス・ジャパン)、SOMATOM Definition AS(シーメンス・ジャパン)、SOMATOM Definition AS+(シーメンス・ジャパン)、Brilliance iCT(フィリップス エレクトロニクス ジャパン)、Brilliance iCT SP(フィリップス エレクトロニクス ジャパン)、Brilliance CT16(フィリップス エレクトロニクス ジャパン)、Brilliance CT BigBore(フィリップス エレクトロニクス ジャパン)等が挙げられる。 評価方法2 酸素飽和度 パルスオキシメーター等の装置により、モデル動物の足親指に赤色光と赤外光を当て、通過した光の強度からヘモグロビンの比率を測定することで虚血の程度を評価することができる。本発明で使用するパルスオキシメーターは特に制限はないが、例えばOxiHeart OX−700(日本精密測器株式会社)、パルキシー(株式会社エスエヌディ)等が挙げられる。 評価方法3 血流量測定 下肢の虚血により血流量が低下するため、レーザ―ドップラー血流計や電磁流量計を用いて直接的に下肢の血流量を測定する、もしくはマイクロスフェア法により間接的に下肢の血流量を測定することで虚血の程度を評価することができる。 これらの血流計は、特に制限されず市販のものを使用することができる。また、マイクロスフェア法で血流量を測定する場合には、モデル動物の左心室にマイクロスフェアを投与し、処置部位より下流の組織や微小血管にトラップされたマイクロスフェアを定量すればよい。投与するマイクロスフェアとしては直径2μm〜25μmのものであればよく、10μm〜15μmのものが好ましい。また、使用するマイクロスフェアは放射標識マイクロスフェア又は蛍光標識マイクロスフェアを使用することができる。 評価方法4 動静脈酸素較差(arterial-venous oxygen difference)試験 下肢虚血患者におけるトレッドミル運動負荷試験を動物モデルに応用したものである。骨格筋に電気刺激を与え、強制的に運動負荷を加えた後、動静脈における酸素濃度をそれぞれ測定し、その差により虚血の程度を評価することができる。具体的には以下の方法により行うことが望ましい。 例えば、右大腿動脈の一部又は全部を外科的に結紮及び/又は切除した後、5および9週時に麻酔下で実施する。右大腿静脈および左大腿動脈に18ゲージサーフロー留置針等を留置する。運動負荷は電気刺激装置(Nihon Kohden社製等)を用い、右薄筋、右大腿直筋、右内側広筋又は右半膜様筋のいずれかと右腓腹筋とに21ゲージ針等を刺し、電極とする。運動負荷電圧は十分な運動負荷がかかるよう、目視で決定する。運動負荷開始前、運動負荷開始15分および30分後に留置針から動脈血ならびに静脈血の採血を行い、それぞれの血中酸素飽和度を測定し、動静脈酸素較差を算出する。重症下肢虚血が生じていれば運動負荷前の動静脈酸素較差と運動負荷後の動静脈酸素較差の差が大きく、機能的側副血行路が十分発達していれば、その差は小さくなる。 評価方法5 運動能の評価 下肢の虚血により動物の運動能が低下するため、以下の評価項目を目視によりスコアリングすることで、虚血の程度を評価することができる。 下肢の麻痺及び姿勢・行動について以下のように6段階点数表で評価する。下肢虚血の程度が重症になるにつれて運動能スコアは大きくなり、Fontaine分類III度〜IV度では下肢の麻痺及び姿勢・行動の合計スコアが5より大きくなる。合計スコアが3〜5であればFontaine分類I度〜II度と判断する。下肢の麻痺 5=虚血側の足を全く使わない、4=虚血側の足を使うこともあるが、力は備わっていない、3=虚血側の足を使うが、ケージを掴むことはできない、2=虚血側の足を頻繁に使うが、ケージを掴むことはできない、1=虚血側の足を比較的自由に使う、0=虚血側の足を正常に使う。姿勢及び行動5:=座位の姿勢、4=座位から時々歩き回る、3=時々ケージに登る、2=よく歩き回る、1=よくケージに登る、0=正常に行動する 評価方法6 病理学的評価 解剖前に体重測定を行う。動物には事前にケタミン15 mg/kgを筋肉内注射等により、深麻酔をかけ、動物を背位にし、上腕動脈等から放血させ、安楽死させる。放血致死後、左右半膜様筋を摘出し重量測定後、体重で補正を行う。反対側は正常コントロールとし、重量比をデータとする。虚血により、左右半膜様筋は萎縮、壊死するため、重量が軽減し、機能的側副血行路が十分に発達していれば、反対側の正常コントロールと同程度となることが期待される。 また、摘出した左右半膜様筋は、重量測定後に10%中性緩衝ホルマリン又は4%パラホルムアルデヒド等で固定することができる。あるいは凍結切片を作製するために凍結組織包埋剤(OCTコンパウンド) 又は生理食塩水等で凍結することができる。 固定した半膜様筋のパラフィン切片を作製し、病理学的な所見を得るとともに、抗CD31抗体、抗von Willebrand factor(vWF)抗体、抗アルファsmooth muscle cell抗体などを用いて免疫組織化学的に微小血管および側副血行路の染色を行うことにより、単位面積当たりの微小血管の新生および側副血行路の伸長の程度を定量評価することができる。例えば、1mm2の視野をランダムに3箇所選択し、陽性血管数をカウントすることにより、定量評価することができる。 評価方法7 サーモグラフィーを用いた足底部の温度評価 サーモグラフィーを用いて左右足底部の温度差を評価することで、虚血の程度を評価することができる。 評価方法8 外表所見 虚血性潰瘍が生じた場合は写真撮影を実施する。部位、深度、壊死の形状を記録する。潰瘍の大きさは長径×短径で評価する。潰瘍の深度は下記の基準でスコアリングを行う。1=表在欠損;2=皮下組織に達する;3=腱もしくは骨の露出;4=腱もしくは骨の壊死。 また、本発明のモデル動物を用いて末梢動脈疾患の治療薬をスクリーニングすることができる。即ち、本発明は、末梢動脈疾患の治療のための薬物、遺伝子、タンパク又は細胞のスクリーニング方法も提供することができ、その方法は以下の工程を含むことによって達成される。 工程1:候補物質を本発明のモデル動物に投与する工程。 工程2、候補物質投与群の虚血の程度を上記評価方法1〜8からなる群から選ばれる1種又は2種以上により評価し、候補物質の投与前後での虚血の程度、又はコントロール群との虚血の程度を比較する工程。 なお、候補物質は、いかなる公知物質および新規物質であってもよく、例えば、微小血管の新生作用または側副血行路の伸長促進作用を有する末梢動脈疾患の治療のための候補薬物、遺伝子、タンパク(HGF, VEGF,aFGF又はbFGFなど)、人工合成ペプチドを含む生理活性ペプチド(アドレノメデュリン、AG−30又はアペリンなど)又は細胞(幹細胞、endothelial progenitor cell (EPC)、Induced pluripotent stem cells (iPS細胞)、自己末梢血細胞、又は自己骨髄細胞など)等が挙げられる。 また、本発明中での末梢動脈とは、心臓及び冠動脈以外の動脈を意味し、内胸動脈、肋頚動脈、肺動脈、大動脈、腕頭動脈、総頚動脈、細動脈、腹大動脈、上横隔動脈、下横隔動脈、腰動脈、正中仙骨動脈、腹腔動脈、上腸間膜動脈、下腸間膜動脈、胃動脈、胃冠状動脈、胃大網動脈、胃十二指腸動脈、空腸動脈、回腸動脈、結腸動脈、中結腸動脈、回結腸動脈、S状結腸動脈、虫垂動脈、上膵十二指腸動脈、下膵十二指腸動脈、辺縁動脈、直動脈、短胃動脈、脾動脈、副腎動脈、腎動脈、頚動脈大腿動脈、膝下動脈、下腹動脈、総腸骨動脈、浅腸骨動脈、腸腰動脈、上膀胱動脈、下膀胱動脈、子宮動脈、腟動脈、上直腸動脈、中直腸動脈、下直腸動脈、臍帯動脈、浅腸骨回旋動脈、深腸骨回旋動脈、外陰部動脈、内陰部動脈、外側仙骨動脈、上殿動脈、下殿動脈、閉鎖動脈、外腸骨動脈、内腸骨動脈、固有肝動脈、総肝動脈、胆嚢動脈、葉間動脈、小葉間動脈、輸入細動脈、輸出細動脈、直細動脈、精巣動脈、精管動脈、浅陰茎背動脈、深陰茎背動脈、陰茎深動脈、ラセン動脈、前陰嚢動脈、後陰嚢動脈、卵巣動脈、上副腎動脈、中副腎動脈、下副腎動脈、鎖骨下動脈、腋窩動脈、浅頸動脈、頸横動脈、背側肩甲動脈、甲状頸動脈、肩甲下動脈、胸肩峰動脈、上腕動脈、上腕深動脈、上腕回旋動脈、最上胸動脈、外側胸動脈、総腸骨間動脈、前骨間動脈、橈骨動脈、尺骨動脈、背側指動脈、母指主動脈、総掌側指動脈、上尺側側副動脈、下尺側側副動脈、上甲状腺動脈、背側中手動脈、大腿深動脈、膝窩動脈、大腿動脈、足背動脈、内側足底動脈、外側足底動脈、腓骨動脈、腓腹動脈、前脛骨動脈、後脛骨動脈、下行膝動脈、内側上膝動脈、外側上膝動脈、内側下膝動脈、外側下膝動脈、中膝動脈、貫通動脈、弓状動脈、内側回旋動脈、及び外側回旋動脈を含む。 また、本発明中での末梢動脈疾患とは、例えば、末梢動脈の血管形成異常、血管損傷、急性動脈閉塞、閉塞性動脈硬化症、頸動脈疾患(頸動脈狭窄症)、椎骨動脈疾患(頭蓋外椎骨動脈狭窄)、腹部内臓動脈疾患(急性腸間膜動脈閉塞症、慢性腸間膜動脈閉塞症、腹腔動脈起始部圧迫症候群、腸間膜血行不全症)、腎動脈疾患(腎動脈狭窄)、高安動脈炎、Behcet病、Buerger病、膠原病(結節性多発動脈炎、アレルギー性肉芽腫性血管炎、Wegener肉芽腫症、SLE、関節リウマチ)、糖尿病性足疾患、機能性疾患(肢端紅痛病、Raynaud現象、カウザルギー)、胸郭出口症候群、鎖骨下動脈盗血症候群、膝窩動脈外膜嚢腫、膝窩動脈捕捉症候群、Blue toe syndrome、及び遺残坐骨動脈疾患、ならびにそれらに起因する急性肢虚血、間歇性跛行、及び重症虚血肢(重症下肢虚血)を含む。 以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。 実施例1 モデル動物の作製 モデル動物は、市販の雄性カニクイザル(Gaoyao Kangda Laboratory Animal Science & Technology)を用いた。 細菌検査(サルモネラ、シゲラ、結核菌)、ウイルス抗体検査(B−VIRUS)、内部寄生虫検査(回虫、蟯虫)および外部寄生虫検査(マイクロスコープによるダニ、ノミ検査)に異常が無いことを確認し、2週間以上検疫を行った生後36ヶ月齢(体重3.0〜3.5 kg)の雄性カニクイザルに対して手術約30分前に注射用ペニシリン製剤(40万Unit)を筋肉内注射した。その後、手術約5分前に塩酸ケタミン(15 mg/kg)を筋肉内注射し、麻酔をかけた。右大腿部を剃毛し、その後、イソジンを用いて消毒を行った。右大腿部の皮膚を出血のないようメスで切開し、右大腿動脈を剥離した。皮膚および皮下脂肪を切開した際に出血が認められた場合、圧迫による止血、あるいは電気メスで凝固させることにより止血を行った。大腿動脈起始部および伏在動脈付近にそれぞれシリコンバンド(vesseloops, Maxxim Medical)を架けた。 次に、大腿深動脈の起始部から大腿深動脈0.5cm〜0.7cmを剥離し、その両端を4−0ブレードシルクで結紮した。さらに、膝窩動脈および最上膝動脈を含む分枝血管についてもそれらの起始部から0.2cm〜0.5cmを剥離し、その両端を4−0ブレードシルクで結紮した。 最後に大腿動脈遠位部および大腿動脈近位部を結紮した。大腿動脈遠位部の結紮は、伏在動脈の起始部、及び伏在動脈起始部より末梢側(下流)0.7cm〜1.0cmを結紮した。大腿動脈近位部の結紮は、大腿動脈の起始部、及び大腿動脈起始部より上流に位置する部位、すなわち、大腿動脈を下流に向かって引っ張り、そけい靭帯より上流へ0.5cm〜0.7cmに位置する部位を結紮した。 それぞれの血管について、2か所の結紮で挟まれた部分の中央を切断し、出血のないよう切断した血管を除去した。処置部位を生理食塩液で洗浄し、出血のないことを確認した後、皮膚を縫合し、処置を終了した。処置後は注射用ペニシリン製剤40万単位を3日間筋肉内注射した。 実施例2 モデル動物の虚血の評価 実施例1で得られた右後肢を虚血肢としたモデル動物について、以下の評価を行った。 実施例2−1 運動能のスコアリング 手術から21日後に運動能のスコアリングを行った。その結果、運動能スコアは正常動物ではスコア=0であるのに対し、モデル動物においては運動能スコアが6.2±0.5まで悪化した。従って、Fontaine分類III度〜IV度に該当するモデル動物が得られた。 実施例2−2造影CTでの評価 手術から35日後に造影CT検査を行い、虚血の程度を観察した。測定は16列ヘリカルCT(シーメンス)にて造影前後の腹部および下肢までのCTを撮影した。これらCT検査の評価は得られたCT画像をもとに画像解析ソフト(Osirix for Mac)を用いて血管の3D画像を作成するとともに、二次元画像により血管数およびCT値の値を算出した。造影CTでのイメージングを行ったところ、大腿動脈の血流が無いことが観察された。 実施例2−3動静脈酸素較差試験 また、運動負荷後の動静脈酸素較差について測定を行った。 全動物に対して手術から5週時にケタミン麻酔下、右大腿静脈および左大腿動脈に18ゲージサーフロー留置針をなるべく奥まで挿入した。運動負荷は電気刺激装置(日本光電)を用い、右薄筋および右腓腹筋に21ゲージ針を刺し、電極とした。運動負荷開始前、運動負荷開始15分後、及び運動負荷開始30分後に留置針から動脈血ならびに静脈血の採血を行い、血中酸素飽和度をi−Stat analyzer 300F(扶桑薬品工業)を用いて測定した。動静脈酸素較差(arterial-venous oxygen difference)の算出は以下の通りとした.負荷後動脈酸素飽和度(%)−負荷後静脈酸素飽和度(%). その結果、運動負荷前は25%であったのに対して、運動負荷15分後では50%、運動負荷30分後では55%まで上昇した。 以上の結果から、得られたモデル動物は十分な下肢虚血を示すことを確認した。 実施例3 薬物のスクリーニング 候補薬物としてピタバスタチンPLGAナノ粒子を用いた。モデル作製から1週間後、実施例1で得られたモデル動物の半膜様筋に、体重あたりピタバスタチンとして4 mg/kgとなるように候補薬物を投与した。無作為に、溶媒対照群(生理食塩水)、同薬剤単回投与群、3日間連続投与群、6日間連続投与群に分け、それぞれの群における下肢の虚血の程度を比較した。なお、候補薬物は、虚血部位に筋肉注射することで投与した。また、臨床応用を鑑み、大腿部の投与部位が重複しないように格子状に印をつけたサージカルテープを張り、投与箇所には投与ごとに印をつけた。 ここで、候補薬物として使用したピタバスタチンPLGAナノ粒子は、WO2008/026702号の実施例i)からiii)に記載の方法に準じて製造した。ピタバスタチンPLGAナノ粒子は、マウスおよびウサギにおいて、微小血管の新生作用、側副血行路の伸張作用を有することが知られている(Arterioscler Thromb Vasc Biol. 2009 Jun;29(6):796-801, J Vasc Surg. 2010 Aug;52(2):412-20.)。 また、ピタバスタチンPLGAナノ粒子は、例えば粉体工学会誌42(11)、765−772(2005)、特開2003−275281号公報、特開2004−262810号公報、特開2006−321763号公報等に記載の方法を参考にして製造することもできる。 実施例3−1 薬物投与後の造影CT検査 全動物に対して手術から5週、9週(薬剤投与後4、8週)に実施した。測定は16列ヘリカルCT(シーメンス)にて造影前後の腹部および下肢までのCTを撮影した。これらCT検査の評価は得られたCT画像をもとに画像解析ソフト(Osirix for Mac)を用いて血管の3D画像を作成するとともに、二次元画像により治療的血管新生の程度を比較検討した。測定項目は各側のそけい部から膝下までの側副血行路数とした。結果を図2に示す。投与後8週において溶媒対照群に比べ、単回投与群は統計学的に有意差が認められなかったのに対して、3日間連続投与群および6日間連続投与群では側副血行路数の増加が認められた(図2)。したがって、ヒトと同様の造影CT検査で側副血行路の伸長が確認できた。 実施例3−2運動能スコア 全動物に対して薬剤投与から14日後に実施した。結果を図3に示す。溶媒対照群に比べ、単回投与群および3日間連続投与群では統計学的に有意差は認められなかった。しかし、6日間連続投与群では運動能スコアの改善が認められた(図3)。 実施例3−3動静脈酸素較差 全動物に対して、手術から5週時にケタミン麻酔下、右大腿静脈および左大腿動脈に18ゲージサーフロー留置針をなるべく奥まで挿入した。運動負荷は電気刺激装置(日本光電)を用い、右薄筋および右腓腹筋に21ゲージ針を刺し、電極とした。運動負荷開始前、運動負荷開始15分後、及び運動負荷開始30分後に留置針から動脈血ならびに静脈血の採血を行い、血中酸素飽和度をi−Stat analyzer 300F(扶桑薬品工業)を用いて測定した。結果を図4に示す。溶媒対照群、単回投与群および3日間連続投与群ではいずれも運動負荷前と運動負荷後の動静脈酸素較差に差が認められた。一方、6日間連続投与群においては、運動負荷15分後及び30分後の動静脈酸素較差の差は縮小していた。このことは機能的な微小血管の新生、成熟した側副血行路の発達により、十分な血液が虚血組織に送達されていることを示している。 以上の結果から、本スクリーニング法はサル下肢虚血モデルに対する薬物評価に利用できることが示された。 本発明の動物モデルは、血管新生および側副血行路の伸長促進作用を有する薬剤、遺伝子、ペプチドあるいは細胞等に対する薬物評価に利用することができる。 大腿動脈近位部から大腿動脈遠位部まで、及びその間に存在する血管分枝を結紮及び/又は切除した、サルの下肢虚血モデル。 下肢虚血が、重症下肢虚血である、請求項1記載のサルの下肢虚血モデル。 サルが、カニクイザルまたはアカゲザルである、請求項1又は2のいずれか1項記載のサルの下肢虚血モデル。 大腿動脈近位部から遠位部まで、及びその間に存在する血管分枝を結紮及び/又は切除することを含む、サルの下肢虚血モデルの作製方法。 下肢虚血が、重症下肢虚血である、請求項4記載のサルの下肢虚血モデルの作製方法。 サルが、カニクイザルまたはアカゲザルである、請求項4又は5のいずれか一項記載のサルの下肢虚血モデルの作製方法、 請求項1〜3記載の下肢虚血モデルに候補物質を投与することを含む、末梢動脈疾患治療作用又は治療的血管新生作用を有する物質のスクリーニング方法。 【課題】サルの下肢虚血モデル、その作製方法、およびそれを用いた末梢動脈疾患の治療のための薬物等のスクリーニング方法を提供する。【解決手段】大腿動脈近位部から大腿動脈遠位部まで、およびその間に存在する血管分枝を結紮および/または切除した、サルの下肢虚血モデルおよびその作製方法、ならびに前記下肢虚血モデルに候補物質を投与することを含む、末梢動脈疾患治療作用又は治療的血管新生作用を有する物質のスクリーニング方法。【選択図】なし