生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法
出願番号:2010270757
年次:2012
IPC分類:G01N 31/00,G01N 1/10,G01N 1/28


特許情報キャッシュ

中塚 清次 清水 透 高橋 秀一 JP 2012118032 公開特許公報(A) 20120621 2010270757 20101203 無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法 DOWAテクノロジー株式会社 507027162 阿仁屋 節雄 100091362 清野 仁 100105256 奥山 知洋 100161034 中塚 清次 清水 透 高橋 秀一 G01N 31/00 20060101AFI20120525BHJP G01N 1/10 20060101ALI20120525BHJP G01N 1/28 20060101ALI20120525BHJP JPG01N31/00 YG01N1/10 FG01N1/28 XG01N31/00 V 4 1 OL 10 2G042 2G052 2G042AA01 2G042BA03 2G042BD10 2G042CA03 2G042CA08 2G042CB04 2G042DA04 2G042EA01 2G042EA03 2G042FA01 2G042FB02 2G052AA11 2G052AB11 2G052AD26 2G052AD35 2G052AD42 2G052AD55 2G052FD09 2G052FD16 2G052JA04 2G052JA09 本発明は、セラミックス、導電性ペースト、銀電池等に使用される酸化銀粉等の無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法に関する。 無機材の粉体である無機粉体は、産業上さまざまな用途において用いられている。無機粉体そのものも市場において流通される製品であるが、無機粉体を原料として成形品を製造するセラミックス製品、磁石製品、電池などがある。これらは、多種の機能別の粉体を混合してなる製品が殆どである。 無機粉体は、何らかの有機物を表面処理剤として被覆されている。これは、表面処理剤によって無機粉体同士の固着を防止し分散性を高める目的や、無機粉体と他の樹脂などの材料との混合の際に、当該混合をし易くすることが目的である。 これらの有機物の表面処理剤の種類は他種多様であり、無機粉体の性状、使用目的用途によって設計・選択されている。 そして無機粉体の分散等を改善する表面処理剤として高級脂肪酸があり、様々な用途に用いられている。高級脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸などが代表的である。 高級脂肪酸は、上述した表面処理剤以外の目的にも用いられる場合がある。一方、無機粉体に所望特性を発揮させる為、複数の高級脂肪酸の混合や、高級脂肪酸と糖類、アルコール、有機酸とを混合する多種混合も用いられている。無機粉体において所望特性を得る為に、高級脂肪酸を始めとして用いられる有機物は、種類、量とも重要な管理項目として製造工程において管理されている。従って、無機粉体を始めとする各種製品に含まれる高級脂肪酸を始めとした有機物の量を定量することは、品質管理においては重要な事項である。また、各種製品開発においても、実際の製品における高級脂肪酸を始めとした有機酸の含有量をデータ化することは、試験水準を決定する上で重要な情報である。 ここで高級脂肪酸を分析する方法としては、ガスクロマトグラフィー(本発明において「G.C」と記載する場合がある。)で分析可能な誘導体へ変化させた後、当該G.Cを用いて分析を行う方法がある(例えば、非特許文献1参照)。神原 周、藤原 鎮男編集、高分子分析ハンドブック、(株)朝倉書店刊、昭和40年5月30日発行、285〜286頁 無機粉体を始めとする各種製品への、高級脂肪酸を始めとした有機物の添加量等は、添加時における装置の制御により管理できる。しかし、実際にどの程度の量の高級脂肪酸を始めとした有機物が無機粉体に含有されているかを定量しようとする際には、上述したように複数の有機物が混在する為、正確な定量分析をするための試料調整に長時間を費やす為、製造工程へのフィードバックには間に合わない。即ち、工程管理に利用しながら無機粉体に含有されている高級脂肪酸を定量分析する方法がなかった。 本発明は、上述の状況の下で為されたものであり、その解決しようとする課題は、無機粉体、特に酸化銀粉に含有される高級脂肪酸量を、簡便且つ正確に定量分析出来る方法を提供することである。 上述の課題を解決する為、本発明者らは鋭意研究を行った。 そして、所定の溶媒を用いて溶媒抽出を行うことで、無機粉体に含まれる高級脂肪酸と、糖類、アルコールとを、95%以上の精度をもって分離を出来るとの知見を得た。 次に、分離された高級脂肪酸を炭素分析計にて分析することで、高級脂肪酸量を迅速、簡便、且つ正確に定量分析可能であるとの知見を得て本発明を完成した。 すなわち、上述の課題を解決するための第1の発明は、 高級脂肪酸を含む無機粉体に酸を添加して、当該無機粉体を溶解し金属溶液とする工程と、 当該金属溶液へ、高級脂肪酸を溶解可能であり、25℃で液体であり、沸点50℃以下であり、水に不溶である有機溶媒を添加して混合した後、水相と有機相とに分離する工程と、 当該有機相から分取した有機相分取液の当該有機溶媒を除去し、残渣中の炭素量を測定する工程とを、有することを特徴とする無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法である。 第2の発明は、 前記有機溶媒として、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロホルムから選択される1種以上を用いることを第1の発明に記載の無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法である。 第3の発明は、 前記残渣中の炭素量を測定する方法として、炭素自動分析機を用いることを特徴とする第1または第2の発明に記載の無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法である。 第4の発明は、 前記無機粉体が銀粉であることを特徴とする第1から第3の発明のいずれかに記載の無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法である。 本発明に係る無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法によれば、導電性ペースト、銀電池等に使用される無機粉体に含有される高級脂肪酸を、簡便且つ正確に定量分析出来た。本発明に係る無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法の操作を示すフロー図である。ステアリン酸の既知量と測定値とを示す検量線である。試料のpH値とステアリン酸の抽出率を示すグラフである。表面処理剤を含む酸化銀粉表面のFT−IRスペクトルである。有機層から分取した試料の残留物のFT−IRスペクトルである。試薬特級グレードのステアリン酸のFT−IRスペクトルである。有機層から分取した試料の残留物のG.C−MSチャートである。 本発明は、無機粉体に含有される高級脂肪酸を、簡便且つ正確に定量分析出来る方法を提供することを目的とした発明である。無機粉体としては、酸化銀粉、酸化銅粉など、金属系の無機粉体に適応するのが好ましい。酸に溶解しやすいからである。 具体的には、無機粉体に表面処理剤として含有される高級脂肪酸とその他不純物との分離精製を行い、高級脂肪酸を単離すること。単離された高級脂肪酸のみを、95%以上の高い回収率で回収すること。そして回収された高級脂肪酸を分析精度5%以内で分析することである。併せて、誘導体化等の高度な前処理を必要としない測定方法を探索し、測定時間(従来のGC−MS、LCの場合、18時間程度掛かっていた。)を、30分間程度に短縮することである。 そして、上述した無機粉体に含有される高級脂肪酸の簡便且つ正確な定量分析方法により、品質管理指標を得ることである。 本発明に係る無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法について、図面を参照しながら説明する。 図1は、本発明に係る無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法の操作を示すフロー図である。 被測定物は、銀電池等に使用される酸化銀粉等の無機粉体であって、高級脂肪酸(ステアリン酸等)、各種糖類、アルコール類等からなる表面処理剤を含有するものである。 当該被測定物を所定量(例えば、2g)準備し、精密に秤量する。 精秤した被測定物へ酸を添加する。添加する酸としては、濃度6M〜12Mの硝酸、濃度1M〜12Mの塩酸等が好ましく使用できる。但し、無機粉体を溶解する際に生成する脂肪酸を遊離させるため、酸のプロトン濃度は高い方が望ましい。なお、本方法は、被測定物中の高級脂肪酸は1質量%以下の微量における場合も適用できる。 酸の添加量は、精秤した被測定物の反応当量に比して過剰量を加える。例えば、濃度6M〜10Mの硝酸を用いるなら20mlを加える。尚、当該酸の純度は、試薬特級水準であることが好ましい。 被測定物を酸に溶解させ被測定物溶液を得る。この溶解の際、混合物の温度が50℃以下を保つように留意する。これは、金属イオンと高級脂肪酸とが石鹸を形成する反応を回避する為である。さらに、混合物へ超音波を照射し、被測定物の酸への溶解を促進することも好ましい構成である。 詳細は後述するが、被測定物溶液のpH値は3以下とすること好ましい。当該構成を採ることで、次工程において高級脂肪酸を安定的に有機相へ移行させることが出来る。 ここで、上述した酸の添加による、高級脂肪酸の遊離について説明する。 まず、被測定物へ酸として硝酸を添加した場合、(式1)の反応が進行すると考えられる。 一方、(式1)と同時に(式2)も進行する。 Ag:(高級脂肪酸、高級脂肪酸イオン、アルコール、糖)+HNO3→Ag++NO2+高級脂肪酸(高級脂肪酸イオン)+H2O・・・(式1) (式1)の反応により、AgはAg+となり、アルコール、糖は酸化されてH2OとCO2となり、CO2は揮散するか炭酸となる。 高級脂肪酸イオン+H+→高級脂肪酸・・・(式2) (式2)の反応により、高級脂肪酸イオンは酸化されて高級脂肪酸となる。 結局、(式1)(式2)の進行により、当初のAg:(高級脂肪酸、高級脂肪酸イオン、アルコール、糖)は、Ag++NO2+高級脂肪酸+H2Oとなる。 被測定物溶液の液温が常温(25℃)となったら、ここへ有機溶媒を添加する。 当該有機溶媒は、高級脂肪酸を溶解可能であり、25℃で液体であり、沸点50℃以下であり、水に不溶であるものが求められる。本発明者らは、(式1)(式2)で説明した高級脂肪酸は十分に溶解する一方、25℃で液体であり、沸点50℃以下であり、水に不溶な有機溶媒の好ましい例としてジクロロメタンを知見した。ジクロロメタンは、遊離した高級脂肪酸を抽出するのに適していると考えられる。 有機溶媒の添加量は、被測定物溶液量と同量程度で良い。また、後述する溶媒蒸発時に揮発除去を迅速化するため、低沸点溶媒(40℃程度)であることが好ましいが、ジクロロメタンの沸点は40℃でありこの点でも好ましい。 被測定物溶液と有機溶媒との混合物を十分に撹拌する。撹拌方法としては、振とう撹拌等が好ましい。 被測定物溶液と有機溶剤との混合物を、水相と有機相とに分液する。分液の際、前記混合物を遠心分離することで分液を早く完了でき好ましい構成である。今回の混合物のように40ml程度の量であれば、3000rpm、10分間程度の遠心分離をすることで分液を完了出来る。 分液が完了したら水相と有機相とを分け、有機層から所定量の試料を分取する。分取量は、例えば2mlで良い。 当該分取試料を多孔質ボードに含浸させた後、当該ボードをドラフト内にて50℃ 0.5時間加熱して有機溶媒を蒸発乾燥させて乾固させ残渣を得た。当該有機溶媒が蒸散した多孔質のボードを炭素分析計に装填し、測定された炭素量から、銀粉に含有された高級脂肪酸の炭素量が測定された。ここで、予め銀粉に含有された表面処理剤中における高級脂肪酸の種類と含有量とを確認しておけば、当該測定された炭素量から、銀粉に含有された高級脂肪酸の種類と含有量とを算定出来る。(炭素分析計の校正と検量線の作成) 本発明に係る無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法に用いる炭素分析計の校正と検量線の作成について説明する。 炭素分析計の校正と検量線の作成の具体的方法について説明する。 (1)炭素分析計を鉄鋼標準物質で校正する。 (2)既知量のステアリン酸を含むジクロロメタン溶液を所定量採取し、炭素自動分析機用素焼きボードに浸透させる。 (3)炭素自動分析機用素焼きボードに浸透させた既知量のステアリン酸を含むジクロロメタン溶液を蒸発乾固し、炭素分析計で測定し、ステアリン酸量を算定した。 (4)ステアリン酸の既知量と、炭素分析計で測定し算定したステアリン酸量とを比較して検量線を作成し、分析精度も確認した。当該検量線を図2に示す。 図2は縦軸にステアリン酸の測定値をとり、横軸にステアリン酸の既知量をとったグラフである。 図3より分析精度は、変動係数として1.4%(n=3)であることが判明した。(有機相への高級脂肪酸抽出率のpH依存性) 上述した(式2)に関連して、高級脂肪酸(ステアリン酸等)の有機相への抽出率が、被測定物溶液のpH値にどの様に依存性するかについて検討した結果について説明する。 まず検討用試料を調製した。 純水20mlにステアリン酸20gを加えた後、硝酸または水酸化ナトリウムを添加して、pH値が0、3、5、7および9の5種の試料を調製した。当該試料へそれぞれジクロロメタン20mlを添加して検討用試料を調製した。 当該検討用試料を5分間振とう撹拌し分液を完了してから、有機相中に抽出されたステアリン酸量の定量値を、上述した方法により測定した。 当該測定結果を図3に示す。図3は縦軸にステアリン酸の抽出率、横軸に試料のpH値をとったグラフである。 図3より、試料のpH値が3以下であればステアリン酸の抽出率が95質量%を超え安定していることが判明した。 (まとめ) 本発明では、表面処理剤(高級脂肪酸)を含む無機粉体へ、反応当量に対して大過剰の酸を添加し、低温で溶解した。そして、得られた金属溶解液を、高級脂肪酸を溶解可能であり、25℃で液体であり、沸点50℃以下であり、且つ水に不溶である有機溶媒で抽出することにより、表面処理剤中の高級脂肪酸を95%以上の回収率で抽出した。 次に、当該有機相から所定量の試料を分種し、当該試料を50℃で蒸発乾燥して乾固した後、残渣を炭素分析計で測定した。測定された炭素量から高級脂肪酸濃度を計算したものである。 具体的には、無機粉体を低温溶解させることで、分解後の金属イオンと脂肪酸の結合(金属石けんの生成)を防止し、溶媒抽出を容易にした。 所定の有機溶媒を有機相に用いた溶媒抽出法により、表面処理剤中不純物である糖類,アルコールと、目的物質である高級脂肪酸との分離を95%以上で可能にした。 高級脂肪酸を含む有機相の所定量を蒸発乾固し、残渣の炭素分析を行うことで、迅速かつ再現精度の高いデータが得られた(n=3、変動係数=1.4 %)。 本発明に係る高級脂肪酸の定量分析方法は誘導体化処理を必要としないため,操作手順が簡略化された(誘導体化処理では18時間程度かかっていたが、本発明では試料の蒸発乾燥後30分間程度で終了出来た。)。 この結果、無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法においては、分析にGC−MSやLC−MSの使用が不要な為、誘導体化等のステップが不要になり、定量操作が簡便、容易になった。さらに、従来の技術に係る誘導体化・GC−MSで測定では、定量化が困難な為、品質管理項目として求められる高級脂肪酸量の定量性を確保出来ていなかったが、本発明により可能となった。 実施例を参照しながら、本発明をより具体的に説明する。 攪拌下においてAg濃度50g/l の硝酸銀水溶液に、当量(炭酸ナトリウム/Agのモル比0.5)の炭酸ナトリウム水溶液を加え、pHが5.5〜6.5となるように硝酸とアンモニア水とでpHを調整しながら、炭酸銀の沈殿の析出、成長、顆粒化までの工程における溶解、析出を繰り返すことにより沈殿を得た。この沈殿を洗浄、濾過し、100℃で乾燥させた後徐々に昇温させ最大温度250℃で乾燥、加熱分解して酸化銀粉末を得た。 1Lビーカーに純水463gをとり、上記得られた酸化銀粉20gと、当該酸化銀粉に対して高級脂肪酸量が0.36質量%となるように表面処理剤としてセラミック材料の添加剤である中京油脂株式会社製 セロゾール(高級脂肪酸、多種有機物含)を0.465g添加し、2.33質量%の酸化銀スラリーを得た。そして当該酸化銀スラリーより、ブフナー漏斗を用いて固形分を採取した。続いて、ブフナー漏斗を用いて当該固形分を水洗し、70℃大気中において12時間乾燥した。当該乾燥物を425メッシュの篩を通し、篩下として実施例に係る表面処理剤を含む酸化銀粉試料を得た。得られた試料粉の物性を測定した結果。比表面積は、BET1点法により、0.31m2/g、D50平均粒径は、マイクロトラックによる測定の結果、14.4μmであった。 得られた実施例に係る表面処理剤を含む酸化銀粉2gを精密に秤量し、濃度6Mの硝酸(試薬特級)20mlを加え、混合物の温度を50℃以下に保ちながら超音波を照射し、酸化銀粉を溶解した。溶液の液温が25℃となったらジクロロメタン20mlを加え、振とう撹拌により十分に撹拌した後、3000rpm、10分間遠心分離し、静置して水相と有機相とに分液した。そして、有機層から2mlの試料を分取し、炭素自動分析機用素焼きボードに含浸させた。そして当該素焼きボードをドラフト中、50℃で、0.5時間設置し、ジクロロメタンを蒸発させて、残留物を蒸発乾固させた。そして当該素焼きボードを炭素自動分析機に装填し、得られた残留物中の炭素量を測定した。 測定された炭素は、全て酸化銀粉に付着した高級脂肪酸に由来し、高級脂肪酸中のステアリン酸およびパルミチン酸の配合量は維持されていると仮定して、ステアリン酸量を算定したところ、酸化銀粉に対して0.33質量%であることが判明した。当該0.33質量%という値は、当初の仕込み量が0.36質量%であることから考えて、高精度な結果であると考えられる。 当該ステアリン酸量の結果を得るまでの時間は、表面処理剤を含む酸化銀粉2gを精密に秤量した時点から、1検体当り20分間(1検体当り10試料を分析)であった。 尚、上述の仮定を確認するため、表面処理剤を含む酸化銀粉表面のFT−IRスペクトルを測定し図4に示した。次に、有機層から分取した試料の残留物のFT−IRスペクトルを測定し図5に示した。さらに、試薬特級グレードのステアリン酸をのFT−IRスペクトルを測定し図6に示した。 図4と図6の比較より、酸化銀粉表面の表面処理剤は高級脂肪酸と、糖類およびアルコール類を含有していることが含むことが判明した。一方、図5と図6の比較より、ジクロロメタン中には高級脂肪酸のみが抽出されていることが判明した。 図7は、有機層から分取した試料の残留物をエステル化し、n−へキサン抽出したものをカラム精製し、G.C−MSで測定した結果を示すチャートである。 当該チャートから、試料の残留物はステアリン酸エステルとパルミチンサンエステルであることが確認出来た。 高級脂肪酸を含む無機粉体に酸を添加して、当該無機粉体を溶解し金属溶液とする工程と、 当該金属溶液へ、高級脂肪酸を溶解可能であり、25℃で液体であり、沸点50℃以下であり、水に不溶である有機溶媒を添加して混合した後、水相と有機相とに分離する工程と、 当該有機相から分取した有機相分取液の当該有機溶媒を除去し、残渣中の炭素量を測定する工程とを、有することを特徴とする無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法。 前記有機溶媒として、四塩化炭素、ジクロロメタン、クロロホルムから選択される1種以上を用いることを請求項1に記載の無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法。 前記残渣中の炭素量を測定する方法として、炭素自動分析機を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法。 前記無機粉体が銀粉であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法。 【課題】無機粉体、特に酸化銀粉に含有される高級脂肪酸量を、簡便且つ正確に定量分析出来る方法を提供する【解決手段】高級脂肪酸を含む無機粉体に酸を添加して、当該無機粉体を溶解し金属溶液とする工程と、当該金属溶液へ、高級脂肪酸を溶解可能であり、25℃で液体であり、沸点50℃以下であり、水に不溶である有機溶媒を添加して混合した後、水相と有機相とに分離する工程と、当該有機相から当該有機溶媒を除去し、残渣中の炭素量を測定する工程とを、有する無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法を提供する。 【選択図】図1


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特許公報(B2)_無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法
出願番号:2010270757
年次:2014
IPC分類:G01N 31/00,G01N 1/10,G01N 1/28


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中塚 清次 清水 透 高橋 秀一 JP 5622543 特許公報(B2) 20141003 2010270757 20101203 無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法 DOWAテクノロジー株式会社 507027162 阿仁屋 節雄 100091362 清野 仁 100105256 奥山 知洋 100161034 中塚 清次 清水 透 高橋 秀一 20141112 G01N 31/00 20060101AFI20141023BHJP G01N 1/10 20060101ALI20141023BHJP G01N 1/28 20060101ALI20141023BHJP JPG01N31/00 YG01N1/10 FG01N1/28 XG01N31/00 V G01N 31/00−31/22 G01N 1/10 JSTPlus(JDreamIII) 特開平08−306032(JP,A) 特開2009−084614(JP,A) 特開2010−078558(JP,A) 4 2012118032 20120621 9 20131003 草川 貴史 本発明は、セラミックス、導電性ペースト、銀電池等に使用される酸化銀粉等の無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法に関する。 無機材の粉体である無機粉体は、産業上さまざまな用途において用いられている。無機粉体そのものも市場において流通される製品であるが、無機粉体を原料として成形品を製造するセラミックス製品、磁石製品、電池などがある。これらは、多種の機能別の粉体を混合してなる製品が殆どである。 無機粉体は、何らかの有機物を表面処理剤として被覆されている。これは、表面処理剤によって無機粉体同士の固着を防止し分散性を高める目的や、無機粉体と他の樹脂などの材料との混合の際に、当該混合をし易くすることが目的である。 これらの有機物の表面処理剤の種類は他種多様であり、無機粉体の性状、使用目的用途によって設計・選択されている。 そして無機粉体の分散等を改善する表面処理剤として高級脂肪酸があり、様々な用途に用いられている。高級脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸などが代表的である。 高級脂肪酸は、上述した表面処理剤以外の目的にも用いられる場合がある。一方、無機粉体に所望特性を発揮させる為、複数の高級脂肪酸の混合や、高級脂肪酸と糖類、アルコール、有機酸とを混合する多種混合も用いられている。無機粉体において所望特性を得る為に、高級脂肪酸を始めとして用いられる有機物は、種類、量とも重要な管理項目として製造工程において管理されている。従って、無機粉体を始めとする各種製品に含まれる高級脂肪酸を始めとした有機物の量を定量することは、品質管理においては重要な事項である。また、各種製品開発においても、実際の製品における高級脂肪酸を始めとした有機酸の含有量をデータ化することは、試験水準を決定する上で重要な情報である。 ここで高級脂肪酸を分析する方法としては、ガスクロマトグラフィー(本発明において「G.C」と記載する場合がある。)で分析可能な誘導体へ変化させた後、当該G.Cを用いて分析を行う方法がある(例えば、非特許文献1参照)。神原 周、藤原 鎮男編集、高分子分析ハンドブック、(株)朝倉書店刊、昭和40年5月30日発行、285〜286頁 無機粉体を始めとする各種製品への、高級脂肪酸を始めとした有機物の添加量等は、添加時における装置の制御により管理できる。しかし、実際にどの程度の量の高級脂肪酸を始めとした有機物が無機粉体に含有されているかを定量しようとする際には、上述したように複数の有機物が混在する為、正確な定量分析をするための試料調整に長時間を費やす為、製造工程へのフィードバックには間に合わない。即ち、工程管理に利用しながら無機粉体に含有されている高級脂肪酸を定量分析する方法がなかった。 本発明は、上述の状況の下で為されたものであり、その解決しようとする課題は、無機粉体、特に酸化銀粉に含有される高級脂肪酸量を、簡便且つ正確に定量分析出来る方法を提供することである。 上述の課題を解決する為、本発明者らは鋭意研究を行った。 そして、所定の溶媒を用いて溶媒抽出を行うことで、無機粉体に含まれる高級脂肪酸と、糖類、アルコールとを、95%以上の精度をもって分離を出来るとの知見を得た。 次に、分離された高級脂肪酸を炭素分析計にて分析することで、高級脂肪酸量を迅速、簡便、且つ正確に定量分析可能であるとの知見を得て本発明を完成した。 すなわち、上述の課題を解決するための第1の発明は、 高級脂肪酸を含む無機粉体に酸を添加して、当該無機粉体を溶解し金属溶液とする工程と、 当該金属溶液へ、高級脂肪酸を溶解可能であり、25℃で液体であり、沸点50℃以下であり、水に不溶である有機溶媒を添加して混合した後、水相と有機相とに分離する工程と、 当該有機相から分取した有機相分取液の当該有機溶媒を除去し、残渣中の炭素量を測定する工程とを、有することを特徴とする無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法である。 第2の発明は、 前記有機溶媒として、ジクロロメタンを用いることを第1の発明に記載の無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法である。 第3の発明は、 前記残渣中の炭素量を測定する方法として、炭素自動分析機を用いることを特徴とする第1または第2の発明に記載の無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法である。 第4の発明は、 前記無機粉体が酸化銀粉であることを特徴とする第1から第3の発明のいずれかに記載の無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法である。 本発明に係る無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法によれば、導電性ペースト、銀電池等に使用される無機粉体に含有される高級脂肪酸を、簡便且つ正確に定量分析出来た。本発明に係る無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法の操作を示すフロー図である。ステアリン酸の既知量と測定値とを示す検量線である。試料のpH値とステアリン酸の抽出率を示すグラフである。表面処理剤を含む酸化銀粉表面のFT−IRスペクトルである。有機層から分取した試料の残留物のFT−IRスペクトルである。試薬特級グレードのステアリン酸のFT−IRスペクトルである。有機層から分取した試料の残留物のG.C−MSチャートである。 本発明は、無機粉体に含有される高級脂肪酸を、簡便且つ正確に定量分析出来る方法を提供することを目的とした発明である。無機粉体としては、酸化銀粉、酸化銅粉など、金属系の無機粉体に適応するのが好ましい。酸に溶解しやすいからである。 具体的には、無機粉体に表面処理剤として含有される高級脂肪酸とその他不純物との分離精製を行い、高級脂肪酸を単離すること。単離された高級脂肪酸のみを、95%以上の高い回収率で回収すること。そして回収された高級脂肪酸を分析精度5%以内で分析することである。併せて、誘導体化等の高度な前処理を必要としない測定方法を探索し、測定時間(従来のGC−MS、LCの場合、18時間程度掛かっていた。)を、30分間程度に短縮することである。 そして、上述した無機粉体に含有される高級脂肪酸の簡便且つ正確な定量分析方法により、品質管理指標を得ることである。 本発明に係る無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法について、図面を参照しながら説明する。 図1は、本発明に係る無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法の操作を示すフロー図である。 被測定物は、銀電池等に使用される酸化銀粉等の無機粉体であって、高級脂肪酸(ステアリン酸等)、各種糖類、アルコール類等からなる表面処理剤を含有するものである。 当該被測定物を所定量(例えば、2g)準備し、精密に秤量する。 精秤した被測定物へ酸を添加する。添加する酸としては、濃度6M〜12Mの硝酸、濃度1M〜12Mの塩酸等が好ましく使用できる。但し、無機粉体を溶解する際に生成する脂肪酸を遊離させるため、酸のプロトン濃度は高い方が望ましい。なお、本方法は、被測定物中の高級脂肪酸は1質量%以下の微量における場合も適用できる。 酸の添加量は、精秤した被測定物の反応当量に比して過剰量を加える。例えば、濃度6M〜10Mの硝酸を用いるなら20mlを加える。尚、当該酸の純度は、試薬特級水準であることが好ましい。 被測定物を酸に溶解させ被測定物溶液を得る。この溶解の際、混合物の温度が50℃以下を保つように留意する。これは、金属イオンと高級脂肪酸とが石鹸を形成する反応を回避する為である。さらに、混合物へ超音波を照射し、被測定物の酸への溶解を促進することも好ましい構成である。 詳細は後述するが、被測定物溶液のpH値は3以下とすること好ましい。当該構成を採ることで、次工程において高級脂肪酸を安定的に有機相へ移行させることが出来る。 ここで、上述した酸の添加による、高級脂肪酸の遊離について説明する。 まず、被測定物へ酸として硝酸を添加した場合、(式1)の反応が進行すると考えられる。 一方、(式1)と同時に(式2)も進行する。 Ag:(高級脂肪酸、高級脂肪酸イオン、アルコール、糖)+HNO3→Ag++NO2+高級脂肪酸(高級脂肪酸イオン)+H2O・・・(式1) (式1)の反応により、AgはAg+となり、アルコール、糖は酸化されてH2OとCO2となり、CO2は揮散するか炭酸となる。 高級脂肪酸イオン+H+→高級脂肪酸・・・(式2) (式2)の反応により、高級脂肪酸イオンは酸化されて高級脂肪酸となる。 結局、(式1)(式2)の進行により、当初のAg:(高級脂肪酸、高級脂肪酸イオン、アルコール、糖)は、Ag++NO2+高級脂肪酸+H2Oとなる。 被測定物溶液の液温が常温(25℃)となったら、ここへ有機溶媒を添加する。 当該有機溶媒は、高級脂肪酸を溶解可能であり、25℃で液体であり、沸点50℃以下であり、水に不溶であるものが求められる。本発明者らは、(式1)(式2)で説明した高級脂肪酸は十分に溶解する一方、25℃で液体であり、沸点50℃以下であり、水に不溶な有機溶媒の好ましい例としてジクロロメタンを知見した。ジクロロメタンは、遊離した高級脂肪酸を抽出するのに適していると考えられる。 有機溶媒の添加量は、被測定物溶液量と同量程度で良い。また、後述する溶媒蒸発時に揮発除去を迅速化するため、低沸点溶媒(40℃程度)であることが好ましいが、ジクロロメタンの沸点は40℃でありこの点でも好ましい。 被測定物溶液と有機溶媒との混合物を十分に撹拌する。撹拌方法としては、振とう撹拌等が好ましい。 被測定物溶液と有機溶剤との混合物を、水相と有機相とに分液する。分液の際、前記混合物を遠心分離することで分液を早く完了でき好ましい構成である。今回の混合物のように40ml程度の量であれば、3000rpm、10分間程度の遠心分離をすることで分液を完了出来る。 分液が完了したら水相と有機相とを分け、有機層から所定量の試料を分取する。分取量は、例えば2mlで良い。 当該分取試料を多孔質ボードに含浸させた後、当該ボードをドラフト内にて50℃ 0.5時間加熱して有機溶媒を蒸発乾燥させて乾固させ残渣を得た。当該有機溶媒が蒸散した多孔質のボードを炭素分析計に装填し、測定された炭素量から、銀粉に含有された高級脂肪酸の炭素量が測定された。ここで、予め銀粉に含有された表面処理剤中における高級脂肪酸の種類と含有量とを確認しておけば、当該測定された炭素量から、銀粉に含有された高級脂肪酸の種類と含有量とを算定出来る。(炭素分析計の校正と検量線の作成) 本発明に係る無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法に用いる炭素分析計の校正と検量線の作成について説明する。 炭素分析計の校正と検量線の作成の具体的方法について説明する。 (1)炭素分析計を鉄鋼標準物質で校正する。 (2)既知量のステアリン酸を含むジクロロメタン溶液を所定量採取し、炭素自動分析機用素焼きボードに浸透させる。 (3)炭素自動分析機用素焼きボードに浸透させた既知量のステアリン酸を含むジクロロメタン溶液を蒸発乾固し、炭素分析計で測定し、ステアリン酸量を算定した。 (4)ステアリン酸の既知量と、炭素分析計で測定し算定したステアリン酸量とを比較して検量線を作成し、分析精度も確認した。当該検量線を図2に示す。 図2は縦軸にステアリン酸の測定値をとり、横軸にステアリン酸の既知量をとったグラフである。 図2より分析精度は、変動係数として1.5%(n=2)以下であることが判明した。(有機相への高級脂肪酸抽出率のpH依存性) 上述した(式2)に関連して、高級脂肪酸(ステアリン酸等)の有機相への抽出率が、被測定物溶液のpH値にどの様に依存性するかについて検討した結果について説明する。 まず検討用試料を調製した。 純水20mlにステアリン酸20gを加えた後、硝酸または水酸化ナトリウムを添加して、pH値が0、3、5、7および9の5種の試料を調製した。当該試料へそれぞれジクロロメタン20mlを添加して検討用試料を調製した。 当該検討用試料を5分間振とう撹拌し分液を完了してから、有機相中に抽出されたステアリン酸量の定量値を、上述した方法により測定した。 当該測定結果を図3に示す。図3は縦軸にステアリン酸の抽出率、横軸に試料のpH値をとったグラフである。 図3より、試料のpH値が3以下であればステアリン酸の抽出率が95質量%を超え安定していることが判明した。 (まとめ) 本発明では、表面処理剤(高級脂肪酸)を含む無機粉体へ、反応当量に対して大過剰の酸を添加し、低温で溶解した。そして、得られた金属溶解液を、高級脂肪酸を溶解可能であり、25℃で液体であり、沸点50℃以下であり、且つ水に不溶である有機溶媒で抽出することにより、表面処理剤中の高級脂肪酸を95%以上の回収率で抽出した。 次に、当該有機相から所定量の試料を分種し、当該試料を50℃で蒸発乾燥して乾固した後、残渣を炭素分析計で測定した。測定された炭素量から高級脂肪酸濃度を計算したものである。 具体的には、無機粉体を低温溶解させることで、分解後の金属イオンと脂肪酸の結合(金属石けんの生成)を防止し、溶媒抽出を容易にした。 所定の有機溶媒を有機相に用いた溶媒抽出法により、表面処理剤中不純物である糖類,アルコールと、目的物質である高級脂肪酸との分離を95%以上で可能にした。 高級脂肪酸を含む有機相の所定量を蒸発乾固し、残渣の炭素分析を行うことで、迅速かつ再現精度の高いデータが得られた(n=3、変動係数=1.4 %)。 本発明に係る高級脂肪酸の定量分析方法は誘導体化処理を必要としないため,操作手順が簡略化された(誘導体化処理では18時間程度かかっていたが、本発明では試料の蒸発乾燥後30分間程度で終了出来た。)。 この結果、無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法においては、分析にGC−MSやLC−MSの使用が不要な為、誘導体化等のステップが不要になり、定量操作が簡便、容易になった。さらに、従来の技術に係る誘導体化・GC−MSで測定では、定量化が困難な為、品質管理項目として求められる高級脂肪酸量の定量性を確保出来ていなかったが、本発明により可能となった。 実施例を参照しながら、本発明をより具体的に説明する。 攪拌下においてAg濃度50g/l の硝酸銀水溶液に、当量(炭酸ナトリウム/Agのモル比0.5)の炭酸ナトリウム水溶液を加え、pHが5.5〜6.5となるように硝酸とアンモニア水とでpHを調整しながら、炭酸銀の沈殿の析出、成長、顆粒化までの工程における溶解、析出を繰り返すことにより沈殿を得た。この沈殿を洗浄、濾過し、100℃で乾燥させた後徐々に昇温させ最大温度250℃で乾燥、加熱分解して酸化銀粉末を得た。 1Lビーカーに純水463gをとり、上記得られた酸化銀粉20gと、当該酸化銀粉に対して高級脂肪酸量が0.36質量%となるように表面処理剤としてセラミック材料の添加剤である中京油脂株式会社製 セロゾール(高級脂肪酸、多種有機物含)を0.465g添加し、2.33質量%の酸化銀スラリーを得た。そして当該酸化銀スラリーより、ブフナー漏斗を用いて固形分を採取した。続いて、ブフナー漏斗を用いて当該固形分を水洗し、70℃大気中において12時間乾燥した。当該乾燥物を425メッシュの篩を通し、篩下として実施例に係る表面処理剤を含む酸化銀粉試料を得た。得られた試料粉の物性を測定した結果。比表面積は、BET1点法により、0.31m2/g、D50平均粒径は、マイクロトラックによる測定の結果、14.4μmであった。 得られた実施例に係る表面処理剤を含む酸化銀粉2gを精密に秤量し、濃度6Mの硝酸(試薬特級)20mlを加え、混合物の温度を50℃以下に保ちながら超音波を照射し、酸化銀粉を溶解した。溶液の液温が25℃となったらジクロロメタン20mlを加え、振とう撹拌により十分に撹拌した後、3000rpm、10分間遠心分離し、静置して水相と有機相とに分液した。そして、有機層から2mlの試料を分取し、炭素自動分析機用素焼きボードに含浸させた。そして当該素焼きボードをドラフト中、50℃で、0.5時間設置し、ジクロロメタンを蒸発させて、残留物を蒸発乾固させた。そして当該素焼きボードを炭素自動分析機に装填し、得られた残留物中の炭素量を測定した。 測定された炭素は、全て酸化銀粉に付着した高級脂肪酸に由来し、高級脂肪酸中のステアリン酸およびパルミチン酸の配合量は維持されていると仮定して、ステアリン酸量を算定したところ、酸化銀粉に対して0.33質量%であることが判明した。当該0.33質量%という値は、当初の仕込み量が0.36質量%であることから考えて、高精度な結果であると考えられる。 当該ステアリン酸量の結果を得るまでの時間は、表面処理剤を含む酸化銀粉2gを精密に秤量した時点から、1検体当り20分間(1検体当り10試料を分析)であった。 尚、上述の仮定を確認するため、表面処理剤を含む酸化銀粉表面のFT−IRスペクトルを測定し図4に示した。次に、有機層から分取した試料の残留物のFT−IRスペクトルを測定し図5に示した。さらに、試薬特級グレードのステアリン酸をのFT−IRスペクトルを測定し図6に示した。 図4と図6の比較より、酸化銀粉表面の表面処理剤は高級脂肪酸と、糖類およびアルコール類を含有していることが含むことが判明した。一方、図5と図6の比較より、ジクロロメタン中には高級脂肪酸のみが抽出されていることが判明した。 図7は、有機層から分取した試料の残留物をエステル化し、n−へキサン抽出したものをカラム精製し、G.C−MSで測定した結果を示すチャートである。 当該チャートから、試料の残留物はステアリン酸エステルとパルミチンサンエステルであることが確認出来た。 高級脂肪酸を含む無機粉体に酸を添加して、当該無機粉体を溶解し金属溶液とする工程と、 当該金属溶液へ、高級脂肪酸を溶解可能であり、25℃で液体であり、沸点50℃以下であり、水に不溶である有機溶媒を添加して混合した後、水相と有機相とに分離する工程と、 当該有機相から分取した有機相分取液の当該有機溶媒を除去し、残渣中の炭素量を測定する工程とを、有することを特徴とする無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法。 前記有機溶媒として、ジクロロメタンを用いることを請求項1に記載の無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法。 前記残渣中の炭素量を測定する方法として、炭素自動分析機を用いることを特徴とする請求項1または2に記載の無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法。 前記無機粉体が酸化銀粉であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の無機粉体に含有される高級脂肪酸の定量分析方法。


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