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タイトル:公開特許公報(A)_光学活性アミノ酸の製造方法
出願番号:2010264930
年次:2013
IPC分類:C07C 227/34,C07C 229/08,C07B 57/00,C07B 63/02,C07B 63/00


特許情報キャッシュ

安藤 哲雄 井上 敦 杉田 将紀 JP 2013241339 公開特許公報(A) 20131205 2010264930 20101129 光学活性アミノ酸の製造方法 三菱瓦斯化学株式会社 000004466 永井 隆 100117891 安藤 哲雄 井上 敦 杉田 将紀 JP 2010201868 20100909 C07C 227/34 20060101AFI20131108BHJP C07C 229/08 20060101ALI20131108BHJP C07B 57/00 20060101ALI20131108BHJP C07B 63/02 20060101ALI20131108BHJP C07B 63/00 20060101ALI20131108BHJP JPC07C227/34C07C229/08C07B57/00 365C07B63/02 CC07B63/00 E 7 OL 10 4H006 4H006AA02 4H006AC83 4H006AD15 4H006AD33 4H006BB11 4H006BB14 4H006BB17 4H006BB21本発明は、光学活性アミノ酸の製造方法に関する。光学活性アミノ酸は医薬、農薬ならびに工業薬品を製造する中間体、および食品用添加剤としてよく知られている。光学活性アミノ酸の製造法には、微生物を用いる発酵法、酵素反応を利用する方法、優先晶析や分割剤による光学分割を利用する方法などが知られている。なかでも、優先晶析や分割剤による光学分割を利用する方法は特別な設備を必要とすることなく、工業的規模までのスケールアップが比較的容易であるため、汎用性の高い手法である。優先晶析による分割法では、2−アミノ酪酸をp−トルエンスルホン酸塩として優先晶析する方法(特許文献1)が知られている。分割剤による光学分割を利用する方法では、光学活性2−フェノキシプロピオン酸誘導体を分割剤として用い、ジアステレオマー塩を形成させて分別結晶を行うジアステレオマー法(特許文献2)が知られている。しかし、これらの方法ではラセミ体のアミノ酸を原料とした場合において、目的の光学活性アミノ酸の収率は50%が限界となる。上記の優先晶析およびジアステレオマー法における理論収率50%を超えて、高い収率で光学活性アミノ酸を取得する方法として、異性化晶出法が知られている。異性化晶出法では、アルデヒド等の触媒の存在下にて光学活性アミノ酸と光学活性な分割剤からなるジアステレオマー塩のエピ化を進行させながら、目的とする光学活性アミノ酸のジアステレオマー塩を晶出させる。例えば、プロリンなどの天然型アミノ酸(非特許文献1)や1,3−チアザン−4−カルボン酸などの非天然型アミノ酸(非特許文献2)について異性化晶出法が報告されている。しかし、異性化晶出法では、得られるアミノ酸の光学純度はジアステレオマー塩の溶解平衡に依存する。そこで、一般的に高い光学純度の光学活性アミノ酸を取得するには、一度ジアステレオマー塩として結晶を回収し、再結晶などの精製操作が行われる。また、光学活性アミノ酸はジアステレオマー塩として取得されるので、酸または塩基処理による光学活性アミノ酸の単離回収工程が必要となる。従って、異性化晶出法においては、晶出した光学活性アミノ酸のジアステレオマー塩からの光学活性アミノ酸の回収工程が煩雑となった。特開平6−340599号公報特開2006−169158号公報Chem.Rev.2006、106、2711−2733Bull.Chem.Soc.Jpn、1993、66、536−540これまでに知られている異性化晶出法を用いた光学活性アミノ酸の製造方法は、光学純度が不十分なためにその後の精製操作を必要とする課題と、光学分割剤とアミノ酸のジアステレオマー塩からアミノ酸を単離する操作を必要とするため工程が煩雑となるという課題がある。そこで、異性化晶出法で得たジアステレオマー塩から簡便に光学純度を向上させて光学活性アミノ酸を遊離させる方法が求められていた。上記の課題を解決するために本発明者らが鋭意検討した結果、有機溶媒存在下、アミノ酸に、光学活性なカルボン酸とアルデヒド共存下において加熱撹拌することにより、アミノ酸をラセミ化せしめ、目的とする光学活性アミノ酸と光学活性なカルボン酸とのジアステレオマー塩を晶出させ、該ジアステレオマー塩を単離することなく、該ジアステレオマー塩晶出液中へアミンを添加することで、光学活性カルボン酸とアミンの塩を選択的に溶解させ、ジアステレオマー塩のアミノ酸の光学純度を向上させ、光学活性アミノ酸を結晶として回収できることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち本発明は以下のとおりである。[1]有機溶媒中、アミノ酸と光学活性カルボン酸と、アルデヒドを共存させて加熱した後、前記有機溶媒中にアミンを添加することを特徴とする光学活性アミノ酸の製造方法。[2]前記アミンが式(1):(式中、R1,R2,R3は水素原子または炭化水素基であり、R1,R2,R3の合計炭素数が1〜8であり、これらは相互に結合して環を形成していてもよい)で示されるアミン類からなる群より選ばれた1種類以上である、[1]に記載の光学活性アミノ酸の製造方法。[3]前記アミノ酸がヒスチジン、チオプロリン、ピペコリン酸、1,3−チアザン−4−カルボン酸、1,4−チアザン−3−カルボン酸、プロリン、バリン又は2−アミノ酪酸である、[1]又は[2]に記載の光学活性アミノ酸の製造方法。[4]前記カルボン酸が2−フェノキシプロピオン酸または酒石酸である、[1]〜[3]のいずれかに記載光学活性アミノ酸の製造方法。[5]前記アミノ酸と前記カルボン酸の組み合わせがヒスチジン、チオプロリン、ピペコリン酸、1,3−チアザン−4−カルボン酸、1,4−チアザン−3−カルボン酸、プロリン、2−アミノ酪酸のいずれかと酒石酸、あるいはバリン、2−アミノ酪酸のいずれかと2−フェノキシプロピオン酸からなる、[1]又は[2]に記載の光学活性アミノ酸の製造方法。[6]前記有機溶媒がアセトニトリル、酢酸エチル、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びヘキサンからなる群より選ばれた1種類以上である、[1]〜[5]のいずれかに記載の光学活性アミノ酸の製造方法。[7]前記アルデヒドがブチルアルデヒド、あるいはハロゲンで置換されていてもよいベンズアルデヒド又はサリチルアルデヒドである、[1]〜[6]のいずれかに記載の光学活性アミノ酸の製造方法。本発明の光学活性アミノ酸の製造方法は、従来の異性化晶出法と比較してラセミ化、光学分割及び光学活性アミノ酸の単離または分割剤の除去を一つの反応器、即ちワンポットで出来、ジアステレオマー塩を単離する工程を省略して光学活性アミノ酸を回収する事が出来るため、光学活性アミノ酸を製造するために必要な装置の構成を大幅に軽減することができる。さらに、アミン添加により得られるアミノ酸の光学純度を向上させる事も可能である。この方法を用いることによって、経済的にも工業的にも有利に光学活性アミノ酸を高収率かつ高純度に取得することができる。以下、本発明の実施形態について述べる。本発明は、アミノ酸を有機溶媒中で光学活性カルボン酸とアルデヒド共存下で加熱攪拌を行うことにより、アルデヒドとシッフ塩基を経由したアミノ酸のラセミ化と、目的とする光学活性アミノ酸と光学活性カルボン酸とのジアステレオマー塩を晶出させる。その後、該ジアステレオマー塩晶出液中へアミンを添加することにより光学活性カルボン酸とアミンの塩を選択的に溶解させ、光学活性アミノ酸を単離取得する。 原料として使用するアミノ酸の立体は、L体若しくはD体、またはその混合物、さらにはD体とL体が等量存在するラセミ体であっても良い。無機塩、強酸または強塩基を含む場合でも使用することはできるが、目的とする光学活性アミノ酸と光学活性カルボン酸とのジアステレオマー塩から該光学活性アミノ酸の分離精製を効率的に進行させるには中和や溶媒洗浄等によりアミノ酸を遊離体とするのが好適である。原料として使用するアミノ酸は、酸とアルデヒド共存下でラセミ化反応が進行するものであればよい。さらには、光学活性カルボン酸により良好に光学分割でき、光学活性カルボン酸を分離する際に使用するアミンに比べてカルボン酸と塩を形成しにくいものが望ましい。例えば、アラニン、ロイシン、イソロイシン、エチオニン、システイン、スレオニン、セリン、2−アミノ酪酸、チロシン、バリン、フェニルアラニン、フェニルグリシン、プロリン、4−ヒドロキシプロリン、メチオニン、アロイソロイシン、アロトレオニン、ノルバリン、ノルロイシン、ホモセリン、ホモシステイン、3−クロロアラニン、2−アミノ−4−ペンテン酸、3−ヒドロキシノルバリン、ペニシルアミン、α−メチルフェニルアラニン、ホモフェニルアラニン、2−フルオロフェニルアラニン、3−フルオロフェニルアラニン、4−フルオロフェニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン、O−メチルチロシン、ヒスチジン、チオプロリン、ピペコリン酸、1,3−チアザン−4−カルボン酸、1,4−チアザン−3−カルボン酸などが挙げられる。特に、ヒスチジン、チオプロリン、ピペコリン酸、1,3−チアザン−4−カルボン酸、1,4−チアザン−3−カルボン酸、プロリン、バリン、2−アミノ酪酸は光学活性カルボン酸を分離する際にアミノ酸の遊離が良好に進むため収率も向上し、好適である。アミノ酸とのジアステレオマー塩を構成する光学活性カルボン酸は、アミノ酸を良好に光学分割することができ、アルデヒド共存下で光学活性カルボン酸自体の異性化反応が進行しないものが望ましい。さらには光学活性カルボン酸を分離する際に使用するアミンと良好に塩を形成し、その塩の溶媒への溶解度が高いものが好ましい。カルボン酸としては、例えば、O−アセチルマンデル酸、カンファー酸、リンゴ酸、マンデル酸、2−(6−メトキシ−2−ナフチル)−プロピオン酸、キナ酸、酒石酸、ジ−p−アニソイル酒石酸、ジ−p−トルオイル酒石酸、ジアセチル酒石酸、ジベンゾイル酒石酸、2−ブロモプロピオン酸、2−クロロプロピオン酸、メチルこはく酸、2−メチルグルタル酸、5−オキソテトラヒドロフラン−2−カルボン酸、α-メトキシフェニル酢酸、2−クロロ酪酸、フェニルこはく酸、2−アセトキシプロピオン酸、2−クロロ−4−メチル吉草酸、シトラマル酸、ロイシン酸、乳酸、2−フェニルプロピオン酸、2−フェニルブタン酸、α−メトキシフェニル酢酸、3−フェニル乳酸、2−メチルブタン酸、2−メチルペンタン酸、2−ブロモ酪酸、2−ブロモ−3−メチル酪酸、2−ブロモペンタン酸、2−クロロこはく酸、2−ブロモこはく酸、3−メチルアジピン酸、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸、2−ヒドロキシカプロン酸、テトラヒドロフラン−2−カルボン酸、カンファーカルボン酸、2−フェノキシプロピオン酸などが挙げられる。特に、酒石酸および2−フェノキシプロピオン酸では、高い光学純度でジアステレオマー塩が得られることからより好適である。光学活性カルボン酸の使用量としては、原料となるアミノ酸の種類や使用量に応じて適宜調節すればよいものであり、特に限定されるものではない。但し、使用量が少ないと得られるアミノ酸の光学純度が不十分になる。また、使用量が過剰であると経済的に不利になる。そのため、原料であるアミノ酸に対してモル比で0.5〜5.0の範囲内、好ましくは0.5〜2.5の範囲内の量で用いる。原料として使用するアミノ酸とカルボン酸の組み合わせは、アルデヒド共存下で良好にアミノ酸の光学分割が進行するものであればよい。例えば、ヒスチジンと酒石酸、チオプロリンと酒石酸、ピペコリン酸と酒石酸、1,3−チアザン−4−カルボン酸と酒石酸、1,4−チアザン−3−カルボン酸と酒石酸、プロリンと酒石酸、2−アミノ酪酸と酒石酸、バリンと2−フェノキシプロピオン酸、2−アミノ酪酸と2−フェノキシプロピオン酸などは異性化晶出が良好に進行し、目的の光学活性アミノ酸が高収率かつ高い光学純度で取得することができる。触媒として使用するアルデヒドは、副反応の生じにくさ、目的とする光学活性アミノ酸と光学活性カルボン酸とのジアステレオマー塩の生成速度や、該ジアステレオマー塩から光学活性アミノ酸を精製分離する際の除去の容易さを考慮して決定すれば良い。例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどの脂肪族アルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒドなどの芳香族アルデヒドが挙げられる。好ましくは、ブチルアルデヒド、ハロゲンに置換されていてもよいベンズアルデヒドまたはサリチルアルデヒドが挙げられる。さらには、サリチルアルデヒドは酸化などの副反応の影響を受けにくいことから、好適である。アルデヒドの使用量は、原料となるアミノ酸、光学活性カルボン酸の種類や使用量に応じて適宜調節すれば良いものであり、特に限定されるものではない。但し、使用量が多いと短時間でアミノ酸のラセミ化及び目的とする光学活性アミノ酸と光学活性カルボン酸とのジアステレオマー塩の富化晶出を完結させることが可能ではあるが、使用量が過剰であると経済的に不利になる。そのため、アルデヒドの使用量は、原料であるアミノ酸に対してモル比で0.05〜0.75の範囲内、好ましくは0.1〜0.5の範囲内の量で用いる。また、該ラセミ化と該ジアステレオマー塩の富化晶出を速やかに進行させるために、原料アミノ酸に対してギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸などの低級脂肪酸、塩酸などの無機酸または塩化アンモニウムなどの無機塩を適宜触媒量として添加してもよい。但し、使用量が多いと目的とする光学活性アミノ酸の光学純度が低くなる場合があり、さらには該ジアステレオマー塩の富化晶出後に行う光学活性アミノ酸の分離工程の際のアミン添加量が多くなり、経済的に不利になる。例えば、低級脂肪酸である酢酸を添加する場合には、原料であるアミノ酸に対してモル比で0.01〜5.0の範囲内、好ましくは0.05〜3.0の範囲内とすることが望ましい。本発明で使用する有機溶媒は、アルデヒドと光学活性カルボン酸の共存下で、良好にアミノ酸のラセミ化と、光学活性カルボン酸によるアミノ酸の光学分割が進行し、光学活性カルボン酸とアミンの塩の溶解度が高い溶媒を適宜選択する。なおかつ、光学活性アミノ酸、光学活性カルボン酸、アミンに対する反応性が低い溶媒が望ましい。さらには、光学活性アミノ酸の溶解性が低いものが好ましい。従って、用いる有機溶媒としてはアルコール類、ニトリル類、エステル類、エーテル類、スルホン類、アミド類、炭化水素類が挙げられる。具体的には、アルコール類として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリンなどが、ニトリル類としてはアセトニトリルなどが、エステル類としては酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、セロソルブ、メチルセロソルブなどが、エーテル類としてはジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどが、スルホン類としては、スルホラン、ジメチルスルホキシドなどが、アミド類としては、ジメチルアセトアミド、N−モノメチルホルムアミド、N, N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどが、炭化水素類としては、ペンタン、ヘキサン、n−へプタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが、ハロゲン化炭化水類としては、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタンなどが挙げられる。光学活性アミノ酸の純度および回収率の点からメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、アセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサンが好適である。これらの有機溶媒は単独で、または2種類以上を混和させて使用する。本発明で使用する有機溶媒は、光学活性カルボン酸と目的とする光学活性アミノ酸とのジアステレオマー塩の生成速度向上や光学活性アミノ酸の光学純度向上のために水が含まれていても良い。有機溶媒への含水率は、副反応の生じにくさ、ジアステレオマー塩の溶媒への溶解性及び光学活性カルボン酸と目的とする光学活性アミノ酸とのジアステレオマー塩の生成速度を考慮して決定すれば良い。ただし、含水率が高い場合にはジアステレオマー塩の溶媒への溶解性が上昇する事による収率の減少及び目的とする光学活性アミノ酸の光学純度の低下につながるので工業的に不利になる。従って、有機溶媒の含水率は、0.001〜5.0質量%の範囲内が好適であり、さらに好ましくは0.1〜2.0質量%の範囲となる。有機溶媒の使用量は、原料であるアミノ酸の使用量に応じて適宜調節すれば良いものであり、特に限定されるものではない。但し、溶媒量が少ないと化学純度、光学純度ともに不十分になるうえにスラリー濃度が高くなり攪拌が困難になる。また、溶媒量が多いと容積効率低下、収率の減少等につながるので工業的に不利になる。そのため、有機溶媒の使用量としては原料であるアミノ酸に対して質量比で1.5〜10.0の範囲内、好ましくは2.0〜8.0の範囲内の量で用いる。本発明で使用するアミンは、アミノ酸と光学活性カルボン酸との塩を解離させ、光学活性カルボン酸と良好に塩を形成することができるものを適宜選択する。さらには、光学活性カルボン酸とアミンとの塩が溶媒への溶解性が高いものであればよく、例えば、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、n−ペンチルアミン、シクロペンチルアミン、n−へキシルアミン、シクロへキシルアミン、ジシクロへキシルアミン、ベンジルアミン、アニリン、ピペリジン、ピロリジン、2−ピペコリン、3−ピペコリン、4−ピペコリン、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミン、3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、2−エチルヘキシルアミン、3−(2−エチルへキシルオキシ)プロピルアミン、3−エトキシプロピルアミン、3−(ジエチルアミノ)プロピルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、3−(ジブチルアミノ)プロピルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、トリ−n−オクチルアミン、3−(メチルアミノ)プロピルアミン、3−(ジメチルアミノ)プロピルアミン、N−メチル−3,3’−イミノビス(プロピルアミン)、3−メトキシプロピルアミン、イソプロパノールアミン、エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、などが挙げられる。得られる光学活性アミノ酸の品質の高さの点から、式(1):(式中、R1,R2,R3は水素原子または炭化水素基であり、R1,R2,R3の合計炭素数が1〜8であり、これらは相互に結合して環を形成していてもよい)で示される、のアミン類がより好ましい。特にメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、シクロへキシルアミン、ベンジルアミン、アニリンが好適である。これらのアミンは単独で、または2種類以上を混和させて使用する。アミンの使用量は、光学活性カルボン酸の使用量及びアミンの種類に応じて適宜調節すればよいものであり、特に限定されるものではない。但し、アミンの使用量が少ないと光学活性アミノ酸と光学活性カルボン酸との塩の解離が不十分となり、光学活性アミノ酸の純度が低下する。また、アミンの使用量が多いと光学活性アミノ酸とアミンが塩を形成するため、光学活性アミノ酸の収率が低下する。したがって、例えば、光学活性カルボン酸が一塩基酸の場合、アミンの使用量は光学活性カルボン酸に対してモル比で0.8〜3.0の範囲内、好ましくは1.5〜2.5の範囲内の量で用いる。また、光学活性カルボン酸が二塩基酸の場合、アミンの使用量は光学活性カルボン酸に対してモル比で1.0〜4.0の範囲内、好ましくは1.5〜2.5の範囲内の量で用いる。 以下、本発明の詳細について述べる。まず、有機溶媒中に、アミノ酸、光学活性カルボン酸およびアルデヒドを混合させて、アミノ酸と光学活性カルボン酸とのジアステレオマー塩を製造させる。 アミノ酸と光学活性カルボン酸とのジアステレオマー塩を製造する際の反応温度は、使用する有機溶媒の種類や量によっても反応温度による目的とする光学活性アミノ酸と光学活性カルボン酸とのジアステレオマー塩の生成速度及びジアステレオマー塩の溶媒への溶解度の影響は異なるので特に限定されるものではない。但し、反応温度が低いと反応完結が遅くなるため、反応温度は、30℃以上から使用有機溶媒の沸点以下、好ましくは50℃以上から使用有機溶媒の沸点以下、さらに好ましくは65℃以上から使用有機溶媒沸点以下で行うのが望ましい。目的とする光学活性アミノ酸と光学活性カルボン酸とのジアステレオマー塩の生成速度は高速液体クロマトグラフィーなどの分析機器を用いた反応追跡によりアミノ酸の光学純度の偏りを見ながら適宜判断すればよく、特に限定されるものではない。但し、本発明において実用的に使用可能な95.0%e.e.以上のアミノ酸を得るためには、該ジアステレオマー塩の富化晶出液中に存在するアミノ酸のうちの目的の光学活性体のアミノ酸の存在量を進行率として、進行率が90%以上、好ましくは93%以上に到達するまで進める。進行率が十分でない場合には、適宜濃縮操作、貧溶媒添加または触媒添加を行ってもよい。次に、アミノ酸を光学活性カルボン酸とアルデヒド共存下で加熱攪拌することによりアミノ酸のラセミ化及び目的とする光学活性アミノ酸と光学活性カルボン酸とのジアステレオマー塩を富化晶出させた後に、該ジアステレオマー塩の富化晶出液中にアミンを添加する。これにより、光学活性カルボン酸とアミンの塩を選択的に溶解させ、溶媒中に光学活性アミノ酸を遊離させる。なお、光学活性カルボン酸とアミンとの塩の溶解度が高くなるように溶媒を適宜添加してもよい。 アミンを添加する際の反応温度は、アミンの種類及び使用する有機溶媒に応じて適宜調節すればよく特に限定されるものではない。但し、反応温度が低いとカルボン酸・アミン塩が析出するため、得られる光学活性アミノ酸の純度を下げる結果となる。そのため、アミン添加時の反応温度としては、0℃以上から100℃以下あるいは使用有機溶媒の沸点以下、好ましくは20℃以上から100℃以下あるいは使用有機溶媒の沸点以下で行うのが望ましい。 溶解せず残存した光学活性アミノ酸は、濾過または遠心分離などの公知の固体の回収方法によって分離回収することができる。本発明によって、例えば、医薬品の原料として有用な光学活性ヒスチジン、光学活性バリン、光学活性2−アミノ酪酸などを製造することができる。次に本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお本発明の反応追跡及び光学純度の測定は下記の条件で行った。HPLC分析条件溶離液 1mM CuSO4 水溶液流量 0.5mL/minカラム SUMICHIRAL OA−5000カラム恒温槽 30℃検出器 UV254nm実施例1D−2−アミノ酪酸20.0gとD−酒石酸16.1gを80gの2−プロパノール /メタノール混合溶媒中(重量組成比 1:1)に懸濁させ、サリチルアルデヒド4.7gを添加した。70℃で23時間加熱撹拌し、反応追跡を行い2−アミノ酪酸と酒石酸とのジアステレオマー塩の富化晶出の進行率が94.7%まで到達していることを確認した。この時点で溶液中に含まれているL−2−アミノ酪酸の光学純度は89.4%e.e.であった。その後、30℃まで徐冷し、メタノール100gを添加してから51%ジメチルアミン水溶液18.9gを添加した。同温度で4時間攪拌した後、吸引濾過し、得られたケーキをメタノール120gで洗浄した。その後、得られたケーキを乾燥し、白色粉末として13.9gのL−2−アミノ酪酸(収率70%)を取得した。取得したL−2−アミノ酪酸を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した結果、化学純度99.7%、光学純度は99.7%e.e.であった。実施例2D−2−アミノ酪酸1.01gとR−2−フェノキシプロピオン酸1.78gを4gの酢酸エチル溶媒中に懸濁させ、サリチルアルデヒド0.24gを添加した。75℃で20時間加熱撹拌し、反応追跡を行い2−アミノ酪酸と2−フェノキシプロピオン酸とのジアステレオマー塩の富化晶出の進行率が95.2%まで到達していることを確認した。この時点で溶液中に含まれているL−2−アミノ酪酸の光学純度は89.4%e.e.であった。その後、30℃まで徐冷し、酢酸エチル4gを添加してから11%ジメチルアミンメタノール溶液8.1gを添加した。同温度で3時間攪拌した後、吸引濾過し、得られたケーキをメタノール15gで洗浄した。その後、得られたケーキを乾燥し、白色粉末として0.71gのL−2−アミノ酪酸(収率70%)を取得した。取得したL−2−アミノ酪酸を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した結果、化学純度99.5%、光学純度は99.7%e.e.であった。実施例3DL−バリン6.01gとR−2−フェノキシプロピオン酸9.75gを24gの酢酸エチル / ヘキサン混合溶媒中(重量組成比 1:1)に懸濁させ、サリチルアルデヒド1.28gを添加した。75℃で24時間加熱撹拌し、反応追跡を行いバリンと2−フェノキシプロピオン酸とのジアステレオマー塩の富化晶出の進行率が92.1%まで到達していることを確認した。この時点で溶液中に含まれているL−バリンの光学純度は84.2%e.e.であった。そして、30℃まで徐冷した後に16時間攪拌した。その後、酢酸エチル12gを添加してから11%ジメチルアミンメタノール溶液48.1gを添加した。同温度で3時間攪拌した後、吸引濾過し、得られたケーキをメタノール45gで洗浄した。その後、得られたケーキを乾燥し、白色粉末として4.13gのL−バリン(収率66%)を取得した。取得したL−バリンを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した結果、化学純度98.8%、光学純度は99.1%e.e.であった。実施例4L−ヒスチジン1.01gとL−酒石酸0.59gを8gのメタノール中に懸濁させ、サリチルアルデヒド0.39gを添加した。75℃で23時間加熱撹拌した。その後、酢酸1.00gを添加して24時間加熱攪拌した。その後さらに、イソブタノール8gを添加して24時間加熱攪拌し、反応追跡を行いヒスチジンと酒石酸とのジアステレオマー塩の富化晶出の進行率が81.3%まで到達していることを確認した。この時点で溶液中に含まれているD−ヒスチジンの光学純度は62.6%e.e.であった。そして、30℃まで徐冷した後に3時間攪拌した。その後、51%ジメチルアミン水溶液2.2gを添加した。同温度で3時間攪拌した後、吸引濾過し、得られたケーキをメタノール15gで洗浄した。その後、得られたケーキを乾燥し、白色粉末として0.40gのD−ヒスチジン(収率40%)を取得した。取得したD−ヒスチジンを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した結果、化学純度96.1%、光学純度は95.2%e.e.であった。光学活性アミノ酸は医薬、農薬ならびに工業薬品を製造する中間体、および食品用添加剤として有用である。有機溶媒中、アミノ酸と光学活性カルボン酸と、アルデヒドを共存させて加熱した後、前記有機溶媒中にアミンを添加することを特徴とする光学活性アミノ酸の製造方法。前記アミンが式(1):(式中、R1,R2,R3は水素原子または炭化水素基であり、R1,R2,R3の合計炭素数が1〜8であり、これらは相互に結合して環を形成していてもよい)で示されるアミン類からなる群より選ばれた1種類以上である、請求項1に記載の光学活性アミノ酸の製造方法。前記アミノ酸がヒスチジン、チオプロリン、ピペコリン酸、1,3−チアザン−4−カルボン酸、1,4−チアザン−3−カルボン酸、プロリン、バリン又は2−アミノ酪酸である、請求項1又は2に記載の光学活性アミノ酸の製造方法。前記カルボン酸が2−フェノキシプロピオン酸または酒石酸である、請求項1〜3のいずれか1項記載の光学活性アミノ酸の製造方法。前記アミノ酸と前記カルボン酸の組み合わせがヒスチジン、チオプロリン、ピペコリン酸、1,3−チアザン−4−カルボン酸、1,4−チアザン−3−カルボン酸、プロリン、2−アミノ酪酸のいずれかと酒石酸、あるいはバリン、2−アミノ酪酸のいずれかと2−フェノキシプロピオン酸からなる、請求項1又は2に記載の光学活性アミノ酸の製造方法。前記有機溶媒がアセトニトリル、酢酸エチル、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール及びヘキサンからなる群より選ばれた1種類以上である、請求項1〜5のいずれか1項記載の光学活性アミノ酸の製造方法。前記アルデヒドがブチルアルデヒド、あるいはハロゲンで置換されていてもよいベンズアルデヒド又はサリチルアルデヒドである、請求項1〜6のいずれか1項記載の光学活性アミノ酸の製造方法。 【課題】特別な設備を必要とすることなく、簡便かつ高収率に光学活性アミノ酸を製造する方法を提供する。【解決手段】有機溶媒中、アミノ酸と光学活性カルボン酸と、アルデヒドを共存させた後、アミノ酸とカルボン酸とのジアステレオマー塩を単離することなく、ワンポットでアミンを添加することにより光学活性アミノ酸を簡便かつ高収率に製造することを可能とした。【選択図】なし


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