生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルの製造方法
出願番号:2010227558
年次:2012
IPC分類:C07D 277/70


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加藤 敏雄 山岡 淳 川端 淳 JP 2012082145 公開特許公報(A) 20120426 2010227558 20101007 高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルの製造方法 中外化成株式会社 591025277 大井 正彦 100078754 加藤 敏雄 山岡 淳 川端 淳 C07D 277/70 20060101AFI20120330BHJP JPC07D277/70 1 OL 10 4C033 4C033AE10 本発明は、高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルの製造方法に関する。 光学材料などとして用いられる高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルを得る方法としては、例えば、特許文献1に開示されている方法が挙げられる。 しかしながら、特許文献1に開示される方法によっては、高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルを製造するための反応の進行が遅く、製造に要する時間が極めて長いこと、および、副生成物が多量に生成されて得られる高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルの収率が低いことなどの問題がある。特開2005−133071号公報 本発明は、以上のような事情を考慮してなされたものであって、その目的は、迅速に、高い収率で高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルを製造することのできる高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルの製造方法を提供することにある。 本発明の高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルの製造方法は、下記一般式(1)で表される二置換2−プロパノールと、ハロゲン化アクリロイルとを反応させることにより、下記一般式(2)で表される高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルを形成する工程を含むことを特徴とする。〔上記式において、Q1 およびQ2 は硫黄(S)であり、R1 およびR2 は、各々独立に、アリール基またはヘテロアリール基であって、R1 およびR2 の少なくとも一方がヘテロアリール基である。〕〔上記式において、Q1 およびQ2 は硫黄(S)であり、R1 およびR2 は、各々独立に、アリール基またはヘテロアリール基であって、R1 およびR2 の少なくとも一方がヘテロアリール基である。また、Z1 は、(メタ)アクリロイル基である。〕 本発明の高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルの製造方法によれば、反応性の高いハロゲン化アクリロイルを使用するために、迅速に高い収率で高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルを製造することができる。本発明に係る実施例において得られた生成物についての高速液体クロマトグラフィーの測定結果を示すチャートである。 以下、本発明について具体的に説明する。 本発明の高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルの製造方法は、上記一般式(1)で表される二置換2−プロパノールと、ハロゲン化アクリロイルとを反応させることにより、上記一般式(2)で表される高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルを形成する工程を含むことを特徴とする方法である。 上記一般式(1)および上記一般式(2)において、Q1 およびQ2 は硫黄(S)であり、R1 およびR2 は、各々独立に、アリール基またはヘテロアリール基であって、R1 およびR2 の少なくとも一方がヘテロアリール基である。 上記一般式(1)および上記一般式(2)において、R1 およびR2 は、共にヘテロアリール基であることが好ましい。この理由は、当該ヘテロアリール基から、例えば硫黄(S)、セレン(Se)、リン(P)、塩素(Cl)、臭素(Br)およびヨウ素(I)などの高原子量のヘテロ原子が、得られる高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルに導入されるために、当該高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルが極めて高屈折率のものとなるからである。 ヘテロアリール基の具体的な例としては、例えばベンゾチアゾリル基、ベンズオキサゾリル基、チオシクロヘキサニル基、セレノシクロヘキサニル基、ピリジニル基、チオキサンテニル基、セレノキサンテニル基、ベンゾチオフラニル基、ベンゾセロフラン基、チオピラニル基、セレノピラニル基、チオフェニル基、セレノフェニル基、チアゾリル基、セレナゾリル基、ナフトチアゾリル基などが挙げられ、特に、ベンゾチアゾリル基が好ましい。 また、上記一般式(2)において、Z1 は、(メタ)アクリロイル基である。 ハロゲン化アクリロイルとしては、塩化アクリロイル、フッ化アクリロイル、臭化アクリロイルおよびヨウ化アクリロイルを挙げることができる。 以下に、本発明の高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルの製造方法の具体的な一例を挙げる。 工程(1):下記反応式(1)で示されるように、芳香族求核性化合物とエポキシドを反応させることによって一置換2−プロパノールを合成する。〔上記式において、Q1 は硫黄(S)であり、R1 はアリール基またはヘテロアリール基であり、X1 はハロゲン原子である。〕 この一置換2−プロパノールの合成反応に用いられるエポキシドとしては、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、2−(クロロメチル)−1,2−ブチレンオキシドなどが挙げられる。これらの中でも、エピクロロヒドリンを用いることが好ましい。 この一置換2−プロパノールの合成反応は、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフランなどの極性溶媒、トルエン、ベンゼン、クロロホルムなどの無極性溶媒などの溶媒中で行うことが好ましい。これらの中でも、原料の溶解性が高く、不純物の生成が少ないことから、テトラヒドロフランを用いることが好ましい。 この一置換2−プロパノールの合成反応においては、芳香族求核性化合物に対してエポキシドを過剰、具体的には2〜5当量使用することが好ましい。 工程(2):下記反応式(2)で示されるように、芳香族求核性化合物と金属水酸化物を反応させることによって芳香族求核性化合物の金属塩を合成する。〔上記式において、Q2 は硫黄(S)であり、R2 はアリール基またはヘテロアリール基であり、M1 は金属原子である。〕 この芳香族求核性化合物の金属塩の合成反応は、メタノール、エタノールおよびイソプロパノールなどの極性溶媒から選ばれる1種以上、トルエン、ベンゼンおよびクロロホルムなどの無極性溶媒から選ばれる1種以上を混合させた混合溶媒であることが好ましい。 工程(3):極性溶媒と無極性溶媒との混合溶媒中において、下記反応式(3)で示されるように、上記工程(1)において生成された一置換2−プロパノールと上記工程(2)で生成された芳香族求核性化合物の金属塩を反応させることによって対称に二置換された二置換2−プロパノールを合成する。〔上記式において、Q1 およびQ2 は硫黄(S)であり、R1 およびR2 は、各々独立に、アリール基またはヘテロアリール基であり、M1 は金属原子であり、X1 はハロゲン原子である。〕 この二置換2−プロパノールの合成反応において用いられる混合溶媒は、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミドおよびテトラヒドロフランなどの極性溶媒から選ばれる1種以上、トルエン、ベンゼンおよびクロロホルムなどの無極性溶媒から選ばれる1種以上を混合させた混合溶媒が挙げられる。これらの中でも、反応速度が高く不純物の生成が少ないことから、メタノールとトルエンの混合溶媒を用いることが好ましい。 工程(4):下記反応式(4)で示されるように、上記工程(3)において生成された二置換2−プロパノールとハロゲン化アクリロイルを反応させることによって対称に二置換された高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルを合成する。〔上記式において、Q1 およびQ2 は硫黄(S)であり、R1 およびR2 は、各々独立に、アリール基またはヘテロアリール基であり、X2 はハロゲンなどの脱離基であり、Z1 は、(メタ)アクリロイル基である。〕 この高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルの合成反応は、トルエン、ベンゼン、クロロホルムなどの無極性溶媒などの溶媒中で行うことが好ましい。 以上のような高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルの製造方法によれば、反応性の高いハロゲン化アクリロイルを使用するために、迅速に高い収率で高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルを製造することができる。 以上のような高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルの製造方法によれば、屈折率が1.50以上である高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルを得ることができる。 本発明に係る高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルは、屈折率が1.55よりも高いことが好ましく、1.60よりも高いことがより好ましい。 また、本発明の高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルの製造方法によって得られた高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルは、着色が抑制されたものであることが好ましい。 以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更を加えることができる。 以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。<実施例1>〔工程1:一置換2−プロパノールの合成〕 磁気スターラー、オイル浴、滴下ロート、ジムロート冷却器を設けた0.2リットル三つ口フラスコに、2−メルカプトベンゾチアゾール(下記反応式(5)における(a))27.05質量部およびテトラヒドロフラン40.58質量部を入れ、原料が溶解した後、80℃まで昇温して還流し、反応温度を80℃から83℃に保持しながら、激しく撹拌した状態の反応系に、2−メルカプトベンゾチアゾールに対して3当量のエピクロロヒドリン(下記反応式(5)における(b))44.89質量部を滴下した。反応温度を80℃に保持して7時間、反応を継続した。反応終了後、反応溶液を室温まで放冷した後、トルエン50質量部を加えてろ過した。ろ液をエバポレーターで濃縮後、得られた固体を乾燥することにより、39.57質量部の白色固体を得た。この白色固体が1−クロロ−3−(2−メルカプトベンゾチアゾール)−2−プロパノール(下記反応式(5)における(c))であることを高速液体クロマトグラフィーによって確認した。この工程1の反応を下記反応式(5)に示す。 この1−クロロ−3−(2−メルカプトベンゾチアゾール)−2−プロパノールの純度は98.1%、収率は94.2%であった。 なお、純度は、高速液体クロマトグラフィーによって測定した。以下において同じである。〔工程2:求核性化合物の金属塩の合成〕 磁気スターラー、水浴、滴下ロート、ジムロート冷却器を設けた0.5リットル三つ口フラスコに、2−メルカプトベンゾチアゾール(下記反応式(6)における(a))40.80質量部およびテトラヒドロフラン81.60質量部を入れ、原料が溶解した後、水酸化カリウム(下記反応式(6)における(d))14.37質量部およびエタノール71.86質量部を混合した混合溶液を、反応温度を20℃から25℃に保持しながら、激しく撹拌した状態の反応系に滴下した。反応温度を20℃に保持して2時間、反応を継続した。反応終了後、反応溶液をトルエン940質量部に投入して結晶を析出させた。これをろ過して乾燥することにより、34.31質量部の白色固体を得た。この白色固体が2−メルカプトベンゾチアゾールカリウム(下記反応式(6)における(e))であることを高速液体クロマトグラフィーによって確認した。この工程2の反応を下記反応式(6)に示す。 この2−メルカプトベンゾチアゾールカリウムの純度は99.6%、収率は68.5%であった。〔工程3:二置換2−プロパノールの合成〕 磁気スターラー、オイル浴、滴下ロート、ジムロート冷却器を設けた1リットル三つ口フラスコに、工程1で得られた1−クロロ−3−(2−メルカプトベンゾチアゾール)−2−プロパノール(下記反応式(7)における(c))35.17質量部、工程2で得られた2−メルカプトベンゾチアゾールカリウム(下記反応式(7)における(e))30.33質量部、メタノール266.83質量部およびトルエン266.83質量部を入れ、原料が溶解した後、64℃まで昇温して還流し、反応温度を64℃に保持して47時間、反応を継続した。反応完了後、反応溶液を室温まで放冷した後、フラスコの内容物を分液ロートに投入して100質量部の純水で2回、有機層を洗浄した。有機層をろ過してエバポレーターで濃縮後、得られた固体を乾燥することにより、44.78質量部の白色固体を得た。この白色固体が1,3−ビス(2−メルカプトベンゾチアゾール)−2−プロパノール(下記反応式(7)における(f))であることを高速液体クロマトグラフィーによって確認した。この工程3の反応を下記反応式(7)に示す。 この1,3−ビス(2−メルカプトベンゾチアゾール)−2−プロパノールの純度は82.9%、収率は84.7%であった。〔工程4:高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルの合成〕 磁気スターラー、水浴、滴下ロート、ジムロート冷却器を設けた0.2リットル三つ口フラスコに、工程3で得られた1,3−ビス(2−メルカプトベンゾチアゾール)−2−プロパノール(下記反応式(8)における(f))22.06質量部、トルエン110.30質量部およびトリエチルアミン8.57質量部を入れ、原料が溶解した後、反応温度を20℃から25℃に保持しながら、激しく撹拌した状態の反応系に、塩化アクリロイル(下記反応式(8)における(g))7.67質量部を滴下した。反応温度を20℃に保持して3時間、反応を継続した。反応完了後、フラスコの内容物を分液ロートに投入して100質量部の1%炭酸水素ナトリウム水溶液で2回、100質量部の純水で2回、有機層を洗浄した。有機層を0.2リットルのナスフラスコに移液して「KW500SN」(協和化学工業社製)3.77質量部を添加して25℃で2時間、撹拌し、この溶液をろ過してろ液にハイドロキノンモノメチルエーテル0.003質量部およびビタミンE0.001質量部を添加した。この溶液をエバポレーターで濃縮してろ過することにより、18.81質量部の淡褐色透明液体を得た。この淡褐色透明液体が1,3−ビス(2−メルカプトベンゾチアゾール)−2−プロピルアクリレート(下記反応式(8)における(h))であることを高速液体クロマトグラフィーによって確認した。結果を図1に示す。この工程4の反応を下記反応式(8)に示す。 この1,3−ビス(2−メルカプトベンゾチアゾール)−2−プロピルアクリレートの純度は78.7%、収率は74.9%であった。 得られた1,3−ビス(2−メルカプトベンゾチアゾール)−2−プロピルアクリレートの屈折率を、「PR−2屈折計」(Carl Zeiss Jena社製)を用いて、測定温度:25℃の条件で測定した。スペクトル線のグループは、C線(656.273nm)、d線(587.562nm)、F線(486.133nm)である。結果を下記に示す。 C線(656.273nm)−屈折率1.6711 d線(587.562nm)−屈折率1.6802 F線(486.133nm)−屈折率1.7039<比較例1> 実施例1における工程1〜工程3と同様にして、1,3−ビス(2−メルカプトベンゾチアゾール)−2−プロパノールを得た。 磁気スターラー、オイル浴、ジムロート冷却器付きディーン・スターク装置、空気導入管を設けた0.2リットル三つ口フラスコに、1,3−ビス(2−メルカプトベンゾチアゾール)−2−プロパノール22.06質量部、アクリル酸8.14質量部、トルエン110.30質量部、パラ−トルエンスルホン酸1.10質量部、ハイドロキノンモノメチルエーテル0.003質量部およびビタミンE0.001質量部を入れ、乾燥空気を50ミリリットル/分で導入しながら反応温度を110℃に昇温して還流させ、反応温度を110℃に保持して12時間、反応を継続した。このとき得られた反応物は、純度が10.5%であった。さらに、パラ−トルエンスルホン酸2.20質量部を添加して12時間、反応を継続した。このとき得られた反応物は、純度が11.0%であった。このように反応速度が遅いため、合成は中止した。 本発明の高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルの製造方法によって得られる高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルは、液晶ディスプレイに組み込まれる調光フィルムなどの光学物品の原料として有用である。 下記一般式(1)で表される二置換2−プロパノールと、ハロゲン化アクリロイルとを反応させることにより、下記一般式(2)で表される高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルを形成する工程を含むことを特徴とする高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。〔上記式において、Q1 およびQ2 は硫黄(S)であり、R1 およびR2 は、各々独立に、アリール基またはヘテロアリール基であって、R1 およびR2 の少なくとも一方がヘテロアリール基である。〕〔上記式において、Q1 およびQ2 は硫黄(S)であり、R1 およびR2 は、各々独立に、アリール基またはヘテロアリール基であって、R1 およびR2 の少なくとも一方がヘテロアリール基である。また、Z1 は、(メタ)アクリロイル基である。〕 【課題】高屈折率対称型(メタ)アクリル酸エステルの製造方法の提供。【解決手段】一般式(1)で表される二置換2−プロパノールと、ハロゲン化アクリロイルとを反応させることにより、一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル[式中、Q1およびQ2は硫黄原子であり、R1およびR2は、各々独立に、アリール基またはヘテロアリール基であって、少なくとも一方がヘテロアリール基である。また、Z1は、(メタ)アクリロイル基を表す]を製造する。【選択図】なし


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