タイトル: | 公開特許公報(A)_抗炎症剤 |
出願番号: | 2010223648 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | A61K 31/133,A61P 29/00,A61P 43/00 |
瀧沢 岳 服部 学 片岡 伸介 JP 2011093900 公開特許公報(A) 20110512 2010223648 20101001 抗炎症剤 ライオン株式会社 000006769 小島 隆司 100079304 重松 沙織 100114513 小林 克成 100120721 石川 武史 100124590 瀧沢 岳 服部 学 片岡 伸介 JP 2009230581 20091002 A61K 31/133 20060101AFI20110415BHJP A61P 29/00 20060101ALI20110415BHJP A61P 43/00 20060101ALI20110415BHJP JPA61K31/133A61P29/00A61P43/00 111 12 1 OL 12 特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年9月11日 株式会社化學工業日報社発行の「化学工業日報」にて公開 平成21年9月15日 株式会社日本経済新聞社発行の「日経産業新聞」にて公開 平成21年9月14日 日本防菌防黴学会発行の「日本防菌防黴学会第36回年次大会要旨集」にて発表 平成21年9月15日 平成21年度第36回日本防菌防黴学会年次大会のポスターにて発表 4C206 4C206AA01 4C206AA02 4C206FA03 4C206MA01 4C206MA04 4C206NA14 4C206ZB11 本発明は、細菌性の炎症、特にリポポリサッカライド(LPS)、リポタイコ酸(LTA)由来の炎症に対して、優れた炎症効果を有する抗炎症剤、及びこれを含有する抗炎症剤組成物に関するものである。 食生活の欧米化、生活環境の変化及びストレスの増大等に伴い、本来生体が保有している細菌に対する免疫応答に変化が生じていることが明らかにされてきている。例えば常在菌に対して過剰に免疫応答を示すことにより生じる炎症反応が一因として考えられているアトピー性皮膚炎、アレルギー性皮膚炎等の炎症を伴うものが増えている。また、殺菌剤の多用による耐性菌の出現による感染症の増加も懸念されており、免疫と細菌との応答の結果生じる炎症反応とそれに起因する疾患との関連性が重要視されてきている。炎症反応の原因は様々であり、一連の炎症反応において、炎症部位では種々のケミカルメディエーターが産生されている。炎症の治療にはステロイド剤等が用いられているが、副作用の問題があり、より安全なものが望まれていた。特開2003−252800号公報 大腸菌や緑膿菌といったグラム陰性菌の表層には、リポポリサッカライド(Lipopolysaccharide、以下、LPSと略す)が存在し、黄色ブドウ球菌といったグラム陽性菌の表層には、リポタイコ酸(Lipoteichoic acid、以下、LTAと略す)等の毒素が存在する。LPSやLTAといった毒素は炎症を引き起こし、アレルギーの原因にもなる。本発明は、特にLPSやLTAといった毒素によって引き起こされる炎症に対して優れた抗炎症効果を有する抗炎症剤、及びこれを含有する抗炎症剤組成物を提供することを目的とする。 LPSは、哺乳動物に対して強い毒性を持つ起炎物質であることが知られている。LPSは、菌体細胞壁から容易には遊離せず、細菌が死滅したとき等に菌体が破壊されることで遊離し、それが動物細胞等に作用することで毒性を発揮する。このような特徴から内毒素(エンドトキシン)と呼ばれている。LTAはヒトには存在しない構造であることから抗原として働き、炎症を惹起させることが知られている。 細菌感染に対する生体防御反応は、白血球を介した特異的な免疫反応を中心に論じられてきた。しかし、LPS、LTAに対する細胞側の受容体としてToll様受容体(Toll−like receptor、以下「TLR」と略す)が発見されて以来、感染防御における自然免疫の役割が注目されるようになってきた。LPS、LTAは、TLR/CD14受容体を介して細胞内シグナル伝達系のMAPK(mitogen−activated protein kinase)を活性化、転写因子を活性化し、炎症性サイトカインを産生する。特にLPSにより炎症性サイトカインが過剰に産生された場合には、エンドトキシンショックを引き起こしてしまう。エンドトキシンショックは、炎症性サイトカインと同時に産生される一酸化窒素の末梢血管拡張末梢血管拡張作用、その後引き続くアラキドン酸カスケードを経て、プロスタグランジンやトロンボキサンチンA2等のエイコサノイド産生、ヒスタミンやキニン類等の血管作動性のある化学伝達物質の産生が促進から、高心拍数、発熱等を呈し、末期には低心拍数状態となり死に至ってしまう場合もある。 本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、トロメタモールが上記LPSやLTAといった毒素によって引き起こされる炎症に対して、優れた抗炎症効果を有することを知見し、本発明をなすに至ったものである。 従って、本発明は下記抗炎症剤及び抗炎症剤組成物を提供する。[1].トロメタモールからなる抗炎症剤。[2].細菌性炎症に対する[1]記載の抗炎症剤。[3].リポポリサッカライド(LPS)に起因する炎症に対する[2]記載の抗炎症剤。[4].リポタイコ酸(LTA)に起因する炎症に対する[2]記載の抗炎症剤。[5].[1]〜[4]のいずれかに記載の抗炎症剤を含有する抗炎症剤組成物。[6].トロメタモールを有効成分として含有する抗炎症剤組成物。[7].トロメタモールからなるリポポリサッカライド(LPS)不活化剤。[8].トロメタモールを有効成分として含有するリポポリサッカライド(LPS)不活化剤組成物。[9].トロメタモールからなるリポタイコ酸(LTA)不活化剤。[10].トロメタモールを有効成分として含有するリポタイコ酸(LTA)不活化剤組成物。[11].トロメタモールからなる炎症性サイトカインの発現抑制剤。[12].トロメタモールを有効成分として含有する炎症性サイトカインの発現抑制剤組成物。 本発明によれば、細菌性の炎症、特にLPSやLTAといった毒素によって引き起こされる炎症に対して優れた抗炎症効果を有する抗炎症剤、及びこれを含有する抗炎症剤組成物を提供することができる。LPSに対するトロメタモールの結合性を表す、等温滴定型熱量測定(ITC)の結果を示すグラフである。LTAに対するトロメタモールの結合性を表す、等温滴定型熱量測定(ITC)の結果を示すグラフである。大腸菌由来のLPS(トロメタモール添加)のIL−6発現量を示すグラフである。緑膿菌由来のLPS(トロメタモール添加)のIL−6発現量を示すグラフである。黄色ブドウ球菌由来のLTA(トロメタモール添加)のIL−6発現量を示すグラフである。黄色ブドウ球菌由来のLTA(EDTA添加)のIL−6発現量を示すグラフである。 以下、本発明について詳細に説明する。 本発明は、トロメタモールからなる抗炎症剤であり、トロメタモールを抗炎症用途に用いるものである。さらに、LPS又はLTAのIL−6発現量阻害剤、抑制剤、不活化剤としても用いることができる。後述する試験例の結果からも明らかであるように、トロメタモールがLPSやLTAといった毒素に結合し、これらの毒素によって引き起こされる炎症を抑制することは、本発明者らの新知見である。ここで、不活化とは、LPS・LTAの機能(炎症を惹起する機能)が阻害(又は抑制)されている状態を表す。 トロメタモールは、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオールのことであり、通常、トリス緩衝液として知られている。なお、トロメタモールは、関東化学(株)等で入手可能である。 本発明の抗炎症剤は、グラム陰性菌、グラム陽性菌にかかわらず、細菌性炎症(細菌又はその構成成分に起因する炎症)に対して効果があり、特に細菌の細胞壁構成成分であるLPSやLTAといった毒素に起因する炎症に対して優れた抗炎症効果を有する。上記菌を抗菌剤で死滅させても、表層のLPSやLTAがなくなるわけではなく、上記菌が死滅することで、菌内のLPSやLTAが菌外に排出されることにより、炎症をさらに引き起こしてしまう。従って、通常の抗菌剤を用いても炎症は抑制することはできない。また、たとえ菌が存在した状況であっても、菌から発生する毒素が不活性化されて炎症を起こさなければ、問題とはならない。本発明は、LPSやLTA等の毒素の炎症惹起機能を妨げ(毒素の不活化)、毒素による炎症を抑える技術に関する発明である。 さらに、上記トロメタモールからなる抗炎症剤を含有する抗炎症剤組成物を提供することができる。抗炎症剤組成物中のトロメタモールの含有量は0.001〜20質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましい。 抗炎症剤組成物には、さらにエデト酸塩を配合することが好ましい。エデト酸塩を配合することにより、LTAによって引き起こされる炎症をさらに抑制することができる。エデト酸塩はキレート剤であるが、炎症抑制効果を有することも、本発明者らの新知見である。エデト酸塩は、特に限定されないが、例えば、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム・二水和物、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム・四水和物、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム・水和物が好ましく使用される。中でも、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物(エデト酸ナトリウム)は、溶解性等の点からより好ましい。これらのエデト酸塩は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。なお、エデト酸塩は、ナガセケムテックス(株)等より入手可能である。抗炎症剤組成物中のエデト酸塩の含有量は0.001〜5質量%が好ましく、0.005〜2質量%がより好ましい。 抗炎症剤組成物としては、化粧料、医薬品、医薬部外品、雑貨等の製剤が挙げられ、外用剤が好ましい。抗炎症剤組成物としては、例えば、クリーム、ペースト、液剤、ローション、軟膏、ゲル、パウダー、スプレー、スティック、ワックス、錠剤、顆粒剤、散剤、貼付剤、シートや綿棒、ガーゼ等へ含浸する等の剤形の剤型にできる。具体的には、化粧水、クリーム、乳液、ヘアーウォーター、トニック、育毛剤及び抑汗剤等の洗い流さない外用剤、シャンプー、リンス、ハンドソープ、ボディーソープ、うがい薬、点鼻薬、洗鼻薬、手指の殺菌消毒薬、下痢止め薬、口腔用洗浄剤、嚥下性肺炎予防剤、歯周炎改善剤、口内炎治療薬医療用具の殺菌洗浄剤、日和見感染防止剤、食品用洗浄剤、動物用洗浄剤、各種洗浄シート等として調製することができる。適用部位は限定されず、皮膚、頭皮、口腔粘膜、その他の粘膜いずれも適用することができる。また、身体に触れる可能性のある手術器具等の医療器具、家具や道具、建材等にも用いることができる。中でも、細菌類、ならびにLPS及びLTAといった、毒素が洗い流されやすい粘膜に適用する製剤よりも、アトピー等の乾燥した皮膚に適用する洗い流さない外用剤に用いる方が、効果発現に有利である。 抗炎症剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で公知の配合成分を用いて、組成物の種類、剤形等に応じた常法により調製できる。配合成分としては、例えば、界面活性剤、油分、水溶性高分子化合物、緩衝剤、抗酸化剤、等張化剤、溶解補助剤、pH調整剤、薬剤成分、水等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて、それぞれ適量用いることができる。 界面活性剤としては、例えば、脂肪酸グリセリンエステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、多価アルコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる(配合量は組成物中通常0.2〜7.0質量%)。 油分としては、例えば、流動パラフィン、ワセリン、スクワラン、マイクロクリスタリンワックス、アーモンド油、オリーブ油、硬化油、ホホバ油、ヤシ油、ヒマシ油、パーム油、ミツロウ、ラノリン、ラウリルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、ベヘニルアルコール、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル等が挙げられる(配合量は組成物中通常3〜25質量%)。 水溶性高分子化合物としては、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸ナトリウム等が挙げられる。 緩衝剤としては、例えば、リン酸、リン酸水素ナトリウムやリン酸水素カリウム等のリン酸水素塩、クエン酸、クエン酸ナトリウム等のクエン酸塩、炭酸ナトリウム等の炭酸塩、炭酸水素ナトリウム等の炭酸水素塩、イプシロンアミノカプロン酸、アスパラギン酸、アスパラギン酸塩等が挙げられる。 抗酸化剤としては、例えば、トコフェロール類(トコフェロール、トコフェロール誘導体:酢酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール等のトコフェロールエステル)、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール等の脂溶性抗酸化剤、ビタミンC、ヒドロキノン、システイン、グルタチオン等の水溶性抗酸化剤等が挙げられる。 等張化剤としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ブドウ糖、マンニトール等が挙げられる。 溶解補助剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノール等が挙げられる。 pH調整剤としては、無機酸又は無機アルカリ剤を使用することが好ましい。酸成分としては塩酸が好ましく挙げられる。塩基成分としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。好ましくは、水酸化ナトリウムを用いる。 薬剤成分としては、例えば、収斂成分、抗ヒスタミン成分、抗アレルギー成分、ビタミン類、アミノ酸類、抗菌成分、糖類、多糖類、セルロース又はその誘導体又はそれらの塩、局所麻酔成分、ステロイド成分等が挙げられる。 また、本発明の抗炎症剤以外に、公知の抗炎症成分を配合してもよく、抗炎症成分としては、リゾチーム塩酸塩、プラノプロフェン、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、アラントイン、イプシロン−アミノカプロン酸、インドメタシン、硝酸銀、グリチルリチン酸二カリウム、グリチルリチン酸アンモニウム、ジクロフェナクナトリウム、ブロムフェナクナトリウム、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、ピロキシカム、硫酸ポリミキシンB等が挙げられる。 以上のように、トロメタモールが、特にLPSやLTAによって引き起こされる炎症を抑制することから、トロメタモールからなる、及びトロメタモールを有効成分として含有する抗炎症剤組成物は、抗アレルギー剤、アトピー治療薬及びフケ防止剤として、特に好適であり、抗炎症用外用剤とすることで、その効果をより発揮する。 また、トロメタモールは、リポポリサッカライド(LPS)不活化作用、リポタイコ酸(LTA)不活化作用、IL−6、IL−8といった炎症性サイトカインの発現抑制作用を有することから、本発明は、トロメタモールからなるリポポリサッカライド(LPS)不活化剤、トロメタモールを有効成分として含有するリポポリサッカライド(LPS)不活化剤組成物、トロメタモールからなるリポタイコ酸(LTA)不活化剤、トロメタモールを有効成分として含有するリポタイコ酸(LTA)不活化剤組成物、トロメタモールを有効成分として含有する炎症性サイトカインの発現抑制剤、トロメタモールを有効成分として含有する炎症性サイトカインの発現抑制剤組成物を提供する。 以下、試験例及び実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。 下記試験には、LPSとして大腸菌LPS(Sigma社、L−2637)、緑膿菌由来LPS(Sigma社、L−8643)を、LTAとしては黄色ブドウ球菌由来LTA(Sigma社、L−2515)を用いた。 [試験例1][LPS・LTAに対するトロメタモールの結合性] 上記で得られた大腸菌表層由来のLPS 0.1mg/mL(4.1μmol/L)又は黄色ブドウ球菌表層由来のLTA 0.1mg/mL(9.7μmol/L)と、0.1質量%のトロメタモールとを用いて、等温滴定型熱量測定(ITC)を行い、LPS・LTAに対するトロメタモールの結合性を評価した。LPSの結果(N=19.3、K=4.7E4、ΔH=−1.47kcal/mol)を図1に、LTAの結果(N=7.0、K=7.9E4、ΔH=−2.49kcal/mol)を図2に示す。Nは結合分子数、Kは結合定数を示す。 トロメタモールは、LPS、LTAのいずれに対しても発熱反応を示していることから、引力的相互作用を示し、トロメタモールがLPS、LTAに対して結合性を有することが確認された。 [試験例2][抗炎症評価:IL−6発現量] サイトカインの1種であるIL−6の発現量を下記方法で測定した。結果を、大腸菌表層由来のLPS・トロメタモール(表1、図3)、緑濃菌表層由来のLPS・トロメタモール(表2、図4)、黄色ブドウ球菌由来のLTA・トロメタモール(表3、図5)、黄色ブドウ球菌由来のLTA・EDTA(表4、図6)に示す。 ウサギ角膜上皮細胞(倉敷紡績株式会社)を専用増殖培地(倉敷紡績株式会社、RCGM2)で培養し、コンフルエントになるまで培養した状態で試験を行なった。コンフルエントになった後、培地をα−MEM(インビトロジェン社)に交換し、24時間・37℃でインキュベートした。培地を除去し、LPS又はLTA(培地中の濃度は0.1μg/mL)と、トロメタモール又はエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム・二水和物(以下、EDTAと略記する)(培地中の濃度を表及び図に示す)とを含むα−MEMを加えた培地を添加し、24時間・37℃でインキュベートした(炎症惹起)。その後、培地を除去し、細胞をPBSで洗浄した。 QIAシュレッダー及びRNeasy(共にキアゲン社)を用いて、角膜上皮細胞からmRNAを抽出した。続いて、Rever−Tra ace(東洋紡績株式会社)を用いて、採取したmRNAからDNAをPCR法により合成した。このDNAを用いて、IL−6遺伝子の発現量を、リアルタイムPCR(BIORAT社製)を用いて測定した。このとき、内部標準遺伝子としてGAPDH遺伝子を用い、GAPDH遺伝子の発現量に対するIL−6遺伝子の相対遺伝子発現量を算出した。IL−6及びGAPDH遺伝子のプライマーを下記に示す。<IL−6プライマー>Forward primer:TTTGAATGAAGAAGCCACCC(配列番号1)Reverse primer:GATGGTGTGTTCTGACCGTG(配列番号2)<GAPDHプライマー>Forward primer:AGGTCATCCACGACCACTTC(配列番号3)Reverse primer:GTGAGTTTCCCGTTCAGCTC(配列番号4) トロメタモールは、大腸菌表層及び緑膿菌表層由来のLPS、ならびに黄色ブドウ球菌表層由来のLTAの全てに対して、IL−6の発現量抑制効果があり、抗炎症効果が認められた。一方、EDTAは黄色ブドウ球菌表層由来のLTAに対してIL−6の発現量抑制効果が認められた。 [実施例1〜4] 下記液剤を常法に基づき調製した。この液剤を、炎症を起こしている皮膚に用いたところ、炎症が抑制された。配列表の配列番号1:IL−6のフォワードプライマー配列表の配列番号2:IL−6のリバースプライマー配列表の配列番号3:GAPDHのフォワードプライマー配列表の配列番号4:GAPDHのリバースプライマー トロメタモールからなる抗炎症剤。 細菌性炎症に対する請求項1記載の抗炎症剤。 リポポリサッカライド(LPS)に起因する炎症に対する請求項2記載の抗炎症剤。 リポタイコ酸(LTA)に起因する炎症に対する請求項2記載の抗炎症剤。 請求項1〜4のいずれか1項記載の抗炎症剤を含有する抗炎症剤組成物。 トロメタモールを有効成分として含有する抗炎症剤組成物。 トロメタモールからなるリポポリサッカライド(LPS)不活化剤。 トロメタモールを有効成分として含有するリポポリサッカライド(LPS)不活化剤組成物。 トロメタモールからなるリポタイコ酸(LTA)不活化剤。 トロメタモールを有効成分として含有するリポタイコ酸(LTA)不活化剤組成物。 トロメタモールからなる炎症性サイトカインの発現抑制剤。 トロメタモールを有効成分として含有する炎症性サイトカインの発現抑制剤組成物。 【課題】LPSやLTAといった毒素によって引き起こされる炎症に対して優れた抗炎症効果を有する抗炎症剤、及びこれを含有する抗炎症剤組成物を提供する。【解決手段】トロメタモールからなる抗炎症剤。【選択図】図1配列表