タイトル: | 公開特許公報(A)_精製アスタキサンチン結晶の製造方法 |
出願番号: | 2010213037 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | C12P 23/00,A23L 1/272,A61K 31/122,A61K 8/67,A23L 1/29 |
馬場 英幸 JP 2012065586 公開特許公報(A) 20120405 2010213037 20100924 精製アスタキサンチン結晶の製造方法 株式会社日本触媒 000004628 岩谷 龍 100077012 馬場 英幸 C12P 23/00 20060101AFI20120309BHJP A23L 1/272 20060101ALI20120309BHJP A61K 31/122 20060101ALI20120309BHJP A61K 8/67 20060101ALI20120309BHJP A23L 1/29 20060101ALN20120309BHJP JPC12P23/00A23L1/272A61K31/122A61K8/67A23L1/29 11 OL 10 4B018 4B064 4C083 4C206 4B018MA01 4B018MC01 4B018MD81 4B018ME06 4B018MF01 4B064AC38 4B064AH01 4B064CA06 4B064CE08 4B064CE15 4B064DA01 4B064DA10 4B064DA20 4C083AD621 4C083CC01 4C206AA01 4C206AA04 4C206CB25 4C206KA16 4C206MA01 4C206MA04 本発明は、精製アスタキサンチン結晶の製造方法に関するものであり、より詳細には、ファフィア属酵母から得られる高純度精製アスタキサンチン結晶の製造方法に関するものである。 アスタキサンチンは、マダイ、サケ、マスなどの魚類、カニ、エビ、オキアミなどの甲殻類に存在し、また、アグロバクテリウム属、ブレビバクテリウム属、パラコッカス属の細菌類、ヘマトコッカス属緑藻類、ファフィア属酵母などの微生物により産生されるカロテノイドの一種である。アスタキサンチンは、飼料添加物として養殖サケ、マス等の色調強化、鶏卵の色調改善等に広く使用されている。アスタキサンチンは、また食品添加物としても認められており、油脂加工食品、蛋白質性食品、水性液状食品、健康食品などに幅広く使用されている。さらに、アスタキサンチンは、抗酸化活性、抗癌活性、抗炎症活性などの様々な生理的作用が確認され、医薬品、機能性食品、化粧品等に有用である。 アスタキサンチンは、化学合成により工業的に製造され得るが、原料に臭素および塩素を含むハロゲン系化合物や重金属類を必要とするため(例えば特許文献1参照)、安全面の不安から化学合成によらないアスタキサンチンの製造が求められている。 例えば、天然物からの抽出法としては、カニ、エビ、オキアミ等を適当な前処理後有機溶剤で抽出するのが一般的であるが、これらの生物原料におけるアスタキサンチンの含量は低く、採取、抽出、精製などの複雑な工程を要し、多大な労力を要し、コスト的な問題がある。 このような背景から、藻類、酵母、細菌等の微生物からアスタキサンチンを製造する方法が多数報告され、現在、工業的なアスタキサンチンの製造原料としては、ヘマトコッカス属緑藻類(Haematococcus pluvialis)が主流となっている。しかし、ヘマトコッカス属緑藻類の培養には光が必要であり、大規模なバイオリアクターを使用する必要がある。 ファフィア属酵母からアスタキサンチンを製造する方法も知られている(特許文献2参照)。この方法は、培養後の菌体をアセトンで抽出し、得られた抽出液を濃縮して得られる粗油状物に炭化水素系溶剤を加えて晶析させる製造方法である。この方法は簡便性が高いが、得られる製品中のアスタキサンチン含量は36〜42質量%程度であり、酵母の菌体由来不純物が製品中に相当残存し、高純度アスタキサンチンの製造方法として満足できるものではない。また、酵母の菌体由来不純物に起因する臭気が残る欠点もある。 ファフィア属酵母などの微生物培養物からアスタキサンチンを製造する方法については特許文献3〜5も知られているが、本発明者らが鋭意検討したところ、これらの方法によっては、ファフィア属酵母からアスタキサンチンを首尾よく製造することができなかった。すなわち、これらの方法は、微生物培養物を、低級ジアルキルケトン類およびエーテル類の少なくとも一方(特許文献3)、低級アルコール類(特許文献4)、80℃以上の低級アルコール類または含水低級アルコール類(特許文献5)を用いて抽出し、得られた抽出物を濃縮して沈殿物を得、該沈殿物を低級アルコール等の洗浄用溶媒で洗浄する工程を含むものであるが、ファフィア属酵母の培養物を低級ジアルキルケトン類、エーテル類、または低級アルコール類で抽出し、得られた抽出物を濃縮しても沈殿物が得られなかった。したがって、これらの公知方法は、ファフィア属酵母からのアスタキサンチンの工業的製造方法としては不適である。米国特許第4283559号特開2004−208504号公報特開2007−261972号公報特開2007−319015号公報特開2009−050237号公報 本発明は、ファフィア属酵母由来のアスタキサンチンの工業的に有利な製造方法を提供することを課題とする。より詳しくは、本発明は、ファフィア属酵母由来の高純度アスタキサンチン結晶を高収率で製造する方法を提供するとともに、ファフィア属酵母由来の高純度アスタキサンチン結晶を含有する医薬品、飲食品、化粧品を提供することを課題とする。 本発明者らは、上記公知技術の問題点を解決するために、多数の試行錯誤による実験を遂行した結果、上記公知技術の問題点が本発明により一挙に解決されることを知見した。すなわち、本発明は、上記課題を解決するために、以下の各発明を包含する。[1]ファフィア属酵母から得られ、当該酵母菌体由来不純物および当該不純物に起因する臭気を有するアスタキサンチン粗結晶を調製する工程と、得られたアスタキサンチン粗結晶を、水を含んでいてもよい炭素数1〜4のアルコールと接触させる工程と、アルコールを除去し、不純物および臭気が低減されたアスタキサンチン結晶を取得する工程とを包含することを特徴とする精製アスタキサンチン結晶の製造方法。[2]炭素数1〜4のアルコールが、メタノール、エタノール、n−プロパノールまたはイソプロパノールである前記[1]に記載の製造方法。[3]水を含んでいてもよい炭素数1〜4のアルコールが、アルコールに対する水分量が25質量%以下のアルコールであることを特徴とする前記[1]または[2]に記載の製造方法。[4]アスタキサンチン粗結晶が、ファフィア属酵母を脂肪族ケトン系溶媒で抽出した後、炭化水素系溶媒で晶析して得られることを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。[5]脂肪族ケトン系溶媒が、アセトン、メチルエチルケトンまたはメチルイソブチルケトンである前記[4]に記載の製造方法。[6]炭化水素系溶媒が、n−ヘキサン、シクロヘキサンまたはヘプタンである前記[4]に記載の製造方法。[7]精製アスタキサンチン結晶の純度が80質量%以上である前記[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。[8]前記[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法により得られるファフィア属酵母由来精製アスタキサンチン結晶。[9]前記[8]に記載のファフィア属酵母由来精製アスタキサンチン結晶を含有する医薬品。[10]前記[8]に記載のファフィア属酵母由来精製アスタキサンチン結晶を含有する飲食品。[11]前記[8]に記載のファフィア属酵母由来精製アスタキサンチン結晶を含有する化粧品。 本発明の製造方法によれば、ファフィア属酵母から、工業的に有利な方法で高純度アスタキサンチン結晶を高収率で製造することができる。本発明の製造方法により得られる精製アスタキサンチン結晶は、天然物由来であり、アスタキサンチンの純度が高く、かつ、菌体由来不純物に起因する臭気がほとんどないので、医薬品、飲食品、化粧品の用途に好適である。 本発明の精製アスタキサンチン結晶の製造方法(以下、「本発明の製造方法」という。)は、以下の工程(A)〜(C)を包含するものであればよい。本発明の目的を損なわない限り工程(A)〜(C)以外の工程を包含してもよく、その内容は限定されない。(A)ファフィア属酵母から得られ、当該酵母菌体由来不純物および当該不純物に起因する臭気を有するアスタキサンチン粗結晶を調製する工程(B)得られたアスタキサンチン粗結晶を、水を含んでいてもよい炭素数1〜4のアルコールと接触させる工程(C)アルコールを除去し、不純物および臭気が低減されたアスタキサンチン結晶を取得する工程 本発明の製造方法において原料に用いられるファフィア属酵母(Phaffia rhodozyma)は、アスタキサンチンを多く含む赤色色素を生産する微生物として知られている。赤色色素は種々のカロテノイドからなり、全カロテノイドの約65〜70質量%をアスタキサンチンが占める。また、ファフィア属酵母は乾燥菌体1g当たり約25質量%程度の油脂分を含むことが知られている。 本発明の製造方法には、公知の培養方法で増殖させたファフィア属酵母を好適に用いることができる。また、アルカリ試薬や界面活性剤などを用いた化学的処理、タンパク質分解酵素などを用いた生化学処理、超音波処理や粉砕などの物理的処理等を行ってファフィア属酵母の細胞壁を破壊して用いてもよい。さらに、噴霧乾燥、ドラム乾燥、凍結乾燥、減圧乾燥等により乾燥処理した乾燥菌体を用いてもよい。 工程(A)は、ファフィア属酵母からアスタキサンチン粗結晶を得る工程である。アスタキサンチン粗結晶は、ファフィア属酵母を原料として得られるものであればよい。ファフィア属酵母由来のアスタキサンチン粗結晶は、アスタキサンチン以外の不純物を含むもものであってよく、通常ファフィア属酵母の菌体由来不純物を含み、当該菌体由来の不純物に起因する臭気(発酵臭)を有している。アスタキサンチン粗結晶におけるアスタキサンチンの純度は特に限定されない。好ましくは純度約40質量%以上、より好ましくは純度約50質量%以上のアスタキサンチン粗結晶である。 ファフィア属酵母を原料としてアスタキサンチン粗結晶を調製する方法は特に限定されない。例えば、ファフィア属酵母を脂肪族ケトン系溶媒で抽出した後、炭化水素系溶媒で晶析してアスタキサンチン粗結晶を調製する方法を好適に用いることができる。具体的には、例えば、ファフィア属酵母の乾燥菌体を脂肪族ケトン系溶媒で抽出し、菌体を分離して得た抽出液を濃縮し、当該濃縮液を炭化水素系溶媒に添加して攪拌し、析出した固体を分離することによりアスタキサンチン粗結晶を調製することができる。 脂肪族ケトン系溶媒(抽出溶媒)の量は特に限定されないが、乾燥菌体質量に対して約2〜20倍の量が好ましい。抽出温度は特に限定されないが、室温〜溶媒の沸点未満が好ましい。抽出時間も特に限定されず、約1〜3時間が好ましい。 脂肪族ケトン系溶媒は特に限定されないが、例えばアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。好ましくはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンであり、より好ましくはアセトンである。 抽出液から菌体を分離する方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、濾過分離などが挙げられる。続いて、菌体を分離、除去した抽出液を濃縮し、晶析に供する。濃縮方法は特に限定されず、公知の方法を好適に用いることができる。具体的には、例えば、減圧下で溶媒を留去する方法などが挙げられる。 得られた濃縮液を、炭化水素系溶媒に添加して攪拌することにより、アスタキサンチンが晶析する。炭化水素系溶媒の量は特に限定されないが、乾燥菌体の質量に対して約0.1〜5倍が好ましく、より好ましくは約0.2〜2倍である。温度は特に限定されないが、室温〜溶媒の沸点未満が好ましい。時間も特に限定されず、約0.5〜2時間が好ましい。 炭化水素系溶媒は特に限定されないが、例えばペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘプタン、オクタン、シクロオクタン、ノナン、デカン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、メシチレンなどが挙げられる。好ましくはペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、メチルシクロヘキサンであり、より好ましくはn−ヘキサンである。 析出した結晶を濾過等の公知の方法を用いて分離する。必要に応じて、結晶を乾燥させてもよい。 工程(B)は、工程(A)で得られたアスタキサンチン粗結晶を、水を含んでいてもよい炭素数1〜4のアルコールと接触させる工程である。炭素数1〜4のアルコールは特に限定されず、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールなどが挙げられる。好ましくは炭素数1〜3のアルコールであり、より好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノールである。特に好ましくはエタノールである。アルコールが水を含む場合、アルコールに対する水分量は、約25質量%以下が好ましく、約20質量%以下がより好ましく、約10質量%以下がさらに好ましく、約5質量%以下が特に好ましい。 アスタキサンチン粗結晶とアルコールとを接触させる方法は特に限定されない。粗結晶にアルコールを添加してもよく、アルコールに粗結晶を添加してもよい。水の存在下でアスタキサンチン粗結晶とアルコールとを接触させる場合には、粗結晶と水とを接触させた後にアルコールを添加してもよく、粗結晶とアルコールとを接触させた後に水を添加してもよく、粗結晶と含水アルコールとを接触させてもよい。好ましくは、アルコールまたは含水アルコールを攪拌しながら、粗結晶を徐々に添加する方法である。 粗結晶と接触させるアルコール量、またはアルコールと水との合計量は、特に限定されないが、少なすぎると不純物の除去効率が低下し、多すぎると溶出によるアスタキサンチンの損失が大きくなる。好ましくは粗結晶の質量に対して約5〜15倍であり、より好ましくは約8〜12倍である。温度は特に限定されないが、室温〜沸点未満が好ましい。接触時間も特に限定されず、約0.5〜3時間が好ましい。 工程(C)は、アスタキサンチン粗結晶とアルコールとが接触している状態からアルコールを除去し、不純物および臭気が低減されたアスタキサンチン結晶を取得する工程である。アルコールを除去してアスタキサンチン結晶を取得する方法は特に限定されない。例えば、アルコール中の固体分を濾過等の公知の方法を用いて分離することにより、アルコールを除去してアスタキサンチン結晶を取得することができる。必要に応じて、分離後の結晶を乾燥させてもよい。アスタキサンチン粗結晶に含まれていた不純物がアルコールとともに除去され、ファフィア属酵母の菌体由来不純物および当該不純物に起因する臭気が粗結晶より低減した精製アスタキサンチン結晶を得ることができる。精製アスタキサンチン結晶の純度は、通常約70質量%以上であり、好ましくは約80質量%以上、より好ましくは約85質量%以上である。アスタキサンチンの純度は、例えば、高速液体クロマトグラフィー分析によって、測定することができる。 本発明の製造方法で製造した精製アスタキサンチン結晶(以下、「本発明の精製アスタキサンチン結晶」という。)は、天然物(ファフィア属酵母)由来であり、アスタキサンチンの純度が高く、臭気がほとんどないので、医薬品、飲食品、化粧品の用途に非常に有用である。また、これら以外にも、飼料、食品添加剤、飼料添加剤等として好適に用いることができる。 アスタキサンチンは、抗酸化活性、抗癌活性、抗炎症活性などを有することが知られており、医薬品の有効成分として使用することができる。 本発明の精製アスタキサンチン結晶を含有してなる医薬品は、経口または非経口のいずれかの経路で哺乳動物に投与することができる。経口剤としては、顆粒剤、散剤、錠剤(糖衣錠を含む)、丸剤、カプセル剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などが挙げられる。非経口剤としては、注射剤(例えば、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤)、点滴剤、外用剤(例えば、経鼻投与製剤、経皮製剤、軟膏剤)、坐剤(例えば、直腸坐剤、膣坐剤)などが挙げられる。これらの製剤は、当該分野で通常行われている手法により、薬学上許容される担体を用いて製剤化することができる。薬学上許容される担体としては、賦形剤、結合剤、希釈剤、添加剤、香料、緩衝剤、増粘剤、着色剤、安定剤、乳化剤、分散剤、懸濁化剤、防腐剤等が挙げられ、例えば、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、砂糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、澱粉、ゼラチン、トラガント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、低融点ワックス、カカオバター等を担体として使用できる。 経口用の固形剤(錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤等)は、有効成分を賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合し、常法に従って製剤化することができる。必要に応じて、コーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。 経口用の液剤(水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等)は、有効成分を一般的に用いられる希釈剤(精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化して製剤化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。 注射剤は、溶液、懸濁液、乳濁液、および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、有効成分を溶剤に溶解、懸濁または乳化して製剤化される。溶剤として、例えば注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。 本発明の精製アスタキサンチン結晶を含有してなる飲食品は、一般的に飲食品に用いられる食品添加剤、例えば甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、発色料、漂白料、防かび剤、ガムベース、苦味料、酵素、光沢剤、酸味料、調味料、乳化剤、香料、香辛料抽出物等が添加されてもよい。なお、飲食品には、健康食品、機能性食品、特定保健用食品、病者用食品が含まれる。 本発明に好適な飲食品は特に限定されない。具体的には、例えば、いわゆる栄養補助食品(サプリメント)としての錠剤、顆粒剤、散剤、ドリンク剤等を挙げることができる。これ以外には、例えば茶飲料、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料、そば、うどん、中華麺、即席麺等の麺類、飴、キャンディー、ガム、チョコレート、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子、パン等の菓子およびパン類、かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品、加工乳、発酵乳等の乳製品、サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂および油脂加工食品、ソース、たれ等の調味料、カレー、シチュー、丼、お粥、雑炊等のレトルトパウチ食品、アイスクリーム、シャーベット、かき氷等の冷菓などを挙げることができる。 本発明の精製アスタキサンチン結晶を含有してなる化粧品は、通常化粧品等に使用されている成分、例えば、保湿剤、動植物由来油脂、シリコーン類、低級アルコール、動植物由来抽出エキス、紫外線吸収剤、消炎剤、金属封鎖剤、ビタミン類、酸化防止剤、防腐剤、殺菌剤、pH調整剤、着色剤、各種香料などを目的に応じて適宜配合することができる。 本発明に好適な化粧品は特に限定されない。具体的には、例えば、乳液、クリーム、化粧水、パック、洗浄料等のスキンケア化粧料、ファンデーション、アイシャドウ、マスカラ、口紅等のメークアップ化粧料、分散液、軟膏、外用液剤、クリーム剤等の化粧料、入浴剤などを挙げることができる。 本発明の精製アスタキサンチン結晶を含有してなる飼料としては、例えば、ウシ、ウマ、ブタ等の家畜用飼料、ニワトリ等の家禽用飼料、イヌ、ネコ等のペット用飼料、マダイ、エビなどの養殖魚介類用飼料などが挙げられる。本発明の飼料は、飼料中に本発明の組成物を添加する以外、一般的な飼料の製造方法を用いて加工製造することができる。 本発明の精製アスタキサンチン結晶を含有してなる医薬品および飲食品の投与量または摂取量は、患者または摂取者の年齢および体重、症状、投与時間、剤形、投与方法、薬剤の組み合わせ等に依存して決定できる。例えば、成人1人1日当たり、約0.1〜6mg、好ましくは約1〜6mgとなるように投与または摂取するのが好ましい。投与または摂取回数は、1日1回または複数回に分けて行うことができる。 以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。〔実施例1〕(1)あらかじめ破砕処理を行ったファフィア属酵母の乾燥体(ケイ・アイ化成製、アスタキサンチン0.9質量%を含む)143.0gを、アセトン576.1gに投入し、窒素雰囲気、遮光下、室温で3時間攪拌した。内容物を、孔径0.2μmのメンブレンフィルターを装着した加圧濾過器に投入して濾過操作を行い、酵母菌体を除去し、濾液を得た。濾過器内に残ったケーキに保持された抽出成分を洗い出すために、濾過器内にアセトンを投入して再度濾過操作を行い、濾液を得た。これらの操作により、アスタキサンチン0.10質量%を含む抽出液733.0gを得た。(2)上記(1)で得られた抽出液を、圧力300mmHgの減圧下、50℃でアセトンを留去し、粘凋な濃縮液24.1gを得た。(3)室温にて、n−ヘキサン76gを攪拌しながら、上記(2)で得られた濃縮液をn−ヘキサンに徐々に投入した。濃縮液の投入完了後、さらに室温で1時間攪拌を続けた。析出した固体を濾取し、少量のn−ヘキサンで洗浄後、40℃で減圧乾燥を行い、赤褐色の粗結晶1.1gを得た。(4)上記(3)で得られた粗結晶にエタノール11.0gを加え、室温で1時間攪拌した後、固体分を濾取し、少量のエタノールで洗浄後、減圧乾燥を行い、暗紫色のアスタキサンチン結晶を得た。〔実施例2〕 実施例1の(4)において、エタノールに代えて含水エタノール(95.5体積%エタノール、4.5体積%水)を用いた以外は実施例1と同様にして、暗紫色のアスタキサンチン結晶を得た。〔比較例1〕 実施例1の(4)において、エタノールに代えてn−ヘキサンを用いた以外は実施例1と同様にして、赤褐色のアスタキサンチン結晶を得た。〔比較例2〕 実施例1の(4)において、エタノールに代えて30質量%のアセトンを含むn−ヘキサンを用いた以外は実施例1と同様にして、赤褐色のアスタキサンチン結晶を得た。〔純度測定〕 実施例1の(3)で得られた粗結晶、ならびに、実施例1、実施例2、比較例1および比較例2のアスタキサンチン結晶について、それぞれ純度を測定した。アスタキサンチン純度は、高速液体クロマトグラフィー分析により求めた。すなわち、まず、各アスタキサンチン結晶をそれぞれ精秤し、アセトンに溶かして定容とした試料溶液を調製し、文献(佐藤ら、食衛誌、39(6)、p368-74 (1998))に準じた条件で分析した。別途、精秤した市販のアスタキサンチン試薬(Alexis Biochem. Inc. 製)をアセトンに溶かして定容とした標準液についても同様の分析を行い、両者の波長480nmにおけるアスタキサンチンのピーク面積比により、各アスタキサンチン結晶中のアスタキサンチン含有量を求めた。〔臭気判定〕 実施例1の(3)で得られた粗結晶、ならびに、実施例1、実施例2、比較例1および比較例2のアスタキサンチン結晶について、それぞれ臭気を判定した。臭気の判定は、3名のパネラーに得られた各アスタキサンチン結晶(約0.5g)をスクリュー瓶(10mL容量)に入れて、臭いを嗅いで判定した。実施例1の(3)で得られた粗結晶の臭気を5とし、臭気なしを0として、各アスタキサンチン結晶の臭気を0〜5の6段階で評価した。 純度、外観、臭気の結果を表1に示した。本発明の製造方法により、アスタキサンチンの純度を約90質量%程度まで向上させることができた。また、臭気についてもほぼ無臭となった。それゆえ、本発明の製造方法により得られるファフィア属酵母由来の高純度アスタキサンチンを各種用途に用いることにより、効能の向上が期待できる。〔参考例〕 先行文献(特許文献3:特開2007−261972号公報)に記載の方法に準じた方法で、ファフィア属酵母からアスタキサンチンの抽出を試みた。 すなわち、特許文献3の実施例1の工程2において、工程1で得られたE−396菌株の乾燥菌体に代えて、あらかじめ破砕処理を行ったファフィア属酵母の乾燥体(ケイ・アイ化成製、アスタキサンチン0.9質量%を含む)を用いた以外工程2の記載と同様の操作を行い、アスタキサンチン0.011質量%を含む抽出液2.3kgを得た。 続いて、工程3に記載の操作を行い、濃縮液約80gを得たが、特許文献3の記載と異なり、得られた濃縮液に沈殿物の生成は認められなかった。 なお本発明は上述した各実施形態および実施例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。 本発明の製造方法により得られるファフィア属酵母由来の高純度アスタキサンチン結晶は、飲食品、化粧品、医薬品等に利用することができる。 ファフィア属酵母から得られ、当該酵母菌体由来不純物および当該不純物に起因する臭気を有するアスタキサンチン粗結晶を調製する工程と、 得られたアスタキサンチン粗結晶を、水を含んでいてもよい炭素数1〜4のアルコールと接触させる工程と、 アルコールを除去し、不純物および臭気が低減されたアスタキサンチン結晶を取得する工程とを包含することを特徴とする精製アスタキサンチン結晶の製造方法。 炭素数1〜4のアルコールが、メタノール、エタノール、n−プロパノールまたはイソプロパノールである請求項1に記載の製造方法。 水を含んでいてもよい炭素数1〜4のアルコールが、アルコールに対する水分量が25質量%以下のアルコールであることを特徴とする請求項1または2に記載の製造方法。 アスタキサンチン粗結晶が、ファフィア属酵母を脂肪族ケトン系溶媒で抽出した後、炭化水素系溶媒で晶析して得られることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。 脂肪族ケトン系溶媒が、アセトン、メチルエチルケトンまたはメチルイソブチルケトンである請求項4に記載の製造方法。 炭化水素系溶媒が、n−ヘキサン、シクロヘキサンまたはヘプタンである請求項4に記載の製造方法。 精製アスタキサンチン結晶の純度が80質量%以上である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法により得られるファフィア属酵母由来精製アスタキサンチン結晶。 請求項8に記載のファフィア属酵母由来精製アスタキサンチン結晶を含有する医薬品。 請求項8に記載のファフィア属酵母由来精製アスタキサンチン結晶を含有する飲食品。 請求項8に記載のファフィア属酵母由来精製アスタキサンチン結晶を含有する化粧品。 【課題】ファフィア属酵母から工業的に有利な方法で、高純度アスタキサンチン結晶を高収率で製造する方法、ならびに、ファフィア属酵母由来の高純度アスタキサンチン結晶を含有する医薬品、飲食品および化粧品を提供する。【解決手段】ファフィア属酵母から得られ、当該酵母菌体由来不純物および当該不純物に起因する臭気を有するアスタキサンチン粗結晶を調製する工程と、得られたアスタキサンチン粗結晶を、水を含んでいてもよい炭素数1〜4のアルコールと接触させる工程と、アルコールを除去し、不純物および臭気が低減されたアスタキサンチン結晶を取得する工程とを包含する精製アスタキサンチン結晶の製造方法。【選択図】なし