生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_ウェーハの欠陥検出方法
出願番号:2010212495
年次:2012
IPC分類:G01N 21/956


特許情報キャッシュ

神山 栄治 山本 一弘 中原 信司 JP 2012068103 公開特許公報(A) 20120405 2010212495 20100922 ウェーハの欠陥検出方法 株式会社SUMCO 302006854 杉村 憲司 100147485 来間 清志 100114292 高梨 玲子 100149700 神山 栄治 山本 一弘 中原 信司 G01N 21/956 20060101AFI20120309BHJP JPG01N21/956 A 4 4 OL 10 2G051 2G051AA51 2G051AB01 2G051AB02 2G051BA01 2G051BA04 2G051BA05 2G051BB01 2G051BB03 2G051CA07 2G051CB05 本発明は、ウェーハ表面の欠陥検出方法に関するものであり、特に、エピタキシャルウェーハ上の積層欠陥やピット等の結晶欠陥と、パーティクル等の付着異物とを区別して検出する方法に関するものである。 従来、トランジスタやダイオード、MOS型およびバイポーラ型のIC用基板として、エピタキシャルウェーハが使用されている。エピタキシャルウェーハは、ポリッシュドウェーハ上にエピタキシャル膜を成長させたものであり、高い表面平坦性や低い金属汚染等の優れた特性を有している。 ところで近年、半導体デバイスの微細化に伴い、基板となるウェーハ上の結晶欠陥や異物が製品の歩留まりに与える影響が益々大きくなっている。上記エピタキシャルウェーハの表面には、積層欠陥やピット等のエピタキシャルウェーハ特有の結晶欠陥と、パーティクル等の付着異物が存在する。その内、結晶欠陥は、P/N接合のリーク電流を増大させ、またMOSデバイスのゲート酸化膜特性を劣化させる。したがって、ウェーハの品質を向上させるためには、その表面に存在する結晶欠陥と付着異物とを区別して検出し、それらの起源を明らかにしてウェーハの製造条件に反映させることが重要となる。 こうしたウェーハ表面の品質を精密に評価する従来技術として、検査対象のウェーハ表面にレーザー光を照射し、散乱されたレーザー光の強度をパーティクル検査機により検出し、この検出した散乱強度の値を用いて、積層欠陥やピット等の結晶欠陥やパーティクル等の付着異物を輝点欠陥(Light Point Defects,LPD)として検出する方法が知られている。 例えば、特許文献1には、検査対象となるシリコンウェーハに、該ウェーハの表面に対して垂直方向又は斜め方向から検査用の光を照射し、該ウェーハの表面に対して高角度及び低角度の各方向へ散乱された光から、ウェーハ表面のスクラッチと異物とを区別して検出する方法について記載されている。 しかし、特許文献1の技術においては、一方向からの入射光のみを使用するため、スクラッチおよび異物を分類する精度が低いことが問題であった。 そこで、非特許文献1には、2つの入射系(垂直入射および斜め入射)および2つの検出系(高角度方向散乱および低角度方向散乱)を用意し、それらの組み合わせから得られる4つの検出チャネルのうち、垂直方向入射・高角度方向散乱(以下、「DNNチャネル」と称する)及び斜め方向入射・低角度方向散乱(以下、「DWOチャネル」と称する)から、エピタキシャルウェーハ上に検出されたLPDを、積層欠陥とパーティクルとに分類するする技術について提案されている。特表2004−524538号公報A.Chen et al.,“Advanced inspection methodologies for detection and classification of killer substrate defects”,Proc.of SPIE,2008,Vol.7140,71400W−1−10 しかしながら、非特許文献1の方法により、エピタキシャルウェーハの表面を検査すると、比較的大きなサイズを有するLPDについては、積層欠陥とパーティクルとに精度良く分類できるものの、0.15μm以下の比較的小さいLPDについては、分類が未だ困難であるところに問題を残していた。 そこで、本発明の目的は、検出されたエピタキシャルウェーハ上のLPDを結晶欠陥と付着異物とに分類する精度を向上させる方途を提供することにある。 発明者らは、上記課題を解決するための方途について鋭意検討した。即ち、欠陥を検出する際に使用する光の波長に注目し、該波長を変更して結晶欠陥及び付着異物の検出サイズと波長との相関を詳細に調査した。その結果、結晶欠陥と付着異物とでは、ウェーハに照射する光の波長の変化に対する検出サイズの変化率が異なることを見出した。そこで、検出されたウェーハ上のLPDを結晶欠陥と付着異物とに分類する精度を向上させるためには、上記DNNチャネル及びDWOチャネルの検出において使用する光の波長を変えることが有効であることを見出し、本発明を完成させるに到った。 即ち、本発明のウェーハの欠陥検出方法は、ウェーハの表面に対して垂直の方向に照射させる垂直照射光の該照射表面からの散乱光のうち、高角度方向に散乱する散乱光の検出強度から前記照射表面における輝点欠陥の第1のサイズを求め、前記照射表面に対して斜めの方向に入射させる斜め照射光の該照射表面からの散乱光のうち、低角度方向に散乱する散乱光の検出強度から前記輝点欠陥の第2のサイズを求め、前記輝点欠陥を、前記第2のサイズに対する前記第1のサイズの比および予め求めた閾値に基づいて結晶欠陥と付着異物とに分類するに際し、前記垂直入射光の波長と前記斜め入射光の波長とを異ならせることを特徴とするものである。 また、本発明のウェーハの欠陥検出方法において、前記垂直入射光の波長が、前記斜め入射光の波長よりも大きいことが好ましい。 また、本発明のウェーハの欠陥検出方法において、前記結晶欠陥は、積層欠陥およびピットのいずれか一方または両方であることを特徴とするものである。 また、本発明のウェーハの欠陥検出方法において、前記ウェーハはエピタキシャルウェーハであることを特徴とするものである。 本発明によれば、ウェーハ上のLPDを検出して結晶欠陥と付着異物とに分類する精度を向上させることができる。本発明に使用する欠陥検出装置を示す図である。検出されたLPDを結晶欠陥と付着異物とに分類する方法を説明する図である。従来の方法によるDNNチャネル及びDWOチャネルによる欠陥のサイズを示す図である。本発明の方法によるDNNチャネル及びDWOチャネルによる欠陥のサイズを示す図である。 以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。 図1は、本発明において使用する欠陥検出装置を示している。この装置1は、2種類の入射系と2種類の検出系とを備えており、モータ24により回転している検査対象のウェーハWの表面に入射光を照射し、その散乱光の強度から、ウェーハWの表面に存在する結晶欠陥および付着異物をLPDとして検出する。入射系は、ウェーハWの表面に対して垂直の方向に入射させる垂直入射光11(Normal)と、斜め方向に入射させる斜め入射光12(Oblique)とを有している。また、検出系は、ウェーハWの表面に対して高角度方向の比較的狭い角度範囲に散乱された光を検出する高角度散乱光検出器22(Narrow)と、低角度方向の比較的広い角度範囲に散乱された光を検出する低角度散乱光検出器23(Wide)とを有している。 尚、本発明において、高角度方向とは、ウェーハWの表面鉛直方向から6〜20度の角度範囲の方向を、低角度方向とは、25〜72度の角度範囲の方向を意味している。 また、斜め方向とは、ウェーハWの表面鉛直方向から65〜85度の角度範囲の方向を、垂直入射は表面鉛直方向から0〜20度の角度範囲の方向を意味する。尚、実際の角度設定は、装置メーカー/型式に依存したものである。 ここで、垂直入射光11は、反射板31により反射されて検査対象のウェーハWの表面に対して垂直に照射される。ウェーハ表面で散乱された光のうち、ウェーハWの表面に対して高角度方向に散乱された光は、集光レンズ33により集光された後、反射板34により反射されて高角度散乱光検出器23により検出される。また、ウェーハWの表面に対して低角度方向に散乱された光は、集光器21により集光された後、低角度散乱光検出器22により検出される。 一方、斜め入射光12は、反射板32により、ウェーハWの表面に対して斜め方向から照射されるように構成されており、その散乱光の検出過程については、上述の垂直入射光11の場合と同様である。 従って、これらの2つの入射系及び2つの検出系の組み合わせから、ウェーハWの表面に対して、垂直入射光を照射して高角度方向に散乱された光を検出するチャネル(DNNチャネル)、垂直入射光を照射して低角度方向に散乱された光を検出するチャネル(以下、「DWNチャネル」と称する)、斜め入射光を照射して高角度方向に散乱された光を検出するチャネル(以下、「DNOチャネル」と称する)、及び斜め入射光を照射して低角度方向に散乱された光を検出チャネル(DWOチャネル)の4つの検出チャネルが存在する。これらの4つの検出チャネルにおける散乱光の強度を測定することにより、検査対象のウェーハW上に存在するLPDを検出してそのサイズを求め、LPDを結晶欠陥と付着異物とに分類するのである。 LPDのサイズは、上記の4つの検出チャネルにおける散乱光の強度から決定される。即ち、ポリスチレンラテックス(PSL)等のサイズが既知である球体の標準粒子をウェーハ上に配置し、上記4つの各チャネルに対して、ウェーハの表面に照射された入射光が標準粒子により散乱された光の強度と、標準粒子のサイズとの相関を予め求めておき、検査対象のウェーハW上に存在する結晶欠陥や付着異物により散乱された光の強度を上記相関に当てはめることにより決定される。 上記4つのチャネルにより検出される散乱光の強度(即ち、LPDの検出サイズ)は、欠陥の種類や付着異物により異なることが知られている。即ち、積層欠陥やピット等の低アスペクト比を有する結晶欠陥については、入射光を特定の方向に散乱させるのに対し、パーティクル等の付着異物は、入射光をあらゆる方向に散乱させる。具体的には、積層欠陥やピット等の低アスペクト比を有する結晶欠陥については、斜め入射光12よりも垂直入射光11による散乱光の信号強度が極めて大きいのに対し、パーティクルにはそのような傾向は見られない。また、低アスペクト比の結晶欠陥に散乱された垂直入射光11は、主に高角度方向に散乱される。更に、斜め入射については、低アスペクト比の結晶欠陥及びパーティクルの双方について、低角度方向に散乱される。これらの性質から、DNNチャネル、即ち垂直入射光・高角度散乱と、DWOチャネル、即ち斜め入射光・低角度散乱4つのチャネルで検出されたLPDのサイズから、検出されたLPDを結晶欠陥と付着異物に分類することができると考えられる。 しかしながら、上述のように、非特許文献1の方法によりDNNチャネルとDWOチャネルによる検出サイズから低アスペクト比の結晶欠陥と付着異物に分類すると、特に0.15μm以下の比較的小さいLPDについて、上記分類の精度が悪いのである。 そこで、発明者らは、DNNチャネルとDWOチャネルにおいて使用する入射光の波長に注目し、波長を変えて欠陥種(結晶欠陥および付着異物)とその検出サイズとの相関を詳細に調査した。その結果、結晶欠陥と付着異物とでは、光の波長の変化に対するサイズの変化率が異なることを発見した。即ち、パーティクル等の付着異物については、入射光の波長が変化しても、検出されるサイズはあまり変化しないのに対し、積層欠陥やピット等の低アスペクト比の結晶欠陥については、入射光の波長を変化させると検出されるサイズが変化することが明らかとなったのである。以下、上記知見を得た実験の詳細について説明する。 まず、300mmのp型シリコンウェーハの表面に、4μmのp型のエピタキシャル膜を成長させたエピタキシャルウェーハを用意した。このエピタキシャルウェーハに対して、パーティクル検査機(KLA−Tencor社SP1およびSP2)を使用して、DNNチャネルおよびDWOチャネルにおいてウェーハ表面に存在する結晶欠陥や付着異物をLPDとして検出し、そのサイズを得た。ここで、垂直入射光および斜め入射光の波長として、0.488μm(SP1)および0.355μm(SP2)の双方を使用した。 次いで、同一のエピタキシャルウェーハに対して、パーティクル検査機により検出されたLPDの各々に対して、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope,SEM)を用いて、LPDが結晶欠陥であるか付着異物であるかを特定した。 特定された結晶欠陥および付着異物に対して、DNNチャネルおよびDWOチャネルにおける検出サイズと入射光の波長との相関を解析した結果、結晶欠陥と付着異物とでは、入射光の波長の変化に対して異なる検出サイズの変化率を示した。即ち、入射光の波長を0.355μmから0.488μmに変えると、付着異物については、波長が0.355μmの場合の検出サイズに対する波長が0.488μmの場合の検出サイズの比は、DWOチャネル:0.90〜1.10、DNNチャネル:0.95〜1.15となり、積層欠陥やピット等の低アスペクト比の結晶欠陥については、同検出サイズの比は、DWOチャネル:1.10〜1.20、DNNチャネル:1.30〜1.50となった。この結果は、パーティクル等の付着異物は、入射光の波長を変化させてもLPDの検出サイズはあまり変化しないのに対し、積層欠陥等の結晶欠陥は、入射光の波長を大きくするとLPDの検出サイズが増大することを示している。 これは、上述のように、パーティクル検査機におけるLPDのサイズの決定が、球体の標準粒子に基づいているためであり、形状が球形に比較的近いパーティクル等の付着異物については、検出サイズは入射光の波長に依存しないが、積層欠陥やピット等の結晶欠陥については、球形からかけ離れた形状を有しているため、検出サイズが入射光の波長依存性を示してしまうのである。この根底には、短波長になると直進性が強くなるのに対し、長波長になると波面を保ち等方的に散乱する、という波長による光の性質の違いがある。この性質は、波長800nm以上の赤外から、10nm以下の軟X線までの間で順次変化していくものである。DNNチャネルにおいて、波長が0.355μm(SP2)の場合に波長が0.488μm(SP1)の場合よりサイズが小さくなるのも、ウェーハ表面における積層欠陥およびピットのような低アスペクト比の結晶欠陥における散乱光が、波長が0.488μm(SP1)の場合よりも波長が0.355μm(SP2)の場合の方が、その波長における直進性が強いために、正反射光とともに、検出器の外に漏れてしまう成分が多いからである。 以上の実験結果に基づく知見から、発明者らは、DNNチャネルとDWOチャネルとにおいて、入射光の波長を異ならせることにより、エピタキシャルウェーハ上で検出されるLPDを結晶欠陥と付着異物とに分類する精度を向上させることができることを見出したのである。 以下、本発明の方法により、検査対象のウェーハW上の積層欠陥やピット等の結晶欠陥と、パーティクル等の付着異物とを区別して検出する方法について説明する。 まず、検査対象のウェーハWをモータ24により回転させながら、ウェーハWの表面に所定の波長の垂直入射光11を照射して走査し、DNNチャネルにおいて、LPDを検出してそのサイズを求める。 次に、同一のウェーハWに対して、上記垂直入射光11の場合と同様に斜め入射光12を照射して走査し、DWOチャネルにおいて、LPDを検出してそのサイズを求める。その際、斜め入射光12の波長は、垂直入射光11の波長と異なるようにすることが肝要である。検査には同一のウェーハWを使用しているため、垂直入射光11を照射してLPDが検出された各位置において、DWOチャネルにおける検出サイズを得ることができる。 続いて、ウェーハW上で検出されたLPDの各々について、DWOチャネルにおける検出サイズに対するDNNチャネルにおける検出サイズの比を求め、該検出サイズ比が所定の閾値以上の場合には結晶欠陥に、閾値未満の場合には付着異物と分類する。DNNチャネルでの検出サイズを縦軸に、DWOチャネルでの検出サイズを横軸に模式的にプロットすると、図2(a)のようになる。上記の閾値は、検出されたLPDを結晶欠陥と付着異物とに分類する、原点を通る直線の傾きとなる。 ここで、上記の検出されたLPDを結晶欠陥と付着異物とに分類するための閾値は、以下のようにして予め求めておく。即ち、まず所定のウェーハに対して、垂直入射光11および斜め入射光12を用いてウェーハの表面を検査し、検出されたLPDについて、DNNチャネルおよびDWOチャネルでの検出サイズを求める。その際、垂直入射光11および斜め入射光12の波長は、それぞれ上記の検査で使用する際の波長と同一にする。 次に、検出されたLPDの各々に対して、同一の所定のウェーハをSEM等により検査して、LPDが結晶欠陥か付着異物かの分類を行う。 続いて、図2(a)と同様に、DNNチャネルでの検出サイズを縦軸に、DWOチャネルでの検出サイズを横軸にプロットする。得られたグラフ上に、結晶欠陥か付着異物かが特定されているLPDを最も精度良く分類するように、原点を通る直線を引く。この直線の傾きが、上記LPDを結晶欠陥と付着異物とに分類するための検出サイズ比の閾値となる。 本発明の方法において使用する入射光の波長は、10〜800nmとする。好ましくは、150〜800nmである。 また、DWOモードにおいて使用する斜め入射光12の波長に対するDNNモードにおいて使用する垂直入射光11の波長の比は、特に限定されないが、分類の精度の点から1.1〜5であることが好ましい。 尚、垂直入射光11および斜め入射光12をウェーハWに照射して走査し、ウェーハW上のLPDを検出する際に、先に斜め入射光12を照射してLPDを検出した後に、垂直入射光11を照射してLPDを検出しても良いことは言うまでもない。 また、ウェーハW上の各位置において、垂直入射光11を照射して検査した後に斜め入射光12を照射して検査し、次に位置をずらして上記検査を繰り返すように構成することもできる。 このように、上記予め求められた検出サイズ比の閾値を用いることにより、DWOチャネルでの検出サイズに対するDNNチャネルでの検出サイズの比から、検出されたLPDを結晶欠陥と付着異物とに精度良く分類することができる。 本発明において、DNNチャネルとDWOチャネルとで入射光の波長を異ならせる効果について、図2を参照して説明すると以下の通りである。上述のように、パーティクル等の付着異物は、入射光の波長を変化させても、検出されるLPDのサイズの変化率が小さいのに対し、積層欠陥等の結晶欠陥は、入射光の波長を増加させると検出されるLPDのサイズの変化率が大きい。従って、図2(a)において、縦軸にプロットされたDNNチャネルにおける入射光の波長を横軸にプロットされたDWOチャネルにおける入射光の波長と異ならせると、図2(b)に示すように、同一の波長とした場合に比べて、結晶欠陥に起因するプロットが上下方向にシフトする。その結果、同一の検出サイズ比の閾値を用いると、LPDを結晶欠陥と付着異物とに分類する精度を向上させることができる。その際、DNNチャネルにおける入射光の波長をDWOチャネルにおける入射光の波長よりも大きくすると、積層欠陥やピット等の結晶欠陥に起因するLPDのプロットが上方向にシフトし、結晶欠陥と付着異物との分類がより容易になるため、DNNチャネルにおける垂直入射光の波長をDWOチャネルにおける斜め入射光の波長よりも大きくすることが好ましい。 こうして、本発明の欠陥検出方法により、エピタキシャルウェーハ上のLPDを検出し、該LPDを結晶欠陥と付着異物とに分類する精度を向上させることができる。 以下、本発明の実施例について説明する。(比較例) パーティクルカウンタ(KLA−Tencor社SP2)を用いて、非特許文献1に記載された方法、即ち、DNNチャネルおよびDWOチャネルの双方において、同一の波長(0.355nm)の光を用いてウェーハ上のLPDを検出した。ウェーハとしては300mmのp型シリコンウェーハに4μmのエピタキシャル膜を成長させたエピタキシャルウェーハ5枚を使用した。検出されたLPDのDNNチャネルでの検出サイズを縦軸に、DWOチャネルでの検出サイズを横軸にプロットしたものを図3に示す。尚、図3には、0.15μm以下のサイズを有するLPDについてのみプロットした。ここで、上述のように、結晶欠陥と付着異物とを分離するために使用したDNNチャネルとDWOチャネルでの検出サイズ比の閾値は、1.625である。その結果、検出されたLPDのうち、5点が結晶欠陥、8点が付着異物と分類された。 次いで、上記パーティクル検査機により検出されたLPDの各々に対して、SEMにより、検出されたLPDが結晶欠陥であるか付着異物であるかを特定した。その結果、パーティクル検査機により結晶欠陥と分類されたもののうち、実際に結晶欠陥であったのは4点であり、同様に、実際に付着異物だったものは9点であった。(発明例) 比較例で使用したウェーハに対して、本発明の方法、即ち、DNNチャネルとDWOチャネルとにおいて異なる波長の光を用いて、ウェーハ上のLPDを検出して結晶欠陥と付着異物とに分類した。その際、2種類のパーティクルカウンタ(KLA−Tencor社SP1及びSP2)を使用し、使用した光の波長は、それぞれ0.488μm(SP1,DNNチャネル)、0.355μm(SP2,DWOチャネル)であった。検出されたLPDのDNNチャネルでの検出サイズを縦軸に、DWOチャネルでの検出サイズを横軸にプロットしたものを図4に示す。尚、図4には、0.15μm以下のサイズを有するLPDについてのみプロットした。ここで、結晶欠陥と付着異物とを分離するためのDNNチャネルとDWOチャネルでの検出サイズ比の閾値は、2.125を使用した。その結果、検出されたLPDのうち、4点が結晶欠陥、残りの9点が付着異物と分類された。 次いで、パーティクル検査機により検出されたLPDの各々について、比較例においてSEMを用いてLPDを結晶欠陥と付着異物とに特定した結果と比較した。その結果、パーティクル検査機により結晶欠陥と分類されたもののうち、実際に結晶欠陥であったのは4点であり、同様に、実際に付着異物だったものは9点であった。 図4から、本発明によるウェーハの欠陥検出方法により、0.15μm以下の比較的小さなLPDについても結晶欠陥と付着異物とに精度良く分類できていることが分かる。また、比較例に比べて分類する精度も向上していることが分かる。1 欠陥検出装置11 垂直入射光12 斜め入射光21 集光器22 低角度散乱光検出器23 高角度散乱光検出器24 モータ31,32,34 反射板33 集光レンズW ウェーハ ウェーハの表面に対して垂直の方向に照射させる垂直照射光の該照射表面からの散乱光のうち、高角度方向に散乱する散乱光の検出強度から前記照射表面における輝点欠陥の第1のサイズを求め、前記照射表面に対して斜めの方向に入射させる斜め照射光の該照射表面からの散乱光のうち、低角度方向に散乱する散乱光の検出強度から前記輝点欠陥の第2のサイズを求め、前記輝点欠陥を、前記第2のサイズに対する前記第1のサイズの比および予め求めた閾値に基づいて結晶欠陥と付着異物とに分類するに際し、 前記垂直入射光の波長と前記斜め入射光の波長とを異ならせることを特徴とするウェーハの欠陥検出方法。 前記垂直入射光の波長が、前記斜め入射光の波長よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載のウェーハの欠陥検出方法。 前記結晶欠陥は、積層欠陥およびピットのいずれか一方または両方であることを特徴とする、請求項1又は2のいずれかに記載のウェーハの欠陥検出方法。 前記ウェーハはエピタキシャルウェーハであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のウェーハの欠陥検出方法。 【課題】ウェーハ上のLPDを検出して結晶欠陥と付着異物とに分類する精度を向上させる方途を提供する。【解決手段】ウェーハの表面に対して垂直の方向に照射させる垂直照射光の該照射表面からの散乱光のうち、高角度範囲に散乱する散乱光の検出強度から照射表面における輝点欠陥の第1のサイズを求め、照射表面に対して斜めの方向に入射させる斜め照射光の該照射表面からの散乱光のうち、低角度範囲に散乱する散乱光の検出強度から輝点欠陥の第2のサイズを求め、輝点欠陥を、第2のサイズに対する第1のサイズの比および予め求めた閾値に基づいて結晶欠陥と付着異物とに分類するに際し、垂直入射光の波長と斜め入射光の波長とを異ならせるようにする。【選択図】図4


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特許公報(B2)_ウェーハの欠陥検出方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_ウェーハの欠陥検出方法
出願番号:2010212495
年次:2014
IPC分類:G01N 21/956


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神山 栄治 山本 一弘 中原 信司 JP 5565237 特許公報(B2) 20140627 2010212495 20100922 ウェーハの欠陥検出方法 株式会社SUMCO 302006854 杉村 憲司 100147485 来間 清志 100114292 高梨 玲子 100149700 神山 栄治 山本 一弘 中原 信司 20140806 G01N 21/956 20060101AFI20140717BHJP JPG01N21/956 A G01N 21/84−21/958 国際公開第2005/101483(WO,A1) 特開2002−116155(JP,A) 特開2001−235427(JP,A) 4 2012068103 20120405 10 20130121 森口 正治 本発明は、ウェーハ表面の欠陥検出方法に関するものであり、特に、エピタキシャルウェーハ上の積層欠陥やピット等の結晶欠陥と、パーティクル等の付着異物とを区別して検出する方法に関するものである。 従来、トランジスタやダイオード、MOS型およびバイポーラ型のIC用基板として、エピタキシャルウェーハが使用されている。エピタキシャルウェーハは、ポリッシュドウェーハ上にエピタキシャル膜を成長させたものであり、高い表面平坦性や低い金属汚染等の優れた特性を有している。 ところで近年、半導体デバイスの微細化に伴い、基板となるウェーハ上の結晶欠陥や異物が製品の歩留まりに与える影響が益々大きくなっている。上記エピタキシャルウェーハの表面には、積層欠陥やピット等のエピタキシャルウェーハ特有の結晶欠陥と、パーティクル等の付着異物が存在する。その内、結晶欠陥は、P/N接合のリーク電流を増大させ、またMOSデバイスのゲート酸化膜特性を劣化させる。したがって、ウェーハの品質を向上させるためには、その表面に存在する結晶欠陥と付着異物とを区別して検出し、それらの起源を明らかにしてウェーハの製造条件に反映させることが重要となる。 こうしたウェーハ表面の品質を精密に評価する従来技術として、検査対象のウェーハ表面にレーザー光を照射し、散乱されたレーザー光の強度をパーティクル検査機により検出し、この検出した散乱強度の値を用いて、積層欠陥やピット等の結晶欠陥やパーティクル等の付着異物を輝点欠陥(Light Point Defects,LPD)として検出する方法が知られている。 例えば、特許文献1には、検査対象となるシリコンウェーハに、該ウェーハの表面に対して垂直方向又は斜め方向から検査用の光を照射し、該ウェーハの表面に対して高角度及び低角度の各方向へ散乱された光から、ウェーハ表面のスクラッチと異物とを区別して検出する方法について記載されている。 しかし、特許文献1の技術においては、一方向からの入射光のみを使用するため、スクラッチおよび異物を分類する精度が低いことが問題であった。 そこで、非特許文献1には、2つの入射系(垂直入射および斜め入射)および2つの検出系(高角度方向散乱および低角度方向散乱)を用意し、それらの組み合わせから得られる4つの検出チャネルのうち、垂直方向入射・高角度方向散乱(以下、「DNNチャネル」と称する)及び斜め方向入射・低角度方向散乱(以下、「DWOチャネル」と称する)から、エピタキシャルウェーハ上に検出されたLPDを、積層欠陥とパーティクルとに分類するする技術について提案されている。特表2004−524538号公報A.Chen et al.,“Advanced inspection methodologies for detection and classification of killer substrate defects”,Proc.of SPIE,2008,Vol.7140,71400W−1−10 しかしながら、非特許文献1の方法により、エピタキシャルウェーハの表面を検査すると、比較的大きなサイズを有するLPDについては、積層欠陥とパーティクルとに精度良く分類できるものの、0.15μm以下の比較的小さいLPDについては、分類が未だ困難であるところに問題を残していた。 そこで、本発明の目的は、検出されたエピタキシャルウェーハ上のLPDを結晶欠陥と付着異物とに分類する精度を向上させる方途を提供することにある。 発明者らは、上記課題を解決するための方途について鋭意検討した。即ち、欠陥を検出する際に使用する光の波長に注目し、該波長を変更して結晶欠陥及び付着異物の検出サイズと波長との相関を詳細に調査した。その結果、結晶欠陥と付着異物とでは、ウェーハに照射する光の波長の変化に対する検出サイズの変化率が異なることを見出した。そこで、検出されたウェーハ上のLPDを結晶欠陥と付着異物とに分類する精度を向上させるためには、上記DNNチャネル及びDWOチャネルの検出において使用する光の波長を変えることが有効であることを見出し、本発明を完成させるに到った。 即ち、本発明のウェーハの欠陥検出方法は、ウェーハの表面に対して垂直の方向に照射させる垂直照射光の該照射表面からの散乱光のうち、高角度方向に散乱する散乱光の検出強度から前記照射表面における輝点欠陥の第1のサイズを求め、前記照射表面に対して斜めの方向に入射させる斜め照射光の該照射表面からの散乱光のうち、低角度方向に散乱する散乱光の検出強度から前記輝点欠陥の第2のサイズを求め、前記輝点欠陥を、前記第2のサイズに対する前記第1のサイズの比および予め求めた閾値に基づいて結晶欠陥と付着異物とに分類するに際し、前記垂直入射光の波長と前記斜め入射光の波長とを異ならせることを特徴とするものである。 また、本発明のウェーハの欠陥検出方法において、前記垂直入射光の波長が、前記斜め入射光の波長よりも大きいことが好ましい。 また、本発明のウェーハの欠陥検出方法において、前記結晶欠陥は、積層欠陥およびピットのいずれか一方または両方であることを特徴とするものである。 また、本発明のウェーハの欠陥検出方法において、前記ウェーハはエピタキシャルウェーハであることを特徴とするものである。 本発明によれば、ウェーハ上のLPDを検出して結晶欠陥と付着異物とに分類する精度を向上させることができる。本発明に使用する欠陥検出装置を示す図である。検出されたLPDを結晶欠陥と付着異物とに分類する方法を説明する図である。従来の方法によるDNNチャネル及びDWOチャネルによる欠陥のサイズを示す図である。本発明の方法によるDNNチャネル及びDWOチャネルによる欠陥のサイズを示す図である。 以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。 図1は、本発明において使用する欠陥検出装置を示している。この装置1は、2種類の入射系と2種類の検出系とを備えており、モータ24により回転している検査対象のウェーハWの表面に入射光を照射し、その散乱光の強度から、ウェーハWの表面に存在する結晶欠陥および付着異物をLPDとして検出する。入射系は、ウェーハWの表面に対して垂直の方向に入射させる垂直入射光11(Normal)と、斜め方向に入射させる斜め入射光12(Oblique)とを有している。また、検出系は、ウェーハWの表面に対して高角度方向の比較的狭い角度範囲に散乱された光を検出する高角度散乱光検出器22(Narrow)と、低角度方向の比較的広い角度範囲に散乱された光を検出する低角度散乱光検出器23(Wide)とを有している。 尚、本発明において、高角度方向とは、ウェーハWの表面鉛直方向から6〜20度の角度範囲の方向を、低角度方向とは、25〜72度の角度範囲の方向を意味している。 また、斜め方向とは、ウェーハWの表面鉛直方向から65〜85度の角度範囲の方向を、垂直入射は表面鉛直方向から0〜20度の角度範囲の方向を意味する。尚、実際の角度設定は、装置メーカー/型式に依存したものである。 ここで、垂直入射光11は、反射板31により反射されて検査対象のウェーハWの表面に対して垂直に照射される。ウェーハ表面で散乱された光のうち、ウェーハWの表面に対して高角度方向に散乱された光は、集光レンズ33により集光された後、反射板34により反射されて高角度散乱光検出器23により検出される。また、ウェーハWの表面に対して低角度方向に散乱された光は、集光器21により集光された後、低角度散乱光検出器22により検出される。 一方、斜め入射光12は、反射板32により、ウェーハWの表面に対して斜め方向から照射されるように構成されており、その散乱光の検出過程については、上述の垂直入射光11の場合と同様である。 従って、これらの2つの入射系及び2つの検出系の組み合わせから、ウェーハWの表面に対して、垂直入射光を照射して高角度方向に散乱された光を検出するチャネル(DNNチャネル)、垂直入射光を照射して低角度方向に散乱された光を検出するチャネル(以下、「DWNチャネル」と称する)、斜め入射光を照射して高角度方向に散乱された光を検出するチャネル(以下、「DNOチャネル」と称する)、及び斜め入射光を照射して低角度方向に散乱された光を検出チャネル(DWOチャネル)の4つの検出チャネルが存在する。これらの4つの検出チャネルにおける散乱光の強度を測定することにより、検査対象のウェーハW上に存在するLPDを検出してそのサイズを求め、LPDを結晶欠陥と付着異物とに分類するのである。 LPDのサイズは、上記の4つの検出チャネルにおける散乱光の強度から決定される。即ち、ポリスチレンラテックス(PSL)等のサイズが既知である球体の標準粒子をウェーハ上に配置し、上記4つの各チャネルに対して、ウェーハの表面に照射された入射光が標準粒子により散乱された光の強度と、標準粒子のサイズとの相関を予め求めておき、検査対象のウェーハW上に存在する結晶欠陥や付着異物により散乱された光の強度を上記相関に当てはめることにより決定される。 上記4つのチャネルにより検出される散乱光の強度(即ち、LPDの検出サイズ)は、欠陥の種類や付着異物により異なることが知られている。即ち、積層欠陥やピット等の低アスペクト比を有する結晶欠陥については、入射光を特定の方向に散乱させるのに対し、パーティクル等の付着異物は、入射光をあらゆる方向に散乱させる。具体的には、積層欠陥やピット等の低アスペクト比を有する結晶欠陥については、斜め入射光12よりも垂直入射光11による散乱光の信号強度が極めて大きいのに対し、パーティクルにはそのような傾向は見られない。また、低アスペクト比の結晶欠陥に散乱された垂直入射光11は、主に高角度方向に散乱される。更に、斜め入射については、低アスペクト比の結晶欠陥及びパーティクルの双方について、低角度方向に散乱される。これらの性質から、DNNチャネル、即ち垂直入射光・高角度散乱と、DWOチャネル、即ち斜め入射光・低角度散乱4つのチャネルで検出されたLPDのサイズから、検出されたLPDを結晶欠陥と付着異物に分類することができると考えられる。 しかしながら、上述のように、非特許文献1の方法によりDNNチャネルとDWOチャネルによる検出サイズから低アスペクト比の結晶欠陥と付着異物に分類すると、特に0.15μm以下の比較的小さいLPDについて、上記分類の精度が悪いのである。 そこで、発明者らは、DNNチャネルとDWOチャネルにおいて使用する入射光の波長に注目し、波長を変えて欠陥種(結晶欠陥および付着異物)とその検出サイズとの相関を詳細に調査した。その結果、結晶欠陥と付着異物とでは、光の波長の変化に対するサイズの変化率が異なることを発見した。即ち、パーティクル等の付着異物については、入射光の波長が変化しても、検出されるサイズはあまり変化しないのに対し、積層欠陥やピット等の低アスペクト比の結晶欠陥については、入射光の波長を変化させると検出されるサイズが変化することが明らかとなったのである。以下、上記知見を得た実験の詳細について説明する。 まず、300mmのp型シリコンウェーハの表面に、4μmのp型のエピタキシャル膜を成長させたエピタキシャルウェーハを用意した。このエピタキシャルウェーハに対して、パーティクル検査機(KLA−Tencor社SP1およびSP2)を使用して、DNNチャネルおよびDWOチャネルにおいてウェーハ表面に存在する結晶欠陥や付着異物をLPDとして検出し、そのサイズを得た。ここで、垂直入射光および斜め入射光の波長として、0.488μm(SP1)および0.355μm(SP2)の双方を使用した。 次いで、同一のエピタキシャルウェーハに対して、パーティクル検査機により検出されたLPDの各々に対して、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope,SEM)を用いて、LPDが結晶欠陥であるか付着異物であるかを特定した。 特定された結晶欠陥および付着異物に対して、DNNチャネルおよびDWOチャネルにおける検出サイズと入射光の波長との相関を解析した結果、結晶欠陥と付着異物とでは、入射光の波長の変化に対して異なる検出サイズの変化率を示した。即ち、入射光の波長を0.355μmから0.488μmに変えると、付着異物については、波長が0.355μmの場合の検出サイズに対する波長が0.488μmの場合の検出サイズの比は、DWOチャネル:0.90〜1.10、DNNチャネル:0.95〜1.15となり、積層欠陥やピット等の低アスペクト比の結晶欠陥については、同検出サイズの比は、DWOチャネル:1.10〜1.20、DNNチャネル:1.30〜1.50となった。この結果は、パーティクル等の付着異物は、入射光の波長を変化させてもLPDの検出サイズはあまり変化しないのに対し、積層欠陥等の結晶欠陥は、入射光の波長を大きくするとLPDの検出サイズが増大することを示している。 これは、上述のように、パーティクル検査機におけるLPDのサイズの決定が、球体の標準粒子に基づいているためであり、形状が球形に比較的近いパーティクル等の付着異物については、検出サイズは入射光の波長に依存しないが、積層欠陥やピット等の結晶欠陥については、球形からかけ離れた形状を有しているため、検出サイズが入射光の波長依存性を示してしまうのである。この根底には、短波長になると直進性が強くなるのに対し、長波長になると波面を保ち等方的に散乱する、という波長による光の性質の違いがある。この性質は、波長800nm以上の赤外から、10nm以下の軟X線までの間で順次変化していくものである。DNNチャネルにおいて、波長が0.355μm(SP2)の場合に波長が0.488μm(SP1)の場合よりサイズが小さくなるのも、ウェーハ表面における積層欠陥およびピットのような低アスペクト比の結晶欠陥における散乱光が、波長が0.488μm(SP1)の場合よりも波長が0.355μm(SP2)の場合の方が、その波長における直進性が強いために、正反射光とともに、検出器の外に漏れてしまう成分が多いからである。 以上の実験結果に基づく知見から、発明者らは、DNNチャネルとDWOチャネルとにおいて、入射光の波長を異ならせることにより、エピタキシャルウェーハ上で検出されるLPDを結晶欠陥と付着異物とに分類する精度を向上させることができることを見出したのである。 以下、本発明の方法により、検査対象のウェーハW上の積層欠陥やピット等の結晶欠陥と、パーティクル等の付着異物とを区別して検出する方法について説明する。 まず、検査対象のウェーハWをモータ24により回転させながら、ウェーハWの表面に所定の波長の垂直入射光11を照射して走査し、DNNチャネルにおいて、LPDを検出してそのサイズを求める。 次に、同一のウェーハWに対して、上記垂直入射光11の場合と同様に斜め入射光12を照射して走査し、DWOチャネルにおいて、LPDを検出してそのサイズを求める。その際、斜め入射光12の波長は、垂直入射光11の波長と異なるようにすることが肝要である。検査には同一のウェーハWを使用しているため、垂直入射光11を照射してLPDが検出された各位置において、DWOチャネルにおける検出サイズを得ることができる。 続いて、ウェーハW上で検出されたLPDの各々について、DWOチャネルにおける検出サイズに対するDNNチャネルにおける検出サイズの比を求め、該検出サイズ比が所定の閾値以上の場合には結晶欠陥に、閾値未満の場合には付着異物と分類する。DNNチャネルでの検出サイズを縦軸に、DWOチャネルでの検出サイズを横軸に模式的にプロットすると、図2(a)のようになる。上記の閾値は、検出されたLPDを結晶欠陥と付着異物とに分類する、原点を通る直線の傾きとなる。 ここで、上記の検出されたLPDを結晶欠陥と付着異物とに分類するための閾値は、以下のようにして予め求めておく。即ち、まず所定のウェーハに対して、垂直入射光11および斜め入射光12を用いてウェーハの表面を検査し、検出されたLPDについて、DNNチャネルおよびDWOチャネルでの検出サイズを求める。その際、垂直入射光11および斜め入射光12の波長は、それぞれ上記の検査で使用する際の波長と同一にする。 次に、検出されたLPDの各々に対して、同一の所定のウェーハをSEM等により検査して、LPDが結晶欠陥か付着異物かの分類を行う。 続いて、図2(a)と同様に、DNNチャネルでの検出サイズを縦軸に、DWOチャネルでの検出サイズを横軸にプロットする。得られたグラフ上に、結晶欠陥か付着異物かが特定されているLPDを最も精度良く分類するように、原点を通る直線を引く。この直線の傾きが、上記LPDを結晶欠陥と付着異物とに分類するための検出サイズ比の閾値となる。 本発明の方法において使用する入射光の波長は、10〜800nmとする。好ましくは、150〜800nmである。 また、DWOモードにおいて使用する斜め入射光12の波長に対するDNNモードにおいて使用する垂直入射光11の波長の比は、特に限定されないが、分類の精度の点から1.1〜5であることが好ましい。 尚、垂直入射光11および斜め入射光12をウェーハWに照射して走査し、ウェーハW上のLPDを検出する際に、先に斜め入射光12を照射してLPDを検出した後に、垂直入射光11を照射してLPDを検出しても良いことは言うまでもない。 また、ウェーハW上の各位置において、垂直入射光11を照射して検査した後に斜め入射光12を照射して検査し、次に位置をずらして上記検査を繰り返すように構成することもできる。 このように、上記予め求められた検出サイズ比の閾値を用いることにより、DWOチャネルでの検出サイズに対するDNNチャネルでの検出サイズの比から、検出されたLPDを結晶欠陥と付着異物とに精度良く分類することができる。 本発明において、DNNチャネルとDWOチャネルとで入射光の波長を異ならせる効果について、図2を参照して説明すると以下の通りである。上述のように、パーティクル等の付着異物は、入射光の波長を変化させても、検出されるLPDのサイズの変化率が小さいのに対し、積層欠陥等の結晶欠陥は、入射光の波長を増加させると検出されるLPDのサイズの変化率が大きい。従って、図2(a)において、縦軸にプロットされたDNNチャネルにおける入射光の波長を横軸にプロットされたDWOチャネルにおける入射光の波長と異ならせると、図2(b)に示すように、同一の波長とした場合に比べて、結晶欠陥に起因するプロットが上下方向にシフトする。その結果、同一の検出サイズ比の閾値を用いると、LPDを結晶欠陥と付着異物とに分類する精度を向上させることができる。その際、DNNチャネルにおける入射光の波長をDWOチャネルにおける入射光の波長よりも大きくすると、積層欠陥やピット等の結晶欠陥に起因するLPDのプロットが上方向にシフトし、結晶欠陥と付着異物との分類がより容易になるため、DNNチャネルにおける垂直入射光の波長をDWOチャネルにおける斜め入射光の波長よりも大きくすることが好ましい。 こうして、本発明の欠陥検出方法により、エピタキシャルウェーハ上のLPDを検出し、該LPDを結晶欠陥と付着異物とに分類する精度を向上させることができる。 以下、本発明の実施例について説明する。(比較例) パーティクルカウンタ(KLA−Tencor社SP2)を用いて、非特許文献1に記載された方法、即ち、DNNチャネルおよびDWOチャネルの双方において、同一の波長(0.355nm)の光を用いてウェーハ上のLPDを検出した。ウェーハとしては300mmのp型シリコンウェーハに4μmのエピタキシャル膜を成長させたエピタキシャルウェーハ5枚を使用した。検出されたLPDのDNNチャネルでの検出サイズを縦軸に、DWOチャネルでの検出サイズを横軸にプロットしたものを図3に示す。尚、図3には、0.15μm以下のサイズを有するLPDについてのみプロットした。ここで、上述のように、結晶欠陥と付着異物とを分離するために使用したDNNチャネルとDWOチャネルでの検出サイズ比の閾値は、1.625である。その結果、検出されたLPDのうち、5点が結晶欠陥、8点が付着異物と分類された。 次いで、上記パーティクル検査機により検出されたLPDの各々に対して、SEMにより、検出されたLPDが結晶欠陥であるか付着異物であるかを特定した。その結果、パーティクル検査機により結晶欠陥と分類されたもののうち、実際に結晶欠陥であったのは4点であり、同様に、実際に付着異物だったものは9点であった。(発明例) 比較例で使用したウェーハに対して、本発明の方法、即ち、DNNチャネルとDWOチャネルとにおいて異なる波長の光を用いて、ウェーハ上のLPDを検出して結晶欠陥と付着異物とに分類した。その際、2種類のパーティクルカウンタ(KLA−Tencor社SP1及びSP2)を使用し、使用した光の波長は、それぞれ0.488μm(SP1,DNNチャネル)、0.355μm(SP2,DWOチャネル)であった。検出されたLPDのDNNチャネルでの検出サイズを縦軸に、DWOチャネルでの検出サイズを横軸にプロットしたものを図4に示す。尚、図4には、0.15μm以下のサイズを有するLPDについてのみプロットした。ここで、結晶欠陥と付着異物とを分離するためのDNNチャネルとDWOチャネルでの検出サイズ比の閾値は、2.125を使用した。その結果、検出されたLPDのうち、4点が結晶欠陥、残りの9点が付着異物と分類された。 次いで、パーティクル検査機により検出されたLPDの各々について、比較例においてSEMを用いてLPDを結晶欠陥と付着異物とに特定した結果と比較した。その結果、パーティクル検査機により結晶欠陥と分類されたもののうち、実際に結晶欠陥であったのは4点であり、同様に、実際に付着異物だったものは9点であった。 図4から、本発明によるウェーハの欠陥検出方法により、0.15μm以下の比較的小さなLPDについても結晶欠陥と付着異物とに精度良く分類できていることが分かる。また、比較例に比べて分類する精度も向上していることが分かる。1 欠陥検出装置11 垂直入射光12 斜め入射光21 集光器22 低角度散乱光検出器23 高角度散乱光検出器24 モータ31,32,34 反射板33 集光レンズW ウェーハ ウェーハの表面に対して垂直の方向に照射させる垂直照射光の該照射表面からの散乱光のうち、高角度方向に散乱する散乱光の検出強度から前記照射表面における輝点欠陥の第1のサイズを求め、前記照射表面に対して斜めの方向に入射させる斜め照射光の該照射表面からの散乱光のうち、低角度方向に散乱する散乱光の検出強度から前記輝点欠陥の第2のサイズを求め、前記輝点欠陥を、前記第2のサイズに対する前記第1のサイズの比および予め求めた閾値に基づいて結晶欠陥と付着異物とに分類するに際し、 前記垂直入射光の波長と前記斜め入射光の波長とを異ならせることを特徴とするウェーハの欠陥検出方法。 前記垂直入射光の波長が、前記斜め入射光の波長よりも大きいことを特徴とする、請求項1に記載のウェーハの欠陥検出方法。 前記結晶欠陥は、積層欠陥およびピットのいずれか一方または両方であることを特徴とする、請求項1又は2のいずれかに記載のウェーハの欠陥検出方法。 前記ウェーハはエピタキシャルウェーハであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のウェーハの欠陥検出方法。


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