生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_スルホラン系化合物の取扱方法
出願番号:2010184459
年次:2012
IPC分類:C07D 333/48,C07C 317/04


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福田 矩章 後藤 健太郎 坂東 誠二 JP 2012041300 公開特許公報(A) 20120301 2010184459 20100819 スルホラン系化合物の取扱方法 住友精化株式会社 000195661 西教 圭一郎 100075557 福田 矩章 後藤 健太郎 坂東 誠二 C07D 333/48 20060101AFI20120203BHJP C07C 317/04 20060101ALN20120203BHJP JPC07D333/48C07C317/04 5 1 OL 10 4H006 4H006AA03 4H006AB80 4H006AD40 4H006TA02 本発明は、スルホラン系化合物の取扱方法に関する。 スルホラン、3−メチルスルホランなどのスルホラン系化合物は、たとえば、合成反応時の反応溶媒、半導体基板の洗浄時の洗浄溶媒、コンデンサやリチウムイオン電池の電解液などとして用いられている。 たとえば、特許文献1には、芳香族スルホン酸の製造時に、反応溶媒としてスルホラン系化合物を用いることが開示されている。また、特許文献2には、脱水反応によりマレイン酸から無水マレイン酸を製造するときの反応溶媒としてスルホランを用いることが開示されている。 スルホランの融点は25.9℃、3−メチルスルホランの融点は6℃であるので、スルホラン系化合物は、たとえば気温が低くなる冬場などには、固体となる。固体の状態になったスルホラン系化合物を、反応溶媒または洗浄溶媒などとして用いる場合には、融点以上に融解させる必要があり、不便である。 そのため、スルホラン系化合物に水を添加して融点を降下させ、スルホラン系化合物を液状混合物として取扱う方法が採用されており、たとえばスルホランに水を3質量%添加した混合物が市販されている(非特許文献1参照)。このような、スルホラン系化合物に水が添加された混合物(以下、「含水スルホラン系化合物」という)は、反応溶媒または洗浄溶媒などとして用いるときの取扱いの利便性が向上したものとなる。特開昭48−92342号公報特開昭51−32515号公報「15710の化学商品」、化学工業日報社、2010年発行、P842 含水スルホラン系化合物は、水の共存下での反応における反応溶媒として用いる場合には問題とはならないが、反応系内に存在する水が反応阻害となる場合がある。 特許文献1に開示される芳香族スルホン酸の製造時に、反応溶媒として含水スルホラン系化合物を用いると、スルホン化剤が加水分解を受けるおそれがあり、芳香族スルホン酸の生成収率が低下し、スルホラン系化合物の反応溶媒としての特性が低下してしまう。また、特許文献2に開示される無水マレイン酸の製造方法では、脱水反応によりマレイン酸から無水マレイン酸を製造するので、この脱水反応の反応溶媒として含水スルホラン系化合物を好適に用いることができない。 したがって本発明の目的は、スルホラン系化合物を液状物として取扱うことができて取扱いの利便性を向上することができるとともに、スルホラン系化合物の溶媒としての特性の低下を抑制することができる、スルホラン系化合物の取扱方法を提供することである。 本発明は、スルホラン系化合物と、下記式(1) R1−SO2−R2 …(1) (式中、R1は炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基を示す。)で表されるスルホン化合物とを混合して液状混合物を調製し、スルホラン系化合物を液状混合物として取扱うことを特徴とするスルホラン系化合物の取扱方法である。 また本発明のスルホラン系化合物の取扱方法では、前記液状混合物は、スルホラン系化合物とスルホン化合物とを、スルホラン系化合物およびスルホン化合物のそれぞれの融点以上の温度下で混合し、その後、常温以下に冷却して調製することを特徴とする。 また本発明のスルホラン系化合物の取扱方法では、スルホン化合物が、エチル−isoプロピルスルホンであることを特徴とする。 また本発明のスルホラン系化合物の取扱方法では、スルホン化合物が、エチルメチルスルホンであることを特徴とする。 また本発明のスルホラン系化合物の取扱方法では、スルホン化合物の添加量が、前記液状混合物全体の5〜80質量%であることを特徴とする。 本発明によれば、スルホラン、3−メチルスルホランなどのスルホラン系化合物を取扱うに際し、スルホラン系化合物に、好ましくはエチル−isoプロピルスルホン、エチルメチルスルホンの、式(1)で表されるスルホン化合物を、好ましくは5〜80質量%で添加して混合し、液状混合物を調製する。スルホラン系化合物にスルホン化合物が添加された液状混合物は、融点が降下されているので、たとえば気温が低くなる冬場などに固体状態にあるスルホラン系化合物を液状物として取扱うことができて、取扱いの利便性を向上することができる。また、本発明のスルホラン系化合物の取扱方法では、スルホラン系化合物と同様の、SO2基を有するスルホン化合物をスルホラン系化合物に添加して、スルホラン系化合物を液状混合物として取扱うので、スルホラン系化合物の溶媒としての特性の低下を抑制することができる。スルホン化合物含有スルホラン系化合物中におけるスルホン化合物の添加量と融点との関係を示すグラフである。 本実施形態に係るスルホラン系化合物の取扱方法は、スルホラン系化合物と、下記式(1)で表されるスルホン化合物とを混合して液状混合物を調製し、スルホラン系化合物を前記液状混合物として取扱うことを特徴とする。 R1−SO2−R2 …(1) (式中、R1は炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基を示す。) スルホラン系化合物に式(1)で表されるスルホン化合物が添加された液状混合物(以下、「スルホン化合物含有スルホラン系化合物」という)は、撹拌混合装置を用いて調製することができる。本実施形態では、スルホン化合物含有スルホラン系化合物は、撹拌装置の撹拌混合槽にスルホラン系化合物とスルホン化合物とを投入し、大気圧下で、スルホラン系化合物およびスルホン化合物のそれぞれの融点以上の温度下で撹拌しながら混合し、その後、撹拌混合槽内の温度を常温(25℃)以下まで冷却することによって調製する。 スルホン化合物含有スルホラン系化合物の調製方法は、上記の方法に限定されるものではなく、撹拌混合槽にスルホラン系化合物を投入し、スルホラン系化合物の融点以上の温度下で撹拌しながらスルホン化合物を添加投入して混合し、その後、撹拌混合槽内の温度を常温(25℃)以下まで冷却するようにしてもよい。 スルホラン系化合物としては、スルホラン、3−メチルスルホラン等を挙げることができる。スルホランの融点は25.9℃、3−メチルスルホランの融点は6℃であるので、スルホラン系化合物は、たとえば気温が低くなる冬場などには、大気圧下で固体である。 上記式(1)で表されるスルホン化合物としては、たとえば、2−スルホレン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジプロピルスルホン、ジブチルスルホン、ジペンチルスルホン、エチルメチルスルホン、エチルプロピルスルホン、エチル−isoプロピルスルホン、エチルブチルスルホン、エチル−isoブチルスルホン、isoプロピル−secブチルスルホン、エチルペンチルスルホン、エチル−isoペンチルスルホン、ブチルペンチルスルホン、isoブチル−isoペンチルスルホン等を挙げることができる。これらのスルホン化合物のうち、エチル−isoプロピルスルホン、エチルメチルスルホンが好ましい。また、スルホン化合物は、スルホラン系化合物に対して、1種または2種以上を組み合わせて添加することができる。 本実施形態に係るスルホラン系化合物の取扱方法では、前述したように、スルホラン系化合物にスルホン化合物を添加して、液状混合物であるスルホン化合物含有スルホラン系化合物を調製し、スルホラン系化合物を液状物として取扱う。スルホラン系化合物にスルホン化合物が添加されたスルホン化合物含有スルホラン系化合物は、融点が降下されているので、たとえば気温が低くなる冬場などに固体状態にあるスルホラン系化合物を、液状物として取扱うことができて、取扱いの利便性を向上することができる。また、液状混合物であるスルホン化合物含有スルホラン系化合物は、融点が降下されるとともに凝固点も降下されているので、液体状態から固化することも抑制される。 また、スルホン化合物以外の化合物をスルホラン系化合物に添加し、スルホラン系化合物を液状物として取扱うことも考えられるが、その場合には、反応溶媒として用いたときの反応促進効果、洗浄溶媒として用いたときの洗浄促進効果、コンデンサやリチウムイオン電池の電解液として用いたときの高耐熱性や高帯電圧性などの、スルホラン系化合物の溶媒としての特性が低下してしまうおそれがあり、溶媒としての利用範囲が制限される。 これに対して、本実施形態のスルホラン系化合物の取扱方法では、スルホラン系化合物と同様の、SO2基を有するスルホン化合物をスルホラン系化合物に添加して、スルホラン系化合物を液状物として取扱うので、スルホラン系化合物の溶媒としての特性の低下を抑制することができる。 本実施形態のスルホラン系化合物の取扱方法において、液状混合物であるスルホン化合物含有スルホラン系化合物の融点および凝固点は、スルホン化合物の種類、添加量によって調整することができる。本実施形態では、スルホン化合物含有スルホラン系化合物の融点は、首都圏や関西地方の冬場でも液体状態を保持することを想定して、−5℃以下であることが好ましく、寒冷地域の冬場でも液体状態を保持することを想定すると、−10℃以下であることが更に好ましい。 次に、スルホン化合物含有スルホラン系化合物中におけるスルホン化合物の添加量について、スルホラン系化合物としてスルホラン(融点25.9℃、凝固点−16.8℃)を用い、スルホン化合物としてエチル−isoプロピルスルホン(融点−10.9℃、凝固点−44.7℃)およびエチルメチルスルホン(融点33.2℃、凝固点−4.2℃)のそれぞれを用いた場合を例にして、表1,2および図1を参照しながら説明する。 ここで、スルホラン系化合物、スルホン化合物、スルホン化合物含有スルホラン系化合物の融点および凝固点は、DSC測定器により測定することができる。具体的には、融点は、DSC測定器により、5℃/minの降温速度で30℃から−100℃まで降温させ、−100℃で5分間保持し、その後、10℃/minの昇温速度で50℃まで昇温させる、という温度条件下で測定されたものである。また、凝固点は、上記の融点測定後、再度、5℃/minの降温速度で降温させて測定されたものである。 図1は、スルホン化合物含有スルホラン系化合物中におけるスルホン化合物の添加量と融点との関係を示すグラフである。図1は、表1,2に示すスルホン化合物含有スルホラン系化合物中におけるスルホン化合物の添加量と融点との関係をプロットしたグラフであり、横軸はスルホン化合物含有スルホラン系化合物中におけるスルホン化合物の添加量(質量%)を示し、縦軸は融点を示す。なお、図1において、添加量が0質量%のプロットはスルホランの融点を示し、添加量が100質量%のプロットはスルホン化合物(エチル−isoプロピルスルホン、エチルメチルスルホン)の融点を示す。また、図1における実線Aは、スルホランにエチル−isoプロピルスルホンを添加した場合のグラフを示し、破線Bは、スルホランにエチルメチルスルホンを添加した場合のグラフを示す。 表1,2および図1に示すように、スルホランにエチル−isoプロピルスルホンを5〜80質量%で添加した場合には、その混合物の融点が−30℃付近で安定し、スルホランにエチルメチルスルホンを5〜80質量%で添加した場合には、その混合物の融点が−10℃付近で安定する。この結果より、スルホン化合物含有スルホラン系化合物中におけるスルホン化合物の添加量は5〜80質量%であることが好ましく、これによって、充分に融点が降下されたスルホン化合物含有スルホラン系化合物とすることができる。なお、スルホン化合物が5〜80質量%で添加されたスルホン化合物含有スルホラン系化合物は、凝固点が充分に低い(例えば、−10℃以下)ので、気温が低くなる冬場などでも、液体状態から固化することが抑制される。 また、スルホン化合物含有スルホラン系化合物中におけるスルホン化合物の添加量は、スルホラン系化合物の溶媒としての特性を効果的に発揮させることを考慮して、5〜50質量%であることがさらに好ましく、スルホン化合物の添加による融点降下が効果的に得られることを考慮して、5〜10質量%であることが特に好ましい。 また、本実施形態のスルホラン系化合物の取扱方法では、撹拌混合装置の撹拌混合槽内で撹拌混合されて調製されたスルホン化合物含有スルホラン系化合物は、撹拌混合槽から貯蔵容器に液体状態で配管により移送され、貯蔵容器に液体状態で貯蔵される。 スルホン化合物含有スルホラン系化合物を、移送および貯蔵するときの温度は、スルホン化合物含有スルホラン系化合物の融点に基づいて適宜設定され、大気圧下で、融点に10℃を加えた温度以上100℃以下、好ましくは、融点に30℃を加えた温度以上50℃以下に保持される。移送および貯蔵するときの温度が融点に10℃を加えた温度以上に保持されることによって、スルホン化合物含有スルホラン系化合物が固化するのを確実に防止することができる。また、移送および貯蔵するときの温度が100℃以下に保持されることによって、スルホン化合物含有スルホラン系化合物の変質を防止することができ、スルホラン系化合物の溶媒としての特性が低下するのを確実に防止することができる。 また、本実施形態のスルホラン系化合物の取扱方法において、スルホン化合物含有スルホラン系化合物を貯蔵する貯蔵容器は、スルホン化合物含有スルホラン系化合物を、水分を避ける系内で使用する場合を考慮して、耐吸湿性を有することが好ましい。貯蔵容器としては、内表面に亜鉛メッキが施された鉄製のドラム缶(一斗缶)、内表面にポリエチレンコーティングが施された鉄製のドラム缶(一斗缶)、またはステンレス鋼製のドラム缶(一斗缶)などが挙げられる。 以下に、本発明を実施例および比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。 <p−トルエンスルホン酸ナトリウムの製造時の反応溶媒としての適用例> (実施例1) 撹拌装置の撹拌混合槽にスルホラン(融点25.9℃)36質量部、エチル−isoプロピルスルホン(融点−10.9℃)4質量部を投入し、大気圧下、35℃の温度下で撹拌しながら混合し、その後、撹拌混合槽内の温度を常温(25℃)まで冷却して、実施例1のスルホン化合物含有スルホラン系化合物を得た。得られたスルホン化合物含有スルホラン系化合物は、融点が−33℃の液体であった。 このスルホン化合物含有スルホラン系化合物をステンレス鋼製の貯蔵容器に充填し、大気圧下、25℃(湿度80%)の環境中に365日間保管しておいたが、スルホン化合物含有スルホラン系化合物の性状に変化はなく、融点が−33℃の液体状態を維持していた。 また、実施例1のスルホン化合物含有スルホラン系化合物について、反応溶媒としての特性を確認するために、以下の実験を行った。 実施例1のスルホン化合物含有スルホラン系化合物40質量部に、20℃で無水硫酸16質量部を加え、トルエン18質量部を滴下した後、20℃で3時間撹拌し、水と塩化ナトリウムを加え、生成する白色結晶をろ過することによって、p−トルエンスルホン酸ナトリウム33質量部(収率84%)を得ることができた。この実験結果より、実施例1のスルホン化合物含有スルホラン系化合物は、芳香族スルホン酸の製造時の反応溶媒として好適に用いることができ、スルホラン系化合物の溶媒としての特性の低下がないことがわかる。 (比較例1) スルホラン36質量部に水4質量部を加えて撹拌し、比較例1の含水スルホランを得た。得られた含水スルホランは、融点が−1℃の液体であった。 得られた比較例1の含水スルホランについて、反応溶媒としての特性を確認するために、以下の実験を行った。 比較例1の含水スルホラン40質量部に、20℃で無水硫酸16質量部を加えたところ激しい発熱反応が発生したが、発熱反応が収まった後にトルエン18質量部を滴下し、20℃で3時間撹拌し、反応液を冷却し、水と塩化ナトリウムを加え、生成する白色結晶をろ過することによって、p−トルエンスルホン酸ナトリウム13質量部(収率34%)を得た。この実験結果より、比較例1の含水スルホランは、芳香族スルホン酸の製造時の反応溶媒として用いた場合には、収率が低下することがわかる。 (比較例2) スルホラン90質量部にγ―ブチロラクトン(融点−42℃)10質量部を加えて撹拌し、比較例2の混合物を得た。得られた混合物は、融点が−6℃であった。 得られた比較例2の混合物について、反応溶媒としての特性を確認するために、以下の実験を行った。 比較例2の混合物40質量部に、20℃で無水硫酸16質量部を加え、トルエン18質量部を滴下した後、20℃で3時間撹拌し、反応液を冷却し、水と塩化ナトリウムを加え、生成する白色結晶をろ過することによって、p−トルエンスルホン酸ナトリウム23質量部(収率60%)を得た。この実験結果より、比較例2の混合物は、芳香族スルホン酸の製造時の反応溶媒として用いた場合には、収率が低下することがわかる。 <p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウムの製造時の反応溶媒としての適用例> (実施例2) 撹拌装置の撹拌混合槽にスルホラン(融点25.9℃)36質量部、エチルメチルスルホン(融点33.2℃)4質量部を投入し、大気圧下、45℃の温度下で撹拌しながら混合し、その後、撹拌混合槽内の温度を常温(25℃)まで冷却して、実施例2のスルホン化合物含有スルホラン系化合物を得た。得られたスルホン化合物含有スルホラン系化合物は、融点が−15℃の液体であった。 このスルホン化合物含有スルホラン系化合物を、内表面に亜鉛メッキが施された鉄製の貯蔵容器に充填し、大気圧下、25℃(湿度80%)の環境中に365日間保管しておいたが、スルホン化合物含有スルホラン系化合物の性状に変化はなく、融点が−15℃の液体状態を維持していた。 また、実施例2のスルホン化合物含有スルホラン系化合物について、反応溶媒としての特性を確認するために、以下の実験を行った。 実施例2のスルホン化合物含有スルホラン系化合物40質量部に、20℃で無水硫酸16質量部を加え、フェノール18質量部を滴下した後、20℃で3時間撹拌し、水と塩化ナトリウムを加え、生成する白色結晶をろ過することによって、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム31質量部(収率80%)を得ることができた。この実験結果より、実施例2のスルホン化合物含有スルホラン系化合物は、芳香族スルホン酸の製造時の反応溶媒として好適に用いることができ、スルホラン系化合物の溶媒としての特性の低下がないことがわかる。 (比較例3) スルホラン40質量部に無水硫酸16質量部を、スルホランを融解させるために40℃で加熱して加え、フェノール18質量部を滴下した後、40℃で3時間撹拌し、反応液を冷却し、水と塩化ナトリウムを加え、生成する白色結晶をろ過することによって、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム24質量部(収率60%)を得た。この実験結果より、スルホランを融解させるために40℃の加熱下で反応させた比較例3では、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウムの収率が低下することがわかる。 <p−クロルベンゼンスルホン酸ナトリウムの製造時の反応溶媒としての適用例> (実施例3) 撹拌装置の撹拌混合槽にスルホラン(融点25.9℃)28質量部、エチル−isoプロピルスルホン(融点−10.9℃)12質量部を投入し、大気圧下、35℃の温度下で撹拌しながら混合し、その後、撹拌混合槽内の温度を常温(25℃)まで冷却して、実施例3のスルホン化合物含有スルホラン系化合物を得た。得られたスルホン化合物含有スルホラン系化合物は、融点が−28℃の液体であった。 このスルホン化合物含有スルホラン系化合物を、内表面にポリエチレンコーティングが施された鉄製の貯蔵容器に充填し、大気圧下、25℃(湿度80%)の環境中に365日間保管しておいたが、スルホン化合物含有スルホラン系化合物の性状に変化はなく、融点が−28℃の液体状態を維持していた。 また、実施例3のスルホン化合物含有スルホラン系化合物について、反応溶媒としての特性を確認するために、以下の実験を行った。 実施例3のスルホン化合物含有スルホラン系化合物40質量部に、20℃でクロルスルホン酸28質量部を加え、クロルベンゼン11質量部を加え、70℃で8時間撹拌した。その後、反応液を冷却し、水と塩化ナトリウムを加え、生成する白色結晶をろ過することによって、p−クロルベンゼンスルホン酸ナトリウム34質量部(収率80%)を得ることができた。この実験結果より、実施例3のスルホン化合物含有スルホラン系化合物は、芳香族スルホン酸の製造時の反応溶媒として好適に用いることができ、スルホラン系化合物の溶媒としての特性の低下がないことがわかる。 以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は前述の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。 例えば、上記の実施例では、スルホン化合物含有スルホラン系化合物を、芳香族スルホン酸の製造時の反応溶媒として用いる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、スルホン化合物含有スルホラン系化合物は、反応溶媒としての用途以外に、スルホラン系化合物の反応促進効果、洗浄促進効果、高耐熱性、高耐電圧性などの性質を生かした、他の用途にも使用することができる。 スルホラン系化合物と、下記式(1) R1−SO2−R2 …(1) (式中、R1は炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基を示す。)で表されるスルホン化合物とを混合して液状混合物を調製し、スルホラン系化合物を液状混合物として取扱うことを特徴とするスルホラン系化合物の取扱方法。 前記液状混合物は、スルホラン系化合物とスルホン化合物とを、スルホラン系化合物およびスルホン化合物のそれぞれの融点以上の温度下で混合し、その後、常温以下に冷却して調製することを特徴とする請求項1に記載のスルホラン系化合物の取扱方法。 スルホン化合物が、エチル−isoプロピルスルホンであることを特徴とする請求項1または2に記載のスルホラン系化合物の取扱方法。 スルホン化合物が、エチルメチルスルホンであることを特徴とする請求項1または2に記載のスルホラン系化合物の取扱方法。 スルホン化合物の添加量が、前記液状混合物全体の5〜80質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のスルホラン系化合物の取扱方法。 【課題】 スルホラン系化合物を液状物として取扱うことができて取扱いの利便性を向上することができるとともに、スルホラン系化合物の溶媒としての特性の低下を抑制することができる、スルホラン系化合物の取扱方法を提供する。【解決手段】 スルホラン系化合物と、特定のスルホン化合物とを混合して液状混合物を調製し、スルホラン系化合物を前記液状混合物として取扱う。【選択図】 図1


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特許公報(B2)_スルホラン系化合物の取扱方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_スルホラン系化合物の取扱方法
出願番号:2010184459
年次:2014
IPC分類:C07D 333/48,C07C 317/04


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福田 矩章 後藤 健太郎 坂東 誠二 JP 5645540 特許公報(B2) 20141114 2010184459 20100819 スルホラン系化合物の取扱方法 住友精化株式会社 000195661 西教 圭一郎 100075557 福田 矩章 後藤 健太郎 坂東 誠二 20141224 C07D 333/48 20060101AFI20141204BHJP C07C 317/04 20060101ALN20141204BHJP JPC07D333/48C07C317/04 C07D 333/00 C07C 317/00 CAplus/REGISTRY(STN) 特開2009−123789(JP,A) 特開2008−171902(JP,A) 特開平09−205041(JP,A) 特開昭51−032515(JP,A) 特開昭48−092342(JP,A) Industrial & Engineering Chemistry Process Design and Development,1986年,25(4),p.949-957 5 2012041300 20120301 10 20130701 前田 憲彦 本発明は、スルホラン系化合物の取扱方法に関する。 スルホラン、3−メチルスルホランなどのスルホラン系化合物は、たとえば、合成反応時の反応溶媒、半導体基板の洗浄時の洗浄溶媒、コンデンサやリチウムイオン電池の電解液などとして用いられている。 たとえば、特許文献1には、芳香族スルホン酸の製造時に、反応溶媒としてスルホラン系化合物を用いることが開示されている。また、特許文献2には、脱水反応によりマレイン酸から無水マレイン酸を製造するときの反応溶媒としてスルホランを用いることが開示されている。 スルホランの融点は25.9℃、3−メチルスルホランの融点は6℃であるので、スルホラン系化合物は、たとえば気温が低くなる冬場などには、固体となる。固体の状態になったスルホラン系化合物を、反応溶媒または洗浄溶媒などとして用いる場合には、融点以上に融解させる必要があり、不便である。 そのため、スルホラン系化合物に水を添加して融点を降下させ、スルホラン系化合物を液状混合物として取扱う方法が採用されており、たとえばスルホランに水を3質量%添加した混合物が市販されている(非特許文献1参照)。このような、スルホラン系化合物に水が添加された混合物(以下、「含水スルホラン系化合物」という)は、反応溶媒または洗浄溶媒などとして用いるときの取扱いの利便性が向上したものとなる。特開昭48−92342号公報特開昭51−32515号公報「15710の化学商品」、化学工業日報社、2010年発行、P842 含水スルホラン系化合物は、水の共存下での反応における反応溶媒として用いる場合には問題とはならないが、反応系内に存在する水が反応阻害となる場合がある。 特許文献1に開示される芳香族スルホン酸の製造時に、反応溶媒として含水スルホラン系化合物を用いると、スルホン化剤が加水分解を受けるおそれがあり、芳香族スルホン酸の生成収率が低下し、スルホラン系化合物の反応溶媒としての特性が低下してしまう。また、特許文献2に開示される無水マレイン酸の製造方法では、脱水反応によりマレイン酸から無水マレイン酸を製造するので、この脱水反応の反応溶媒として含水スルホラン系化合物を好適に用いることができない。 したがって本発明の目的は、スルホラン系化合物を液状物として取扱うことができて取扱いの利便性を向上することができるとともに、スルホラン系化合物の溶媒としての特性の低下を抑制することができる、スルホラン系化合物の取扱方法を提供することである。 本発明は、スルホラン系化合物と、下記式(1) R1−SO2−R2 …(1) (式中、R1は炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基を示す。)で表されるスルホン化合物とを混合して液状混合物を調製し、調製した前記液状混合物を、耐吸湿性を有する貯蔵容器に、液状混合物の融点に10℃を加えた温度以上100℃以下の温度下に貯蔵し、スルホラン系化合物を液状混合物として取扱うことを特徴とするスルホラン系化合物の取扱方法である。 また本発明のスルホラン系化合物の取扱方法では、前記液状混合物は、スルホラン系化合物とスルホン化合物とを、スルホラン系化合物およびスルホン化合物のそれぞれの融点以上の温度下で混合し、その後、常温以下に冷却して調製することを特徴とする。 また本発明のスルホラン系化合物の取扱方法では、スルホン化合物が、エチル−isoプロピルスルホンであることを特徴とする。 また本発明のスルホラン系化合物の取扱方法では、スルホン化合物が、エチルメチルスルホンであることを特徴とする。 また本発明のスルホラン系化合物の取扱方法では、スルホン化合物の添加量が、前記液状混合物全体の5〜80質量%であることを特徴とする。 本発明によれば、スルホラン、3−メチルスルホランなどのスルホラン系化合物を取扱うに際し、スルホラン系化合物に、好ましくはエチル−isoプロピルスルホン、エチルメチルスルホンの、式(1)で表されるスルホン化合物を、好ましくは5〜80質量%で添加して混合し、液状混合物を調製し、調製した液状混合物を、耐吸湿性を有する貯蔵容器に、液状混合物の融点に10℃を加えた温度以上100℃以下の温度下に貯蔵する。スルホラン系化合物にスルホン化合物が添加された液状混合物は、融点が降下されているので、たとえば気温が低くなる冬場などに固体状態にあるスルホラン系化合物を液状物として取扱うことができて、取扱いの利便性を向上することができる。また、本発明のスルホラン系化合物の取扱方法では、スルホラン系化合物と同様の、SO2基を有するスルホン化合物をスルホラン系化合物に添加して、スルホラン系化合物を液状混合物として取扱うので、スルホラン系化合物の溶媒としての特性の低下を抑制することができる。スルホン化合物含有スルホラン系化合物中におけるスルホン化合物の添加量と融点との関係を示すグラフである。 本実施形態に係るスルホラン系化合物の取扱方法は、スルホラン系化合物と、下記式(1)で表されるスルホン化合物とを混合して液状混合物を調製し、スルホラン系化合物を前記液状混合物として取扱うことを特徴とする。 R1−SO2−R2 …(1) (式中、R1は炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基を示す。) スルホラン系化合物に式(1)で表されるスルホン化合物が添加された液状混合物(以下、「スルホン化合物含有スルホラン系化合物」という)は、撹拌混合装置を用いて調製することができる。本実施形態では、スルホン化合物含有スルホラン系化合物は、撹拌装置の撹拌混合槽にスルホラン系化合物とスルホン化合物とを投入し、大気圧下で、スルホラン系化合物およびスルホン化合物のそれぞれの融点以上の温度下で撹拌しながら混合し、その後、撹拌混合槽内の温度を常温(25℃)以下まで冷却することによって調製する。 スルホン化合物含有スルホラン系化合物の調製方法は、上記の方法に限定されるものではなく、撹拌混合槽にスルホラン系化合物を投入し、スルホラン系化合物の融点以上の温度下で撹拌しながらスルホン化合物を添加投入して混合し、その後、撹拌混合槽内の温度を常温(25℃)以下まで冷却するようにしてもよい。 スルホラン系化合物としては、スルホラン、3−メチルスルホラン等を挙げることができる。スルホランの融点は25.9℃、3−メチルスルホランの融点は6℃であるので、スルホラン系化合物は、たとえば気温が低くなる冬場などには、大気圧下で固体である。 上記式(1)で表されるスルホン化合物としては、たとえば、2−スルホレン、ジメチルスルホン、ジエチルスルホン、ジプロピルスルホン、ジブチルスルホン、ジペンチルスルホン、エチルメチルスルホン、エチルプロピルスルホン、エチル−isoプロピルスルホン、エチルブチルスルホン、エチル−isoブチルスルホン、isoプロピル−secブチルスルホン、エチルペンチルスルホン、エチル−isoペンチルスルホン、ブチルペンチルスルホン、isoブチル−isoペンチルスルホン等を挙げることができる。これらのスルホン化合物のうち、エチル−isoプロピルスルホン、エチルメチルスルホンが好ましい。また、スルホン化合物は、スルホラン系化合物に対して、1種または2種以上を組み合わせて添加することができる。 本実施形態に係るスルホラン系化合物の取扱方法では、前述したように、スルホラン系化合物にスルホン化合物を添加して、液状混合物であるスルホン化合物含有スルホラン系化合物を調製し、スルホラン系化合物を液状物として取扱う。スルホラン系化合物にスルホン化合物が添加されたスルホン化合物含有スルホラン系化合物は、融点が降下されているので、たとえば気温が低くなる冬場などに固体状態にあるスルホラン系化合物を、液状物として取扱うことができて、取扱いの利便性を向上することができる。また、液状混合物であるスルホン化合物含有スルホラン系化合物は、融点が降下されるとともに凝固点も降下されているので、液体状態から固化することも抑制される。 また、スルホン化合物以外の化合物をスルホラン系化合物に添加し、スルホラン系化合物を液状物として取扱うことも考えられるが、その場合には、反応溶媒として用いたときの反応促進効果、洗浄溶媒として用いたときの洗浄促進効果、コンデンサやリチウムイオン電池の電解液として用いたときの高耐熱性や高帯電圧性などの、スルホラン系化合物の溶媒としての特性が低下してしまうおそれがあり、溶媒としての利用範囲が制限される。 これに対して、本実施形態のスルホラン系化合物の取扱方法では、スルホラン系化合物と同様の、SO2基を有するスルホン化合物をスルホラン系化合物に添加して、スルホラン系化合物を液状物として取扱うので、スルホラン系化合物の溶媒としての特性の低下を抑制することができる。 本実施形態のスルホラン系化合物の取扱方法において、液状混合物であるスルホン化合物含有スルホラン系化合物の融点および凝固点は、スルホン化合物の種類、添加量によって調整することができる。本実施形態では、スルホン化合物含有スルホラン系化合物の融点は、首都圏や関西地方の冬場でも液体状態を保持することを想定して、−5℃以下であることが好ましく、寒冷地域の冬場でも液体状態を保持することを想定すると、−10℃以下であることが更に好ましい。 次に、スルホン化合物含有スルホラン系化合物中におけるスルホン化合物の添加量について、スルホラン系化合物としてスルホラン(融点25.9℃、凝固点−16.8℃)を用い、スルホン化合物としてエチル−isoプロピルスルホン(融点−10.9℃、凝固点−44.7℃)およびエチルメチルスルホン(融点33.2℃、凝固点−4.2℃)のそれぞれを用いた場合を例にして、表1,2および図1を参照しながら説明する。 ここで、スルホラン系化合物、スルホン化合物、スルホン化合物含有スルホラン系化合物の融点および凝固点は、DSC測定器により測定することができる。具体的には、融点は、DSC測定器により、5℃/minの降温速度で30℃から−100℃まで降温させ、−100℃で5分間保持し、その後、10℃/minの昇温速度で50℃まで昇温させる、という温度条件下で測定されたものである。また、凝固点は、上記の融点測定後、再度、5℃/minの降温速度で降温させて測定されたものである。 図1は、スルホン化合物含有スルホラン系化合物中におけるスルホン化合物の添加量と融点との関係を示すグラフである。図1は、表1,2に示すスルホン化合物含有スルホラン系化合物中におけるスルホン化合物の添加量と融点との関係をプロットしたグラフであり、横軸はスルホン化合物含有スルホラン系化合物中におけるスルホン化合物の添加量(質量%)を示し、縦軸は融点を示す。なお、図1において、添加量が0質量%のプロットはスルホランの融点を示し、添加量が100質量%のプロットはスルホン化合物(エチル−isoプロピルスルホン、エチルメチルスルホン)の融点を示す。また、図1における実線Aは、スルホランにエチル−isoプロピルスルホンを添加した場合のグラフを示し、破線Bは、スルホランにエチルメチルスルホンを添加した場合のグラフを示す。 表1,2および図1に示すように、スルホランにエチル−isoプロピルスルホンを5〜80質量%で添加した場合には、その混合物の融点が−30℃付近で安定し、スルホランにエチルメチルスルホンを5〜80質量%で添加した場合には、その混合物の融点が−10℃付近で安定する。この結果より、スルホン化合物含有スルホラン系化合物中におけるスルホン化合物の添加量は5〜80質量%であることが好ましく、これによって、充分に融点が降下されたスルホン化合物含有スルホラン系化合物とすることができる。なお、スルホン化合物が5〜80質量%で添加されたスルホン化合物含有スルホラン系化合物は、凝固点が充分に低い(例えば、−10℃以下)ので、気温が低くなる冬場などでも、液体状態から固化することが抑制される。 また、スルホン化合物含有スルホラン系化合物中におけるスルホン化合物の添加量は、スルホラン系化合物の溶媒としての特性を効果的に発揮させることを考慮して、5〜50質量%であることがさらに好ましく、スルホン化合物の添加による融点降下が効果的に得られることを考慮して、5〜10質量%であることが特に好ましい。 また、本実施形態のスルホラン系化合物の取扱方法では、撹拌混合装置の撹拌混合槽内で撹拌混合されて調製されたスルホン化合物含有スルホラン系化合物は、撹拌混合槽から貯蔵容器に液体状態で配管により移送され、貯蔵容器に液体状態で貯蔵される。 スルホン化合物含有スルホラン系化合物を、移送および貯蔵するときの温度は、スルホン化合物含有スルホラン系化合物の融点に基づいて適宜設定され、大気圧下で、融点に10℃を加えた温度以上100℃以下、好ましくは、融点に30℃を加えた温度以上50℃以下に保持される。移送および貯蔵するときの温度が融点に10℃を加えた温度以上に保持されることによって、スルホン化合物含有スルホラン系化合物が固化するのを確実に防止することができる。また、移送および貯蔵するときの温度が100℃以下に保持されることによって、スルホン化合物含有スルホラン系化合物の変質を防止することができ、スルホラン系化合物の溶媒としての特性が低下するのを確実に防止することができる。 また、本実施形態のスルホラン系化合物の取扱方法において、スルホン化合物含有スルホラン系化合物を貯蔵する貯蔵容器は、スルホン化合物含有スルホラン系化合物を、水分を避ける系内で使用する場合を考慮して、耐吸湿性を有することが好ましい。貯蔵容器としては、内表面に亜鉛メッキが施された鉄製のドラム缶(一斗缶)、内表面にポリエチレンコーティングが施された鉄製のドラム缶(一斗缶)、またはステンレス鋼製のドラム缶(一斗缶)などが挙げられる。 以下に、本発明を実施例および比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。 <p−トルエンスルホン酸ナトリウムの製造時の反応溶媒としての適用例> (実施例1) 撹拌装置の撹拌混合槽にスルホラン(融点25.9℃)36質量部、エチル−isoプロピルスルホン(融点−10.9℃)4質量部を投入し、大気圧下、35℃の温度下で撹拌しながら混合し、その後、撹拌混合槽内の温度を常温(25℃)まで冷却して、実施例1のスルホン化合物含有スルホラン系化合物を得た。得られたスルホン化合物含有スルホラン系化合物は、融点が−33℃の液体であった。 このスルホン化合物含有スルホラン系化合物をステンレス鋼製の貯蔵容器に充填し、大気圧下、25℃(湿度80%)の環境中に365日間保管しておいたが、スルホン化合物含有スルホラン系化合物の性状に変化はなく、融点が−33℃の液体状態を維持していた。 また、実施例1のスルホン化合物含有スルホラン系化合物について、反応溶媒としての特性を確認するために、以下の実験を行った。 実施例1のスルホン化合物含有スルホラン系化合物40質量部に、20℃で無水硫酸16質量部を加え、トルエン18質量部を滴下した後、20℃で3時間撹拌し、水と塩化ナトリウムを加え、生成する白色結晶をろ過することによって、p−トルエンスルホン酸ナトリウム33質量部(収率84%)を得ることができた。この実験結果より、実施例1のスルホン化合物含有スルホラン系化合物は、芳香族スルホン酸の製造時の反応溶媒として好適に用いることができ、スルホラン系化合物の溶媒としての特性の低下がないことがわかる。 (比較例1) スルホラン36質量部に水4質量部を加えて撹拌し、比較例1の含水スルホランを得た。得られた含水スルホランは、融点が−1℃の液体であった。 得られた比較例1の含水スルホランについて、反応溶媒としての特性を確認するために、以下の実験を行った。 比較例1の含水スルホラン40質量部に、20℃で無水硫酸16質量部を加えたところ激しい発熱反応が発生したが、発熱反応が収まった後にトルエン18質量部を滴下し、20℃で3時間撹拌し、反応液を冷却し、水と塩化ナトリウムを加え、生成する白色結晶をろ過することによって、p−トルエンスルホン酸ナトリウム13質量部(収率34%)を得た。この実験結果より、比較例1の含水スルホランは、芳香族スルホン酸の製造時の反応溶媒として用いた場合には、収率が低下することがわかる。 (比較例2) スルホラン90質量部にγ―ブチロラクトン(融点−42℃)10質量部を加えて撹拌し、比較例2の混合物を得た。得られた混合物は、融点が−6℃であった。 得られた比較例2の混合物について、反応溶媒としての特性を確認するために、以下の実験を行った。 比較例2の混合物40質量部に、20℃で無水硫酸16質量部を加え、トルエン18質量部を滴下した後、20℃で3時間撹拌し、反応液を冷却し、水と塩化ナトリウムを加え、生成する白色結晶をろ過することによって、p−トルエンスルホン酸ナトリウム23質量部(収率60%)を得た。この実験結果より、比較例2の混合物は、芳香族スルホン酸の製造時の反応溶媒として用いた場合には、収率が低下することがわかる。 <p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウムの製造時の反応溶媒としての適用例> (実施例2) 撹拌装置の撹拌混合槽にスルホラン(融点25.9℃)36質量部、エチルメチルスルホン(融点33.2℃)4質量部を投入し、大気圧下、45℃の温度下で撹拌しながら混合し、その後、撹拌混合槽内の温度を常温(25℃)まで冷却して、実施例2のスルホン化合物含有スルホラン系化合物を得た。得られたスルホン化合物含有スルホラン系化合物は、融点が−15℃の液体であった。 このスルホン化合物含有スルホラン系化合物を、内表面に亜鉛メッキが施された鉄製の貯蔵容器に充填し、大気圧下、25℃(湿度80%)の環境中に365日間保管しておいたが、スルホン化合物含有スルホラン系化合物の性状に変化はなく、融点が−15℃の液体状態を維持していた。 また、実施例2のスルホン化合物含有スルホラン系化合物について、反応溶媒としての特性を確認するために、以下の実験を行った。 実施例2のスルホン化合物含有スルホラン系化合物40質量部に、20℃で無水硫酸16質量部を加え、フェノール18質量部を滴下した後、20℃で3時間撹拌し、水と塩化ナトリウムを加え、生成する白色結晶をろ過することによって、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム31質量部(収率80%)を得ることができた。この実験結果より、実施例2のスルホン化合物含有スルホラン系化合物は、芳香族スルホン酸の製造時の反応溶媒として好適に用いることができ、スルホラン系化合物の溶媒としての特性の低下がないことがわかる。 (比較例3) スルホラン40質量部に無水硫酸16質量部を、スルホランを融解させるために40℃で加熱して加え、フェノール18質量部を滴下した後、40℃で3時間撹拌し、反応液を冷却し、水と塩化ナトリウムを加え、生成する白色結晶をろ過することによって、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウム24質量部(収率60%)を得た。この実験結果より、スルホランを融解させるために40℃の加熱下で反応させた比較例3では、p−ヒドロキシベンゼンスルホン酸ナトリウムの収率が低下することがわかる。 <p−クロルベンゼンスルホン酸ナトリウムの製造時の反応溶媒としての適用例> (実施例3) 撹拌装置の撹拌混合槽にスルホラン(融点25.9℃)28質量部、エチル−isoプロピルスルホン(融点−10.9℃)12質量部を投入し、大気圧下、35℃の温度下で撹拌しながら混合し、その後、撹拌混合槽内の温度を常温(25℃)まで冷却して、実施例3のスルホン化合物含有スルホラン系化合物を得た。得られたスルホン化合物含有スルホラン系化合物は、融点が−28℃の液体であった。 このスルホン化合物含有スルホラン系化合物を、内表面にポリエチレンコーティングが施された鉄製の貯蔵容器に充填し、大気圧下、25℃(湿度80%)の環境中に365日間保管しておいたが、スルホン化合物含有スルホラン系化合物の性状に変化はなく、融点が−28℃の液体状態を維持していた。 また、実施例3のスルホン化合物含有スルホラン系化合物について、反応溶媒としての特性を確認するために、以下の実験を行った。 実施例3のスルホン化合物含有スルホラン系化合物40質量部に、20℃でクロルスルホン酸28質量部を加え、クロルベンゼン11質量部を加え、70℃で8時間撹拌した。その後、反応液を冷却し、水と塩化ナトリウムを加え、生成する白色結晶をろ過することによって、p−クロルベンゼンスルホン酸ナトリウム34質量部(収率80%)を得ることができた。この実験結果より、実施例3のスルホン化合物含有スルホラン系化合物は、芳香族スルホン酸の製造時の反応溶媒として好適に用いることができ、スルホラン系化合物の溶媒としての特性の低下がないことがわかる。 以上、本発明について詳細に説明したが、本発明は前述の実施の形態の例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。 例えば、上記の実施例では、スルホン化合物含有スルホラン系化合物を、芳香族スルホン酸の製造時の反応溶媒として用いる例を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、スルホン化合物含有スルホラン系化合物は、反応溶媒としての用途以外に、スルホラン系化合物の反応促進効果、洗浄促進効果、高耐熱性、高耐電圧性などの性質を生かした、他の用途にも使用することができる。 スルホラン系化合物と、下記式(1) R1−SO2−R2 …(1) (式中、R1は炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基を示し、R2は炭素数1〜10の直鎖または分岐のアルキル基を示す。)で表されるスルホン化合物とを混合して液状混合物を調製し、調製した前記液状混合物を、耐吸湿性を有する貯蔵容器に、液状混合物の融点に10℃を加えた温度以上100℃以下の温度下に貯蔵し、スルホラン系化合物を液状混合物として取扱うことを特徴とするスルホラン系化合物の取扱方法。 前記液状混合物は、スルホラン系化合物とスルホン化合物とを、スルホラン系化合物およびスルホン化合物のそれぞれの融点以上の温度下で混合し、その後、常温以下に冷却して調製することを特徴とする請求項1に記載のスルホラン系化合物の取扱方法。 スルホン化合物が、エチル−isoプロピルスルホンであることを特徴とする請求項1または2に記載のスルホラン系化合物の取扱方法。 スルホン化合物が、エチルメチルスルホンであることを特徴とする請求項1または2に記載のスルホラン系化合物の取扱方法。 スルホン化合物の添加量が、前記液状混合物全体の5〜80質量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載のスルホラン系化合物の取扱方法。


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