タイトル: | 公開特許公報(A)_毛細管による微量検体採取・希釈・分注方法及び器具 |
出願番号: | 2010178052 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | G01N 1/00,G01N 1/10 |
松田 武英 鴻上 繁 澤田 鎮雄 JP 2012026997 公開特許公報(A) 20120209 2010178052 20100722 毛細管による微量検体採取・希釈・分注方法及び器具 株式会社明日香特殊検査研究所 308001776 株式会社生研 505439831 日本マイクロ株式会社 507404064 松田 武英 鴻上 繁 澤田 鎮雄 G01N 1/00 20060101AFI20120113BHJP G01N 1/10 20060101ALI20120113BHJP JPG01N1/00 101KG01N1/10 P 4 1 書面 8 2G052 2G052AD06 2G052AD26 2G052AD46 2G052BA02 2G052BA14 2G052CA04 2G052CA21 2G052CA22 2G052CA39 2G052DA02 2G052DA08 2G052DA22 2G052FD01 2G052JA01 2G052JA03 2G052JA04 血液、汗、涙液や食品の抽出液または工場排水などに含まれる微量成分の検査を目的とし一定量の検体を採取し、別の溶液で溶解し、それらに含まれている微量成分を測定するための検体採取法に関する技術分野。 近年、血液の検査や生物化学・薬学等の成分分析法は、測定感度の向上などが図られ格段の進歩を遂げた。高感度測定は当然検体の微量化に繋がる。特に人の検体採取では涙や汗など元々少ない検体や患者からの採血のように患者に負担をかけるのを減らすための微量採血が求められているが、普通は真空採血管で余分な血液を採取されている。一方糖尿病患者では、患者自らランセットと言う穿刺針で微量の血液を出し、血糖測定器に吸い込ませ定量している例があるが、病院診療所では前述の真空採血管が使用され、その後の検査は専門の技術者により遠心分離が行われ、続いてマイクロピペットなどで一定量を機器又は測定チップに導き測定されている。特許文献1、特許文献2 特許文献3にはゴム球を組込んだスポイト様毛細管で被検者の涙液などの検体採取を行う方法が記載されている。採取する検体の量はメモリをみて行うと記載されている。これは、毛細管の先端にスポイトのゴム球を配置しそのゴム球に小さな穴を開け、ゴム球を操作することで一定量の検体を採取できる構造を有している。ゴム球状部品の操作に若干の技術が必要な上、消耗品としてはコストが高い欠点があった。ゴム球の部分を合成樹脂で作りそれに毛細管を結合した毛細管ピペットの例が特許文献5である。またキャピラリー毛細管そのものによる微量採血方法は特許文献4にも示されている。 特開平6−126198特開2000−107613特開2006−234446特開2005−342198特公表2002−528249 最近の血液検査はベットサイドの検査としてポイントオブケアーテスティング(POCT)が注目されている。POCTでは患者の血液採取はもとより検査自体も患者の目前で行うことが求められる。また工場排水の検査でも、現場ですぐに結果が分かるPOCTは渇望されている方法である。本願は超微量の血液や涙液などの検体に手を触れることなく一定量採取しそれを測定器専用の希釈液で希釈し測定機又は測定チップ(試験紙片)に直接注入できる方法及び器具を提供しょうとするものである。1から30μL程度の超微量検体を一定量採取する方法は意外と難しく、専門の技師でも神経を使う部分である。 1から30μL程度の微量検体を採取する採取器具として、従来は特許文献1、特許文献2にあるようなマイクロピペットを使用して訓練を受けた専門の技師がそれぞれ一定量採取して、検査等に利用していた。一般的にPOCTでは定量性を要求することはあまりなかったが、最近は技術革新で高性能のPOCT機器が出回り、正確な検体採取が求められるようになった。本願ではこの定量性を要求されるPOCT用機器のための超微量検体採取を専門の検査技師でなくとも出来る器具を提供するものである。マイクロピペットでも1から5μLの採取は専門の技師が操作しても誤差が多いとされている。本願は1から30μLの超微量の検体採取を誰でも精度良く行えるような方法を提供するもので、その採取法は毛細管を使用する。毛細管による検体採取は毛細管の内径が決まれば長さを決めることでその体積は決まってくる。例えば1μLを内径1mmの毛細管で採取する場合は、毛細管の長さは、1.7mmとなる。内径0.7mmの毛細管ではその長さは2.6mmとなる。この長さの毛細管を扱うのは非常に難しい。本願はこの微小な毛細管に保持部(取っ手)を付けて操作しやすくし、かつ検体採取後の検体の回収法を明確にした。 特許文献4にあるような6cmから10cm長の毛細管に毛細管現象で検体を採取するのとは異なり数mm長の毛細管はその取り扱いが難しいうえ採取した検体の取出しがシステム化されていないと使い物にならない。 そこで本願は前述のように毛細管に保持部を設け、その保持部を手に持ち、血液採取の場合は、ランセットや採血針などの穿刺器具を耳朶、指先、踵に刺すことで微量の血液を出しそこに保持部の付いた毛細管の先端を触れさせることで誰でも簡単に一定量の検体を採取できる。または血液を採血してしばらく放置して析出した微量の血清でも同様採取可能である。微量の組織片の抽出液や植物の絞り汁、微量な工場廃液も同様に採取することしができる。 本願は微量一定量の検体を採取するだけが目的ではなく、次行程の希釈と移し替え操作まで含有した一連の微量検体採取・希釈・移し替えることができる方法および器具を提供するものであり、保持部は次行程の希釈や移し替え作業の邪魔になるので、検体採取後は速やかに切り離す必要がある。切り取るため保持部と毛細管との結合部分は縊れており折れやい構造を有する。保持部の構造としては細い金属線を埋め込んで作成しても差し支えない。この場合は保持部を切り取らないで希釈溶液にそのまま挿入し検体が排出されたとき取り出すことも出来る。 検体採取後の希釈行程については、合成樹脂製の細長く筒状のスポイト状のチューブに10から1000μLの希釈液を予め充填しチューブの口を熱シールで密閉しておく。検体を毛細管で採取し当該当希釈液の入ったチューブのシール口を鋏でカットした後、検体の入った毛細管の部分をこの希釈液に挿入し、上下に振るかチューブの胴を数回押すことで水流を起こし毛細管中の検体を攪拌する。攪拌した検体は一定の希釈率になっており、全量を測定器に導入するか測定チップに注ぎ込むことで、微量検体採取・希釈・分注方法が完結する。 病院で実施する臨床検査は採血室等が完備され専門の技師や看護師による採血が行われ、採血後は臨床検査室やで目的とする検査がそれぞれ専門の技師により実施され数時間後に結果が示されることが多い。しかし夜間や開業医においては血液検査結果はその日の診察には間に合わないことが多い。このような血液検査を採血した現場で患者の目の前で即座に検査して結果を診療に役立つようにするのが本来のPOCTの姿である。また工業排水の検査では、検体採取から測定までの時間が短い程現状把握が迅速に出来ることは費用と効率の点で意義深い。開業医の血液検査に注目すると、来院時の殆どの検査結果はその日には出ず翌週または翌月の診療データとして示される。本来現在の検査データに基づき治療するのが医療の基本であるが、検査に時間と費用がかかるため放置されている。最近POCTの機器と試薬が発売されているが、検体の採取はまだ旧態依然で真空採血間で採血し遠心分離を行っている。このように現在はまだPOCTに適した採血方法とはなっていない。特に感染症の診断や癌マーカ、糖尿病マーカでは結果の早期活用が望まれている。 本願における発明の効果は、「患者を目の前にして超微量(数μL)の血液など検体を採取し、診察室に置かれたPOCT機器で話している間に結果が得られる」ことを実現させる最初の段階すなわち、検体の採取から測定までの手順を具体的にかつ簡便に、迅速に成し遂げられる方法と器具を提供する下記の一連の行程を含むことでより一層発揮される。1 患者に負担をかけない超微量(数μL)の検体採取で測定ができる。2 検体採取後直接検体に触ることなく安全に希釈し測定機器や測定チップに検体を直接注入できる。3 作業は簡単でその作業に特別な技術又は資格は要らない。4 検体採取に一定の精度が保てる。5 消耗品としての価格が安い。6 POCT機器と一体ではあるが 1)測定時間が、検体採取から測定までが数分で完結する。 2)検体を別の測定機関に搬入することなく採取現場で測定ができる等からもコストがかからない。 3)検体採取後即検査を行えるので、その検査結果に基づいて診療又は判断ができる。 4)患者の目の前又は採取現場で検査を行うので検体の取り違え等のミスが起こらない。 5)夜間、緊急、離島や低開発国での検査にも対応できる。 6)大きな機械や検査室、専門の検査技師が要らないので初期投資が不要。以上のような効果が期待できる。 保持部(取っ手) 希釈容器 1 微量の検体を採取するために規定長の毛細管を使用する。規定長の毛細管の長さは概ね1mmから30mm、内径は最大1.5mm程度が望ましい。 数mm長の毛細管は手に持つことが出来ないため保持部が必要である。2 採取した検体を毛細管のまま一定量の希釈液の入った柔らかいスポイト状チューブ容器に挿入する。3 容器に挿入するとき保持部を切り離すか折曲げて挿入する。4 柔らかいスポイト状チューブ容器の胴を数回押し(ポンピング)て毛細管内の検体を吐出させる。5 希釈した検体をスポイトの要領で測定装置又は測定チップに直接注入する。 以上を実施する形態 その1超微量例えば1μL〜30μLの検体を一定量採取する方法として、一定長のキャピラリー毛細管を使用する。例えば内径1mmの毛細管で2μLの血液を採取するためには毛細管の全長は2.5mmとなる。全長2.5mmの毛細管を指で挟んで検体を吸い上げることは不可能である。本願は毛細管を手で持つ代わりに毛細管の一部に切り離し可能な保持部すなわち取っ手を設け、この取っ手を手に持って、毛細管の先端を検体に触れさせ毛細管現象により全長2.5mmの管内に自動的に検体が満たされる。全長2.5mmの毛細管を手で保持できるよう本願は、毛細管の一部に切り離し可能な保持部(取っ手部分)を設ける。切り離し可能な保持部とは僅かな力をかけることで保持部が切り離せる構造を意味する。これは毛細管と保持部の結合はピンポイント様に結合させるか、板の一部を薄く成形しておけば僅かな力で切り取ることができる。 または毛細管の一部に細い金属線を埋め込んでその端を保持部とすることもできる。金属線を保持部とする場合は保持部を切り取らず曲げて希釈液チューブに挿入することができかつ用済後の毛細管を取り除くことが出来る。 毛細管現象で自動的に吸い上げることができる検体量は多くて60μL程度であり、毛細管の長さは概ね1mmから30mm、内径は最大1.5mm程度が望ましい。また毛細管の内面は界面活性剤などで内部が親水処理されていることが望ましい。毛細管を成型品で作成する場合は、内面は滑らかな方が望ましい。ガラス製または既成の合成樹脂製毛細管を使用する場合は、予め一定寸法に切断した毛細管を、別途合成樹脂で成型した保持部付きの嵌合部分に差し込んで作成することもできる。この場合、保持部の切り離しは嵌合部分を引っ張れば外れるように作成することもできる。 毛細管と保持部を一体成型する場合、成型品の材質にもよるが毛細管の長さは始め長めに作っておき、用途に合わせ毛細管を一定寸法に切断して使用することもできる。同一の成型品で多種類の長さを持つ保持部付き毛細管が作成できる。 次行程の形態 その2毛細管で採取した検体は概ね数μLで、一般的な測定機器は最低100μL位必要とされる。測定項目や機器の測定感度にもよるが10から1000倍希釈することが多い。POCTでは一定量の検体の採取と一定量の希釈は一体的な手順でないと効率が悪い。本願では毛細管による採血に限定して事前に一定量の希釈液を細長いチューブ容器に充填して、先端をキャップまたは熱シールで封印している。使用時にはキャップを外すかチューブを切断してから、超微量の検体の入った毛細管をそのまま希釈液の入ったチューブ容器に挿入する。但し数mm長の毛細管は手で持つことが出来ないため特有の保持部を有しておりこのままチューブ容器に入れることはできない。 次行程の形態 その3チューブ容器が柔らかい合成樹脂でできており切断した容器の口で、検体が入った毛細管を指で挟んで毛細管の保持部を上下又は左右に曲げることで切り取り検体が入った毛細管だけを挿入することができる。嵌合式の場合は少し引っ張れば保持部を外すことができる。毛細管は細くまたその長さが短いためチューブ容器の入口は毛細管の外径より大きくかつ毛細管の長さより小さいことが望ましい。保持部が金属製の線で出来ている場合は線を切断しても良いが曲げたり縦に伸ばしてチューブ容器に挿入することもできる。 次行程の形態 その4チューブ容器に挿入された検体はまだ毛細管の中に留まっている。検体を十分に希釈液に溶かすため、激しく浸とうするか柔らかいチューブ容器の胴を数回押し(ポンピング)て毛細管内の検体を溶かし出す。保持部が金属線の場合は希釈液の中に毛細管と金属線をまとめて挿入し金属線を上下させることで検体を希釈液に溶かし出すことが出来る。 次行程の形態 その5チューブ容器内で検体が十分均一になったら、分析装置の検体注入口またはサンプルカップにプラスチックの円筒容器内の希釈検体を移し替える。チューブ容器は柔らかいスポイト状になっており、容器の胴を押せば簡単に希釈した検体は別の容器等に注入できる。最近POCT用測定チップ(試験紙片とも言う)では、一定量の検体を注入すれば定量出来るキットが既に市販されている。上記一連の作業により簡単に一定量の検体の定量を目的とする測定機器または測定チップに希釈検体を供給することができる。 図1(a)(b)(c)(d)はそれぞれ毛細管に保持部(取っ手)をつけたものである。(a)は一体成型品で(1)は毛細管部分、(2)は保持部(取っ手)、(3)は縊れ部分。(b)は勘合式の保持部(4)で作ったものである。(c)は金属線の保持部(5)をつけたものである。 図2は希釈液(6)が入ったチューブ(7)で先端は熱シール(8)で密封されている。使用時にカッティング位置(9)を鋏で切り、そこに検体入り毛細管(10)を差込み毛細管を押さえながら保持部(2)を上下にまげて保持部を切り離す。毛細管が希釈液に入れば、チューブ(7)の胴を押して検体を希釈する。 動植物のPOCT検査機器の長微量検体採取器具として使用できる。 (1) 毛細管(2) 保持部(取っ手)(3) 縊れ部(4) 勘合式の保持部(5) 金属線の保持部(6) 希釈液(7) チューブ(8) 熱シール部(9) カッティング位置(10) 検体入り毛細管 キャピラリー状毛細管の一部に切り離し可能なまたは細い金属線を有す保持部を有し、当該保持部を手に持ち毛細管の先端を血液や涙液、廃水などの検体に接触させることにより毛細管現象により微量かつ一定量の検体を採取し、別途用意した一定量の希釈液が入った柔らかい合成樹脂製容器に毛細管保持部の部分を切り離し毛細管の部分のみを挿入または金属線と共に挿入し攪拌またはポンピングすることで検体を排出させることで希釈し、かつ合成樹脂製容器の胴を押し希釈された検体を測定機器または測定チップに直接移し替えることができることを特徴とする一定量の検体を微量採取、希釈、移し替えることができる方法および器具 前項キャピラリー状毛細管の一部に設置された切り離し可能な保持部は、キャピラリー状毛細管と一体成型又は嵌合により結合されており、その嵌合部分と保持部は細く縊れもしくは極薄い構造で繋がっており、毛細管部分を抑え保持部を回転又は上下することで該保持部が毛細管より簡単に分離できる構造を有していることを特徴とする請求項1の一定量の検体を微量採取、希釈、移し替えることができる方法および器具 前項毛細管保持部は毛細管と一体成型または毛細管に嵌合する合成樹脂に一端が埋め込まれた細い金属線を有することを特徴とする請求項1の一定量の検体を微量採取、希釈、移し替えることができる方法および器具 切り離した毛細管を挿入する検体希釈液の入った柔らかい合成樹脂容器は、細い筒状のスポイト状を有しその入り口の部分の直径が、毛細管の外径より大きくかつ毛細管保持部より先端側の毛細管の長さより小さいことを特徴とする請求項1の一定量の検体を微量採取、希釈、移し替えることができる方法および器具 【課題】1〜50μL程度の微量検体を採取するものとして毛細管を使用し、それに保持部を設け、検体を一定量手に触れることなく簡単に素早く採取し、検体の希釈と測定機器や測定チップに直接分注できる一連の微量検体採取・希釈・分注方法及び器具を提供しょうとするものである。【解決手段】キャピラリー状毛細管の一部に切り離し可能なまたは柔らかい金属線を有す保持部を有し、当該保持部を手に持ち毛細管の先端を血液や涙液などの検体に接触させることにより毛細管現象により微量かつ一定量の検体を採取し、別途用意した一定量の希釈液が入った柔らかい合成樹脂製容器に毛細管保持部の部分を切り離し毛細管の部分のみを挿入または金属片と共に挿入し攪拌またはポンピングすることで検体を吐出させ希釈し、かつ合成樹脂製容器の胴を押し希釈された検体を測定機器または測定チップに直接移すことができる方法および器具【選択図】図1