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タイトル:公開特許公報(A)_生物学的利用能(バイオアベイラビリティー)を向上させる製品の製造方法および製品
出願番号:2010176026
年次:2012
IPC分類:A61K 33/00,A61K 47/14,A61K 47/44,A61K 47/36,A61K 9/48,A61P 3/02,A23L 2/52,A23L 2/38,A23L 1/304


特許情報キャッシュ

嘉島 康二 JP 2012036112 公開特許公報(A) 20120223 2010176026 20100805 生物学的利用能(バイオアベイラビリティー)を向上させる製品の製造方法および製品 株式会社三協 594069580 塚本 将樹 100143694 嘉島 康二 A61K 33/00 20060101AFI20120127BHJP A61K 47/14 20060101ALI20120127BHJP A61K 47/44 20060101ALI20120127BHJP A61K 47/36 20060101ALI20120127BHJP A61K 9/48 20060101ALI20120127BHJP A61P 3/02 20060101ALI20120127BHJP A23L 2/52 20060101ALI20120127BHJP A23L 2/38 20060101ALI20120127BHJP A23L 1/304 20060101ALI20120127BHJP JPA61K33/00A61K47/14A61K47/44A61K47/36A61K9/48A61P3/02A23L2/00 FA23L2/38 BA23L1/304 9 1 OL 16 4B017 4B018 4C076 4C086 4B017LC03 4B017LK01 4B017LK10 4B017LK13 4B017LL06 4B017LP18 4B018MD03 4B018MD04 4B018MD05 4B018MD06 4B018MD14 4B018MD30 4B018MD33 4B018ME14 4B018MF02 4C076AA56 4C076BB01 4C076CC21 4C076DD01Y 4C076DD46Y 4C076DD68Y 4C076EE30 4C076EE36 4C076EE37 4C076EE38 4C076EE42 4C076EE51 4C076FF34 4C086AA01 4C086AA02 4C086HA04 4C086HA10 4C086HA11 4C086MA03 4C086MA04 4C086MA37 4C086NA11 4C086ZC21 本発明は、「医薬品」、「特定保健用食品」、「いわゆる健康食品」および食品、飲料及び菓子などへの利用が期待されるミネラル吸収促進組成物、及びその製造方法に関する。 「医薬品」、「特定保健用食品」、「いわゆる健康食品」などに含まれる機能性成分を生物学的に効率よく吸収し、生物学的利用能(バイオアベイラビリティー)を向上させるため、様々な試みがなされてきた。「医薬品」、「特定保健用食品」、「いわゆる健康食品」などに含まれる機能性成分のうち、親水性機能性成分は、その物性上小腸柔毛細胞の毛細血管からの吸収に優れ、血中移行も速やかであることが知られている。また、親油性機能性成分は消化管内で分泌される脂質分解酵素により分解され、脂肪酸とのエステル体の形態で小腸のリンパ管より吸収され、鎖骨下静脈を経て血中に移行して吸収されることが知られている。そこで、それぞれの物性の違いから、異なった吸収経路に合った配合処方にすることで、吸収を効率化させる試みがなされてきた。例えば、特許文献1には親油性機能性成分であるコエンザイムQ10を油に分散し消化酵素と組み合わせる技術が公開されている。また特許文献2には、吸収性向上を目的に機能性成分をイオン化し、微細化(マイクロ化、ナノ化)する技術が公開されている。 このような技術開発経緯のもと現在のDDS(Drug Delivery System)の理論では、油水分配係数に着目した考え方や、機能性成分の粒径の影響によって機能性成分の吸収速度が変わり、血中への移行や細胞への取り込み方が違ってくるという考え方が、一般的になっている。消化管からの吸収を考えると、親水性機能成分(油水分配係数が1以下で小さいほど親水性である)は、小腸柔毛細胞の毛細血管から血中に取り込まれ、体内を循環するが、親油性機能性成分(油水分配係数が1以上で大きいものほど親油性である)は、消化管の中でエマルションやミセルの形態で微粒子化されたものが消化管の柔毛細胞におけるリンパ管吸収を経て血中に移行すると考えられる。 また、細胞内への取り込みに際しては、細胞膜が脂質二重膜構造になっている関係で親油性のものほど細胞内への取り込みが速やかに行われ、親水性のものは、脂質二重膜表面の脂質によってはじかれてしまう。従って、血中への移行は親水性機能性成分のほうが速く、細胞内への取り込みは親油性機能性成分のほうが良いと言えるのかもしれない。 そのような観点から、多相エマルション製剤が開発されており、特許文献3には、W/Oエマルション調整の第1工程、S/Oサスペンション調整の第2工程、S/O/W系多相エマルション調整の第3工程、S/O/W系多相エマルションを膜透過で50〜1000nmに粒径を整える第4工程からなる多相エマルション製剤により機能性成分を安定的に標的細胞部位に送達する技術が公開されている。 しかし、これら特許技術文献1〜3などに公開されている技術では、機能性成分の物性の影響を受けるという問題や、機能性成分の微細化(マイクロ化、ナノ化)する工程やS/O/W系の多相エマルションの調整工程などが必要で生産性が劣るという問題が未解決のままであった。 一方、本発明者らは鋭意研究を続け、親水性機能性成分及び親油性機能性成分の両方について、血中濃度曲線下面積(AUC)、血中最高濃度到達時間(Tmax)、血中最高濃度(Cmax)などの血中動態を測定することにより、配合助剤によって親水性機能性成分の血中動態が変化して、生物学的利用能(バイオアベイラビリティー)が向上することを確認し特許出願に及んでいる(特許文献4)。 しかし、ヒトにとって必須の栄養成分であるミネラルを効率的に吸収するという問題は未解決のままであった。とりわけカルシウムは体重の1〜2%を占め、その99%がハイドロキシアパタイトとして骨及び歯に存在する重要なミネラルであり、そのカルシウム吸収量が不足すると、骨量が減少し、骨粗鬆症が引き起こされる。しかし、日本の土壌にはカルシウム成分が少ないことから、食物からの摂取だけでは十分な量が取られていないことが以前から指摘されていた。そのため、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを配合した牛乳や、カルシウムの溶解性に影響を与えるCCM(クエン酸リンゴ酸カルシウム)を配合した特定保健用機能食品の飲料や、カルシウムと結合し吸収を促進するCPP(カゼインホスホペプチド)を配合した特定保健用機能食品の飲料などが開発され製品化されている(非特許文献1 p170)。しかし、ビタミンDは、保存、調理、加工中に分解されてしまい、ビタミンD強化牛乳に光を当てると40%のビタミンDが分解されてしまう問題があった。また、CCM(クエン酸リンゴ酸カルシウム)やCPP(カゼインホスホペプチド)を配合する製品では、溶解性を高める必要があるため飲料の形態でなければ、期待する効果が十分に得られないという問題を抱えていた。特開昭57−42616号公報特開2005−41851号公報特開2007−119436号公報特開2005−112753号公報独立行政法人 国立健康・栄養研究所 監修/ 山田和彦・松村康弘 編著 「健康・栄養食品アドバイザリースタッフ・テキストブック」第一出版 平成18年5月1日 第4版第2刷発行 そこで本発明は、機能性成分の物性に関係なく、機能性成分を微細化(マイクロ化、ナノ化)する工程や、水に分散又は溶解する工程、あるいはS/O/W系の多相エマルションのような調整工程なども必要なく、簡便な方法で機能性成分を効率的に血中に移行させ血中濃度曲線下面積(AUC)を上昇させることで、生物学的利用能(バイオアベイラビリティー)を向上させる技術を提供することを目的とする。 特に機能性成分としてカルシウムなどのミネラルを含有するミネラル化合物を、ビタミンD、CCM(クエン酸リンゴ酸カルシウム)、CPP(カゼインホスホペプチド)などの吸収促進補助材を配合すことなく、微細化(マイクロ化、ナノ化)する工程や、水に分散又は溶解する工程、あるいはS/O/W系の多相エマルションのような調整工程なども必要なく、従来に無い簡便な方法で効率的に血中に移行させ血中濃度曲線下面積(AUC)を上昇させることで、生物学的利用能(バイオアベイラビリティー)を向上させる技術を提供することを目的とする。 本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、カルシウム化合物などのミネラル化合物を含むミネラル吸収促進組成物を調整するにあたり、ミネラル化合物と油脂と界面活性剤と食物繊維の組み合わせによって、ミネラルを効率的に血中に移行させ血中濃度曲線下面積(AUC)を上昇させることで、生物学的利用能(バイオアベイラビリティー)を向上させることを見出し、本発明を完成させた。 従って、本願は下記の発明を包含する。(1) 機能性成分としてミネラル化合物を含む組成物を調整するにあたり、ミネラル化合物と油脂と界面活性剤を組み合わせることによって、ミネラルの血中濃度曲線下面積(AUC)を向上させることのできるミネラル吸収促進組成物の製造方法。(2) 前記ミネラル化合物が、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、カリウム、クロム、セレン、銅、ナトリウム、マンガン、ヨウ素、リン、モリブデン、コバルト、バナジウム、の化合物から選ばれるいずれか1種類又は2種類以上の組み合わせで、そのミネラル化合物の配合量がミネラル吸収促進組成物全体に対し1〜60重量%であり、 前記ミネラル吸収促進組成物を調整するにあたり、ミネラル化合物と油脂と界面活性剤のほか、更に食物繊維を組み合わせ、 これらミネラル化合物と、油脂と、界面活性剤と、食物繊維を、高速攪拌機または高速粉砕機を用いて、回転数2000〜8000rpmで10〜100分間攪拌処理し均一化することを特徴とする、(1)のミネラル吸収促進組成物の製造方法。(3)前記界面活性剤が、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルの群から選ばれる1種類又は2種類以上の組み合わせで、その配合量がミネラル吸収促進組成物全体に対し、1〜30重量%であり、 前記油脂が、液体状油と固体状脂の群から選ばれる1種類又は2種類以上の組み合わせで、その配合量が1〜80重量%であり、 前記食物繊維が、水溶性食物繊維、または不溶性食物繊維、または水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維の組み合わせであり、その配合量がミネラル吸収促進組成物全体に対し、1〜20重量%であり、 前記水溶性食物繊維が、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、アルギン酸、低分子化アルギン酸ナトリウム、ガラクトマンナン、グルコマンナン、水溶性ペクチン、フコイダン、グアガム、グアガム分解物、水溶性リグニン、コンドロイチンの群から選ばれる1種類又は2種類以上の組み合わせであり、 前記不溶性食物繊維が、セルロース、ふすま、ヘミセルロース、不溶性ペクチン、不溶性リグニン、グルカン、イヌリン、カラギーナン、アガロース、キチン、キトサンの群から選ばれる1種類又は2種類以上の組み合わせであることを特徴とする、(1)または(2)のミネラル吸収促進組成物の製造方法。(4) 前記ミネラル吸収促進組成物を調整するにあたり、ミネラル化合物と油脂と界面活性剤と食物繊維のほか、更にpH調整剤を組み合わせたことを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかのミネラル吸収促進組成物の製造方法。 (5) 前記ミネラル吸収促進組成物を調整するにあたり、機能性成分として、ミネラル化合物の他、更に親水性機能性成分、親油性機能性成分の群から選ばれる1種類又は2種類以上の組み合わせを含有することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかのミネラル吸収促進組成物の製造方法。(6) (1)〜(5)のいずれかの製造方法によって製造されたミネラル吸収促進組成物。(7) (1)〜(6)のいずれかの製造方法によって製造されたミネラル吸収促進組成物を含有する医薬品、医薬部外品、機能性食品、健康食品、食品飲料。(8) 前記ミネラル吸収促進組成物を含むカプセル内容物をソフトな皮膜で被覆してなるソフトカプセルにおいて、 前記ソフトカプセル皮膜部は、ゼラチン、可塑剤(グリセリンなど)、水を配合した皮膜、または、でんぷん、カラギーナン、可塑剤(グリセリンなど)、金属塩、水を配合した植物性皮膜からなり、前記ミネラル吸収促進組成物を含むソフトカプセル内容物を調整するにあたり、(1)〜(5)のいずれかのミネラル吸収促進組成物の製造方法によって、ミネラルの血中濃度曲線下面積(AUC)を向上させたソフトカプセル。(9) 前記ソフトカプセルが、医薬品、医薬部外品、機能性食品、健康食品であることを特徴とする、(8)のソフトカプセル。 本発明は、カルシウム化合物などのミネラル化合物に対し、油脂と界面活性剤と食物繊維を組み合わせることにより、ミネラルを効率的に血中に移行させ血中濃度曲線下面積(AUC)を上昇させることで、生物学的利用能(バイオアベイラビリティー)を向上させることが可能となる。 そのため、本発明ではミネラルが極めて効率良く生体内に吸収され、そのため高価なミネラル化合物の使用量を大幅に低減しても、従来の場合と比べて同等或いはそれ以上の効果を期待することができる。また得られるミネラル吸収促進組成物は、粉末状でも顆粒状でも、或いはそれを打錠して錠剤状、或いはそれをソフトカプセル、ハードカプセルに充填された状態でも良いが、どのような態様においても低容量化、ローコスト化することができる。図1は、ラットへの経口投与における血中カルシウム濃度の経時変化を示す。 本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、カルシウム化合物などのミネラル化合物を含むミネラル吸収促進組成物を調整するにあたり、ミネラル化合物と油脂と界面活性剤と食物繊維の組み合わせによって、ミネラルを効率的に血中に移行させ血中濃度曲線下面積(AUC)を上昇させることで、生物学的利用能(バイオアベイラビリティー)を向上させることを見出し、本発明を完成させた。 本発明のミネラル吸収促進組成物は、油脂と、界面活性剤と、食物繊維と、ミネラル化合物と、からなる。以下に、本発明の作用原理及び本発明の、油脂と、界面活性剤と、食物繊維と、ミネラル化合物のそれぞれについて説明する。 <本発明の作用原理> 本発明の作用原理は必ずしも明らかではないが、消化管内で分泌される脂質分解酵素により分解される油脂を用いることで、脂肪酸などの「油脂消化分解物」が生成される。この新たに生成される「油脂消化分解物」と、界面活性剤と、食物繊維と、ミネラルが消化管内でエマルション又はミセル化することで、小腸粘膜と相互作用し、親水性機能性成分の小腸柔毛の毛細血管吸収経路と、油脂と同様の小腸のリンパ管吸収経路の両方の消化吸収が可能になると考えられる。そして、親水性機能性成分の「小腸柔毛の毛細血管吸収」と親油性機能性成分の「小腸のリンパ管吸収」の相乗効果により、ミネラルの消化管吸収が促進され、生物学的利用能が向上すると考えられる。 また、消化管粘膜上皮細胞に存在する機能性成分のトランスポーター(P糖たんぱく質)は、一度膜透過した機能性成分を再び小腸管内に汲みだしてしまうトランスポーターであるが、本発明の油脂と界面活性剤と食物繊維の組み合わせで、このトランスポーターの働きを阻害することにより、ミネラルの消化管吸収が促進されると考えられる。 さらに、CYP3A4に代表されるシトクロムP450(CYP)3A分子種の腸管内代謝酵素の働きを、本発明の油脂と界面活性剤と食物繊維の組み合わせで阻害することにより、ミネラル吸収促進組成物の代謝が妨げられ、ミネラルの消化管吸収が促進されると考えられる。 本発明に使用できる界面活性剤は、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルの群から選ばれる1種類又は2種類以上の組み合わせで、その配合量は、ミネラル吸収促進組成物全体に対し重量百分率で1〜30%で好適に用いられる。さらに好ましくは1〜20%、とりわけ好ましくは2〜15%である。その中でも、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステルが好適に用いられる。 本発明に使用できる油脂は、植物性油脂、動物性油脂、加工油脂など、食用油脂であればいずれも使用することができる。本明細書においては、植物性油脂のうち、オリーブ油のように常温で液体のものを「植物油」とし、やし油などのように常温で固体のものを「植物脂」という。また、本明細書においては、動物性油脂のうち、魚油のように常温で液体のものを「動物油」とし、牛脂やラードなどのように常温で固体のものを「動物脂」という。また、加工油脂としては、植物油や動物油に水素添加して固体にする水素添加加工油脂があげられる。 本発明の油脂として、植物油、動物油などの液体状油(常温で液体)と、植物脂、動物脂、水素添加加工油脂などの固体状脂(常温で固体)を組み合わせて用いることで、ミネラル吸収促進組成物の粘度、物性を、その用途に合わせて自由自在に調整することが可能である。例えば、ソフトカプセル内容物としてミネラル吸収促進組成物を用いる場合、ミネラル吸収促進組成物の粘度を5000〜100000Pa・sに調整することが望ましいが、20〜50%の液体状油(常温で液体)と2〜20%の水素添加加工油脂などの固体状脂(常温で固体)との組み合わせを、ソフトカプセル内容物としてミネラル吸収促進組成物を用いる場合の一例としてあげることができる。 本発明の油脂としての配合量は、ミネラル吸収促進組成物に対し、重量百分率で1〜80%で好適に用いられる。さらに好ましくは10〜70%、とりわけ好ましくは50〜70%である。 本発明のミネラル吸収促進組成物は、粉末状でも顆粒状でも、或いはそれを打錠して錠剤状、或いはそれをソフトカプセル、ハードカプセルに充填された状態でも良いが、どのような態様においても低容量化、ローコスト化することができる。また本発明で使用できるソフトカプセル皮膜としては、ゼラチン、可塑剤(グリセリン)、水を配合した皮膜のほか、でんぷん、カラギーナン、可塑剤(グリセリン)、金属塩、水を配合した植物性皮膜も使用することができる。 また、本発明に使用できる液体状油(常温で液体)としては、コーン油、大豆油、サラダ油、ごま油、菜種油、こめ油、糠油、椿油、サフラワー油、パーム油、綿実油、ひまわり油、オリーブオイル、ピーナッツオイル、アーモンドオイル、アボガドオイル、ヘーゼルナッツオイル、ウオルナッツオイル、グレープシードオイル、マスタードオイル、レタス油、シソ油、あまに油、ひまし油、桐油などの植物油、または、鯨油、鮫油、肝油などの魚油の群から選ばれる1種類又は2種類以上の組み合わせを例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。本発明に使用できる液体状油(常温で液体)の配合量は、期待する効果など考慮して適宜決定すれば良いが、ミネラル吸収促進組成物に対し、重量百分率で1〜80%で好適に用いられる。さらに好ましくは10〜70%、とりわけ好ましくは40〜60%である。 また、本発明に使用できる固体状脂(常温で固体)は、植物由来水素添加加工油脂、動物由来水素添加加工油脂などの水素添加加工油脂や、カカオバター、パーム油などの植物脂や、ラード(豚脂)、ヘット(牛脂)、鶏脂、兎脂、羊脂、馬脂、乳脂など動物脂、からなる群から選ばれる1種類又は2種類以上の組み合わせを例として挙げることができるが、これらに限定されるものではない。本発明に使用できる固体状脂(常温で固体)の配合量は、期待する効果やミネラル吸収促進組成物の剤型、用途に応じた物性などを考慮して適宜決定すれば良いが、ミネラル吸収促進組成物に対し、重量百分率で1〜20%で好適に用いられる。さらに好ましくは1〜15%、とりわけ好ましくは2〜10%である。本発明における植物由来水素添加加工油脂としては、硬化油、マーガリン、ショートニングオイルなどあげられ、食用油脂に水素添加または部分的に水素添加したものいずれも使用することができるが、そのなかでも硬化油が好適に用いられる。また本発明における動物由来水素添加加工油脂としては、ラードなどがあげられ、食用油脂に水素添加または部分的に水素添加したものいずれも使用することができる。 食物繊維の定義は、人間の消化酵素で消化されない食物中のすべての成分(難消化性成分の総体)である。体の構成成分やエネルギーとなることはないが、5大栄養素に続く第6の栄養素としてその有用性が見直され、排泄の促進、(有害)ミネラル排出、血中コレステロールの抑制、悪玉菌の増殖抑制、急激な血糖値上昇抑制の作用などがあり、糖尿病、高脂血症、肥満や高血圧症などの代謝性疾患に有用と考えられ、さらに大腸がんの予防が期待され、腸内環境を整えるためにも必要な栄養素となっている。 上述したように食物繊維は、一般的にはミネラル排出促進に有効であると考えられてきた。しかし、本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ミネラル化合物を含むミネラル吸収促進組成物を調整するにあたり、ミネラル化合物と油脂と界面活性剤と食物繊維の組み合わせによって、ミネラルを効率的に血中に移行させ血中濃度曲線下面積(AUC)を上昇させることで、生物学的利用能(バイオアベイラビリティー)を向上させることを見出し、本発明を完成させた。 本発明に使用できる食物繊維は、水溶性食物繊維、または不溶性食物繊維、または水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維の組み合わせである。食物繊維の配合量は、期待する効果など考慮して適宜決定すれば良いが、ミネラル吸収促進組成物に対し、重量百分率で1〜25%で好適に用いられる。さらに好ましくは1〜20%、とりわけ好ましくは2〜10%である。 本発明に使用できる水溶性食物繊維は、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、アルギン酸、低分子化アルギン酸ナトリウム、ガラクトマンナン、グルコマンナン、水溶性ペクチン、フコイダン、グアガム、グアガム分解物、水溶性リグニン、コンドロイチンの群から選ばれる1種類又は2種類以上の組み合わせである。その中でも、難消化性デキストリン、ポリデキストロースが好適に用いられる。 本発明における食物繊維として、難消化性デキストリン、ポリデキストロースなどの水溶性食物繊維を用いてミネラル吸収促進組成物を調整することで、ミネラルを効率的に血中に移行させ血中濃度曲線下面積(AUC)を上昇させるだけでなく、血中最高濃度到達時間(Tmax)を速めることも可能である。 また、本発明に使用できる不溶性食物繊維は、セルロース、ふすま、ヘミセルロース、不溶性ペクチン、不溶性リグニン、グルカン、イヌリン、カラギーナン、アガロース、キチン、キトサンの群から選ばれる1種類又は2種類以上の組み合わせである。 人体の元素別割合は、炭素、水素、酸素、窒素 の4つで、全体の96%を占めており、残りの4%をミネラル(無機質)が占めている。体内でのミネラルの量は微量であるが、生命の維持には必要不可欠な栄養素である。ミネラルには、骨や歯の成分、血液やホルモン、酵素の構成成分、そして体のバランスを整えたり強化したりする成分としての役割がある。厚生労働省によって、亜鉛・カリウム・カルシウム・クロム・セレン・鉄・銅・ナトリウム・マグネシウム・マンガン・ヨウ素・リンの12種類がミネラルとして示されているが、その他の無機質も加えるともっと多くの数になる。 本発明におけるミネラル化合物のミネラルとして使用できるものは、生体内で必要とされるカルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、カリウム、クロム、セレン、銅、ナトリウム、マンガン、ヨウ素、リン、モリブデン、コバルト、バナジウム、などからなる群から選ばれる1種類又は2種類以上の組み合わせである。 本発明におけるミネラル化合物として使用できるものは、生体内で必要とされるカルシウム化合物、マグネシウム化合物、鉄化合物、亜鉛化合物、カリウム化合物、クロム化合物、セレン化合物、銅化合物、ナトリウム化合物、マンガン化合物、ヨウ素化合物、リン化合物、モリブデン化合物、コバルト化合物、バナジウム化合物、などからなる群から選ばれる1種類又は2種類以上の組み合わせである。 また、本発明におけるミネラル吸収促進組成物に、油脂と、界面活性剤と、食物繊維と、共に含有せしめるミネラル化合物としては、生体に吸収可能な形態の前記ミネラルの化合物、これらのミネラルを高含有する天然物、或いは、これらのミネラルを含有する加工品をいう。具体的には、例えば、カルシウム化合物としては、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、乳酸カルシウム、オルトリン酸カルシウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウムなどや、乳清カルシウム、苦汁、卵殻カルシウム、牛骨カルシウム、魚骨粉、サンゴ末、貝殻、ドロマイトや、それらの加工品を挙げることができる。 マグネシウム化合物としては、炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、酢酸マグネシウム、グルコン酸マグルシウム、グリセロリン酸マグネウム、乳酸マグネシウム、オルトリン酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウムなどや、マグネシウムを高含有するカカオ豆、アーモンド、大豆、ピーナッツ、苦汁、米糠、ひじき、昆布などの海草類やこれらの加工品を挙げることができる。 鉄化合物としては、クエン酸第一鉄、炭酸第一鉄、クエン酸第二鉄アンモニウム、重炭酸カリウムグルコン酸第一鉄、乳酸第一鉄、硫酸第一鉄、フマル酸第一鉄、リン酸鉄ナトリウム(二リン酸第二鉄)、一リン酸第二鉄(ピロリン酸第二鉄)、含糖酸化鉄、元素鉄などを挙げることができる。 亜鉛化合物としては、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、クエン酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、乳酸亜鉛、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、硫酸亜鉛などを挙げることができる。 カリウム化合物としては、オルトリン酸カリウム、クエン酸カリウム、塩化カリウム、炭酸カリウム、グルコン酸カリウム、グリセロリン酸カリウム、乳酸カリウム、水酸化カリウムなどを挙げることができる。 クロム化合物としては、3価クロム化合物などを挙げることができる。 セレン化合物としては、セレン酸ナトリウム、亜セレン酸水素ナトリウム、亜セレン酸ナトリウムなどを挙げることができる。 銅化合物としては、炭酸第二銅、クエン酸第二銅、グルコン酸第二銅、硫酸第二銅、リジン−銅複合体などを挙げることができる。 ナトリウム合物としては、塩化ナトリウム、リン酸三ナトリウム、炭酸ナトリウムなどを挙げることができる。 マンガン化合物としては、炭酸マンガン、硫酸マンガンなどを挙げることができる。 リン化合物としては、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸などを挙げることができる。 ヨウ素化合物としては、ヨウ化ナトリウム、ヨウ素酸ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ素酸カリウムなどを挙げることができる。 なお、鉄、亜鉛、カリウム、クロム、セレン、銅、ナトリウム、マンガン、ヨウ素、リン、モリブデン、コバルト、バナジウム、については、それらを高含有する天然物或いは加工品を、具体的に例示はしていないが、それらも、当然、本発明のミネラル吸収促進組成物にミネラル化合物として有利に配合することができる。また、これらのミネラル化合物は、その1種又は2種以上を、本発明のミネラル吸収促進組成物の使用目的により、適宜配合することができ、その組み合わせは、同じ種類のミネラル化合物を2種以上組み合わせることも、及び/又は、異なる複数の種類のミネラル化合物を2種以上組み合わせることも、随意である。 本発明におけるミネラル吸収促進組成物のミネラル化合物の配合量は、期待する効果など考慮して適宜決定すれば良いが、ミネラル吸収促進組成物全体に対し、重量百分率で0.5〜60%で好適に用いられる。さらに好ましくは5〜50%、とりわけ好ましくは10〜40%である。 本発明において、ミネラル吸収促進組成物として、ミネラル化合物の他、更にミネラル化合物以外の親水性機能性成分、親油性機能性成分の群から選ばれる1種類又は2種類以上の組み合わせを含有していても、本発明の作用効果を阻害するものではなく、ミネラル以外の親水性機能性成分、親油性機能性成分などもミネラルと同様に効率的に血中に移行させ血中濃度曲線下面積(AUC)を上昇させることで、生物学的利用能(バイオアベイラビリティー)を向上させることが可能である。 本発明に使用できる親水性機能性成分としては、ビタミンB群(ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、パントテン酸、葉酸、ビオチン)とビタミンCからなる水溶性ビタミンや、グルコサミン塩酸塩、ルチン、タウリン、米酢、米黒酢、玄米酢、玄米黒酢、大麦黒酢、ハトムギ酢、小麦酢、りんご酢、ぶどう酢、柿酢、梅酢、トマト酢、もろみ酢、水溶性オリゴ糖、水溶性デキストリン、イソフラボン、フラボノール、フラバノン、アントシアニン、フラバノール、フラボン、カテキン、タンニン、フラボノイド、クロロゲン酸、フェニルカルボン酸、エラグ酸、リグナン、クルクミン、クマリン、αリポ酸、キシリトール、大豆ペプチド、大豆イソフラボン、クエン酸、グリシン、アラニン、セリン、システイン、シスチン、メチオニン、グルタミン、アルギニン、ヒスチジン、コラーゲンペプチドなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、ありとあらゆる親水性機能性成分を使用することができる。 本発明におけるミネラル吸収促進組成物のミネラル化合物以外の親水性機能性成分の配合量は、期待する効果など考慮して適宜決定すれば良いが、ミネラル吸収促進組成物全体に対し、重量百分率で1〜50%で好適に用いられる。さらに好ましくは5〜40%、とりわけ好ましくは10〜30%である。 本発明に使用できる親油性機能性成分としては、脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK)、コエンザイムQ10、DHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)、αカロテン、βカロテン、ルテイン、リコピン、ゼアキサンチン、植物ステロール、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オレイン酸、スクワレンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、ありとあらゆる親油性機能性成分を使用することができる。 本発明におけるミネラル吸収促進組成物のミネラル化合物以外の親油性機能性成分の配合量は、期待する効果など考慮して適宜決定すれば良いが、ミネラル吸収促進組成物全体に対し、重量百分率で1〜50%で好適に用いられる。さらに好ましくは5〜40%、とりわけ好ましくは10〜30%である。 本発明におけるミネラル吸収促進組成物の製造方法は、ミネラル吸収促進組成物を調整するにあたり、ミネラル化合物と、油脂と、界面活性剤と、食物繊維を、高速攪拌機または高速粉砕機を用いて攪拌処理し均一化することを特徴の1つとする。そして本発明のミネラル吸収促進組成物の製造方法における攪拌処理は、1次攪拌処理と2次攪拌処理からなり、好ましくは、1次攪拌処理として、油脂に界面活性剤を加え、温度65±5℃でホモジェッターなどの高速攪拌機を用いて徐々に回転数を上げ、2000〜8000rpmで10〜30分間攪拌して均一化する。そして、均一化した中間組成物を、温度40±10℃まで冷却し、2次攪拌処理として、均一化した中間組成物にミネラル化合物と食物繊維を加え、さらに必要に応じてミネラル化合物以外の機能性成分やpH調整剤などを加えて、温度40±10℃でホモジェッターなどの高速攪拌機を用いて徐々に回転数を上げ、2000〜8000rpmで10〜30分間攪拌して均一化する。 1次攪拌処理および2次攪拌処理の回転数は、期待する効果など考慮して適宜決定すれば良いが、2000〜8000rpmで好適に用いられる。さらに好ましくは3000〜7000rpm、とりわけ好ましくは3500〜5000rpmである。また、1次攪拌処理および2次攪拌処理各々の時間は、期待する効果など考慮して適宜決定すれば良いが、5〜50分間が好適であり、さらに好ましくは10〜40分間、とりわけ好ましくは20〜30分間である。従って、1次攪拌処理および2次攪拌処の合計時間は、期待する効果など考慮して適宜決定すれば良いが、10〜100分間が好適であり、さらに好ましくは20〜80分間、とりわけ好ましくは40〜60分間である。 本発明の攪拌処理に使用できる高速攪拌機または高速粉砕機としては、ホモジェッター、ホモミキサー、ポリトロンホモジナイザー、クレアミックス、ヒスコトロンなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではなく、市販されている高速攪拌機または高速粉砕機であればいずれも使用することができる。 本発明におけるミネラル吸収促進組成物には、ミネラル化合物と、油脂と、界面活性剤と、食物繊維と、共にpH調整剤を含有させることがより好ましい。本発明に使用できるpH調整剤としては、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、コハク酸、グルコン酸などの有機酸、またはクエン酸ナトリウム、クエン酸第一鉄ナトリウム、コハク酸ナトリウム、グルコン酸ナトリウムなどの有機酸塩、またはリン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどの無機金属塩を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。 本発明におけるミネラル吸収促進組成物のpH調整剤の配合量は、期待する効果など考慮して適宜決定すれば良いが、ミネラル吸収促進組成物全体に対し、重量百分率で0.1〜10%で好適に用いられる。さらに好ましくは0.2〜3%、とりわけ好ましくは0.3〜1%である。 以下の実施例によって本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例に先立ち、各実施例に用いた試験方法について説明する。 <実験群及び試料、その調整> 以下に示す成分組成にて、1 本発明品群(ミネラル吸収促進処方群)、2 対照群A(乳化促進処方群)、3 対照群B(粉末処方群)の試料を調製した。 以下1〜3群の配合処方には、いずれも同一量のカルシウムを含有しており、1 本発明品群(ミネラル吸収促進処方群)は、界面活性剤と水溶性食物繊維を含むオイル製剤としている。2 対照群A(乳化促進処方群)は、乳化促進のために界面活性剤(乳化剤)を配合して水溶化処方とした。3 対照群B(粉末処方群)は、カルシウムを含有するミネラル化合物を水で溶いて懸濁物とした。 また、ミネラル化合物としてドロマイトを用いた。ドロマイトは炭酸マグネシウムカルシウム(CaMg(CO3)2)でカルシウムとマグネシウムを2:1の割合で含有した天然のミネラル素材であり、人が栄養素として摂取する場合に、理想的なカルシウム、マグネシウム配合バランスであることが知られている。また、その含有バランスによって単体でカルシウムやマグネシウムを摂取する場合より、吸収性に富んでいると言われている。本実施例では、このドロマイトとして株式会社エヌ・シー・コーポレーション製の商品名「ドロマイトWH」を用いた。 1 本発明品群(ミネラル吸収促進処方群)ドロマイト 34.18重量%(10.254g) クエン酸第一鉄ナトリウム 0.82重量% (0.246g)グリセリン脂肪酸エステル 15.00重量% (4.500g)水溶性食物繊維 5.00重量% (1.500g) なたね硬化油(固体状脂) 5.00重量% (1.500g)オリーブオイル(液体状油) 40.00重量%(12.000g) 100.00重量%(30.000g) 上記の1 本発明に係るミネラル吸収促進処方で、1次攪拌処理として、なたね硬化油(固体状脂)とオリーブオイル(液体状油)にグリセリン脂肪酸エステルを加え、温度65±5℃でホモジェッター(高速攪拌機)を用いて徐々に回転数を上げ、4000rpmで20分間攪拌して均一化した。そして、均一化した中間組成物を、温度40±10℃まで冷却し、2次攪拌処理として、均一化した中間組成物にドロマイト、クエン酸第一鉄ナトリウム、水溶性食物繊維(水溶性難消化性デキストリン)を加えて、温度40±10℃でホモジェッター(高速攪拌機)を用いて徐々に回転数を上げ、4000rpmで20分間攪拌して均一化することで、1 本発明品群(ミネラル吸収促進処方群)であるミネラル吸収促進組成物を得た。そのミネラル吸収促進組成物を強制経口投与で用いた。そのミネラル吸収促進組成物には、カルシウムが34.18mg/ml、マグネシウムが17.10mg/ml、鉄が0.42mg/ml含まれている。 なお、グリセリン脂肪酸エステルは、理研ビタミン社製のHLB 16(商品名 ポエムJ−0021) とHLB 7.4(商品名 ポエムDO−100V)の2種類を用い、HLB 16(商品名 ポエムJ−0021) を5.00重量%使用し、HLB 7.4(商品名 ポエムDO−100V)を10.00重量%使用し、合計で15.00重量%になるようにした。 2 対照群A(乳化促進処方群)ドロマイト 34.18重量%(10.254g)クエン酸第一鉄ナトリウム 0.82重量% (0.246g)グリセリン脂肪酸エステル 20.00重量% (6.000g)水 45.00重量%(13.500g) 100.00重量%(30.000g) 上記の2 対照群A(乳化促進処方群)に係る配合処方で、温度40±10℃で、ホモジェッター(高速攪拌機)を用いて徐々に回転数を上げ、4000rpmで40分間攪拌して均一化することでミネラル化合物含有組成物を調整した。そのミネラル化合物含有組成物を強制経口投与で用いた。そのミネラル化合物含有組成物(2 対照群A(乳化促進処方群))には、1 本発明品群(ミネラル吸収促進処方群)と同量のカルシウム、マグネシウム、鉄が含まれている。 なお、グリセリン脂肪酸エステルは、理研ビタミン社製のHLB 16(商品名 ポエムJ−0021) とHLB 7.4(商品名 ポエムDO−100V)の2種類を用い、HLB 16(商品名 ポエムJ−0021) を15.00重量%使用し、HLB 7.4(商品名 ポエムDO−100V)を5.00重量%使用し、合計で20.00重量%になるようにした。 3 対照群B(粉末処方群)ドロマイト 34.18重量% (10.254g)クエン酸第一鉄ナトリウム 0.82重量% (0.246g)水 65.00重量% (19.500g) 100.00重量% (30.000g) 上記の3 対照群B(粉末処方群)に係るミネラル化合物含有組成物として、34.18重量%(10.254g)のドロマイトと0.82重量% (0.246g)のクエン酸第一鉄ナトリウム、65.00重量% (19.500g)の脱イオン水を、温度40±10℃で、ホモジェッター(高速攪拌機)を用いて徐々に回転数を上げ、4000rpmで40分間攪拌して混合した。そのミネラル化合物含有組成物を強制経口投与で用いた。そのミネラル化合物含有組成物(3 対照群B(粉末処方群))にも、1 本発明品群(ミネラル吸収促進処方群)、2 対照群A(乳化促進処方群)と同量のカルシウム、マグネシウム、鉄が含まれている。 <動物群及び試料の投与方法> 本実施例で用いた動物群は、雄Sprague-Dawley系ラット、6週齢、体重が200〜235gであり、大連医科大学試験動物センターより提供を受けた。ラットは動物実験室で7日間検疫、馴化すると同時に健康状況を観察した。ラット数は各ゲージに6匹ずつで、ゲージの中に柔らかい滅菌済みの木屑を敷いた。動物実験室の温度は23〜25℃、相対湿度は50〜60%に維持した。換気回数は約12回/時間、照明は明を12時間、暗を12時間とした。動物飼料は棒状の乾燥した基礎飼料を、飲水は水道水を与え自由摂取とした。 ラットを体重によってランダムに群分けして、それぞれ、1 本発明品群(ミネラル吸収促進処方群)、2 対照群A(乳化促進処方群)、3 対照群B(粉末処方群)とし、1群につき36匹とした。群ごとのラットを生物サンプルの採集時間によってさらに、6つの小群に分けて、1群について6匹とした。ラットを一夜(約16時間)空腹にしてから、被験物質を強制経口投与し、投与用量は4ml/kg b.w.とした。カルシウムの用量は、136.7mg/kg b.w.であり、この用量は日本厚生労働省が推奨する成人用量の10倍に相当する。 <血中カルシウム濃度の測定 及び カルシウム吸収動態の調査解析> ラットに被験物質を投与する直前(0時間)、及び投与後1時間、2時間、4時間、8時間及び12時間に血液と肝臓組織を採集し、血中カルシウム濃度の測定及びカルシウム吸収動態の調査解析を行った。 <実験結果> 血中カルシウム濃度を測定し、カルシウム吸収動態の調査解析結果を表1に示し、血中カルシウム濃度の経時変化を図1に示す。 表1及び図1より、1 本発明品群(ミネラル吸収促進処方群)のラットに対するカルシウムの吸収は、2 対照群A(乳化促進処方群)、3対照群B(粉末処方群)と比較し有意に吸収性が優れていた。1 本発明品群(ミネラル吸収促進処方群)のラットに対するカルシウムの血中濃度曲線下面積(AUC)は、3 対照群B(粉末処方群)と比較し約137%に増加し、1 本発明品群(ミネラル吸収促進処方群)の血中最高濃度(Cmax)は、3 対照群B(粉末処方群)と比較し約178%に増加した。 また、1 本発明品群(ミネラル吸収促進処方群)のラットに対するカルシウムの血中濃度曲線下面積(AUC)を、2 対照群A(乳化促進処方群)と比較すると、約29%増加しており、1 本発明品群(ミネラル吸収促進処方群)の血中最高濃度(Cmax)を、2 対照群A(乳化促進処方群)と比較すると、約65%増加した。 1 本発明品群(ミネラル吸収促進処方群)により得られるカルシウム吸収動態の変化は、今までに知られているカルシウム吸収の知見から説明できるものではなく、一般的に知られているカルシウム吸収とは全く異なる吸収メカニズムにより、血中へのカルシウム吸収が著しく促進されているものと考えることができる。 一般的に、カルシウムの吸収促進は、牛乳に含まれるCCP(Casein Calcium Peptide:カゼインカルシウムペプチド)やビタミンDによるものと考えられている。その他にも、CCM(クエン酸リンゴ酸カルシウム)やCPP(カゼインホスホペプチド)などがカルシウムの吸収促進成分として挙げられ、それらを含む栄養機能食品や特定保健用食品なども市販されている。 しかしながら、1 本発明品群(ミネラル吸収促進処方群)において、CCP(カゼインカルシウムペプチド)やビタミンD、CCM(クエン酸リンゴ酸カルシウム)やCPP(カゼインホスホペプチド)など何れも含まれていないにも関わらず、効率よくカルシウム吸収が行われていることが、本実験結果により明確になった。これは、本発明者らによって初めて見出された事実である。 本発明は、「医薬品」、「特定保健用食品」、「いわゆる健康食品」、「機能性食品」および食品、飲料及び菓子の分野全てにおいて利用することができる。 機能性成分としてミネラル化合物を含む組成物を調整するにあたり、ミネラル化合物と油脂と界面活性剤を組み合わせることによって、ミネラルの血中濃度曲線下面積(AUC)を向上させることのできるミネラル吸収促進組成物の製造方法。 前記ミネラル化合物が、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、カリウム、クロム、セレン、銅、ナトリウム、マンガン、ヨウ素、リン、モリブデン、コバルト、バナジウム、の化合物から選ばれるいずれか1種類又は2種類以上の組み合わせで、そのミネラル化合物の配合量がミネラル吸収促進組成物全体に対し1〜60重量%であり、 前記ミネラル吸収促進組成物を調整するにあたり、ミネラル化合物と油脂と界面活性剤のほか、更に食物繊維を組み合わせ、 これらミネラル化合物と、油脂と、界面活性剤と、食物繊維を、高速攪拌機または高速粉砕機を用いて、回転数2000〜8000rpmで10〜100分間攪拌処理し均一化することを特徴とする請求項1記載のミネラル吸収促進組成物の製造方法。 前記界面活性剤が、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルの群から選ばれる1種類又は2種類以上の組み合わせで、その配合量がミネラル吸収促進組成物全体に対し、1〜30重量%であり、 前記油脂が、液体状油と固体状脂の群から選ばれる1種類又は2種類以上の組み合わせで、その配合量が1〜80重量%であり、 前記食物繊維が、水溶性食物繊維、または不溶性食物繊維、または水溶性食物繊維及び不溶性食物繊維の組み合わせであり、その配合量がミネラル吸収促進組成物全体に対し、1〜20重量%であり、 前記水溶性食物繊維が、難消化性デキストリン、ポリデキストロース、アルギン酸、低分子化アルギン酸ナトリウム、ガラクトマンナン、グルコマンナン、水溶性ペクチン、フコイダン、グアガム、グアガム分解物、水溶性リグニン、コンドロイチンの群から選ばれる1種類又は2種類以上の組み合わせであり、 前記不溶性食物繊維が、セルロース、ふすま、ヘミセルロース、不溶性ペクチン、不溶性リグニン、グルカン、イヌリン、カラギーナン、アガロース、キチン、キトサンの群から選ばれる1種類又は2種類以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1または2記載のミネラル吸収促進組成物の製造方法。 前記ミネラル吸収促進組成物を調整するにあたり、ミネラル化合物と油脂と界面活性剤と食物繊維のほか、更にpH調整剤を組み合わせたことを特徴とする請求項1、2または3記載のミネラル吸収促進組成物の製造方法。 前記ミネラル吸収促進組成物を調整するにあたり、機能性成分として、ミネラル化合物の他、更に親水性機能性成分、親油性機能性成分の群から選ばれる1種類又は2種類以上の組み合わせを含有することを特徴とする請求項1、2、3または4記載のミネラル吸収促進組成物の製造方法。 前記請求項1、2、3、4または5記載の製造方法によって製造されたミネラル吸収促進組成物。 前記請求項1、2、3、4、5または6記載の製造方法によって製造されたミネラル吸収促進組成物を含有する医薬品、医薬部外品、機能性食品、健康食品、食品飲料。前記ミネラル吸収促進組成物を含むカプセル内容物をソフトな皮膜で被覆してなるソフトカプセルにおいて、 前記ソフトカプセル皮膜部は、ゼラチン、可塑剤、水を配合した皮膜、または、でんぷん、カラギーナン、可塑剤、金属塩、水を配合した植物性皮膜からなり、 前記ミネラル吸収促進組成物を含むソフトカプセル内容物を調整するにあたり、請求項1、2、3、4または5記載のミネラル吸収促進組成物の製造方法によって、ミネラルの血中濃度曲線下面積(AUC)を向上させたソフトカプセル。 前記ソフトカプセルが、医薬品、医薬部外品、機能性食品、健康食品であることを特徴とする請求項8記載のソフトカプセル。 【課題】機能性成分としてカルシウムなどのミネラルを含有するミネラル化合物を、微細化(マイクロ化、ナノ化)する工程や、水に分散又は溶解する工程、あるいはS/O/W系のような多相エマルションの調整工程なども必要なく、従来に無い簡便な方法で効率的に血中に移行させ血中濃度曲線下面積(AUC)を上昇させることで、生物学的利用能(バイオアベイラビリティー)を向上させる技術を提供することを目的とする。【解決手段】本発明は、カルシウムなどのミネラルを含有するミネラル化合物に対し、油脂と界面活性剤と食物繊維を組み合わせることにより、ミネラルを効率的に血中に移行させ血中濃度曲線下面積(AUC)を上昇させることで、生物学的利用能(バイオアベイラビリティー)を向上させることが可能となる。そのため、本発明ではミネラルが極めて効率良く生体内に吸収される。【選択図】 図1


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