タイトル: | 公開特許公報(A)_カーボンナノチューブ複合多層めっき体および当該センサー。 |
出願番号: | 2010169765 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | C25D 15/02,C25D 5/12,C25D 7/00,C25D 3/12,B82B 1/00,G01N 27/327,G01N 27/416,G01N 27/30 |
加藤 和夫 竹澤 一郎 JP 2012021220 公開特許公報(A) 20120202 2010169765 20100712 カーボンナノチューブ複合多層めっき体および当該センサー。 株式会社カワジュンインダストリー 309033714 加藤 和夫 竹澤 一郎 C25D 15/02 20060101AFI20120106BHJP C25D 5/12 20060101ALI20120106BHJP C25D 7/00 20060101ALI20120106BHJP C25D 3/12 20060101ALI20120106BHJP B82B 1/00 20060101ALI20120106BHJP G01N 27/327 20060101ALI20120106BHJP G01N 27/416 20060101ALI20120106BHJP G01N 27/30 20060101ALI20120106BHJP JPC25D15/02 FC25D5/12C25D7/00 YC25D3/12B82B1/00G01N27/30 353FG01N27/46 338G01N27/30 B 6 1 書面 7 4K023 4K024 4K023AA12 4K023BA06 4K023BA08 4K023DA02 4K023DA07 4K023DA08 4K023EA01 4K024AA03 4K024AA11 4K024AA12 4K024AB02 4K024AB12 4K024BB27 4K024BC10 4K024CA01 4K024CB21 本発明は、カーボンナノチューブ複合めっき体に金、プラチナ等の貴金属を含む多層めっきに関するものである。 カーボンナノチューブは工業材料として優れた電気特性、熱的特性、安定性を有している。またこれらの特性に金、プラチナ、その他の貴金属の特性を付与した複合めっきが近年提案されている。例えば下記の特許文献1を挙げることができる。 カーボンナノチューブを金属表面上に形成したものが、バイオセンサーとして提案されている。例えば下記の文献2を挙げることができる。 特開2006−249484特開2008−64724 特許文献1に示される金めっきはカーボンナノチューブをめっき中に取り込むためにめっき厚みに5μmを要している。(クーロン量:9.46C 被めっき電極の面積:2cm2) これは金めっき厚みが5μm以上でないとカーボンナノチューブを十分に取り込めないことを意味している。 特許文献2に示される電極は、電極の表面積を増大させるために、白金電極上に単層カーボンナノチューブを形成したもので、数桁もの感度上昇が得られるとしている。 しかしながら、特許文献2に示される電極では、カーボンナノチューブを白金電極上に固定する方法に問題があり、白金電極上からカーボンナノチューブが脱落してしまうという課題があった。 本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、その目的とするところは、貴金属の使用量を低減させることができるカーボンナノチューブ複合めっき体、およびカーボンナノチューブの固定度が高いセンサーを提供することにある。 カーボンナノチューブを取り込んだ5μm以上の厚みのある下層ニッケルめっき皮膜に上層めっきとして金、プラチナ等、貴金属のめっきを0〜5μm施すことにより機能を付与することが可能であることを特徴とする。 本発明に係るカーボンナノチューブはめっき皮膜に取り込まれるという構造をとるため、固定度は高いといえる。更にめっき皮膜中に複数のカーボンナノチューブは取り込まれ、尚且つめっき面から飛び出す形で立体的に形成されている点や、めっき皮膜から飛び出しているカーボンナノチューブの部位に複数のめっき粒子が電着しており、単純なめっき皮膜に比して表面積が増大していることを特徴とする。 本発明によればカーボンナノチューブを複合めっきする際の金、プラチナ等の貴金属の使用量を大幅に減量することが可能になる。限りある資源の節約といえる。 まためっき皮膜に対し固定度の高いカーボンナノチューブは自身にもめっき粒子を電着させておりその表面積が増大するのも電極やセンサーとして好適である。 カーボンナノチューブ複合多層めっき体を使った電極のイメージ図を示す。電極A(上層プラチナめっき)の表面のSEM写真を示す。電極Aの元素定性分析(EDX)の図を示す。電極Aおよび比較用のプラチナ電極を作用極に用いたサイクリックボルタンメトリー(CV)測定のボルタモグラムを示す。電極B(上層金めっき)および比較用の金電極を作用極に用いたサイクリックボルタンメトリー測定のボルタモグラムを示す。電極Aおよびプラチナ電極を用いて作成したバイオセンサーのクロノアンペロメトリを示す。電極Bおよび金電極を用いて作成したバイオセンサーのクロノアンペロメトリを示す。電極Aおよびプラチナ電極を用いて作製したバイオセンサーにおけるグルコース濃度と応答電流の関係(検量線)を示す。電極Bおよび金電極を用いて作製したバイオセンサーにおけるグルコース濃度と応答電流の関係(検量線)を示す。 以下本発明の好適な実施の形態を詳細に説明する。 以下にカーボンナノチューブ複合用ニッケルめっき浴及び金めっき浴、 プラチナめっき浴の組成例を示す。 なお、これに限定されるものではない。カーボンナノチューブ複合ニッケルめっき浴 硫酸ニッケル 180〜220g/l 塩化ニッケル 45〜55g/l ほう酸 35〜45g/l カーボンナノチューブ(VGCF) 2g/l 分散剤 適量 pH 4.0〜4.5 温度 50〜60℃ 電流密度 1〜2A/dm2金めっき 亜硫酸金カリウム 4〜8g/l 有機酸 100g/l 温度 25〜35℃ 電流密度 1〜2A/dm2プラチナめっき ジニトロサルファト白金(II)酸 10g/l 硫酸 pH1〜2になるよう調整 温度 50〜60℃ 電流密度 1〜2A/dm2 カーボンナノチューブの分散剤としては、陰イオン性界面活性剤を有効に用いることができる。なお、陰イオン性界面活性剤の中でも、特にドデシル硫酸ナトリウムがカーボンナノチューブの分散性に優れていた。ドデシル硫酸ナトリウムの添加量は特に限定されないが、CNTの添加量が2g/lの場合に、1×10−3%程度の少量でも有効であった。 上記めっき条件で、 A:下層めっきにカーボンナノチューブ複合ニッケルめっき、上層めっきにプラチナめっき、 B:下層めっきにカーボンナノチューブ複合ニッケルめっき、上層めっきに金めっき の2種類の電極サンプルを作製した。 図1に電極のイメージ図を示す。 図2に電極Aの表面のSEM写真(10,000倍)を示す。 図3に電極Aの元素定性分析(EDX)図を示す 図2に示されるように、プラチナめっき皮膜中に複数のカーボンナノチューブの一部がめっき皮膜から突出するようにして取り込まれ、更にめっき皮膜から突出しているカーボンナノチューブの部位に複数のプラチナめっき粒子が付着している。これより単純なプラチナめっき表面に比較して表面積が増大していることがわかる。 図3の元素定性分析結果より電極表面にプラチナが析出していることがわかる。またニッケルが検出されていないことから、X線で検出できない位の厚み(推定1〜2μm)でプラチナがニッケル層を被覆していることがわかる。 図4に上記電極A、および比較用である市販のプラチナ電極を作用極に用いたサイクリックボルタンメトリー(CV)測定の電気化学的な信号を表す図を示す。 図5に上記電極B、および比較用である市販の金電極を作用極に用いたサイクリックボルタンメトリー測定の電気化学的な信号を表す図を示す。 なお、サイクリックボルタンメトリー測定の条件は次のとおり。 使用溶液:リン酸溶液(pH6.8) (リン酸溶液:0.5Mリン酸二水素カリウム+0.5Mリン酸二水素ナトリウム) 参照極:銀/塩化銀 対照極:プラチナ(スプリングタイプ) なお、作用極に用いた上記電極A、B、市販プラチナ、市販金は、見かけ上の表面積を同じにするために同一の大きさに形成した。 図4〜5から明らかなように、カーボンナノチーブの取り込まれている電極A、Bは市販プラチナ、金と比べより大きいピーク電流が得られている。ピーク電流の大きい方が比表面積は大きい。 上記電極A、Bを用いたバイオセンサーを作製し、市販のプエチナ、金電極を用いて作製したバイオセンサーとで性能の比較を行なった。 バイオセンサーの作製方法。 GOD(グルコースオキシターゼ160U/mg)をpH7.8の0.05Mリン酸緩衝液に溶解し、0.52U/μLの酵素溶液を調整し、これに同量のAWP(光硬化性樹脂)を添加し酵素固定化溶液とした。この溶液10μLを電極上に滴下し40℃で乾燥後、UVを5分照射(6W)して樹脂を硬化し酵素を固定化した。その後、蒸留水で洗浄してグルコースセンサーを作製した。 pH7.8、0.1Mリン酸緩衝液10mLにグルコースセンサー、白金線(対極)、Ag/AgCl電極(参照極)を浸漬、攪拌しながら0.9Vの電圧を印加して、ここに100mMのグルコース溶液を100μL滴下し、その応答電流を計測した。 図6に電極A、および市販プラチナ電極を用いて作製したバイオセンサーの電気化学的な信号を表す図を示す。 図7に電極B、および市販金電極を用いて作製したバイオセンサーの電気化学的な信号を表す図を示す。 図6〜7が示すように市販のプラチナ、金電極を用いたバイオセンサーより電極A、Bを用いたバイオセンサーの方が、よりシャープな電気信号と正確な再現性を示す。 電極A、Bおよび市販のプラチナ、金電極を用いたバイオセンサーの測定におけるグルコース濃度と応答電流(μA)の関係を比較した。 図8に電極A、および市販プラチナ電極を用いて作製したバイオセンサーにおけるグルコース濃度と応答電流の関係性を示す。 図9に電極B、および市販金電極を用いて作製したバイオセンサーにおけるグルコース濃度と応答電流の関係性を示す。 図8〜図9が示すように市販のプラチナ、金電極を用いたバイオセンサーよりも電極A、Bを用いたバイオセンサーの方が、図中のゼロ濃度から高濃度にわたり、より相関性の取れた直線を得ている。またその直線の傾きから感度も上がっていることがわかる。 以上のように本実施の形態におけるカーボンナノチューブ複合ニッケルめっきを下層めっきとし、上層めっきに金、プラチナ等の貴金属を有する複合多層めっきを用いた電極はバイオセンサーに代表されるセンサー類として反応性、再現性、また高感度性と非常に適した材料である。 カーボンナノチューブとニッケルめっきとの複合めっき体(下層めっき部)、その上に単体の金、プラチナ等貴金属めっきおよび複数の貴金属めっきの組み合わせによる(上層めっき部)、2層および2層以上で構成される構造体。 カーボンナノチューブを複合めっきで構成するセンサー。 めっき面より飛び出たカーボンナノチューブ自身にもめっき粒子がコブ状に電着して通常のめっき面より表面積を増大させている構造体。 硫酸ニッケルと塩化ニッケルを主体とする光沢剤を含まない凹凸のある複合めっき用(下層めっき用)ニッケルめっき浴。 カーボンナノチューブを複合するめっき皮膜で金、プラチナ等の貴金属を5μm以下にする方法。 下層めっきと上層めっきの合計数が2層以上とする多層めっき。 【課題】貴金属の使用量を低減させることができるカーボンナノチューブ複合めっき体、およびカーボンナノチューブの固定度が高いセンサーを提供する。【解決手段】カーボンナノチューブを取り込んだ5μm以上の厚みのある下層ニッケルめっき皮膜に上層めっきとして金、プラチナ等、貴金属のめっきを0〜5μm施す。【選択図】図1