生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_トマト雑種HNX12860544
出願番号:2010168100
年次:2011
IPC分類:A01H 5/00,A01H 4/00,A01H 3/04,A01H 1/00,C12Q 1/68,A01G 1/00


特許情報キャッシュ

イリョン・キム JP 2011120572 公開特許公報(A) 20110623 2010168100 20100727 トマト雑種HNX12860544 セミニス・ベジタブル・シーズ・インコーポレイテツド 500195035 Seminis Vegetable Seeds,Inc. 田中 光雄 100081422 山崎 宏 100084146 冨田 憲史 100122301 志賀 美苗 100127638 中川 将之 100144923 イリョン・キム US 12/542,554 20090817 A01H 5/00 20060101AFI20110527BHJP A01H 4/00 20060101ALI20110527BHJP A01H 3/04 20060101ALI20110527BHJP A01H 1/00 20060101ALI20110527BHJP C12Q 1/68 20060101ALI20110527BHJP A01G 1/00 20060101ALI20110527BHJP JPA01H5/00 AA01H4/00A01H3/04A01H1/00 ZC12Q1/68 AA01G1/00 301ZA01G1/00 302Z 37 OL 75 2B022 2B030 4B063 2B022AA01 2B022AB15 2B030AA02 2B030AB03 2B030AD04 2B030AD05 2B030AD20 2B030CA01 2B030CA14 2B030CB02 2B030CD14 4B063QA12 4B063QQ04 4B063QQ09 4B063QQ43 4B063QR08 4B063QR32 4B063QR42 4B063QR55 4B063QR62 4B063QS25 4B063QS34 4B063QX02発明の分野 本発明は、植物育種の分野に関し、より具体的には、トマト 雑種 HNX12860544 ならびにトマト自殖系統(inbred tomato line) FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の作出に関する。発明の背景 野菜育種の目標は、様々な望ましい形質を単一の品種/雑種の中に結集させることである。かかる望ましい形質は、生産者および/または消費者が有益であると考えるあらゆる形質を含み得、より大きな収量、昆虫または病害に対する抵抗性、環境ストレスに対する耐性、および栄養価が挙げられる。 育種技術は、植物の受粉方法を利用する。2つの一般的な受粉方法がある: 1つの花からの花粉が同じ植物もしくは植物品種の同じまたは別の花へ移動すると、植物は自家受粉する。花粉が異なる植物品種の花からのものであれば、植物は他家受粉する。 何世代にもわたって自家受粉およびタイプによる選抜をされた植物は、ほとんど全ての遺伝子座においてホモ接合性となり、真の育種後代であるホモ接合性植物の均一な集団をもたらす。遺伝子型の異なる2つのホモ接合性植物間の交雑は、多くの遺伝子座についてヘテロ接合性である雑種植物の均一な集団をもたらす。逆に、各々が多数の遺伝子座においてヘテロ接合性である2つの植物の交雑は、遺伝的に異なり、均一でない雑種植物の集団をもたらす。得られる非均一性は、能力を予測不可能なものにする。 均一な品種の作出には、ホモ接合性自殖植物の作出、これら自殖植物の交雑、および交雑の評価が必要である。系統育種および循環選抜は、育種集団から自殖植物を作出するために用いられてきた育種法の例である。それらの育種法は、2以上の植物または様々な他の広範囲の源からの遺伝的背景を、新たな系統および雑種が由来し、そこから自殖および望ましい表現型の選抜によって作出される育種プールへと結集させる。新たな系統および雑種は、それらのうちいずれが商業的な可能性を持っているかを決定するために評価される。本発明の要約 一つの側面において、本発明は、HNX12860544 と命名した雑種、トマト系統 FIR 128-1032 またはトマト系統 FIR 128-1037 のトマト植物を提供する。かかる植物の全ての生理学的および形態学的特徴を有するトマト植物も提供される。これらトマト植物の部分もまた提供され、例えば、花粉、胚珠、接ぎ穂(scion)、台木、果実、および植物の細胞が挙げられる。 本発明の別の側面において、付加された遺伝形質を包含するトマト雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の植物が提供される。遺伝形質は、遺伝子座、すなわち、例えば、優性または劣性の対立遺伝子(allele)を含み得る。本発明の一つの態様において、トマト雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の植物は、単一遺伝子座変換(single locus conversion)を含むものとして定義される。本発明の特定の態様において、付加された遺伝子座は、1以上の形質、例えば、除草剤耐性、昆虫抵抗性、病害抵抗性、および改変された炭水化物代謝をもたらす。さらなる態様において、形質は、戻し交雑によって系統のゲノム中に導入される天然の遺伝子、天然のまたは誘導された突然変異、または遺伝的形質転換技術を介して植物もしくはそのあらゆる前の世代の祖先(progenitor)へ導入される導入遺伝子によってもたらされ得る。形質転換を介して導入される場合、遺伝子座は、染色体上の単一の位置に組み込まれた1以上の遺伝子を含み得る。 本発明はまた、トマト雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の種子に関する。本発明のトマト種子は、一つの態様において、トマト雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 のトマト種子の本質的に均質な集団として提供され得る。種子の本質的に均質な集団は、通常、実質的な数の他の種子を含まない。したがって、雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の種子は、特定の態様において、全種子の少なくとも約 97% を形成するものとして定義することができ、種子の少なくとも約 98%、99% またはそれ以上であってもよい。種子集団は、HNX12860544 と命名したトマト植物および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の本質的に均質な集団を提供するために、別々に生育させることができる。 本発明のさらに別の側面において、雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 のトマト植物の、再生可能な細胞(regenerable cell)の組織培養物が提供される。組織培養物は、好ましくは、出発植物の生理学的および形態学的特徴の全てを発現することができるトマト植物を再生することができ、出発植物と実質的に同じ遺伝子型を有する植物を再生することができる。雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の生理学的および形態学的特徴のいくつかの例としては、本明細書の表において示される形質が挙げられる。かかる組織培養物における再生可能な細胞は、例えば、胚、成長点、子葉、花粉、葉、葯、根、根端、雌ずい、花、種子および茎由来のものであり得る。さらに、本発明は、本発明の組織培養物から再生され、雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の全ての生理学的および形態学的特徴を有するトマト植物を提供する。 本発明のさらに別の側面において、トマト種子、植物体および果実を生産する方法であって、通常、第一の親トマト植物を第二の親トマト植物と交雑させることを含み、第一のまたは第二の親トマト植物の少なくとも一方がトマト系統 FIR 128-1032 またはトマト系統 FIR 128-1037 の植物である方法が提供される。これらの方法は、雑種トマト種子または植物体を生産するための方法であって、親の一方としてトマト系統 FIR 128-1032 またはトマト系統 FIR 128-1037 の植物を有する雑種を提供するために、第一のトマト植物を異なる別の遺伝子型の第二のトマト植物と交雑させる方法としてさらに例証され得る。これらの方法において、交雑は、種子の生産をもたらす。種子生産は、種子が採取されるか否かに関わらず、生じる。 本発明の一つの態様において、“交雑”における最初の工程は、受粉が例えば媒介昆虫によって媒介されて起こるよう、しばしば近接して、第一のおよび第二の親トマト植物の種子を播くことを含む。あるいは、花粉を手作業で移動させることもできる。植物が自家受粉する場合、受粉は、植物の栽培以外に直接的な人間の介入を必要とすることなく起こり得る。 第二の工程は、第一のおよび第二の親トマト植物の種子を、花をつける植物にまで栽培することまたは生育させることを含み得る。第三の工程は、植物の自家受粉を、例えば花を除雄すること(即ち、花粉を殺すことまたは除去すること)によって、防止することを含み得る。 雑種交雑のための第四の工程は、第一のおよび第二の親トマト植物の間の他家受粉を含み得る。さらに別の工程は、親トマト植物の少なくとも一方からの種子を回収することを含む。回収された種子は、トマト植物または雑種トマト植物を生産するために生育させることができる。 本発明はまた、第一の親トマト植物を第二の親トマト植物と交雑させることを含む方法であって、該第一のまたは第二の親トマト植物の少なくとも一方がトマト雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の植物である方法によって生産されるトマト種子および植物体を提供する。本発明の一つの態様において、当該方法によって生産されるトマト種子および植物体は、植物を、本発明によって別の異なる植物と交雑させることによって生産される一代(F1)雑種のトマト種子および植物体である。本発明はさらに、かかる F1 雑種トマト植物の植物体の部分、およびその使用方法を考慮する。したがって、本発明のある代表的な態様は、F1 雑種トマト植物およびその種子を提供する。 さらに別の側面において、本発明は、雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 に由来する植物を生産する方法であって、以下の工程を含む方法を提供する: (a) 雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の植物を第二の植物と交雑することを含む、雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 に由来する後代植物を作出する工程; および (b) 該後代植物をそれ自身または第二の植物と交雑させて、次の世代の後代植物の種子を生産する工程。さらなる態様において、該方法は以下の工程をさらに含み得る: (c) 前記次の世代の後代植物の種子から該次の世代の後代植物を生育させ、該次の世代の後代植物をそれ自身または第二の植物と交雑させる工程; および、該工程をさらに 3-10 世代の間繰り返して、雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 に由来する植物を生産する工程。雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 に由来する植物は、自殖系統(inbred line)であり得、上記の繰り返される交雑の工程は、自殖系統を作出するのに十分な自殖を含むものとして定義することができる。該方法において、工程(c)から得られた特定の植物を、工程(b)および(c)による連続的交雑のために選抜することが望まれる。1以上の望ましい形質を有する植物を選抜することによって、該系統/雑種の望ましい形質の幾つかおよび他の潜在的に選択された形質を有する、雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 に由来する植物が得られる。 特定の態様において、本発明は、以下の工程を含む1または複数の食物を生産する方法を提供する: (a) 成熟するまで栽培されたトマト雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の植物を得る工程、および (b) 該植物からトマトを採取する工程。 本発明のさらに別の側面において、トマト雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の遺伝的相補体(genetic complement)が提供される。“遺伝的相補体”との表現は、その発現が、本願においてはトマト植物、またはその植物の細胞もしくは組織の表現型を定義する、ヌクレオチド配列の集合物(aggregate)をいうために用いられる。したがって、遺伝的相補体は、細胞、組織または植物体の遺伝的構成(genetic makeup)を表し、雑種の遺伝的相補体は、雑種の細胞、組織または植物体の遺伝的構成を表す。したがって、本発明は、本明細書に開示されるトマト植物細胞に一致する遺伝的相補体を有するトマト植物細胞、ならびにかかる細胞を含む種子および植物体を提供する。 植物の遺伝的相補体は、遺伝的マーカープロファイルによって、および該遺伝的相補体の発現の特徴である表現型形質の発現、例えばアイソザイム分類プロファイルによって、評価し得る。雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 は、多くの周知技術、例えば、単純配列長多型(SSLP) (Williams et al.、1990)、ランダム増幅多型DNA(RAPD)、DNA 増幅フィンガープリンティング(DAF)、配列特性化増幅領域(Sequence Characterized Amplified Region)(SCAR)、任意プライムポリメラーゼ連鎖反応(Arbitrary Primed Polymerase Chain Reaction)(AP-PCR)、増幅断片長多型(AFLP)(EP 534 858、特に、引用により全体が本明細書に取り込まれる)、および一塩基多型(SNP)(Wang et al.、1998)のいずれかによって同定し得ることが理解される。 さらに別の側面において、本発明は、本発明のトマト植物の半数体の遺伝的相補体と、第二のトマト植物、好ましくは別の異なるトマト植物の半数体の遺伝的相補体との組み合わせによって形成され、トマト植物の細胞、組織、植物体および種子によって表される、雑種の遺伝的相補体を提供する。別の側面において、本発明は、本発明の雑種の遺伝的相補体を含む組織培養物から再生されたトマト植物を提供する。 さらに別の側面において、本発明は、トマト黄化葉巻ウイルスに対する抵抗性を有し、無色の表皮を有し、緑色の果肩部(green shoulders on the fruit)を有し、食味が良く、円から扁円(round to flattened-round)の果形を有し、1房あたり 4 から 6 の花を有し、果実あたり6を超える子室(locule)を有する桃色トマト F1 雑種を含む形質の組み合わせを示す雑種トマトの植物を提供する。特定の態様において、形質の組み合わせは、トマト雑種 HNX12860544 において見出される形質の組み合わせの発現のための遺伝的手段によって制御されるものとして定義し得る。 さらに別の側面において、本発明は、植物のゲノム中において少なくとも一の多型を検出することを含む、トマト雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の植物の遺伝子型を決定する方法を提供する。該方法は、特定の態様において、植物のゲノム中において複数の多型を検出することを含み得る。該方法は、複数の多型を検出する工程の結果をコンピューター読み取り可能な媒体に保存することをさらに含み得る。本発明はさらに、かかる方法によって作成されるコンピューター読み取り可能な媒体を提供する。 本発明の一つの側面について本明細書中で議論されるいかなる態様も、特に断りのない限り、本発明の他の側面にも適用される。 “約”との用語は、値が、その値を決定するのに用いられる装置または方法に関して平均値の標準偏差を含むことを示すために用いられる。特許請求の範囲における“または”との用語は、選択肢(alternative)のみを言うかまたは選択肢が相互に排他的であることを特に断らない限り、“および/または”を意味するために用いられる。特許請求の範囲において、“含む”との単語または他の開放的用語(open language)と共に用いられる場合、“ある”および“ひとつの”との語は、特に断りのない限り“1以上の”を意味する。“含む”、“有する”および“包含する(include)”との用語は、制約のない連結動詞である。これらの動詞の1以上のあらゆる形または時制、例えば“含む”、“含んでいる”、“有する”、“有している”、“包含する”および“包含している”もまた、制約がない。例えば、1以上の工程を“含む”、“有する”または“包含する”いかなる方法も、それら1以上の工程のみを有するものには制限されず、記載されていない他の工程をも含む。同様に、1以上の形質を“含む”、“有する”または“包含する”いかなる植物も、それら1以上の形質のみを有するものには制限されず、記載されていない他の形質をも含む。 本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、本発明の精神および範囲内における様々な変更および修正が、かかる詳細な説明から当業者にとって明らかとなるため、詳細な説明および本発明の特定の態様を示すいかなる特定の実施例も、説明のみを目的として提供されることが理解されるべきである。本発明の詳細な説明 本発明は、トマト雑種 HNX12860544、トマト系統 FIR 128-1032 およびトマト系統 FIR 128-1037 の植物体、種子および派生物(derivative)に関する方法および組成物を提供する。雑種 HNX12860544 は、親系統 FIR 128-1032 と FIR 128-1037 との交雑によって作出される。親系統は、環境の影響の制限内で均一性および安定性を示す。親系統を交雑することによって、均一な種子である雑種 HNX12860544 を得ることができる。 トマト雑種 HNX12860544 およびその親系統の作出は、以下のように要約することができる。A. トマト雑種 HNX12860544 の起源および育種過程 雑種 HNX12860544 の親は、FIR 128-1032 および FIR 128-1037 である。これら親は、以下の通りに作出された: 親系統は均一かつ安定であり、そこから得られる雑種も同様である。繰り返される繁殖(multiplication)の過程において、ほぼあらゆる特徴に関して商業的に許容される限界内に生じうる品種のパーセントは少ない。しかし、どの品種も予測されない。B. トマト雑種 HNX12860544、トマト系統 FIR 128-1032 およびトマト系統 FIR 128-1037 の生理学的および形態学的特徴 本発明の一つの側面により、トマト雑種 HNX12860544 およびその親系統の生理学的および形態学的特徴を有する植物が提供される。かかる植物の生理学的および形態学的特徴についての説明を、表 1 から 3 に示す。C. トマト植物の育種 本発明の一つの側面は、トマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 を交雑することを含む、トマト雑種 HNX12860544 の種子を生産する方法に関する。あるいは、本発明の他の態様において、雑種 HNX12860544、系統 FIR 128-1032 または系統 FIR 128-1037 は、それ自身と、またはあらゆる第二の植物と交雑し得る。かかる方法は、雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の増殖のために用いることができ、または雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 に由来する植物を作出するために用いることができる。雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 に由来する植物は、特定の態様において、新規なトマト品種の開発のために用いることができる。 1以上の出発品種を用いる新品種の開発は、当該技術分野において周知である。本発明によれば、雑種 HNX12860544 の交雑とその後のかかる周知の方法による複数世代の育種によって新規な品種を作出することができる。新規な品種は、いずれかの第二の植物と交雑することによって作出し得る。新規な系統を開発する目的で交雑するかかる第二の植物を選択する際、それ自身が1以上の選択された望ましい特徴を示すか、または雑種組合せにおいて望ましい特徴を示す植物を選択することが望まれ得る。最初の交雑を行った後は、新規な品種を作出するために自殖および選抜を行う。均一な系統を開発するため、多くの場合、5世代以上の自殖および選抜を行う。 新規な品種の均一な系統は、倍化半数体(double-haploid)の方法によっても開発することができる。この技術は、複数世代の自殖および選抜を必要とすることなく、真の純系(true breeding line)の作出を可能にする。この方法では、真の純系をたった1世代で作出することができる。半数体の胚は、小胞子、花粉、葯培養または子房培養から生産することができる。次いで、半数体の胚は、自発的にまたは化学的処理(例えばコルヒチン処理)によって、倍加させ得る。あるいは、半数体の胚は、半数体の植物へと成長させ、染色体倍加を誘導するための処理をすることができる。いずれの場合においても、稔性のホモ接合性植物が得られる。本発明に従い、ホモ接合性系統を得るために、本発明の植物およびその後代に関連してかかるあらゆる技術を用い得る。 戻し交雑も、自殖系(inbred)植物を改良するために用いることができる。戻し交雑は、特定の望ましい形質を、ある自殖系または非自殖系の源(source)から、その形質を欠いている自殖系の源へと導入する。これは、例えば、特定の自殖系(A)(反復親)を、問題とする形質に関する1または複数の適切な遺伝子座を有するドナー自殖系(非反復親)へ最初に交雑することによって達成することができる。次いで、この交雑の後代は、当該優れた反復親(A)へ戻し交雑され、その後、得られた後代において、該非反復親から導入されるべき所望の形質について選抜を行う。該所望の形質についての選抜を伴う5世代以上の戻し交雑の後、後代は、当該導入された特徴を有するが、ほとんど又はほぼ全ての他の遺伝子座については該優れた親と同じである。最後の戻し交雑世代は、当該導入された形質について純粋な育種後代をもたらすために自殖される。 本発明の植物は、植物の遺伝的背景の優れた性質に基づいた新規な系統の開発に特に良く適合する。新規なトマト系統を開発する目的で HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 と交雑する第二の植物を選択する際、典型的には、それ自身が1以上の選択された望ましい特徴を示すか、または雑種組合せにおいて望ましい特徴を示す植物を選択することが好ましい。望ましい形質の例としては、特定の態様において、高い種子収量、高い種子発芽、実生の活力(seedling vigor)、高い果実収量、病害耐性または抵抗性、ならびに土壌および気候条件への適応性が挙げられる。消費者主導の(consumer-driven)形質、例えば果実の形、色、質感(texture)および食味は、本発明によって開発されるトマト植物の新規な系統へ取り込まれ得る形質の他の例である。D. 能力的(Performance)特徴 上記の通り、雑種 HNX12860544 は望ましい農業形質を示す。HNX12860544 の能力的特徴は、他の品種と比較した能力的形質の客観的解析の対象であった。該解析の結果を以下に示す。E. 本発明のさらなる態様 本発明の特定の側面において、少なくとも第一の所望の遺伝形質を含むよう改変された本明細書に記載の植物が提供される。かかる植物は、一つの態様において、戻し交雑と呼ばれる植物育種技術によって開発することができ、戻し交雑技術を介して、植物に導入される遺伝子座に加えて品種の本質的に全ての形態学的および生理学的特徴が回復される。本明細書において用いる、単一遺伝子座変換(single locus converted)植物との用語は、戻し交雑と呼ばれる植物育種技術によって開発され、戻し交雑技術を介して、品種へ導入される該単一遺伝子座に加えて該品種の本質的に全ての形態学的および生理学的特徴が回復されているトマト植物をいう。本質的に全ての形態学的および生理学的特徴とは、同じ環境において比較した場合に、戻し交雑または導入遺伝子の直接導入の間に生じる可能性のある偶然の変異形質以外に存在する植物の特徴が回復されることを意味する。 戻し交雑法は、現存する品種を改良するため、または現存する品種に特徴を導入するために、本発明と共に用いることができる。所望の特徴に関する遺伝子座を提供する親トマト植物は、非反復親またはドナー親と呼ばれる。この用語は、非反復親が戻し交雑手順において一度用いられ、繰り返されないことを意味する。非反復親からの1または複数の遺伝子座が導入される親トマト植物は、それが戻し交雑手順において数巡の間用いられるため、反復親として知られる。 典型的な戻し交雑手順においては、興味の対象である元の品種(反復親)を、興味の対象である導入されるべき単一の遺伝子座を保有する第二の品種(非反復親)と交雑させる。この交雑から得られる後代を、その後再び反復親と交雑させ、非反復親から導入された単一の遺伝子座に加えて反復親の本質的に全ての形態学的および生理学的特徴が回復しているトマト植物が得られるまで、該過程を繰り返す。 適切な反復親の選択は、戻し交雑手順を成功させるために重要な工程である。戻し交雑手順の目的は、元の品種における単一の形質または特徴を変更または置換することである。これを達成するために、反復品種の単一の遺伝子座は非反復親からの所望の遺伝子座によって改変または置換される一方、残りの所望の遺伝的構成の本質的に全てを維持し、その結果、元の品種の所望の生理学的および形態学的構成を維持する。特定の非反復親の選択は、戻し交雑の目的に依存する; 主な目的の一つは、いくつかの商業上望ましい形質を植物に付加することである。的確な戻し交雑手順は、変更される特徴または形質および反復親と非反復親との間の遺伝的距離に依存する。導入される特徴が優性の対立遺伝子である場合には戻し交雑方法は単純化されるが、劣性の対立遺伝子または相加的(additive)対立遺伝子(劣性と優性の間)も導入することができる。この場合、所望の特徴がうまく導入されたかどうかを決定するために、後代の試験を導入することが必要となり得る。 一つの態様において、本明細書に記載の植物が反復親である戻し交雑の後代トマト植物は、同じ環境条件において生育させた場合に 5% の有意性レベルで決定される、(i)非反復親からの所望の形質ならびに(ii)反復親のトマトの全ての生理学的および形態学的特徴を含む。 新規な品種は、2つより多い親から開発することもできる。改変戻し交雑(modified backcrossing)として知られる技術は、戻し交雑の間に異なる反復親を用いる。改変戻し交雑は、元の反復親を特定のより望ましい特徴を有する品種によって置換するために用いることができ、あるいは、それぞれから様々な望ましい特徴を得るために複数の親を用いることができる。 新規な自殖系の開発において普通には選択されないが戻し交雑技術によって改良し得る多くの単一遺伝子座形質が同定されている。単一遺伝子座形質は、遺伝子組換えであってもよく、そうでなくてもよい; これら形質の例としては、これらに限定されないが、除草剤抵抗性、細菌性、真菌性またはウイルス性病害に対する抵抗性、昆虫抵抗性、改変された脂肪酸または炭水化物代謝、変更された栄養価が挙げられる。これらは、通常核を介して遺伝する遺伝子を含む。 単一遺伝子座が優性形質として振る舞う場合、直接選抜(direct selection)を適用し得る。この選抜過程に関して、最初の交雑の後代は、戻し交雑の前にウイルス抵抗性および/または対応する遺伝子の存在についてアッセイされる。選抜によって所望の遺伝子および抵抗性形質を有しないあらゆる植物を除外し、該形質を有する植物のみをその後の戻し交雑において用いる。その後、全てのさらなる戻し交雑世代についてこの過程を繰り返す。 育種のためのトマト植物の選抜は、必ずしも植物の表現型には依存せず、代わりに遺伝的調査に基づくことができる。例えば、対象とする形質と遺伝的に密接に連鎖している適切な遺伝的マーカーを利用することができる。これらマーカーの一つは、特定の交雑の子孫における形質の有無を同定するために用いることができ、かつ、継続される育種の間、後代の選抜において用いることができる。この技術は通常、マーカー補助選抜(marker assisted selection)と称される。植物における対象とする形質の相対的(relative)有無を同定するために用い得るいかなる他の型の遺伝的マーカーまたは他のアッセイも、育種目的にとって有用であり得る。マーカー補助選抜の手順は当該技術分野において周知である。かかる方法は、劣性形質および変化する表現型の場合、あるいは常套のアッセイがより高価であるか、時間を要するかまたは他の不都合がありうる場合に、特に有用である。本発明に従って用いることができる遺伝的マーカーの型としては、必ずしもこれらに限定されないが、単純配列長多型(SSLP)(Williams et al.、1990)、ランダム増幅多型 DNA(RAPD)、DNA 増幅フィンガープリンティング(DNA Amplification Fingerprinting)(DAF)、配列特性化増幅領域(Sequence Characterized Amplified Region)(SCAR)、任意プライムポリメラーゼ連鎖反応(Arbitrary Primed Polymerase Chain Reaction)(AP-PCR)、増幅断片長多型(AFLP)( 引用により全体が本明細書に具体的に取り込まれる EP 534858)、および一塩基多型(SNP)(Wang et al.、1998)が挙げられる。F. 遺伝子工学によって得られる植物 戻し交雑によっても、直接的にも植物へ導入することができる多くの有用な形質は、遺伝的形質転換技術によって導入される形質である。そのため、遺伝的形質転換は選択された導入遺伝子を本発明の植物へ挿入するために用いることができ、あるいは、戻し交雑によって導入し得る導入遺伝子の調製のために用いることもできる。当業者に周知であり、多くの作物種に適用できる植物の形質転換法としては、これらに限定されないが、エレクトロポレーション、微粒子銃、アグロバクテリウム媒介(Agrobacterium-mediated)形質転換およびプロトプラストによる直接 DNA 取込みが挙げられる。 エレクトロポレーションによって形質転換を起こすために、脆弱な組織、例えば細胞の懸濁培養または胚形成カルス(embryogenic callus)を採用することができ、あるいは未成熟な胚または他のまとまった組織(organized tissue)を直接的に形質転換することもできる。この技術においては、選択された細胞をペクチン分解酵素(ペクトリアーゼ(pectolyases))に曝露することによってその細胞壁を部分的に分解するか、または制御された様式で組織を機械的に傷つけるであろう。 形質転換する DNA セグメントを植物細胞へ送達するための効率的な方法は、微粒子銃である。この方法においては、粒子を核酸でコートし、推進力によって細胞へ送達する。代表的な粒子としては、タングステン、白金、および好ましくは金で構成されるものが挙げられる。砲撃(bombardment)のために、懸濁状態の細胞をフィルターまたは固形培地上で濃縮する。あるいは、未成熟な胚または他の標的細胞を固形培地上に準備してもよい。砲撃される細胞を、マクロキャリア停止プレート(macroprojectile stopping plate)の下に適当な距離で位置させる。 加速によって DNA を植物細胞へ送達する方法の例示的態様は、DNA または細胞でコートされた粒子を、スクリーン、例えばステンレス鋼または Nytex スクリーンを介して、標的細胞で覆われた表面の上へ推進するために用い得る Biolistics Particle Delivery System である。該スクリーンは、粒子が大きな凝集体の状態で受容細胞(recipient cell)へ送達されないよう、該粒子を分散させる。微粒子銃技術は広く応用することが可能であり、事実上あらゆる植物種を形質転換するために用いることができる。 アグロバクテリウム媒介導入は、遺伝子座を植物細胞へ導入するための広く応用できる別の系である。当該技術の利点は、植物の全組織へ DNA を導入することができ、それによってプロトプラストからインタクトな植物を再生させる必要性を回避することである。近代のアグロバクテリウム形質転換ベクターは、大腸菌(E. coli)およびアグロバクテリウムにおける複製が可能であり、簡便な操作を可能にする(Klee et al.、1985)。さらに、アグロバクテリウム媒介遺伝子導入用のベクターにおける最近の技術的進歩により、様々なポリペプチドをコードする遺伝子を発現することができるベクターの構築を促進するための該ベクター内の遺伝子および制限部位の配置が改良された。記載されるベクターは、挿入されたポリペプチドをコードする遺伝子の直接的発現のためのプロモーターおよびポリアデニル化部位に隣接する、便利なマルチリンカー(multi-linker)領域を有する。加えて、病原性(armed)および非病原性(disarmed)両方の Ti 遺伝子を保有するアグロバクテリウムを、形質転換のために用いることができる。 アグロバクテリウム媒介形質転換が効率的である植物の系統においては、遺伝子座導入の簡易かつ定義された性質のため、それは最適な方法である。DNA を植物細胞へ導入するためのアグロバクテリウム媒介植物組込みベクターの使用は、当該技術分野において周知である(Fraley et al.、1985; 米国特許第5,563,055号)。 植物プロトプラストの形質転換は、リン酸カルシウム沈殿、ポリエチレングリコール処理、エレクトロポレーション、およびこれらの処理の組合せに基づく方法を用いて達成することもできる (例えば、Potrykus et al.、1985; Omirulleh et al.、1993; Fromm et al.、1986; Uchimiya et al.、1986; Marcotte et al.、1988 を参照)。植物の形質転換および外来性遺伝因子の発現は、Choi et al. (1994) および Ellul et al. (2003) において例証されている。 多数のプロモーターが、これらに限定されないが、選択可能なマーカー、点数化可能な(scoreable)マーカー、有害生物(pest)耐性、病害抵抗性、栄養強化のための遺伝子、および農業上興味のあるあらゆる他の遺伝子を含むあらゆる対象遺伝子の植物遺伝子発現に関して有用性を有する。植物遺伝子発現に有用な構成的プロモーターの例としては、これらに限定されないが、単子葉植物(例えば、Dekeyser et al.、1990; Terada and Shimamoto、1990 を参照)を含むほとんどの植物組織(例えば、Odel et al.、1985 を参照)において構成的で高レベルの発現をもたらすカリフラワーモザイクウイルス (CaMV) P-35S プロモーター; CaMV 35S プロモーターの直列に重複したバージョンである、増強(enhanced) 35S プロモーター (P-e35S); ノパリンシンターゼプロモーター (An et al.、1988)、オクトピンシンターゼプロモーター (Fromm et al.、1989); および、米国特許第5,378,619号に記載されるゴマノハグサモザイクウイルス(P-FMV)プロモーターおよび P-FMV のプロモーター配列が直列に重複している FMV プロモーターの増強されたバージョン(P-eFMV); カリフラワーモザイクウイルス 19S プロモーター; サトウキビ桿状ウイルスプロモーター; ツユクサ黄斑ウイルス(commelina yellow mottle virus)プロモーター; および植物細胞において発現することが知られている他の植物 DNA ウイルスプロモーターが挙げられる。 環境、ホルモン、化学的、および/または発生のシグナルに応答して調節される多様な植物遺伝子プロモーターも、植物細胞における操作可能に連結した遺伝子の発現のために用いることができ、例としては (1) 熱 (Callis et al.、1988)、(2) 光 (例えば、エンドウマメ rbcS-3A プロモーター、Kuhlemeier et al.、1989; トウモロコシ rbcS プロモーター、Schaffner and Sheen、1991; または クロロフィル a/b 結合タンパク質プロモーター、Simpson et al.、1985)、(3) ホルモン、例えばアブシジン酸 (Marcotte et al.、1989)、(4) 傷 (例えば、wunl、Siebertz et al.、1989); または (5) 化学物質、例えばジャスモン酸メチル、サリチル酸、またはセーフナー(Safener)によって調節されるプロモーターが挙げられる。器官特異的プロモーター(例えば、Roshal et al.、1987; Schernthaner et al.、1988; Bustos et al.、1989)を採用することも有利であり得る。 本発明の植物へ導入し得る代表的な核酸としては、例えば、別の種からの DNA 配列または遺伝子、または同じ種に由来するかもしくは同じ種の中に存在するが、伝統的な繁殖または育種技術ではなく遺伝子操作法によって受容細胞へ取り込まれる遺伝子または配列が挙げられる。しかし、“外来性”の用語は、形質転換される細胞に通常は存在しない遺伝子、またはおそらく単に形質転換する DNA セグメントもしくは遺伝子において見出されるのと同じ形や構造等において存在しない遺伝子、または通常存在し、天然の発現パターンとは異なる様式で発現させること、例えば、過剰発現させることを望む遺伝子をも意味する。したがって、“外来性”遺伝子または DNA との用語は、同様の遺伝子が受容細胞中に既に存在しているかどうかに関わらず、受容細胞に導入されるあらゆる遺伝子または DNA セグメントを意味する。外来性 DNA に含まれる DNA の型には、植物細胞に既に存在している DNA、別の植物からの DNA、異なる生物からの DNA、または外部で生成された DNA、例えば遺伝子のアンチセンスメッセージ(antisense message)を有する DNA 配列または遺伝子の合成もしくは改変されたバージョンをコードする DNA 配列が含まれ得る。 数千とは言わないまでも数百の異なる遺伝子が知られており、これらは潜在的に本発明のトマト植物へ導入することができるであろう。トマト植物へ導入するために選択し得る特定の遺伝子および対応する表現型の非限定的な例としては、昆虫耐性のための1以上の遺伝子、例えばバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(B.t.)遺伝子、有害生物耐性、例えば真菌性病害制御のための遺伝子、除草剤耐性、例えばグリホサート耐性をもたらす遺伝子、および質の改良、例えば収量、栄養強化、環境またはストレス耐性、または植物の生理、生育、発達、形態または植物の生産物におけるあらゆる望ましい変化のための遺伝子が挙げられる。例えば、構造遺伝子には、これらに限定されないが、引用により全体が本明細書に取り込まれる WO 99/31248、引用により全体が本明細書に取り込まれる米国特許第5,689,052号、引用により全体が本明細書に取り込まれる米国特許第5,500,365号および第5,880,275号に記載される Bacillus 昆虫制御タンパク質遺伝子を含む、昆虫耐性をもたらすあらゆる遺伝子が包含される。別の態様において、構造遺伝子は、これらに限定されないが、引用により全体が本明細書に取り込まれる米国特許第5,633,435号に記載される Agrobacterium CP4 株のグリホサート抵抗性 EPSPS 遺伝子 (aroA:CP4)、または引用により全体が本明細書に取り込まれる米国特許第5,463,175号に記載されるグリホサート酸化還元酵素遺伝子(GOX)を含む遺伝子によってもたらされる、除草剤グリホサートに対する耐性をもたらすことができる。 あるいは、DNA をコードする配列は、内在性遺伝子の発現の標的化された抑制を引き起こす非翻訳(non-translatable) RNA 分子をコードすることによって、例えばアンチセンスまたはコサプレッションに媒介されるメカニズムを介して、これらの表現型に影響を及ぼすことができる (例えば、Bird et al.、1991 を参照)。RNA は、所望の内在性 mRNA 産物を切断するよう操作された触媒性 RNA 分子(即ち、リボザイム)であってもよい(例えば、Gibson and Shillito、1997 を参照)。したがって、興味のある表現型または形態の変化をもたらすタンパク質または mRNA を生産するあらゆる遺伝子が、本発明の実行のために有用である。G. 定義 本明細書中の説明および表において、多くの用語が用いられる。明細書および特許請求の範囲の明確かつ一貫した理解を提供するために、以下の定義を提供する: 対立遺伝子: 遺伝子座の1以上の代替形態のいずれかであり、その対立遺伝子のすべてが1つの形質または特徴に関連する。二倍体の細胞または生物においては、所与の遺伝子の2つの対立遺伝子が1対の相同な染色体上の対応する遺伝子座を占める。 戻し交雑: 育種家が、雑種後代、例えば一代雑種(F1)を、該雑種後代の親の一方と繰り返し交雑する過程。戻し交雑は、1つの遺伝的背景からの1以上の単一遺伝子座変換を他の遺伝的背景の中へ導入するために用いることができる。 交雑: 2つの親植物を交配すること。 他家受粉: 異なる植物からの2つの配偶子の結合による受精。 二倍体: 2セットの染色体を有する細胞または生物。 除雄(Emasculate): 植物の雄性器官を除去すること、または細胞質もしくは核の遺伝因子または雄性不稔をもたらす化学物質を用いて該器官を不活化すること。 酵素: 生物学的反応において触媒として働く分子。 F1 雑種: 2つの非同質遺伝子(nonisogenic)植物の交雑の第一世代の後代。 遺伝子型: 細胞または生物の遺伝的構成。 半数体: 二倍体における2セットの染色体のうちの1セットを有する細胞または生物。 連鎖: 同じ染色体上の対立遺伝子が、それらの伝達が独立である場合に偶然によって期待されるよりも頻繁に、一緒に分離する傾向にある現象。 マーカー: 環境分散の要素が全く無い、即ち遺伝率が1である、容易に検出できる表現型であり、好ましくは共優性の様式で遺伝する(二倍体ヘテロ接合体における遺伝子座の両方の対立遺伝子が容易に検出できる)もの。 表現型: 遺伝子発現の現れである、細胞または生物の検出可能な特徴。 量的形質遺伝子座(QTL): 量的形質遺伝子座(QTL)とは、通常連続的に分布する数的に表すことができる形質をある程度制御する遺伝子座をいう。 抵抗性: 本明細書において、“抵抗性”および“耐性”の用語は、特定の有害生物、病原体、非生物的影響または環境条件に対して症状を示さない植物を説明するために互換的に用いられる。これらの用語は、いくらか症状を示すが、市場性のある生産物を許容可能な収量で生産することができる植物を説明するためにも用いられる。抵抗性または耐性と称される植物には、単に、該植物の発育が阻止され収量が現象しても、依然として作物を生産し得るという意味のものも存在する。 再生: 組織培養物からの植物の発生。 自家受粉: 同じ植物の葯から柱頭への花粉の移動。 単一遺伝子座変換植物: 戻し交雑と呼ばれる植物育種技術によって作出され、戻し交雑技術を介しておよび/または遺伝的形質転換によって品種へ導入される該単一遺伝子座の特徴に加えて、該トマト品種の本質的に全ての形態学的および生理学的特徴が回復している植物。 実質的に等価: 比較した場合に、平均から統計学的に有意な差異(例えば、p = 0.05)を示さない特徴。 組織培養物: 同一のもしくは異なる型の単離された細胞または植物体の部分へと組織化されたかかる細胞の集合を含む組成物。 導入遺伝子: 形質転換によってトマト植物のゲノム中へ導入された配列を含む遺伝子座。H. 寄託情報 上記のおよび特許請求の範囲に記載するトマト雑種 HNX12860544 および自殖親系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の寄託は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection (ATCC)、10801 University Blvd.、Manassas、VA 20110-2209)に行った。該寄託は、2009年3月31日に行った。トマト雑種 HNX12860544 および自殖親系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の寄託された種子の受入番号は、それぞれ ATCC 受入番号 PTA-9929、ATCC 受入番号 PTA-9930 および ATCC 受入番号 PTA-9931 である。特許が付与されれば、該寄託についての全ての制限は解除され、該寄託は 37 C.F.R. §1.801-1.809 の全ての要件を満たすよう意図される。該寄託は、30 年の期間、または最後の請求の後 5 年間、または特許の有効期間のいずれか長い期間の間、寄託機関において維持され、その期間中において必要であれば交換される。 前述の発明は、明確化および理解のため、例証および実施例によってある程度詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によってのみ制限され、本発明の範囲内においていくらかの変更および修正が行われ得ることは自明である。 本明細書において引用した全ての参考文献は、引用によって明確に本明細書に取り込まれる。参考文献 以下の参考文献は、代表的な手順または本明細書に示す手順に対して補足的な他の詳細を提供する程度において、引用によって具体的に本明細書に取り込まれる:米国特許第5,378,619号米国特許第5,463,175号米国特許第5,500,365号米国特許第5,563,055号米国特許第5,633,435号米国特許第5,689,052号米国特許第5,880,275号An et al., Plant Physiol., 88:547, 1988.Bird et al., Biotech. Gen. Engin. Rev., 9:207, 1991.Bustos et al., Plant Cell, 1:839, 1989.Callis et al., Plant Physiol., 88:965, 1988.Choi et al., Plant Cell Rep., 13: 344-348, 1994.Dekeyser et al., Plant Cell, 2:591, 1990.Ellul et al., Theor. Appl. Genet., 107:462-469, 2003.EP 534 858Fraley et al., Bio/Technology, 3:629-635, 1985.Fromm et al., Nature, 312:791-793, 1986.Fromm et al., Plant Cell, 1:977, 1989.Gibson and Shillito, Mol. Biotech., 7:125,1997Klee et al., Bio-Technology, 3(7):637-642, 1985.Kuhlemeier et al., Plant Cell, 1:471, 1989.Marcotte et al., Nature, 335:454, 1988.Marcotte et al., Plant Cell, 1:969, 1989.Odel et al., Nature, 313:810, 1985. Omirulleh et al., Plant Mol. Biol., 21(3):415-428, 1993.Potrykus et al., Mol. Gen. Genet., 199:183-188, 1985.Roshal et al., EMBO J., 6:1155, 1987.Schaffner and Sheen, Plant Cell, 3:997, 1991.Schernthaner et al., EMBO J., 7:1249, 1988.Siebertz et al., Plant Cell, 1:961, 1989.Simpson et al., EMBO J., 4:2723, 1985.Terada and Shimamoto, Mol. Gen. Genet., 220:389, 1990.Uchimiya et al., Mol. Gen. Genet., 204:204, 1986.Wang et al., Science, 280:1077-1082, 1998.Williams et al., Nucleic Acids Res., 1 8:6531 6535, 1990.WO 99/31248 その種子のサンプルがそれぞれ ATCC 受入番号 PTA-9930 および ATCC 受入番号 PTA-9931 の下に寄託されているトマト系統 FIR 128-1032 またはトマト系統 FIR 128-1037 の少なくとも第一のセットの染色体を含むトマト植物。 その種子のサンプルがそれぞれ ATCC 受入番号 PTA-9930 および ATCC 受入番号 PTA-9931 の下に寄託されているトマト系統 FIR 128-1032 またはトマト系統 FIR 128-1037 の少なくとも第一のセットの染色体を含む種子。 自殖系統である、請求項1の植物。 雑種である、請求項1の植物。 雑種植物が、その種子のサンプルが ATCC 受入番号 PTA-9929 の下に寄託されているトマト雑種 HNX12860544 である、請求項4の植物。 植物が、系統 FIR 128-1032 または系統 FIR 128-1037 の植物である、請求項1の植物。 請求項1の植物の植物体の部分。 葉、胚珠、花粉、果実または細胞としてさらに定義される請求項7の植物体の部分。 請求項5のトマト植物の全ての生理学的および形態学的特徴を有するトマト植物。 請求項6のトマト植物の全ての生理学的および形態学的特徴を有するトマト植物。 請求項1のトマト植物の全ての生理学的および形態学的特徴を有するトマト植物。 請求項1の植物の再生可能な細胞の組織培養物。 胚、成長点、子葉、花粉、葉、葯、根、根端、雌ずい、花、種子および茎からなる群から選択される植物体の部分からの細胞またはプロトプラストを含む、請求項12の組織培養物。 請求項13の組織培養物から再生されるトマト植物。 以下の工程を含む、請求項1の植物を栄養的に増殖させる方法: (a) 増殖することができる組織を請求項1の植物から収集する工程;(b) 増殖したシュートを得るため、該組織を培養する工程; および(c) 発根した小植物体を得るため、該増殖したシュートを発根させる工程。 該発根した小植物体から少なくとも第一の植物を生育させることをさらに含む、請求項15の方法。 以下の工程を含む、所望の形質をトマト系統へ導入する方法:(a) その種子のサンプルがそれぞれ ATCC 受入番号 PTA-9930 および ATCC 受入番号 PTA-9931 の下に寄託されている系統 FIR 128-1032 または FIR 128-1037 の植物を、所望の形質を含む第二のトマト植物と交雑して、F1 後代を得る工程;(b) 所望の形質を含む F1 後代を選抜する工程;(c) 選抜された F1 後代を系統 FIR 128-1032 または FIR 128-1037 の植物と戻し交雑して、戻し交雑後代を得る工程;(d) 所望の形質ならびにトマト系統 FIR 128-1032 または FIR 128-1037 の生理学的および形態学的特徴を含む戻し交雑後代を選抜する工程; および(e) 工程(c)および(d)を3回以上繰り返して、所望の形質を含む選抜された第4代以上の戻し交雑後代を得る工程。 請求項17の方法によって得られるトマト植物。 付加された形質を含む植物を作出する方法であって、該形質を付与する導入遺伝子を、その種子のサンプルがそれぞれ ATCC 受入番号 PTA-9929、ATCC 受入番号 PTA-9930 および ATCC 受入番号 PTA-9931 の下に寄託されている系統 HNX12860544、系統 FIR 128-1032 または系統 FIR 128-1037 の植物へ導入することを含む方法。 請求項19の方法によって作出される植物。 植物から核酸のサンプルを得る工程および該核酸において複数の多型を検出する工程を含む、請求項1の植物の遺伝子型を決定する方法。 該複数の多型の検出結果をコンピューター読み取り可能な媒体上に保存する工程をさらに含む、請求項21の方法。 導入遺伝子を含む、請求項1の植物。 導入遺伝子が、雄性不稔、除草剤耐性、昆虫抵抗性、有害生物抵抗性、病害抵抗性、改変された脂肪酸代謝、環境ストレス耐性、改変された炭水化物代謝および改変されたタンパク質代謝からなる群から選択される形質を付与する、請求項23の植物。 単一遺伝子座変換を含む、請求項1の植物。 単一遺伝子座変換が、雄性不稔、除草剤耐性、昆虫抵抗性、有害生物抵抗性、病害抵抗性、改変された脂肪酸代謝、環境ストレス耐性、改変された炭水化物代謝および改変されたタンパク質代謝からなる群から選択される形質を付与する、請求項25の植物。 以下の工程を含む、雑種 HNX12860544、系統 FIR 128-1032 または系統 FIR 128-1037 の少なくとも1つに由来する植物の種子を生産する方法:(a) 雑種系統 HNX12860544、系統 FIR 128-1032 または系統 FIR 128-1037 のトマト植物を、それ自身または第二のトマト植物と交雑する工程; ここで、該雑種および系統の種子のサンプルは、それぞれ ATCC 受入番号 PTA-9929、ATCC 受入番号 PTA-9930 および ATCC 受入番号 PTA-9931 の下に寄託されている; および(b) 雑種 HNX12860544、系統 FIR 128-1032 または系統 FIR 128-1037 に由来するトマト植物の種子を形成させる工程。 以下の工程をさらに含む、請求項27の方法:(c) 前記雑種 HNX12860544、FIR 128-1032 または FIR 128-1037 に由来するトマト種子から成長した植物を自殖して、雑種 HNX12860544、系統 FIR 128-1032 または系統 FIR 128-1037 に由来するさらなるトマト種子を生産する工程;(d) 前記工程(c)の雑種 HNX12860544、系統 FIR 128-1032 または系統 FIR 128-1037 に由来するさらなるトマト種子を成長させて、雑種 HNX12860544、系統 FIR 128-1032 または系統 FIR 128-1037 に由来するさらなるトマト植物を生産する工程; および(e) (c)および(d)の交雑および成長させる工程を繰り返して、少なくとも第一のさらなる雑種 HNX12860544、系統 FIR 128-1032 または系統 FIR 128-1037 に由来するトマト植物を生産する工程。 第二のトマト植物が、トマト自殖系統のものである、請求項27の方法。 系統 FIR 128-1032 を系統 FIR 128-1037 と交雑する工程を含む請求項27の方法、ここで、該系統の種子のサンプルはそれぞれ ATCC 受入番号 PTA-9930 および ATCC 受入番号 PTA-9931 の下に寄託されている。 以下の工程をさらに含む、請求項28の方法:(f) 前記さらなる雑種 HNX12860544、FIR 128-1032 または FIR 128-1037 に由来するトマト植物を第二のトマト植物と交雑して、雑種後代植物の種子を生産する工程。 請求項30の方法によって生産される雑種種子。 請求項30の種子を成長させることによって得られる植物。 請求項33の植物の植物体の部分。 葉、花、果実、胚珠、花粉または細胞としてさらに定義される、請求項34の植物体の部分。 請求項1の植物をそれ自身または第二のトマト植物と交雑する工程および種子を形成させる工程を含む、トマト種子を生産する方法。 以下の工程を含む、トマト果実を生産する方法:(a) 成熟するまで栽培された請求項1の植物を得る工程; および(b) 該植物からトマトを収穫する工程。 【課題】HNX12860544と命名した雑種、トマト系統FIR128−1032またはトマト系統FIR128−1037のトマト植物、及び該植物の全ての生理学的および形態学的特徴を有するトマト植物を提供する。【解決手段】トマト雑種HNX12860544およびその親系統の種子および植物。該トマト雑種HNX12860544およびその親系統の植物、種子および組織培養物、ならびに該植物をそれ自身または別のトマト植物は、別の遺伝子型の植物と交雑することによって得られる新種のトマト植物を生産するために利用される。更に該交雑によって得られる種子および植物、該植物の果実および配偶子を含む該植物の部分の開発にも供される。【選択図】なし


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特許公報(B2)_トマト雑種HNX12860544

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_トマト雑種HNX12860544
出願番号:2010168100
年次:2015
IPC分類:A01H 5/00,A01H 4/00,A01H 3/04,A01H 1/00,C12Q 1/68,A01G 1/00


特許情報キャッシュ

イリョン・キム JP 5788152 特許公報(B2) 20150807 2010168100 20100727 トマト雑種HNX12860544 セミニス・ベジタブル・シーズ・インコーポレイテツド 500195035 Seminis Vegetable Seeds,Inc. 田中 光雄 100081422 山崎 宏 100084146 冨田 憲史 100122301 中川 将之 100144923 イリョン・キム US 12/542,554 20090817 20150930 A01H 5/00 20060101AFI20150910BHJP A01H 4/00 20060101ALI20150910BHJP A01H 3/04 20060101ALI20150910BHJP A01H 1/00 20060101ALI20150910BHJP C12Q 1/68 20060101ALI20150910BHJP A01G 1/00 20060101ALI20150910BHJP JPA01H5/00 AA01H4/00A01H3/04A01H1/00 ZC12Q1/68 AA01G1/00 301ZA01G1/00 302Z A01H 5/00 A01G 1/00 A01H 1/00 A01H 3/04 A01H 4/00 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) PubMed CiNii WPIDS(STN) 特開2005−237380(JP,A) 特表2003−507044(JP,A) 特表2001−520863(JP,A) 新版 植物育種学,1997年 4月 1日,p. 107 34 ATCC PTA-9929 ATCC PTA-9930 ATCC PTA-9931 2011120572 20110623 37 20130726 太田 雄三発明の分野 本発明は、植物育種の分野に関し、より具体的には、トマト 雑種 HNX12860544 ならびにトマト自殖系統(inbred tomato line) FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の作出に関する。発明の背景 野菜育種の目標は、様々な望ましい形質を単一の品種/雑種の中に結集させることである。かかる望ましい形質は、生産者および/または消費者が有益であると考えるあらゆる形質を含み得、より大きな収量、昆虫または病害に対する抵抗性、環境ストレスに対する耐性、および栄養価が挙げられる。 育種技術は、植物の受粉方法を利用する。2つの一般的な受粉方法がある: 1つの花からの花粉が同じ植物もしくは植物品種の同じまたは別の花へ移動すると、植物は自家受粉する。花粉が異なる植物品種の花からのものであれば、植物は他家受粉する。 何世代にもわたって自家受粉およびタイプによる選抜をされた植物は、ほとんど全ての遺伝子座においてホモ接合性となり、真の育種後代であるホモ接合性植物の均一な集団をもたらす。遺伝子型の異なる2つのホモ接合性植物間の交雑は、多くの遺伝子座についてヘテロ接合性である雑種植物の均一な集団をもたらす。逆に、各々が多数の遺伝子座においてヘテロ接合性である2つの植物の交雑は、遺伝的に異なり、均一でない雑種植物の集団をもたらす。得られる非均一性は、能力を予測不可能なものにする。 均一な品種の作出には、ホモ接合性自殖植物の作出、これら自殖植物の交雑、および交雑の評価が必要である。系統育種および循環選抜は、育種集団から自殖植物を作出するために用いられてきた育種法の例である。それらの育種法は、2以上の植物または様々な他の広範囲の源からの遺伝的背景を、新たな系統および雑種が由来し、そこから自殖および望ましい表現型の選抜によって作出される育種プールへと結集させる。新たな系統および雑種は、それらのうちいずれが商業的な可能性を持っているかを決定するために評価される。本発明の要約 一つの側面において、本発明は、HNX12860544 と命名した雑種、トマト系統 FIR 128-1032 またはトマト系統 FIR 128-1037 のトマト植物を提供する。かかる植物の全ての生理学的および形態学的特徴を有するトマト植物も提供される。これらトマト植物の部分もまた提供され、例えば、花粉、胚珠、接ぎ穂(scion)、台木、果実、および植物の細胞が挙げられる。 本発明の別の側面において、付加された遺伝形質を包含するトマト雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の植物が提供される。遺伝形質は、遺伝子座、すなわち、例えば、優性または劣性の対立遺伝子(allele)を含み得る。本発明の一つの態様において、トマト雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の植物は、単一遺伝子座変換(single locus conversion)を含むものとして定義される。本発明の特定の態様において、付加された遺伝子座は、1以上の形質、例えば、除草剤耐性、昆虫抵抗性、病害抵抗性、および改変された炭水化物代謝をもたらす。さらなる態様において、形質は、戻し交雑によって系統のゲノム中に導入される天然の遺伝子、天然のまたは誘導された突然変異、または遺伝的形質転換技術を介して植物もしくはそのあらゆる前の世代の祖先(progenitor)へ導入される導入遺伝子によってもたらされ得る。形質転換を介して導入される場合、遺伝子座は、染色体上の単一の位置に組み込まれた1以上の遺伝子を含み得る。 本発明はまた、トマト雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の種子に関する。本発明のトマト種子は、一つの態様において、トマト雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 のトマト種子の本質的に均質な集団として提供され得る。種子の本質的に均質な集団は、通常、実質的な数の他の種子を含まない。したがって、雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の種子は、特定の態様において、全種子の少なくとも約 97% を形成するものとして定義することができ、種子の少なくとも約 98%、99% またはそれ以上であってもよい。種子集団は、HNX12860544 と命名したトマト植物および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の本質的に均質な集団を提供するために、別々に生育させることができる。 本発明のさらに別の側面において、雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 のトマト植物の、再生可能な細胞(regenerable cell)の組織培養物が提供される。組織培養物は、好ましくは、出発植物の生理学的および形態学的特徴の全てを発現することができるトマト植物を再生することができ、出発植物と実質的に同じ遺伝子型を有する植物を再生することができる。雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の生理学的および形態学的特徴のいくつかの例としては、本明細書の表において示される形質が挙げられる。かかる組織培養物における再生可能な細胞は、例えば、胚、成長点、子葉、花粉、葉、葯、根、根端、雌ずい、花、種子および茎由来のものであり得る。さらに、本発明は、本発明の組織培養物から再生され、雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の全ての生理学的および形態学的特徴を有するトマト植物を提供する。 本発明のさらに別の側面において、トマト種子、植物体および果実を生産する方法であって、通常、第一の親トマト植物を第二の親トマト植物と交雑させることを含み、第一のまたは第二の親トマト植物の少なくとも一方がトマト系統 FIR 128-1032 またはトマト系統 FIR 128-1037 の植物である方法が提供される。これらの方法は、雑種トマト種子または植物体を生産するための方法であって、親の一方としてトマト系統 FIR 128-1032 またはトマト系統 FIR 128-1037 の植物を有する雑種を提供するために、第一のトマト植物を異なる別の遺伝子型の第二のトマト植物と交雑させる方法としてさらに例証され得る。これらの方法において、交雑は、種子の生産をもたらす。種子生産は、種子が採取されるか否かに関わらず、生じる。 本発明の一つの態様において、“交雑”における最初の工程は、受粉が例えば媒介昆虫によって媒介されて起こるよう、しばしば近接して、第一のおよび第二の親トマト植物の種子を播くことを含む。あるいは、花粉を手作業で移動させることもできる。植物が自家受粉する場合、受粉は、植物の栽培以外に直接的な人間の介入を必要とすることなく起こり得る。 第二の工程は、第一のおよび第二の親トマト植物の種子を、花をつける植物にまで栽培することまたは生育させることを含み得る。第三の工程は、植物の自家受粉を、例えば花を除雄すること(即ち、花粉を殺すことまたは除去すること)によって、防止することを含み得る。 雑種交雑のための第四の工程は、第一のおよび第二の親トマト植物の間の他家受粉を含み得る。さらに別の工程は、親トマト植物の少なくとも一方からの種子を回収することを含む。回収された種子は、トマト植物または雑種トマト植物を生産するために生育させることができる。 本発明はまた、第一の親トマト植物を第二の親トマト植物と交雑させることを含む方法であって、該第一のまたは第二の親トマト植物の少なくとも一方がトマト雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の植物である方法によって生産されるトマト種子および植物体を提供する。本発明の一つの態様において、当該方法によって生産されるトマト種子および植物体は、植物を、本発明によって別の異なる植物と交雑させることによって生産される一代(F1)雑種のトマト種子および植物体である。本発明はさらに、かかる F1 雑種トマト植物の植物体の部分、およびその使用方法を考慮する。したがって、本発明のある代表的な態様は、F1 雑種トマト植物およびその種子を提供する。 さらに別の側面において、本発明は、雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 に由来する植物を生産する方法であって、以下の工程を含む方法を提供する: (a) 雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の植物を第二の植物と交雑することを含む、雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 に由来する後代植物を作出する工程; および (b) 該後代植物をそれ自身または第二の植物と交雑させて、次の世代の後代植物の種子を生産する工程。さらなる態様において、該方法は以下の工程をさらに含み得る: (c) 前記次の世代の後代植物の種子から該次の世代の後代植物を生育させ、該次の世代の後代植物をそれ自身または第二の植物と交雑させる工程; および、該工程をさらに 3-10 世代の間繰り返して、雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 に由来する植物を生産する工程。雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 に由来する植物は、自殖系統(inbred line)であり得、上記の繰り返される交雑の工程は、自殖系統を作出するのに十分な自殖を含むものとして定義することができる。該方法において、工程(c)から得られた特定の植物を、工程(b)および(c)による連続的交雑のために選抜することが望まれる。1以上の望ましい形質を有する植物を選抜することによって、該系統/雑種の望ましい形質の幾つかおよび他の潜在的に選択された形質を有する、雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 に由来する植物が得られる。 特定の態様において、本発明は、以下の工程を含む1または複数の食物を生産する方法を提供する: (a) 成熟するまで栽培されたトマト雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の植物を得る工程、および (b) 該植物からトマトを採取する工程。 本発明のさらに別の側面において、トマト雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の遺伝的相補体(genetic complement)が提供される。“遺伝的相補体”との表現は、その発現が、本願においてはトマト植物、またはその植物の細胞もしくは組織の表現型を定義する、ヌクレオチド配列の集合物(aggregate)をいうために用いられる。したがって、遺伝的相補体は、細胞、組織または植物体の遺伝的構成(genetic makeup)を表し、雑種の遺伝的相補体は、雑種の細胞、組織または植物体の遺伝的構成を表す。したがって、本発明は、本明細書に開示されるトマト植物細胞に一致する遺伝的相補体を有するトマト植物細胞、ならびにかかる細胞を含む種子および植物体を提供する。 植物の遺伝的相補体は、遺伝的マーカープロファイルによって、および該遺伝的相補体の発現の特徴である表現型形質の発現、例えばアイソザイム分類プロファイルによって、評価し得る。雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 は、多くの周知技術、例えば、単純配列長多型(SSLP) (Williams et al.、1990)、ランダム増幅多型DNA(RAPD)、DNA 増幅フィンガープリンティング(DAF)、配列特性化増幅領域(Sequence Characterized Amplified Region)(SCAR)、任意プライムポリメラーゼ連鎖反応(Arbitrary Primed Polymerase Chain Reaction)(AP-PCR)、増幅断片長多型(AFLP)(EP 534 858、特に、引用により全体が本明細書に取り込まれる)、および一塩基多型(SNP)(Wang et al.、1998)のいずれかによって同定し得ることが理解される。 さらに別の側面において、本発明は、本発明のトマト植物の半数体の遺伝的相補体と、第二のトマト植物、好ましくは別の異なるトマト植物の半数体の遺伝的相補体との組み合わせによって形成され、トマト植物の細胞、組織、植物体および種子によって表される、雑種の遺伝的相補体を提供する。別の側面において、本発明は、本発明の雑種の遺伝的相補体を含む組織培養物から再生されたトマト植物を提供する。 さらに別の側面において、本発明は、トマト黄化葉巻ウイルスに対する抵抗性を有し、無色の表皮を有し、緑色の果肩部(green shoulders on the fruit)を有し、食味が良く、円から扁円(round to flattened-round)の果形を有し、1房あたり 4 から 6 の花を有し、果実あたり6を超える子室(locule)を有する桃色トマト F1 雑種を含む形質の組み合わせを示す雑種トマトの植物を提供する。特定の態様において、形質の組み合わせは、トマト雑種 HNX12860544 において見出される形質の組み合わせの発現のための遺伝的手段によって制御されるものとして定義し得る。 さらに別の側面において、本発明は、植物のゲノム中において少なくとも一の多型を検出することを含む、トマト雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の植物の遺伝子型を決定する方法を提供する。該方法は、特定の態様において、植物のゲノム中において複数の多型を検出することを含み得る。該方法は、複数の多型を検出する工程の結果をコンピューター読み取り可能な媒体に保存することをさらに含み得る。本発明はさらに、かかる方法によって作成されるコンピューター読み取り可能な媒体を提供する。 本発明の一つの側面について本明細書中で議論されるいかなる態様も、特に断りのない限り、本発明の他の側面にも適用される。 “約”との用語は、値が、その値を決定するのに用いられる装置または方法に関して平均値の標準偏差を含むことを示すために用いられる。特許請求の範囲における“または”との用語は、選択肢(alternative)のみを言うかまたは選択肢が相互に排他的であることを特に断らない限り、“および/または”を意味するために用いられる。特許請求の範囲において、“含む”との単語または他の開放的用語(open language)と共に用いられる場合、“ある”および“ひとつの”との語は、特に断りのない限り“1以上の”を意味する。“含む”、“有する”および“包含する(include)”との用語は、制約のない連結動詞である。これらの動詞の1以上のあらゆる形または時制、例えば“含む”、“含んでいる”、“有する”、“有している”、“包含する”および“包含している”もまた、制約がない。例えば、1以上の工程を“含む”、“有する”または“包含する”いかなる方法も、それら1以上の工程のみを有するものには制限されず、記載されていない他の工程をも含む。同様に、1以上の形質を“含む”、“有する”または“包含する”いかなる植物も、それら1以上の形質のみを有するものには制限されず、記載されていない他の形質をも含む。 本発明の他の目的、特徴および利点は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかしながら、本発明の精神および範囲内における様々な変更および修正が、かかる詳細な説明から当業者にとって明らかとなるため、詳細な説明および本発明の特定の態様を示すいかなる特定の実施例も、説明のみを目的として提供されることが理解されるべきである。本発明の詳細な説明 本発明は、トマト雑種 HNX12860544、トマト系統 FIR 128-1032 およびトマト系統 FIR 128-1037 の植物体、種子および派生物(derivative)に関する方法および組成物を提供する。雑種 HNX12860544 は、親系統 FIR 128-1032 と FIR 128-1037 との交雑によって作出される。親系統は、環境の影響の制限内で均一性および安定性を示す。親系統を交雑することによって、均一な種子である雑種 HNX12860544 を得ることができる。 トマト雑種 HNX12860544 およびその親系統の作出は、以下のように要約することができる。A. トマト雑種 HNX12860544 の起源および育種過程 雑種 HNX12860544 の親は、FIR 128-1032 および FIR 128-1037 である。これら親は、以下の通りに作出された: 親系統は均一かつ安定であり、そこから得られる雑種も同様である。繰り返される繁殖(multiplication)の過程において、ほぼあらゆる特徴に関して商業的に許容される限界内に生じうる品種のパーセントは少ない。しかし、どの品種も予測されない。B. トマト雑種 HNX12860544、トマト系統 FIR 128-1032 およびトマト系統 FIR 128-1037 の生理学的および形態学的特徴 本発明の一つの側面により、トマト雑種 HNX12860544 およびその親系統の生理学的および形態学的特徴を有する植物が提供される。かかる植物の生理学的および形態学的特徴についての説明を、表 1 から 3 に示す。C. トマト植物の育種 本発明の一つの側面は、トマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 を交雑することを含む、トマト雑種 HNX12860544 の種子を生産する方法に関する。あるいは、本発明の他の態様において、雑種 HNX12860544、系統 FIR 128-1032 または系統 FIR 128-1037 は、それ自身と、またはあらゆる第二の植物と交雑し得る。かかる方法は、雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の増殖のために用いることができ、または雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 に由来する植物を作出するために用いることができる。雑種 HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 に由来する植物は、特定の態様において、新規なトマト品種の開発のために用いることができる。 1以上の出発品種を用いる新品種の開発は、当該技術分野において周知である。本発明によれば、雑種 HNX12860544 の交雑とその後のかかる周知の方法による複数世代の育種によって新規な品種を作出することができる。新規な品種は、いずれかの第二の植物と交雑することによって作出し得る。新規な系統を開発する目的で交雑するかかる第二の植物を選択する際、それ自身が1以上の選択された望ましい特徴を示すか、または雑種組合せにおいて望ましい特徴を示す植物を選択することが望まれ得る。最初の交雑を行った後は、新規な品種を作出するために自殖および選抜を行う。均一な系統を開発するため、多くの場合、5世代以上の自殖および選抜を行う。 新規な品種の均一な系統は、倍化半数体(double-haploid)の方法によっても開発することができる。この技術は、複数世代の自殖および選抜を必要とすることなく、真の純系(true breeding line)の作出を可能にする。この方法では、真の純系をたった1世代で作出することができる。半数体の胚は、小胞子、花粉、葯培養または子房培養から生産することができる。次いで、半数体の胚は、自発的にまたは化学的処理(例えばコルヒチン処理)によって、倍加させ得る。あるいは、半数体の胚は、半数体の植物へと成長させ、染色体倍加を誘導するための処理をすることができる。いずれの場合においても、稔性のホモ接合性植物が得られる。本発明に従い、ホモ接合性系統を得るために、本発明の植物およびその後代に関連してかかるあらゆる技術を用い得る。 戻し交雑も、自殖系(inbred)植物を改良するために用いることができる。戻し交雑は、特定の望ましい形質を、ある自殖系または非自殖系の源(source)から、その形質を欠いている自殖系の源へと導入する。これは、例えば、特定の自殖系(A)(反復親)を、問題とする形質に関する1または複数の適切な遺伝子座を有するドナー自殖系(非反復親)へ最初に交雑することによって達成することができる。次いで、この交雑の後代は、当該優れた反復親(A)へ戻し交雑され、その後、得られた後代において、該非反復親から導入されるべき所望の形質について選抜を行う。該所望の形質についての選抜を伴う5世代以上の戻し交雑の後、後代は、当該導入された特徴を有するが、ほとんど又はほぼ全ての他の遺伝子座については該優れた親と同じである。最後の戻し交雑世代は、当該導入された形質について純粋な育種後代をもたらすために自殖される。 本発明の植物は、植物の遺伝的背景の優れた性質に基づいた新規な系統の開発に特に良く適合する。新規なトマト系統を開発する目的で HNX12860544 および/またはトマト系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 と交雑する第二の植物を選択する際、典型的には、それ自身が1以上の選択された望ましい特徴を示すか、または雑種組合せにおいて望ましい特徴を示す植物を選択することが好ましい。望ましい形質の例としては、特定の態様において、高い種子収量、高い種子発芽、実生の活力(seedling vigor)、高い果実収量、病害耐性または抵抗性、ならびに土壌および気候条件への適応性が挙げられる。消費者主導の(consumer-driven)形質、例えば果実の形、色、質感(texture)および食味は、本発明によって開発されるトマト植物の新規な系統へ取り込まれ得る形質の他の例である。D. 能力的(Performance)特徴 上記の通り、雑種 HNX12860544 は望ましい農業形質を示す。HNX12860544 の能力的特徴は、他の品種と比較した能力的形質の客観的解析の対象であった。該解析の結果を以下に示す。E. 本発明のさらなる態様 本発明の特定の側面において、少なくとも第一の所望の遺伝形質を含むよう改変された本明細書に記載の植物が提供される。かかる植物は、一つの態様において、戻し交雑と呼ばれる植物育種技術によって開発することができ、戻し交雑技術を介して、植物に導入される遺伝子座に加えて品種の本質的に全ての形態学的および生理学的特徴が回復される。本明細書において用いる、単一遺伝子座変換(single locus converted)植物との用語は、戻し交雑と呼ばれる植物育種技術によって開発され、戻し交雑技術を介して、品種へ導入される該単一遺伝子座に加えて該品種の本質的に全ての形態学的および生理学的特徴が回復されているトマト植物をいう。本質的に全ての形態学的および生理学的特徴とは、同じ環境において比較した場合に、戻し交雑または導入遺伝子の直接導入の間に生じる可能性のある偶然の変異形質以外に存在する植物の特徴が回復されることを意味する。 戻し交雑法は、現存する品種を改良するため、または現存する品種に特徴を導入するために、本発明と共に用いることができる。所望の特徴に関する遺伝子座を提供する親トマト植物は、非反復親またはドナー親と呼ばれる。この用語は、非反復親が戻し交雑手順において一度用いられ、繰り返されないことを意味する。非反復親からの1または複数の遺伝子座が導入される親トマト植物は、それが戻し交雑手順において数巡の間用いられるため、反復親として知られる。 典型的な戻し交雑手順においては、興味の対象である元の品種(反復親)を、興味の対象である導入されるべき単一の遺伝子座を保有する第二の品種(非反復親)と交雑させる。この交雑から得られる後代を、その後再び反復親と交雑させ、非反復親から導入された単一の遺伝子座に加えて反復親の本質的に全ての形態学的および生理学的特徴が回復しているトマト植物が得られるまで、該過程を繰り返す。 適切な反復親の選択は、戻し交雑手順を成功させるために重要な工程である。戻し交雑手順の目的は、元の品種における単一の形質または特徴を変更または置換することである。これを達成するために、反復品種の単一の遺伝子座は非反復親からの所望の遺伝子座によって改変または置換される一方、残りの所望の遺伝的構成の本質的に全てを維持し、その結果、元の品種の所望の生理学的および形態学的構成を維持する。特定の非反復親の選択は、戻し交雑の目的に依存する; 主な目的の一つは、いくつかの商業上望ましい形質を植物に付加することである。的確な戻し交雑手順は、変更される特徴または形質および反復親と非反復親との間の遺伝的距離に依存する。導入される特徴が優性の対立遺伝子である場合には戻し交雑方法は単純化されるが、劣性の対立遺伝子または相加的(additive)対立遺伝子(劣性と優性の間)も導入することができる。この場合、所望の特徴がうまく導入されたかどうかを決定するために、後代の試験を導入することが必要となり得る。 一つの態様において、本明細書に記載の植物が反復親である戻し交雑の後代トマト植物は、同じ環境条件において生育させた場合に 5% の有意性レベルで決定される、(i)非反復親からの所望の形質ならびに(ii)反復親のトマトの全ての生理学的および形態学的特徴を含む。 新規な品種は、2つより多い親から開発することもできる。改変戻し交雑(modified backcrossing)として知られる技術は、戻し交雑の間に異なる反復親を用いる。改変戻し交雑は、元の反復親を特定のより望ましい特徴を有する品種によって置換するために用いることができ、あるいは、それぞれから様々な望ましい特徴を得るために複数の親を用いることができる。 新規な自殖系の開発において普通には選択されないが戻し交雑技術によって改良し得る多くの単一遺伝子座形質が同定されている。単一遺伝子座形質は、遺伝子組換えであってもよく、そうでなくてもよい; これら形質の例としては、これらに限定されないが、除草剤抵抗性、細菌性、真菌性またはウイルス性病害に対する抵抗性、昆虫抵抗性、改変された脂肪酸または炭水化物代謝、変更された栄養価が挙げられる。これらは、通常核を介して遺伝する遺伝子を含む。 単一遺伝子座が優性形質として振る舞う場合、直接選抜(direct selection)を適用し得る。この選抜過程に関して、最初の交雑の後代は、戻し交雑の前にウイルス抵抗性および/または対応する遺伝子の存在についてアッセイされる。選抜によって所望の遺伝子および抵抗性形質を有しないあらゆる植物を除外し、該形質を有する植物のみをその後の戻し交雑において用いる。その後、全てのさらなる戻し交雑世代についてこの過程を繰り返す。 育種のためのトマト植物の選抜は、必ずしも植物の表現型には依存せず、代わりに遺伝的調査に基づくことができる。例えば、対象とする形質と遺伝的に密接に連鎖している適切な遺伝的マーカーを利用することができる。これらマーカーの一つは、特定の交雑の子孫における形質の有無を同定するために用いることができ、かつ、継続される育種の間、後代の選抜において用いることができる。この技術は通常、マーカー補助選抜(marker assisted selection)と称される。植物における対象とする形質の相対的(relative)有無を同定するために用い得るいかなる他の型の遺伝的マーカーまたは他のアッセイも、育種目的にとって有用であり得る。マーカー補助選抜の手順は当該技術分野において周知である。かかる方法は、劣性形質および変化する表現型の場合、あるいは常套のアッセイがより高価であるか、時間を要するかまたは他の不都合がありうる場合に、特に有用である。本発明に従って用いることができる遺伝的マーカーの型としては、必ずしもこれらに限定されないが、単純配列長多型(SSLP)(Williams et al.、1990)、ランダム増幅多型 DNA(RAPD)、DNA 増幅フィンガープリンティング(DNA Amplification Fingerprinting)(DAF)、配列特性化増幅領域(Sequence Characterized Amplified Region)(SCAR)、任意プライムポリメラーゼ連鎖反応(Arbitrary Primed Polymerase Chain Reaction)(AP-PCR)、増幅断片長多型(AFLP)( 引用により全体が本明細書に具体的に取り込まれる EP 534858)、および一塩基多型(SNP)(Wang et al.、1998)が挙げられる。F. 遺伝子工学によって得られる植物 戻し交雑によっても、直接的にも植物へ導入することができる多くの有用な形質は、遺伝的形質転換技術によって導入される形質である。そのため、遺伝的形質転換は選択された導入遺伝子を本発明の植物へ挿入するために用いることができ、あるいは、戻し交雑によって導入し得る導入遺伝子の調製のために用いることもできる。当業者に周知であり、多くの作物種に適用できる植物の形質転換法としては、これらに限定されないが、エレクトロポレーション、微粒子銃、アグロバクテリウム媒介(Agrobacterium-mediated)形質転換およびプロトプラストによる直接 DNA 取込みが挙げられる。 エレクトロポレーションによって形質転換を起こすために、脆弱な組織、例えば細胞の懸濁培養または胚形成カルス(embryogenic callus)を採用することができ、あるいは未成熟な胚または他のまとまった組織(organized tissue)を直接的に形質転換することもできる。この技術においては、選択された細胞をペクチン分解酵素(ペクトリアーゼ(pectolyases))に曝露することによってその細胞壁を部分的に分解するか、または制御された様式で組織を機械的に傷つけるであろう。 形質転換する DNA セグメントを植物細胞へ送達するための効率的な方法は、微粒子銃である。この方法においては、粒子を核酸でコートし、推進力によって細胞へ送達する。代表的な粒子としては、タングステン、白金、および好ましくは金で構成されるものが挙げられる。砲撃(bombardment)のために、懸濁状態の細胞をフィルターまたは固形培地上で濃縮する。あるいは、未成熟な胚または他の標的細胞を固形培地上に準備してもよい。砲撃される細胞を、マクロキャリア停止プレート(macroprojectile stopping plate)の下に適当な距離で位置させる。 加速によって DNA を植物細胞へ送達する方法の例示的態様は、DNA または細胞でコートされた粒子を、スクリーン、例えばステンレス鋼または Nytex スクリーンを介して、標的細胞で覆われた表面の上へ推進するために用い得る Biolistics Particle Delivery System である。該スクリーンは、粒子が大きな凝集体の状態で受容細胞(recipient cell)へ送達されないよう、該粒子を分散させる。微粒子銃技術は広く応用することが可能であり、事実上あらゆる植物種を形質転換するために用いることができる。 アグロバクテリウム媒介導入は、遺伝子座を植物細胞へ導入するための広く応用できる別の系である。当該技術の利点は、植物の全組織へ DNA を導入することができ、それによってプロトプラストからインタクトな植物を再生させる必要性を回避することである。近代のアグロバクテリウム形質転換ベクターは、大腸菌(E. coli)およびアグロバクテリウムにおける複製が可能であり、簡便な操作を可能にする(Klee et al.、1985)。さらに、アグロバクテリウム媒介遺伝子導入用のベクターにおける最近の技術的進歩により、様々なポリペプチドをコードする遺伝子を発現することができるベクターの構築を促進するための該ベクター内の遺伝子および制限部位の配置が改良された。記載されるベクターは、挿入されたポリペプチドをコードする遺伝子の直接的発現のためのプロモーターおよびポリアデニル化部位に隣接する、便利なマルチリンカー(multi-linker)領域を有する。加えて、病原性(armed)および非病原性(disarmed)両方の Ti 遺伝子を保有するアグロバクテリウムを、形質転換のために用いることができる。 アグロバクテリウム媒介形質転換が効率的である植物の系統においては、遺伝子座導入の簡易かつ定義された性質のため、それは最適な方法である。DNA を植物細胞へ導入するためのアグロバクテリウム媒介植物組込みベクターの使用は、当該技術分野において周知である(Fraley et al.、1985; 米国特許第5,563,055号)。 植物プロトプラストの形質転換は、リン酸カルシウム沈殿、ポリエチレングリコール処理、エレクトロポレーション、およびこれらの処理の組合せに基づく方法を用いて達成することもできる (例えば、Potrykus et al.、1985; Omirulleh et al.、1993; Fromm et al.、1986; Uchimiya et al.、1986; Marcotte et al.、1988 を参照)。植物の形質転換および外来性遺伝因子の発現は、Choi et al. (1994) および Ellul et al. (2003) において例証されている。 多数のプロモーターが、これらに限定されないが、選択可能なマーカー、点数化可能な(scoreable)マーカー、有害生物(pest)耐性、病害抵抗性、栄養強化のための遺伝子、および農業上興味のあるあらゆる他の遺伝子を含むあらゆる対象遺伝子の植物遺伝子発現に関して有用性を有する。植物遺伝子発現に有用な構成的プロモーターの例としては、これらに限定されないが、単子葉植物(例えば、Dekeyser et al.、1990; Terada and Shimamoto、1990 を参照)を含むほとんどの植物組織(例えば、Odel et al.、1985 を参照)において構成的で高レベルの発現をもたらすカリフラワーモザイクウイルス (CaMV) P-35S プロモーター; CaMV 35S プロモーターの直列に重複したバージョンである、増強(enhanced) 35S プロモーター (P-e35S); ノパリンシンターゼプロモーター (An et al.、1988)、オクトピンシンターゼプロモーター (Fromm et al.、1989); および、米国特許第5,378,619号に記載されるゴマノハグサモザイクウイルス(P-FMV)プロモーターおよび P-FMV のプロモーター配列が直列に重複している FMV プロモーターの増強されたバージョン(P-eFMV); カリフラワーモザイクウイルス 19S プロモーター; サトウキビ桿状ウイルスプロモーター; ツユクサ黄斑ウイルス(commelina yellow mottle virus)プロモーター; および植物細胞において発現することが知られている他の植物 DNA ウイルスプロモーターが挙げられる。 環境、ホルモン、化学的、および/または発生のシグナルに応答して調節される多様な植物遺伝子プロモーターも、植物細胞における操作可能に連結した遺伝子の発現のために用いることができ、例としては (1) 熱 (Callis et al.、1988)、(2) 光 (例えば、エンドウマメ rbcS-3A プロモーター、Kuhlemeier et al.、1989; トウモロコシ rbcS プロモーター、Schaffner and Sheen、1991; または クロロフィル a/b 結合タンパク質プロモーター、Simpson et al.、1985)、(3) ホルモン、例えばアブシジン酸 (Marcotte et al.、1989)、(4) 傷 (例えば、wunl、Siebertz et al.、1989); または (5) 化学物質、例えばジャスモン酸メチル、サリチル酸、またはセーフナー(Safener)によって調節されるプロモーターが挙げられる。器官特異的プロモーター(例えば、Roshal et al.、1987; Schernthaner et al.、1988; Bustos et al.、1989)を採用することも有利であり得る。 本発明の植物へ導入し得る代表的な核酸としては、例えば、別の種からの DNA 配列または遺伝子、または同じ種に由来するかもしくは同じ種の中に存在するが、伝統的な繁殖または育種技術ではなく遺伝子操作法によって受容細胞へ取り込まれる遺伝子または配列が挙げられる。しかし、“外来性”の用語は、形質転換される細胞に通常は存在しない遺伝子、またはおそらく単に形質転換する DNA セグメントもしくは遺伝子において見出されるのと同じ形や構造等において存在しない遺伝子、または通常存在し、天然の発現パターンとは異なる様式で発現させること、例えば、過剰発現させることを望む遺伝子をも意味する。したがって、“外来性”遺伝子または DNA との用語は、同様の遺伝子が受容細胞中に既に存在しているかどうかに関わらず、受容細胞に導入されるあらゆる遺伝子または DNA セグメントを意味する。外来性 DNA に含まれる DNA の型には、植物細胞に既に存在している DNA、別の植物からの DNA、異なる生物からの DNA、または外部で生成された DNA、例えば遺伝子のアンチセンスメッセージ(antisense message)を有する DNA 配列または遺伝子の合成もしくは改変されたバージョンをコードする DNA 配列が含まれ得る。 数千とは言わないまでも数百の異なる遺伝子が知られており、これらは潜在的に本発明のトマト植物へ導入することができるであろう。トマト植物へ導入するために選択し得る特定の遺伝子および対応する表現型の非限定的な例としては、昆虫耐性のための1以上の遺伝子、例えばバチルス・チューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)(B.t.)遺伝子、有害生物耐性、例えば真菌性病害制御のための遺伝子、除草剤耐性、例えばグリホサート耐性をもたらす遺伝子、および質の改良、例えば収量、栄養強化、環境またはストレス耐性、または植物の生理、生育、発達、形態または植物の生産物におけるあらゆる望ましい変化のための遺伝子が挙げられる。例えば、構造遺伝子には、これらに限定されないが、引用により全体が本明細書に取り込まれる WO 99/31248、引用により全体が本明細書に取り込まれる米国特許第5,689,052号、引用により全体が本明細書に取り込まれる米国特許第5,500,365号および第5,880,275号に記載される Bacillus 昆虫制御タンパク質遺伝子を含む、昆虫耐性をもたらすあらゆる遺伝子が包含される。別の態様において、構造遺伝子は、これらに限定されないが、引用により全体が本明細書に取り込まれる米国特許第5,633,435号に記載される Agrobacterium CP4 株のグリホサート抵抗性 EPSPS 遺伝子 (aroA:CP4)、または引用により全体が本明細書に取り込まれる米国特許第5,463,175号に記載されるグリホサート酸化還元酵素遺伝子(GOX)を含む遺伝子によってもたらされる、除草剤グリホサートに対する耐性をもたらすことができる。 あるいは、DNA をコードする配列は、内在性遺伝子の発現の標的化された抑制を引き起こす非翻訳(non-translatable) RNA 分子をコードすることによって、例えばアンチセンスまたはコサプレッションに媒介されるメカニズムを介して、これらの表現型に影響を及ぼすことができる (例えば、Bird et al.、1991 を参照)。RNA は、所望の内在性 mRNA 産物を切断するよう操作された触媒性 RNA 分子(即ち、リボザイム)であってもよい(例えば、Gibson and Shillito、1997 を参照)。したがって、興味のある表現型または形態の変化をもたらすタンパク質または mRNA を生産するあらゆる遺伝子が、本発明の実行のために有用である。G. 定義 本明細書中の説明および表において、多くの用語が用いられる。明細書および特許請求の範囲の明確かつ一貫した理解を提供するために、以下の定義を提供する: 対立遺伝子: 遺伝子座の1以上の代替形態のいずれかであり、その対立遺伝子のすべてが1つの形質または特徴に関連する。二倍体の細胞または生物においては、所与の遺伝子の2つの対立遺伝子が1対の相同な染色体上の対応する遺伝子座を占める。 戻し交雑: 育種家が、雑種後代、例えば一代雑種(F1)を、該雑種後代の親の一方と繰り返し交雑する過程。戻し交雑は、1つの遺伝的背景からの1以上の単一遺伝子座変換を他の遺伝的背景の中へ導入するために用いることができる。 交雑: 2つの親植物を交配すること。 他家受粉: 異なる植物からの2つの配偶子の結合による受精。 二倍体: 2セットの染色体を有する細胞または生物。 除雄(Emasculate): 植物の雄性器官を除去すること、または細胞質もしくは核の遺伝因子または雄性不稔をもたらす化学物質を用いて該器官を不活化すること。 酵素: 生物学的反応において触媒として働く分子。 F1 雑種: 2つの非同質遺伝子(nonisogenic)植物の交雑の第一世代の後代。 遺伝子型: 細胞または生物の遺伝的構成。 半数体: 二倍体における2セットの染色体のうちの1セットを有する細胞または生物。 連鎖: 同じ染色体上の対立遺伝子が、それらの伝達が独立である場合に偶然によって期待されるよりも頻繁に、一緒に分離する傾向にある現象。 マーカー: 環境分散の要素が全く無い、即ち遺伝率が1である、容易に検出できる表現型であり、好ましくは共優性の様式で遺伝する(二倍体ヘテロ接合体における遺伝子座の両方の対立遺伝子が容易に検出できる)もの。 表現型: 遺伝子発現の現れである、細胞または生物の検出可能な特徴。 量的形質遺伝子座(QTL): 量的形質遺伝子座(QTL)とは、通常連続的に分布する数的に表すことができる形質をある程度制御する遺伝子座をいう。 抵抗性: 本明細書において、“抵抗性”および“耐性”の用語は、特定の有害生物、病原体、非生物的影響または環境条件に対して症状を示さない植物を説明するために互換的に用いられる。これらの用語は、いくらか症状を示すが、市場性のある生産物を許容可能な収量で生産することができる植物を説明するためにも用いられる。抵抗性または耐性と称される植物には、単に、該植物の発育が阻止され収量が現象しても、依然として作物を生産し得るという意味のものも存在する。 再生: 組織培養物からの植物の発生。 自家受粉: 同じ植物の葯から柱頭への花粉の移動。 単一遺伝子座変換植物: 戻し交雑と呼ばれる植物育種技術によって作出され、戻し交雑技術を介しておよび/または遺伝的形質転換によって品種へ導入される該単一遺伝子座の特徴に加えて、該トマト品種の本質的に全ての形態学的および生理学的特徴が回復している植物。 実質的に等価: 比較した場合に、平均から統計学的に有意な差異(例えば、p = 0.05)を示さない特徴。 組織培養物: 同一のもしくは異なる型の単離された細胞または植物体の部分へと組織化されたかかる細胞の集合を含む組成物。 導入遺伝子: 形質転換によってトマト植物のゲノム中へ導入された配列を含む遺伝子座。H. 寄託情報 上記のおよび特許請求の範囲に記載するトマト雑種 HNX12860544 および自殖親系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の寄託は、アメリカンタイプカルチャーコレクション(American Type Culture Collection (ATCC)、10801 University Blvd.、Manassas、VA 20110-2209)に行った。該寄託は、2009年3月31日に行った。トマト雑種 HNX12860544 および自殖親系統 FIR 128-1032 および FIR 128-1037 の寄託された種子の受入番号は、それぞれ ATCC 受入番号 PTA-9929、ATCC 受入番号 PTA-9930 および ATCC 受入番号 PTA-9931 である。特許が付与されれば、該寄託についての全ての制限は解除され、該寄託は 37 C.F.R. §1.801-1.809 の全ての要件を満たすよう意図される。該寄託は、30 年の期間、または最後の請求の後 5 年間、または特許の有効期間のいずれか長い期間の間、寄託機関において維持され、その期間中において必要であれば交換される。 前述の発明は、明確化および理解のため、例証および実施例によってある程度詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲によってのみ制限され、本発明の範囲内においていくらかの変更および修正が行われ得ることは自明である。 本明細書において引用した全ての参考文献は、引用によって明確に本明細書に取り込まれる。参考文献 以下の参考文献は、代表的な手順または本明細書に示す手順に対して補足的な他の詳細を提供する程度において、引用によって具体的に本明細書に取り込まれる:米国特許第5,378,619号米国特許第5,463,175号米国特許第5,500,365号米国特許第5,563,055号米国特許第5,633,435号米国特許第5,689,052号米国特許第5,880,275号An et al., Plant Physiol., 88:547, 1988.Bird et al., Biotech. Gen. Engin. Rev., 9:207, 1991.Bustos et al., Plant Cell, 1:839, 1989.Callis et al., Plant Physiol., 88:965, 1988.Choi et al., Plant Cell Rep., 13: 344-348, 1994.Dekeyser et al., Plant Cell, 2:591, 1990.Ellul et al., Theor. Appl. Genet., 107:462-469, 2003.EP 534 858Fraley et al., Bio/Technology, 3:629-635, 1985.Fromm et al., Nature, 312:791-793, 1986.Fromm et al., Plant Cell, 1:977, 1989.Gibson and Shillito, Mol. Biotech., 7:125,1997Klee et al., Bio-Technology, 3(7):637-642, 1985.Kuhlemeier et al., Plant Cell, 1:471, 1989.Marcotte et al., Nature, 335:454, 1988.Marcotte et al., Plant Cell, 1:969, 1989.Odel et al., Nature, 313:810, 1985. Omirulleh et al., Plant Mol. Biol., 21(3):415-428, 1993.Potrykus et al., Mol. Gen. Genet., 199:183-188, 1985.Roshal et al., EMBO J., 6:1155, 1987.Schaffner and Sheen, Plant Cell, 3:997, 1991.Schernthaner et al., EMBO J., 7:1249, 1988.Siebertz et al., Plant Cell, 1:961, 1989.Simpson et al., EMBO J., 4:2723, 1985.Terada and Shimamoto, Mol. Gen. Genet., 220:389, 1990.Uchimiya et al., Mol. Gen. Genet., 204:204, 1986.Wang et al., Science, 280:1077-1082, 1998.Williams et al., Nucleic Acids Res., 1 8:6531 6535, 1990.WO 99/31248 その種子のサンプルがそれぞれ ATCC 受入番号 PTA-9930 および ATCC 受入番号 PTA-9931 の下に寄託されているトマト系統 FIR 128-1032 またはトマト系統 FIR 128-1037 の少なくとも第一のセットの染色体を含むトマト植物。 その種子のサンプルがそれぞれ ATCC 受入番号 PTA-9930 および ATCC 受入番号 PTA-9931 の下に寄託されているトマト系統 FIR 128-1032 またはトマト系統 FIR 128-1037 の少なくとも第一のセットの染色体を含む種子。 自殖系統である、請求項1の植物。 雑種である、請求項1の植物。 その種子のサンプルが ATCC 受入番号 PTA-9929 の下に寄託されているトマト雑種 HNX12860544 である、トマト植物。 植物が、系統 FIR 128-1032 または系統 FIR 128-1037 の植物である、請求項1の植物。 請求項1の植物の植物体の部分。 葉、胚珠、花粉、果実または細胞としてさらに定義される請求項7の植物体の部分。 請求項1の植物の再生可能な細胞の組織培養物。 胚、成長点、子葉、花粉、葉、葯、根、根端、雌ずい、花、種子および茎からなる群から選択される植物体の部分からの細胞またはプロトプラストを含む、請求項9の組織培養物。 請求項10の組織培養物から再生されるトマト植物。 以下の工程を含む、請求項1の植物を栄養的に増殖させる方法: (a) 増殖することができる組織を請求項1の植物から収集する工程;(b) 増殖したシュートを得るため、該組織を培養する工程; および(c) 発根した小植物体を得るため、該増殖したシュートを発根させる工程。 該発根した小植物体から少なくとも第一の植物を生育させることをさらに含む、請求項12の方法。 以下の工程を含む、所望の形質をトマト系統へ導入する方法:(a) その種子のサンプルがそれぞれ ATCC 受入番号 PTA-9930 および ATCC 受入番号 PTA-9931 の下に寄託されている系統 FIR 128-1032 または FIR 128-1037 の植物を、所望の形質を含む第二のトマト植物と交雑して、F1 後代を得る工程;(b) 所望の形質を含む F1 後代を選抜する工程;(c) 選抜された F1 後代を系統 FIR 128-1032 または FIR 128-1037 の植物と戻し交雑して、戻し交雑後代を得る工程;(d) 所望の形質ならびにトマト系統 FIR 128-1032 または FIR 128-1037 の生理学的および形態学的特徴を含む戻し交雑後代を選抜する工程; および(e) 工程(c)および(d)を3回以上繰り返して、所望の形質を含む選抜された第4代以上の戻し交雑後代を得る工程。 請求項14の方法によって得られるトマト植物。 付加された形質を含む植物を作出する方法であって、該形質を付与する導入遺伝子を、その種子のサンプルがそれぞれ ATCC 受入番号 PTA-9929、ATCC 受入番号 PTA-9930 および ATCC 受入番号 PTA-9931 の下に寄託されている系統 HNX12860544、系統 FIR 128-1032 または系統 FIR 128-1037 の植物へ導入することを含む方法。 請求項16の方法によって作出される植物。 植物から核酸のサンプルを得る工程および該核酸において複数の多型を検出する工程を含む、請求項1の植物の遺伝子型を決定する方法。 該複数の多型の検出結果をコンピューター読み取り可能な媒体上に保存する工程をさらに含む、請求項18の方法。 導入遺伝子を含む、請求項1の植物。 導入遺伝子が、雄性不稔、除草剤耐性、昆虫抵抗性、有害生物抵抗性、病害抵抗性、改変された脂肪酸代謝、環境ストレス耐性、改変された炭水化物代謝および改変されたタンパク質代謝からなる群から選択される形質を付与する、請求項20の植物。 単一遺伝子座変換を含む、請求項1の植物。 単一遺伝子座変換が、雄性不稔、除草剤耐性、昆虫抵抗性、有害生物抵抗性、病害抵抗性、改変された脂肪酸代謝、環境ストレス耐性、改変された炭水化物代謝および改変されたタンパク質代謝からなる群から選択される形質を付与する、請求項22の植物。 以下の工程を含む、雑種 HNX12860544、系統 FIR 128-1032 または系統 FIR 128-1037 の少なくとも1つに由来する植物の種子を生産する方法:(a) 雑種系統 HNX12860544、系統 FIR 128-1032 または系統 FIR 128-1037 のトマト植物を、それ自身または第二のトマト植物と交雑する工程; ここで、該雑種および系統の種子のサンプルは、それぞれ ATCC 受入番号 PTA-9929、ATCC 受入番号 PTA-9930 および ATCC 受入番号 PTA-9931 の下に寄託されている; および(b) 雑種 HNX12860544、系統 FIR 128-1032 または系統 FIR 128-1037 に由来するトマト植物の種子を形成させる工程。 以下の工程をさらに含む、請求項24の方法:(c) 前記雑種 HNX12860544、FIR 128-1032 または FIR 128-1037 に由来するトマト種子から成長した植物を自殖して、雑種 HNX12860544、系統 FIR 128-1032 または系統 FIR 128-1037 に由来するさらなるトマト種子を生産する工程;(d) 前記工程(c)の雑種 HNX12860544、系統 FIR 128-1032 または系統 FIR 128-1037 に由来するさらなるトマト種子を成長させて、雑種 HNX12860544、系統 FIR 128-1032 または系統 FIR 128-1037 に由来するさらなるトマト植物を生産する工程; および(e) (c)および(d)の交雑および成長させる工程を繰り返して、少なくとも第一のさらなる雑種 HNX12860544、系統 FIR 128-1032 または系統 FIR 128-1037 に由来するトマト植物を生産する工程。 第二のトマト植物が、トマト自殖系統のものである、請求項24の方法。 以下の工程を含む、系統 FIR 128-1032 および系統 FIR 128-1037 に由来する植物の種子を生産する方法:(a) 系統 FIR 128-1032 を系統 FIR 128-1037 と交雑する工程、ここで、該系統の種子のサンプルはそれぞれ ATCC 受入番号 PTA-9930 および ATCC 受入番号 PTA-9931 の下に寄託されている; および(b) 系統 FIR 128-1032 および系統 FIR 128-1037 に由来するトマト植物の種子を形成させる工程。 以下の工程をさらに含む、請求項25の方法:(f) 前記さらなる雑種 HNX12860544、FIR 128-1032 または FIR 128-1037 に由来するトマト植物を第二のトマト植物と交雑して、雑種後代植物の種子を生産する工程。 請求項27の方法によって生産される雑種種子。 請求項29の種子を成長させることによって得られる植物。 請求項30の植物の植物体の部分。 葉、花、果実、胚珠、花粉または細胞としてさらに定義される、請求項31の植物体の部分。 請求項1の植物をそれ自身または第二のトマト植物と交雑する工程および種子を形成させる工程を含む、トマト種子を生産する方法。 以下の工程を含む、トマト果実を生産する方法:(a) 成熟するまで栽培された請求項1の植物を得る工程; および(b) 該植物からトマトを収穫する工程。


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