タイトル: | 公開特許公報(A)_ピーク検出方法及び装置 |
出願番号: | 2010130659 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | G01N 21/27,G01N 30/86 |
原田 知幸 JP 2011257206 公開特許公報(A) 20111222 2010130659 20100608 ピーク検出方法及び装置 株式会社島津製作所 000001993 特許業務法人京都国際特許事務所 110001069 原田 知幸 G01N 21/27 20060101AFI20111125BHJP G01N 30/86 20060101ALI20111125BHJP JPG01N21/27 ZG01N30/86 E 3 5 OL 9 2G059 2G059AA02 2G059EE01 2G059EE12 2G059MM04 本発明は、分光光度計などで取得されたスペクトルや液体クロマトグラフなどで取得されたクロマトグラムにおいてピークを検出するピーク検出方法及び装置に関する。 紫外可視分光光度計などの分光測定装置では、一般に、試料を測定することで得られたスペクトルデータに基づいて、横軸に波長、縦軸に吸光度や透過率、又は反射率をとったスペクトルが作成され、これが表示部の画面上に表示されるようになっている。また、分光測定装置のデータ処理装置には、得られたスペクトルに対し自動的にピークを検出し、検出した全てのピークについて波長及び吸光度などを画面上に表示する機能が備わっている。 スペクトルに現れるピークを検出する方法の一つとして、特許文献1に記載のピーク検出方法が従来知られている。図2により、このピーク検出方法を概略的に説明する。図2においては、丸印で示すのが波長走査により得られたスペクトルデータ点である。ピーク検出の際には、波長走査方向(又はその逆方向)に順次スペクトルデータ点の吸光度(強度値)を調べ、吸光度がN点連続で増加する範囲と、それ以降に続けてN点連続で減少する範囲とを見つけ、その両範囲を含み、該範囲で挟まれる区間の中で最大の吸光度を示すデータ点の吸光度をピークトップとして認識する。図2の例ではN=7であり、図中の範囲Aでは吸光度が7点連続して増加し、範囲Bでは吸光度が7点連続して減少している。そこで、範囲Aの最初のデータ点P1と範囲Bの最後のデータ点P5との間の区間Tの中で最大の吸光度を示すデータ点P3が吸収ピーク(ピークトップ)であると判断する。このようなピーク検出方法においては、強度増加範囲及び強度減少範囲を見つけるための判定閾値Nの値が正確なピーク検出に非常に重要である。 例えばスペクトルのノイズレベルが比較的高い場合、判定閾値Nの値が小さすぎるとノイズピークを吸収ピークであると誤検出する可能性が高くなる。一方、吸収ピークが比較的低い(吸収が弱い)ようなスペクトルに対して判定閾値Nの値が大きすぎると、検出すべき吸収ピークを検出できなくなる可能性が高くなる。このように正確なピーク検出のためには、スペクトルの状態に応じて判定閾値Nを適切に設定する必要がある。 そこで、従来は、次のような手順で判定閾値Nが決められるようになっている。即ち、まずピーク検出処理の初期には、デフォルトで与えられる判定閾値Nの初期値に基づいて解析対象のスペクトル全体(又は指定された波長範囲)に亘るピーク検出が実行され、検出されたピークの一覧表が表示部の画面上に示される。オペレータはこのピーク検出結果やスペクトル波形を確認しながら、手動操作により判定閾値Nの値を適宜に変更し、解析対象のスペクトルに対するピーク検出を再試行する。それにより得られるピーク検出結果をオペレータは検証し、必要であれば再び判定閾値Nを変更してピーク検出を再試行する、という作業を繰り返す。こうして、ノイズピークをできるだけ検出せず、本来の吸収ピークを確実に検出できるような判定閾値Nを見い出す。 しかしながら、スペクトルの性質に関係なく判定閾値Nの初期値は一定であるため、初期値のままで適切なピーク検出が行えるというケースは少なく、オペレータの手作業による判定閾値Nの変更とピーク検出の再試行という試行錯誤的な作業が多くの場合必要となる。また、スペクトルの性質によっては判定閾値Nの初期値と最適なNの値との乖離が大きい場合があり、判定閾値Nの変更とピーク検出の再試行とをかなり繰り返さないと適切な判定閾値Nを見つけることができないことがある。特開2001−289881号公報 本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、上述したようにデータ値(例えば吸光度)の連続増加及び連続減少を利用してピークを検出するピーク検出方法及び装置において、解析対象のスペクトル波形に基づいて、連続増加や連続減少を見つけるための判定閾値の適切な値を自動的に予測することにより、オペレータによる煩雑な作業の負担を軽減し効率のよい解析作業を行うことをその目的としている。 なお、本発明に係るピーク検出方法及び装置は、分光測定装置で得られる吸収スペクトルや透過スペクトル等のスペクトルのみならず、液体クロマトグラフやガスクロマトグラフで得られるクロマトグラムに現れるピークの検出にも利用することができる。 上記課題を解決するために成された本発明は、分析装置で得られるスペクトルやクロマトグラムのピークを検出するピーク検出方法であって、該スペクトル又はクロマトグラムを構成するテータ値が所定の判定閾値以上連続して増加する範囲とその後にデータ値が前記判定閾値以上連続して減少する範囲とを検出し、その連続増加範囲及び連続減少範囲で決まる区間の中で最大の強度を与えるデータをピークトップと判断するピーク検出方法において、 a)前記判定閾値を順次増加させながら解析対象のスペクトル若しくはクロマトグラムの全体又は指定された範囲のみについてピーク検出を実行し、検出されたピークの数を求めるピーク検出試行ステップと、 b)前記判定閾値が増加されるに従って順次求まるピーク検出数を監視し、前記判定閾値の変化に対するピーク検出数の変化が減少状態から安定状態に移行したことを検知して、該安定状態を与える判定閾値の範囲において該判定閾値を選定する判定閾値選定ステップと、 を実行することを特徴としている。 また上記課題を解決するために成された本発明に係るピーク検出装置は、分析装置で得られるスペクトルやクロマトグラムのピークを検出するピーク検出装置であって、該スペクトル又はクロマトグラムを構成するテータ値が所定の判定閾値以上連続して増加する範囲とその後にデータ値が前記判定閾値以上連続して減少する範囲とを検出し、その連続増加範囲及び連続減少範囲で決まる区間の中で最大の強度を与えるデータをピークトップと判断するピーク検出装置において、 a)前記判定閾値を順次増加させながら解析対象のスペクトル若しくはクロマトグラムの全体又は指定された範囲のみについてピーク検出を実行し、検出されたピークの数を求めるピーク検出試行手段と、 b)前記判定閾値が増加されるに従って順次求まるピーク検出数を監視し、前記判定閾値の変化に対するピーク検出数の変化が減少状態から安定状態に移行したことを検知して、該安定状態を与える判定閾値の範囲において該判定閾値を選定する判定閾値選定手段と、 を備えることを特徴としている。 本発明に係るピーク検出方法は、一般に、コンピュータに予めインストールされた専用のデータ処理プログラムを該コンピュータ上で実行することにより実施される方法であり、本発明に係るピーク検出装置は、上記専用のデータ処理プログラムをコンピュータ上で実行することにより具現化される装置である。 スペクトルやクロマトグラムを構成するデータ値の連続的な増加(単調増加)及び減少(単調減少)を見つけるための判定閾値が小さいほど、ノイズピークが検出され易い。そのため、判定閾値を例えば0又は1から増加させつつ各判定閾値においてピーク検出を試みると、当初、判定閾値の増加に伴いピーク検出数は大幅に減少してゆく。或る程度ノイズピークが除去された状態になると、判定閾値を増加させてもピーク検出数の減少は小さくなり、判定閾値を増加させてもピーク検出数が殆ど減らない安定状態に入る。このときには、ノイズによる偽ピークが除外されて真の吸収ピークのみが検出されていると推断できる。そこで、判定閾値選定ステップでは、例えば安定状態を与える判定閾値の範囲に入った直後の(つまり最小の)判定閾値が最適な値と推測し、これを選定する。例えば、こうして自動的に選定された判定閾値を初期値としてオペレータに提示し、必要に応じて(オペレータの判断に応じて)、適宜、判定閾値を変更したピーク検出が実行できるようにしてもよい。 なお、本発明に係るピーク検出方法の一態様として、前記判定閾値選定ステップは、前記判定閾値の増加に対するピーク検出数の変化が所定回連続して無い場合に安定状態であると判断するようにすればよい。 本発明に係るピーク検出方法及び装置によれば、解析対象のスペクトルやクロマトグラムの波形形状に応じて、ノイズピークを検出することなく真のピークの検出漏れができるだけ少ないような適切な判定閾値を自動的に決定することができる。従来の、スペクトルやクロマトグラムの波形形状に依らず一定である初期値に代えて上記のように自動的に決められた適切な値を判定閾値の初期値とすることにより、オペレータが自らの判断でより適切な判定閾値を探す場合でも、判定閾値の変更とピーク検出の実行との繰り返し回数を少なくすることができ、オペレータの負担が軽減されて作業効率も大幅に改善される。また、そうしたオペレータによる作業なしに適切なピーク検出が行える可能性も高くなる。本発明に係るピーク検出方法を用いた分光光度計の一実施例の概略構成図。ピーク検出方法の概念を説明する模式図。本実施例のピーク検出方法における初期パラメータ推定処理のフローチャート。解析対象である吸収スペクトルの一例を示す図。図4に示した吸収スペクトルを対象としたパラメータNと検出ピーク数P(N)との関係を示す図。 以下、本発明に係るピーク検出方法及び該方法を実施するピーク検出装置の一実施例を、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明に係るピーク検出装置を採用した分光光度計の一例の概略構成図である。 この分光光度計は、試料に対し所定波長範囲に亘る波長走査を行いつつ各波長における試料を透過した光の強度を取得する分光測定部1と、その強度信号をデジタル化するA/D変換器2と、分光測定により得られたデータ(スペクトルデータ)を処理するデータ処理部3と、データ処理部3に接続された操作部4及び表示部5を備える。 データ処理部3は、或る1つの試料に対する分光測定により得られたデータを収集して記憶するデータ収集部31と、データ収集部31に収集されたデータに基づいて所定波長範囲の吸収スペクトルを作成するスペクトル作成部32と、そのスペクトル上のピークを検出し、ピークトップの波長及び強度値の一覧であるピークテーブルを作成するピーク検出部33と、ピーク検出部33によるピーク検出アルゴリズムを利用しながら最適な初期パラメータNを自動的に見つける初期パラメータ推定部34と、を機能として含む。なお、データ処理部3の実体はパーソナルコンピュータで、このパーソナルコンピュータに予めインストールした専用のデータ処理ソフトウエアを該コンピュータ上で動作させることにより上記各機能を実現するようにしている。 まず、ピーク検出部33で実行される、任意のパラメータ値Nが設定されたときのピーク検出のアルゴリズムを図2により説明する。なお、これは従来のピーク検出方法として簡単に説明した内容をより詳しく説明したものである。 図2に示すような吸収スペクトルに対し、長波長側から短波長側に向かって(又はその逆方向に)、スペクトルを構成するデータ点の強度値(吸光度)を順次比較する。連続してN回以上強度値が増加していれば、その範囲を連続増加範囲とする。ここでの増加・減少は単調増加・単調減少であり、強度値が同一である場合も増加又は減少とみなす。図2の例では、Nは例えば7であり、7個連続して強度値が増加する範囲Aが連続増加範囲であると判断される。連続増加範囲が確認された場合には、それ以降、連続してN回以上強度値が減少する範囲を探し、該当する範囲があれば、その範囲を連続減少範囲とする。図2の例では、範囲Aの後に7個連続して強度値が減少する範囲Bが連続減少範囲であると判断される。 連続増加範囲と連続減少範囲とが見つかったならば、その連続増加範囲の最初のデータ(図2ではP1)とその連続減少範囲の最後のデータ(図2ではP5)との間の区間Tをピーク区間とする。そして、そのピーク区間の中で強度値が最大であるデータ点をピークトップであると認定し、ピークテーブルにピークトップの波長と強度値とを記録する。図2の場合には、P3がピークトップであると認定され、そのP3の波長と強度値とがピークテーブルにリストアップされる。以上のようにして或る1つのピークの検出が終了したならば、先の連続減少範囲の最後のデータ(図2ではP5)の次のデータを基点として、次の連続増加範囲の探索を開始する。そして、解析対象のスペクトル全体についてピーク検出を行うことにより、該スペクトル中の全てのピークの情報、つまりピークトップの波長と強度値とが記録されたピークテーブルが完成する。 図5は上記アルゴリズムに従ってピーク検出を行う場合のパラメータ(判定閾値)Nと検出されたピークの数P(N)との関係を示す図である。図5は図4に示した実際の吸収スペクトルに対してピーク検出を試みた結果である。真の吸収ピークは図4(a)中に下向き矢印で示した5個のみである。 図示するように、検出ピーク数P(N)はパラメータNの増加に伴い単調に減少する。パラメータNが小さい範囲では、強度値が連続的に増加しない又はしにくいノイズピークがふるい落とされてゆくため、パラメータNの増加に伴い検出ピーク数P(N)は急激に減少する。或る程度パラメータNが大きくなると、パラメータNの増加に対する検出ピーク数P(N)の減少は小さくなり、さらにパラメータNを増加させると検出ピーク数P(N)が変化しない安定状態に入る。これは、ほぼ全てのノイズピークが除去されたことによるものと推測できる。そこで、この安定状態の範囲でパラメータNを選べば、ノイズピークを除去したピーク検出が可能である。なお、図5には示していないが、実際にはパラメータNをさらに増加させると、検出ピーク数P(N)はさらに減少する。これは、真の吸収ピークのうち、比較的小さなピークが検出されなくなるためである。 この例では、パラメータNが増加しても検出ピーク数P(N)が変化しないという条件を連続5回満たしたときに、その最初のパラメータNを安定状態の範囲の開始点として定義し、これを最適パラメータとする。ただし、検出ピーク数P(N)が連続5回変化しないという状態が発生することなくN=20に到達した場合には、それ以上パラメータNを増加させても安定状態が現れる可能性は殆どないため、N=20を最適パラメータとみなす。図5の例では、N=12以降の範囲CにおいてパラメータNが増加しても検出ピーク数P(N)が変化しないという条件が連続5回満たされる。したがって、その範囲Cの中で最小のN=12が最適パラメータであるとみなされる。 次に、初期パラメータ推定部34で実行される、上記のような最適パラメータを推定するための具体的なデータ処理の手順を、図3のフローチャートを参照して説明する。 初期パラメータ推定部34において処理が開始されると、まず処理に必要な変数及び設定値が初期化される。具体的には、最適なパラメータNの推定に用いられる試行用のピーク検出パラメータである[N_TRIAL]を0、前回の検出ピーク数を示す[PREVIOUS_PEAKS]を0、今回の(最新の)検出ピーク数を示す[CURRENT_PEAKS]を0、検出ピーク数の連続不変回数を判定する一種の閾値である[STABLE_LENGTH]を5、に初期設定する(ステップS1)。まず[N_TRIAL]に設定されている値の下で上記アルゴリズムに従い、解析対象のスペクトルに対するピーク検出を実行する(ステップS2)。そして、その[N_TRIAL]における検出ピーク数を求め、これを[CURRENT_PEAKS]に格納する(ステップS3)。ステップS1の直後にステップS2の処理が実行される際には[N_TRIAL]=0であるから、検出ピーク数P(0)が[CURRENT_PEAKS]に格納される。 次に、最新の検出ピーク数[CURRENT_PEAKS]が前回の検出ピーク数[PREVIOUS_PEAKS]に一致するか否かを判定する(ステップS4)。初めてステップS4の判定処理を実行する際には通常、Noであるから、ステップS8へと進み、検出ピーク数の連続不変回数をカウントするための変数[CONSTANT_LENGTH]を0にリセットする。その後に、[N_TRIAL]をインクリメントし(ステップS9)、[CURRENT_PEAKS]に格納されている最新の検出ピーク数を[PREVIOUS_PEAKS]に記憶する(ステップS10)。この時点で、[PREVIOUS_PEAKS]の内容は最新の検出ピーク数に書き換えられる。さらに、[N_TRIAL]が上限値である20以下であるか否かを判定し(ステップS11)、20以下であればステップS2に戻り、インクリメントされた[N_TRIAL]の下でのピーク検出を再試行する。 上述したように、パラメータNが小さく検出ピーク数P(N)が減少しているときには、ステップS4でNoと判定されるため、上述したS2→S3→S4→S8→S9→S10→S11→S2…のステップによる処理を繰り返す。そして、インクリメントされた後の[N_TRIAL]における検出ピーク数がインクリメント前の[N_TRIAL]における検出ピーク数と同じであるとステップS4でYesと判定され、検出ピーク数の連続不変回数をカウントするための変数[CONSTANT_LENGTH]をインクリメントし(ステップS5)、その[CONSTANT_LENGTH]が[STABLE_LENGTH]に一致しているか否かを判定する(ステップS6)。ここでは初期設定により[STABLE_LENGTH]は5に設定されているが、これに限定されるものではない。 ステップS6において[CONSTANT_LENGTH]が[STABLE_LENGTH]に一致していない場合、つまり、パラメータNを増加させていったときに検出ピーク数P(N)が同一である状態が[STABLE_LENGTH]に設定された値に達するまでは、ステップS9へと進む。例えば、[CONSTANT_LENGTH]が4になって、次にパラメータNが1だけ増加された状態で[CURRENT_PEAKS]が[PREVIOUS_PEAKS]に一致しないと判定されると、ステップS4からS8へと進んで[CONSTANT_LENGTH]は4から0にリセットされてしまう。パラメータNを増加させていったときに検出ピーク数P(N)が同一である状態が[STABLE_LENGTH]に設定された値、この例では5に達すると、5回連続で同一検出ピーク数を与えたパラメータNの範囲が安定状態の範囲であると判断される。そして、その時点での[N_TRIAL]から[STABLE_LENGTH]を差し引くことで、計算上最適であると推測されるパラメータNの初期値を決定する(ステップS7)。 また、ステップS6からS7へ進むことなく、ステップS11において[N_TRIAL]が20を超えてしまった場合には、それ以上の処理を打ち切るべくステップS12へと進み、計算上最適であると推測されるパラメータNの初期値を20に決定する。 以上の処理により、解析対象のスペクトルにおいてノイズピークができるだけ除去され、且つ真の吸収ピークについてはできるだけ漏れのないピーク検出が可能なパラメータNが求まる。したがって、ここで求まったパラメータNを表示部5の画面上でオペレータに初期値として提示するとよい。また、このときのパラメータNの下でのピークテーブルを作成してスペクトルとともに表示部5の画面上に表示すれば、オペレータは自動的に決められたパラメータNの下で検出されたピークが適切であるか否かをすぐに確認することができる。 なお、上記実施例は一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜正や変更を行なえることは明らかである。例えば上記実施例は分光光度計で得られたスペクトルを解析対象としてピーク検出する場合を例に挙げたが、液体クロマトグラフやガスクロマトグラフなどで得られたクロマトグラムを解析対象としてピーク検出する場合にも適用できることは当然である。1…分光測定部2…A/D変換器3…データ処理部31…データ収集部32…スペクトル作成部33…ピーク検出部34…初期パラメータ推定部4…操作部5…表示部 分析装置で得られるスペクトルやクロマトグラムのピークを検出するピーク検出方法であって、該スペクトル又はクロマトグラムを構成するテータ値が所定の判定閾値以上連続して増加する範囲とその後にデータ値が前記判定閾値以上連続して減少する範囲とを検出し、その連続増加範囲及び連続減少範囲で決まる区間の中で最大の強度を与えるデータをピークトップと判断するピーク検出方法において、 a)前記判定閾値を順次増加させながら解析対象のスペクトル若しくはクロマトグラムの全体又は指定された範囲のみについてピーク検出を実行し、検出されたピークの数を求めるピーク検出試行ステップと、 b)前記判定閾値が増加されるに従って順次求まるピーク検出数を監視し、前記判定閾値の変化に対するピーク検出数の変化が減少状態から安定状態に移行したことを検知して、該安定状態を与える判定閾値の範囲において該判定閾値を選定する判定閾値選定ステップと、 を実行することを特徴とするピーク検出方法。 請求項1に記載のピーク検出方法であって、 前記判定閾値選定ステップは、前記判定閾値の増加に対するピーク検出数の変化が所定回連続して無い場合に安定状態であると判断することを特徴とするピーク検出方法。 分析装置で得られるスペクトルやクロマトグラムのピークを検出するピーク検出装置であって、該スペクトル又はクロマトグラムを構成するテータ値が所定の判定閾値以上連続して増加する範囲とその後にデータ値が前記判定閾値以上連続して減少する範囲とを検出し、その連続増加範囲及び連続減少範囲で決まる区間の中で最大の強度を与えるデータをピークトップと判断するピーク検出装置において、 a)前記判定閾値を順次増加させながら解析対象のスペクトル若しくはクロマトグラムの全体又は指定された範囲のみについてピーク検出を実行し、検出されたピークの数を求めるピーク検出試行手段と、 b)前記判定閾値が増加されるに従って順次求まるピーク検出数を監視し、前記判定閾値の変化に対するピーク検出数の変化が減少状態から安定状態に移行したことを検知して、該安定状態を与える判定閾値の範囲において該判定閾値を選定する判定閾値選定手段と、 を備えることを特徴とするピーク検出装置。 【課題】データ値の連続増加及び連続減少を探索してピークを見つけるピーク検出方法において、適切な検出条件を見つける作業を自動化・簡略化してオペレータの負担軽減と作業効率の改善を図る。【解決手段】データ値の連続増加範囲及び連続減少範囲を探索するための判定閾値Nを増加させてゆくと、ノイズピークが検出されなくなるので検出ピーク数P(N)は減少してゆく。そこで、判定閾値Nを増加させつつ解析対象のスペクトルについてピーク検出を実行し、判定閾値Nを増加させても検出ピーク数P(N)が変化しない範囲Cを見つける。そして、その範囲C内の最小の判定閾値Nが計算上最適な値であると推定し、これを初期値として提示する。【選択図】図5