タイトル: | 公開特許公報(A)_積層電極体型電池とその製造方法および異物検査方法 |
出願番号: | 2010120029 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | H01M 10/04,G01N 23/04,H01M 2/18 |
藤巻 寿隆 岩崎 宏明 JP 2011249095 公開特許公報(A) 20111208 2010120029 20100526 積層電極体型電池とその製造方法および異物検査方法 トヨタ自動車株式会社 000003207 特許業務法人コスモス特許事務所 110000291 藤巻 寿隆 岩崎 宏明 H01M 10/04 20060101AFI20111111BHJP G01N 23/04 20060101ALI20111111BHJP H01M 2/18 20060101ALI20111111BHJP JPH01M10/04 WG01N23/04H01M2/18 ZH01M10/04 Z 15 9 OL 25 2G001 5H021 5H028 2G001AA01 2G001BA11 2G001CA01 2G001KA03 2G001LA11 2G001MA05 2G001NA17 5H021EE04 5H021HH03 5H028AA05 5H028BB07 5H028BB11 5H028BB17 5H028CC10 5H028CC12 5H028HH05 本発明は,積層電極体型電池とその製造方法および異物検査方法に関する。さらに詳細には,積層電極体の内部における異物の有無を検査する異物検査方法とその方法に好適な積層電極体型電池とその製造方法に関するものである。 電池は,携帯電話やパーソナルコンピュータ等の電子機器,ハイブリッド車両や電気自動車等の車両など,多岐にわたる分野で利用されている。このような電池は,正極板と負極板と電解質とを備えるものである。また,正極板と負極板とを絶縁するために,これらの間にセパレータを設けることが一般的である。 このような電池の形状として,円筒型や角型などがある。これらの電池に用いられる電極体として,正極板および負極板を渦巻状に捲回した捲回電極体や,正極板および負極板を平積みした平積み電極体がある。このように正極板および負極板をそれらの間にセパレータをはさんで積層した積層電極体を有する電池を積層電極体型電池ということとする。 積層電極体型電池では,積層した正極板もしくは負極板とセパレータとの間に金属異物が入らないようにすることが好ましい。正極板もしくは負極板とセパレータとの間に金属異物が混入すると,内部短絡等が発生するおそれがあるからである。混入した金属異物が大きければ,その金属異物がセパレータを突き破るおそれがある。混入した金属異物がそれほど大きいものでなかった場合であっても,充放電を繰り返すうちに負極板等の表面から金属が析出して,その析出した金属がセパレータを突き破るおそれがある。 そのため,金属異物を検査する技術が開発されてきている。例えば,特許文献1には,蛍光X線を用いて正極板の正極合材層に金属異物が存在するか否かを検査する検査方法が開示されている。この検査方法では,正極板の板面方向に対し,斜めにX線を入射することとしている(特許文献1の図1等参照)。この検査方法により,正極板の正極合材層に混入した金属異物の有無を好適に検査することができるとしている。特開2003−14670号公報 しかし,金属異物は正極板の作成後の工程においても混入するおそれがある。例えば,正極板と負極板とを,それらの間にセパレータを挟み込みつつ積層する工程である。このように正極板と負極板とを積層する工程において,設備の磨耗により生じた金属粉が正極板や負極板とセパレータとの間に入り込むことがある。また,正極板や負極板を切断する際に生じた正極芯材や負極芯材のバリに起因する金属粉が,正極板や負極板とセパレータとの間に入り込むおそれもある。特許文献1のように正極板を単体で検査する検査方法では,このような積層する工程において混入する金属異物を検出することはできない。 また,正極芯材や負極芯材は,一般に金属である。そのため,積層電極体にX線を照射すると,少なくともX線の一部は正極芯材もしくは負極芯材に吸収される。また,正極芯材に形成される正極合材層や負極芯材に形成される負極合材層も,金属元素を含んでいればX線をよく吸収する。したがって,金属異物を検出する上で,これらの部材にX線をあまり吸収させないようにして検査を行うことが好ましい。強度の充分なX線が検出されるため,精度の高い測定を行うことができるからである。しかし,特許文献1のように,正極板の板面方向に対して斜めにX線を入射する検査方法では,X線は比較的よく吸収される。これでは精度の高い測定を行うことは困難である。 本発明は,前述した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,積層電極体の内部における金属異物の有無を好適に検査することのできる異物検査方法およびその検査に好適な積層電極体型電池とその製造方法を提供することである。 この課題の解決を目的としてなされた本発明の積層電極体型電池は,正極芯材の少なくとも片側の面の一部に正極合材層が形成された正極塗工部と正極合材層が形成されていない正極非塗工部とを有する正極板と,負極芯材の少なくとも片側の面の一部に負極合材層が形成された負極塗工部と負極合材層が形成されていない負極非塗工部とを有する負極板と,正極板と負極板とを絶縁するセパレータとが,正極板と負極板との間にセパレータを配置して積層された積層部と,正極非塗工部が積層部の一方から突出している正極端部と,負極非塗工部が積層部から正極端部の反対方向に突出している負極端部とを備える積層電極体を有するものである。そして,セパレータにおける正極端部と負極端部とのうち一方の側の厚みが,他方の側の厚みよりも厚く,積層電極体における正極端部と負極端部とのうち一方の側の厚みが,他方の側の厚みよりも厚い。かかる積層電極体型電池は,X線による異物検査方法により,正極板とセパレータとの間もしくは負極板とセパレータとの間に挟まれている金属異物の有無を検査しやすい。 上記に記載の積層電極体型電池において,セパレータにおける正極端部の側の厚みが,負極端部の側の厚みよりも厚く,積層電極体における正極端部の側の厚みが,負極端部の側の厚みよりも厚いとよい。正極端部の側で,負極からの析出異物による短絡を防ぐことができるからである。セパレータの厚みが厚い分だけ内部短絡が生じにくい。 上記に記載の積層電極体型電池において,積層電極体を収容している電池容器を有し,電池容器における正極端部と負極端部とのうち一方の側の厚みが,他方の側の厚みよりも厚いとなおよい。電池容器の内部のデッドスペースが小さいからである。よって,当該電池は,内部短絡の抑制効果が高いものであるとともに,その体積エネルギー密度も比較的高いものである。 上記に記載の積層電極体型電池において,積層電極体が,扁平形状の捲回電極体であってもよい。かかる形状であっても,異物検査を好適に行うことができるからである。 上記に記載の積層電極体型電池において,積層電極体が,円錐台形状の捲回電極体であってもよい。かかる形状であっても,異物検査を好適に行うことができるからである。 上記に記載の積層電極体型電池において,積層電極体が,上層から下層まで平積みに積層された電極体であってもよい。かかる形状であっても,異物検査を好適に行うことができるからである。 また,本発明に係る積層電極体型電池の製造方法は,正極芯材の少なくとも片側の面の一部に正極合材層が形成された正極塗工部と正極合材層が形成されていない正極非塗工部とを有する正極板と,負極芯材の少なくとも片側の面の一部に負極合材層が形成された負極塗工部と負極合材層が形成されていない負極非塗工部とを有する負極板と,正極板と負極板とを絶縁するセパレータとを,正極非塗工部を一方に突出させて正極端部とするとともに,負極非塗工部を正極非塗工部の反対方向に突出させて負極端部とするように,正極板と負極板との間にセパレータを積層して積層電極体とする積層電極体積層工程と,拡散するX線を積層電極体に照射して積層電極体の内部における金属異物の有無を検査する異物検査工程と,積層電極体を電池容器に挿入して電解液を注入する電池組立工程とを有する。そして異物検査工程は,拡散するX線を,積層電極体における積層方向に直交する方向と,拡散するX線の中心の方向とのなす角の角度がX線照射角度の範囲内にある方向から積層電極体に向けて照射し,積層電極体を透過したX線のX線強度を検出することにより,積層電極体における金属異物の有無を検査するX線検出工程と,積層電極体に金属異物が発見されなかった場合に,その積層電極体を電池組立工程に用いることとするとともに,積層電極体に金属異物が発見された場合に,その積層電極体を電池組立工程に用いないこととする判断工程とを有する。かかる積層電極体型電池の製造方法では,積層電極体に金属異物がほとんど混入していない積層電極体型電池を製造することができる。 上記に記載の積層電極体型電池の製造方法において,異物検査工程では,拡散するX線を,積層電極体における積層方向に直交する方向と,拡散するX線の中心の方向とのなす角の角度が0°〜5°の範囲内にある方向から積層電極体に向けて照射するとよい。このようにしても,積層電極体に金属異物がほとんど混入していない積層電極体型電池を製造することができることに代わりないからである。 上記に記載の積層電極体型電池の製造方法において,積層電極体として,セパレータにおける正極端部と負極端部とのうち一方の側の厚みが,他方の側の厚みよりも厚く,積層電極体における正極端部と負極端部とのうち一方の側の厚みが,他方の側の厚みよりも厚いものを用い,X線検出工程では,正極端部と負極端部とのうち厚みの薄いものの方向から,積層電極体にX線を照射するとよい。精度の高い検査により,金属異物の混入する可能性を抑制することができるからである。 また,本発明に係る異物検査方法は,正極芯材の少なくとも片側の面の一部に正極合材層が形成された正極塗工部と正極合材層が形成されていない正極非塗工部とを有する正極板と,負極芯材の少なくとも片側の面の一部に負極合材層が形成された負極塗工部と負極合材層が形成されていない負極非塗工部とを有する負極板と,正極板と負極板とを絶縁するセパレータとが,正極非塗工部を一方に突出させて正極端部とされるとともに,負極非塗工部を正極非塗工部の反対方向に突出させて負極端部とされており,正極板と負極板との間にセパレータを配置して積層された積層電極体に,拡散するX線を照射して正極板とセパレータとの間もしくは負極板とセパレータとの間の金属異物の有無を検査する方法である。そして,拡散するX線を,積層電極体における積層方向に直交する方向と,拡散するX線の中心の方向とのなす角の角度がX線照射角度の範囲内にある方向から積層電極体に向けて照射し,積層電極体を透過したX線のX線強度を検出することにより,積層電極体の金属異物の有無を検査する。かかる異物検査方法では,X線を正極板や負極板にあまり吸収させないで,積層電極体に金属異物が混入しているか否かを検査することができる。したがって,混入している金属異物を高い精度で検出することができる。 上記に記載の異物検査方法において,拡散するX線を,積層電極体における積層方向に直交する方向と,拡散するX線の中心の方向とのなす角の角度が0°〜5°の範囲内にある方向から積層電極体に向けて照射するとよい。このようにしても,混入している金属異物を高い精度で検出することができることに変わりないからである。 上記に記載の異物検査方法において,積層電極体として,セパレータにおける正極端部と負極端部とのうち一方の側の厚みが,他方の側の厚みよりも厚く,積層電極体における正極端部と負極端部とのうち一方の側の厚みが,他方の側の厚みよりも厚いものを用い,正極端部と負極端部とのうち厚みの薄いものの方向から,積層電極体にX線を照射するとよい。より高い精度で金属異物の有無を検査することができるからである。 上記に記載の異物検査方法において,積層電極体が,扁平形状の捲回電極体であってもよい。かかる形状であっても,異物検査を好適に行うことができるからである。 上記に記載の異物検査方法において,積層電極体が,円錐台形状の捲回電極体であってもよい。かかる形状であっても,異物検査を好適に行うことができるからである。 上記に記載の異物検査方法において,積層電極体が,上層から下層まで平積みに積層された電極体であってもよい。かかる形状であっても,異物検査を好適に行うことができるからである。 本発明によれば,積層電極体の内部における金属異物の有無を好適に検査することのできる異物検査方法およびその検査に好適な積層電極体型電池とその製造方法が提供されている。第1の実施形態に係る捲回電極体型電池である電池セルの構造を説明するための正面からの透視図である。第1の実施形態に係る捲回電極体を説明するための斜視図である。第1の実施形態に係る捲回電極体を説明するための正面図である。第1の実施形態に係る捲回電極体を図2の矢印Dの方向からみた図である。実施形態に係る捲回電極体の捲回構造を説明するための展開図である。実施形態に係る捲回電極体型電池の正極板の構造を説明するための斜視断面図である。実施形態に係る捲回電極体型電池の負極板の構造を説明するための斜視断面図である。第1の実施形態に係る捲回電極体の積層構造を図5の矢印Kの方向からみた図である。第1の実施形態に係る捲回電極体の断面構造を説明するための断面図である。実施形態に係る捲回電極体型電池の捲回電極体の異物検査装置を説明するための概略構成図である。第1の実施形態に係る捲回電極体の異物検査方法を説明するための図(その1)である。第1の実施形態に係る捲回電極体の異物検査方法を説明するための図(その2)である。実施形態に係る捲回電極体に金属異物がなかった場合に異物検査装置により検出されるX線のX線強度を画像化した画像を示す図である。実施形態に係る捲回電極体に金属異物があった場合に異物検査装置により検出されるX線のX線強度を画像化した画像を示す図である。実施形態に係る捲回電極体型電池の正極板および負極板を作成するための塗工乾燥機を説明するための概略構成図である。実施形態に係る捲回電極体の捲回装置を説明するための概略構成図である。第1の実施形態に係る組電池を説明するための概略構成図である。第1の実施形態に係る別の組電池を説明するための概略構成図(その1)である。第1の実施形態に係る別の組電池を説明するための概略構成図(その2)である。第1の実施形態に係る円錐台形状の捲回電極体を説明するための斜視図である。実施形態に係る別の捲回電極体の異物検査方法を説明するための模式図である。第2の実施形態に係る捲回電極体の断面構造を説明するための断面図である。第1の実施形態に係る捲回電極体の異物検査方法を説明するための図である。 以下,本発明を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,捲回電極体型のリチウムイオン二次電池とその製造方法およびX線を用いた捲回電極体の異物検査方法について,本発明を具体化したものである。(第1の実施形態)1.捲回電極体型電池 本実施の形態に係る捲回電極体型電池について説明する。図1は,本形態に係る電池セル10の正面からの透視図である。電池セル10は,電池容器13の内部に捲回電極体100を有する捲回電極体型のリチウムイオン二次電池である。また,捲回電極体100には,正極端子11と,負極端子12とが接合されている。また,電池容器13の内部には電解液が注入されている。 電池容器13の内部に注入された電解液は,有機溶媒に電解質を溶解させたものである。有機溶媒として例えば,プロピレンカーボネート(PC),エチレンカーボネート(EC),ジメチルカーボネート(DMC),ジエチルカーボネート(DEC),エチルメチルカーボネート(EMC),1,2−ジメトキシエタン,1,2−ジエトキシエタン,テトラヒドロフラン,2−メチルテトラヒドロフラン,ジオキサン,1,3−ジオキソラン,エチレングリコールジメチルエーテル,ジエチレングリコールジメチルエーテル,アセトニトリル,プロピオニトリル,ニトロメタン,N,N−ジメチルホルムアミド,ジメチルスルホキシド,スルホラン,γ−ブチラクトン等の非水系溶媒またはこれらを組み合わせた溶媒を用いることができる。 また,電解質である塩として,過塩素酸リチウム(LiClO4)やホウフッ化リチウム(LiBF4),六フッ化リン酸リチウム(LiPF6),六フッ化砒酸リチウム(LiAsF6),LiCF3SO3,LiC4F9SO3,LiN(CF3SO2)2,LiC(CF3SO2)3,LiIなどのリチウム塩を用いることができる。 図2に,本形態の捲回電極体100の斜視図を示す。捲回電極体100は,捲回構造を有している。図2では,捲回構造を簡略化して描いてある。そしてその全体の形状は,扁平形状である。捲回電極体100は,正極端部101と,負極端部102と,積層部103とを有している。図2の正極端部101は,積層部103から突出している正極芯材からなり,図1の正極端子11と接合される部分である。図2の負極端部102は,積層部103から突出している負極芯材からなり,図1の負極端子12と接合される部分である。また,正極端部101と負極端部102では,互いに反対方向に正極芯材もしくは負極芯材が突出している。積層部103は,正極板,負極板,セパレータが積み重なって配置された状態で捲回されている部分である。その構造については後述する。なお,図2中の矢印Aは,捲回電極体100の幅方向を示している。この矢印Aで示す幅方向は,捲回電極体100の捲回軸方向と一致する。 図3は,捲回電極体100について図1と同じ方向から見た正面図である。図3の矢印Aは,図2の矢印Aと同じ方向である。また,図2との対比から分かるように,図3の矢印Qで示す領域は,各部材が平面形状となっている平面部Qである。図3の矢印Rで示す領域は,各部材が円弧形状となっている曲面部Rである。また,図3に示すように,曲面部Rでは,正極端部101の側の長さW3が,負極端部102の側の長さW4より狭い。この長さの違いは,後述するように,セパレータの厚みの違いに起因するものである。 図4は,捲回電極体100を図2の矢印Dの方向からみた図である。図4中の矢印Aは,図2中の矢印Aと同じ捲回電極体100の幅方向である。本形態の捲回電極体100の厚みは,その幅方向である図4中の矢印Aの方向に,なだらかに変化している。すなわち,正極端部101から負極端部102に向かって連続的にその厚みが厚くなっている。つまり,負極端部102の厚みW2は正極端部101の厚みW1に比べて厚い。この厚みの違いも,後述するように,セパレータの厚みの違いに起因するものである。ここで,正極端部101の厚みW1は,20mm程度である。負極端部102の厚みW2は,22mm程度である。ただし,これらの値は例示であり,巻数等により変わるものである。 図5は,捲回電極体100の捲回構造を示す展開図である。捲回電極体100は,図5に示すように,内側から正極板P,セパレータS,負極板N,セパレータTの順に積み重ねた状態で捲回されたものである。ここで,セパレータS,Tには,ポリエチレンやポリプロピレン等の微多孔膜が用いられる。上記の捲回順の理解のために符号をS,Tとして区別しただけであり,セパレータSとセパレータTとは実際には同じ材質の絶縁部材である。 図5に示すように正極板Pには,正極塗工部P1と,正極非塗工部P2とがある。正極塗工部P1は,正極芯材に正極活物質等を塗工した箇所である。正極非塗工部P2は,正極芯材に正極活物質等を塗工していない箇所である。したがって正極塗工部P1の厚みは,正極非塗工部P2の厚みよりも厚い。そして正極非塗工部P2は,正極端部101となる箇所である。 負極板Nには,負極塗工部N1と,負極非塗工部N2とがある。負極塗工部N1は,負極芯材に負極活物質等を塗工した箇所である。負極非塗工部N2は,負極芯材に負極活物質等を塗工していない箇所である。したがって負極塗工部N1の厚みは,負極非塗工部N2の厚みよりも厚い。そして負極非塗工部N2は,負極端部102となる箇所である。 図5中の矢印Aは,正極板P,負極板N,セパレータS,Tの幅方向(図2の矢印Aの方向)を示している。図5中の矢印Bは,正極板P,負極板N,セパレータS,Tの長手方向(図2の捲回電極体100の捲回方向)を示している。 図6は,正極板Pの斜視断面図である。図6中の矢印Aが示す方向は,図5中の矢印Aが示す方向と同じである。すなわち,正極板Pの幅方向である。図6中の矢印Bが示す方向は,図5中の矢印Bが示す方向と同じである。すなわち,正極板Pの長手方向である。 図6に示すように,正極板Pは,帯状の正極芯材PBの両面の一部に正極合材層PAが形成されたものである。図6中の左側には,正極板Pの正極非塗工部P2が幅方向に突出している。正極非塗工部P2は,帯状に形成されている。正極非塗工部P2は,正極芯材PBの両面ともに正極合材が塗布されていない領域である。したがって正極非塗工部P2では,正極芯材PBがむき出したままの状態にある。一方,図6中の右側には,正極非塗工部P2に対応するような突出部はない。正極塗工部P1では,正極芯材PBの両面に一様の厚みで正極合材層PAが形成されている。 正極合材層PAは,正極芯材PBであるアルミ箔にリチウムイオンを吸蔵・放出可能な正極活物質の他に,導電材,結着材,増粘材を含む合材を塗布して形成された層である。正極活物質として,ニッケル酸リチウム(LiNiO2),マンガン酸リチウム(LiMnO2),コバルト酸リチウム(LiCoO2)等のリチウム複合酸化物などが用いられる。 正極用の導電材として,カーボン粉末やカーボンファイバー等のカーボン材料を用いることができる。例えば,アセチレンブラック,ファーネスブラック,ケッチェンブラック等のカーボンブラック,グラファイト粉末,などのカーボン粉末である。 正極用の結着材は,電解液に不溶性(または難溶性)であって,正極用ペーストに用いる溶媒に分散するポリマーであるとよい。例えば,ポリフッ化ビニリデン(PVDF),ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA),テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP),エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂,酢酸ビニル共重合体,スチレンブタジエンゴム(SBR),アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス),アラビアゴム等のゴムを用いることができる。または,これらの組み合わせを用いてもよい。結着材は,必ずしも上記のポリマーに限定されない。 正極用の増粘材として,カルボキシメチルセルロース(CMC),メチルセルロース(MC),酢酸フタル酸セルロース(CAP),ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC),ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)等のセルロースが用いられる。ただし,必ずしも上記したようなセルロースに限らず用いることができる。 溶媒として,水が挙げられる。その他に,N−メチル−2−ピロリドン(NMP,以下NMPという)を用いてもよい。また,その他の低級アルコールや低級ケトンを用いることもできる。 図7は,負極板Nの斜視断面図である。図7中の矢印Aが示す方向は,図5中の矢印Aが示す方向と同じである。すなわち,負極板Nの幅方向である。図7中の矢印Bが示す方向は,図5中の矢印Bが示す方向と同じである。すなわち,負極板Nの長手方向である。 図7に示すように,負極板Nは,帯状の負極芯材NBの両面の一部に負極合材層NAが形成されたものである。負極合材層NAは基材である負極芯材NBの両側の面に形成されている。したがって負極板Nでは,図中の上側から,負極合材層NA,負極芯材NB,負極合材層NAがこの順に配置されている。 図7中の右側には,負極板Nの負極非塗工部N2が幅方向に突出している。負極非塗工部N2は,帯状に形成されている。負極非塗工部N2は,負極芯材NBの両面ともに負極合材が塗布されていない領域である。したがって負極非塗工部N2では,負極芯材NBがむき出したままの状態にある。一方,図7中の左側には,負極非塗工部N2に対応するような突出部はない。負極塗工部N1では,負極芯材NBの両面に一様な厚みで負極合材層NAが形成されている。 負極合材層NAは,負極芯材NBである銅箔に負極活物質,結着材,増粘材を含む合材を塗布して乾燥させた層である。負極活物質は,リチウムイオンを吸蔵・放出可能な物質である。負極活物質として,少なくとも一部にグラファイト構造を含む炭素系物質が用いられる。例えば,非晶質炭素,難黒鉛化炭素(ハードカーボン),易黒鉛化炭素(ソフトカーボン),黒鉛(グラファイト),またはこれらを組み合わせた構造を有する炭素材料を用いることができる。 負極用の結着材は,電解液に不溶性(または難溶性)であって,負極用ペーストに用いる溶媒に分散するポリマーであるとよい。例えば,ポリフッ化ビニリデン(PVDF),ポリテトラフルオロエチレン(PTFE),テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA),テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP),エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素系樹脂,酢酸ビニル共重合体,スチレンブタジエンゴム(SBR),アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス),アラビアゴム等のゴムを用いることができる。または,これらの組み合わせを用いてもよい。結着材は,必ずしも上記のポリマーに限定されない。 負極用の増粘材として,カルボキシメチルセルロース(CMC),メチルセルロース(MC),酢酸フタル酸セルロース(CAP),ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC),ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)等のセルロースが用いられる。ただし,必ずしも上記したようなセルロースに限らず用いることができる。 溶媒として,水が挙げられる。NMPを用いてもよい。また,その他の低級アルコールや低級ケトンを用いることもできる。 図8は,捲回電極体100の積層構造について図5の矢印Kの方向からみた図である。図8中の矢印Aは,図5中の矢印Aと同じ方向を示している。また,図8中の矢印Xは,正極板P,負極板N,セパレータS,Tの積層方向を示している。セパレータSおよびセパレータTの厚みは,図8に示すように,セパレータS,Tの幅方向,すなわち矢印Aの方向に連続的に変化している。つまり,正極芯材PBの突出している図8中左側で,セパレータS,Tの厚みが薄い。負極芯材NBの突出している図8中右側で,セパレータS,Tの厚みが厚い。セパレータS,Tの左側の端部での厚みと,セパレータS,Tの右側の端部での厚みとの比は,1:2程度である。この厚みの比はあくまで例示であり,この値に限らない。 図8に示すように,セパレータSの厚みは,傾斜面S1と傾斜面S2との間の距離である。傾斜面S1と傾斜面S2とは互いに平行ではない。傾斜面S1と傾斜面S2との間の距離は,図8中の左側で小さく,右側で大きい。セパレータTの傾斜面T1,T2についても,セパレータSと同様である。後述するように,X線の一部がこれらの傾斜面S1,S2,T1,T2に沿って照射されるように,これらの傾斜面S1,S2,T1,T2の傾きは設計されている。 図9は,図2のCC断面の一部を示した断面図である。捲回電極体100の断面構造を分かりやすくするために模式的に描いてある。図9中の左側には,正極芯材PBが突出している。この突出した部分は,図4中の正極端部101に対応している。同様に,図9中の右側には,負極芯材NBが突出している。この突出した部分は,図4中の負極端部102に対応している。 図9に示すように,捲回電極体100の捲回軸方向,すなわち図9中の矢印Aの方向に,セパレータSおよびセパレータTの厚みが連続的に変化している。そして,正極端部101の側では,セパレータSおよびセパレータTの厚みはともに薄い。負極端部102の側では,セパレータSおよびセパレータTの厚みはともに厚い。すなわち,セパレータS,Tにおける正極端部101の側の厚みは,負極端部102の側の厚みよりも薄い。セパレータS,T以外の部材,すなわち正極板Pおよび負極板Nの厚みは,捲回軸方向,すなわち図9中の矢印Aの方向に変化しない。したがって,捲回電極体100の捲回軸方向における厚みの違いは,セパレータS,Tの厚みの違いによるものである。2.捲回電極体の異物検査方法2−1.X線検査装置 本実施の形態に係る捲回電極体の異物検査方法について説明する。図10に捲回電極体100の内部を検査するX線検査装置3000の概略構成図を示す。X線検査装置3000は,捲回電極体100の内部に金属異物があるか否かを検査するための異物検査装置である。このX線検査装置3000は,従来からあるものでよい。 まず,X線検査装置3000の構成について説明する。X線検査装置3000は,捲回電極体100に捲回軸方向にX線を入射させることにより,金属異物の有無を検査するものである。X線検査装置は3000,X線照射装置3010と,X線検出装置3020と,解析装置3030と,出力装置3040とを有している。 X線照射装置3010は,その内部で発生させたX線を矢印Iの向きに照射するためのものである。X線検出装置3020は,検査対象物である捲回電極体100を透過して矢印Jの向きに進行するX線を検出するためのものである。解析装置3030は,X線検出装置3020で検出されたX線の強度分布の画像データを作成するとともに,捲回電極体100の内部にある金属異物の有無を判断するためのものである。出力装置3040は,解析装置3030により作成された画像データを出力するためのものである。 続いて,X線検査装置3000を用いた捲回電極体100の内部における金属異物の検査方法について説明する。図10に示すように,X線照射装置3010から矢印Iの向きにX線が照射される。矢印Iの向きは,捲回電極体100の捲回軸に平行な方向である。そして矢印Iの向きは,厚みの薄い正極端部101の側から厚みの厚い負極端部102の側に向かう方向である。ただし実際には,後述するように,X線は矢印Iの方向からある程度の広がりをもって照射される。そして,捲回電極体100を透過したX線は,矢印Jの向きに進行する。そして,X線は,X線検出装置3020により検出されることとなる。 X線検出装置3020により検出されたX線は,解析装置3030により解析される。解析装置3030は,検出されたX線の強度分布のデータを作成するとともに,その強度分布のデータを画像化する。そしてその画像を適宜出力装置に出力するようにすればよい。金属異物の有無は,検査技術者がその画像を目視により確認して判断することとしてもよい。もしくは,金属異物のない強度分布のデータを予め用意しておき,それと比較することにより金属異物の有無を判断することとしてもよい。2−2.金属異物の検査方法 ここで,本形態における捲回電極体100の異物検査方法についてより詳細に説明する。図11は,X線検査装置3000により捲回電極体100を検査している状態を説明するための断面模式図である。X線照射装置3010は,照射中心Lを中心に角度θの広がりをもったX線を捲回電極体100に向けて照射している。つまり,X線は照射中心Lを中心にコーン状に拡散しつつ進行することとなる。ここで,照射中心Lとは,X線の広がりの中心となる方向である。X線の広がりの角度θ(X線照射角度)の値は,およそ20°〜30°程度である。 ここで,捲回中心Mと照射中心Lとは一致している。捲回中心Mは積層方向Xに直交している。また,積層方向Xの中心もしくはその隣に位置する正極板Pまたは負極板Nの板面方向と照射中心Lとは一致している。その板面方向と積層方向とは直交している。また,積層方向Xの最も両外側にある正極板Pまたは負極板Nの板面方向L1,L2の2等分線は,照射中心Lと一致している。 図11に示すように,コーン状に拡散して捲回電極体100を透過するX線は,セパレータS,T,正極板P,負極板Nのいずれか一つだけを透過するように進行する。より詳細には,セパレータS,T,正極芯材PB,正極合材層PA,負極芯材NB,負極合材層NAのうちのいずれか一つだけを透過する。詳細については後述する。 ここで,セパレータS,T,正極芯材PB,正極合材層PA,負極芯材NB,負極合材層NAにおけるX線の吸収能力について説明する。X線の吸収能力は,主に各部材の材料によっている。もちろん,物質の密度にも依存する。上記の各部材についてX線を吸収しやすい順番に並べると,負極芯材NB(Cu),正極合材層PA(Ni,Co,Mn等),正極芯材PB(Al),負極合材層NA(C等),セパレータS,T(C等)の順である。負極合材層NAとセパレータS,Tとは双方とも炭素原子(C)を含んでいる。しかし,負極合材層NAの密度は,セパレータS,Tの密度より充分に高い。例えば,黒鉛の密度は,ポリエチレンの密度の2倍程度である。したがって,これらの部材におけるX線の吸収しやすさに差異がある。 透過した部材がX線を吸収しにくい部材であるほど,X線検出装置3020により検出されるX線のX線強度は強い。したがって,X線検出装置3020により検出されるX線のX線強度の強さを,透過する部材の順番に並び替えると次のようである。すなわち,セパレータS,T,負極合材層NA,正極芯材PB,正極合材層PA,負極芯材NBの順番である。 図11では,最もX線を吸収しにくいセパレータS,Tを透過したX線を,実線の矢印で示す。正極芯材PB,負極芯材NB,正極合材層PA,負極合材層NAを透過したX線を,図11の破線の矢印で示す。 図12は,図11の一部を拡大した図である。図12に示すように,コーン状に拡散するX線の少なくとも一部は,セパレータSと正極合材層PAとの境界面である傾斜面S1に沿って進行する。つまり,境界面を検査すべきX線が,正極合材層PAの一部に遮られるおそれがない。なぜならば,X線の入射方向と,傾斜面S1,S2とが一致するように,傾斜面S1,S2の傾きが設計されているからである。そのために,セパレータSの傾斜面S1,S2の傾きと,X線照射装置3010と捲回電極体100との間隔を決定する必要がある。したがって,セパレータSと正極合材層PAとの境界面について,好適に異物検査を行うことができる。セパレータTの傾斜面T1,T2についても同様である。2−2−A.金属異物が存在していなかった場合 ここで,捲回電極体100に金属異物が存在していなかった場合について,図13により説明する。図13は,出力装置3040に出力された画像化されたX線の強度分布の画像を模式的に示した図である。本来は,捲回電極体100の扁平形状(平面部Qおよび曲面部R)が表れるはずである。しかし,説明の簡単のために,曲面部Rに相当する画像部分は省略してある。よって,平面部Qを例に挙げて説明する。 図13中の矢印Eは,図12中の矢印Eと同じ方向である。また,図13中,括弧内で表される(S)は,セパレータSを透過したX線を検出した領域であることを示している。その他の括弧内の符号についても同様である。 図13では,セパレータSを透過したX線を検出した領域(S)にはハッチングが施されていない。この領域(S)は,最もX線強度が強い領域である。正極合材層PAを透過したX線を検出した領域(PA)および負極合材層NAを透過したX線を検出した領域(NA)にはスラッシュのハッチングが施されている。 前述のとおり,領域(PA)では,X線強度は充分に弱い。したがって,領域(PA)と領域(S)とのコントラストは比較的強い。したがって,セパレータSと正極合材層PAとの境界面を,好適に検査することができる。一方,領域(NA)では,領域(PA)に比べてX線強度は強い。しかし,領域(NA)と領域(S)とのコントラストはある程度強い。そのため,検査に支障はない。なお,セパレータTと正極合材層PAもしくは負極合材層NAとの境界面についても同様である。2−2−B.金属異物が存在していた場合 ここで,捲回電極体100に金属異物が存在していた場合について,図14により説明する。図14は,出力装置3040に出力された画像化されたX線の強度分布の画像を模式的に示した図である。図14は,図13に対応する図である。曲面部Rに相当する画像部分が省略してある点は,図13と同様である。 図14は,セパレータSと正極合材層PAとの間に金属異物が挟まれている捲回電極体100を検査した場合の画像である。前述のとおり,領域(S)では,X線強度は強い。領域(G)は,金属異物の存在している箇所を透過したX線が検出された領域である。金属異物は,セパレータSに比べてX線をよく吸収する。ここで金属異物とは,磨耗により生じたFe,芯材のバリから生じたCu,Al等である。したがって,領域(G)で検出されるX線のX線強度は,セパレータSのみを透過したX線のX線強度に比べて充分に弱い。そして,領域(PA)で検出されるX線のX線強度は,領域(G)で検出されるX線のX線強度よりもさらに弱い。したがって,領域(G)の存在を検出できる。そしてまた,領域(G),すなわち金属異物の大きさや形状をも示している。 このように,セパレータSと正極合材層PAとの境界に金属異物があれば,それを確実に検出することができる。セパレータSと負極合材層NAとの境界面についても同様である。領域(G)におけるX線強度は,領域(S)および領域(NA)に比べて弱いからである。また,セパレータTと正極合材層PAもしくは負極合材層NAとの境界面についても同様である。 以上のように,捲回電極体100の平面部Qを例に挙げて異物検査方法について説明した。しかし,捲回電極体100の曲面部Rについても同様に検査を行うことができる。図3に示したように,正極端部101の側の幅が,負極端部102の側の幅よりも狭いことに変わりないからである。また,その幅の変化は,セパレータS,Tの厚みの違いに起因するものであるからである。したがって,捲回電極体100における全体(平面部Qおよび曲面部R)について1度に検査を行うことができる。3.捲回電極体型電池の製造方法 本実施の形態に係る捲回電極体型電池の製造方法は,上記の捲回電極体の異物検査方法を実施することに特徴のあるものである。3−1.混練工程 まず,正極合材層PAを形成するためのペーストを作成する混練工程について説明する。ここで用いる正極活物質,導電材,増粘材,結着材,溶媒として,上記のものを用いればよい。そして,混練機内で溶媒中に正極活物質,導電材,結着材,増粘材を混入するとともに,混練羽根で攪拌する。これにより,正極用ペーストが作成される。負極用ペーストについても同様に作成される。3−2.塗工・乾燥工程 正極板Pを,図15に示す塗工乾燥装置1000を用いて作成する。まず,塗工工程について説明する。正極芯材PBを巻き出し軸1101から送り出す。次に,塗液供給部1210により所定の幅と厚みで正極用ペーストを正極芯材PBに塗工する。これにより,正極芯材PBの上に正極のペースト層が塗工される。ここで塗液供給部1210から供給される塗工液は,正極用のものである。 続いて乾燥工程について説明する。乾燥工程では,塗工された正極芯材PBは乾燥炉1300の内部に搬送される。乾燥炉1300の内部では,正極芯材PBはローラ1302により搬送される。そして正極芯材PB上のペースト層は,熱風ノズル1301から噴き出す熱風Hにより乾燥される。この後,ペースト層の乾燥した正極芯材PBは,巻取り軸1401に巻き取られる。 図15に示した塗工乾燥装置1000は,電極芯材の片面のみを塗工乾燥する装置である。したがって,両面を塗工するには,片側の面に正極合材層PAを形成した後に,その反対側の面に正極合材層PAを形成することとすればよい。そのため,塗工乾燥装置1000に正極芯材PBを2回通すこととなる。ただし,図15の塗工乾燥装置1000の代わりに両面を塗工乾燥する両面塗工乾燥装置を用いれば,その塗工乾燥装置に正極芯材PBを通す回数は1回でよい。両面塗工乾燥装置は,図15の乾燥炉1300の下流に塗工面の反対側の面に塗工する塗液供給部と,その下流に乾燥炉を配置したものである。 負極板Nについても同様に両面塗工をすることができる。すなわち,負極芯材NBを巻き出し,塗液供給部1210でペーストを塗工し,乾燥炉1300の内部でペースト層を乾燥させるのである。ただし,塗液供給部1210から供給される塗工液は,負極用のものである。また,乾燥炉1300の温度等,乾燥条件は正極の場合と異なっていてよい。なお,正極板Pと負極板Nとを作成する順序はどちらが先であっても構わない。3−3.電極体作成工程 続いて,図16に示す捲回装置2000を用いて,正極板Pおよび負極板Nに,セパレータS,Tを重ねて捲回する。捲回装置2000は,正極板供給部2001と,負極板供給部2002と,セパレータ供給部2003,2004と,捲回軸2005とを有している。ここで,図5に示したように,内側から正極板P,セパレータS,負極板N,セパレータTの順番に積層されるように積み重ねて捲回する。捲回軸2005が図16の矢印Fの向きに回転することにより,捲回体が作成される。この後,この捲回体に扁平プレスを施すことにより,図2に示したような捲回電極体100が作成される。3−4.異物検査工程 続いて,図10に示すX線を用いた異物検査装置3000を用いて,捲回電極体100の内部に金属異物があるか否かを検査する。その異物検査方法は,図14に示したような領域(G)があるか否かにより行われる。 そして,検査を行った捲回電極体100のうち,金属異物の発見されなかったもののみに次の電池組立工程を施す。金属異物の発見されたものには,電池組立工程を施さないで,製造工程から取り除く。3−5.電池組立工程 続いて,電池容器13に捲回電極体100を挿入する。そして電池容器13の内部に電解液を注入して封止する。これにより,本形態の電池セル10が組み立てられる。この後,コンディショニングやエージングなどの処理や,各種の検査工程を行うとよい。 以上の工程を経ることにより,本形態の電池セル10が製造される。4.組電池 本形態の電池セル10は,図17に示すように,正極端部101と負極端部102とでその厚みが異なるものである。本形態の電池セル10を組み付けて組電池1とした場合には,図17のようになる。なお,電池セル10における正極端部101の側では,電池容器13と正極端部101との間にできる隙間がやや大きい。5.変形例5−1.電池セルの形状と組電池 本形態の電池セル10では,直方体形状の電池容器13に捲回電極体100を挿入した。したがって,図17に示したように,電池セル10における正極端部101の側では,電池容器13と正極端部101との間にできる隙間が大きい。しかし,捲回電極体100の形状に合わせて,電池容器の形状を変えてもよい。隙間が小さいほど,すなわち電池容器の容積の小さい電池ほど,その体積エネルギー密度は高いからである。 例えば,図18に示すような電池セル20を用いてもよい。電池セル20における正極端部101の側,すなわち厚みの薄い側では電池容器23の厚みが薄い。一方,電池セル20における負極端部102の側,すなわち厚みの厚い側では電池容器23の厚みが厚い。つまり,電池容器23の形状を捲回電極体100の形状に合わせたのである。そして,電池セル20を組み付けて電池とした組電池2では,2つの電池セル20の傾斜面を対面させることにより,2つの電池セル20の外形は直方体となるような形状である。 また,図19に示すような電池セル30を用いてもよい。図18に示したものと同様に,電池容器33における正極端部101の側の厚みは,電池容器33における負極端部102の側の厚みよりも薄い。2つの電池セル30をそれらの傾斜面を対面させるように配置すると,図19に示すように,平行四辺形となる。5−2.捲回電極体の厚み ここで,本形態の変形例について説明する。本形態では,捲回電極体100における負極側の厚みが正極側の厚みよりも厚いこととした。しかし,これとは逆に,捲回電極体における正極側の厚みが負極側の厚みよりも厚いこととしてもよい。このとき,セパレータS,Tの厚みの厚い側がその捲回電極体における正極側となるように,セパレータS,Tを配置すればよい。このようにしても,異物検査を好適に行うことができることに変わりないからである。ただし,正極側の厚みが厚いほうが好ましい。なぜならば,イオン化傾向により,正極側よりも負極側のほうが金属異物の溶解が起こりやすいからである。そのため,負極側でセパレータの厚みが厚いと,析出した金属がセパレータを突き破りにくいからである。5−3.平積み電極体 本形態では,図2に示したような扁平形状の捲回電極体100を捲回電極体形電池に用いた。しかし,捲回した電極体でなくとも,上層から下層まで平積みして積層した積層電極体を用いても同様の効果を得ることができる。平積み電極体の場合も,セパレータS,Tのように傾斜面を有しており,その厚みが連続的に変化するようなものであればよいからである。平積み電極体の場合も,その断面形状は,図9のようになる。したがって,本発明の効果を奏する。5−4.円錐台型電極体 また,本形態の捲回電極体100は扁平形状であったが,図20に示すような円錐台形状であってもよい。この場合であっても,捲回電極体100の曲面部Rのところで説明したのと同様の理由により,異物検査を好適に行うことができる。5−5.X線の照射位置 本形態では,捲回電極体100の捲回軸方向にX線照射装置の照射部が設けられているとした。しかし,図21に示すように,X線の照射中心Lと捲回電極体100の捲回中心Mとは必ずしも厳密に重なっている必要はない。例えば,照射中心Lと捲回中心Mとがなす角の角度がX線照射角度θの範囲内であれば本発明の効果を奏する。このようにしても,捲回電極体100の内部の異物を検査することができることに変わりないからである。ただし,この場合であっても,照射中心Lと捲回中心Mとがなす角の角度が0°〜5°の範囲内であることが好ましい。また,同様の理由により,捲回中心MがX線照射角度θの範囲内に入っていれば,照射中心Lと捲回中心Mとが平行にずれていてもよい。6.まとめ 以上詳細に説明したように,本実施の形態に係る異物検査方法は,捲回電極体100の捲回軸に垂直な方向からではなく,捲回電極体100の捲回軸に平行な方向からX線を照射させる検査方法である。したがって,少なくとも一部のX線は,正極芯材PBもしくは負極芯材NBや正極合材層PAもしくは負極合材層NAに吸収されることなく,セパレータの箇所のみを透過する。したがって,本形態の異物検査方法は,セパレータと正極合材層もしくは負極合材層との間に挟まれた金属異物の有無をより確実に検出できる。また,従来のX線を用いた異物検査方法に比べて,より鮮明な画像が得られる。つまり,金属異物の大きさや形状についても,詳細な情報が得られる。 本形態に係る電池セル10の製造方法は,前述の異物検査方法により捲回電極体100に金属異物があるか否かを検査し,金属異物がない捲回電極体100に次の工程を施し,金属異物がある捲回電極体100に次の工程を施さないこととするものである。したがって,本形態による捲回電極体型電池の製造方法により製造された電池セルには,金属異物がほとんど挟まれていない。 本実施の形態に係る電池セル10では,捲回電極体100の内部に金属異物がほとんど混入していない。その製造工程において,金属異物が取り除かれているからである。これにより,バッテリとしての使用時に内部短絡等を起こすおそれのない捲回電極体型電池が実現されている。 なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,電池セルに用いられる電極体は,捲回型や平積み型のものに限らない。正極板等を積み重ねて積層された積層電極体を用いる電池であれば適用することができる。また,本発明は,角型電池のみならず,円筒形状の電池にも適用することができる。 また,正極合材層PAや負極合材層NAは,それぞれ正極芯材PB,負極芯材NBの両側に形成されているとした。しかし,合材層の形成は片面のみになされているものであってもよい。また,正極板および負極板の少なくとも一方に2層以上の合材層が形成されている場合にも本発明を適用することができる。(第2の実施形態) 第2の実施形態について説明する。第1の実施形態では,図8や図9に示したように,厚みが一律でないセパレータS,Tを用いた捲回電極体100を対象とする異物検査方法について説明した。本形態では,厚みの一律であるセパレータを用いた捲回電極体を検査対象とするのである。1.捲回電極体 本形態の異物検査方法に用いられる捲回電極体200の断面図を図22に示す。図22は,図9に対応する図である。したがって,図22中の矢印Vは,図9中の矢印Aに対応する方向,すなわち幅方向を示している。捲回電極体200は,正極板Pと負極板Nとの間にセパレータUを挟んだ状態で捲回されたものである。セパレータUの厚みは,図22中の矢印Vの方向,すなわち幅方向に一律である。2.異物検査方法 続いて,本形態における異物検査方法について説明する。本形態では,第1の実施形態と同様に,図10に示したX線検査装置3000を用いることができる。本形態では,図23に示すように,正極板Pもしくは負極板Nの板面方向からX線を入射する。前述のとおり,X線照射装置3010から照射されるX線は,照射中心Lから広がりをもって進行する。 したがって,図23に示すように,X線はセパレータUの主面U1,U2と必ずしも平行に進行しない。そのため,セパレータUと正極合材層PAとの境界面付近を透過するX線の一部は,正極合材層PAの一部を透過することとなる。つまり,図23に示すように,X線による境界面の検査をするに際して,その境界面であってX線を照射する側の位置では,X線検査における死角となる箇所がわずかに生ずる。 ここで,X線照射装置3010と捲回電極体200との距離をある程度とれば,その死角となる領域をある程度小さいものとすることができる。よって,本形態においても図13や図14の検査画像に近い検査画像が得られる。ただし,第1の実施形態に比べると死角となる領域は大きいため,本形態の異物検査の精度は,第1の実施形態の異物検査の精度にやや劣る。ただし,厚みの一律なセパレータUを用いた捲回電極体200についても検査することができる。 ここで,捲回中心と照射中心Lとは一致している。また,積層方向Xの中心もしくはその隣に位置する正極板Pまたは負極板Nの板面方向と照射中心Lとは一致している。また,積層方向Xの最も両外側にある正極板Pまたは負極板Nの板面方向L1,L2の2等分線は,照射中心Lと一致している。3.変形例 本形態では,捲回電極体200について検査を行った。しかし,平積み電極体についても同様に異物検査を行うことができる。平積み電極体であっても,その断面は図22のようになるからである。また,円筒形状の捲回電極体についても同様に,異物検査を行うことができる。 また,X線の照射中心Lと捲回中心とがなす角の角度が0°〜5°の範囲内であれば,本発明の効果を奏する。また,同様の理由により,照射中心Lと捲回中心とが3mm以内であれば,ずれていてもよい。 また,X線が捲回電極体200をスキャンするように,X線照射装置3010を動かすようにしてもよい。もちろん,X線照射装置3010の代わりに,捲回電極体200を動かすようにしてもよい。4.まとめ 以上詳細に説明したように,本実施の形態に係る異物検査方法は,捲回電極体200の捲回軸に垂直な方向からではなく,捲回電極体200の捲回軸に平行な方向からX線を照射させる検査方法である。したがって,少なくとも一部のX線は,正極芯材PBもしくは負極芯材NBや正極合材層PAもしくは負極合材層NAにほとんど吸収されることなく,セパレータの箇所を透過する。したがって,本形態の異物検査方法は,セパレータと正極合材層もしくは負極合材層との間に挟まれた金属異物の有無をほぼ確実に検出できる。また,従来のX線を用いた異物検査方法に比べて,より鮮明な画像が得られる。つまり,金属異物の大きさや形状についても,詳細な情報が得られる。また,第1の実施形態と異なり,捲回体の形状によらず適用することができる。 なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,電池セルに用いられる電極体は,捲回型や平積み型のものに限らない。正極板等を積み重ねて積層された積層電極体を用いる電池であれば適用することができる。また,本発明は,角型電池のみならず,円筒形状の電池にも適用することができる。 また,正極合材層PAや負極合材層NAは,それぞれ正極芯材PB,負極芯材NBの両側に形成されているとした。しかし,合材層の形成は片面のみになされているものであってもよい。また,正極板および負極板の少なくとも一方に2層以上の合材層が形成されている場合にも本発明を適用することができる。1,2,3…組電池10,20,30…電池セル13,23,33…電池容器100,200…捲回電極体101…正極端部102…負極端部103…積層部1000…塗工乾燥装置1100…巻き出し部1200…塗工部1210…塗液供給部1220…バックアップローラ1300…乾燥炉1301…熱風ノズル1302…ローラ1400…巻取り部2000…捲回装置2001…正極板供給部2002…負極板供給部2003,2004…セパレータ供給部2005…捲回軸P…正極板PA…正極合材層PB…正極芯材P1…正極塗工部P2…正極非塗工部N…負極板NA…負極合材層NB…負極芯材N1…負極塗工部N2…負極非塗工部S,T,U…セパレータS1,S2,T1,T2…傾斜面U1,U2…主面L…照射中心M…捲回中心正極芯材の少なくとも片側の面の一部に正極合材層が形成された正極塗工部と正極合材層が形成されていない正極非塗工部とを有する正極板と,負極芯材の少なくとも片側の面の一部に負極合材層が形成された負極塗工部と負極合材層が形成されていない負極非塗工部とを有する負極板と,前記正極板と前記負極板とを絶縁するセパレータとが,前記正極板と前記負極板との間に前記セパレータを配置して積層された積層部と,前記正極非塗工部が前記積層部の一方から突出している正極端部と,前記負極非塗工部が前記積層部から前記正極端部の反対方向に突出している負極端部とを備える積層電極体を有する積層電極体型電池において, 前記セパレータにおける前記正極端部と前記負極端部とのうち一方の側の厚みが,他方の側の厚みよりも厚く, 前記積層電極体における前記正極端部と前記負極端部とのうち一方の側の厚みが,他方の側の厚みよりも厚いことを特徴とする積層電極体型電池。請求項1に記載の積層電極体型電池において, 前記セパレータにおける前記正極端部の側の厚みが,前記負極端部の側の厚みよりも厚く, 前記積層電極体における前記正極端部の側の厚みが,前記負極端部の側の厚みよりも厚いことを特徴とする積層電極体型電池。請求項1または請求項2に記載の積層電極体型電池において, 前記積層電極体を収容している電池容器を有し, 前記電池容器における前記正極端部と前記負極端部とのうち一方の側の厚みが,他方の側の厚みよりも厚いことを特徴とする積層電極体型電池。請求項1から請求項3までのいずれかに記載の積層電極体型電池において, 前記積層電極体が, 扁平形状の捲回電極体であることを特徴とする積層電極体型電池。請求項1から請求項3までのいずれかに記載の積層電極体型電池において, 前記積層電極体が, 円錐台形状の捲回電極体であることを特徴とする積層電極体型電池。請求項1から請求項3までのいずれかに記載の積層電極体型電池において, 前記積層電極体が, 上層から下層まで平積みに積層された電極体であることを特徴とする積層電極体型電池。 正極芯材の少なくとも片側の面の一部に正極合材層が形成された正極塗工部と正極合材層が形成されていない正極非塗工部とを有する正極板と,負極芯材の少なくとも片側の面の一部に負極合材層が形成された負極塗工部と負極合材層が形成されていない負極非塗工部とを有する負極板と,前記正極板と前記負極板とを絶縁するセパレータとを,前記正極非塗工部を一方に突出させて正極端部とするとともに,前記負極非塗工部を前記正極非塗工部の反対方向に突出させて負極端部とするように,前記正極板と前記負極板との間に前記セパレータを積層して積層電極体とする積層電極体積層工程と, 拡散するX線を前記積層電極体に照射して前記積層電極体の内部における金属異物の有無を検査する異物検査工程と, 前記積層電極体を電池容器に挿入して電解液を注入する電池組立工程とを有する積層電極体型電池の製造方法において, 前記異物検査工程は, 拡散するX線を,前記積層電極体における積層方向に直交する方向と,拡散するX線の中心の方向とのなす角の角度がX線照射角度の範囲内にある方向から前記積層電極体に向けて照射し, 前記積層電極体を透過したX線のX線強度を検出することにより,前記積層電極体における金属異物の有無を検査するX線検出工程と, 前記積層電極体に金属異物が発見されなかった場合に, その積層電極体を前記電池組立工程に用いることとするとともに, 前記積層電極体に金属異物が発見された場合に, その積層電極体を前記電池組立工程に用いないこととする判断工程とを有することを特徴とする積層電極体型電池の製造方法。請求項7に記載の積層電極体型電池の製造方法において, 前記異物検査工程では, 拡散するX線を,前記積層電極体における積層方向に直交する方向と,拡散するX線の中心の方向とのなす角の角度が0°〜5°の範囲内にある方向から前記積層電極体に向けて照射することを特徴とする積層電極体型電池の製造方法。請求項7または請求項8に記載の積層電極体型電池の製造方法において, 前記積層電極体として, 前記セパレータにおける前記正極端部と前記負極端部とのうち一方の側の厚みが,他方の側の厚みよりも厚く, 前記積層電極体における前記正極端部と前記負極端部とのうち一方の側の厚みが,他方の側の厚みよりも厚いものを用い, 前記X線検出工程では,前記正極端部と前記負極端部とのうち厚みの薄いものの方向から,前記積層電極体にX線を照射することを特徴とする積層電極体型電池の製造方法。正極芯材の少なくとも片側の面の一部に正極合材層が形成された正極塗工部と正極合材層が形成されていない正極非塗工部とを有する正極板と,負極芯材の少なくとも片側の面の一部に負極合材層が形成された負極塗工部と負極合材層が形成されていない負極非塗工部とを有する負極板と,前記正極板と前記負極板とを絶縁するセパレータとが,前記正極非塗工部を一方に突出させて正極端部とされるとともに,前記負極非塗工部を前記正極非塗工部の反対方向に突出させて負極端部とされており,前記正極板と前記負極板との間に前記セパレータを配置して積層された積層電極体に,拡散するX線を照射して前記正極板と前記セパレータとの間もしくは前記負極板と前記セパレータとの間の金属異物の有無を検査する異物検査方法において, 拡散するX線を,前記積層電極体における積層方向に直交する方向と,拡散するX線の中心の方向とのなす角の角度がX線照射角度の範囲内にある方向から前記積層電極体に向けて照射し, 前記積層電極体を透過したX線のX線強度を検出することにより,前記積層電極体の金属異物の有無を検査することを特徴とする異物検査方法。請求項10に記載の異物検査方法において, 拡散するX線を,前記積層電極体における積層方向に直交する方向と,拡散するX線の中心の方向とのなす角の角度が0°〜5°の範囲内にある方向から前記積層電極体に向けて照射することを特徴とする異物検査方法。請求項10または請求項11に記載の異物検査方法において, 前記積層電極体として, 前記セパレータにおける前記正極端部と前記負極端部とのうち一方の側の厚みが,他方の側の厚みよりも厚く, 前記積層電極体における前記正極端部と前記負極端部とのうち一方の側の厚みが,他方の側の厚みよりも厚いものを用い, 前記正極端部と前記負極端部とのうち厚みの薄いものの方向から,前記積層電極体にX線を照射することを特徴とする異物検査方法。請求項12に記載の異物検査方法において, 前記積層電極体が, 扁平形状の捲回電極体であることを特徴とする異物検査方法。請求項12に記載の異物検査方法において, 前記積層電極体が, 円錐台形状の捲回電極体であることを特徴とする異物検査方法。請求項12に記載の異物検査方法において, 前記積層電極体が, 上層から下層まで平積みに積層された電極体であることを特徴とする異物検査方法。 【課題】 積層電極体の内部における金属異物の有無を好適に検査することのできる異物検査方法およびその検査に好適な積層電極体型電池とその製造方法を提供すること。【解決手段】 電池セル10は,正極芯材PBが突出している正極端部101の側と負極芯材PBが突出している負極端部102の側とでその厚みが異なっているセパレータS,Tを,正極板Pと負極板Nとの間に挟んで積層した積層電極体100を有するものである。その積層電極体100では,正極端部101の側の厚みが負極端部102の側の厚みよりも薄い。異物検査方法においては,厚みの薄い側からX線を照射する。照射されるX線の少なくとも一部は,正極板Pもしくは負極板Nと,セパレータS,Tとの境界面を透過する。【選択図】図9