生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_TGR5作動剤
出願番号:2010115878
年次:2011
IPC分類:A61K 31/366,A61P 43/00,A61P 1/04,C07D 493/14


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佐藤 隆一郎 井上 順 小野 絵里 JP 2011241189 公開特許公報(A) 20111201 2010115878 20100520 TGR5作動剤 国立大学法人 東京大学 504137912 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 佐藤 隆一郎 井上 順 小野 絵里 A61K 31/366 20060101AFI20111104BHJP A61P 43/00 20060101ALI20111104BHJP A61P 1/04 20060101ALI20111104BHJP C07D 493/14 20060101ALN20111104BHJP JPA61K31/366A61P43/00 111A61P1/04C07D493/14 3 OL 6 4C071 4C086 4C071AA01 4C071AA08 4C071BB02 4C071BB06 4C071CC13 4C071DD40 4C071EE02 4C071FF17 4C071GG01 4C071HH05 4C071HH09 4C071JJ05 4C071LL01 4C086AA01 4C086AA02 本発明は、熱産生、基礎代謝、脂肪燃焼に関与するTGR5に作用する薬剤に関する。 生活習慣病の多くは肥満に起因しており、その肥満の解決の一つの戦略として、脂肪組織における熱産生を向上させ、体脂肪燃焼を促進することが挙げられる。TGR5は、脂肪組織(褐色、白色)、骨格筋に発現し、熱産生に関与することが知られている、Gタンパク質共役受容体の一種である。 一方、胆汁酸は胆汁成分として肝臓で合成され、小腸に分泌される。小腸下部で吸収された後に、血液中でμM程度の濃度を維持し、脂肪細胞、骨格筋細胞等の表面に存在するTGR5のリガンドとして機能する。当該胆汁酸は、TGR5に結合することにより、脂肪組織での熱産生を促進し、エネルギー代謝改善効果を有する。 このようにTGR5作動剤は、熱産生を促進し、体脂肪燃焼促進及び抗肥満に有効である可能性があることから、TGR5作動剤が探索され、報告されている(特許文献1〜5)。特開2004−346059号公報特開2005−21151号公報特開2006−56881号公報特開2006−63064号公報特表2010−509390号公報 しかしながら、これらTGR5作動剤の多くは、化学合成により得られる物質であり、長期投与による安全性は不明である。 本発明の課題は、食経験のある安全性の高い天然物から、新たなTGR5作動剤を提供することにある。 そこで本発明者は、食経験のある植物に着目して種々検討した結果、柑橘類リモノイドの一種であるノミリンが強力なTGR5作動作用を有し、熱産生促進剤及び抗肥満剤として有用であることを見出し、本発明を完成した。 従って、本発明は、ノミリンを有効成分とするTGR5作動剤、熱産生促進剤及び抗肥満剤を提供するものである。 本発明のTGR5作動剤の有効成分であるノミリンは、強力なTGR5作動作用を有し、当該TGR5作動に基づく熱産生促進剤及び抗肥満剤として有用である。また、ノミリンは、柑橘類中に含まれる成分であり、安全性が高く、経口的に継続的に摂取可能である。ノミリンのTGR5刺激作用に関するルシフェラーゼアッセイの概念図である。溶媒(DMSO)、胆汁酸(CDCA)及びノミリン(Nomilin)のルシフェラーゼ活性(TGR5アゴニスト活性)を示す図である。 本発明TGR5作動剤の有効成分はノミリンである。ノミリンは、柑橘類、すなわちミカン科ミカン属又はミカン科ミカン亜科ミカン連に属する植物の果実及び皮に含まれる成分である。従って、本発明においては、精製されたノミリンを用いてもよいし、ノミリン含有柑橘類抽出物を用いてもよい。柑橘類としては、オレンジ類、グレープフルーツ類、香酸柑橘類、雑柑類、タンゴール類、タンゼロ類、ブンタン類、ミカン類、カラタチ類、キンカン類等が挙げられる。 ノミリンは、上記柑橘類の果実又は皮から抽出することもできるが、化学合成により得ることができる。柑橘類の果実又は皮から抽出するには、例えば搾汁でもよく、水又は有機溶媒を用いて抽出することもできる。抽出に用いられる有機溶媒としては、アルコール、例えばエタノール等が好ましい。得られた搾汁や抽出物は、さらに限外濾過、カラムクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー等により精製してもよい。 ノミリンは、後記実施例で示すとおり、優れたTGR5アゴニスト作用を有する。当該TGR5アゴニスト作用は、細胞内のcAMPを増加させ、D2遺伝子の活性化により、甲状腺ホルモンのT4のT3への変換を促進させ、熱産生、基礎代謝及び脂肪燃焼(β−酸化)を促進させる。従って、本発明のTGR5作動剤は、熱産生促進剤及び抗肥満剤として有用である。当該TGR5作動剤、熱産生促進剤及び抗肥満剤は、医薬品として使用される他、機能性食品、病者用食品、特定保健用食品として使用することができる。 本発明のTGR5作動剤等を医薬品として用いる場合の投与形態としては、例えば錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、シロップ剤等による経口投与又は注射剤、坐剤、吸入薬、経皮吸収剤、外用剤等による非経口投与が挙げられる。また、このような種々の剤型の医薬製剤を調製するには、ノミリン又はノミリン含有柑橘類抽出物を単独で、又は他の薬学的に許容される賦形剤、結合剤、増量剤、崩壊剤、界面活性剤、滑沢剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、嬌味剤、香料、被膜剤、担体、希釈剤等を適宜組み合わせて用いることができる。これらの投与形態のうち、好ましい形態は経口投与であり、経口投与用製剤として用いる場合の該製剤中のノミリンの含有量は、一般的に0.01〜80質量%とするのが好ましく、0.5〜80質量%とするのがより好ましい。 本発明のTGR5作動剤等を食品として用いる場合の形態としては、パン類、ケーキ類、麺類、菓子類、ゼリー類、冷凍食品、アイスクリーム類、乳製品、飲料などの各種食品の他、上述した経口投与製剤と同様の形態(錠剤、カプセル剤、シロップ等)が挙げられる。 種々の形態の食品を調製するには、ノミリン又はノミリン含有抽出物を単独で、又は他の食品材料や、溶剤、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、保湿剤、増粘剤等を適宜組み合わせて用いることができる。当該食品中のノミリンの含有量は、一般的に0.001〜0.2質量%とするのが好ましく、0.006〜0.04質量%とするのがより好ましい。 本発明のTGR5作動剤等を医薬品又は食品として使用する場合、成人1人当たりの1日の投与又は摂取量は、ノミリンとして、例えば5〜2000mgとすることが好ましく、特に20〜200mgであることが好ましい。 次に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は何らこれに限定されるものではない。実施例1 ノミリンのTGR5刺激作用をルシフェラーゼアッセイにより評価した。このアッセイ系は、図1に示すように、ヒトTGR5(hTGR5)刺激活性を、TGR5刺激に伴なう細胞内の反応であるプロテインキナーゼA(PKA)の活性化、cAMP response element binding protein(CREB)の活性化をルシフェラーゼ活性の定量により評価する系である。 12ウェルプレートにHEK293(ヒト胎児腎細胞株)を1.0×105個/ウェルをまき、FBSを10%含むDMEM培地中で1日培養した。この培養液に、リン酸カルシウム法により、pGL4−luc/CRE(CREB応答luciferase)100ng、hTGR5(pcDNA3.1+)(ヒトTGR5発現ベクター)100ng及びpEF−βgal(遺伝子導入効率補正用βガラクトシダーゼ発現ベクター)1000ngを添加し、遺伝子導入した。4時間後培地をチャコール処理FBSを含む培地に変換した。遺伝子導入から24時間後に、被検物質100μMを添加し、その5時間後に細胞を回収した。細胞内のルシフェラーゼ活性をルミノメーター(BERTHOLD社 LB9506)を用いて定量した。また、遺伝子導入効率をβgal活性を定量して評価した。得られた結果を図2に示す。 図2から明らかように、ノミリンは、陽性対照である胆汁酸(CDCA)と同等の強力なTGR5刺激作用を有する。従って、ノミリンが熱産生促進剤及び抗肥満剤としても有用であることは明らかである。 ノミリンを有効成分とするTGR5作動剤。 ノミリンを有効成分とする熱産生促進剤。 ノミリンを有効成分とする抗肥満剤。 【課題】食経験のある安全性の高い天然物から、新たなTGR5作動剤を提供する。【解決手段】ノミリンを有効成分とするTGR5作動剤。【選択図】なし


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