生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_架橋ポリエステル樹脂のTHF(テトラヒドロフラン)不溶分率を推定する方法
出願番号:2010111682
年次:2011
IPC分類:G01N 24/08,G03G 9/087


特許情報キャッシュ

小亀 朗由 渡辺 祥子 大和 真哉 JP 2011242138 公開特許公報(A) 20111201 2010111682 20100514 架橋ポリエステル樹脂のTHF(テトラヒドロフラン)不溶分率を推定する方法 三菱レイヨン株式会社 000006035 小亀 朗由 渡辺 祥子 大和 真哉 G01N 24/08 20060101AFI20111104BHJP G03G 9/087 20060101ALI20111104BHJP JPG01N24/08 510PG03G9/08 331G01N24/08 510LG01N24/08 510S 1 1 OL 8 2H005 2H005AA01 2H005CA08 2H005CA17 2H005EA07 2H005EA10 本発明は架橋ポリエステル樹脂のTHF(テトラヒドロフラン)不溶分率を求める方法に関する。 電子写真印刷法及び静電荷現像法では、感光体上に形成された静電荷像を予め摩擦により帯電させたトナーによって現像した後に定着を行う。定着方式としては、現像によって得られたトナー像を加圧及び加熱されたローラーを用いて定着するヒートローラー方式と、電気オーブン又はフラッシュビーム光を用いて定着する非接触定着方式とがある。 上述の現像及び定着のプロセスを問題なく通過するためには、トナーとして安定した帯電量を保持していることが必要であり、次に紙への定着性が良好であることが必要とされる。また、現像及び定着を行なうための装置は定着部に加熱体を有するために装置内で温度が上昇することから、トナーには装置内でブロッキングしないことが要求される。 最近では省エネルギーが要求され、ヒートローラー方式を使用した定着部の低温化が進んでいる。そのため、トナーにはより低い温度で紙に定着する性能、即ち低温定着性が強く求められるようになってきている。また、ヒートローラー方式においては、オフセット現象が発生するため、耐高温オフセット性が要求される。このため、例えば、定着温度120℃以下の条件でも紙への定着を示し、定着温度幅が90℃以上を有する耐高温オフセット性を維持しつつ、より広いワーキングレンジのトナーが要求されるようになってきている。 上述のような要求に対して、例えば、特許文献1には低温定着性及び耐高温オフセット性に優れたトナー用樹脂として不飽和二重結合を有する架橋ポリエステル樹脂が提案されている。このような架橋ポリエステル樹脂中のTHF不溶分率はトナーの性能に影響するものである。THF不溶分率は、架橋ポリエステル樹脂をTHFに溶解、分散させた後にTHF可溶分を除去したTHF不溶分の質量割合から求めることができるが、測定に時間がかかる。 このため高分子中の架橋構造を短時間で測定する方法として、例えば特許文献2には、あらかじめパルスNMRから得られる平均緩和時間(MT2)と架橋度の検量線を作成しておき、パルスNMRでサンプルの平均緩和時間を測定し、検量線から架橋度を求める方法が提案されている。特開2009−223281号公報特開2002−71595号公報 しかしながら、特許文献2の方法を架橋ポリエステル樹脂中のTHF不溶分率の評価に適用してMT2と架橋ポリエステル樹脂の不溶分率の検量線を作成すると、その相関性を示す決定係数R2が低く、MT2は検量線を作成するためのパラメータとして適切ではない。 本発明は、架橋ポリエステル樹脂のTHF不溶分率を精度よく、短時間に求める方法を提供することを目的とする。 本発明の要旨は、THF不溶分率が既知の複数の架橋ポリエステル樹脂についてパルスNMRでスピン−スピン緩和時間を測定し、THF不溶分率と緩和時間の検量線を作成し、前記検量線からTHF不溶分率が未知の架橋ポリエステル樹脂のTHF不溶分率を推定する方法であって、測定温度125℃以下で、パルスNMRにより得られる自由誘導減衰曲線を非線形最小二乗法で近似した3つの曲線から式(1)により求めた1/T2Aと、THF不溶分率から検量線を作成する、架橋ポリエステル樹脂のTHF不溶分率を推定する方法にある。1/T2A=ΣMi/T2i・・・(1)(1/T2A:架橋ポリエステル樹脂の緩和時間。T2i:成分iのスピン−スピン緩和時間。Mi:成分iの強度。i=1〜3) 本発明の方法により、精度よく、短時間でTHF不溶分率を求めることができるため、品質の管理に好適である。 本発明では、THF不溶分率が既知の複数の架橋ポリエステル樹脂についてパルスNMRでスピン−スピン緩和時間を測定し、THF不溶分率と緩和時間の検量線を作成する。 本発明の架橋ポリエステル樹脂は、例えば、不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂を溶融混合した後、架橋反応することにより得られる。 なお不飽和二重結合とは炭素間二重結合であり、これをポリエステル樹脂の主鎖および/または側鎖に有するものである。不飽和二重結合をポリエステル樹脂の主鎖および/または側鎖に有するためには、不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物および/または不飽和二重結合を有するアルコール化合物を用いて重縮合反応をさせ、これらの化合物をポリエステル樹脂の構成成分として取り込めばよい。 不飽和二重結合を有するカルボン酸化合物の例としては、特に制限されないが、例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、テトラヒドロフタル酸およびこれらのエステル誘導体、アクリル酸、クロトン酸、メタクリル酸およびこれらのエステル誘導体等が挙げられる。また、不飽和二重結合を有するアルコール化合物としては、特に制限されないが、例えば、1,4−ジヒドロキシ−2−ブテン等が挙げられる。 これらの中では、反応性の観点から、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。 ポリエステル樹脂の溶融混合は押出し機を使用して、充分にせん断をかけて行うことが望ましい。押出し機はせん断力の大きい二軸押出し機が望ましい。 また、架橋反応はラジカル反応により行うことが好ましい。ラジカル反応開始剤としては、特に制限されず、アゾ化合物や有機過酸化物が用いられる。中でも開始剤効率が高く、シアン化合物副生成物を生成しないことから、有機過酸化物が好ましい。 有機過酸化物としては、特に制限されないが、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、α、α−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン、ジ−t−へキシルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシへキシン−3、アセチルパーオキシド、イソブチリルパーオキシド、オクタニノルパーオキシド、デカノリルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキシド、m−トルイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンソエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート等が挙げられる。 前記架橋ポリエステル樹脂は、THFに溶解しない架橋密度の高い架橋成分である「THF不溶分」を有している。THF不溶分率の測定方法としては、例えば、架橋ポリエステル樹脂をTHF中に添加し、THF可溶分を溶解させた後、ろ過して、フィルター捕獲分を乾燥してTHF不溶分の質量を測定する方法が挙げられる。 さらに、前記THF不溶部の分子鎖は3つの不均一な運動成分を有すると推定され、次の3つに分類される。(I)架橋点や分子鎖の絡み合いにより分子鎖の運動が拘束された分子鎖部。(架橋が密な部分)(II)架橋点間もしくは絡み合い点間の分子鎖部。(架橋が疎な部分)(III)分子鎖末端や枝分かれ先の分子鎖部。(ゲル分子末端部) 前記THF不溶分のパルスNMRを測定して得られる自由誘導減衰曲線は、非線形最小二乗法により上記3成分に由来する3つの曲線で近似することができる。 本発明では、前記の3つの曲線からそれぞれの成分についてMi、T2iを求め、式(1)から1/T2Aを求める。1/T2A=ΣMi/T2i・・・(1)(1/T2A:架橋ポリエステル樹脂の緩和時間。T2i:成分iのスピン−スピン緩和時間。Mi:成分iの強度。i=1〜3) 本発明では、あらかじめ上述の方法でTHF不溶分率を測定したTHF不溶分率の異なる複数のサンプルについてパルスNMRにより1/T2Aを求め、THF不溶分率と1/T2Aのデータから近似直線を作成し検量線とする。近似直線の決定係数R2は、精度の点から0.8以上必要である。 次に、THF不溶分率が未知のサンプルについて、パルスNMRの測定から1/T2Aを求めることで、前記検量線からTHF不溶分率を求めることができる。 なお、パルスNMRの測定は公知の方法で行えばよく、ソリッドエコー法を用いることが好ましい。また、パルスNMRの測定温度は125℃以下が必要である。測定温度が125℃以下であれば、検量線の決定係数R2が0.8以上となる。 以下、本発明を実施例を用いて説明する。THF不溶分率及びパルスNMRの測定は以下の方法により測定した。 (1)THF不溶分率内径3.5cmの円筒状のガラスろ過器1GP100(柴田科学(株)製)にセライト545(キシダ化学(株)製)を2g入れ、セライト545の層の高さが変化しなくなるまでガラスろ過器をコルク台に軽くたたきつけた。この操作を4回繰り返して、セライト545の層の高さがフィルター面から2cmとなるようにガラスろ過器にセライト545を充填した。このセライト545が充填されたガラスろ過器を105℃で3時間以上乾燥した後にその重さを秤量した(Yg)。 次いで、架橋ポリエステル樹脂0.5gを三角フラスコ内に入れて精秤(Xg)し、更にTHF50mlを加え、70℃のウォーターバスにて3時間加熱しTHF還流下で架橋ポリエステル樹脂を溶解させた。 得られた架橋ポリエステル樹脂溶液を上記のセライト545が充填されたガラスろ過器内に投入し、吸引ろ過した。 架橋ポリエステル樹脂のTHF不溶分を捕捉したガラスろ過器を80℃で3時間以上乾燥させて、その重さを秤量し(Zg)、以下の式に従って、THF不溶分率を算出した。THF不溶分率={(Z−Y)/X}×100(質量%) (2)パルスNMRの測定パルスNMR装置には水素核測定周波数25MHzのJNM−MU25(日本電子(株)製)を用いた。パルスNMRの測定にはソリッドエコー法を用いた。 測定条件は、90゜パルス幅を2μs、90゜パルス間隔を8μs、繰り返し時間を1秒及び積算回数を64回とした。また、自由誘導減衰曲線のポイント数を5000点とし、自由誘導減衰曲線取り込み時間を5msとした。 架橋ポリエステル樹脂は粉砕して直径10mmのサンプル管に400mg入れて測定に供した。測定はサンプル管を投入後、温度が均一になるように20分経過後に実施した。 得られた自由誘導減衰曲線を非線形最小二乗法で3成分に分離して、それぞれについてT2i及びMiを求めた。 (検量線)各サンプルの1/T2Aと、THF不溶分率のデータから近似直線を作成し、決定係数R2が0.8以上であれば、THF不溶分率と緩和時間に相関があり、検量線として使用するための精度が十分と判断した。 (不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂a)テレフタル酸95モル部及びフマル酸5部、エチレングリコール65モル部及びネオペンチルグリコール40モル部並びに全酸成分に対して1,000ppmのジブチル錫オキサイドを蒸留塔を備え付けた反応容器内に投入した。 次いで反応容器を反応系内の温度が265℃になるように加熱し、この温度を保持し、反応系からの水の留出がなくなるまで反応を継続した。 更に、反応系内の温度を220℃に保ちながら反応容器内を減圧状態とし、反応を継続した。反応の進行と共にサンプリングしてポリエステル樹脂の軟化温度を測定するという作業を繰り返しながら、ポリエステル樹脂の軟化温度が104℃に到達した時点で反応物を取り出し、不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂aを得た。 (不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂b)テレフタル酸80モル部及びフマル酸20モル部、1,4−シクロヘキシルジメタノール40モル部及びエチレングリコール80モル部並びに全酸成分に対して1,500ppmの三酸化アンチモンを蒸留塔を備え付けた反応容器内に投入した。 次いで反応容器を反応系内の温度が260℃になるように加熱し、この温度を保持し、反応系からの水の留出がなくなるまで反応を継続した。 更に、反応系内の温度を270℃に保ちながら反応容器内を減圧状態とし、反応系からジオール成分を留出させながら縮合反応を実施した。反応と共に反応系の粘度が上昇して攪拌翼のトルクがポリエステル樹脂の軟化温度171℃における値を示すまで反応を行った。次いで、所定のトルクを示した時点で反応物を取り出して冷却し、不飽和二重結合を有するポリエステル樹脂bを得た。 (有機過酸化物溶液)90℃に加熱して溶融させた離型剤(日本精鑞(株)製、商品名:SP−0160)90質量部に2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)へキサン10質量部を添加して得た。 (架橋ポリエステル樹脂(イ))二軸押出機((株)池貝製、商品名:PCM−30(L/D=40))のL/D=20の位置までを150℃で約2分間の滞在時間とする条件で、ポリエステル樹脂a90質量部とポリエステル樹脂b10質量部を供給して溶融混合した。 二軸押出機の中央部からマイクロフィーダーにより、90℃の有機過酸化物溶液1質量部を添加した。L/D=21の位置から外温設定180℃で約2分間の滞在時間とする条件で、ポリエステル樹脂a、ポリエステル樹脂b、有機過酸化物溶液を混合しながら架橋反応を行い、架橋ポリエステル樹脂(イ)を得た。THF不溶分率を表1に示す。 (架橋ポリエステル樹脂(ロ)〜(ニ))有機過酸化物溶液の添加量を1.4質量部、1.8質量部、2.4質量部に変更した以外は、架橋ポリエステル樹脂(イ)と同様にして、不溶分率の異なるポリエステル樹脂(ロ)〜(ニ)を得た。THF不溶分率を表1に示す。パルスNMRの測定温度を110℃として、架橋ポリエステル樹脂(イ)〜(ニ)についてT2i及びMiを測定し1/T2Aを計算し、1/T2AとTHF不溶分率から近似直線を作成した。近似直線を図1に示す。得られた近似直線の決定係数R2は0.9302であり、検量線として使用できるものであった。パルスNMRの測定温度を120℃とする以外は実施例1と同様にして近似直線を作成した。近似直線を図1に示す。得られた近似直線の決定係数R2は0.8708であり、検量線として使用できるものであった。 <比較例1>パルスNMRの測定温度を130℃とする以外は実施例1と同様にして近似直線を作成した。近似直線を図1に示す。得られた近似直線の決定係数R2は0.6005であり、検量線として精度が不十分であった。 <比較例2>実施例1と同様に、パルスNMRによりT2i及びMiを測定し、式(2)で表される平均緩和時間(MT2)を用い、1/MT2とTHF不溶分率から近似直線を作成した。近似直線を図2に示す。得られた近似直線の決定係数R2は0.2921であり、検量線として精度が不十分であった。MT2=Σ(T2i×Mi)・・・(2)(MT2:平均緩和時間。T2i:成分iのスピン−スピン緩和時間。Mi:成分iの強度。i=1〜3)1/T2Aと不溶分率の関係を示す図である。1/MT2と不溶分率の関係を示す図である。THF(テトラヒドロフラン)不溶分率が既知の複数の架橋ポリエステル樹脂についてパルスNMRでスピン−スピン緩和時間を測定し、THF不溶分率と緩和時間の検量線を作成し、前記検量線からTHF不溶分率が未知の架橋ポリエステル樹脂のTHF不溶分率を推定する方法であって、測定温度125℃以下で、パルスNMRにより得られる自由誘導減衰曲線を非線形最小二乗法で近似した3つの曲線から式(1)により求めた1/T2Aと、THF不溶分率から検量線を作成する、架橋ポリエステル樹脂のTHF不溶分率を推定する方法。1/T2A=ΣMi/T2i・・・(1)(1/T2A:架橋ポリエステル樹脂の緩和時間。T2i:成分iのスピン−スピン緩和時間。Mi:成分iの強度。i=1〜3) 【課題】架橋ポリエステル樹脂のTHF不溶分率を短時間に求める評価方法を提供する。【解決手段】THF(テトラヒドロフラン)不溶分率が既知の複数の架橋ポリエステル樹脂についてパルスNMRで緩和時間を測定し、THF不溶分率と緩和時間の検量線を作成し、前記検量線からTHF不溶分率が未知の架橋ポリエステル樹脂のTHF不溶分率を推定する方法であって、測定温度125℃以下で、パルスNMRにより得られる自由誘導減衰曲線を非線形最小二乗法で近似した3つの曲線から式(1)により求めた1/T2Aと、THF不溶分率から検量線を作成する、架橋ポリエステル樹脂のTHF不溶分率を推定する方法。1/T2A=ΣMi/T2i・・・(1)(1/T2A:架橋ポリエステル樹脂の緩和時間。T2i:成分iのスピン−スピン緩和時間。Mi:成分iの強度。i=1〜3)【選択図】図1


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