生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_SREBP抑制剤
出願番号:2010093924
年次:2011
IPC分類:A61K 31/216,A61P 43/00,A61P 17/14,A61P 17/02,A61P 13/12


特許情報キャッシュ

村瀬 孝利 峯岸 慶彦 三澤 幸一 大南 英雄 JP 2011225455 公開特許公報(A) 20111110 2010093924 20100415 SREBP抑制剤 花王株式会社 000000918 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 村瀬 孝利 峯岸 慶彦 三澤 幸一 大南 英雄 A61K 31/216 20060101AFI20111014BHJP A61P 43/00 20060101ALI20111014BHJP A61P 17/14 20060101ALI20111014BHJP A61P 17/02 20060101ALI20111014BHJP A61P 13/12 20060101ALI20111014BHJP JPA61K31/216A61P43/00 111A61P17/14A61P17/02A61P13/12 6 OL 17 4C206 4C206AA01 4C206AA02 4C206DB20 4C206DB44 4C206MA01 4C206MA04 4C206NA14 4C206ZA81 4C206ZA92 4C206ZC01 4C206ZC21 本発明は、SREBP抑制剤、ACC1抑制剤、及びマロニル-CoA抑制剤に関する。 SREBP(sterol regulatory element-binding protein)は、basic helix-loop-helix leucine zipper (bHLH-Zip)ファミリーに属する転写因子で、コレステロールや脂肪酸代謝の調節に関与することが知られている(非特許文献1〜4)。SREBPにはSREBP−1a、SREBP−1c,SREBP−2の3つアイソフォームが存在し、SREBP−1cは主に脂肪酸代謝関連遺伝子の転写制御を、SREBP−2はコレステロール代謝関連遺伝子の転写制御を、SREBP−1aは増殖分裂の激しい細胞で、コレステロール、脂肪酸合成の両方の転写を調節する。 一般に、小胞体膜蛋白質として合成された不活性型のSREBPは、細胞内ステロール量やグルコース、インスリン等に応答して活性化を受ける。コレステロールが不足すると、小胞体でSCAP(SREBP cleavage activating protein)と複合体を形成したSREBPはゴルジ体へと移行し、S1P(Site-1 protease)、S2P(Site-2 proetase)という2つのプロテアーゼにより切断を受け、最終的に核型SREBPとなり核へ移行する。コレステロール合成の調節は主にこのようなSREBP-SCAP複合体とプロテアーゼとの作用により調節がなされるが、SREBP−1cに関しては、切断の際のステロール調節がそれほど厳しくなく、むしろ糖質やインスリンの作用により、それ自体の量を調節することによりその機能が制御されている。このように、SREBPは活性型となり核に移行することにより、コレステロールや脂肪酸合成等に関与する遺伝子の発現を制御する。 アセチル-CoAカルボキシラーゼ1(ACC1)はSREBP−1cにより発現が誘導される脂肪酸合成関連分子の一つで、アセチルCoAをマロニルCoAへ変換する作用を有している。マロニルCoAはFAS(fatty acid synthase)の基質となりパルミトイル-CoAを経てパルミチン酸等の脂肪酸合成に用いられる。従って、マロニル-CoA量の低減は脂肪酸合成量の調節において重要である。 脂肪酸合成抑制を目的として、しばしばFAS阻害剤の探索が行われるが、FAS阻害剤はマロニル-CoAを増加させ、むしろ脂肪蓄積を引き起こし、インスリン抵抗性の惹起に繋がることが指摘されている(非特許文献5)。従って、FASの阻害は必ずしも生体にとって好ましい効果をもたらすものではないと考えられることから、効果的な脂肪合成制御法が望まれている。その中で、特にSREBP及びACC1の抑制並びにマロニル-CoAの低減が有効であると考えられる。 SREBPは様々な病態と関連することが明らかとなっている。SREBP−1cはヒト頭皮における皮脂腺細胞に発現していることが明らかにされ、頭皮皮脂腺の分化や脂質合成において重要な役割を担うことが報告されている(非特許文献6)。また、男性ホルモンによる皮脂腺細胞の活性化は、SREBP-1の発現亢進及びSREBP-1依存的な脂肪酸及びコレステロール合成に関わる酵素の発現亢進が起こり、それにより過剰に分泌された皮脂が、髪の成長の妨げや炎症を引き起こすことも示されている(非特許文献7)。これらのことから、SREBP-1の抑制は、男性ホルモンによる皮脂腺の過剰な脂質産生の抑制を介して、脂漏性脱毛症や脂漏性皮膚炎(湿疹)などの皮脂脂質異常を伴うトラブルの予防あるいは改善に有効であると考えられる。 また、SREBPの活性化は種々の組織や器官において脂質の蓄積を引き起こし、脂肪毒性と呼ばれる機能不全をもたらす。腎糸球体のSREBP−1cはNADPH oxidaseや活性酸素種を介して糖尿病性腎症や糸球体症と関連することが示されている(非特許文献4)。 このように、SREBPは種々の病態と関連することから、SREBPの発現抑制剤や活性阻害剤は、SREBPが関与する疾患の予防・改善に有効であると考えられ、現在、その探索が行われている。 これまでに、DHAやEPAのような多価不飽和脂肪酸を多く含有する魚油がSREBP−1の発現を抑制すること(特許文献1及び非特許文献8)、クルクミンがSREBP−1cの活性化を阻害すること(非特許文献9)などが報告されているが、色調、味、酸化安定性、食経験や安全性などの観点から、実用的なものはほとんど無いのが現状である。 5−カフェオイルキナ酸(クロロゲン酸)及びその類縁体(クロロゲン酸類)は、コーヒー等に含まれるポリフェノールの一種であり、種々の生理作用を有することがこれまでに報告されている。例えば、クロロゲン酸類が、グルコース−6−ホスファターゼ阻害作用(非特許文献10)、PPAR(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体)活性化作用及び高インスリン血症や高レプチン血症の予防改善作用(特許文献2)、酸化ストレスを低減することによる降圧作用(非特許文献11)、脂肪酸合成酵素(FAS)阻害作用(非特許文献12)を有すること、3,4−ジクロロゲン酸、3,5−ジクロロゲン酸、3,4,5−トリクロロゲン酸が、マルターゼ阻害作用(非特許文献13)を有すること、ネオクロロゲン酸及びフェルロイルキナ酸が、カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ活性化作用を有することなどが知られている(特許文献3)。また、クロロゲン酸を含有するコーヒーが、血中グルコース吸収抑制作用及び体重抑制作用(非特許文献14)を有することが知られている。しかしながら、クロロゲン酸類又はその塩がSREBP抑制作用、ACC1抑制作用、マロニル-CoA抑制作用を有することはこれまで知られていない。特開2008−184429号公報特開2003−34636号公報特開2006−342145号公報佐藤隆一郎, 生化学 76:503-508, 2004島野仁, 日本臨床 63:897-907, 2005Ferre P., Hormone Research 68: 72-82, 2007Shimano H., FEBS Journal 276: 616-621, 2009Kusunoki J. Endocrine, 29:91-100, 2006Harrison WJ., J Invest Dermal. 127:1309-1317, 2007Rosignoli C., Exp Dermatol. 12: 480-489, 2003Kim HJ., J Biol Chem. 274: 25892-25898, 1999Yuan HY, Acta Pharmacol Sin. 29:555-563, 2008Arion WJ. Arch.Biochem.Biophys. 339(2) 315-322, 1997Suzuki A. Hypertens.Res. 24(6),1065-1073,2006Li BH. IUBMB Life, 58(1), 39-46,2006Matsui T. Biol.Pharm.Bull. 27(11) 1797-1803, 2004Thom E. J. Int. Med. Res.35(6),900-908, 2007 本発明は、安全性が高く、優れたSREBP抑制作用、ACC1抑制作用、マロニル-CoA抑制作用を有し、脂漏性脱毛症や脂漏性皮膚炎(湿疹)などの皮脂脂質異常を伴うトラブルの予防・改善や、糖尿病性腎症等のSREBPの活性化に関連する疾患や代謝異常の予防・改善に有効な医薬品、医薬部外品、化粧品、飲食品、ペットフード等の飼料等を提供することに関する。 本発明者らは、SREBP抑制物質等の探索を行い、クロロゲン酸類又はその塩が優れたSREBP抑制作用、ACC1の抑制作用及びマロニル-CoA低減作用を有することを見出した。 すなわち、本発明は、以下の(1)〜(6)に係わるものである。 (1) クロロゲン酸類又はその塩を有効成分とするSREBP抑制剤。 (2) クロロゲン酸類又はその塩を有効成分とするACC1抑制剤。 (3) クロロゲン酸類又はその塩を有効成分とするマロニル-CoA抑制剤。 (4) クロロゲン酸類又はその塩を有効成分とする脂漏性脱毛症及び/又は脂漏性皮膚炎予防・改善剤。 (5) クロロゲン酸類又はその塩を有効成分とする糖尿病性腎症予防・改善剤。 (6) 前記クロロゲン酸類が、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸、5−カフェオイルキナ酸、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸、4,5−ジカフェオイルキナ酸から選ばれる1種以上である上記(1)記載のSREBP抑制剤、上記(2)記載のACC1抑制剤、上記(3)記載のマロニル-CoA抑制剤、上記(4)記載の脂漏性脱毛症及び/又は脂漏性皮膚炎予防・改善剤、又は上記(5)記載の糖尿病性腎症予防・改善剤。 本発明のクロロゲン酸類又はその塩を有効成分とするSREBP抑制剤、ACC1抑制剤又はマロニル-CoA抑制剤は、優れたSREBP抑制作用、ACC1抑制作用又はマロニル-CoA抑制作用を有する。従って、本発明によれば、脂漏性脱毛症や脂漏性皮膚炎(湿疹)などの皮脂脂質異常を伴うトラブルの予防・改善や、糖尿病性腎症等のSREBPの活性化に関連する疾患や代謝異常の予防・改善のための、医薬品、医薬部外品、化粧品、飲食品、ペットフード等の飼料に配合して使用可能な素材を提供できる。(A)培養細胞におけるコントロール又はクロロゲン酸類によるSREBP−1c発現抑制作用及びACC1発現抑制作用を示す。(B)CQA(モノカフェオイルキナ酸類)、di−CQA(ジカフェオイルキナ酸類)、及びFQA(フェルロイルキナ酸類)の各クロロゲン酸類によるSREBP−1c発現抑制作用及びACC1発現抑制作用を示す。*P<0.05,**P<0.01 vs コントロール。ウェスタンプロッティング解析による、クロロゲン酸類(製造例1にて得られたクロロゲン酸類)又5−CQA(5−モノカフェオイルキナ酸)の活性型SREBP低減作用を示す。クロロゲン酸類(製造例1にて得られたクロロゲン酸類)又5−CQA(5−モノカフェオイルキナ酸)におけるACC活性抑制作用を示す。*P<0.05 vs コントロール。クロロゲン酸類(製造例1にて得られたクロロゲン酸類)又5−CQA(5−モノカフェオイルキナ酸)における細胞内マロニル−CoA低減作用を示す。**P<0.01 vs コントロール。 本発明において、クロロゲン酸類としては、キナ酸の3位、4位及び5位から選ばれる1〜2の水酸基がカフェ酸及び/又はフェルラ酸とエステル結合した化合物が挙げられる。 具体的には、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸、5−カフェオイルキナ酸(クロロゲン酸)等のモノカフェオイルキナ酸類;3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸、4,5−ジカフェオイルキナ酸等のジカフェオイルキナ酸類等が挙げられ、単独で又はこれらを2種以上混合して使用しても良い。 クロロゲン酸類としては、薬理活性の点で、モノカフェオイルキナ酸類及び/又はジカフェオイルキナ酸類が好ましく、天然物中の含有量の点からモノカフェオイルキナ酸類が好ましい。 また、上記モノカフェオイルキナ酸類及び/又はジカフェオイルキナ酸類に、更に3−フェルロイルキナ酸、4−フェルロイルキナ酸、5−フェルロイルキナ酸等のフェルロイルキナ酸類を含んでも良く、クロロゲン酸類中のフェルロイルキナ酸類の含有量(乾燥物換算)は、薬理活性の点で、25質量%以下が好ましく、より20質量%以下が好ましく、更に0〜10質量%が好ましい。 クロロゲン酸類の塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属との塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミンとの塩、アルギニン、リジン、ヒスチジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸との塩等が挙げられる。また、本発明のクロロゲン酸類は、カルボキシル基が遊離のものを含むものである。 クロロゲン酸類又はその塩は、一般的な化学合成によって製造されたもの、天然物中から単離・精製された抽出物、或いはこれらを含有する天然物のまま使用しても良い。当該抽出は、常法により行えば良く、抽出物としては、例えば、コーヒー豆、リンゴ、ブドウ、タマネギ、サツマイモ等由来のものが挙げられ、コーヒー豆由来のものが好ましい。天然由来の抽出物中のクロロゲン酸類又はその塩の純度は、クロロゲン酸類換算で、35質量%以上、より70質量%以上、更に75質量%以上であるのが好ましい。 天然植物体からクロロゲン酸類又はその塩を得るための手段としては、例えば、植物体1質量部に対して1〜50質量部の溶剤を用い、常温(4℃)〜溶媒の沸点の範囲、更に80〜105℃の範囲で30分〜12時間、更に2時間〜6時間加熱して抽出するのが好ましい。 用いる抽出溶剤としては、特に限定されないが、極性溶剤、非極性溶剤のいずれも使用することができ、例えば、水;メタノール、エタノール等のアルコール類等の有機溶剤から選ばれる1種以上を用いるのが好ましく、このうち水を用いるのが好ましい。 また、抽出手段としては、例えば、固液抽出、液液抽出、浸漬、煎出、浸出、還流抽出、超音波抽出、マイクロ波抽出、攪拌等の手段を用いることができる。このとき、煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する方法を併用してもよい。また、酸やアルカリを使用してもよい。 抽出物の分離精製手段としては、例えば、抽出物を活性炭処理、液々分配、カラムクロマトグラフィーや液体クロマトグラフィー、ゲル濾過、精密蒸留等を挙げることができる。 クロマトグラフィーに用いる固定相としては、例えば、強・弱酸性陽イオン交換樹脂又は強・弱塩基性陰イオン交換樹脂;オクタデシル化シリカゲル、オクチル化シリカゲル、ブチル化シリカゲル、トリメチルシリル化シリカゲル等の逆相樹脂;シリカゲル、フロリジール、アルミナ等の順相樹脂;スチレン−ジビニルベンゼン系、メタクリル酸エステル系等の芳香族系合成樹脂;修飾デキストラン系、親水性ビニルポリマー系等のゲルろ過クロマトグラフィー用充填剤;活性炭等が挙げられる。 クロロゲン酸類又はその塩の市販品としては、フレーバーホルダーRC−30R(谷川香料(株))、生コーヒー豆エキスP(オリザ油化(株))、OXCH100(東洋醗酵(株))等が挙げられ、これら市販品をさらに精製し、クロロゲン酸類又はその塩の純度を高めることも可能である。クロロゲン酸類又はその塩の製造方法としては例えば、特開2006−241006号公報、特開2006−306799号公報、特開2008−94758号公報、特開2008−94759号公報等に開示された方法を用いることができる。 後記実施例に示すように、本発明のクロロゲン酸類又はその塩は、SREBP抑制作用、ACC1抑制作用及びマロニル-CoA抑制作用を有することから、SREBP抑制、ACC1抑制及びマロニル-CoA抑制のために使用してもよく、またSREBP抑制剤、ACC1抑制剤又はマロニル-CoA抑制剤(以下、「SREBP抑制剤等」とも云う)として使用することができ、また、SREBP抑制剤等を製造するために使用することができる。このとき、当該SREBP抑制剤では、当該クロロゲン酸類又はその塩を単独で、又はこれ以外に、必要に応じて適宜選択した担体等の、配合すべき後述の対象物において許容されるものを使用してもよい。なお、当該製剤は配合すべき対象物に応じて常法により製造することができる。 更に、SREBP1遺伝子の発現が抑制できれば、上述のように、男性ホルモンによるSREBP1遺伝子の発現誘導を介した頭皮皮脂腺からの過剰な脂質産生を抑制できると考えられる。 また、SREBP1活性化を抑制することができれば、SREBP1の活性化によって引き起こされる脂肪毒性による臓器障害の症状(例えば糖尿病性腎症や糸球体症)を抑制できると考えられる。 従って、SREBP抑制剤等は、ヒトを含む動物に摂取又は投与して、脂漏性脱毛症や脂漏性皮膚炎(湿疹)等の皮脂脂質異常を伴うトラブル、糖尿病性腎症等のSREBPの活性化に関連する疾患や代謝異常の予防又は改善を図るための方法に使用することができ、また斯様な皮脂脂質異常を伴うトラブル、SREBPの活性化に関連する疾患や代謝異常の予防又は改善のためのヒト若しくは動物用の医薬品、医薬部外品、化粧品又は食品等の有効成分として配合して使用可能である。 本発明のSREBP抑制剤等を医薬品の有効成分として使用する場合、任意の投与形態で投与され得る。投与形態としては、経口、経腸、経粘膜、注射、経皮等が挙げられるが、経口投与及び経皮投与が好ましい。経口投与のための製剤の剤型としては、例えば錠剤、被覆錠剤、カプセル剤、軟カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉剤、徐放性製剤、懸濁液、エマルジョン剤、トローチ剤、内服液、糖衣錠、丸剤、細粒剤、シロップ剤、エリキシル剤、乳液等が挙げられる。非経口投与としては、静脈内注射、筋肉注射剤、吸入、輸液、坐剤、吸入薬、経皮吸収剤、点眼剤、点鼻剤、クリーム、ジェル、ローション、貼付剤、ゲル、ペースト等が挙げられる。 また、斯かる医薬品製剤では、本発明のSREBP抑制剤等に、薬学的に許容される担体を配合することができる。斯かる担体としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、希釈剤、浸透圧調整剤、流動性促進剤、吸収助剤、pH調整剤、乳化剤、防腐剤、安定化剤、酸化防止剤、着色剤、紫外線吸収剤、保湿剤、増粘剤、光沢剤、活性増強剤、抗炎症剤、殺菌剤、矯味剤、矯臭剤、増量剤、界面活性剤、分散剤、緩衝剤、保存剤、固着剤、香料、被膜剤等が挙げられる。 上記担体の具体例としては、乳糖、カオリン、ショ糖、結晶セルロース、コーンスターチ、タルク、寒天、ペクチン、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、レシチン、塩化ナトリウム等の固形状坦体が挙げられ、グリセリン、落花生油、ポリビニルピロリドン、オリーブ油、エタノール、ベンジルアルコール、プロピレングリコール、水等の液状坦体が挙げられる。 上記製剤中のクロロゲン酸類又はその塩の含有量は、製剤の種類によっても異なるが、経口投与製剤の場合、クロロゲン酸類換算で、製剤全質量の1〜100質量%が好ましく、5〜95質量%がより好ましく、10〜70質量%がさらに好ましい。また、経皮投与製剤の場合、クロロゲン酸類換算で、製剤全質量の0.0001〜20質量%が好ましく、0.001〜10質量%がより好ましく、0.01〜5質量%がさらに好ましい。 本発明のSREBP抑制剤等を各種飲食品の有効成分として使用する場合、一般飲食品のほか、脂漏性脱毛症や脂漏性皮膚炎(湿疹)などの皮脂脂質異常を伴うトラブル等、SREBPの関連する諸現象の予防・改善をコンセプトとし、必要に応じてその旨表示した美容飲食品、病者用飲食品、栄養機能飲食品又は特定保健用飲食品等の機能性飲食品の有効成分として配合して使用できる。 飲食品の形態は、固形、半固形または液状であり得る。飲食品の例としては、パン類、麺類、クッキー等の菓子類、スナック類、ゼリー類、乳製品、冷凍食品、粉末コーヒー等のインスタント食品、でんぷん加工製品、加工肉製品、その他加工食品、コーヒー飲料等の飲料、缶コーヒー飲料等の容器詰め飲料、スープ類、調味料、栄養補助食品等、及びそれらの原料が挙げられる。また、上記の経口投与製剤と同様、錠剤形態、丸剤形態、カプセル形態、液剤形態、シロップ形態、粉末形態、顆粒形態等であってもよい。 斯かる形態の飲食品は、本発明のSREBP抑制剤等の他、他の飲食品材料や、軟化剤、油、乳化剤、防腐剤、香科、安定剤、着色剤、酸化防止剤、増粘剤、固着剤、分散剤、湿潤剤等、更には前記と同様のカフェインを適宜組み合わせて配合し、調製することができる。 また、飲食品中におけるクロロゲン酸類又はその塩の含有量は、その使用形態により異なるが、クロロゲン酸類換算で、通常、飲料の形態では、0.01〜5質量%であり、0.05〜3質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましく、0.15〜2質量%がさらに好ましい。また、ゼリー類では、通常0.01〜1質量%であり、0.02〜0.5質量%が好ましく、0.05〜0.3質量%がより好ましい。また、コーヒー飲料では、通常0.01〜1質量%であり、0.05〜1質量%が好ましく、0.1〜1質量%がより好ましく、0.15〜1質量%がさらに好ましい。 また、本発明のSREBP抑制剤等を飼料の有効成分として使用する場合には、例えば牛、豚、鶏、羊、馬等に用いる家畜用飼料、ウサギ、ラット、マウス等に用いる小動物用飼料、マグロ、ウナギ、タイ、ハマチ、エビ等に用いる魚介類用飼料、犬、猫、小鳥、リス等に用いるペットフード等が挙げられる。 尚、飼料を製造する場合には、本発明のSREBP抑制剤等の他に、牛、豚、羊等の肉類、蛋白質、穀物類、ぬか類、粕類、糖類、野菜、ビタミン類、ミネラル類等一般に用いられる飼料原料、更に一般的に飼料に使用されるゲル化剤、保型剤、pH調整剤、調味料、防腐剤、栄養補強剤等を必要に応じて配合し、常法により当該飼料を加工製造することがきできる。 本発明のSREBP抑制剤等を医薬部外品や化粧品の有効成分として使用する場合、皮膚外用剤、洗浄剤、メイクアップ化粧料とすることができ、使用方法に応じて、美容液、化粧水、マッサージ剤、ローション、乳液、ゲル、クリーム、軟膏剤、粉末、パック、顆粒、ファンデーション、口紅、入浴剤、シャンプー、ヘアコンディショナー、ヘアトニック、錠剤、カプセル、吸収性物品、シート状製品等の種々の剤型で提供することができる。このような種々の剤型の医薬部外品や化粧料は、本発明のSREBP抑制剤等の他、医薬部外品、皮膚化粧料及び洗浄料に配合される、油性成分、保湿剤、粉体、色素、乳化剤、可溶化剤、洗浄剤、紫外線吸収剤、増粘剤、薬効成分、香料、樹脂、防菌防黴剤、植物抽出物、アルコール類等を適宜組み合わせることにより調製することができる。また、医薬部外品や化粧品中におけるクロロゲン酸類又はその塩の含有量は、その使用形態により異なるが、クロロゲン酸類換算で、0.001〜10質量%とするのが好ましく、0.01〜5質量%とするのがより好ましい。 本発明のSREBP抑制剤等を医薬品や機能性食品の有効成分として使用する場合の投与量・摂取量は、患者の状態、体重、性別、年齢又はその他の要因に従って変動し得るが、経口投与の場合の成人1人(60kg)当たりの1日の投与量は、通常、クロロゲン酸類として100〜3000mgが好ましく、300〜2000mgがより好ましく、300〜1000mgが特に好ましい。また、上記製剤は、任意の投与計画に従って投与され得るが、1日1回〜数回に分けて投与することが好ましい。 なお、上記各製剤には、更にカフェイン等の嗜好性物質を配合することができる。カフェインを配合する場合、クロロゲン酸類又はその塩とカフェインの含有量の質量比率は、クロロゲン酸類換算で、クロロゲン酸類/カフェインが、20/1〜1/1であるのが好ましく、15/1〜1/1がより好ましく、10/1〜2/1がさらに好ましい。 以下、本発明を具体的に説明するために実施例及び試験例を挙げるが本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。<製造例1> 焙煎コーヒー粉砕豆(2kg)から80℃以上の条件下で熱水(20L)抽出することにより、固形物濃度約25質量%(以下、「%」とする)のコーヒー抽出物1.45kgを得た。得られたコーヒー抽出物を固形物濃度約35%まで減圧濃縮し、その後195℃で噴霧乾燥を行い、粉末コーヒー抽出物300gを得た。この粉末コーヒー抽出物270gを純水9Lに溶解した。得られたコーヒー溶解液9Lを、合成吸着剤(セパビーズSP70,三菱化学社製)を充填した3Lカラムに通液した。3Lの純水でカラムを通液洗浄後、0.1%水酸化ナトリウム水溶液33Lによりクロロゲン酸類を溶出させ、直ちにイオン交換樹脂(アンバーライト200CT:オルガノ社)を用いて弱酸性に中和・回収した。回収したクロロゲン酸類を含む調製液は減圧濃縮により固形分濃度が約10%になるまで濃縮し、その後噴霧乾燥を行い、高純度クロロゲン酸類製剤(40g)を得た。 製造したクロロゲン酸類製剤中のクロロゲン酸類の含有率(下記の各分子種含有量の総和)は77.1%で、組成は以下の通りであった。 3−カフェオイルキナ酸(7.7%)、4−カフェオイルキナ酸(15.5%)、5−カフェオイルキナ酸(31.9%)、3,4−ジカフェオイルキナ酸(9.0%)、3,5−ジカフェオイルキナ酸(8.9%)、4,5−ジカフェオイルキナ酸(5.3%)、3−フェルロイルキナ酸(7.6%)、4−フェルロイルキナ酸(5.6%)、及び5−フェルロイルキナ酸(8.5%)。 なお、本クロロゲン酸類製剤にはカフェインは含まれていなかった。<製造例2> コーヒー生豆100gを1Lの98℃の熱水で4時間攪拌・抽出した。冷却後、固液分離を行い、抽出液を固形分濃度が20%(w/w)になるまで40℃にて減圧濃縮を行い、その後噴霧乾燥にてクロロゲン酸製剤を得た。得られたコーヒー豆抽出物のクロロゲン酸類量は、カフェオイルキナ酸(CQA)26.3%、フェルロイルキナ酸(FQA)5.1質量%、ジカフェオイルキナ酸(di−CQA)6.65%であった。<製造例3> 上記クロロゲン酸製剤をクロロゲン酸類が1質量%になるようにイオン交換水で溶解させた後、溶解液165gに2N塩酸を添加しpHを1.3に調整した後、遠心分離により固液分離を行い、上層部分(液状)164gを得た。その後、採取した上層液54gを合成吸着剤(商品名セパビーズSP207:三菱化学社製)7.7mLの充填されたカラムに通液させた。その後、0.1%水酸化ナトリウム溶液116gをカラムに通液させ、イオン交換樹脂(アンバーライト200CT:オルガノ社)を用いて弱酸性に中和・回収した。回収したクロロゲン酸類を含む調製液は減圧濃縮を行い、高純度クロロゲン酸類製剤を得た。得られたクロロゲン酸類組成物は純度80%で、モノカフェオイルキナ酸類70%、フェルロイルキナ酸類14%、ジカフェオイルキナ酸類16%であった。<製造例4>:9種クロロゲン酸類の調製 製造例1で得たクロロゲン酸類製剤から、中圧カラムクロマトグラフィーシステム(Yamazen:Ultra Pack ODS-A-40D column, UV detector PREP-UV-10V, fraction collector FR 50N, gradient mixer GR200, degassing unit, pump PUMP-600A)により、9種のクロロゲン酸類を調製した。 クロロゲン酸類製剤(2g)を20mLのA液(酢酸−メタノール−水=1:20:80)に溶解後、カラムにアプライし、10mL/minの流速で、0〜100分までA液で、100〜600分までB液(メタノール)でグラジエント(0→100%)をかけながら溶出させた。この操作により3−カフェオイルキナ酸、3、4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸、4,5−ジカフェオイルキナ酸を単一化合物として得た。 4−カフェオイルキナ酸、5−カフェオイルキナ酸、3−フェルロイルキナ酸、4−フェルロイルキナ酸、5−フェルロイルキナ酸の混合物は、更にInertsil ODS-3 column (GL Science Inc.)を用いるpreparative HPLC system (LC-908: Japan Analytical Industry Co., Ltd.)により精製し、それぞれを単離した。溶出液はトリフルオロ酢酸−メタノール−水(1:300:700)を用い、流速は9mL/minとした。 クロロゲン酸類の溶出は、325nmにおける吸収を測定することによりモニターした。 各化合物は、1H-NMR(JEOL α500 NMR spectrometer:JEOL)にて同定された。試験例1:培養細胞におけるクロロゲン酸類のSREBP-1発現抑制作用及びACC1発現抑制作用 マウス培養肝細胞株(Hepa1-6細胞)は、10%ウシ血清を含むDulbeco's Modified Eagle's Medium(DMEM)で37℃、5%CO2で培養を行った。細胞を6wellプレートに播き、サブコンフルエントに達した後、無血清培地(DMEM, -FBS)に交換し、更に12時間培養を行った。その後、各種サンプルを添加し(最終濃度:CPP 2.5x10-4%、各クロロゲン酸類5μM)、24時間培養後に定法に従い総RNAを調製した。SuperScript first-strand synthesis system (Invitrogen)を用いcDNAを調製後、Power SYBR Green Master Mix (Applied Biosystems)を用い、ABI PRISM 7000 Sequence Detection System (Applied Biosystems)により定量PCRを行った。また、各遺伝子の発現量は、内部標準として36B4の発現量で補正し、また、コントロールの発現量を100とした相対発現量として表した。PCRに用いたプライマーの配列は以下の通りである。 結果を図1に示す。クロロゲン酸類はSREBP−1cのmRNA及びACC1のmRNAの発現を有意に抑制した。また、クロロゲン酸類製剤中に含まれる9種のクロロゲン酸類(3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸、5−カフェオイルキナ酸、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸、4,5−ジカフェオイルキナ酸、3−フェルロイルキナ酸、4−フェルロイルキナ酸、及び5−フェルロイルキナ酸)について同様に評価した結果、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸、5−カフェオイルキナ酸、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸、4,5−ジカフェオイルキナ酸の6種のクロロゲン酸類が有意にSREBP−1cのmRNA及びACC1のmRNAの発現を低下させた。従って、本発明のクロロゲン酸類、特に上記6種化合物は、SREBP−1c抑制剤又はACC1抑制剤の有効成分として有用であるといえる。試験例2:クロロゲン酸類の活性型SREBP低減作用 マウス培養肝細胞株(Hepa1-6細胞)を25cm2 フラスコにて、10%ウシ血清を含むDulbeco’s Modified Eagle’s Medium(DMEM)で培養し、サブコンフルエントに達した後、無血清培地(DMEM, -FBS)に交換し更に12時間培養を行った。その後、製造例1のクロロゲン酸類(最終濃度:2.5x10-4%)または5−カフェオイルキナ酸(5−CQA)(5μM)を添加し、24時間後にNE-PER nuclear and cytoplasmic Extraction Reagent (Thermo scientific)を用い核タンパク質を抽出した。BCA protein assay kit (Thermo scientific)を用いてタンパク質濃度を測定し、それぞれ40gの核タンパク質をウェスタンブロッティング解析に供した。一次抗体にはSREBP-1 (2A4) 抗体(Santa Cruz)を、二次抗体にはhorseradish peroxidase (HRP)-linked 抗マウスIgG抗体 (GE Healthcare)を用い、ECL Plus Western Blotting Detection Reagents (GE Healthcare) を使用して化学発光を行い、ChemiDoc XRS imaging system (Bio-Rad)にて、活性化SREBP-1の検出を行った。 結果を図2に示す。クロロゲン酸類で処理した細胞においては、核内の活性型SREBP量が有意に少なく、減少していると考えた。従って、クロロゲン酸類又はその塩はSREBP抑制剤の有効成分として有用であるといえる。試験例3:クロロゲン酸類のACC活性抑制作用 マウス培養肝細胞株(Hepa1-6細胞)を10cm2 Dishにて、10%ウシ血清を含むDulbeco’s Modified Eagle’s Medium(DMEM)で培養し、サブコンフルエントに達した後、無血清培地(DMEM, -FBS)に交換し更に12時間培養を行った。その後、製造例1のクロロゲン酸類(最終濃度:2.5x10-4%)または5−カフェオイルキナ酸(5−CQA)(5μM)を添加し、24時間後に250mM Sucrose溶液(+Prorease inhibitor:SIGMA)を加え、セルスクレイパーにて細胞を回収した。ダウンス型ホモジナイザーにてホモジナイズした後、100000xgで30分間遠心し、上清をSephadexG-50カラムに通した後、蛋白定量を行った。ACC活性測定は、50μgの蛋白質を用い、Tris-HClバッファー中、Tanabeらの方法にを基に行った[Tanabe T. Methods in Enzymology, vol.71, 5-17, 1981]。 ACC活性測定結果を図3に示す。本発明のクロロゲン酸類及び5-CQAで処理した細胞においては、ACC活性が有意に低かった。従って、クロロゲン酸類又はその塩はACC活性抑制剤の有効成分として有用であるといえる。試験例4:クロロゲン酸類の細胞内マロニル-CoA低減作用 マロニル-CoAの定量は、Demozらの方法に従い行った[Demoz A, J Chromatogr B Biomed Appl. 667:148-152, 1995]。マウス培養肝細胞株(Hepa1-6細胞)を75cm2 フラスコにて、10%ウシ血清を含むDulbeco’s Modified Eagle’s Medium(DMEM)で培養し、サブコンフルエントに達した後、無血清培地(DMEM, -FBS)に交換し更に12時間培養を行った。その後、製造例1のクロロゲン酸類(最終濃度:2.5x10-4%)または 5−カフェオイルキナ酸(5−CQA)(5μM)を添加し、24時間後に細胞を回収した。回収した細胞にホモジナイズ溶液(5% sulfoslicylic acid, 50μM dithioerythritol)を加え、氷上で超音波処理により破砕した。15000xg、4℃で10分間遠心し、得られた上清をHPLC解析に供した。分離カラムはODS Hypersil(C18)カラム(3μm,4.6×100mm)を使用し、溶媒A(100mM sodium phosphate, 75mM sodium acetate, pH4.6)と溶媒B(70%溶媒A,30%メタノール)を用いて、グラジエント法により分離を行った。グラジエントの条件は、〈0min〉90%溶媒A:10%溶媒B⇒〈10min〉60%溶媒A:40%溶媒B⇒〈17.6min〉10%溶媒A:90%溶媒B⇒〈28min〉90%溶媒A:10%溶媒Bとした。検出は、254nm UV detector (L-4250 UV-VIS detector :日立)を用いて行った。 結果を図4に示す。本発明のクロロゲン酸類で処理した細胞においては、細胞内のマロニル-CoA量が有意に少なかった。従って、クロロゲン酸類又はその塩はマロニル-CoA抑制剤の有効成分として有用であるといえる。 このように、本発明のクロロゲン酸類又はその塩は、SREBP1c発現抑制作用若しくは活性型SREBP1低減作用、すなわちSREBP抑制作用;ACC1発現抑制作用若しくはACC活性抑制作用、すなわちACC1抑制作用;細胞内マロニル-CoA低減作用、すなわちマロニル-CoA抑制作用を有することから、脂漏性脱毛症や脂漏性皮膚炎(湿疹)などの皮脂脂質異常を伴うトラブルや、糖尿病性腎症等のSREBPが関連する疾患や代謝異常の予防・改善に有用である。 クロロゲン酸類又はその塩を有効成分とするSREBP抑制剤等を用いて、SREBP抑制作用、ACC1抑制作用、マロニル-CoA抑制作用を有する錠剤、カプセル剤、飲料を以下のように製造した。配合例1:錠剤 下記の各成分を混合・打錠し錠剤を製造した。SREBP抑制剤等として、製造例1で製造したクロロゲン酸類製剤を使用した。〔錠剤〕製造例1で製造したクロロゲン酸類製剤 55質量%乳糖 10質量%ブドウ糖 5質量%澱粉 30質量%香料 若干量配合例2:錠剤 下記の各成分を混合・打錠し錠剤を製造した。SREBP抑制剤等として、製造例1で製造したクロロゲン酸類製剤を使用した。〔錠剤〕製造例1で製造したクロロゲン酸類製剤 50質量%乳糖 10質量%ブドウ糖 5質量%澱粉 30質量%カフェイン 5質量%香料 若干量配合例3:錠剤 下記の各成分を混合・打錠し錠剤を製造した。SREBP抑制剤等として、製造例2で製造したクロロゲン酸類製剤を使用した。〔錠剤〕製造例2で製造したクロロゲン酸類製剤 55質量%乳糖 10質量%ブドウ糖 5質量%澱粉 30質量%香料 若干量配合例4:錠剤 SREBP抑制剤等として、5-カフェオイルキナ酸(クロロゲン酸)を使用し、下記の各成分を混合・打錠し錠剤を製造した。〔錠剤〕生コーヒー豆抽出物(オリザ油化社製) 20質量%5-カフェオイルキナ酸(クロロゲン酸) 10質量%乳糖 20質量%ブドウ糖 10質量%澱粉 40質量%香料 若干量配合例5:錠剤 3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸、5−カフェオイルキナ酸(クロロゲン酸)、3,4−カフェオイルキナ酸、3,5−カフェオイルキナ酸及び4,5−カフェオイルキナ酸を含有するSREBP抑制剤等、乳糖、ブドウ糖、澱粉、ビタミンC及び香料の下記の各成分を、混合・打錠し錠剤を製造した。 錠剤中の各クロロゲン酸類の含有量は、クロロゲン酸類換算で、3−カフェオイルキナ酸 2質量%、4−カフェオイルキナ酸 2質量%、5−カフェオイルキナ酸 20質量%、3,4−カフェオイルキナ酸 2質量%、3,5−カフェオイルキナ酸 2質量%、4,5−カフェオイルキナ酸 2質量%であった。〔錠剤〕SREBP抑制剤等 30質量%乳糖 15質量%ブドウ糖 10質量%澱粉 30質量%ビタミンC 15質量%香料 若干量配合例6:錠剤 モノカフェオイルキナ酸、ジカフェオイルキナ酸及びフェルロイルキナ酸を有効成分とするSREBP抑制剤等、乳糖、ブドウ糖、澱粉、カフェイン並びに香料の下記の各成分を、混合・打錠し錠剤を製造した。 錠剤中の各クロロゲン酸類の含有量は、3−カフェオイルキナ酸 2質量%、4−カフェオイルキナ酸 2質量%、5−カフェオイルキナ酸(クロロゲン酸) 20質量%、3,4−カフェオイルキナ酸 2質量%、3,5−カフェオイルキナ酸 3質量%、4,5−カフェオイルキナ酸 3質量%、3−フェルロイルキナ酸 3質量%、4−フェルロイルキナ酸 2質量%、及び5−フェルロイルキナ酸 2質量%であった。〔錠剤〕SREBP抑制剤等 39質量%乳糖 14質量%ブドウ糖 10質量%澱粉 20質量%カフェイン 5質量%香料 若干量配合例7:錠剤 下記の各成分を混合・打錠し錠剤を製造した。SREBP抑制剤等として、製造例3で製造したクロロゲン酸類製剤を使用した。〔錠剤〕製造例3で製造したクロロゲン酸類製剤 30質量%乳糖 30質量%ブドウ糖 10質量%澱粉 24質量%ビタミンC 5質量%ビタミンE 1質量%配合例8:カプセル剤 カプセルに、組成物中、5-カフェオイルキナ酸(クロロゲン酸)70質量%になるようにSREBP抑制剤等を配合した下記組成物(400mg)を充填し、カプセル剤を製造した。〔カプセル剤〕5−カフェオイルキナ酸(クロロゲン酸) 70質量%コーンスターチ 10質量%セルロース 10質量%乳糖 10質量%配合例9:缶コーヒー飲料 SREBP抑制剤等を配合した缶コーヒー飲料は次のように製造した。 製造例1に従い製造したクロロゲン酸類製剤(SREBP抑制剤等)100gを30Lの水に溶解した後、これに乳化剤、甘味料及び香料を配合し、190mLのスチール缶に充填、レトルト殺菌機を用いて、121.5℃で10分間保持し、F値(殺菌指標)10となるような条件で熱処理を行い、缶コーヒー飲料を製造した。配合例10:缶コーヒー飲料 SREBP抑制剤等を配合した缶コーヒー飲料は次のように製造した。 製造例2に従い製造したクロロゲン酸類製剤(SREBP抑制剤等)100gを30Lの水に溶解した後、190mLのスチール缶に充填、レトルト殺菌機を用いて、121.5℃で10分間保持し、F値(殺菌指標)10となるような条件で熱処理を行い、缶コーヒー飲料を製造した。配合例11:缶コーヒー飲料 SREBP抑制剤等を配合した缶コーヒー飲料は次のように製造した。 製造例3に従い製造したクロロゲン酸類製剤(SREBP抑制剤等)100gを30Lの水に溶解した後、190mLのスチール缶に充填、レトルト殺菌機を用いて、121.5℃で10分間熱処理を行い、缶コーヒー飲料を製造した。配合例12:コーヒー飲料 焙煎コーヒー粉砕豆に8倍量の熱水(95℃、10分攪拌)を加え、コーヒー抽出液を得た。得られたコーヒー抽出液中のBrixに対して50質量%量の活性炭(白鷺:日本エンバイロケミカルズ)を充填したカラムに、25℃でコーヒー抽出液を通液したコーヒー組成物を得た。得られたコーヒー組成物中のクロロゲン酸類含量を測定し、イオン交換水で希釈し、重曹にてpH調整を行い、クロロゲン酸類製剤(SREBP抑制剤等)を製造した。得られたクロロゲン酸類製剤、乳化剤、甘味料及び香料を190g缶に充填後、密封し、レトルト殺菌処理を施し、コーヒー飲料を製造した。コーヒー飲料中のクロロゲン酸類の含量は、クロロゲン酸類換算で、0.176%であった。配合例13:清涼飲料水 製造例1に従い製造したクロロゲン酸類製剤(SREBP抑制剤等)を水1L当り1.5g溶解し、フィルター滅菌した後500mLのペットボトルに充填し、清涼飲料水を製造した。無理なく連用できる味であった。配合例14:清涼飲料水 モノカフェオイルキナ酸及びジカフェオイルキナ酸を有効成分とするSREBP抑制剤等、果糖/ブドウ糖液糖、及び香料を以下の組成になるように水に溶解し、フィルター滅菌した後350mLのペットボトルに充填し、清涼飲料水を製造した。無理なく連用できる味であった。 清涼飲料水中のクロロゲン酸類の含有量は、クロロゲン酸類換算で、3−カフェオイルキナ酸 0.01質量%、4−カフェオイルキナ酸 0.01質量%、5−カフェオイルキナ酸(クロロゲン酸) 0.2 質量%、3,4−カフェオイルキナ酸 0.01質量%、3,5−カフェオイルキナ酸 0.01質量%、4,5−カフェオイルキナ酸 0.01質量%であった。〔清涼飲料水〕SREBP抑制剤等 0.25質量%果糖/ブドウ糖液糖 1 質量%香料 若干量配合例15:清涼飲料 製造例1に従い製造したクロロゲン酸類製剤(SREBP抑制剤等)を添加し、以下の組成になるよう水に溶解し、フィルター滅菌した後100mLの褐色ボトルに充填し、SREBP抑制剤等を含有する清涼飲料を製造した。〔清涼飲料〕製造例1に従い製造したクロロゲン酸類製剤 1 質量%ビタミンB1 0.005質量%ビタミンB2 0.005質量%ビタミンB6 0.005質量%タウリン 1 質量%クエン酸 0.05 質量%無水カフェイン 0.05 質量%イノシトール 0.05 質量%香料 若干量 クロロゲン酸類又はその塩を有効成分とするSREBP抑制剤。 クロロゲン酸類又はその塩を有効成分とするACC1抑制剤。 クロロゲン酸類又はその塩を有効成分とするマロニル-CoA抑制剤。 クロロゲン酸類又はその塩を有効成分とする脂漏性脱毛症及び/又は脂漏性皮膚炎予防・改善剤。 クロロゲン酸類又はその塩を有効成分とする糖尿病性腎症予防・改善剤。 クロロゲン酸類が、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸、5−カフェオイルキナ酸、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸、4,5−ジカフェオイルキナ酸から選ばれる1種以上である請求項1記載のSREBP抑制剤、請求項2記載のACC1抑制剤、請求項3記載のマロニル-CoA抑制剤、請求項4記載の脂漏性脱毛症及び/又は脂漏性皮膚炎予防・改善剤、又は請求項5記載の糖尿病性腎症予防・改善剤。 【課題】安全性が高く、優れたSREBP抑制作用、ACC1抑制作用、マロニル-CoA抑制作用を有し、脂漏性脱毛症や脂漏性皮膚炎(湿疹)などの皮脂脂質異常を伴うトラブルの予防・改善や、糖尿病性腎症等のSREBPが関連する疾患や代謝異常の予防・改善に有効な医薬品、医薬部外品、化粧品、飲食品、ペットフード及び飼料等の提供。【解決手段】クロロゲン酸類又はその塩を有効成分とする、SREBP抑制剤、ACC1抑制剤又はマロニル-CoA抑制剤。【選択図】なし配列表


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