タイトル: | 公開特許公報(A)_薬物の不快な味をマスキングした経口医薬組成物 |
出願番号: | 2010024842 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | A61K 31/445,A61K 47/38,A61K 47/32,A61K 9/20 |
中川 知哉 北村 雅弘 樋崎 雅也 JP 2011162458 公開特許公報(A) 20110825 2010024842 20100205 薬物の不快な味をマスキングした経口医薬組成物 沢井製薬株式会社 000209049 中川 知哉 北村 雅弘 樋崎 雅也 A61K 31/445 20060101AFI20110729BHJP A61K 47/38 20060101ALI20110729BHJP A61K 47/32 20060101ALI20110729BHJP A61K 9/20 20060101ALI20110729BHJP JPA61K31/445A61K47/38A61K47/32A61K9/20 5 OL 10 4C076 4C086 4C076AA36 4C076BB01 4C076CC01 4C076DD38T 4C076DD41C 4C076EE10T 4C076EE11T 4C076EE32 4C076EE32T 4C076FF52 4C086BC21 4C086MA02 4C086MA03 4C086MA05 4C086MA35 4C086MA52 4C086ZA16 本発明は、ドネペジル塩酸塩などの薬物の不快な味がマスキングされた経口医薬組成物に関するものである。 口腔内崩壊錠、顆粒剤、散剤などの医薬製剤は、高齢者や嚥下力の低い患者が服用しやすい製剤とされている。しかし、ドネペジル塩酸塩などの薬物は、服用した際に苦味や舌の痺れを生じることが知られており、こうした薬物を含む上記製剤の場合、口中に薬物が放出されるため、薬物由来の不快な味や服用感の悪さが原因となって、患者のコンプライアンスが低下することもある。こうした不快な味をマスキングする方法として種々の技術が研究されてきた。 特許文献1では、カラギーナン、デキストラン硫酸並びにその塩を配合することによって不快な味を隠蔽した経口薬剤組成物が開示されている。しかしながら、これらの物質は、強酸性の官能基を有するため、薬物との相互作用が強くなりすぎ、製剤の溶解性及び溶出性が悪化する恐れがある。 特許文献2では、ワックス状物質と糖アルコールを含有することによって、不快味をマスキングした粒状医薬組成物が開示されている。特許文献3では、薬物と特定の(メタ)アクリレート−コポリマーとを溶融押出する方法で苦味を隔離する方法が開示されている。しかしながら、これらの方法では、溶融造粒用の装置が必要となる上、溶融時の熱で分解してしまうような不安定な薬物には応用することが出来ない。 特許文献4では、スクラロースを混合することによって不快な味を呈する薬物の不快感を抑えた薬剤組成物が開示されているが、スクラロースは水溶性が高いため、主薬が簡単に口中に放出され、薬物によってはスクラロースの添加だけでは不快な味を隠蔽できない恐れがある。 以上のように、従来の不快な味を有する薬物をマスキングするための方法では、技術上実施が困難なケースや、薬物によってはマスキングしきれないケースも考えられるため、さらなる方法が求められている。特開平11−228450号公報特開2000−327590号公報特表2005−526731号公報特開2001−342151号公報 本発明の課題は、ドネペジル塩酸塩などの薬物の不快な味がマスキングされた経口医薬組成物を提供することである。 本発明者らは、上記の課題を解決するために検討を行った結果、製剤中にカルメロースカルシウム及び/又はメタクリル酸コポリマーを含有させることで、薬物の不快な味がマスキングされること見出し、本発明を完成させた。 すなわち、本発明の特徴は以下のとおりである。(1)不快な味を有する薬物とカルメロースカルシウム及び/又はメタクリル酸コポリマーを含有する経口医薬組成物。(2)不快な味を有する薬物がドネペジル塩酸塩である、請求項1に記載の経口医薬組成物。(3)経口医薬組成物が口腔内崩壊錠である、請求項1に記載の経口医薬組成物。(4)メタクリル酸コポリマーが乾燥メタクリル酸コポリマーLDである請求項1乃至3に記載の経口医薬組成物。(5)ドネペジル塩酸塩とカルメロースカルシウム及び/又はメタクリル酸コポリマーを含有する口腔内崩壊錠。 本発明の経口医薬組成物は、ドネペジル塩酸塩などの薬物由来の苦味だけでなく、服用後に生じる舌の痺れをも抑制する。本発明は、嚥下障害のある患者でも服用しやすい口腔内崩壊錠に応用可能である。さらに、本発明の経口医薬組成物は、製造方法に関わらず、主薬に、カルメロースカルシウム及び/又はメタクリル酸コポリマーを添加するのみで、苦味及び痺れの抑制効果が発揮されるため、生産機器や製造設備による制約を受けない。図1は味認識装置を用いた測定によって、本発明による苦味のマスキング効果を示したグラフである。(試験例3) 本発明の経口医薬組成物は、不快な味を有する薬物を含有する。その薬物としては、特にドネペジル塩酸塩がふさわしい。 本発明の経口医薬組成物は、カルメロースカルシウム、メタクリル酸コポリマーのいずれかを含有するか、その両方を含有する。いずれか一方でも苦味及び痺れの抑制効果を生じるが、両方を含有するとさらに効果的である。 本発明で用いるカルメロースカルシウムは、医薬品の崩壊剤として用いられることがある。本発明におけるカルメロースカルシウムは、用量依存性で不快な味をマスキングする効果を発揮するが、吸湿性が高く、吸水して膨潤する性質があり、配合量が多すぎると製剤強度が減少する。そのため、医薬品製剤に必要な強度を担保出来、物性を損なわない程度に適宜配合量を調製する必要がある。カルメロースカルシウムの配合量は、不快な味を有する薬物1重量部に対して0.2乃至5重量部であるのが望ましい。 本発明で用いるメタクリル酸コポリマーは、通常医薬品のコーティング剤として用いられることが多いが、本発明においては、経口医薬組成物中に主薬と共存する形で用いる。本発明で用いるメタクリル酸コポリマーとしては、乾燥メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーSが望ましい。そのうち、特に苦味の抑制効果が良好であり、服用時の粉っぽさが少ない、乾燥メタクリル酸コポリマーLDが好ましい。本発明におけるメタクリル酸コポリマーは用量依存性で苦味及び舌の痺れを抑制する効果を発揮するが、配合量が多すぎると特有の臭みと酸味が強くなり、かえって服用感が悪くなる。そのため、メタクリル酸コポリマーの配合量は、不快な味を有する薬物1重量部に対して0.2乃至5重量部であるのが望ましい。 本発明の経口医薬組成物は、必要に応じて、賦形剤、結合剤、カルメルロースカルシウム以外の崩壊剤、滑沢剤、界面活性剤、甘味剤、矯味剤、香料、着色料等の添加剤を含有することができる。例えば、トウモロコシデンプンなどのデンプン類、乳糖、白糖、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、ソルビトール、マルチトール、クエン酸カルシウム、リン酸カルシウム、結晶セルロース、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、軽質無水ケイ酸、無水リン酸水素カルシウム等の賦形剤;ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム末、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、結晶セルロース・カルボキシメチルセルロースナトリウム、デキストリン、プルラン、トラガント、アルギン酸ナトリウム、アルファー化デンプン等の結合剤;クロスポビドン、カルメロースナトリウム、クロスカルメロースナトリウム、カルメロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、架橋カルメロースナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルスターチナトリウム等の崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、ショ糖脂肪酸エステル、硬化油等の滑沢剤;グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール等の界面活性剤;アスパルテーム、サッカリン、サッカリンナトリウム、アセスルファムカリウム、スクラロース、ソルビトール、白糖、ブドウ糖、マルチトール等の甘味剤;クエン酸、クエン酸ナトリウム、酒石酸、DL−リンゴ酸、グリシン、DL−アラニン等の矯味剤;ストロベリー、レモン、レモンライム、オレンジ、l−メントール、ハッカ油等の香料;黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、食用タール色素、天然色素等の着色料等が挙げられる。 本発明の経口医薬組成物の剤形は、錠剤、口腔内崩壊錠、顆粒剤、細粒剤、散剤、カプセル剤、トローチ剤、チュアブル錠などの固形製剤のみならず、液剤、懸濁剤、ゼリー剤、軟カプセル剤も含む。 本発明の経口医薬組成物は、方法は特に限定されないが、カルメロースカルシウム、メタクリル酸コポリマーのいずれか、又は、その両方を、主薬と均一に混合する必要がある。その際、主薬、カルメロースカルシウム、メタクリル酸コポリマーは、それぞれ前もって造粒したものを用いても良い。その造粒物には、賦形剤、結合剤、カルメルロースカルシウム以外の崩壊剤、界面活性剤、甘味剤、矯味剤、香料、着色料等の添加剤を必要に応じて含有して良い。造粒方法は、慣用される方法であれば良く、撹拌造粒法、流動層造粒法、転動造粒法、圧縮造粒法、押出造粒法、溶融造粒法、噴霧造粒法などが挙げられるが、そのうち、撹拌造粒法あるいは流動層造粒法が簡便で好ましい。 例えば、錠剤を製造する場合、主薬、賦形剤、その他必要な添加剤を含む組成物を高速撹拌造粒機で混合、練合造粒した後、乾燥、整粒し、これに必要に応じて滑沢剤を混合し、打錠機にて打錠する方法が挙げられる。この場合、カルメロースカルシウム及び/又はメタクリル酸コポリマーを添加するのは、造粒過程前でも、打錠前の混合過程でも良い。 以下、本発明を試験例、実施例により詳細に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。[試験例1] 口腔内崩壊錠も含めた経口医薬組成物に応用できる各種添加剤について、それらの苦味マスキング効果を比較した。不快な味を有する薬物であるドネペジル塩酸塩10mg、D−マンニトール260mg、苦味マスキング候補物質10mgを乳鉢で混合し、精製水で練合造粒した。この造粒物を乾燥させ、粉末を得た。 得られた各粉末について、ドネペジル塩酸塩原末の苦味が抑制されたかを官能試験で比較した。官能試験は、苦味の程度を3段階で評価した。その結果を表2に示す。苦味の程度+:苦い(原末からほとんど変化なし)、±:わずかに苦味を抑制、−:顕著に苦味を抑制 官能試験の結果、アルギン酸ナトリウム、乾燥メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーS、カルメロースカルシウム、キサンタンガムを用いたサンプルで苦味が抑制された。これらのうち、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガムは、粘性が高く、上記の重量比(ドネペジル塩酸塩:アルギン酸ナトリウムまたはキサンタンガム=1:1)で製造した錠剤は、崩壊性と溶出性が悪く、経口医薬組成物には不向きであった。 以上から、口腔内崩壊錠も含めた経口医薬組成物に応用できる苦味マスキング物質として、メタクリル酸コポリマー、カルメロースカルシウムが有用と示唆された。(比較例1) 高速撹拌造粒機(ハイスピードミキサー:LFS−GS−2J)にて、ドネペジル塩酸塩5.0g、D−マンニトール136.9g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース18.5g、軽質無水ケイ酸1.6gを混合して精製水で練合造粒した。これを16号篩で篩過し得られた造粒物をミニジェットオーブンで乾燥させ、30号篩で整粒し、最後にステアリン酸マグネシウム3.2gを混合して打錠前粉末を得た。本粉末を単発打錠機にて打錠し、1錠あたり165.2mgの口腔内崩壊錠を作成した。 高速撹拌造粒機(ハイスピードミキサー:LFS−GS−2J)にて、ドネペジル塩酸塩5.0g、D−マンニトール131.9g、カルメロースカルシウム5.0g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース18.5g、軽質無水ケイ酸1.6gを混合して精製水で練合造粒した。これを16号篩で篩過し得られた造粒物をミニジェットオーブンで乾燥させ、30号篩で整粒し、最後にステアリン酸マグネシウム3.2gを混合して打錠前粉末を得た。本粉末を単発打錠機にて打錠し、1錠あたり165.2mgの口腔内崩壊錠を作成した。 高速撹拌造粒機(ハイスピードミキサー:LFS−GS−2J)にて、ドネペジル塩酸塩5.0g、D−マンニトール126.9g、メタクリル酸コポリマーLD10.0g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース18.5g、軽質無水ケイ酸1.6gを混合して精製水で練合造粒した。これを16号篩で篩過し得られた造粒物をミニジェットオーブンで乾燥させ、30号篩で整粒し、最後にステアリン酸マグネシウム3.2gを混合して打錠前粉末を得た。本粉末を単発打錠機にて打錠し、1錠あたり165.2mgの口腔内崩壊錠を作成した。 高速撹拌造粒機(ハイスピードミキサー:LFS−GS−2J)にて、ドネペジル塩酸塩5.0g、D−マンニトール121.9g、カルメロースカルシウム5.0g、メタクリル酸コポリマーLD10.0g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース18.5g、軽質無水ケイ酸1.6gを混合して精製水で練合造粒した。これを16号篩で篩過して得られた造粒物をミニジェットオーブンで乾燥させ、30号篩で整粒し、最後にステアリン酸マグネシウム3.2gを混合して打錠前粉末を得た。本粉末を単発打錠機にて打錠し、1錠あたり165.2mgの口腔内崩壊錠を作成した。 表2に、比較例1、実施例1、実施例2、実施例3の口腔内崩壊錠の処方を示す。[試験例2] 比較例1、実施例1、実施例2、実施例3の口腔内崩壊錠をサンプルとして官能試験を行った。官能試験の評価項目は苦味及び痺れとし、その程度を5段階で評価した。その結果を表3に示す。苦味の程度+++:非常に苦い、++:苦い、+:わずかに苦い、−:ほとんど苦味を感じない痺れの程度+++:非常に痺れる、++:痺れる、+:わずかに痺れる、−:ほとんど痺れを感じない 官能試験の結果、カルメロースカルシウム及び/又はメタクリル酸コポリマーである乾燥メタクリル酸コポリマーLDを用いた口腔内崩壊錠である実施例1乃至実施例3では、ドネペジル塩酸塩に由来する苦味と痺れが顕著に抑制されていた。特に、実施例3のように両者を併用することによって、苦味と痺れの両方が顕著に抑制されることが判明した。[試験例3] カルメロースカルシウムとメタクリル酸コポリマーの苦味抑制効果について、味認識装置((株)インセント:TS−5000Z)を用いて評価した。 この味認識装置は、人工脂質膜の膜電位の変化を信号として取り出すことが可能な装置であり、CPA値という指標が苦味の強さと良好な相関性を示すことが知られている(内田 享弘、PHARM TECH JAPAN、18(12)、pp133−146、2002)。 試験方法は次の通りである。 比較例1、実施例1、実施例2、実施例3の口腔内崩壊錠を、ドネペジル塩酸塩の濃度が0.03mg/mLとなるように10mMKCl溶液に加え、スターラーで1分間撹拌した。浮遊物をペーパーフィルターで濾過し、サンプル溶液とした。また、コントロール溶液として、10mMKCl溶液を用いた。 味認識装置では、基準液(30mMKClと0.3mM酒石酸)で安定化した後、コントロール溶液、各サンプル溶液におけるCPA値を測定した。測定に使用するセンサーは塩基性の苦味に特異的なBT0を用いた。 なお、CPA値とは次のように定義される。Vr(mV):コントロール溶液又はサンプル溶液を測定する前の基準液の測定値Vr’(mV):コントロール溶液又はサンプル溶液を測定した後に再び測定した基準液の測定値CPA:Vr’−Vr。Change of membrane Potential caused by Adsorption。 測定は3回行い、コントロール溶液と各サンプル溶液の各CPA値について平均値を算出した。各サンプル溶液の平均CPA値から、コントロール溶液の平均CPA値を差し引いた値をグラフにしたものを図1に示す。 その結果、実施例1乃至実施例3のCPA値は、比較例1のCPA値よりも小さい値となった。このことから、味認識装置を用いた試験によっても、カルメロースカルシウム及び/又はメタクリル酸コポリマーである乾燥メタクリル酸コポリマーLDを用いることによって、ドネペジル塩酸塩に由来する苦味は顕著に抑制されることが確認された。 高速撹拌造粒機(ハイスピードミキサー:LFS−GS−2J)にて、ドネペジル塩酸塩5.0g、D−マンニトール121.9g、メタクリル酸コポリマーLD10.0g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース18.5g、軽質無水ケイ酸1.6gを混合して精製水で練合造粒した。これを16号篩で篩過し得られた造粒物をミニジェットオーブンで乾燥させ、30号篩で整粒し、最後にカルメロースカルシウム5.0g、ステアリン酸マグネシウム3.2gを混合して打錠前粉末を得た。本粉末を単発打錠機にて打錠し、1錠あたり165.2mgの口腔内崩壊錠を作成した。 流動層造粒機(マルチプレックス:FD−MP−01D)にて、ドネペジル塩酸塩5.0g、D−マンニトール121.9g、メタクリル酸コポリマーLD10.0g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース18.5g、軽質無水ケイ酸1.6gを混合して精製水で流動層造粒した。これを引き続き流動層造粒機で乾燥させ、30号篩で整粒し、最後にカルメロースカルシウム5.0g、ステアリン酸マグネシウム3.2gを混合して打錠前粉末を得た。本粉末を単発打錠機にて打錠し、1錠あたり165.2mgの口腔内崩壊錠を作成した。 実施例4、実施例5の口腔内崩壊錠は、実施例3と同じ処方成分を同じ量で含有する。これらをサンプルとして試験例2と同じ評価項目で、官能試験を行った。その結果を表4に示す。 以上の結果より、本発明によれば、製造方法に関わらず、苦味と痺れの抑制効果が得られることが確認された。 高速撹拌造粒機(ハイスピードミキサー:LFS−GS−2J)にて、ドネペジル塩酸塩3.0g、D−マンニトール124.4g、カルメロースカルシウム5.0g、メタクリル酸コポリマーLD10.0g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース18.5g、軽質無水ケイ酸1.6gを混合して精製水で練合造粒した。これを16号篩で篩過し得られた造粒物をミニジェットオーブンで乾燥させ、30号篩で整粒し、最後にフマル酸ステアリルナトリウム3.2gを混合して打錠前粉末を得た。本粉末を単発打錠機にて打錠し、1錠あたり165.7mgの口腔内崩壊錠を作成した。 高速撹拌造粒機(ハイスピードミキサー:LFS−GS−2J)にて、ドネペジル塩酸塩10.0g、D−マンニトール199.6g、カルメロースカルシウム8.3g、メタクリル酸コポリマーLD20.0g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース30.8g、軽質無水ケイ酸2.7gを混合して精製水で練合造粒した。これを16号篩で篩過し得られた造粒物をミニジェットオーブンで乾燥させ、30号篩で整粒し、最後にフマル酸ステアリルナトリウム5.3gを混合して打錠前粉末を得た。本粉末を単発打錠機にて打錠し、1錠あたり276.7mgの口腔内崩壊錠を作成した。 表5に、実施例6、実施例7の口腔内崩壊錠の処方を示す。 実施例6、実施例7の口腔内崩壊錠をサンプルとして試験例2と同じ評価項目で、官能試験を行った。その結果を表6に示す。 高速撹拌造粒機(ハイスピードミキサー:FS−GS−10)にて、ドネペジル塩酸塩125g、D−マンニトール3068g、メタクリル酸コポリマーLD250g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース462g、軽質無水ケイ酸40gを混合して精製水で練合造粒した。これを湿式整粒機を用いて粗砕し、得られた造粒物を通気型棚式乾燥機で乾燥させ、さらにパワーミルで整粒し、最後にカルメロースカルシウム125g、アスパルテーム50g、フマル酸ステアリルナトリウム80gをV型混合機(VM−30)で混合して打錠前粉末4.2kgを得た。本粉末をロータリー打錠機にて打錠し、1錠あたり168.0mgの口腔内崩壊錠を作成した。 実施例8の口腔内崩壊錠をサンプルとして試験例2と同じ評価項目で、官能試験を行ったところ、苦味、痺れにともに“−”という結果が得られた。 不快な味を有する薬物とカルメロースカルシウム及び/又はメタクリル酸コポリマーを含有する経口医薬組成物。 不快な味を有する薬物がドネペジル塩酸塩である、請求項1に記載の経口医薬組成物。 経口医薬組成物が口腔内崩壊錠である、請求項1に記載の経口医薬組成物。 メタクリル酸コポリマーが乾燥メタクリル酸コポリマーLDである請求項1乃至3に記載の経口医薬組成物。 ドネペジル塩酸塩とカルメロースカルシウム及び/又はメタクリル酸コポリマーを含有する口腔内崩壊錠。 【課題】ドネペジル塩酸塩などの薬物の不快な味がマスキングされた経口医薬組成物を提供する。【解決手段】不快な味を有する薬物とカルメロースカルシウム及び/又はメタクリル酸コポリマーを含有する経口医薬組成物。本発明の経口医薬組成物は、ドネペジル塩酸塩などの薬物由来の苦味だけでなく、服用後に生じる舌の痺れをも抑制することが出来る。本発明は、嚥下障害のある患者でも服用しやすい口腔内崩壊錠にも応用することが出来る。【選択図】なし